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ブギーポップは笑わない, Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 4

Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 4

( 透 子 ( すいこ ) ) 残念 だ わ まったく …

結局 あなた も “ 今 ” に とどまる だけ の 存在 な の ね

本当 に 残念 な こと だ わ

しかし あなた が いくら 待った ところ で ―

一 向 に 何ひとつ 始まる こと は ない と 思う わ よ

ねえ そう 思わ ない ?

( ブギー ポップ ) 何と でも 言う が いい

どうやら 君 は 僕 と 違って 分裂 は し て い ない よう だ が ―

自動 的 で ある こと に 変わり は ない よう だ ね

どちら に せよ 君 は 終わり だ

先 は ない

( 透 子 ) まだ 何 も 始まって い ない わ よ

私 に は まだ 名前 も 付い て い ない の だ から

( ブギー ポップ ) だったら 今 付け て やる

君 の よう な 存在 は 霧 間 ( き り ま ) 凪 ( なぎ ) の 父親 なら ―

“ イマジ ネーター ” と 呼 ん で い た

フッ

“ 愛 と は 4 月 に 降る 雪 の よう な もの だ ”

“ 思いがけなく しかし 確か に 予感 を 持って い た 存在 ”

だった かしら ?

始まり の 終わり は 同時に 終わり の 始まり で も ある の よ

ブギー ポップ

あなた は 今 私 を 止め た

でも それ は ただ 次 の 終わり を 始め た だけ

( 透 子 ) 私 が 本当 に 地面 に 落ちる まで まだ 時間 が ある

その 間 に あなた は 私 を 見つける こと が できる かしら ?

♪ ~

~ ♪

( 佐和子 ( さわ こ ) ) 時々 夜中 に ハッと 目 が 覚め て しまう こと が ある ん です

( 佐和子 ) 何 か が 胸 の 上 に 乗っかって い て ―

自分 を のぞき込 ん で いる よう な 気 が する ん です

でも 目 を 開け て みる と …

( 飛鳥井 ( あす かい ) ) ふむ 何も ない と いう わけ か

きっと 夢 な ん だ ろ う って 自分 でも 分かって る ん です けど

( 飛鳥井 ) その “ 何 か ” だ が ―

君 に 何 か 話しかけ て くる ん じゃ ない の か ?

そう な ん です ! どう し て ! ?

( 飛鳥井 ) 何 と 言った か 覚え て いる かい ?

いいえ それ が …

( 飛鳥井 ) 思い出 せ ない と いう わけ だ ね

( 飛鳥井 ) 根 が ない な

葉 も 少ない

つぼみ ばかり が 大きい

( 佐和子 ) どうも すみません …

( 飛鳥井 ) その くせ 幹 は 今 に も 折れ そう だ

あっ あの 飛鳥井 先生

( 飛鳥井 ) 僕 が 言う の も 何 な ん だ けど ―

君 は あんまり 受験 と いう もの を 大 ごと に 考え ない ほう が いい

え ?

大学 に 入って も 悩み が なく なる わけ じゃ ない し ―

将来 が 保証 さ れる わけ で も ない

君 は 何となく そう いう こと に 気づ い て いる ん だ

恐らく その 夢 は ―

心 の 奥底 から 発する 大学 進学 に 対し て の ―

“ ちょっと 待て ” と いう 無意識 の サイン な ん だ よ

はい

大学 に 入り たい と 思う こと は 別に 悪い こと でも 何でもない

ただ 思い詰める の は よく ない と いう こと だ よ

分かった … よう な 気 が し ます

( 飛鳥井 ) 少し つぼみ が 緩 ん で き た な

ありがとう ござい まし た

努力 は 本物 な ん だ から ―

あと は 落ち着 い て 進める こと を 考え れ ば いい

はい ! すごく スッキリ し まし た !

先生 は セラピスト と か 何 か そう いう 方面 に 向 い て そう です ね

は あ ?

あっ ごめんなさい 失礼 です ね

ハハッ 考え て おく よ

絵描き じゃ 食え ない って 言う し ね

そう だ 先生

“ 時 に は 4 月 に も 雪 が 降る ” って 何 です ?

え ? 何 だって ?

いえ 例 の 夢 の 中 で その ひと言 だけ 覚え て いる ん です

でも きっと 大した こと じゃ ない と 思い ます

失礼 し まし た

“ 4 月 に も 雪 が 降る ” か

( 飛鳥井 ) 僕 に は 生まれつき ―

“ 人 の 心 の 欠落 し て いる もの ” が 見える 力 が ある

子供 の ころ 読 ん だ 本 の 一節 に ―

“ この 子 が きれい な の は ― ”

“ 心 の 中 に バラ を 1 輪 持って いる から だ ” と あった が ―

僕 の 目 に 映る 光景 は まさに それ だ

しかし どの 植物 も 何 か が 欠落 し て いる

少女 に 根 が なかった よう に どんな 人間 も 必ず 何 か が 欠け て いる

欠け て いる もの は どう しよ う も でき ない

だから 僕 は 時折 言葉 で 補う

でも 何 が 欠け て いる か 分かる だけ な ん だ

( 女子 生徒 ) あっ 雪 !

( 女子 生徒 ) ホント だ きれい !

( 飛鳥井 ) 僕 に は 自分 自身 の それ を 見る こと は でき ない から …

あ ?

えっ ! ?

あっ 危ない !

あっ … う っ …

ハッ

( 透 子 ) フフフ …

どう いう こと だ ?

人 に 見え ない もの が 見える と いう の は ―

決して 楽しい こと で は ない わ ね

何 だって ! ? あ …

( 透 子 ) あなた の 気持ち は とても よく 分かる わ

私 も 昔 は そう だった もの よ

き … 君 も ?

( 透 子 ) ええ 私 は 人 の 死 が 見える ん です も の

“ 死 ” だって ?

( 透 子 ) 正確 に 言う なら ―

“ 命 と さ れ て いる もの が 燃え尽きる 寸前 に 生じる ― ”

“ エネルギー 体 ” と 言う べき かしら

私 は 人 が 死 を 使う こと が できる 可能 性 …

そう いう ふう に 世界 を 創り 変える の が 私 の 使命

私 は 今 の 世界 に とって の 敵

春 に なって も 世界 に 冷た さ を 運ぶ 4 月 に 降る 雪

えっ ?

私 の 仕事 に 協力 し て いた だ け ませ ん ?

