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氷菓, Hyouka Episode 3

Hyouka Episode 3

( 千 反 田 ( ち た ん だ ) える ) ハッ

( 折 木 奉 太郎 ( おれ き ほう たろう ) ) マスター

コーヒー を もう 1 杯

( える ) あの …

実は 私 …

私 折 木 さん に …

頼み が ある ん です !

えっ ? ああ

えっ ?

( 奉 太郎 ) 頼み ? ( える ) はい

本当 なら これ は 私 だけ の 問題 です から ―

お 願い できる 筋合い で は あり ませ ん

だから まず 話 を 聞い て くれ ませ ん か ?

まあ 聞く だけ なら

( える ) はい !

( える ) 私 に は ―

関谷 純 ( せき た に じゅん ) と いう 伯父 が い た の です が

私 が その 伯父 から 何 を 聞い た の か ―

思い出さ せ て ほしい ん です

よく 分から ん の だ が

あっ すみません 先走り すぎ まし た

ちゃんと 順 を 追って お 話し し ます

実は その 伯父 は 7 年 前 に インド に 行った っきり ―

行方 不明 に なって い ます

子ども の ころ の 私 は その 伯父 に よく 懐 い て い まし た

どんな 突 拍子 も ない 質問 に も 必ず 答え て くれ て ―

知ら ない こと など 何も ない よう な 人 で し た

私 が 幼稚園 の ころ ―

伯父 が 古典 部 だった こと を 知り それ に 興味 を 持ち まし た

いつも 家 ( うち ) に あった スコンブ に 語呂 が 似 て い た から だ と 思い ます

( 奉 太郎 ) ダジャレ か …

( える ) ある 日 私 は

古典 部 に まつわる 何 か に つい て 伯父 に 尋ね まし た

すると その とき だけ なぜ か 妙に 返事 を いやがった ん です

( 奉 太郎 ) いやがった ?

( える ) はい

私 が ずいぶん だ だ を こね て ―

ようやく 伯父 は 答え て くれ た ん です が …

その 答え を 聞い た 私 は …

( 奉 太郎 ) お前 は ?

泣き まし た

恐ろしかった の か 悲しかった の か

大 泣き し まし た

泣 い た …

しかも 母 が 驚 い て 飛 ん で き て くれ た ん です が

伯父 は そんな 私 を ―

あやし た り は し て くれ なかった ん です

その とき の こと は ただ ショック が 大きかった だけ で

これ 以上 は 何も 覚え て い ませ ん

でも 中学生 に なった ころ 気 に なり だし まし た

伯父 は なぜ 答え を 渋った の か ?

なぜ あやし て くれ なかった の か ?

それ から の 私 は や れる こと は やった つもり です

疎遠 に なって いる 関谷 家 に も できる 範囲 で 接触 し まし た

ですが どうして も 思い出せ なかった ん です

( 奉 太郎 ) う っ うん …

だから 私 は 神山 ( かみ やま ) 高校 に 入った とき

古典 部 が 最後 の 望み だ と 思い まし た

それ が 一身 上 の 都合 か

ですが 古典 部 が 廃部 寸前 だった と は 知り ませ ん で し た

職員 室 で 聞い て み て も ―

伯父 が 高校 生 だった 45 年 前 の こと を ―

知って いる 先生 も い なく て

… で なぜ そこ で 俺 に 助け を 求める

それ は …

それ は 折 木 さん が ―

私 で は 想像 も し なかった 結論 を 出し て くれ そう だ から です !

あの 鍵 の とき と か 本 の とき

そして 勧誘 メモ の とき も です

折 木 さん なら ―

きっと 私 を 答え まで 導 い て くれる と 思う ん です !

買いかぶら れ て も 困る あんな もの は ただ の 運 だ

なら その 運 に 頼ら せ て ください !

気 が 進ま ん

( 奉 太郎 ) これ は 千 反 田 と いう 一 人 の 人間 の

大げさ に 言え ば 人生 観 に も 関わる 問題 だ

そんな こと に 省エネ 主義 の この 俺 が 少し でも 責任 を 負う と でも ?

ご 冗談 を

なぜ 俺 だけ な ん だ ? 頼れ る やつ は ほか に も いる だ ろ う

人海 戦術 を 使え ば いい

お前 の 友達 に も 頼 ん で み れ ば どう だ ?

( える ) 折 木 さん

私 は 過去 を 言いふらし て 回る 趣味 は あり ませ ん

( 奉 太郎 ) あ …

こんな の …

誰 に でも する 話 じゃ あり ませ ん

( 奉 太郎 ) すま ん

私 は ずいぶん 無 茶 を 言って い ます

自分 の 思い出 に ―

折 木 さん まで 巻き込 ん で は いけない と は 分かって い ます

ただ …

伯父 より も ずっと 愛想 は 悪い けれど ―

あなた も 答え て くれ まし た

( 奉 太郎 ) 愛想 が 悪く て 悪かった な

( える ) 私 は そんな 折 木 さん に 伯父 を 重ねて い た の かも しれ ませ ん

( 奉 太郎 ) 高校 は 3 年間 ある その あいだ に ゆっくり 探せ ば いい

私 は 伯父 が 死 ん で しまう 前 に ―

伯父 の こと を 思い出し たい の です

( 奉 太郎 ) 死 ん で しまう ?

( える ) はい

法律 で は 7 年 の あいだ 生死 が 不明 と なれ ば ―

死亡 し た と して 扱う こと が できる そう です

( 奉 太郎 ) そう な の か

伯父 の 家 ( いえ ) でも いずれ この 件 に 区切り を つける 予定 です

ささやか です が 葬儀 も 営む そう です

だから …

だから 私 は ―

伯父 が 私 に 伝え て くれ た こと を 胸 に ―

その 葬儀 に 臨み たく て …

すみません

( 折 木 供 恵 ( ともえ ) ) “ 奉 太郎 ”

“ どうせ やり たい こと な ん か ない ん でしょ ? ”

あっ

ハッ

俺 は お前 に 対 し て 責任 を 取れ ない

だから お前 の 頼み を 引き受ける と は 言わ ない

だが その 話 を 心 に とどめ て おい て

ヒント に なる よう な こと を 見かけ たら 必ず 報告 しよ う

その 解釈 に 手間取る よう なら その とき も 手助け する

はい …

それ で よけ れ ば 手伝わ せ て もらう

ありがとう ござい ます

どう か よろしく お 願い し ます

( 奉 太郎 ) ああ …

( 奉 太郎 ) 高校 生活 と いえ ども 決して バラ 色 だけ で は ない

例えば 定期 試験

神山 高校 でも 1 学期 中間 テスト が 始まった

この 試験 期間 中 は すべて の 部活 が 休止 に なる

それ は もちろん 古典 部 も な の だ が ―

ふだん から 何も やって い ない ので 正直 ほとんど 変わら ない

ならば ふだん どおり に し て い て も いい よう な もの だ が

鍵 が 貸し出さ れ ない の で は しかたがなかった

( 奉 太郎 ) うん …

う うん …

( 教師 ) はい 終了

( 生徒 たち の ざわめき 声 )

ハア …

う っ

( 奉 太郎 ) 中間 テスト 終了 やれやれ

( バイク の 音 )

( 折 木 供 恵 ) “ 前略 ”

“ 私 は 今 イスタンブール に い ます ”

“ ちょっと 失敗 し ちゃ って 日本 領事 館 に こもって る から ”

“ 街 の 中 は まだ 見 て ない ん だ けど ね ”

何 やった ん だ 姉 貴

( 供 恵 ) “ この 旅 面白い わ ”

“ きっと 10 年 後 この 毎日 の こと を 惜しま ない ”

( 奉 太郎 ) ん ?

( 供 恵 ) “ ところで 古典 部 は どう ? 部員 は 増え た ? ”

“ それ で ちょっと 気 に なる こと が あった から 書 い て おく ね ”

“ あんた 文集 作る 気 ある ? ”

“ 古典 部 は 毎年 文化 祭 で 文集 出し て た ん だ けど ― ”

“ 今 も 続 い てる の か な ? ”

“ 続 い てる と し たら ― ”

“ もし かして 作り 方 が 分か ん ない かも しれ ない と 思って ”

“ 古典 部 の 文集 は 図書 室 に は ない から ね ”

“ 探す の は 部室 ”

“ そこ に 使わ れ て ない 薬品 金庫 が あって ― ”

“ バック ナンバー は その 中 鍵 は 開 い てる わ ”

“ じゃあ プリシュティナ に 着 い たら ― ”

“ 1 度 電話 する から ”

“ かしこ 折 木 供 恵 ”

薬品 金庫 ?

タイミング よ すぎ だ ろ

( える ) 本当 です か ?

( くしゃみ )

( 奉 太郎 ) 本当 だ その 手紙 も ここ に 持って き た

( 伊原 摩耶 花 ( いばら ま や か ) ) なるほど 薬品 金庫 ね

ふむ

ここ に は ない ぞ

あっ そう いえ ば 見当たり ませ ん で し た

じゃ … じゃあ 文集 は ? 文集 は ?

ち ー ちゃん 落ち着 い て 落ち着 い て

( 奉 太郎 ) ち ー ちゃん て …

( 奉 太郎 ) 千 反 田

その 手紙 に は 部室 の 薬品 金庫 って 書 い て ある だけ だ

姉 貴 が ここ を 卒業 し た の は 2 年 前 だ から な

その あいだ に 部室 が 変わった ん だ

なるほど そういう こと です か

それ で 折 木

2 年 前 は どこ だった か 分かって る の ?

