Violet Evergarden Episode 4
( アイリス ) えー ! 指名 ?
私 に です か ?
( カトレア ) やった わ ね アイリス
( ホッジンズ ) 出張 先 は カザリ だ
カザリ ? それ 私 の 故郷 です
( ホッジンズ ) あっ そ っか そう だった ね
( アイリス ) あの … 依頼 人 って ?
( ホッジンズ ) サラ ・ フローレント と いう 40 代 の 女性 だ よ
知って る ?
( アイリス ) うーん … いえ 知り ませ ん
よし
今日 は アイリス に 初めて 依頼 が 来た 記念 に ―
みんな で ランチ に 行き ま しょ
( アイリス ) ウフフ …
うち の 田舎 で ドール に なった の 今 の とこ 私 だけ な んです
誰 か から 私 の こと 聞いた んです か ね ?
まあ 里帰り も できる し
この 衣装 を 見せ られる から いい んです けど
ンフーッ !
友達 と か 親戚 と か 絶対 みんな 集まって きちゃ う な !
( エリカ ) あまり 浮かれ すぎ ない ように
CH 郵便 社 の ドール と して の 品位 を 持った 仕事 を …
分かって ます
( ヴァイオレット ) それ は “ 本当 は 分かって い ない ”
と いう “ 分かって いる ” です ね ?
( アイリス ) は あ ? 今 あんた …
♪~
~♪
( カトレア ) ここん とこ 投票 を 呼びかける 手紙 ばかり
まあ 戦後 初めて の 選挙 だし 貴族院 も 動いて いる から
庶民 院 の 候補 も 必死な んだろう けど
ハァ …
( エリカ ) 大丈夫でしょう か ? あの 2 人
( アイリス ) あー もう … ついて ない
私 の 華麗な タイピング を 披露 する いい 機会 だった のに
心配 あり ませ ん
タイプ は アイリス さん の 代わり に 私 が 行い ます
いや あ … そういう こと じゃ なくて
カザリ は 山 の 中腹 に ある 村 で ―
酪農 と 農業 が 主な 産業 な のです ね
ほか に は 取り立てて 語る べき 特徴 も 歴史 も あり ませ ん
悪かった わ ね 何も なくて
( ヴァイオレット ) 悪く は あり ませ ん
価値 の ある 何 か が 存在 する と 事件 や 略奪 が 起こり ます
ライデンシャフトリヒ 北東 部 に は ―
鉄 や 銅 と いった 資源 が あった ため ―
ガルダリク 帝国 が 侵略 行為 に 及び ました
そう だ ね それ で 戦争 が 起きた んだ もん ね
うち の 叔父さん も 志願 する って 息巻いて た んだ けど
叔母さん が 反対 して 結局 入隊 し なかった の
おかげ で 無事に 済んだ わ
あっ …
ごめん
今 の は 何 に 対する 謝罪 です か ?
その … あんた は 無事じゃ 済まなかった わけで
私 の 負傷 が なぜ アイリス さん の 責任 に なる のでしょう ?
責任 は ない かも しれ ない けど
謝罪 と は 自ら の 責任 と 認め 相手 に 許し を 請う 行為 です
あー ! もう 分かった から
( アイリス ) 最初に 会った とき も この とき も ―
私 に は ―
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン と いう 子 の こと が ―
どうにも 理解 でき なかった
あっ …
やっぱり ライデン と 比べる と 蒸し暑い
その 服 暑く ない の ?
問題 あり ませ ん 寒暖 差 に は 慣れて い ます
( アイリス ) ふ ー ん そういう もん な んだ
( アイリス の 叔父 ) アイリス ! お かえり
( アイリス の 母 ) お かえり なさい
( アイリス の 父 ) よく 帰って きたな
( アイリス ) お 父さん お 母さん ! 叔父さん 叔母さん も !
お前 その 腕 …
( 父 ) 一体 どうした ん だ ?
ああ ちょっと かいだ … し に 行く 暇 も ない くらい
仕事 し まくって たら ちょっと 痛めちゃ って …
事実 に 反し ます
私 結構 指名 もらっちゃ う から …
( アイリス ) あっ 痛い !
( アイリス ) あっ 痛い !
( ヴァイオレット ) それ も 事実 と 反し ます
( ヴァイオレット ) それ も 事実 と 反し ます
( アイリス ) 痛い ! あっ ヤバ い ! 痛み だした
大変だ な 花形 自動 手記 人形 さん も
( ヴァイオレット ) 花形 ?
