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こばと。, Kobato. Episode 13

( 小鳥 の さえずり )

・~

( こば と ) ハ ~ ! いおり ょぎ さん ! 秋 です よ ! 秋 の 匂い が し ます !

( いおり ょぎ ) あん ? 秋 の 匂い ? 何 だ そりゃ あ ?

ちょっと 煙 っぽく て ひなた っぽく て →

胸 が ス ~ って なる って いう か キュ って なる って いう か →

懐かしい 気持ち に なる ようよう な 匂い です 。

記憶 は ねえ くせ に 秋 の 匂い が 分かる の か … 。

いおり ょぎ さん 。 何 だ よ ?

あれ は 何 でしょう ?

・~

あ … 。

( 風 に 揺れる 音 )

・~

すげ ぇ な ~ 。

・~

・~ ( オープニング ・ テーマ )

・ 「 どう すれ ば いい ん だ っけ 」

・ 「 あたりまえ の こと って いつも 難しい な 」

・ 「 嬉しい とき 笑って 」

・ 「 好き な とき に 歌い たい だけ な のに 」

・ 「 いつか 願い は 叶う と 」

・ 「 でも いつ かって どれ くらい ? 」

・ 「 待ち きれ ない よ 」

・ 「 123 ! の 合図 で 両手 広げ て 」

・ 「 全身 に ひかり を 集め て 」

・ 「 どこ に ある の 教え て 私 に できる こと 」

・ 「 めいっぱい 傷 つい て せい いっぱい 走って 」

・ 「 何 十 回 転 ん で 泣 い て 」

・ 「 それ でも また あきれる くらい 」

・ 「 明日 を 信じ てる 」

・~

あんな 立派 な イチョウ さん 初めて 見 まし た 。

やっぱり 秋 です ね ~ N いおり ょぎ さん 。

ム … 。

どう し た ん です か ? 元 気 が ない です 。

おい こば と 。 はい ?

これ を 見ろ ! これ が どういう 事 か 分かる か ?

葉っぱ が 秋 に なる と みんな キレイ に おめかし し て 風 の ダンス を … 。

誰 が そんな ファンタジー 小 ば なし を しろ って 言った !

こば と ! お前 の 望み は 何 だ ?

え ~ っと … 。

まさか 忘れ た と か 言う ん じゃ ねえ だ ろ う な 。

あ ~ ! 行き たい 所 に 行く 事 です 。

ふん 。 その 望み を 叶える ため に 何 を する ?

え ~ っと コンペイトウ を 集め ます 。

コンペイトウ を 集める ため に 何 を する ?

傷 つい た 人々 の 心 を 癒 や し ます !

それ は いつ まで だ ? 季節 が 4 つ 巡る まで です 。

残り の 季節 は ? 2 つ です 。

どん だけ たまった ? え ~ っと … 。

この ぐらい です 。

こば と 。 はい ?

その 行き たい 場所 が どこ か 分かって る ん だ ろ う な ?

はい 。

そう か … 。

き ゃ あ ! ( 突風 音 )

気 を つけろ ! 帽子 が 脱げる だ ろ う が !

はい … 。

まったく よ ~ 。

おはよう ございます ! ( 物音 )

( 譲 ) もう いい よ ! 俊彦 君 なんか 大 っ 嫌い だ !

どう し た ん です か ? 大 っ 嫌い なんて 言っちゃ ダメ です 。

( 児童 ) 譲 君 と 俊彦 君 が 積み木 の 取り合い っこ を し て … 。

僕 の 機関 車 は 三角 の が ない と ダメ な の に →

俊彦 君 が 2 つ も 使う から !

三角 2 つ 合わせ たら 四角 に なる し !

もう 四角 の 積み木 は ない の ? うん 。

じゃあ みんな で 大きな 物 を 作り ま しょ う ! お 城 と か … 。

もう いら ない !

( 藤本 ) 大事 に し ない なら これ は もう 使わ せ ない 。

( 一同 ) え ~ !