顧問 に 聞い て き た 生物 準備 室 だ と さ

へえ 珍しく 準備 が いい じゃ ない

( 奉 太郎 ) 効率 を 上げ た だけ だ

( 摩耶 花 ) 張り切って る わ ね

そんな こと は ない

俺 は 一般 に 張り切ら ない

うん … おお っ

じゃあ 行き ま しょ う

あっ そう いえ ば 福部 ( ふく べ ) さん は ?

ああ 手芸 部 よ

なんか “ 夏 の ファッション シーン を 先取り ” だ と か 何とか 言って た けど

( える ) 折 木 さん

( 奉 太郎 ) ん ?

( ノック する 音 )

( える ) あら ? 開き ませ ん よ

どなた か いらっしゃい ませ ん か

( 解 錠 の 音 ) ( 3 人 ) あっ

( ドア が 開く 音 )

( 遠 垣内 将司 ( と お がい と まさ し ) ) いや あ すまない 鍵 を かけ て た

我が 壁 新聞 部 に 入部 希望 かな ?

いえ 違い ます

あの ここ は 壁 新聞 部 の 部室 な ん です か ?

そう だ けど

( 奉 太郎 ) この におい 香水 ?

いや 消臭 剤 か ?

… で 何 か 用 でも ?

あの 私 古典 部 の 部長 千 反 田 える と 申し ます

3 年 E 組 の 遠 垣内 先輩 です よ ね

あっ ?

どうして 俺 の 名前 を

( える ) 去年 万人 橋 ( まん に ん ば し ) さん の お宅 で お 姿 を 見かけ て い た もの です から

( 遠 垣 内 ) 万 人 橋 の 家 で …

待て よ

もし かして 神田 の 千 反 田 さん ?

( える ) はい 父 が お 世話 に なって い ます

( 遠 垣 内 ) ああ … あっ いや こちら こそ

そ っか 千 反 田 の …

( 奉 太郎 ) 何 を 気 に し て いる ん だ ?

( 遠 垣 内 ) それ で 何 か ?

はい ! 実は この 生物 準備 室 に ―

古典 部 の 文集 の バック ナンバー が 保管 さ れ て いる と 聞い て き た ん です

ここ は 以前 古典 部 の 部室 だった そう です ね

( 遠 垣 内 ) う っ あっ ああ

俺 が 1 年のころ は そう だった かな ?

( える ) で は !

では その 文集 は ご存じ です か ?

( 遠 垣 内 ) あっ

いや … ない ね

そう です か ありがとう ござい まし た

( 摩耶 花 ) 帰る な !

あの … すみません ここ に ある はず な ん です

探さ せ て ください !

悪い けど さっき ない って 言った はず だ よ

( 摩耶 花 ) ああ … N ( える ) そんな

( 奉 太郎 ) さっ 帰 ろ う か ( 摩耶 花 ) ちょ っ

あんた おかしい と 思わ ない の ?

( 奉 太郎 ) 思う ( 摩耶 花 ) えっ

だったら 帰る な !

( 遠 垣 内 ) まっ 気の毒 だ けど ほか を 当たって くれ

でも !

ここ に ある って いう 手がかり を 見つけ た ん です

ここ に なけ れ ば 学校 中 を 探さ なけ れ ば なら なく なる ん です

( 奉 太郎 ) 学校 中

冗談 じゃ ない

少し の 時間 で い い ん です 中 を 見せ て ください !

俺 から も

あまり 部 外 者 に 入って ほしく ない ん だ よ

先輩 でも ここ は 部室 で ある 前 に 教室 です よ ね ?

君 は ?

古典 部 の 伊原 摩耶 花 です

フウ …

分かった いい よ 探せ ば いい

ただ あまり ひっかき 回さ ない で くれよ

( 扇風機 の 音 )

( 奉 太郎 ) ほか の 部員 さん は ?

( 遠 垣 内 ) ああ 今日 は 休み な ん だ

俺 は 6 月 号 の ネタ を 考え て た

神 高 ( かみ こう ) 月報 って いう ん だ が

歴史 も 古く て もう 500 号 近い

( 摩耶 花 ) この 部室 に は ない みたい ね

やっぱり そう です か …

( くしゃみ )

( 摩耶 花 ) どう する ? 折 木 ?

( 奉 太郎 ) 先輩 ( 遠 垣 内 ) ん ?

( 奉 太郎 ) 部室 の 入れ 換え の とき に ―

何 か 荷物 の 出し入れ は あり ませ ん でし た か ?

そう いえ ば ダンボール 箱 を いく つ か 運 ん だ な

ダンボール 箱 です ね

( 遠 垣 内 ) ああ

( 奉 太郎 ) … と なる と

だが そい つ を 手 に 入れる の は ちょっと 難題 だ

ここ は カマ を かけ て みる か

( 奉 太郎 ) すみません

どうも この 部屋 は 物 が 多く て 探し物 に は 手間 が かかり そう です

顧問 の 先生 に も 手伝って もらって 徹底 的 に 捜索 し たい ん です が

いい です か ね

それ は ダメ だ

あまり ひっかき 回さ ない で くれ と 言った だ ろ

でも ここ に なかったら もう 手がかり が ない ん です !

( 奉 太郎 ) 責任 持って 全部 元どおり に し ます から

お 願い し ます

ダメ だ と 言って いる !

( える ) そんな …

俺 は 忙しい ん だ 何 が 徹底 的 に 捜索 だ !

ここ に は お前 ら の 文集 など ない ん だ !

分かったら 帰れ !

( 奉 太郎 ) ビンゴ だ

先輩

俺 たち は 薬品 金庫 の 中身 に 興味 が ある ん です よ

なん だ と !

その 中 に 文集 が ある はず な ん です

それ さえ あれ ば ―

先輩 の 手 を 煩わ せる こと も ない ん です が ね

ところで 俺 たち これ から 図書 室 に 用 が ある ん です が ―

俺 たち が 行った あと で もし 文集 が 見つかったら ―

地学 準備 室 に 置 い て おい て くれ ませ ん か ?

鍵 は 開 い て い ます

お … お前

お前 は 俺 を !

先輩 を ?

( 遠 垣 内 ) う っ う っ

う う っ

分かった

見つかったら そうして おく よ

( 奉 太郎 ) お 願い し ます

さあ 行 こ う か

おい 1 年

お前 の 名前 だけ 聞い て なかった な

折 木 奉 太郎

悪い と は 思って ます よ

( 摩耶 花 ) ねえ 折 木

どうして こんな 所 で 待って る の よ

( 奉 太郎 ) 省エネ だ

( 摩耶 花 ) 何 よ それ

ところで 千 反 田

遠 垣 内 の 家 は どういう 方面 で 有名 な ん だ ?

そう です ね …

中等 教育 に 影響 力 が あって …

教育 関係 者 が 何 人 も いる お 家柄 です ね

なるほど な

( 奉 太郎 ) 5 分 経過

( 奉 太郎 ) そろそろ 戻る か

( 奉 太郎 ) お っ 来 てる な

あっ !

( 摩耶 花 ) 文集 だ わ

ちょっと 折 木 !

あんた これ どう やった の ? 何 か 知って た の ?

まあ ちょっと 脅迫 を な

( 摩耶 花 ) 脅迫 ? ( 奉 太郎 ) ああ

伊原 お前 口 は 固い ほうか ?

( 摩耶 花 ) 何 よ

言う な と 言わ れ れ ば しゃべら ない わ よ

( 奉 太郎 ) そう か …

じゃあ まず 初め

遠 垣内 が 部屋 から 出 て き た とき ―

やつ は 明らか に 俺 たち を 警戒 し て い た

( 摩耶 花 ) 確かに

( 奉 太郎 ) 室 内 の 様子 は どう だ ?

窓 を 開け て 扇風機 を 回し て い た が ―

あの 位置 で は テーブル 上 の 用紙 も 吹き飛ばし て しまい か ねん

( 摩耶 花 ) 空気 の 入れ 換え を し たかった ん でしょ ?

そう だ

では なぜ 換気 を し たかった の か

もっと 言え ば

なぜ 内側 から 鍵 を かけ 赤外線 センサー まで 設置 し て …

ち ょ … ちょっと 待って 何 よ その 赤外線 センサー って

ああ

廊下 の 両側 に 見慣れ ない 小さな 箱 が あった ん だ

それ に 室 内 に あった ―

あの アンテナ が 付い て た の が 受信 機 だ と する と

あそこ を 誰 か が 通れ ば アラーム が 鳴る 仕組み な ん だ ろ う

よく そんな の が 分かった わ ね

まっ 状況 から の 推測 だ けど な

問題 は なぜ そこ まで 警戒 し て ―

接近 者 が 来る や 慌て て 部屋 の 換気 を し た の か

( 摩耶 花 ) に おい を 消す ため ?

それ が 妥当 だ ろ う

やつ は 消臭 スプレー の におい も さ せ て い た

… で そこ まで し て

人 に 知ら れ たく ない に おい と なる と

( 摩耶 花 ) タバコ ね

教育 界 の 名家 の 御 曹司 と も なれ ば ―

なんと し て でも ―

不法 行為 を 見つかる わけ に は いか ない って こと だ な

なるほど ね

( 奉 太郎 ) まあ もし 千 反 田 が カゼ を ひ い て い なかったら ―

一 発 で におい に 気付 い て た だ ろ う が な

あっ でも 待って

結局 文集 って どこ に あった の ?