( アイリス ) もう お 父さん 大げさな んだ から !
( 叔父 ) でも それ じゃ 今回 の 代筆 は どう する んだ ?
ああ それ ね
だから この 子 が 一緒に 来た わけ
( ヴァイオレット ) お 客 様 が お 望み なら どこ でも 駆けつけ ます
自動 手記 人形 サービス ―
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン です
( アイリス の 姪 ( めい )) お 人形 ?
( アイリス の 甥 ( おい )) 違う これ が ドール って いう んだ よ
いや あ たまげた
さすが 都会 の ドール さん だ な
ちょっと ! ちょっと ! 私 も ドール の 衣装 着て る んだ けど
( 父 ) え ? ああ …
似合って いる よ アイリス
立派な 職業 婦人 って 感じ だ な
何 よ それ … った く
あっ ねえ サラ ・ フローレント さん って 知って る ?
私 を 指名 した 人 で 迎え に 来て る はずな んだ けど
ウフッ
それ 亡くなった ひ い おばあ ちゃん の 名前 よ
え ?
私 が 頼んだ の
代筆 を 頼めば 会える と 思って
( アイリス ) ちょっと ふざけ ない …
( アイリス ) ちょっと ふざけ ない …
( ヴァイオレット ) 虚偽 の 依頼 です ね
( ヴァイオレット ) 虚偽 の 依頼 です ね
契約 書 に も 書か れて おり ます が
匿名 および 虚偽 の 依頼 は 受け付けて おり ませ ん
失礼 いたし ます
( アイリス ) ちょ … ちょっと ヴァイオレット !
( ヴァイオレット ) それでは 今 ここ で ご 依頼 を 受け付け ます
正しい お 名前 で 依頼 書 に ご 記入 ください
それ で どのような 招待 状 を 書けば よろしい のでしょう か ?
アイリス の 誕生日 パーティー の 招待 状 よ
私 ?
( 母 ) あなた あさって 誕生日 でしょ ?
あっ 忘れて た
( アイリス の 叔母 ) 今年 は たくさん 人 を 呼んで 盛大に やる んです って
( ヴァイオレット ) あさって でしたら すぐさま 書き上げ ない と 間に合い ませ ん
配達 も あり ます し
( 一同 ) あっ …
( 姪 ) キレイ ! ( 甥 ) どうした の ?
( 叔母 ) やめ なさい
( ヴァイオレット ) ご 心配 に は 及び ませ ん
招待 客 の リスト は あり ます でしょう か ?
( 父 ) は あ
( 母 ) ああ … これ よ
私 に も 見せて
何だか 男 の 人 が 多く ない ?
まあ … あなた も 年頃 だ し
だから ?
そろそろ 結婚 して も いい んじゃ ない ?
どういう 意味 よ
あなた は 一 人 娘 な んだ もの
こっち に 戻って きて 結婚 して ほしい の よ
ドール は 辞めて こっち で 私 たち と …
その ため に 呼び戻した の ?
ウソ まで ついて ?
あなた だって ウソ ついて る でしょ !
ライデン 一 ( いち ) の 人気 ドール なんて
もう やめ なさい
とにかく 誕生日 パーティー はやる から
ヴァイオレット さん 宛名 書き よろしく ね
( ヴァイオレット ) 了解 し ました
( アイリス )“ エイモン ・ スノウ ”
この 人 に は 出さ ないで
リスト に 載って いる のに です か ?
そう
どうして です か ?
どうしても よ
招待 する 人 を 選定 した の は アイリス さん の ご 両親 です
アイリス さん に リスト から 削除 する 権限 は ない と 思わ れ ます
( アイリス ) いい から 出さ ないで ( ヴァイオレット ) です が …
( アイリス ) 今回 指名 さ れた の は 私 で ―
あなた は 私 の 代わり でしょ ? 分かった ?
( 父 ) ご 苦労 さん
こっち は 届け 終わった よ
( ヴァイオレット ) こちら も 届け 終わり ました
さあ 帰って 夕飯 に しよう
こんな 田舎 だ から 大した もてなし は でき ない けど ね
( ヴァイオレット ) 大した もてなし で なくて も 私 は 問題 あり ませ ん
え ? いや … ハハハッ
( ヴァイオレット ) それ に ―
根拠 は 判然と し ない のです が ―
この 景色 が ―
大した もてなし と いう 言葉 に ふさわしい 気 が し ます
( 父 ) ん ?