いい もん 別に ! つま ん ない オモチャ ばっかり だ し 。

そう だ よ ! お 古 だ し 汚い し 。 こんな の 捨て ちゃ え ば いい ん だ !

う っ … 。

あっ ! 藤本 さん いけ ませ ん !

う … 。

あ … 。

・~

( 満里奈 ) 清和 先生 怒っちゃ ヤダ !

・~

おい !

あ ~ !

おい ! こば と !

あれ ? いおり ょぎ さん ? いおり ょぎ さん の 声 が し た のに →

いおり ょぎ さん が い ない です 。 いおり ょぎ さ ~ ん !

アホ か ! しんみり むっつり し て ん じゃ ねえ !

そんな ん で コンペイトウ が 集まる と 思って ん の か ?

そう です ね 。 でも … 。

( 清 花 ) こば と ちゃん 。

藤本 君 が バイト に 出かけ て 行った けど 何 か あった ?

「 行って き ます 」 も なし で 珍しい 。 どう し た の かしら ?

えっ と … 。 なあ に ?

そう 。 そんな 事 が … 。

藤本 さん 怒って る ん じゃ なく て 悲しい 顔 で し た 。

私 それ に 気 が つか なく て … 。

こば と ちゃん は 悪く ない わ 。 藤本 君 も ね 。 え ?

子供 たち に も 我慢 を さ せ て 。

新しい オモチャ と か もっと そろえ て あげ られ れ ば いい ん だ けど 。

オモチャ … 。 そうだ ! オモチャ なら いい 所 が あり ます !

いい 所 ?

・~

( 義男 ) どこ へ 行く の ? 楽しい 所 で ~ す 。

( 歓声 )

( 義男 ) 大きな 木 !

今日 は みんな で 落ち葉 さん を 集め ます 。

帰ったら 集め た 落ち葉 さん で 絵 を 描き ます 。

絵 を ? いろんな 形 と 色 の 落ち葉 が ある わ 。

どんな 絵 が 描け る でしょう か ?

僕 集める !

( 一同 ) うん 集める !

・~

清 花 先生 見 て ! きれい な 葉っぱ 。

まあ ! 清 花 先生 に あげる 。

こば と ちゃん も 。 いい ん です か ?

( 清 花 こば と ) ウフフ … 。

( 2 人 ) ごめんなさい 。

あの … 。 積み木 の 事 … 。

これ から は 大事 に 使う って 約束 できる ?

うん 。 大事 に する 。

それ と ケンカ し た 後 に 言う こと ある でしょ ?

ごめん 。 ごめん ね 。

後 で 藤本 君 に も 謝る の よ 。

うん ! 清和 先生 に も 葉っぱ いっぱい あげる !

( 笑い声 )

よかった 仲直り です 。

いつも は みんな ケンカ なんて ほとんど し ない のに →

やっぱり 大人 の 不安 が 伝わる の かしら ね 。

ダメ です ! 清 花 先生 は 笑顔 で いる の が 似合って ます !

ウフフ ありがとう 。 暗い 顔 で いる と 幸せ だって 逃げ てっちゃ う わ ね 。

はい ! 笑顔 です 笑顔 ! ( 2 人 ) フフフフフ 。

( 突風 音 )

あっ 。 え ?

すごい わ ね 。 光 が 燃え てる みたい 。

はい 。

きれい で なんだか とても 穏やか な 気持ち に なり ます 。

( 走行 音 )

( 児童 たち ) あ … ?

( 作業 員 ) 下がって ! 危ない です よ !

あの … 何 が 始まる ん です か ?

明日 あの 木 を 切る んで 今日 は 柵 を 作り に 来 た ん です よ 。

えっ

切る って イチョウ さん を です か ? え ~ っ なんで ?

近隣 住民 から 苦情 が 出 てる ん です 。 迷惑 だ から なんとか し て くれ と 。

そんな ! こんなに きれい で 立派 な の に !

