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ウシ に なった お 坊さん
ウシ に なった お 坊さん
むかし むかし 、 ある ところ に 、 とても やさしい お 百姓 ( ひゃくしょう ) さん が い ました 。
その お 百姓 さん の 家 に 、 ある 日 の タ 方 、 弘 法大 師 ( こうぼう たいし ) と いう 旅 の お 坊さん が やって 来て 言い ました 。
「 すま ん が 、 今夜 一晩 泊めて ください 」 でも お 百姓 さん は ひどい 貧乏 な ので 、 お 坊さん に 食べて もらう ご飯 も 寝る ため の ふとん も あり ませ ん 。
困った お 百姓 さん は 、 お 坊さん に 言い ました 。
「 お 坊 さま に 泊まって いただく の は うれしい が 、 こんな 汚い ところ に お 坊さん を 泊めて は 、 ばち が 当たって しまい ます 」 「 いい や 、 汚い なんて とんでもない 。
夜つゆ さえ しのげ れば いい ので 、 どこ でも いい から 泊めて ください 」 そこ まで 言わ れて は 、 断る 事 が 出来 ませ ん 。
「 まあ 、 それ なら どうぞ 、 泊まって ください 」 お 百姓 さん は お 坊さん を 家 に 入れる と 、 むした イモ を お 坊さん に 出し ました 。
「 こんな 物 しか あり ませ ん が 、 よかったら 召し上がって ください 」 「 こいつ は ありがたい 。
わたし は イモ が 大好きで な 」 お 坊さん は おいし そうに イモ を 食べる と 、 ゴロリ と 横 に なって すぐ に 寝て しまい ました 。
それ を 見た お 百姓 さん は 、 あきれ ながら も お 坊さん に 一 枚 しか ない ボロ ぶ と ん を かけて あげ ました 。
( やれやれ 、 困った お 坊さん だ 。
ご飯 を 食べて すぐ 横 に なる と 、 ウシ に なって しまう のに ) お 百姓 さん が そう 思って 見て いる と 、 何と お 坊さん の 頭 から ニョキニョキ と 角 が 生えて 来て 、 お 坊さん が 本当の ウシ に なって しまった のです 。
「 お 坊さん !
大変です !
お 坊さん !
起きて ください !
」 お 百姓 さん が ビックリ して お 坊さん を 起こす と 、 ウシ に なった お 坊さん が 言い ました 。
「 わたし は もう 、 人間 に 戻れ ない 。
どうか わたし を 町 へ 連れて 行って 、 売って ください 」 「 そんな !
お 坊さん を 売る なんて 、 とんでもない !
」 「 良い のです 。
翌朝 、 町 へ 行き ましょう 」
そして 朝 に なる と 、 ウシ は さっさと 起きあがって 外 へ 出 ました 。
「 さあ 、 一緒に 行き ましょう 。
わたし を 売った お 金 で 、 何でも 好きな 物 を 買って ください 」 「 し 、 しかし ・・・」 「 さあ 、 早く 」 お 百姓 さん が 仕方なく 行く と 、 ちょうど 向こう側 から ウシ 買い が やって 来 ました 。
ウシ 買い は ウシ を 見る と 、 感心 して 言い ました 。
「 これ は 立派な ウシ だ 。
ぜひ 、 わし に 売って くださ れ 」 そして ウシ 買い は 、 お 百姓 さん に たくさんの お 金 を 渡し ました 。
ウシ に なった お 坊さん は 、 お 百姓 を 見て うなずく と 、 そのまま ひか れて 行き ました 。
さて 、 この 事 を 聞いた 隣 の お 金持ち が 、 ( おれ も 一 つ 、 旅 の お 坊さん を 家 に 泊めて 金もうけ を して みよう ) と 、 思い 、 お 坊さん が 来る の を 毎日 待って い ました 。
する と ある 日 の タ 方 、 旅 の お 坊さん が 通り かかり ました 。
お 金持ち は 、 あわてて お 坊さん の そば へ 行く と 、 「 これ は 、 お 坊 さま 。
長旅 で 、 さぞ お 疲れ で ございましょう 。
ささっ 、 わたし の ところ へ 泊まって ください 。
ぜひとも 、 ぜひとも 」 と 、 言って 、 無理矢理 家 に 連れて 来て たくさんの ごちそう を 食べ させる と 、 すぐ に 立派な ふとん を ひいて 寝かせ ました 。
ところが いつまで たって も 、 お 坊さん は ウシ に なり ませ ん 。
「 おかしい な 。
早く ウシ に なれ 。