薬品 金庫 の 中 だ ろ

お ー れ ー き ー !

べ … 別に からかって る ん じゃ ない ぞ

薬品 金庫 は あの 簡易 テーブル の 下 に あった ん だ

そして その 中 に ―

タバコ や ライター も 隠し て い た ん だ ろ う

だから 俺 が 先生 と 一緒 に 探さ せ て くれ と 頼 ん だ とき

遠 垣内 は あんなに 慌て た ん だ

( 奉 太郎 ) ん ?

やっぱり あんた 変 !

何 を … N 典型 的 な 一般 人 を 捕まえ て

( 福部 里志 ( さとし ) ) みんな !

ヘヘッ ヒマワリ !

里志

文集 の バック ナンバー が 見つかった ぞ

( 里志 ) えっ ? あっ ホント だ

へえ こんな の だった ん だ

( 摩耶 花 ) 40 年 も 前 と なる と さすが に 手作り 感 が ある わ ね

どう し た ? 千 反 田

( 里志 ) それ は ガリ 版 印刷 だ ね

正確 に は 謄写 ( と うし ゃ ) 版 印刷 って いって 明治 時代 に 発明 さ れ た もの な ん だ よ

( 奉 太郎 ) どう し た ?

折 木 さん

ん っ ?

( える ) ちょっと …

これ です

( 奉 太郎 ) 「 氷 菓 ( ひょう か ) 」 第 ニ 号

あの とき 私 は これ を 見つけ た ん です

伯父 の ところ に これ を 持っていって ―

これ は 何かと 聞い た ん です

思い出し た の か ?

この 中 を 見 て ください

これ に は 伯父 の こと が 載って い ます

何 か が あった ん です

45 年 前 に この 古典 部 で

( 奉 太郎 ) “ 今年 も また 文化 祭 が やって き た ”

“ 関谷 先輩 が 去って から もう 1 年 に なる ”

“ この 1 年 で 先輩 は 英雄 から 伝説 に なった ”

“ 争い も 犠牲 も 先輩 の あの ほほえみ さえ も ”

“ すべて は 時 の 彼方 に 流さ れ て いく ”

“ いや その ほう が いい ”

“ 覚え て い て は なら ない ”

“ なぜなら あれ は ― ”

“ 英雄 譚 ( たん ) など で は 決して なかった の だ から ”

“ すべて は 主観 性 を 失って ”

“ 歴史 的 遠近 法 の 彼方 で 古典 に なって いく ”

“ いつ の 日 か 現在 の 私 たち も ― ”

“ 未来 の 誰 か の 古典 に なる の だ ろ う ”

“ 1968 年 10 月 13 日 ”

“ 郡山 養子 ( こおり やま よう こ ) ”

ここ に ある 去年 は 45 年 前 に なり ます

ならば 古典 部 の 関谷 先輩 と は 伯父 の こと でしょ う

その 伯父 が 私 に 教え て くれ た 答え も 古典 部 に 関する こと で し た

なら もう 大丈夫 だ ろ う

でも 思い出せ ない ん です

もう ちょっと …

もう ちょっと な のに

あの 日 伯父 は 何 を 語って くれ た の でしょ う ?

45 年 前

伯父 に いったい 何 が あった と

( 奉 太郎 ) 調べ て み れ ば いい さ

( える ) でも …

覚え て い て は なら ない って 書 い て あり ます

もし 調べ たら 不幸 な こと に なる かも しれ ませ ん

忘れ られ た ほう が いい 事実 と いう もの は ―

存在 する でしょ ?

45 年 も 前 の こと でも か ?

違う ん です か ?

違う さ

ここ に 書 い て ある じゃ ない か

“ すべて は 歴史 的 遠近 法 の 彼方 で 古典 に なって いく ”

時効 って こと さ

はい

それ に 調べる って いった って ―

第 二 号 に 去年 の こと って 書 い て ある ん だ から ―

創刊 号 を 見 れ ば いい …

( 摩耶 花 ) ちょっと 何 よ これ !

創刊 号 だけ 欠け てる じゃ ない !

あっ

( える ) ハッ

♪~

~♪

( 里志 ) 次回 「 栄光 ある 古典 部 の 昔 日 ( せ き じ つ ) 」

Hyouka Episode 3 hyouka|episode Hyouka Episode 3 Hyouka Episodio 3 Hyouka Episódio 3 Hyouka Эпизод 3 Hyouka avsnitt 3

( 千 反 田 ( ち た ん だ ) える ) ハッ せん|はん|た||||||

( 折 木 奉 太郎 ( おれ き ほう たろう ) ) マスター お|き|たてまつ|たろう|||||ますたー

コーヒー を もう 1 杯 こーひー|||さかずき ||already|cup

( える ) あの … kumorizora nozoita yokan

実は 私 … じつは|わたくし

私 折 木 さん に … わたくし|お|き||

頼み が ある ん です ! たのみ||||

えっ ? ああ The light and the dark are still so far away

えっ ?

( 奉 太郎 ) 頼み ? ( える ) はい たてまつ|たろう|たのみ|| But even though they are

本当 なら これ は 私 だけ の 問題 です から ― ほんとう||||わたくし|||もんだい|| yasashisa no riyuu ga shiritai

お 願い できる 筋合い で は あり ませ ん |ねがい||すじあい||||| |||to be in a position||||| Now it doesn't matter whose name it may be

だから まず 話 を 聞い て くれ ませ ん か ? ||はなし||ききい|||||

まあ 聞く だけ なら |きく||

( える ) はい !

( える ) 私 に は ― |わたくし|| I had an uncle named Sekitani Jun.

関谷 純 ( せき た に じゅん ) と いう 伯父 が い た の です が せきや|じゅん|||||||おじ|||||| Sekiya|pure|||||||uncle||||||

私 が その 伯父 から 何 を 聞い た の か ― わたくし|||おじ||なん||ききい||| I want you to help me remember what that he told me.

思い出さ せ て ほしい ん です おもいださ|||||

よく 分から ん の だ が |わから|||| I don't really get it.

あっ すみません 先走り すぎ まし た ||さきばしり||| ||too eager|||

ちゃんと 順 を 追って お 話し し ます |じゅん||おって||はなし|| |order||to follow|||| I'll explain everything properly.

実は その 伯父 は 7 年 前 に インド に 行った っきり ― じつは||おじ||とし|ぜん||いんど||おこなった| ||||||||||only My uncle went to India seven years ago...

行方 不明 に なって い ます ゆくえ|ふめい|||| Verbleib||||| and has never been seen since.

子ども の ころ の 私 は その 伯父 に よく 懐 い て い まし た こども||||わたくし|||おじ|||ふところ||||| |||||||||oft|to be close||||| I was very fond of him as a child.

どんな 突 拍子 も ない 質問 に も 必ず 答え て くれ て ― |つ|ひょうし|||しつもん|||かならず|こたえ||| welche Art von|sharp|beat||||to|||||| Kamiyama Festival

知ら ない こと など 何も ない よう な 人 で し た しら||||なにも||||じん||| Kamiyama Festival

私 が 幼稚園 の ころ ― わたくし||ようちえん|| When I was in kinderkarten,

伯父 が 古典 部 だった こと を 知り それ に 興味 を 持ち まし た おじ||こてん|ぶ||||しり|||きょうみ||もち|| I learned that my uncle used to be in the Classics Club and grew curious about it.

いつも 家 ( うち ) に あった スコンブ に 語呂 が 似 て い た から だ と 思い ます |いえ||||||ごろ||に|||||||おもい| |||||scomber||Reim||ähnlich|||||||| I think it was because there was a snack we had at home that had "Classic" in the name.

( 奉 太郎 ) ダジャレ か … たてまつ|たろう|| ||puns| Classic

( える ) ある 日 私 は ||ひ|わたくし| Classic

古典 部 に まつわる 何 か に つい て 伯父 に 尋ね まし た こてん|ぶ|||なん|||||おじ||たずね|| |||related to||||||||||

すると その とき だけ なぜ か 妙に 返事 を いやがった ん です ||||||みょうに|へんじ|||| ||||||strangely|||didn't want to||

( 奉 太郎 ) いやがった ? たてまつ|たろう| He didn't want to?

( える ) はい He didn't.

私 が ずいぶん だ だ を こね て ― わたくし||||||| |||is||object marker|knead| Ich war sehr anspruchsvoll. I bugged him about it until he eventually answered me.

ようやく 伯父 は 答え て くれ た ん です が … |おじ||こたえ||||||

その 答え を 聞い た 私 は … |こたえ||ききい||わたくし| But when I heard his answer, I...

( 奉 太郎 ) お前 は ? たてまつ|たろう|おまえ| You?

泣き まし た なき|| cry|| I cried.

恐ろしかった の か 悲しかった の か おそろしかった|||かなしかった|| I don't know if I was scared or sad, but I cried like a baby.

大 泣き し まし た だい|なき|||

泣 い た … なき|| You cried...

しかも 母 が 驚 い て 飛 ん で き て くれ た ん です が |はは||おどろ|||と|||||||||

伯父 は そんな 私 を ― おじ|||わたくし| But my uncle didn't try to comfort me at all.

あやし た り は し て くれ なかった ん です verdächtig|||||||||

その とき の こと は ただ ショック が 大きかった だけ で ||||||しょっく||おおきかった|| It was a big shock to me at the time, and I can't remember anything else.