( 作業 員 ) 立派 すぎ て 落ち葉 が ひどい ん です よ 。 →

再 開発 工事 も 始まり ます し ね 。

さあ ど い て 下さい 。

・~

いおり ょぎ さん 。 あん ?

再 開発 って 何 です か ?

街 と か 建物 と か 古い もの を 壊し て 新しい もの を 作る 事 だ 。

それ が 再 開発 です か ? ああ 。

古い もの は ダメ って 事 で いら ない って 事 でしょう か ?

そんな 事 は ねえ けど よ … 。

ただ 新しい もの を 有り難 がる 人間 の 方 が 多い って 事 だ 。

・~

・~

・~

ん ? あ … 。

おい ? まだ 保育 園 が 始まる 時間 じゃ ねえ ぞ 。

私 お 願い し て み ます 。 あん ?

イチョウ さん を 切ら ない で 下さい って 。

なに ? おい ちょっと 待て !

・ お 願い し たら きっと … 。

ん ?

琥珀 さん ?

( 琥珀 ) おはよう ございます こば と さ ん いおり ょぎ さん 。

琥珀 さん も イチョウ さん の 事 が 心配 で い らし たん です か ?

え ? 再 開発 で 古い もの は 大変 な の です 。

そう なん です か ? お 願い し ます から 大丈夫 です 。

そう なん です か 。

何 が 大丈夫 か 分か ん ねえ 。

( 老婦 人 ) あら 昨日 まで は こんな 柵 なかった のに 。

( こば と ) 再 開発 らしい です ! ずっと 話 は あった もの ねえ 。

見事 な 大 イチョウ だ けど →

街 が 便利 に なる ため に は 仕方ない わ よ ね 。

あ … 。

( おじさん ) ありゃ 残念 だ ね 。 でも 再 開発 なんて いい 話 だ ね 。

( 女 ) こんな とこ に こんな 大きい 木 あった ん だ ね 。

( 男 ) こん だけ 大きい と なんか 気味 悪く ねぇ ?

言え る か も 。 い っけ ない 時間 時間 !

どう し た ん です か こば と さ ん ? いえ … 。

不満 な ん だ ろ う 。 みんな 要ら ねえ って 言う から 。

そう じゃ あり ませ ん 。 じゃあ 何 だ ?

寂し い ん じゃ な いか って イチョウ さん が 。 寂しい ?

何 十 年 も 何 百 年 も ここ に い て この 街 を 見 て き て →

なのに 誰 も イチョウ さん の 事 心配 し て なく て 。

・~

大丈夫 です こば と さ ん 。 え ?

寂しく ない って おっしゃって ます 。

え ?

分かる ん です か ? イチョウ さん の 考え て いる 事 が ?

はい 何となく 。

ボケッ と し てる が 琥珀 も 一応 天使 だ から な 。

イチョウ さん ほか に は 何 って ?

喜んで ます 。 昨日 は 子供 たち が 大勢 遊び に 来 て くれ た から →

楽しかった って … 。 あ … 。

ほか に 何 か 出来る 事 は ない です か ?

( 琥珀 ) 「 ありがとう 」 って 言って ます 。

それ から 「 さよなら 」 って … 。

え ! 大丈夫 です から !

「 切ら ない で 下さい 」 って お 願い し ます から !

・~

え ?

それ は 望 ん じゃ い ねえ らしい ぞ 。

私 イチョウ さん を お 引っ越し し ます !

え ? おい !

こば と さ ん ?

・~

おいおい 。 どん だけ ムチャ しよ う って ん だ よ !

でも でも … 。

でも そう し ない と イチョウ さん は … N イチョウ さん は !

・~

イチョウ さん と 同じ に 長生き だった 藤 の 木 さん を 知って い ます 。

その 藤 の 木 さん も イチョウ さん と 同じ 事 を 言って まし た 。

同じ 事 … ?

見守る 事 大好き な 人 たち を 見守って い られ た の が →

一 番 幸せ だった と 。

( 風 の 音 )

聴 こえ ます か イチョウ さん の 歌 ?