ウシ に なれ 、 ウシ に なれ 」 と 、 言って いる うち に 、 何と 自分 の 頭 から 角 が 生えて 来て 、 お 金持ち は ウシ に なって しまった のです 。
次の 日 、 お 坊さん は この ウシ を 連れて 、 どこ か へ 消えて しまった と いう 事 です 。
おしまい
ウシ に なった お 坊さん
うし||||ぼうさん
The Monk Who Turned Into a Bovine
和尚變成牛
ウシ に なった お 坊さん
うし||||ぼうさん
むかし むかし 、 ある ところ に 、 とても やさしい お 百姓 ( ひゃくしょう ) さん が い ました 。
||||||||ひゃくしょう|||||
その お 百姓 さん の 家 に 、 ある 日 の タ 方 、 弘 法大 師 ( こうぼう たいし ) と いう 旅 の お 坊さん が やって 来て 言い ました 。
||ひゃくしょう|||いえ|||ひ|||かた|ひろ|ほうだい|し|||||たび|||ぼうさん|||きて|いい|
「 すま ん が 、 今夜 一晩 泊めて ください 」 でも お 百姓 さん は ひどい 貧乏 な ので 、 お 坊さん に 食べて もらう ご飯 も 寝る ため の ふとん も あり ませ ん 。
|||こんや|ひとばん|とめて||||ひゃくしょう||||びんぼう||||ぼうさん||たべて||ごはん||ねる|||||||
"Sorry, please stay overnight tonight." But the peasant is so poor that he has a futon to sleep with the rice that the monk eats.
困った お 百姓 さん は 、 お 坊さん に 言い ました 。
こまった||ひゃくしょう||||ぼうさん||いい|
「 お 坊 さま に 泊まって いただく の は うれしい が 、 こんな 汚い ところ に お 坊さん を 泊めて は 、 ばち が 当たって しまい ます 」 「 いい や 、 汚い なんて とんでもない 。
|ぼう|||とまって|||||||きたない||||ぼうさん||とめて||||あたって|||||きたない||
夜つゆ さえ しのげ れば いい ので 、 どこ でも いい から 泊めて ください 」 そこ まで 言わ れて は 、 断る 事 が 出来 ませ ん 。
よつゆ||||||||||とめて||||いわ|||ことわる|こと||でき||
All you have to do is to make the night soup, so please stay anywhere. "
「 まあ 、 それ なら どうぞ 、 泊まって ください 」 お 百姓 さん は お 坊さん を 家 に 入れる と 、 むした イモ を お 坊さん に 出し ました 。
||||とまって|||ひゃくしょう||||ぼうさん||いえ||いれる|||いも|||ぼうさん||だし|
「 こんな 物 しか あり ませ ん が 、 よかったら 召し上がって ください 」 「 こいつ は ありがたい 。
|ぶつ|||||||めしあがって||||
わたし は イモ が 大好きで な 」 お 坊さん は おいし そうに イモ を 食べる と 、 ゴロリ と 横 に なって すぐ に 寝て しまい ました 。
||いも||だいすきで|||ぼうさん|||そう に|いも||たべる||ごろり||よこ|||||ねて||
それ を 見た お 百姓 さん は 、 あきれ ながら も お 坊さん に 一 枚 しか ない ボロ ぶ と ん を かけて あげ ました 。
||みた||ひゃくしょう|||||||ぼうさん||ひと|まい||||||||||
The peasant who saw it gave the monk a rag, which was only one, though he was disappointed.
( やれやれ 、 困った お 坊さん だ 。
|こまった||ぼうさん|
ご飯 を 食べて すぐ 横 に なる と 、 ウシ に なって しまう のに ) お 百姓 さん が そう 思って 見て いる と 、 何と お 坊さん の 頭 から ニョキニョキ と 角 が 生えて 来て 、 お 坊さん が 本当の ウシ に なって しまった のです 。
ごはん||たべて||よこ||||うし||||||ひゃくしょう||||おもって|みて|||なんと||ぼうさん||あたま||||かど||はえて|きて||ぼうさん||ほんとうの|うし||||
「 お 坊さん !
|ぼうさん
大変です !