これ 以上 は 何も 覚え て い ませ ん |いじょう||なにも|おぼえ||||

でも 中学生 に なった ころ 気 に なり だし まし た |ちゅうがくせい||||き||||| But when I was in middle school, I became curious about it again.

伯父 は なぜ 答え を 渋った の か ? おじ|||こたえ||しぶった|| |||||hesitated||

なぜ あやし て くれ なかった の か ? Why didn't he comfort me?

それ から の 私 は や れる こと は やった つもり です |||わたくし|||||||| Since then,

疎遠 に なって いる 関谷 家 に も できる 範囲 で 接触 し まし た そえん||||せきや|いえ||||はんい||せっしょく||| entfernt||||Sekiya|||||range||Kontakt||| Our relations with the Sekitani family broke down, but I've tried asking them about it as best I could...

ですが どうして も 思い出せ なかった ん です |||おもいだせ|||

( 奉 太郎 ) う っ うん … たてまつ|たろう|||

だから 私 は 神山 ( かみ やま ) 高校 に 入った とき |わたくし||かみやま|||こうこう||はいった| That's why I thought that the Classics Club would be my last hope when I entered Kamiyama High.

古典 部 が 最後 の 望み だ と 思い まし た こてん|ぶ||さいご||のぞみ|||おもい||

それ が 一身 上 の 都合 か ||いっしん|うえ||つごう| So that was your "personal reason".

ですが 古典 部 が 廃部 寸前 だった と は 知り ませ ん で し た |こてん|ぶ||はいぶ|すんぜん||||しり||||| ||||disbandment|before||||||||| But I didn't know that the Classics club was just a step away from termination.

職員 室 で 聞い て み て も ― しょくいん|しつ||ききい|||| I tried asking the teachers in the staff room,

伯父 が 高校 生 だった 45 年 前 の こと を ― おじ||こうこう|せい||とし|ぜん|||

知って いる 先生 も い なく て しって||せんせい||||

… で なぜ そこ で 俺 に 助け を 求める ||||おれ||たすけ||もとめる ||||||help||

それ は … Because...

それ は 折 木 さん が ― ||お|き|| Because I think you could find an answer which I couldn't even imagine!

私 で は 想像 も し なかった 結論 を 出し て くれ そう だ から です ! わたくし|||そうぞう||||けつろん||だし||||||

あの 鍵 の とき と か 本 の とき |かぎ|||||ほん|| Like with that lock, or the book.

そして 勧誘 メモ の とき も です |かんゆう|めも|||| |Einladung||||| And like you did with that recruitment flyer!

折 木 さん なら ― お|き|| I think that you can lead me to the answer!

きっと 私 を 答え まで 導 い て くれる と 思う ん です ! |わたくし||こたえ||みちび|||||おもう||

買いかぶら れ て も 困る あんな もの は ただ の 運 だ かいかぶら||||こまる||||||うん| überbewertet||||be困困||||||| Ich will mich nicht kaufen lassen, das ist nur Glück. Don't get the wrong idea.

なら その 運 に 頼ら せ て ください ! ||うん||たよら||| ||||rely||| Then let me rely on that luck!

気 が 進ま ん き||すすま| I'm not interested.

( 奉 太郎 ) これ は 千 反 田 と いう 一 人 の 人間 の たてまつ|たろう|||せん|はん|た|||ひと|じん||にんげん| This is an issue which could quite possibly affect Chitanda's entire outlook on life.

大げさ に 言え ば 人生 観 に も 関わる 問題 だ おおげさ||いえ||じんせい|かん|||かかわる|もんだい| |||||view|||||

そんな こと に 省エネ 主義 の この 俺 が 少し でも 責任 を 負う と でも ? |||しょうえね|しゅぎ|||おれ||すこし||せきにん||おう|| |||||||||||responsibility||übernehmen|| You think an energy conservationist like myself would take even an ounce of responsibility for that?

ご 冗談 を |じょうだん| Not a chance.

なぜ 俺 だけ な ん だ ? 頼れ る やつ は ほか に も いる だ ろ う |おれ|||||たよれ|||||||||| ||||||can rely|||||||||| Why just me?

人海 戦術 を 使え ば いい じんかい|せんじゅつ||つかえ|| sea of people|tactics|||| Wir können bemannte Seetaktiken einsetzen.

お前 の 友達 に も 頼 ん で み れ ば どう だ ? おまえ||ともだち|||たの||||||| Why don't you ask your friends too?

( える ) 折 木 さん |お|き| Oreki-san...

私 は 過去 を 言いふらし て 回る 趣味 は あり ませ ん わたくし||かこ||いいふらし||まわる|しゅみ|||| ||||to spread||||||| I do not want to go around and tell people about my past.

( 奉 太郎 ) あ … たてまつ|たろう|

こんな の … This isn't...

誰 に でも する 話 じゃ あり ませ ん だれ||||はなし|||| something I can ask just anyone.

( 奉 太郎 ) すま ん たてまつ|たろう||

私 は ずいぶん 無 茶 を 言って い ます わたくし|||む|ちゃ||いって|| ||||unvernünftig|||| I know that I'm asking a lot,

自分 の 思い出 に ― じぶん||おもいで| and that I shouldn't drag you into a search for my past.

折 木 さん まで 巻き込 ん で は いけない と は 分かって い ます お|き|||まきこ|||||||わかって||

ただ … But...

伯父 より も ずっと 愛想 は 悪い けれど ― おじ||||あいそ||わるい| ||||unfreundlich||bad| Er ist viel weniger gesellig als mein Onkel, aber... You're not as nice about it as my uncle, but you answered me too.

あなた も 答え て くれ まし た ||こたえ||||

( 奉 太郎 ) 愛想 が 悪く て 悪かった な たてまつ|たろう|あいそ||わるく||わるかった| ||||badly||| (Es tut mir leid, dass ich so unfreundlich war. Well, sorry I'm not nice.

( える ) 私 は そんな 折 木 さん に 伯父 を 重ねて い た の かも しれ ませ ん |わたくし|||お|き|||おじ||かさねて||||||| ||||||||||overlapping||||||| I may have seen something of my uncle in you.

( 奉 太郎 ) 高校 は 3 年間 ある その あいだ に ゆっくり 探せ ば いい たてまつ|たろう|こうこう||ねんかん||||||さがせ|| High school lasts three years.

私 は 伯父 が 死 ん で しまう 前 に ― わたくし||おじ||し||||ぜん|

伯父 の こと を 思い出し たい の です おじ||||おもいだし|||

( 奉 太郎 ) 死 ん で しまう ? たてまつ|たろう|し||| Dies?

( える ) はい Yes.

法律 で は 7 年 の あいだ 生死 が 不明 と なれ ば ― ほうりつ|||とし|||せいし||ふめい||| law||||||life and death||||| Apparently, by law, a person can be declared deceased if they have been missing for over seven years.

死亡 し た と して 扱う こと が できる そう です しぼう|||||あつかう||||| |||||to handle|||||

( 奉 太郎 ) そう な の か たてまつ|たろう|||| I see.

伯父 の 家 ( いえ ) でも いずれ この 件 に 区切り を つける 予定 です おじ||いえ|||||けん||くぎり|||よてい| |||||eventually||||a conclusion|||| My uncle's family wants closure in this matter.

ささやか です が 葬儀 も 営む そう です |||そうぎ||いとなむ|| humble|||funeral||to conduct|| It isn't much, but they plan to hold a funeral.

だから … So...

だから 私 は ― |わたくし| I want to keep what he told me in my heart...

伯父 が 私 に 伝え て くれ た こと を 胸 に ― おじ||わたくし||つたえ||||||むね|

その 葬儀 に 臨み たく て … |そうぎ||のぞみ|| when I attend the funeral.

すみません I'm sorry.

( 折 木 供 恵 ( ともえ ) ) “ 奉 太郎 ” お|き|とも|けい||たてまつ|たろう Houtarou...

“ どうせ やり たい こと な ん か ない ん でしょ ? ”

あっ

ハッ

俺 は お前 に 対 し て 責任 を 取れ ない おれ||おまえ||たい|||せきにん||とれ| I can't take responsibility for you.

だから お前 の 頼み を 引き受ける と は 言わ ない |おまえ||たのみ||ひきうける|||いわ| So I won't say I accept your request.

だが その 話 を 心 に とどめ て おい て ||はなし||こころ||||| But I'll keep what you've told me in mind.

ヒント に なる よう な こと を 見かけ たら 必ず 報告 しよ う ひんと|||||||みかけ||かならず|ほうこく|| ||||||||||report|| If I find anything which might help you remember, I'll tell you.

その 解釈 に 手間取る よう なら その とき も 手助け する |かいしゃく||てまどる||||||てだすけ| |interpretation||to take time|||that|||help| Wenn es viel Zeit in Anspruch nimmt, sie zu interpretieren, werden wir Ihnen auch dann helfen.

はい … Yes?

それ で よけ れ ば 手伝わ せ て もらう |||||てつだわ||| |||||help||| If you're alright with that, I'll help.

ありがとう ござい ます Thank you so much.

どう か よろしく お 願い し ます ||||ねがい|| I will take any help you can provide.

( 奉 太郎 ) ああ … たてまつ|たろう|

( 奉 太郎 ) 高校 生活 と いえ ども 決して バラ 色 だけ で は ない たてまつ|たろう|こうこう|せいかつ||||けっして|ばら|いろ|||| |||||||never|||||| (Das Leben in der High School ist nicht immer rosig. High school life...