飛鳥井 先生

何 の こと だ ? 君 は 一体 誰 な ん だ ?

敵 は 私 の こと を “ イマジ ネーター ” と 呼ぶ わ

( 飛鳥井 ) ま 待て !

あ …

( 琴 絵 ( こと え ) ) お かえり !

( 琴 絵 ) 仁 ( じん ) 兄さん ごはん まだ だ よ ね ?

( 飛鳥井 ) ん … ああ

よかった シチュー 作った から あと で 持って く ね

ああ ありがとう

( 琴 絵 ) なんか 今日 は 疲れ た 顔 し てる ね

( 飛鳥井 ) うん まあ …

そろそろ 追い込み の 時期 だ から ね

( 琴 絵 ) 大変 ねえ

フッ ひと 事 み たい に 言って る けど ―

来年 は 琴 絵 ちゃん も 同じ 境遇 だ ろ ?

あー 私 は どう しよ う かな

仁 兄 さん の 予備 校 に 行 こ う かしら ?

いつ から 美 大 進学 希望 に なった ん だ ?

進路 相談 も し てる ん でしょ う ?

まあ ね

ただ 僕 に 相談 に 来る 子 たち って みんな すごく 真剣 な 人 ばかり だ よ

それ 私 が 真剣 じゃ ない って こと ?

やっぱり そう 見える わ よ ね 私

冗談 だ よ

僕 に 相談 なんか 来 ない ほう が いい ん だ ホント は

え ?

自分 の 悩み は 自分 で 悩む べき な ん だ よ

まして や 受験 の こと じゃ ―

講師 の 僕 は あまり 思い切った こと が 言 え ない

僕 じゃ どう に も なら ない こと ばかり だ

( 琴 絵 ) 仁 兄 さん は 人 の こと 心配 し すぎる の よ

もっと 自分 が 楽 に なる こと も 考え て も いい ん だ と 思う

うん

( 飛鳥井 ) この 子 は 思いやり が あり 優しい いい 子 だ

しかし つぼみ さえ …

ありがとう そう 言って もら える と 心強い よ

どう に も なら ない こと なんて ない わ

なんとか なる 道 は 必ず ある って

( 飛鳥井 ) そう 思 え たら い い ん だ けど ね

( 透 子 ) ただし その 道 と いう の は ―

少し 残酷 で 世 の 正義 に は 反する こと かも …

( 透 子 ) しれ ない けれど も ね

お お前 は ! ?

さっき の 幻覚 幽霊 か ! ?

その 言い 方 は 正確 で は ない わ

正しく は “ 現在 に あらわれ た 未来 ” と 言う べき ね

それとも “ 可能 性 上 の 仮説 の 実体 化 ” と 言う べき かしら ?

飛鳥井 先生 あなた なんとか し たい と は 思わ ない ?

な 何 を だ ?

人 の 心 の 欠落 を

あなた に は 何 が 欠け て いる と 思う ? 飛鳥井 先生

え ?

あなた に 欠け て いる の は 使命 よ

な っ …

あなた に は ほんの 少し だけ 未来 を 見せ て あげる

う わ あっ

ハァ ハァ ハァ … ( 透 子 ) どう ?

( 飛鳥井 ) 今 の は 何 だ ? あの 光景 は …

あなた の 使命 よ 飛鳥井 先生

( 飛鳥井 ) 僕 は あんな こと は し ない !

する か し ない か は あなた の 自由 よ

でも ね あなた に は できる

それ は 変わら ない 事実

ふざける な ! お前 は 何者 だ ?

悪魔 な の か ? それ で 僕 を …

誘惑 ?

いいえ 決める の は あなた

鳥 だって 空 から 落ちる こと も ある し ―

時 に は 4 月 に だって 雪 が 降る こと も ある の よ

飛鳥井 先生

き 消えろ !

( 琴 絵 ) あ あっ あっ えっ ? 何 ?

えっ … あっ ごめん 大丈夫 かい ?

仁 兄 さん … こそ …

( 女子 生徒 ) 聞い て ます ?

( 女子 生徒 ) 先生 ( 飛鳥井 ) ん ? あ … うん

何度 も 同じ 夢 を 見る … だ っけ ?

( 女子 生徒 ) ええ 誰 か が 話しかけ て くる ん です

その 人 の 言葉 を 聞い て いる と なんだか 受験 勉強 も 世 の 中 も ―

どう で も いい よう な 気 が し て くる ん です

私 おかし い ん でしょ う か ?

あ …

先生 ? 飛鳥井 先生

ん ? ああ …

どう かし た ん です か ?

いや 話 を 続け て

( 女子 生徒 ) その 夢 は あまり に も 優し すぎ て …

それ が なんだか 怖い ん です

( 絵 を 丸める 音 ) 何 を やって る ん だ 俺 は

イマジ ネーター …

( 刑事 ) それ じゃあ あの 娘 は あんた に 襲いかかった か と 思う と ―

急に 自分 の 喉 を か っさ ばい ち まった … と ―

そう いう こと だ ね ?

はい

( 静子 ( しず こ ) ) う う …

た 助け て …

( 飛鳥井 ) 誰 だ ?

おい どう かし た の か ?

あっ 君 大丈夫 か ! ?

どう し た ん だ ?

( 静子 ) う う … 助け …

う あっ

( 静子 ) 大声 を 出す な よ 飛鳥井 先生

え ?

( 静子 ) 人 が いい の は 相変わらず だ な

あんた なら 引っかかる と 思った よ

君 は … 確か 今崎 ( いま ざ き ) 君

フッ まさか 覚え て い て くれ た と は ね

さあ カネ だ よ 先生 ある だけ 出し な

それ で 薬 を 買う の か ? 一体 何 が あった ん だ ?

そんな こと は どう でも いい だ ろ !

早く カネ を 出せ って 言って ん だ よ

( 刑事 ) あの 娘 あんた の 知り合い だって ?

( 飛鳥井 ) はい 名前 は 今崎 静子

私 の 教え子 の 1 人 で とても 優秀 な 生徒 で し た

( 刑事 ) 恨み を 買って い た と か 思い当たる 節 は ?

ある かも しれ ませ ん

まあ こっち の 調べ だ と 家庭 環境 が 原因 の よう だ が ね

彼女 の 相談 を 受け た とき に 助け られ なかった ん です きっと

( 静子 ) ほら さっさと しろ 死に たく なけりゃ カネ だ !