たいへんです
お 坊さん !
|ぼうさん
起きて ください !
おきて|
」 お 百姓 さん が ビックリ して お 坊さん を 起こす と 、 ウシ に なった お 坊さん が 言い ました 。
|ひゃくしょう|||びっくり|||ぼうさん||おこす||うし||||ぼうさん||いい|
「 わたし は もう 、 人間 に 戻れ ない 。
|||にんげん||もどれ|
"I can't go back to humans anymore.
どうか わたし を 町 へ 連れて 行って 、 売って ください 」 「 そんな !
|||まち||つれて|おこなって|うって||
お 坊さん を 売る なんて 、 とんでもない !
|ぼうさん||うる||
」 「 良い のです 。
よい|
翌朝 、 町 へ 行き ましょう 」
よくあさ|まち||いき|
そして 朝 に なる と 、 ウシ は さっさと 起きあがって 外 へ 出 ました 。
|あさ||||うし|||おきあがって|がい||だ|
「 さあ 、 一緒に 行き ましょう 。
|いっしょに|いき|
わたし を 売った お 金 で 、 何でも 好きな 物 を 買って ください 」 「 し 、 しかし ・・・」 「 さあ 、 早く 」 お 百姓 さん が 仕方なく 行く と 、 ちょうど 向こう側 から ウシ 買い が やって 来 ました 。
||うった||きむ||なんでも|すきな|ぶつ||かって|||||はやく||ひゃくしょう|||しかたなく|いく|||むこうがわ||うし|かい|||らい|
ウシ 買い は ウシ を 見る と 、 感心 して 言い ました 。
うし|かい||うし||みる||かんしん||いい|
「 これ は 立派な ウシ だ 。
||りっぱな|うし|
ぜひ 、 わし に 売って くださ れ 」 そして ウシ 買い は 、 お 百姓 さん に たくさんの お 金 を 渡し ました 。
|||うって||||うし|かい|||ひゃくしょう|||||きむ||わたし|
ウシ に なった お 坊さん は 、 お 百姓 を 見て うなずく と 、 そのまま ひか れて 行き ました 。
うし||||ぼうさん|||ひゃくしょう||みて||||||いき|
さて 、 この 事 を 聞いた 隣 の お 金持ち が 、 ( おれ も 一 つ 、 旅 の お 坊さん を 家 に 泊めて 金もうけ を して みよう ) と 、 思い 、 お 坊さん が 来る の を 毎日 待って い ました 。
||こと||きいた|となり|||かねもち||||ひと||たび|||ぼうさん||いえ||とめて|かねもうけ|||||おもい||ぼうさん||くる|||まいにち|まって||
する と ある 日 の タ 方 、 旅 の お 坊さん が 通り かかり ました 。
|||ひ|||かた|たび|||ぼうさん||とおり||
お 金持ち は 、 あわてて お 坊さん の そば へ 行く と 、 「 これ は 、 お 坊 さま 。
|かねもち||||ぼうさん||||いく|||||ぼう|
長旅 で 、 さぞ お 疲れ で ございましょう 。
ながたび||||つかれ||
ささっ 、 わたし の ところ へ 泊まって ください 。
さ さっ|||||とまって|
ぜひとも 、 ぜひとも 」 と 、 言って 、 無理矢理 家 に 連れて 来て たくさんの ごちそう を 食べ させる と 、 すぐ に 立派な ふとん を ひいて 寝かせ ました 。
|||いって|むりやり|いえ||つれて|きて||||たべ|さ せる||||りっぱな||||ねかせ|
ところが いつまで たって も 、 お 坊さん は ウシ に なり ませ ん 。
|||||ぼうさん||うし||||
「 おかしい な 。
早く ウシ に なれ 。
はやく|うし||
ウシ に なれ 、 ウシ に なれ 」 と 、 言って いる うち に 、 何と 自分 の 頭 から 角 が 生えて 来て 、 お 金持ち は ウシ に なって しまった のです 。
うし|||うし||||いって||||なんと|じぶん||あたま||かど||はえて|きて||かねもち||うし||||
次の 日 、 お 坊さん は この ウシ を 連れて 、 どこ か へ 消えて しまった と いう 事 です 。
つぎの|ひ||ぼうさん|||うし||つれて||||きえて||||こと|
おしまい