・~

はい 。

少し 切なく て でも とても 優しい です 。

・~

・ 「 秋 は 水辺 に 冬 梢 に ひそむ 」

・ 「 世界 の 奥 の 限りない 優し さ 」

・ 「 夜 が 来る たび 祈り を 捧げよ う 」

・ 「 あした 来る 日 を 静か に 迎えよ う 」

・ 「 私 を 導く 遠い 遠い 呼び声 よ 」

・ 「 微笑む よう に 歌う よう に N 響 く 風 の 音 」

・ 「 よろこび 悲しみ すべて 抱 い て 歩 い て いる 」

・ 「 私 の 手 と 君 の 手 を 強く つなぐ もの 」

・~

( 地響き )

お いっ !

( 落下 音 )

あっ ?

( 倒 木 音 )

イチョウ さん が … 。

危ない だ ろ う が ! 何 ボンヤリ 立って ん だ !

すみません … 。

寿命 だった の か 。 えっ ?

真ん中 が 空洞 だ 。 遅かれ早かれ 枯れる 運命 だった ん だ な 。

もう 少し もう 少し って 頑張って た ん です ね 。

琥珀 さん 。 イチョウ さん は 幸せ だった の でしょう か ?

幸せ … ? ええ きっと 。

最期 に こば と さん の 歌 で 送ら れ て 逝く 事 が でき た の です から 。

・~

いおり ょぎ さん ? え ?

これ どなた の コンペイトウ でしょう か ?

まさか 琥珀 さん ? じゃ な さ そう だ し … 。

藤本 さん ! … な わけ ない し 。

あの イチョウ の 木 かも な 。 え ?

草木 に だって 命 は 宿る だ ろ う 。

だったら その 命 が 癒 や さ れ て も おかしく は ねえ 話 だ 。

でも 私 イチョウ さん を 助け られ なかった です 。

歌った だ ろ う が 。 歌 ?

琥珀 が 言って た だ ろ う お前 の 歌 で 送ら れ て 逝く 事 が でき た って 。

最期 の 時 に よっぽど 嬉しかった ん だ ろ う 。

そう です か … 。

・~

はい ! どう でしょ う ?

( 歓声 )

藤本 さん も 一緒 に やり ませ ん か ?

( 鉋 を かける 音 )

それ は ?

これ は … 積み木 です ね !

イチョウ の 枝 もらって 作って み た 。

イチョウ さん の ?

あ ~ !

すごい ! すごい です 藤本 さん ! 別に 。

皆さん ! 藤本 さん が 積み木 を 作って くれ まし た よ !

・ ( 児童 たち の 歓声 )

フフフ 。

俊彦 君 譲 君 。 積み木 で 遊ぶ 前 に 藤本 さん に 言う 事 は ?

( 俊彦 譲 ) 清和 先生 ごめんなさい !

あ ああ … 。 良かった ! みんな 仲直り です ね 。

( 満里奈 ) ねえ ねえ 。 清和 先生 も 一緒 に 葉っぱ 絵 で 遊 ぼ う !

いや オレ は … 。 イチョウ を くっつけ て イチョウ 藤本 星 人 !

は あ ?

・ 「 人 は み な 飛 ん で み たい の に 」

・ 「 重力 に 騙さ れ てる ん だ 」

・ 「 誰 も ほんとう は 飛べ る ん だ よ 」

・ 「 あの コ が あんなに 哀し そう な の は 」

・ 「 自分 の 影 を どこ か に 忘れ てき ちゃ った から かも 」

・ 「 それ なら 」

・ 「 アリガトウ 、 って 君 に 言え たら 」

・ 「 アリガトウ 、 って 君 が 笑え ば 」

・ 「 行ったり 来たり うれしく なる 」

・ 「 君 が シアワセ に なる 」

・ 「 心配 なんて いら ない よ 一緒 に いる から 」

・ 「 うれしく って も 涙 が でる なんて 不思議 だ 」


( 小鳥 の さえずり )

・~

( こば と ) ハ ~ ! いおり ょぎ さん ! 秋 です よ ! 秋 の 匂い が し ます !