殺す ん なら 殺せ ば いい

私 は 本気 だ よ !

僕 だって 本気 だ !

う …

なのに 君 は 簡単 に 薬 なんか に 逃げ て

そんな 物 が 一体 何 の 役 に 立つ ん だ !

何 だ よ 急に

( 飛鳥井 ) ハイ に な ろ う が どう しよ う が ―

結局 僕 たち に は どう に も なら ない ん だ よ !

( 静子 ) う う っ

ハッ !

( 透 子 ) そう 薬 … で も これ は 自分 用 の 物 じゃ ない

お前 は !

誤解 し ない で

今 の 一 連 の 行動 は 全て この 子 の 意志 に よる もの よ

でも この 子 も やり たく て やった わけ じゃ ない

( 刑事 ) あの 娘 は 別件 で 追いかけ て た ルート の 売 人 の 1 人 だった

前 から 知って い た ん です か ?

ああ マーク は し て い た 本丸 を たたく ため に ね

ねえ この 麻薬 は 何 だ と 思う ? 飛鳥井 先生

売ら さ れ て いた ん だ ろ

ご 名答

初心 者 向け の 安物 ね

カネ を 稼ぐ だけ なら ―

もっと 手っ取り早い 方法 は ある のに ね

かわいそう に

こんな ボロボロ の 姿 じゃ それ も でき ない

カネ を 作る ため に は 言いなり に なる しか ない の

でも この 子 は どう し て も それ が でき なかった

悲しい 話 ね

自分 み たい な 人間 を 増やし たく ない と 思い つつ ―

でも どう する こと も でき ない

それ で 昔 優しく し て くれ た 記憶 の ある あなた を 頼った の よ

この 子 は

( 飛鳥井 ) 知って い て あなた 方 は …

( 刑事 ) 我々 も どう する こと も でき ん よ

あそこ まで いって しまう と ね

( 透 子 ) でも ね 飛鳥井 先生

どっちみち この 子 は もう 終わり な の

何 だ と ?

薬 で 体 は ズタズタ

ほっと い て も もう 1 か月 と もた ない の

もう どう しよう も ない まま むなしく 切なく ―

寂しい まん ま 死 ん で いく しか ない の

くっ …

でも あなた なら や れる こと が ある かも しれ ない わ

あっ ああ … あっ …

この 自殺 も 覚悟 の 上 み たい な 感じ だし な

( 飛鳥井 ) 自殺 … です か

ああ あんた は すぐ 帰 れる よ 目撃 者 も いる よう だ し ね

自殺 …

( 女性 の 悲鳴 )

( 静子 ) ちくしょう … ちくしょう …

ちくしょう …

ちく しょ …

( 刑事 ) なあ 飛鳥井 さん

( 飛鳥井 ) 何 です ?

( 刑事 ) あんた あの 子 が 死ぬ の を みとった とき ―

何 か 言った の か ?

なぜ です ?

いや あの 子 あんな 死に 方 し た の に 妙に 死に 顔 が 穏やか で な

何て の か 心 の 中 の トゲ が 全部 取れ ち まった よう な

そんな 仏 だった んで ね

( 飛鳥井 ) そう です か 私 は 別に 何 も …

( 飛鳥井 ) 忙しく なる な これ から

( 正樹 ( まさき ) ) やめ て くれ ! この 子 は 関係ない !

( 少年 ) 何 だ ? いまさら かっこ つけ や がって

( 少年 ) て め え は とっとと う せろ !

( 少年 ) こっち は その 女 と お 楽しみ だ

( 正樹 ) や … やめろ

( 飛鳥井 ) お ー い そこ の 君

勘違い し て いる かも しれ ない ので 一応 聞く が

( 少年 ) だ 誰 だ ?

( 飛鳥井 ) 君 は その 女の子 を 助け たい の か ?

は はい

なるほど

では ここ は 僕 に 任せ て 早く 逃げ た まえ

はい ! あ … ありがとう ござい ます !

( 少年 ) お おい 待て !

( 飛鳥井 ) 待つ の は 君 ら だ ( 少年 ) ん だ と ?

( 少年 ) 何 な ん だ て め え

いや 別に 君 ら に 恨み が ある わけ じゃ ない が

少し ばかり ―

実験 台 に なって もら お う と 思って

( 衝撃 音 )

あ あっ

あ …

あんた 一体 そい つ ら に 何 し た ん だ ?

言って も 分かる まい

ただ 危害 を 加え た わけ で は ない よ

むしろ 幸福 に して やった ん だ

な 何 言って ん だ よ 一体 何者 だ ? あんた

( 飛鳥井 ) ん ? そう いえ ば …

なあ 何て 名前 だ っけ ?

( 透 子 ) イマジ ネーター よ

そう そう そい つ だ

( 少年 ) あっ ああ あ あっ

( 少年 の 体 を 貫く 音 )

( 口笛 )

( 真理子 ( まりこ ) ) わ あ なんて きれい な 音色

フフ … きれい に 聞こえ た と し たら

それ は あなた の “ この 音 が 好き ” と いう 気持ち が そう さ せ た の よ

( 真理子 ) 生前 透 子 さん は よく 言って い まし た

( 透 子 ) 小宮 ( こみ や ) さん この世 の 中 に は ―

決まり 事 なんて ホント は 何も ない の よ

鳥 が 空 から 落ちる こと も ある し 4 月 に 雪 が 降る こと だって ある

( 真理子 ) 透 子 さん …

( ブギー ポップ ) 君 は … ( 真理子 ) ハッ !

( ブギー ポップ ) 水 乃 星 ( みな ほし ) 透 子 の 後 を 追い たい の かい ?

しかし 君 が そこ から 飛び降り た ところ で ―

彼女 の ところ へ は 行け まい

あなた … ブギー ポップ ?

ほう 僕 の こと を 知って いる ん だ ね

( 真理子 ) どう いう こと よ ?

私 が 透 子 さん の ところ に 行け ない って

( ブギー ポップ ) それ は 簡単 だ

水 乃 星 透 子 と 違って 君 は 自ら の 意志 で 命 を 絶 と う と し て いる

君 は 僕 を 知って いる の だ ろ う ?

だったら 僕 の 役目 も 知って いる はず だ

( 真理子 ) ま まさか それ じゃ …

そう だ 僕 は 死 神

水 乃 星 透 子 は 僕 が 殺し た の さ

ど どう し て !

