ソードアート ・オンライン 06 幻 の 復讐 者
ヨルコ さん
アスナ あと は 頼む
駄目 よ
クソ
転移 どこ に 行く 気 だ
クソ
バカ 無 茶 し ないで よ
それ で どう なった の
駄目だ テレポート で 逃げ られた
宿屋 の 中 は システム 的に 保護 さ れて いる
ここ なら 危険 は ない と 思い込んで いた
クソ
あの ローブ は グリセルダ の 物 だ
あれ は グリセルダ の 幽霊 だ
俺 たち ついに 復讐 に 来た んだ
幽霊 なら 圏 内 で PK する くらい 楽勝 だ よ な
幽霊 じゃ ない
二 件 の 圏 内 殺人 に も 絶対 に システム 的な ロジック が 存在 する はずだ
絶対 に
さっき の 黒い ローブ 本当に グリセルダ さん の 幽霊 な の か な
目の前 で 二 度 も あんな の を 見せ られたら 私 に も そう 思えて くる よ
いや そんな こと は 絶対 に ない
そもそも 幽霊 だったら さっき も 転移 結晶 なんて 使わ ないで
転移 結晶
どうした の
いや 何でもない
ほら
くれる の か
この 状況 で それ 以外 何 が ある の
見せびらかして る と でも
じゃ ... じゃあ ありがたく
そろそろ 耐久 値 が 切れて 消滅 しちゃ う から 急いで 食べた ほう が いい わ よ
へ ッ あっ ああ
うまい な
いつの間に 弁当 なんか 仕入れた んだ
耐久 値 は もう 切れる って 言った でしょう
こういう こと も ある か と 思って 朝 から 用意 し といた の
さすが 「 血 盟騎 士 団 」 攻略 担当 責任 者 さま だ なあ
ちなみに どこ の
売って ない
え お 店 のじゃ ない 私 だって 料理 する わ よ
え ... ええ と それ は その ... なんと いい ます か
いっそのこと オークション に かければ 大儲け だった のに な
お代わり は あり ませ ん から ね
どうした の よ
ち っ
ああ そう か そう だった の か
何 を 一体 何 に 気付いた の
俺 は 俺 たち は 何も 見えて い なかった
見て いる つもりで 違う もの を 見て いた んだ
圏 内 殺人
そんな もの を 実現 する 武器 も ロジック も 最初 から 存在 しちゃ い なかった んだ
グリセルダ 俺 が 助かる に は もう あんた に 許して もらう しか ない
すまない 悪かった
許して くれ グリセルダ
俺 は まさか あんな こと に なる なんて 思って なかった んだ
本当に
本当に 本当に
何 を した の
あなた は 私 に 何 を した の シュミット
俺 は 俺 は ただ 指輪 の 売却 が 決まった 日
いつの間にか ベルトポーチ に メモ と 結晶 が 入って て そこ に 指示 が
誰 のだ シュミット
誰 から の 指示 だ
グリムロック
あんた も 死んで た の か
誰 だ お前 を 動かした の は 誰 な んだ
わから ない 本当だ
メモ に は グリセルダ が 泊まった 部屋 に 忍び 込める よう
回廊 結晶 の 位置 セーブ を して
そ それ を ギルド 共通 ストレージ に 入れろ と だけ 書いて あって
それ で
俺 が した の は それ だけ なんだ
俺 は 本当に 殺し の 手伝い を する 気 なんか なかった
信じて くれ 頼む
全部 録音 した わ よ シュミット
生きて る で すって
ああ 生きて る
ヨルコ さん も カインズ 氏 も な
だって
圏 内 で は プレーヤー の HP は 基本 的に 減ら ない
でも オブジェクト の 耐久 値 は 減る
さっき の バゲットサンド みたいに
え あの 時 カインズ の アーマー は 槍 に 貫通 さ れて た 槍 が 削って いた の は カインズ の HP じゃ なくて 鎧 の 耐久 値 なんだ
じゃ じゃあ ... あの 時 砕けて 飛び散った の は
そう 彼 の 鎧 だけ な んだ よ
そして まさに 鎧 が 壊れる 瞬間 を 狙って その 中身 の カインズ 氏 は
結晶 で テレポート した
その 結果 発生 する の は 死亡 エフェクト に 限りなく 近い
でも まったく 別の 物
なら ヨルコ さん も
彼女 は ダガー を 最初 から 刺した 状態 で 俺 たち と 話して いた んだろう
最初 から
よく 思い出して みろ よ
あの 部屋 で 彼女 一 度 も 俺 たち に 背中 を 見せよう と し なかった
そして 服 の 耐久 値 が 減って く の を 確認 し ながら 会話 を 続け
タイミング を 見計らって
外 から 飛んで きた ダガー が 刺さった と いう 演技 を する
って こと は 黒い ローブ の 男 は