( いおり ょぎ ) あん ? 秋 の 匂い ? 何 だ そりゃ あ ?

ちょっと 煙 っぽく て ひなた っぽく て →

胸 が ス ~ って なる って いう か キュ って なる って いう か →

懐かしい 気持ち に なる ようよう な 匂い です 。

記憶 は ねえ くせ に 秋 の 匂い が 分かる の か … 。

いおり ょぎ さん 。 何 だ よ ?

あれ は 何 でしょう ?

・~

あ … 。

( 風 に 揺れる 音 )

・~

すげ ぇ な ~ 。

・~

・~ ( オープニング ・ テーマ )

・ 「 どう すれ ば いい ん だ っけ 」

・ 「 あたりまえ の こと って いつも 難しい な 」

・ 「 嬉しい とき 笑って 」

・ 「 好き な とき に 歌い たい だけ な のに 」

・ 「 いつか 願い は 叶う と 」

・ 「 でも いつ かって どれ くらい ? 」

・ 「 待ち きれ ない よ 」

・ 「 123 ! の 合図 で 両手 広げ て 」

・ 「 全身 に ひかり を 集め て 」

・ 「 どこ に ある の 教え て 私 に できる こと 」

・ 「 めいっぱい 傷 つい て せい いっぱい 走って 」

・ 「 何 十 回 転 ん で 泣 い て 」

・ 「 それ でも また あきれる くらい 」

・ 「 明日 を 信じ てる 」

・~

あんな 立派 な イチョウ さん 初めて 見 まし た 。

やっぱり 秋 です ね ~\ N いおり ょぎ さん 。

ム … 。

どう し た ん です か ? 元 気 が ない です 。

おい こば と 。 はい ?

これ を 見ろ ! これ が どういう 事 か 分かる か ?

葉っぱ が 秋 に なる と みんな キレイ に おめかし し て 風 の ダンス を … 。

誰 が そんな ファンタジー 小 ば なし を しろ って 言った !

こば と ! お前 の 望み は 何 だ ?

え ~ っと … 。

まさか 忘れ た と か 言う ん じゃ ねえ だ ろ う な 。

あ ~ ! 行き たい 所 に 行く 事 です 。

ふん 。 その 望み を 叶える ため に 何 を する ?

え ~ っと コンペイトウ を 集め ます 。

コンペイトウ を 集める ため に 何 を する ?

傷 つい た 人々 の 心 を 癒 や し ます !

それ は いつ まで だ ? 季節 が 4 つ 巡る まで です 。

残り の 季節 は ? 2 つ です 。

どん だけ たまった ? え ~ っと … 。

この ぐらい です 。

こば と 。 はい ?

その 行き たい 場所 が どこ か 分かって る ん だ ろ う な ?

はい 。

そう か … 。

き ゃ あ ! ( 突風 音 )

気 を つけろ ! 帽子 が 脱げる だ ろ う が !

はい … 。

まったく よ ~ 。

おはよう ございます ! ( 物音 )

( 譲 ) もう いい よ ! 俊彦 君 なんか 大 っ 嫌い だ !

どう し た ん です か ? 大 っ 嫌い なんて 言っちゃ ダメ です 。

( 児童 ) 譲 君 と 俊彦 君 が 積み木 の 取り合い っこ を し て … 。

僕 の 機関 車 は 三角 の が ない と ダメ な の に →

俊彦 君 が 2 つ も 使う から !

三角 2 つ 合わせ たら 四角 に なる し !

もう 四角 の 積み木 は ない の ? うん 。

じゃあ みんな で 大きな 物 を 作り ま しょ う ! お 城 と か … 。

もう いら ない !

( 藤本 ) 大事 に し ない なら これ は もう 使わ せ ない 。

( 一同 ) え ~ !