( 客 たち の にぎわう 声 )
( 母 ) どうぞ ( 男性 ) あっ これ は どうも
( 女 友達 ) 誕生日 おめでとう アイリス
ありがとう
( 女 友達 ) 手 大丈夫 ?
うん 平気 平気
( 女 友達 ) ライデン で ドール に なった んだ よ ね ?
( 女 友達 ) え ? カッコいい ー !
いや … うん
( 母 ) アイリス !
ちょっと いい ?
( 女 友達 ) じゃあ また あと で ね ( アイリス ) うん
ごめんなさい ね
ほら 覚えて る ? モンゴメリー さん
教員 試験 に 合格 した んです って
ハンス さん は 靴 職人 目指して 修業 中 だ そう よ
あっ エイモン !
( エイモン ) お 久しぶりです
遅れて すみません
あっ
アイリス 誕生日 おめでとう
ん っ …
ん っ …
どうして ?
その … 招待 状 を もらった から
え ?
出した の ?
お 母 様 に 確認 した ところ
やはり 出す ように と ご 指示 いただき ました ので
( アイリス 半 泣き )
アイリス ?
アイリス !
( どよめき )
( アイリス ) あんた が 彼 に 招待 状 を 出す から よ
( ヴァイオレット ) その こと と 急に 気分 が 悪く なった こと と の ―
因果 関係 は 何 でしょう ?
( アイリス ) 私 は 出さ ないで って 言った じゃ ない
何で 余計な こと する の よ
( ヴァイオレット ) 任務 を 遂行 した だけ です
会 いたく なんか なかった のに
( ヴァイオレット ) なぜ です か ?
理由 を 説明 して くださら ない と 理解 でき ませ ん
ち っ …
私 彼 に フラ れた の !
フラ れた と いう の は
言い 寄った けれど 拒絶 さ れた と いう こと です か ?
好意 を 示した けれども 相手 の 方 に はねつけ られた と
そう よ あんた の 言う とおり よ !
( アイリス の 泣き声 )
( 叔母 ) アイリス ったら あんまり よ
ごめんなさい ね
あっ ヴァイオレット さん アイリス の 具合 どう だった ?
泣いて いらっしゃい ます
( 父 ) え ? ( 母 ) 泣いて る って どうして ?
( 母 ) あの 子 に 何 か あった の ?
( 母 ) アイリス
アイリス 大丈夫 ?
元気 出して
お 母さん たち が もっと いい 人 を 見つけて あげ …
まだ そんな こと 言って る の ?
お 母さん が あんな パーティー 開く から よ !
もう 帰って こ なきゃ よかった
( ため息 )
( ヴァイオレット ) お 食事 です
( アイリス ) あんた みんな に しゃべった の ?
( ヴァイオレット ) 何 を です か ?
エイモン の こと よ !
しゃべり ました
( アイリス ) 何で 言う の よ !
機密 事項 と は 思い ませ ん でした し
皆様 アイリス さん の こと を 心配 して いらっしゃい ました ので
だから って …
あんた って ホント 人 の 気持ち が 分か ん ない の ね !
( ヴァイオレット ) 申し訳 あり ませ ん
少し は 理解 できる ように なった と 思って いた のです が
人 の 気持ち は とても 複雑で 繊細で ―
誰 も が すべて の 思い を 口 に する わけで な はく ―
裏腹だったり ウソ を つく 場合 も あり ―
あっ …
( ヴァイオレット ) 正確に 把握 する の は ―
私 に は とても 困難な のです
本当に 申し訳 ございませ ん
顔 を 上げて
あんた に 悪気 が ない の は 分かって る
私 だって ―
いつも ちゃんと 人 の 気持ち が 分かって いる わけじゃ ない もの
そう な のです か ?
う っ …
まあ ね
( アイリス ) エイモン はね 幼なじみ で
いつも 優しくて 親切だった
ずっと 好きで ―
彼 も 私 の こと 好き って 思い込んで た の
だから ―
どうして 何も 言って くれ ない の か な って 思って て
それ で 学校 を 卒業 する 前 言った の
“ 愛して る ” って
( ヴァイオレット ) あっ …
( アイリス ) でも …
( エイモン ) ごめん ( アイリス ) えっ …?