十中八九 グリムロック じゃ ない
カインズ だ
ヨルコ さん と カインズ 氏 は この 方法 を 使えば
死亡 偽装 できる んで は ない か と 思いついた
しかも 圏 内 殺人 と いう 恐れる べき 演出 を 付き 加えて
そして その 目的 は
指輪 事件 の 犯人 を 追い詰め 炙 り 出す こと
二 人 は 自ら の 殺人 事件 を 演出 し 幻 の 復讐 者 を 作り出した
シュミット の こと は 最初 から ある 程度 疑って た んだろう な
なあ ヨルコ さん と フレンド 登録 した まま だろう
今 19 層 の フィールド に いる わ
主 街 区 から ちょっと 離れた 小さい 丘 の 上
そう か
うん
とにかく あと は 彼ら に 任せよう
俺 たち の この 事件 で の 役回り は もう 終わり だ
うん
ろ 録音
そう ... だった の か
お前 ら そこ まで グリセルダ の こと を
あんた だって 彼女 の こと を 憎んで た わけじゃ ない んだろう
もちろん だ 信じて くれ
そりゃ 受け取った 金 で 買った レア 武器 の おかげ で
聖 竜 連合 の 入団 基準 を クリア できた の は 確かだ けど
麻痺
ワーン ダウーン
まさか こいつ ら
確かに こいつ は で っ かい 獲物 だ
聖 竜 連合 の 幹部 さま じゃ ない か
殺人 ギルド ラフィン ・ コフィン
さて どう やって 遊んだ もんか ね
あれ あれ やろう よ ヘッド
「 殺し 合って 残った やつ だけ 助けて やる ぜ 」 ゲーム
んな こ と 言って お前 この 間 結局 残った 奴 も 殺した だろう が よ
今 それ 言っちゃ ゲーム に なら ない っす よ ヘッド
さ って 取り掛かる と する か
ぎりぎり セーフ かな
さ って どう する
もう じき 援軍 も 駆け付ける が
攻略 組 三十 人 を 相手 に して みる か
ち っ
行く ぞ
また 会えて 嬉し いよ ヨルコ さん
全部 終ったら きちんと お 詫び に 伺う つもりだった んです
と 言って も 信じて もらえ ない でしょう けど
キリト
助けて くれた 礼 は 言う が
何で 分かった んだ あの 三 人 が ここ で 襲って くる こと が
分かった って わけじゃ ない
あり 得る と 推測 した んだ
なあ カインズ さん ヨルコ さん
あんた たち は あの 二 つ の 武器 を グリムロツク さん に 作って もらった んだ よ な
彼 は 最初 は 気 が 進ま ない ようでした
もう グリセルダ さん を 安らかに 眠ら せて あげ たい って
でも 僕ら が 一生懸命 頼んだら
やっと 武器 を 作って くれた んです
残念だ けど あんた 達 の 計画 に 反対 した の は
グリセルダ さん の ため じゃ ない
え 圏 内 PK なんて いう 派手な 事件 を 演出 し 大勢 の 注目 を 集めれば いずれ 誰 か が 気付いて しまう と 思った んだ
俺 も 気付いた の は ほんの 三十 分 前 だ
まんまと ヨルコ さん の 目論み 通り 動いちゃ った けど
でも 俺 は 嫌な 気分 じゃ ない よ
そう だ ね
ね もし 君 だったら 超 級 レアアイテム が ドロップ した とき 何 って 言って た
そう だ な
もともと 俺 は そういう トラブル が 嫌で ソロ やって る とこ も ある し
うち は ドロップ した 人 の もの そういう ルール に して る の
SAO で は 誰 に どんな アイテム が ドロップ した か は 全部 自己 申告 じゃ ない
なら もう 隠ぺい と か の トラブル を 避けよう と 思ったら そう する しか ない わ
それ に そういう システム だ から こそ
この 世界 の 結婚 に 重み が 出る の よ
結婚 すれば 二 人 の アイテムストレージ は 共通 化 さ れる でしょう
それ まで なら 隠そう と 思えば 隠せた もの が
結婚 した 途端 に 何も 隠せ なく なる
ストレージ 共通 化 って すごく プラグマチック な システム だ けど
同時に とって も ロマンチックだ と 私 は 思う わ
なあ
なに
アスナ お前 結婚 した こと ある の
違う 違う そう じゃ なくて
ほら さっき ロ 「 マンチック 」 だ と か 「 プラスチック 」 だ と か
誰 も そんな こと 言って ない わ よ
ロマンチック って プラグマチック だって 言った の
プラグマチック って 言う の は 実際 的 って 意味 です けど ね 念のため
実際 的
SAO で の 結婚 が
そう よ だって ある 意味 身 も 蓋 も ない でしょう
ストレージ 共通 化 なんて
なに を
ストレージ 共通 化