( ブギー ポップ ) 彼女 が 世界 の 敵 だった から だ

あるいは こう いう 言い 方 も できる よ

“ 水 乃 星 透 子 は まだ ― ”

“ あの世 と やら に 着 い て さえ い ない ” と ね

ど どう いう 意味 ?

今 どこ に いる の か 僕 に も 分から ない と いう こと だ

それ でも 死ぬ かい ?

でも … でも …

だって …

あ … あ あっ

ああ …

( ブギー ポップ ) 悪い けど 君 を 殺す 気 は ない よ

残念 ながら 君 に は それ だけ の 価値 は ない

もう ここ に は い ない よう だ な

それにしても まだ 続 い て いる の か

イマジ ネーター

♪ ~

~ ♪


Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 4 Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 4

( 透 子 ( すいこ ) ) 残念 だ わ まったく … とおる|こ||ざんねん|||

結局 あなた も “ 今 ” に とどまる だけ の 存在 な の ね けっきょく|||いま|||||そんざい|||

本当 に 残念 な こと だ わ ほんとう||ざんねん||||

しかし あなた が いくら 待った ところ で ― ||||まった||

一 向 に 何ひとつ 始まる こと は ない と 思う わ よ ひと|むかい||なにひとつ|はじまる|||||おもう||

ねえ そう 思わ ない ? ||おもわ|

( ブギー ポップ ) 何と でも 言う が いい |ぽっぷ|なんと||いう||

どうやら 君 は 僕 と 違って 分裂 は し て い ない よう だ が ― |きみ||ぼく||ちがって|ぶんれつ||||||||

自動 的 で ある こと に 変わり は ない よう だ ね じどう|てき|||||かわり|||||

どちら に せよ 君 は 終わり だ |||きみ||おわり|

先 は ない さき||

( 透 子 ) まだ 何 も 始まって い ない わ よ とおる|こ||なん||はじまって||||

私 に は まだ 名前 も 付い て い ない の だ から わたくし||||なまえ||つけい||||||

( ブギー ポップ ) だったら 今 付け て やる |ぽっぷ||いま|つけ||

君 の よう な 存在 は 霧 間 ( き り ま ) 凪 ( なぎ ) の 父親 なら ― きみ||||そんざい||きり|あいだ||||なぎ|||ちちおや|

“ イマジ ネーター ” と 呼 ん で い た |||よ||||

フッ

“ 愛 と は 4 月 に 降る 雪 の よう な もの だ ” あい|||つき||ふる|ゆき|||||

“ 思いがけなく しかし 確か に 予感 を 持って い た 存在 ” おもいがけなく||たしか||よかん||もって|||そんざい

だった かしら ?

始まり の 終わり は 同時に 終わり の 始まり で も ある の よ はじまり||おわり||どうじに|おわり||はじまり|||||

ブギー ポップ |ぽっぷ

あなた は 今 私 を 止め た ||いま|わたくし||とどめ|

でも それ は ただ 次 の 終わり を 始め た だけ ||||つぎ||おわり||はじめ||

( 透 子 ) 私 が 本当 に 地面 に 落ちる まで まだ 時間 が ある とおる|こ|わたくし||ほんとう||じめん||おちる|||じかん||

その 間 に あなた は 私 を 見つける こと が できる かしら ? |あいだ||||わたくし||みつける||||

♪ ~

~ ♪

( 佐和子 ( さわ こ ) ) 時々 夜中 に ハッと 目 が 覚め て しまう こと が ある ん です さちこ|||ときどき|よなか||はっと|め||さめ|||||||

( 佐和子 ) 何 か が 胸 の 上 に 乗っかって い て ― さちこ|なん|||むね||うえ||のっかって||

自分 を のぞき込 ん で いる よう な 気 が する ん です じぶん||のぞきこ||||||き||||

でも 目 を 開け て みる と … |め||あけ|||

( 飛鳥井 ( あす かい ) ) ふむ 何も ない と いう わけ か あすかい||||なにも|||||

きっと 夢 な ん だ ろ う って 自分 でも 分かって る ん です けど |ゆめ|||||||じぶん||わかって||||

( 飛鳥井 ) その “ 何 か ” だ が ― あすかい||なん|||

君 に 何 か 話しかけ て くる ん じゃ ない の か ? きみ||なん||はなしかけ|||||||

そう な ん です ! どう し て ! ?

( 飛鳥井 ) 何 と 言った か 覚え て いる かい ? あすかい|なん||いった||おぼえ|||

いいえ それ が …

( 飛鳥井 ) 思い出 せ ない と いう わけ だ ね あすかい|おもいで|||||||

( 飛鳥井 ) 根 が ない な あすかい|ね|||

葉 も 少ない は||すくない

つぼみ ばかり が 大きい |||おおきい

( 佐和子 ) どうも すみません … さちこ||

( 飛鳥井 ) その くせ 幹 は 今 に も 折れ そう だ あすかい|||みき||いま|||おれ||

あっ あの 飛鳥井 先生 ||あすかい|せんせい

( 飛鳥井 ) 僕 が 言う の も 何 な ん だ けど ― あすかい|ぼく||いう|||なん||||

君 は あんまり 受験 と いう もの を 大 ごと に 考え ない ほう が いい きみ|||じゅけん|||||だい|||かんがえ||||

え ?

大学 に 入って も 悩み が なく なる わけ じゃ ない し ― だいがく||はいって||なやみ|||||||

将来 が 保証 さ れる わけ で も ない しょうらい||ほしょう||||||

君 は 何となく そう いう こと に 気づ い て いる ん だ きみ||なんとなく|||||きづ|||||

恐らく その 夢 は ― おそらく||ゆめ|

心 の 奥底 から 発する 大学 進学 に 対し て の ― こころ||おくそこ||はっする|だいがく|しんがく||たいし||

“ ちょっと 待て ” と いう 無意識 の サイン な ん だ よ |まて|||むいしき||さいん||||

はい

大学 に 入り たい と 思う こと は 別に 悪い こと でも 何でもない だいがく||はいり|||おもう|||べつに|わるい|||なんでもない

ただ 思い詰める の は よく ない と いう こと だ よ |おもいつめる|||||||||

分かった … よう な 気 が し ます わかった|||き|||

( 飛鳥井 ) 少し つぼみ が 緩 ん で き た な あすかい|すこし|||ゆる|||||

ありがとう ござい まし た

努力 は 本物 な ん だ から ― どりょく||ほんもの||||

あと は 落ち着 い て 進める こと を 考え れ ば いい ||おちつ|||すすめる|||かんがえ|||

はい ! すごく スッキリ し まし た ! ||すっきり|||

先生 は セラピスト と か 何 か そう いう 方面 に 向 い て そう です ね せんせい|||||なん||||ほうめん||むかい|||||

は あ ?