例えば 定期 試験 たとえば|ていき|しけん |regular| Take exams, for example.

神山 高校 でも 1 学期 中間 テスト が 始まった かみやま|こうこう||がっき|ちゅうかん|てすと||はじまった ||||mid|||

この 試験 期間 中 は すべて の 部活 が 休止 に なる |しけん|きかん|なか||||ぶかつ||きゅうし|| |||||||||suspended||

それ は もちろん 古典 部 も な の だ が ― |||こてん|ぶ||||| Of course, the Classics Club is no exception.

ふだん から 何も やって い ない ので 正直 ほとんど 変わら ない ||なにも|||||しょうじき||かわら| usually|||||||honestly||change| But since we don't actually do anything, nothing has really changed.

ならば ふだん どおり に し て い て も いい よう な もの だ が You would think we would just carry on as usual,

鍵 が 貸し出さ れ ない の で は しかたがなかった かぎ||かしださ|||||| ||to lend||||||could not be helped but since we can't borrow the room key, we're stuck.

( 奉 太郎 ) うん … たてまつ|たろう|

う うん …

( 教師 ) はい 終了 きょうし||しゅうりょう Okay, time's up.

( 生徒 たち の ざわめき 声 ) せいと||||こえ |||murmur|

ハア …

う っ

( 奉 太郎 ) 中間 テスト 終了 やれやれ たてまつ|たろう|ちゅうかん|てすと|しゅうりょう| ||midterm||| Midterms are over at last.

( バイク の 音 ) ばいく||おと

( 折 木 供 恵 ) “ 前略 ” お|き|とも|けい|ぜんりゃく ||||abridged Greetings.

“ 私 は 今 イスタンブール に い ます ” わたくし||いま||||

“ ちょっと 失敗 し ちゃ って 日本 領事 館 に こもって る から ” |しっぱい||||にっぽん|りょうじ|かん|||| |failure|||||consulate|||is holed up|| I made a bit of a mistake,

“ 街 の 中 は まだ 見 て ない ん だ けど ね ” がい||なか|||み||||||

何 やった ん だ 姉 貴 なん||||あね|とうと What did you do this time, Sis?

( 供 恵 ) “ この 旅 面白い わ ” とも|けい||たび|おもしろい| This trip has been such a thrill.

“ きっと 10 年 後 この 毎日 の こと を 惜しま ない ” |とし|あと||まいにち||||おしま| ||||||||will not regret| I'm sure that I won't regret it 10 years from now.

( 奉 太郎 ) ん ? たてまつ|たろう|

( 供 恵 ) “ ところで 古典 部 は どう ? 部員 は 増え た ? ” とも|けい||こてん|ぶ|||ぶいん||ふえ| By the way, how's the Classics Club?

“ それ で ちょっと 気 に なる こと が あった から 書 い て おく ね ” |||き|||||||しょ|||| Also, I'm curious, so let me ask you:

“ あんた 文集 作る 気 ある ? ” |ぶんしゅう|つくる|き| Feel like writing an anthology?

“ 古典 部 は 毎年 文化 祭 で 文集 出し て た ん だ けど ― ” こてん|ぶ||まいとし|ぶんか|さい||ぶんしゅう|だし||||| The Classics Club used to publish an anthology at the cultural festival every year.

“ 今 も 続 い てる の か な ? ” いま||つづ||||| Do you plan to continue that tradition?

“ 続 い てる と し たら ― ” つづ||||| I thought you might not know where to start if you did.

“ もし かして 作り 方 が 分か ん ない かも しれ ない と 思って ” ||つくり|かた||わか|||||||おもって

“ 古典 部 の 文集 は 図書 室 に は ない から ね ” こてん|ぶ||ぶんしゅう||としょ|しつ||||| |||||the library|||||| You won't find the old ones in the school library.

“ 探す の は 部室 ” さがす|||ぶしつ |||clubroom You need to search the club room.

“ そこ に 使わ れ て ない 薬品 金庫 が あって ― ” ||つかわ||||やくひん|きんこ|| ||||||medicine|safe|| There's an unused chemical safebox with the back issues in it.

“ バック ナンバー は その 中 鍵 は 開 い てる わ ” ばっく|なんばー|||なか|かぎ||ひらき||| |||||||is open|is||

“ じゃあ プリシュティナ に 着 い たら ― ” |||ちゃく|| I'll give you a call when I arrive in Pristina.

“ 1 度 電話 する から ” たび|でんわ||

“ かしこ 折 木 供 恵 ” |お|き|とも|けい wise|||| Sincerely yours, Oreki Tomoe

薬品 金庫 ? やくひん|きんこ medicine|safe

タイミング よ すぎ だ ろ たいみんぐ|||| Talk about good timing...

( える ) 本当 です か ? |ほんとう|| Geography Prep Room

( くしゃみ )

( 奉 太郎 ) 本当 だ その 手紙 も ここ に 持って き た たてまつ|たろう|ほんとう|||てがみ||||もって|| Yeah.

( 伊原 摩耶 花 ( いばら ま や か ) ) なるほど 薬品 金庫 ね いはら|まや|か||||||やくひん|きんこ| I see.

ふむ

ここ に は ない ぞ There isn't one here.

あっ そう いえ ば 見当たり ませ ん で し た ||||みあたり||||| ||||could not be found||||| Now that you mention it, I don't remember seeing one.

じゃ … じゃあ 文集 は ? 文集 は ? ||ぶんしゅう||ぶんしゅう| ||collection||| So where are the archives then?

ち ー ちゃん 落ち着 い て 落ち着 い て |-||おちつ|||おちつ|| Calm down, Chii-chan!

( 奉 太郎 ) ち ー ちゃん て … たてまつ|たろう||-|| ||||chan| "Chii-chan"?

( 奉 太郎 ) 千 反 田 たてまつ|たろう|せん|はん|た Chitanda, the letter just says they're in the chemical safebox in the club room.

その 手紙 に は 部室 の 薬品 金庫 って 書 い て ある だけ だ |てがみ|||ぶしつ||やくひん|きんこ||しょ|||||

姉 貴 が ここ を 卒業 し た の は 2 年 前 だ から な あね|とうと||||そつぎょう|||||とし|ぜん||| My sister graduated two years ago.

その あいだ に 部室 が 変わった ん だ |||ぶしつ||かわった|| The club room has changed to a different classroom since then.

なるほど そういう こと です か I see. So that's why.

それ で 折 木 ||お|き So do you know where it was two years ago?

2 年 前 は どこ だった か 分かって る の ? とし|ぜん|||||わかって||

顧問 に 聞い て き た 生物 準備 室 だ と さ こもん||ききい||||せいぶつ|じゅんび|しつ||| advisor||||||||||| I asked our supervisor.

へえ 珍しく 準備 が いい じゃ ない |めずらしく|じゅんび|||| |usually||||| Wow, you're actually on top of things for a change.

( 奉 太郎 ) 効率 を 上げ た だけ だ たてまつ|たろう|こうりつ||あげ||| ||efficiency||||| I'm just being efficient.

( 摩耶 花 ) 張り切って る わ ね まや|か|はりきって||| ||enthusiastically||| Excited, are you?

そんな こと は ない I am not.

俺 は 一般 に 張り切ら ない おれ||いっぱん||はりきら| I'm not the excitable type.

うん … おお っ

じゃあ 行き ま しょ う |いき||| Let's go then!

あっ そう いえ ば 福部 ( ふく べ ) さん は ? ||||ふくべ|||| Oh right, where is Fukube-san?

ああ 手芸 部 よ |しゅげい|ぶ| |crafts|| He's at the Sewing Club. He said something about getting ahead in summer fashion.

なんか “ 夏 の ファッション シーン を 先取り ” だ と か 何とか 言って た けど |なつ||ふぁっしょん|しーん||さきどり||||なんとか|いって|| ||||||to get ahead of|||||||

( える ) 折 木 さん |お|き| Oreki-san!

( 奉 太郎 ) ん ? たてまつ|たろう|

( ノック する 音 ) ||おと

( える ) あら ? 開き ませ ん よ ||あき||| Huh? It's locked...

どなた か いらっしゃい ませ ん か Is anyone there?

( 解 錠 の 音 ) ( 3 人 ) あっ かい|じょう||おと|じん| |lock||||

( ドア が 開く 音 ) どあ||あく|おと

( 遠 垣内 将司 ( と お がい と まさ し ) ) いや あ すまない 鍵 を かけ て た とお|かきうち|まさし||||||||||かぎ|||| ||Masashi||||||||||||||

我が 壁 新聞 部 に 入部 希望 かな ? わが|かべ|しんぶん|ぶ||にゅうぶ|きぼう| my|wall|||||| Are you here to join the Wall Newspaper Club?

いえ 違い ます |ちがい| Biology Prep Room

あの ここ は 壁 新聞 部 の 部室 な ん です か ? |||かべ|しんぶん|ぶ||ぶしつ|||| Is this the Wall Newspaper Club's room?

そう だ けど That's right.

( 奉 太郎 ) この におい 香水 ? たてまつ|たろう|||こうすい ||||perfume This smell... perfume?

いや 消臭 剤 か ? |しょうしゅう|ざい| |deodorant|| No, deodorant?

… で 何 か 用 でも ? |なん||よう| So, did you need something?