いい もん 別に ! つま ん ない オモチャ ばっかり だ し 。

そう だ よ ! お 古 だ し 汚い し 。 こんな の 捨て ちゃ え ば いい ん だ !

う っ … 。

あっ ! 藤本 さん いけ ませ ん !

う … 。

あ … 。

・~

( 満里奈 ) 清和 先生 怒っちゃ ヤダ !

・~

おい !

あ ~ !

おい ! こば と !

あれ ? いおり ょぎ さん ? いおり ょぎ さん の 声 が し た のに →

いおり ょぎ さん が い ない です 。 いおり ょぎ さ ~ ん !

アホ か ! しんみり むっつり し て ん じゃ ねえ !

そんな ん で コンペイトウ が 集まる と 思って ん の か ?

そう です ね 。 でも … 。

( 清 花 ) こば と ちゃん 。

藤本 君 が バイト に 出かけ て 行った けど 何 か あった ?

「 行って き ます 」 も なし で 珍しい 。 どう し た の かしら ?

えっ と … 。 なあ に ?

そう 。 そんな 事 が … 。

藤本 さん 怒って る ん じゃ なく て 悲しい 顔 で し た 。

私 それ に 気 が つか なく て … 。

こば と ちゃん は 悪く ない わ 。 藤本 君 も ね 。 え ?

子供 たち に も 我慢 を さ せ て 。

新しい オモチャ と か もっと そろえ て あげ られ れ ば いい ん だ けど 。

オモチャ … 。 そうだ ! オモチャ なら いい 所 が あり ます !

いい 所 ?

・~

( 義男 ) どこ へ 行く の ? 楽しい 所 で ~ す 。

( 歓声 )

( 義男 ) 大きな 木 !

今日 は みんな で 落ち葉 さん を 集め ます 。

帰ったら 集め た 落ち葉 さん で 絵 を 描き ます 。

絵 を ? いろんな 形 と 色 の 落ち葉 が ある わ 。

どんな 絵 が 描け る でしょう か ?

僕 集める !

( 一同 ) うん 集める !

・~

清 花 先生 見 て ! きれい な 葉っぱ 。

まあ ! 清 花 先生 に あげる 。

こば と ちゃん も 。 いい ん です か ?

( 清 花 こば と ) ウフフ … 。

( 2 人 ) ごめんなさい 。

あの … 。 積み木 の 事 … 。

これ から は 大事 に 使う って 約束 できる ?

うん 。 大事 に する 。

それ と ケンカ し た 後 に 言う こと ある でしょ ?

ごめん 。 ごめん ね 。

後 で 藤本 君 に も 謝る の よ 。

うん ! 清和 先生 に も 葉っぱ いっぱい あげる !

( 笑い声 )

よかった 仲直り です 。

いつも は みんな ケンカ なんて ほとんど し ない のに →

やっぱり 大人 の 不安 が 伝わる の かしら ね 。

ダメ です ! 清 花 先生 は 笑顔 で いる の が 似合って ます !

ウフフ ありがとう 。 暗い 顔 で いる と 幸せ だって 逃げ てっちゃ う わ ね 。

はい ! 笑顔 です 笑顔 ! ( 2 人 ) フフフフフ 。

( 突風 音 )

あっ 。 え ?

すごい わ ね 。 光 が 燃え てる みたい 。

はい 。

きれい で なんだか とても 穏やか な 気持ち に なり ます 。

( 走行 音 )

( 児童 たち ) あ … ?

( 作業 員 ) 下がって ! 危ない です よ !

あの … 何 が 始まる ん です か ?

明日 あの 木 を 切る んで 今日 は 柵 を 作り に 来 た ん です よ 。

えっ

切る って イチョウ さん を です か ? え ~ っ なんで ?

近隣 住民 から 苦情 が 出 てる ん です 。 迷惑 だ から なんとか し て くれ と 。

そんな ! こんなに きれい で 立派 な の に !