あっ ごめんなさい 失礼 です ね ||しつれい||

ハハッ 考え て おく よ |かんがえ|||

絵描き じゃ 食え ない って 言う し ね えかき||くえ|||いう||

そう だ 先生 ||せんせい

“ 時 に は 4 月 に も 雪 が 降る ” って 何 です ? じ|||つき|||ゆき||ふる||なん|

え ? 何 だって ? |なん|

いえ 例 の 夢 の 中 で その ひと言 だけ 覚え て いる ん です |れい||ゆめ||なか|||ひとこと||おぼえ||||

でも きっと 大した こと じゃ ない と 思い ます ||たいした|||||おもい|

失礼 し まし た しつれい|||

“ 4 月 に も 雪 が 降る ” か つき|||ゆき||ふる|

( 飛鳥井 ) 僕 に は 生まれつき ― あすかい|ぼく|||うまれつき

“ 人 の 心 の 欠落 し て いる もの ” が 見える 力 が ある じん||こころ||けつらく||||||みえる|ちから||

子供 の ころ 読 ん だ 本 の 一節 に ― こども|||よ|||ほん||いっせつ|

“ この 子 が きれい な の は ― ” |こ|||||

“ 心 の 中 に バラ を 1 輪 持って いる から だ ” と あった が ― こころ||なか||ばら||りん|もって||||||

僕 の 目 に 映る 光景 は まさに それ だ ぼく||め||うつる|こうけい||||

しかし どの 植物 も 何 か が 欠落 し て いる ||しょくぶつ||なん|||けつらく|||

少女 に 根 が なかった よう に どんな 人間 も 必ず 何 か が 欠け て いる しょうじょ||ね||||||にんげん||かならず|なん|||かけ||

欠け て いる もの は どう しよ う も でき ない かけ||||||||||

だから 僕 は 時折 言葉 で 補う |ぼく||ときおり|ことば||おぎなう

でも 何 が 欠け て いる か 分かる だけ な ん だ |なん||かけ||||わかる||||

( 女子 生徒 ) あっ 雪 ! じょし|せいと||ゆき

( 女子 生徒 ) ホント だ きれい ! じょし|せいと|ほんと||

( 飛鳥井 ) 僕 に は 自分 自身 の それ を 見る こと は でき ない から … あすかい|ぼく|||じぶん|じしん||||みる|||||

あ ?

えっ ! ?

あっ 危ない ! |あぶない

あっ … う っ …

ハッ

( 透 子 ) フフフ … とおる|こ|

どう いう こと だ ?

人 に 見え ない もの が 見える と いう の は ― じん||みえ||||みえる||||

決して 楽しい こと で は ない わ ね けっして|たのしい||||||

何 だって ! ? あ … なん||

( 透 子 ) あなた の 気持ち は とても よく 分かる わ とおる|こ|||きもち||||わかる|

私 も 昔 は そう だった もの よ わたくし||むかし|||||

き … 君 も ? |きみ|

( 透 子 ) ええ 私 は 人 の 死 が 見える ん です も の とおる|こ||わたくし||じん||し||みえる||||

“ 死 ” だって ? し|

( 透 子 ) 正確 に 言う なら ― とおる|こ|せいかく||いう|

“ 命 と さ れ て いる もの が 燃え尽きる 寸前 に 生じる ― ” いのち||||||||もえつきる|すんぜん||しょうじる

“ エネルギー 体 ” と 言う べき かしら えねるぎー|からだ||いう||

私 は 人 が 死 を 使う こと が できる 可能 性 … わたくし||じん||し||つかう||||かのう|せい

そう いう ふう に 世界 を 創り 変える の が 私 の 使命 ||||せかい||つくり|かえる|||わたくし||しめい

私 は 今 の 世界 に とって の 敵 わたくし||いま||せかい||||てき

春 に なって も 世界 に 冷た さ を 運ぶ 4 月 に 降る 雪 はる||||せかい||つめた|||はこぶ|つき||ふる|ゆき

えっ ?

私 の 仕事 に 協力 し て いた だ け ませ ん ? わたくし||しごと||きょうりょく|||||||

飛鳥井 先生 あすかい|せんせい

何 の こと だ ? 君 は 一体 誰 な ん だ ? なん||||きみ||いったい|だれ|||

敵 は 私 の こと を “ イマジ ネーター ” と 呼ぶ わ てき||わたくし|||||||よぶ|

( 飛鳥井 ) ま 待て ! あすかい||まて

あ …

( 琴 絵 ( こと え ) ) お かえり ! こと|え||||

( 琴 絵 ) 仁 ( じん ) 兄さん ごはん まだ だ よ ね ? こと|え|しとし||にいさん|||||

( 飛鳥井 ) ん … ああ あすかい||

よかった シチュー 作った から あと で 持って く ね |しちゅー|つくった||||もって||

ああ ありがとう

( 琴 絵 ) なんか 今日 は 疲れ た 顔 し てる ね こと|え||きょう||つかれ||かお|||

( 飛鳥井 ) うん まあ … あすかい||

そろそろ 追い込み の 時期 だ から ね |おいこみ||じき|||

( 琴 絵 ) 大変 ねえ こと|え|たいへん|

フッ ひと 事 み たい に 言って る けど ― ||こと||||いって||

来年 は 琴 絵 ちゃん も 同じ 境遇 だ ろ ? らいねん||こと|え|||おなじ|きょうぐう||

あー 私 は どう しよ う かな |わたくし|||||

仁 兄 さん の 予備 校 に 行 こ う かしら ? しとし|あに|||よび|こう||ぎょう|||

いつ から 美 大 進学 希望 に なった ん だ ? ||び|だい|しんがく|きぼう||||

進路 相談 も し てる ん でしょ う ? しんろ|そうだん||||||

まあ ね

ただ 僕 に 相談 に 来る 子 たち って みんな すごく 真剣 な 人 ばかり だ よ |ぼく||そうだん||くる|こ|||||しんけん||じん|||

それ 私 が 真剣 じゃ ない って こと ? |わたくし||しんけん||||

やっぱり そう 見える わ よ ね 私 ||みえる||||わたくし

冗談 だ よ じょうだん||

僕 に 相談 なんか 来 ない ほう が いい ん だ ホント は ぼく||そうだん||らい|||||||ほんと|

え ?