あの 私 古典 部 の 部長 千 反 田 える と 申し ます |わたくし|こてん|ぶ||ぶちょう|せん|はん|た|||もうし| |||||||||||to say| I'm Chitanda Eru, the president of the Classics Club.

3 年 E 組 の 遠 垣内 先輩 です よ ね とし|e|くみ||とお|かきうち|せんぱい||| ||||distant||||| You're Tougaito-senpai from class 3-E, aren't you?

あっ ?

どうして 俺 の 名前 を |おれ||なまえ| How do you know my name?

( える ) 去年 万人 橋 ( まん に ん ば し ) さん の お宅 で お 姿 を 見かけ て い た もの です から |きょねん|まん り|きょう||||||||おたく|||すがた||みかけ|||||| I saw you at the Manninbashi house last year.

( 遠 垣 内 ) 万 人 橋 の 家 で … とお|かき|うち|よろず|じん|きょう||いえ| At the Manninbashi house?

待て よ まて| Wait, are you Chitanda as in the shrine farms?

もし かして 神田 の 千 反 田 さん ? ||しんでん||せん|はん|た| ||Kanda|||||

( える ) はい 父 が お 世話 に なって い ます ||ちち|||せわ|||| Yes! My father owes a lot to you.

( 遠 垣 内 ) ああ … あっ いや こちら こそ とお|かき|うち||||| |||||no||

そ っか 千 反 田 の … ||せん|はん|た| I see, you're Chitanda's...

( 奉 太郎 ) 何 を 気 に し て いる ん だ ? たてまつ|たろう|なん||き|||||| Why's he so nervous?

( 遠 垣 内 ) それ で 何 か ? とお|かき|うち|||なん| So is there something I can help you with?

はい ! 実は この 生物 準備 室 に ― |じつは||せいぶつ|じゅんび|しつ| Yes.

古典 部 の 文集 の バック ナンバー が 保管 さ れ て いる と 聞い て き た ん です こてん|ぶ||ぶんしゅう||ばっく|なんばー||ほかん||||||ききい||||| ||||||||is stored|||||||||||

ここ は 以前 古典 部 の 部室 だった そう です ね ||いぜん|こてん|ぶ||ぶしつ|||| Biology Prep Room

( 遠 垣 内 ) う っ あっ ああ とお|かき|うち||||

俺 が 1 年のころ は そう だった かな ? おれ||としのころ||||

( える ) で は ! In that case...

では その 文集 は ご存じ です か ? ||ぶんしゅう||ごぞんじ|| ||||do you know|| have you come across the anthologies?

( 遠 垣 内 ) あっ とお|かき|うち|

いや … ない ね No, I haven't...

そう です か ありがとう ござい まし た Is that so? Thank you.

( 摩耶 花 ) 帰る な ! まや|か|かえる| Don't leave!

あの … すみません ここ に ある はず な ん です I'm sorry, but they should be here!

探さ せ て ください ! さがさ||| Please let us search for them!

悪い けど さっき ない って 言った はず だ よ わるい|||||いった||| Sorry, but I already said they're not here.

( 摩耶 花 ) ああ …\ N ( える ) そんな まや|か||n|| But...

( 奉 太郎 ) さっ 帰 ろ う か ( 摩耶 花 ) ちょ っ たてまつ|たろう||かえ||||まや|か|| Guess we'll go back then.

あんた おかしい と 思わ ない の ? |||おもわ||

( 奉 太郎 ) 思う ( 摩耶 花 ) えっ たてまつ|たろう|おもう|まや|か| I do.

だったら 帰る な ! |かえる| Then don't go back!

( 遠 垣 内 ) まっ 気の毒 だ けど ほか を 当たって くれ とお|かき|うち||きのどく|||||あたって| ||||it's a pity|||||| (Es tut mir leid, das zu hören, aber Sie müssen sich woanders umsehen. I'm terribly sorry, but you'll have to try somewhere else.

でも ! But we were told that they were in this room!

ここ に ある って いう 手がかり を 見つけ た ん です |||||てがかり||みつけ||| |||||clue|||||

ここ に なけ れ ば 学校 中 を 探さ なけ れ ば なら なく なる ん です |||||がっこう|なか||さがさ|||||||| If they aren't here, we'll have to search the whole school!

( 奉 太郎 ) 学校 中 たてまつ|たろう|がっこう|なか The whole school...

冗談 じゃ ない じょうだん||

少し の 時間 で い い ん です 中 を 見せ て ください ! すこし||じかん||||||なか||みせ|| We'll only take a little of your time!

俺 から も おれ|| |from| Please from me, too.

あまり 部 外 者 に 入って ほしく ない ん だ よ |ぶ|がい|もの||はいって|||||

先輩 でも ここ は 部室 で ある 前 に 教室 です よ ね ? せんぱい||||ぶしつ|||ぜん||きょうしつ||| ||||||to be|||||| Aber dies ist ein Klassenzimmer, bevor es ein Clubraum ist, nicht wahr?

君 は ? きみ| Und du? Who are you?

古典 部 の 伊原 摩耶 花 です こてん|ぶ||いはら|まや|か| Ich bin Maya Ibara aus dem Klassischen Literaturclub. Ibara Mayaka from the Classics Club.

フウ … Biology Prep Room

分かった いい よ 探せ ば いい わかった|||さがせ|| Fine.

ただ あまり ひっかき 回さ ない で くれよ |||まわさ||| ||scratching|||| Just don't make a mess of things, please.

( 扇風機 の 音 ) せんぷうき||おと

( 奉 太郎 ) ほか の 部員 さん は ? たてまつ|たろう|||ぶいん|| Where are the other members?

( 遠 垣 内 ) ああ 今日 は 休み な ん だ とお|かき|うち||きょう||やすみ||| They're out today.

俺 は 6 月 号 の ネタ を 考え て た おれ||つき|ごう||ねた||かんがえ|| |||issue|||||| I was thinking about what to put in the June issue.

神 高 ( かみ こう ) 月報 って いう ん だ が かみ|たか|||げっぽう||||| ||||monthly report||||| The paper's called "Kami High Monthly".

歴史 も 古く て もう 500 号 近い れきし||ふるく|||ごう|ちかい ||||already||close It's got quite a history.

( 摩耶 花 ) この 部室 に は ない みたい ね まや|か||ぶしつ||||| It doesn't look like they're here.

やっぱり そう です か … It does look that way...

( くしゃみ ) sneeze What do we do now?

( 摩耶 花 ) どう する ? 折 木 ? まや|か|||お|き

( 奉 太郎 ) 先輩 ( 遠 垣 内 ) ん ? たてまつ|たろう|せんぱい|とお|かき|うち| Kami High Monthly Active Years

( 奉 太郎 ) 部室 の 入れ 換え の とき に ― たてまつ|たろう|ぶしつ||いれ|かえ||| |||||change||| when you switched club rooms, was anything removed from this room?

何 か 荷物 の 出し入れ は あり ませ ん でし た か ? なん||にもつ||だしいれ||||||| ||||putting in and taking out|||||||

そう いえ ば ダンボール 箱 を いく つ か 運 ん だ な ||||はこ|||||うん||| |||cardboard||||||||| I think I remember moving a few cardboard boxes outside.

ダンボール 箱 です ね |はこ|| Just cardboard boxes?

( 遠 垣 内 ) ああ とお|かき|うち|

( 奉 太郎 ) … と なる と たてまつ|たろう||| Which would mean...

だが そい つ を 手 に 入れる の は ちょっと 難題 だ ||||て||いれる||||なんだい| ||||||||||a difficult problem| Aber sie zu bekommen, ist eine kleine Herausforderung. But that's more work than I want to bother with.

ここ は カマ を かけ て みる か ||かま||||| ||sickle||||| Lassen Sie uns den Kessel aufsetzen. Maybe I can make him do it for me.

( 奉 太郎 ) すみません たてまつ|たろう| Sorry,

どうも この 部屋 は 物 が 多く て 探し物 に は 手間 が かかり そう です ||へや||ぶつ||おおく||さがしもの|||てま|||| but it looks like there are quite a few things in this room.

顧問 の 先生 に も 手伝って もらって 徹底 的 に 捜索 し たい ん です が こもん||せんせい|||てつだって||てってい|てき||そうさく||||| advisor|||||help||thoroughly|||search||||| If you wouldn't mind, I'd like to ask our supervisor to help us perform a complete search of the room.

いい です か ね ||question particle| Would you mind?

それ は ダメ だ ||だめ| You can't do that.

あまり ひっかき 回さ ない で くれ と 言った だ ろ ||まわさ|||||いった|| |scratch|||||||| I told you not to make a mess.

でも ここ に なかったら もう 手がかり が ない ん です ! |||||てがかり|||| |||||clue|||| But if they're not here, we back to square one!

( 奉 太郎 ) 責任 持って 全部 元どおり に し ます から たてまつ|たろう|せきにん|もって|ぜんぶ|もとどおり||||

お 願い し ます |ねがい||

ダメ だ と 言って いる ! だめ|||いって| I said no!

( える ) そんな …

俺 は 忙しい ん だ 何 が 徹底 的 に 捜索 だ ! おれ||いそがしい|||なん||てってい|てき||そうさく| |||||||thorough|||search| I'm busy here!

ここ に は お前 ら の 文集 など ない ん だ ! |||おまえ|||ぶんしゅう|||| Your club anthologies aren't here!

分かったら 帰れ ! わかったら|かえれ Do you understand? Get out!