結婚 相手 が 死んだ とき アイテム は どう なる んだ
え アイテムストレージ は 共通 化 さ れて いる 片方 が 死んだ とき アイテム は どう なる んだ
グリセルダ さん と グリムロック さん の こと
そう ね 一 人 が なくなったら
全て もう 一 人 の もの に なる んじゃ ない か
と 言う こと は グリセルダ さん の ストレージ に 入って いた レア 指輪 は
犯人 で は なく 結婚 相手 である グリム ロック の ストレージ に 残る はずな んだ
指輪 は 奪わ れて い なかった
いや そうじゃ ない 奪わ れた と 言う べきだ
グリム ロック は 自分 の ストレージ に 存在 する 指輪 を 奪った んだ
グリム ロック が
あいつ が あの メモ の 差出人 そして グリセルダ を 殺した の か
いや 直接 手 を 汚し は し なかった だ ろ
多分 殺人 の 実行 役 は 汚れ 仕事 専門 の レッド に 依頼 した んだ
そんな あの 人 が 真 犯人 だって いう なら
なんで 私 たち の 計画 に 協力 して くれた んです か
あんた 達 は グリムロック に 計画 を 全部 説明 した んだろう
なら それ を 利用 して
今度 こそ 指輪 事件 を 永久 に 闇 に 葬る こと も 可能だ
シュミット に ヨルコ さん に カインズ さん その 三 人 が 集まる 機会 を 狙って
まとめて 消して しまえば いい
そう か だ から
だから ここ に 殺人 ギルド の 連中 が
恐らく グリセルダ さん 殺害 を 依頼 した とき から
パイプ が あった んだろう
そんな
いたわ よ
詳しい こと は 本人 に 直接 聞こう
や 久しぶりだ ね みんな
グリムロック さん
貴方 は 貴方 は 本当に ...
何で な の グリムロック
何で グリセルダ さん を
奥さん を 殺して まで 指輪 を 奪って お 金 に する 必要 が あった の
金 金 だって 金 の ため で は ない
私 は 私 は どうしても 彼女 を 殺さ ねば なら なかった
彼女 は まだ 私 の 妻 で いる 間 に
彼女 は 現実 世界 でも 私 の 妻 だった
一切 の 不満 も ない 理想 的な 妻 だった
かわいらしく 従順で
ただ 一 度 の 夫婦 喧嘩 すら も した こと が なかった
だが 共に この 世界 に 囚 われた 後
彼女 は 変わって しまった
強要 さ れた デスゲーム に 怯え 恐れ
竦んだ の は 私 だけ だった
彼女 は 現実 世界 に いた 時 より も 遥かに 生き生き と して 充実 した 様子 で
私 は 認め ざる を 得 なかった
私 の 愛した 優子 は 消えて しまった のだ と
ならば
ならば いっそ 合法 的 殺人 が 可能な この 世界 に いる 間 に 優子 を
永遠の 思い出 の 中 に 封じて しまい たい と 願った 私 を
誰 が 責め られる だろう
そんな 理由 で あんた は 奥さん を 殺した の か
十分 過ぎる 理由 だ
君 に も いずれ わかる よ 探偵 くん
愛情 を 手 に 入れ それ が 失わ れよう と した とき に はね
いいえ 間違って いる の は あなた よ グリムロック さん
貴方 が グリセルダ さん に 抱いて いた の は 愛情 じゃ ない
貴方 が 抱いて いた の は ただ の 所有 欲 だ わ
キリト さん この 男 の 処遇 は 私 たち に 任せて もらえ ませ ん か
分かった
ね もし 君 なら 仮に 誰 か と 結婚 した 後 に なって 相手 の 人 の 隠れた 一面に 気付いた 時
君 なら どう 思う
ラッキーだった って 思う かな
だ だって さ
結婚 する って こと は
それ まで 見えて た 面 は もう 好きに なって る わけだろう
だから その後 に 新しい 面 に 気付いて
そこ も 好きに なれたら
に ... 二 倍 じゃ ないで す か
ま いい わ
そんな こと より お腹 す いたわ
さっき も 食べ そびれちゃ った し
そ ... そうだ な
二 日 も 前線 から 離れちゃ った わ
明日 から また 頑張ら なくちゃ
ああ 今週 中 に 今 の 層 は 突破 し たい な
なに を
ね キリト くん
フレンド 登録 しよう か
今 まで して なかった でしょう
攻略 組 同士 連絡 を 取り 合え ない の は 不便だ わ
いや でも 俺 は ソロ だ し
別に パーティー 組め なんて 言って ない でしょう
それ に 少し は 友達 作ら ない と
そ そう か
不便 は ない ... けど
ご飯 食べる まで に 考えて おいて
じゃ まずは 町 に 戻り ましょう か
あ ああ