自分 の 悩み は 自分 で 悩む べき な ん だ よ じぶん||なやみ||じぶん||なやむ|||||

まして や 受験 の こと じゃ ― ||じゅけん|||

講師 の 僕 は あまり 思い切った こと が 言 え ない こうし||ぼく|||おもいきった|||げん||

僕 じゃ どう に も なら ない こと ばかり だ ぼく|||||||||

( 琴 絵 ) 仁 兄 さん は 人 の こと 心配 し すぎる の よ こと|え|しとし|あに|||じん|||しんぱい||||

もっと 自分 が 楽 に なる こと も 考え て も いい ん だ と 思う |じぶん||がく|||||かんがえ|||||||おもう

うん

( 飛鳥井 ) この 子 は 思いやり が あり 優しい いい 子 だ あすかい||こ||おもいやり|||やさしい||こ|

しかし つぼみ さえ …

ありがとう そう 言って もら える と 心強い よ ||いって||||こころづよい|

どう に も なら ない こと なんて ない わ

なんとか なる 道 は 必ず ある って ||どう||かならず||

( 飛鳥井 ) そう 思 え たら い い ん だ けど ね あすかい||おも||||||||

( 透 子 ) ただし その 道 と いう の は ― とおる|こ|||どう||||

少し 残酷 で 世 の 正義 に は 反する こと かも … すこし|ざんこく||よ||せいぎ|||はんする||

( 透 子 ) しれ ない けれど も ね とおる|こ|||||

お お前 は ! ? |おまえ|

さっき の 幻覚 幽霊 か ! ? ||げんかく|ゆうれい|

その 言い 方 は 正確 で は ない わ |いい|かた||せいかく||||

正しく は “ 現在 に あらわれ た 未来 ” と 言う べき ね まさしく||げんざい||||みらい||いう||

それとも “ 可能 性 上 の 仮説 の 実体 化 ” と 言う べき かしら ? |かのう|せい|うえ||かせつ||じったい|か||いう||

飛鳥井 先生 あなた なんとか し たい と は 思わ ない ? あすかい|せんせい|||||||おもわ|

な 何 を だ ? |なん||

人 の 心 の 欠落 を じん||こころ||けつらく|

あなた に は 何 が 欠け て いる と 思う ? 飛鳥井 先生 |||なん||かけ||||おもう|あすかい|せんせい

え ?

あなた に 欠け て いる の は 使命 よ ||かけ|||||しめい|

な っ …

あなた に は ほんの 少し だけ 未来 を 見せ て あげる ||||すこし||みらい||みせ||

う わ あっ

ハァ ハァ ハァ … ( 透 子 ) どう ? |||とおる|こ|

( 飛鳥井 ) 今 の は 何 だ ? あの 光景 は … あすかい|いま|||なん|||こうけい|

あなた の 使命 よ 飛鳥井 先生 ||しめい||あすかい|せんせい

( 飛鳥井 ) 僕 は あんな こと は し ない ! あすかい|ぼく||||||

する か し ない か は あなた の 自由 よ ||||||||じゆう|

でも ね あなた に は できる

それ は 変わら ない 事実 ||かわら||じじつ

ふざける な ! お前 は 何者 だ ? ||おまえ||なにもの|

悪魔 な の か ? それ で 僕 を … あくま||||||ぼく|

誘惑 ? ゆうわく

いいえ 決める の は あなた |きめる|||

鳥 だって 空 から 落ちる こと も ある し ― ちょう||から||おちる||||

時 に は 4 月 に だって 雪 が 降る こと も ある の よ じ|||つき|||ゆき||ふる|||||

飛鳥井 先生 あすかい|せんせい

き 消えろ ! |きえろ

( 琴 絵 ) あ あっ あっ えっ ? 何 ? こと|え|||||なん

えっ … あっ ごめん 大丈夫 かい ? |||だいじょうぶ|

仁 兄 さん … こそ … しとし|あに||

( 女子 生徒 ) 聞い て ます ? じょし|せいと|ききい||

( 女子 生徒 ) 先生 ( 飛鳥井 ) ん ? あ … うん じょし|せいと|せんせい|あすかい|||

何度 も 同じ 夢 を 見る … だ っけ ? なんど||おなじ|ゆめ||みる||

( 女子 生徒 ) ええ 誰 か が 話しかけ て くる ん です じょし|せいと||だれ|||はなしかけ||||

その 人 の 言葉 を 聞い て いる と なんだか 受験 勉強 も 世 の 中 も ― |じん||ことば||ききい|||||じゅけん|べんきょう||よ||なか|

どう で も いい よう な 気 が し て くる ん です ||||||き||||||

私 おかし い ん でしょ う か ? わたくし||||||

あ …

先生 ? 飛鳥井 先生 せんせい|あすかい|せんせい

ん ? ああ …

どう かし た ん です か ?

いや 話 を 続け て |はなし||つづけ|

( 女子 生徒 ) その 夢 は あまり に も 優し すぎ て … じょし|せいと||ゆめ|||||やさし||

それ が なんだか 怖い ん です |||こわい||

( 絵 を 丸める 音 ) 何 を やって る ん だ 俺 は え||まるめる|おと|なん||||||おれ|

イマジ ネーター …

( 刑事 ) それ じゃあ あの 娘 は あんた に 襲いかかった か と 思う と ― けいじ||||むすめ||||おそいかかった|||おもう|

急に 自分 の 喉 を か っさ ばい ち まった … と ― きゅうに|じぶん||のど|||||||

そう いう こと だ ね ?

はい

( 静子 ( しず こ ) ) う う … しずこ||||

た 助け て … |たすけ|

( 飛鳥井 ) 誰 だ ? あすかい|だれ|

おい どう かし た の か ?

あっ 君 大丈夫 か ! ? |きみ|だいじょうぶ|

どう し た ん だ ?

( 静子 ) う う … 助け … しずこ|||たすけ

う あっ

( 静子 ) 大声 を 出す な よ 飛鳥井 先生 しずこ|おおごえ||だす|||あすかい|せんせい

え ?