( 作業 員 ) 立派 すぎ て 落ち葉 が ひどい ん です よ 。 →

再 開発 工事 も 始まり ます し ね 。

さあ ど い て 下さい 。

・~

いおり ょぎ さん 。 あん ?

再 開発 って 何 です か ?

街 と か 建物 と か 古い もの を 壊し て 新しい もの を 作る 事 だ 。

それ が 再 開発 です か ? ああ 。

古い もの は ダメ って 事 で いら ない って 事 でしょう か ?

そんな 事 は ねえ けど よ … 。

ただ 新しい もの を 有り難 がる 人間 の 方 が 多い って 事 だ 。

・~

・~

・~

ん ? あ … 。

おい ? まだ 保育 園 が 始まる 時間 じゃ ねえ ぞ 。

私 お 願い し て み ます 。 あん ?

イチョウ さん を 切ら ない で 下さい って 。

なに ? おい ちょっと 待て !

・ お 願い し たら きっと … 。

ん ?

琥珀 さん ?

( 琥珀 ) おはよう ございます こば と さ ん いおり ょぎ さん 。

琥珀 さん も イチョウ さん の 事 が 心配 で い らし たん です か ?

え ? 再 開発 で 古い もの は 大変 な の です 。

そう なん です か ? お 願い し ます から 大丈夫 です 。

そう なん です か 。

何 が 大丈夫 か 分か ん ねえ 。

( 老婦 人 ) あら 昨日 まで は こんな 柵 なかった のに 。

( こば と ) 再 開発 らしい です ! ずっと 話 は あった もの ねえ 。

見事 な 大 イチョウ だ けど →

街 が 便利 に なる ため に は 仕方ない わ よ ね 。

あ … 。

( おじさん ) ありゃ 残念 だ ね 。 でも 再 開発 なんて いい 話 だ ね 。

( 女 ) こんな とこ に こんな 大きい 木 あった ん だ ね 。

( 男 ) こん だけ 大きい と なんか 気味 悪く ねぇ ?

言え る か も 。 い っけ ない 時間 時間 !

どう し た ん です か こば と さ ん ? いえ … 。

不満 な ん だ ろ う 。 みんな 要ら ねえ って 言う から 。

そう じゃ あり ませ ん 。 じゃあ 何 だ ?

寂し い ん じゃ な いか って イチョウ さん が 。 寂しい ?

何 十 年 も 何 百 年 も ここ に い て この 街 を 見 て き て →

なのに 誰 も イチョウ さん の 事 心配 し て なく て 。

・~

大丈夫 です こば と さ ん 。 え ?

寂しく ない って おっしゃって ます 。

え ?

分かる ん です か ? イチョウ さん の 考え て いる 事 が ?

はい 何となく 。

ボケッ と し てる が 琥珀 も 一応 天使 だ から な 。

イチョウ さん ほか に は 何 って ?

喜んで ます 。 昨日 は 子供 たち が 大勢 遊び に 来 て くれ た から →

楽しかった って … 。 あ … 。

ほか に 何 か 出来る 事 は ない です か ?

( 琥珀 ) 「 ありがとう 」 って 言って ます 。

それ から 「 さよなら 」 って … 。

え ! 大丈夫 です から !

「 切ら ない で 下さい 」 って お 願い し ます から !

・~

え ?

それ は 望 ん じゃ い ねえ らしい ぞ 。

私 イチョウ さん を お 引っ越し し ます !

え ? おい !

こば と さ ん ?

・~

おいおい 。 どん だけ ムチャ しよ う って ん だ よ !

でも でも … 。

でも そう し ない と イチョウ さん は …\ N イチョウ さん は !

・~

イチョウ さん と 同じ に 長生き だった 藤 の 木 さん を 知って い ます 。

その 藤 の 木 さん も イチョウ さん と 同じ 事 を 言って まし た 。

同じ 事 … ?

見守る 事 大好き な 人 たち を 見守って い られ た の が →

一 番 幸せ だった と 。

( 風 の 音 )

聴 こえ ます か イチョウ さん の 歌 ?