( エイモン ) 幼なじみ と しか 思え ない
( アイリス ) もう 消え たく なっちゃ った
ここ に い たく なく なって
文章 書く の なんて 苦手だった のに
必死で 勉強 して
ライデン の 街 に 出て ドール に なった わけ よ
“ 愛して る ” は とても 勇気 の いる 言葉 な のです ね
え ?
( ヴァイオレット ) 受け入れ られ ない と ―
そこ に い たく なく なる くらい に
あの とき の 少佐 も ―
そう だった のでしょう か ?
少佐 って ?
私 の 上官 です
私 は 少佐 の “ 愛して る ” が 知り たくて ―
ドール に なった のです
( アイリス ) 分から ない と 思って いた ヴァイオレット の こと が ―
少し だけ 分かった
この 子 の 言う 少佐 が ―
軍隊 しか 知ら ない この 子 に 愛 を 与えた のだ と
そして ―
この 子 は それ が 何 か を 一生懸命 探して いる
この 子 なり に
ねえ 自動 手記 人形 さん
手紙 書いて くれる ?
( ヴァイオレット ) どのような 手紙 です か ?
パーティー に 出席 して くれた 人 たち へ の
おわび の 手紙
はい
丁寧で 心 の こもった 手紙 に して よ
エイモン さん に も 出し ます か ?
えぐる わ ね
まあ でも 出して
( ヴァイオレット ) それ から ご 両親 に も
( ヴァイオレット ) それ から ご 両親 に も
( アイリス ) え ?
( アイリス ) え ?
アイリス さん の 本当の お 気持ち を お 伝え して は いかがでしょう か ?
あっ …
う っ …
( ヴァイオレット ) 手紙 だ と 伝え られる のです
素直に 言え ない 心 の 内 も 伝え られる のです
( 物音 )
( アイリス ) “ お 父さん お 母さん ”
“ パーティー を 台なしに して ごめんなさい ”
“ 招待 客 の 方 たち に は 私 から おわび の 手紙 を 出し ます ”
“ それ から ―”
“ 私 に 仕事 を 依頼 して くれて ありがとう ”
“ 本当 は これ が 初めて の 指名 だった の ”
“ だ から すごく うれしかった ”
“ 仕事 は 大変な こと も ある けれど ―”
“ 自分 で 決めた こと だ から 頑張って みる ”
“ 小さい ころ から 心配 ばかり かけて ごめん ね ”
“ でも もう 少し だけ ―”
“ 私 を 見守って いて ください ”
“ これ が 未来 の ライデン 一 ( いち ) の 人気 ドール から ―”
“ 大好きな お 父さん と お 母さん に 送る ―”
“ 記念 す べき 第 1 通 目 の 手紙 です ”
フッ
( 父 ) 忘れもの は ない か ?
( アイリス ) うん
( 母 ) 必要な もの が あったら すぐに 知らせ なさい
( アイリス ) 大丈夫 大丈夫
( 母 ) それ から …
手紙 ありがとう
あっ いや …
タイプ した の は この 子だから
はい あと で 請求 書 を お 渡し し ます
えっ お 金 とる の ?
代筆 は 仕事 です
( アイリス ) じゃあ 昼食 3 日 分 で !
( ヴァイオレット ) 規定 の 金額 に 足り ませ ん
( アイリス ) そこ は 社 内 割引 で !
( 汽笛 )
( ヴァイオレット ) 発車 し ます
アイリス
あっ !
誕生日 おめでとう
元気で ね
( ヴァイオレット ) あの 手紙 で ―
ご 両親 に うまく 伝え られた でしょう か ?
2 人 の 反応 見たら 分かる でしょ
いい 手紙 だった
伝わった よ あんた の 書いて くれた 手紙
いい 手紙 だった から
私 いい 手紙 書き ました
プッ ! 何で 片言 な の よ
( ヴァイオレット ) その 花 は ?
( アイリス ) ああ アイリス よ
ほら
( アイリス ) 私 ね
この 花 が 満開 に なった とき に 生まれた の
だから お 父さん と お 母さん は ―
私 に この 名前 を つけて くれた
( ギルベルト ) 名前 は ?
そう か
じゃあ 私 が 名前 を つけて いい か ?
( ギルベルト ) ヴァイオレット …
ヴァイオレット だ
成長 すれば 君 は きっと その 名前 に ふさわしい 女性 に なる
( ギルベルト ) 君 は 道具 で は なく その 名 が 似合う 人 に なる んだ
♪~
~♪