( 静子 ) 人 が いい の は 相変わらず だ な しずこ|じん|||||あいかわらず||

あんた なら 引っかかる と 思った よ ||ひっかかる||おもった|

君 は … 確か 今崎 ( いま ざ き ) 君 きみ||たしか|いまざき||||きみ

フッ まさか 覚え て い て くれ た と は ね ||おぼえ||||||||

さあ カネ だ よ 先生 ある だけ 出し な |かね|||せんせい|||だし|

それ で 薬 を 買う の か ? 一体 何 が あった ん だ ? ||くすり||かう|||いったい|なん||||

そんな こと は どう でも いい だ ろ !

早く カネ を 出せ って 言って ん だ よ はやく|かね||だせ||いって|||

( 刑事 ) あの 娘 あんた の 知り合い だって ? けいじ||むすめ|||しりあい|

( 飛鳥井 ) はい 名前 は 今崎 静子 あすかい||なまえ||いまざき|しずこ

私 の 教え子 の 1 人 で とても 優秀 な 生徒 で し た わたくし||おしえご||じん|||ゆうしゅう||せいと|||

( 刑事 ) 恨み を 買って い た と か 思い当たる 節 は ? けいじ|うらみ||かって|||||おもいあたる|せつ|

ある かも しれ ませ ん

まあ こっち の 調べ だ と 家庭 環境 が 原因 の よう だ が ね |||しらべ|||かてい|かんきょう||げんいん|||||

彼女 の 相談 を 受け た とき に 助け られ なかった ん です きっと かのじょ||そうだん||うけ||||たすけ|||||

( 静子 ) ほら さっさと しろ 死に たく なけりゃ カネ だ ! しずこ||||しに|||かね|

殺す ん なら 殺せ ば いい ころす|||ころせ||

私 は 本気 だ よ ! わたくし||ほんき||

僕 だって 本気 だ ! ぼく||ほんき|

う …

なのに 君 は 簡単 に 薬 なんか に 逃げ て |きみ||かんたん||くすり|||にげ|

そんな 物 が 一体 何 の 役 に 立つ ん だ ! |ぶつ||いったい|なん||やく||たつ||

何 だ よ 急に なん|||きゅうに

( 飛鳥井 ) ハイ に な ろ う が どう しよ う が ― あすかい|はい|||||||||

結局 僕 たち に は どう に も なら ない ん だ よ ! けっきょく|ぼく|||||||||||

( 静子 ) う う っ しずこ|||

ハッ !

( 透 子 ) そう 薬 … で も これ は 自分 用 の 物 じゃ ない とおる|こ||くすり|||||じぶん|よう||ぶつ||

お前 は ! おまえ|

誤解 し ない で ごかい|||

今 の 一 連 の 行動 は 全て この 子 の 意志 に よる もの よ いま||ひと|れん||こうどう||すべて||こ||いし||||

でも この 子 も やり たく て やった わけ じゃ ない ||こ||||||||

( 刑事 ) あの 娘 は 別件 で 追いかけ て た ルート の 売 人 の 1 人 だった けいじ||むすめ||べっけん||おいかけ|||るーと||う|じん||じん|

前 から 知って い た ん です か ? ぜん||しって|||||

ああ マーク は し て い た 本丸 を たたく ため に ね |||||||ほんまる|||||

ねえ この 麻薬 は 何 だ と 思う ? 飛鳥井 先生 ||まやく||なん|||おもう|あすかい|せんせい

売ら さ れ て いた ん だ ろ うら|||||||

ご 名答 |めいとう

初心 者 向け の 安物 ね しょしん|もの|むけ||やすもの|

カネ を 稼ぐ だけ なら ― かね||かせぐ||

もっと 手っ取り早い 方法 は ある のに ね |てっとりばやい|ほうほう||||

かわいそう に

こんな ボロボロ の 姿 じゃ それ も でき ない |ぼろぼろ||すがた|||||

カネ を 作る ため に は 言いなり に なる しか ない の かね||つくる||||いいなり|||||

でも この 子 は どう し て も それ が でき なかった ||こ|||||||||

悲しい 話 ね かなしい|はなし|

自分 み たい な 人間 を 増やし たく ない と 思い つつ ― じぶん||||にんげん||ふやし||||おもい|

でも どう する こと も でき ない

それ で 昔 優しく し て くれ た 記憶 の ある あなた を 頼った の よ ||むかし|やさしく|||||きおく|||||たよった||

この 子 は |こ|

( 飛鳥井 ) 知って い て あなた 方 は … あすかい|しって||||かた|

( 刑事 ) 我々 も どう する こと も でき ん よ けいじ|われわれ||||||||

あそこ まで いって しまう と ね

( 透 子 ) でも ね 飛鳥井 先生 とおる|こ|||あすかい|せんせい

どっちみち この 子 は もう 終わり な の ||こ|||おわり||

何 だ と ? なん||

薬 で 体 は ズタズタ くすり||からだ||ずたずた

ほっと い て も もう 1 か月 と もた ない の |||||かげつ||||

もう どう しよう も ない まま むなしく 切なく ― |||||||せつなく

寂しい まん ま 死 ん で いく しか ない の さびしい|||し||||||

くっ …

でも あなた なら や れる こと が ある かも しれ ない わ

あっ ああ … あっ …

この 自殺 も 覚悟 の 上 み たい な 感じ だし な |じさつ||かくご||うえ||||かんじ||

( 飛鳥井 ) 自殺 … です か あすかい|じさつ||

ああ あんた は すぐ 帰 れる よ 目撃 者 も いる よう だ し ね ||||かえ|||もくげき|もの||||||

自殺 … じさつ

( 女性 の 悲鳴 ) じょせい||ひめい

( 静子 ) ちくしょう … ちくしょう … しずこ||

ちくしょう …

ちく しょ …

( 刑事 ) なあ 飛鳥井 さん けいじ||あすかい|

( 飛鳥井 ) 何 です ? あすかい|なん|

( 刑事 ) あんた あの 子 が 死ぬ の を みとった とき ― けいじ|||こ||しぬ||||

何 か 言った の か ? なん||いった||

なぜ です ?