・~

はい 。

少し 切なく て でも とても 優しい です 。

・~

・ 「 秋 は 水辺 に 冬 梢 に ひそむ 」

・ 「 世界 の 奥 の 限りない 優し さ 」

・ 「 夜 が 来る たび 祈り を 捧げよ う 」

・ 「 あした 来る 日 を 静か に 迎えよ う 」

・ 「 私 を 導く 遠い 遠い 呼び声 よ 」

・ 「 微笑む よう に 歌う よう に \ N 響 く 風 の 音 」

・ 「 よろこび 悲しみ すべて 抱 い て 歩 い て いる 」

・ 「 私 の 手 と 君 の 手 を 強く つなぐ もの 」

・~

( 地響き )

お いっ !

( 落下 音 )

あっ ?

( 倒 木 音 )

イチョウ さん が … 。

危ない だ ろ う が ! 何 ボンヤリ 立って ん だ !

すみません … 。

寿命 だった の か 。 えっ ?

真ん中 が 空洞 だ 。 遅かれ早かれ 枯れる 運命 だった ん だ な 。

もう 少し もう 少し って 頑張って た ん です ね 。

琥珀 さん 。 イチョウ さん は 幸せ だった の でしょう か ?

幸せ … ? ええ きっと 。

最期 に こば と さん の 歌 で 送ら れ て 逝く 事 が でき た の です から 。

・~

いおり ょぎ さん ? え ?

これ どなた の コンペイトウ でしょう か ?

まさか 琥珀 さん ? じゃ な さ そう だ し … 。

藤本 さん ! … な わけ ない し 。

あの イチョウ の 木 かも な 。 え ?

草木 に だって 命 は 宿る だ ろ う 。

だったら その 命 が 癒 や さ れ て も おかしく は ねえ 話 だ 。

でも 私 イチョウ さん を 助け られ なかった です 。

歌った だ ろ う が 。 歌 ?

琥珀 が 言って た だ ろ う お前 の 歌 で 送ら れ て 逝く 事 が でき た って 。

最期 の 時 に よっぽど 嬉しかった ん だ ろ う 。

そう です か … 。

・~

はい ! どう でしょ う ?

( 歓声 )

藤本 さん も 一緒 に やり ませ ん か ?

( 鉋 を かける 音 )

それ は ?

これ は … 積み木 です ね !

イチョウ の 枝 もらって 作って み た 。

イチョウ さん の ?

あ ~ !

すごい ! すごい です 藤本 さん ! 別に 。

皆さん ! 藤本 さん が 積み木 を 作って くれ まし た よ !

・ ( 児童 たち の 歓声 )

フフフ 。

俊彦 君 譲 君 。 積み木 で 遊ぶ 前 に 藤本 さん に 言う 事 は ?

( 俊彦 譲 ) 清和 先生 ごめんなさい !

あ ああ … 。 良かった ! みんな 仲直り です ね 。

( 満里奈 ) ねえ ねえ 。 清和 先生 も 一緒 に 葉っぱ 絵 で 遊 ぼ う !

いや オレ は … 。 イチョウ を くっつけ て イチョウ 藤本 星 人 !

は あ ?

・ 「 人 は み な 飛 ん で み たい の に 」

・ 「 重力 に 騙さ れ てる ん だ 」

・ 「 誰 も ほんとう は 飛べ る ん だ よ 」

・ 「 あの コ が あんなに 哀し そう な の は 」

・ 「 自分 の 影 を どこ か に 忘れ てき ちゃ った から かも 」

・ 「 それ なら 」

・ 「 アリガトウ 、 って 君 に 言え たら 」

・ 「 アリガトウ 、 って 君 が 笑え ば 」

・ 「 行ったり 来たり うれしく なる 」

・ 「 君 が シアワセ に なる 」

・ 「 心配 なんて いら ない よ 一緒 に いる から 」

・ 「 うれしく って も 涙 が でる なんて 不思議 だ 」