( 奉 太郎 ) ビンゴ だ たてまつ|たろう||

先輩 せんぱい Senpai,

俺 たち は 薬品 金庫 の 中身 に 興味 が ある ん です よ おれ|||やくひん|きんこ||なかみ||きょうみ||||| ||||||||interest||||| we're looking for a chemical safebox.

なん だ と ! What'd you say?

その 中 に 文集 が ある はず な ん です |なか||ぶんしゅう|||||| The anthologies should be in there.

それ さえ あれ ば ― |even|| If you know where it is, we won't have to bother you any further.

先輩 の 手 を 煩わ せる こと も ない ん です が ね せんぱい||て||わずらわ|||||||| ||||belästigen||||||||

ところで 俺 たち これ から 図書 室 に 用 が ある ん です が ― |おれ||||としょ|しつ||よう||||| By the way, we're headed to the library now.

俺 たち が 行った あと で もし 文集 が 見つかったら ― おれ|||おこなった||||ぶんしゅう||みつかったら If you happen to stumble upon our anthologies after we leave, could you put them in the Geography Prep Room?

地学 準備 室 に 置 い て おい て くれ ませ ん か ? ちがく|じゅんび|しつ||お||||||||

鍵 は 開 い て い ます かぎ||ひらき|||| The door's unlocked.

お … お前 |おまえ Y-You...

お前 は 俺 を ! おまえ||おれ| |bist|| You... Me...

先輩 を ? せんぱい| You, what?

( 遠 垣 内 ) う っ う っ とお|かき|うち||||

う う っ

分かった わかった Fine.

見つかったら そうして おく よ みつかったら||| I'll do that if I find them.

( 奉 太郎 ) お 願い し ます たてまつ|たろう||ねがい|| Thank you.

さあ 行 こ う か |ぎょう||| Alright, let's go.

おい 1 年 |とし Hey, first-year.

お前 の 名前 だけ 聞い て なかった な おまえ||なまえ||ききい||| I don't think I got your name.

折 木 奉 太郎 お|き|たてまつ|たろう Oreki Houtarou.

悪い と は 思って ます よ わるい|||おもって|| |||denken|| Das tut mir sehr leid. I'm sorry about this.

( 摩耶 花 ) ねえ 折 木 まや|か||お|き Hey, Oreki...

どうして こんな 所 で 待って る の よ ||しょ||まって|||

( 奉 太郎 ) 省エネ だ たてまつ|たろう|しょうえね| Energy conservation.

( 摩耶 花 ) 何 よ それ まや|か|なん|| What's that supposed to mean?

ところで 千 反 田 |せん|はん|た By the way, Chitanda, what is the Tougaito family known for?

遠 垣 内 の 家 は どういう 方面 で 有名 な ん だ ? とお|かき|うち||いえ|||ほうめん||ゆうめい||| |||||||field|||||

そう です ね … Let's see...

中等 教育 に 影響 力 が あって … ちゅうとう|きょういく||えいきょう|ちから|| mittelstufig|||Einfluss||| They were very influential in middle school education...

教育 関係 者 が 何 人 も いる お 家柄 です ね きょういく|かんけい|もの||なん|じん||||いえがら|| |||||||||Familienhintergrund|| A good part of their family is in education.

なるほど な That makes sense.

( 奉 太郎 ) 5 分 経過 たてまつ|たろう|ぶん|けいか |||elapsed Five minutes.

( 奉 太郎 ) そろそろ 戻る か たてまつ|たろう||もどる| We should head back now.

( 奉 太郎 ) お っ 来 てる な たてまつ|たろう|||らい|| Oh look, they're here.

あっ !

( 摩耶 花 ) 文集 だ わ まや|か|ぶんしゅう|| The anthologies...

ちょっと 折 木 ! |お|き Wait a second, Oreki!

あんた これ どう やった の ? 何 か 知って た の ? |||||なん||しって|| How did you do that?

まあ ちょっと 脅迫 を な ||きょうはく|| ||to threaten|| Just a bit of blackmail.

( 摩耶 花 ) 脅迫 ? ( 奉 太郎 ) ああ まや|か|きょうはく|たてまつ|たろう| ||threats||| Blackmail?

伊原 お前 口 は 固い ほうか ? いはら|おまえ|くち||かたい| Ihara||||verschlossen|Sache Ibara...

( 摩耶 花 ) 何 よ まや|か|なん|

言う な と 言わ れ れ ば しゃべら ない わ よ いう|||いわ||||||| I won't tell anyone if you say not to.

( 奉 太郎 ) そう か … たてまつ|たろう|| Good.

じゃあ まず 初め ||はじめ Then let's start from the top.

遠 垣内 が 部屋 から 出 て き た とき ― とお|かきうち||へや||だ|||| When Tougaito first came out of the room, he was clearly on his toes.

やつ は 明らか に 俺 たち を 警戒 し て い た ||あきらか||おれ|||けいかい|||| |||||||Vorsicht||||

( 摩耶 花 ) 確かに まや|か|たしかに ||sicherlich That's true.

( 奉 太郎 ) 室 内 の 様子 は どう だ ? たてまつ|たろう|しつ|うち||ようす||| Now, what about inside the room?

窓 を 開け て 扇風機 を 回し て い た が ― まど||あけ||せんぷうき||まわし|||| ||||||laufen lassen|||| The window was open and he had the fan on.

あの 位置 で は テーブル 上 の 用紙 も 吹き飛ばし て しまい か ねん |いち|||てーぶる|うえ||ようし||ふきとばし|||| |Position||||||Papier||wegblasen|||| But the way it was placed, it could easily have blown his manuscript out the window.

( 摩耶 花 ) 空気 の 入れ 換え を し たかった ん でしょ ? まや|か|くうき||いれ|かえ||||| ||Luft|||wechseln||||| He just wanted some fresh air.

そう だ Exactly.

では なぜ 換気 を し たかった の か ||かんき||||| ||Belüftung||||| Now, why did he want some fresh air?

もっと 言え ば |いえ| More precisely, why did he lock the door from the inside and install an infrared sensor outside—

なぜ 内側 から 鍵 を かけ 赤外線 センサー まで 設置 し て … |うちがわ||かぎ|||せきがいせん|せんさー||せっち|| ||||||Infrarot|||installiert||

ち ょ … ちょっと 待って 何 よ その 赤外線 センサー って |||まって|なん|||せきがいせん|せんさー| Hold...

ああ Oh.

廊下 の 両側 に 見慣れ ない 小さな 箱 が あった ん だ ろうか||りょうがわ||みなれ||ちいさな|はこ|||| Flur||||gewöhnt||||||| There were a pair of strange boxes in the hallway.

それ に 室 内 に あった ― ||しつ|うち|| Assuming that thing with the antenna on the table was a receiver,

あの アンテナ が 付い て た の が 受信 機 だ と する と |あんてな||つけい|||||じゅしん|き|||| ||||||||reception|||||

あそこ を 誰 か が 通れ ば アラーム が 鳴る 仕組み な ん だ ろ う ||だれ|||とおれ||||なる|しくみ||||| |||||gehen|||||system||||| then when someone walks by those boxes, it would sound an alarm.

よく そんな の が 分かった わ ね ||||わかった|| How in the world did you figure that out?

まっ 状況 から の 推測 だ けど な |じょうきょう|||すいそく||| ||||Vermutung||| Well, that would just be circumstantial evidence.

問題 は なぜ そこ まで 警戒 し て ― もんだい|||||けいかい|| More importantly, why would he rush to get fresh air into the room whenever someone came near the room?

接近 者 が 来る や 慌て て 部屋 の 換気 を し た の か せっきん|もの||くる||あわて||へや||かんき||||| |||||in Panik||||ventilation|||||

( 摩耶 花 ) に おい を 消す ため ? まや|か||||けす| To get rid of a smell?

それ が 妥当 だ ろ う ||だとう||| ||it is appropriate||| That would be the answer.

やつ は 消臭 スプレー の におい も さ せ て い た ||しょうしゅう|すぷれー|||||||| ||deodorizing||||||||| He also smelled like spray-on deodorant.

… で そこ まで し て And what smell could he be so desparate to hide?

人 に 知ら れ たく ない に おい と なる と じん||しら||||||||

( 摩耶 花 ) タバコ ね まや|か|たばこ| Cigarette smoke.

教育 界 の 名家 の 御 曹司 と も なれ ば ― きょういく|かい||めいか||ご|そうつかさ|||| |Welt|||||Familie|||| As an heir to a family with a stake in education,

なんと し て でも ― he can't be caught doing anything illegal.

不法 行為 を 見つかる わけ に は いか ない って こと だ な ふほう|こうい||みつかる||||||||| illegal||||||||||||

なるほど ね I see.

( 奉 太郎 ) まあ もし 千 反 田 が カゼ を ひ い て い なかったら ― たてまつ|たろう|||せん|はん|た||かぜ|||||| ||||||||cold||||||

一 発 で におい に 気付 い て た だ ろ う が な ひと|はつ||||きづ|||||||| |Schuss||||||||||||

あっ でも 待って ||まって

結局 文集 って どこ に あった の ? けっきょく|ぶんしゅう|||||

薬品 金庫 の 中 だ ろ やくひん|きんこ||なか|| In the chemical safebox, obviously.

お ー れ ー き ー ! |-||-||- O-re-ki...

べ … 別に からかって る ん じゃ ない ぞ |べつに|||||| ||ärgern||||| I'm not making fun of you.