いや あの 子 あんな 死に 方 し た の に 妙に 死に 顔 が 穏やか で な ||こ||しに|かた|||||みょうに|しに|かお||おだやか||

何て の か 心 の 中 の トゲ が 全部 取れ ち まった よう な なんて|||こころ||なか||とげ||ぜんぶ|とれ||||

そんな 仏 だった んで ね |ふつ|||

( 飛鳥井 ) そう です か 私 は 別に 何 も … あすかい||||わたくし||べつに|なん|

( 飛鳥井 ) 忙しく なる な これ から あすかい|いそがしく||||

( 正樹 ( まさき ) ) やめ て くれ ! この 子 は 関係ない ! まさき||||||こ||かんけいない

( 少年 ) 何 だ ? いまさら かっこ つけ や がって しょうねん|なん||||||

( 少年 ) て め え は とっとと う せろ ! しょうねん|||||||

( 少年 ) こっち は その 女 と お 楽しみ だ しょうねん||||おんな|||たのしみ|

( 正樹 ) や … やめろ まさき||

( 飛鳥井 ) お ー い そこ の 君 あすかい||-||||きみ

勘違い し て いる かも しれ ない ので 一応 聞く が かんちがい||||||||いちおう|きく|

( 少年 ) だ 誰 だ ? しょうねん||だれ|

( 飛鳥井 ) 君 は その 女の子 を 助け たい の か ? あすかい|きみ|||おんなのこ||たすけ|||

は はい

なるほど

では ここ は 僕 に 任せ て 早く 逃げ た まえ |||ぼく||まかせ||はやく|にげ||

はい ! あ … ありがとう ござい ます !

( 少年 ) お おい 待て ! しょうねん|||まて

( 飛鳥井 ) 待つ の は 君 ら だ ( 少年 ) ん だ と ? あすかい|まつ|||きみ|||しょうねん|||

( 少年 ) 何 な ん だ て め え しょうねん|なん||||||

いや 別に 君 ら に 恨み が ある わけ じゃ ない が |べつに|きみ|||うらみ||||||

少し ばかり ― すこし|

実験 台 に なって もら お う と 思って じっけん|だい|||||||おもって

( 衝撃 音 ) しょうげき|おと

あ あっ

あ …

あんた 一体 そい つ ら に 何 し た ん だ ? |いったい|||||なん||||

言って も 分かる まい いって||わかる|

ただ 危害 を 加え た わけ で は ない よ |きがい||くわえ||||||

むしろ 幸福 に して やった ん だ |こうふく|||||

な 何 言って ん だ よ 一体 何者 だ ? あんた |なん|いって||||いったい|なにもの||

( 飛鳥井 ) ん ? そう いえ ば … あすかい||||

なあ 何て 名前 だ っけ ? |なんて|なまえ||

( 透 子 ) イマジ ネーター よ とおる|こ|||

そう そう そい つ だ

( 少年 ) あっ ああ あ あっ しょうねん||||

( 少年 の 体 を 貫く 音 ) しょうねん||からだ||つらぬく|おと

( 口笛 ) くちぶえ

( 真理子 ( まりこ ) ) わ あ なんて きれい な 音色 まりこ|||||||ねいろ

フフ … きれい に 聞こえ た と し たら |||きこえ||||

それ は あなた の “ この 音 が 好き ” と いう 気持ち が そう さ せ た の よ |||||おと||すき|||きもち|||||||

( 真理子 ) 生前 透 子 さん は よく 言って い まし た まりこ|せいぜん|とおる|こ||||いって|||

( 透 子 ) 小宮 ( こみ や ) さん この世 の 中 に は ― とおる|こ|こみや||||このよ||なか||

決まり 事 なんて ホント は 何も ない の よ きまり|こと||ほんと||なにも|||

鳥 が 空 から 落ちる こと も ある し 4 月 に 雪 が 降る こと だって ある ちょう||から||おちる|||||つき||ゆき||ふる|||

( 真理子 ) 透 子 さん … まりこ|とおる|こ|

( ブギー ポップ ) 君 は … ( 真理子 ) ハッ ! |ぽっぷ|きみ||まりこ|

( ブギー ポップ ) 水 乃 星 ( みな ほし ) 透 子 の 後 を 追い たい の かい ? |ぽっぷ|すい|の|ほし|||とおる|こ||あと||おい|||

しかし 君 が そこ から 飛び降り た ところ で ― |きみ||||とびおり|||

彼女 の ところ へ は 行け まい かのじょ|||||いけ|

あなた … ブギー ポップ ? ||ぽっぷ

ほう 僕 の こと を 知って いる ん だ ね |ぼく||||しって||||

( 真理子 ) どう いう こと よ ? まりこ||||

私 が 透 子 さん の ところ に 行け ない って わたくし||とおる|こ|||||いけ||

( ブギー ポップ ) それ は 簡単 だ |ぽっぷ|||かんたん|

水 乃 星 透 子 と 違って 君 は 自ら の 意志 で 命 を 絶 と う と し て いる すい|の|ほし|とおる|こ||ちがって|きみ||おのずから||いし||いのち||た||||||

君 は 僕 を 知って いる の だ ろ う ? きみ||ぼく||しって|||||

だったら 僕 の 役目 も 知って いる はず だ |ぼく||やくめ||しって|||

( 真理子 ) ま まさか それ じゃ … まりこ||||

そう だ 僕 は 死 神 ||ぼく||し|かみ

水 乃 星 透 子 は 僕 が 殺し た の さ すい|の|ほし|とおる|こ||ぼく||ころし|||

ど どう し て !

( ブギー ポップ ) 彼女 が 世界 の 敵 だった から だ |ぽっぷ|かのじょ||せかい||てき|||

あるいは こう いう 言い 方 も できる よ |||いい|かた|||

“ 水 乃 星 透 子 は まだ ― ” すい|の|ほし|とおる|こ||

“ あの世 と やら に 着 い て さえ い ない ” と ね あのよ||||ちゃく|||||||

ど どう いう 意味 ? |||いみ

今 どこ に いる の か 僕 に も 分から ない と いう こと だ いま||||||ぼく|||わから|||||

それ でも 死ぬ かい ? ||しぬ|

でも … でも …

だって …

あ … あ あっ

ああ …

( ブギー ポップ ) 悪い けど 君 を 殺す 気 は ない よ |ぽっぷ|わるい||きみ||ころす|き|||

残念 ながら 君 に は それ だけ の 価値 は ない ざんねん||きみ||||||かち||

もう ここ に は い ない よう だ な

それにしても まだ 続 い て いる の か ||つづ|||||

イマジ ネーター

♪ ~

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