薬品 金庫 は あの 簡易 テーブル の 下 に あった ん だ やくひん|きんこ|||かんい|てーぶる||した|||| ||||einfache||||||| The chemical safebox was under that makeshift table.

そして その 中 に ― ||なか| He probably hides his cigarettes and lighters in there, too.

タバコ や ライター も 隠し て い た ん だ ろ う たばこ||らいたー||かくし|||||||

だから 俺 が 先生 と 一緒 に 探さ せ て くれ と 頼 ん だ とき |おれ||せんせい||いっしょ||さがさ|||||たの||| ||||||||||||bitte|んです|| That's why he got so jumpy when I said I wanted to call our supervisor in to search.

遠 垣内 は あんなに 慌て た ん だ とお|かきうち|||あわて||| ||||in Eile|||

( 奉 太郎 ) ん ? たてまつ|たろう|

やっぱり あんた 変 ! ||へん

何 を …\ N 典型 的 な 一般 人 を 捕まえ て なん||n|てんけい|てき||いっぱん|じん||つかまえ| |||typisch||||Menschen||to catch| What about me? You're calling a standard-issue normal person weird.

( 福部 里志 ( さとし ) ) みんな ! ふくべ|さとし|| Hey, everyone!

ヘヘッ ヒマワリ ! |ひまわり |Sonnenblume

里志 さとし Satoshi, we found the back issues of the anthology.

文集 の バック ナンバー が 見つかった ぞ ぶんしゅう||ばっく|なんばー||みつかった|

( 里志 ) えっ ? あっ ホント だ さとし|||ほんと|

へえ こんな の だった ん だ

( 摩耶 花 ) 40 年 も 前 と なる と さすが に 手作り 感 が ある わ ね まや|か|とし||ぜん||||||てづくり|かん|||| ||||||||||handgemacht||||| They really did it all by hand 40 years ago!

どう し た ? 千 反 田 |||せん|はん|た Find something, Chitanda?

( 里志 ) それ は ガリ 版 印刷 だ ね さとし|||がり|はん|いんさつ|| |||Gari|||| (Das ist Gari-Printing.

正確 に は 謄写 ( と うし ゃ ) 版 印刷 って いって 明治 時代 に 発明 さ れ た もの な ん だ よ せいかく|||とうしゃ||||はん|いんさつ|||めいじ|じだい||はつめい|||||||| genau|||Druck|||||||||||erfunden|||wurde||||| Technisch gesehen handelt es sich dabei um den Mimeographendruck, der in der Meiji-Ära erfunden wurde. Specifically, mimeograph printing.

( 奉 太郎 ) どう し た ? たてまつ|たろう||| Find something?

折 木 さん お|き| Oreki-san.

ん っ ?

( える ) ちょっと … Come with me.

これ です This.

( 奉 太郎 ) 「 氷 菓 ( ひょう か ) 」 第 ニ 号 たてまつ|たろう|こおり|か|||だい||ごう ||Eis|Süßigkeit|||||Nummer Hyouka.

あの とき 私 は これ を 見つけ た ん です ||わたくし||||みつけ||| When I was younger, I found this.

伯父 の ところ に これ を 持っていって ― おじ||||||もっていって I took it to my uncle and asked what it was.

これ は 何かと 聞い た ん です ||なにかと|ききい|||

思い出し た の か ? おもいだし||| You remember now?

この 中 を 見 て ください |なか||み|| Look inside.

これ に は 伯父 の こと が 載って い ます |||おじ||||のって|| |||||||abgebildet|| There's something about my uncle written in it.

何 か が あった ん です なん||||| Something happened.

45 年 前 に この 古典 部 で とし|ぜん|||こてん|ぶ| 45 years ago, in the Classics Club.

( 奉 太郎 ) “ 今年 も また 文化 祭 が やって き た ” たてまつ|たろう|ことし|||ぶんか|さい|||| The cultural festival has come again this year.

“ 関谷 先輩 が 去って から もう 1 年 に なる ” せきや|せんぱい||さって|||とし|| A year has passed since Sekitani-senpai left.

“ この 1 年 で 先輩 は 英雄 から 伝説 に なった ” |とし||せんぱい||えいゆう||でんせつ|| |||||Held||Legende|| In this past year, he has turned from a hero into a legend.

“ 争い も 犠牲 も 先輩 の あの ほほえみ さえ も ” あらそい||ぎせい||せんぱい||||| |||||||Lächeln|| Our conflict, our sacrifices, and even his kind smile

“ すべて は 時 の 彼方 に 流さ れ て いく ” ||じ||かなた||ながさ||| ||||Jenseits||||| will fade gently into the mists of time.

“ いや その ほう が いい ” No, it's better that way.

“ 覚え て い て は なら ない ” おぼえ|||||| It must be forgotten,

“ なぜなら あれ は ― ” because it was, most definitely, not the story of a hero.

“ 英雄 譚 ( たん ) など で は 決して なかった の だ から ” えいゆう|たん|||||けっして|||| |Erzählung|||||||||

“ すべて は 主観 性 を 失って ” ||しゅかん|せい||うしなって ||Subjektivität|Subjektivität||verloren Alles verliert seine Subjektivität. Eventually, all subjectivity on the matter will be lost,

“ 歴史 的 遠近 法 の 彼方 で 古典 に なって いく ” れきし|てき|えんきん|ほう||かなた||こてん||| ||Entfernung|||Hintergrund||||| "Jenseits der historischen Perspektive werden sie zu Klassikern". and it will all be viewed from a historical perspective, as a classic.

“ いつ の 日 か 現在 の 私 たち も ― ” ||ひ||げんざい||わたくし|| ||||jetzt|||| One day, we ourselves will be the classics of the future.

“ 未来 の 誰 か の 古典 に なる の だ ろ う ” みらい||だれ|||こてん|||||| Zukunft|||||||||||

“ 1968 年 10 月 13 日 ” とし|つき|ひ |Oktober| October 13, 1968

“ 郡山 養子 ( こおり やま よう こ ) ” こおりやま|ようし|||| Kōriyama|Adoptivsohn|||| Kooriyama Youko

ここ に ある 去年 は 45 年 前 に なり ます |||きょねん||とし|ぜん||| |||letztes Jahr|||||| "Last year" in this preface would be 45 years ago.

ならば 古典 部 の 関谷 先輩 と は 伯父 の こと でしょ う |こてん|ぶ||せきや|せんぱい|||おじ|||| Which means that this "Sekitani-senpai" in the Classics Club was my uncle.

その 伯父 が 私 に 教え て くれ た 答え も 古典 部 に 関する こと で し た |おじ||わたくし||おしえ||||こたえ||こてん|ぶ||かんする|||| The answer which my uncle gave me must also have had something to do with the Classics Club.

なら もう 大丈夫 だ ろ う ||だいじょうぶ||| Isn't that good enough?

でも 思い出せ ない ん です |おもいだせ||| But I can't remember what it was...

もう ちょっと …

もう ちょっと な のに It's right there, but I can't!

あの 日 伯父 は 何 を 語って くれ た の でしょ う ? |ひ|おじ||なん||かたって||||| What did my uncle tell me that day?

45 年 前 とし|ぜん What happened to my uncle 45 years ago?

伯父 に いったい 何 が あった と おじ|||なん|||

( 奉 太郎 ) 調べ て み れ ば いい さ たてまつ|たろう|しらべ|||||| You'll just have to look harder.

( える ) でも … But this says it must be forgotten.

覚え て い て は なら ない って 書 い て あり ます おぼえ||||||||しょ||||

もし 調べ たら 不幸 な こと に なる かも しれ ませ ん |しらべ||ふこう|||||||| |||Unglück|||||||| Wenn Sie das überprüfen, könnte es sich als sehr unglücklich erweisen. If I look harder, I might meet with despair.

忘れ られ た ほう が いい 事実 と いう もの は ― わすれ||||||じじつ|||| Is it some truth that is better left forgotten?

存在 する でしょ ? そんざい|| exist||

45 年 も 前 の こと でも か ? とし||ぜん|||| Something from 45 years ago?

違う ん です か ? ちがう||| It isn't?

違う さ ちがう|

ここ に 書 い て ある じゃ ない か ||しょ|||||| It's written right here.

“ すべて は 歴史 的 遠近 法 の 彼方 で 古典 に なって いく ” ||れきし|てき|えんきん|ほう||かなた||こてん|||

時効 って こと さ じこう||| Verjährung||| It's already history.

はい I see.

それ に 調べる って いった って ― ||しらべる||| |||||dass And while I said "look harder",

第 二 号 に 去年 の こと って 書 い て ある ん だ から ― だい|ふた|ごう||きょねん||||しょ|||||| ||||letztes Jahr|||||||||| this second issue says it was "last year".

創刊 号 を 見 れ ば いい … そうかん|ごう||み||| Erstausgabe||||||

( 摩耶 花 ) ちょっと 何 よ これ ! まや|か||なん|| Wait, what the heck?

創刊 号 だけ 欠け てる じゃ ない ! そうかん|ごう||かけ||| Erstausgabe|||||| The first issue is missing!

あっ

( える ) ハッ

♪~ Tonight's the night we fall in love

~♪ A promise for when we sleep

( 里志 ) 次回 「 栄光 ある 古典 部 の 昔 日 ( せ き じ つ ) 」 さとし|じかい|えいこう||こてん|ぶ||むかし|ひ|||| ||Ruhm|||||früher|||||