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注文の多い料理店 (The Restaurant of Many Orders)

注文 の 多い 料理 店 (The Restaurant of Many Orders)

注文 の 多い 料理 店 宮沢 賢治

二 人 の 若い 紳士 が 、 すっかり イギリス の 兵隊 の かたち を して 、 ぴかぴか する 鉄砲 を かついで 、 白熊 の ような 犬 を 二 疋 つれて 、 だいぶ 山奥 の 、 木 の 葉 の かさかさ した とこ を 、 こんな こと を 云いながら 、 あるいて おり ました 。

「 ぜんたい 、 ここ ら の 山 は 怪しから ん ね 。 鳥 も 獣 も 一 疋 も 居 や がらん 。 なんでも 構わ ない から 、 早く タンタアーン と 、 やって 見 たい もん だ なあ 。 」 「 鹿 の 黄いろ な 横 っ 腹 な ん ぞ に 、 二三 発 お 見舞 もう したら 、 ずいぶん 痛快だろう ねえ 。 くるくる まわって 、 それ から ど た っと 倒れる だろう ねえ 。 」 それ は だいぶ の 山奥 でした 。 案内 して きた 専門 の 鉄砲 打ち も 、 ちょっと まごついて 、 どこ か へ 行って しまった くらい の 山奥 でした 。 それ に 、 あんまり 山 が 物 凄い ので 、 その 白熊 の ような 犬 が 、 二 疋 いっしょに めまい を 起こして 、 しばらく 吠 って 、 それ から 泡 を 吐いて 死んで しまい ました 。 「 じつに ぼく は 、 二千四百 円 の 損害 だ 」 と 一 人 の 紳士 が 、 その 犬 の 眼 ぶた を 、 ちょっと かえして みて 言い ました 。 「 ぼく は 二千八百 円 の 損害 だ 。 」 と 、 も ひと り が 、 くやし そうに 、 あたま を まげて 言い ました 。 はじめ の 紳士 は 、 すこし 顔 いろ を 悪く して 、 じっと 、 も ひと り の 紳士 の 、 顔つき を 見 ながら 云 い ました 。 「 ぼく は もう 戻ろう と おもう 。 」 「 さあ 、 ぼく も ちょうど 寒く は なった し 腹 は 空いて きた し 戻ろう と おもう 。 」 「 そい じゃ 、 これ で 切りあげよう 。 なあ に 戻り に 、 昨日 の 宿屋 で 、 山鳥 を 拾 円 も 買って 帰れば いい 。 」 「 兎 も でて いた ねえ 。 そう すれば 結局 おんなじ こった 。 では 帰ろう じゃ ない か 」 ところが どうも 困った こと は 、 どっち へ 行けば 戻れる の か 、 いっこうに 見当 が つか なく なって い ました 。 風 が どう と 吹いて きて 、 草 は ざ わざ わ 、 木 の 葉 は かさかさ 、 木 は ごと ん ごと ん と 鳴り ました 。 「 どうも 腹 が 空いた 。 さっき から 横 っ 腹 が 痛くて たまらない んだ 。 」 「 ぼく も そう だ 。 もう あんまり あるき たく ない な 。 」 「 あるき たく ない よ 。 ああ 困った なあ 、 何 か たべ たい なあ 。 」 「 喰 べ たい もん だ なあ 」 二 人 の 紳士 は 、 ざ わざ わ 鳴る すすき の 中 で 、 こんな こと を 云 い ました 。 その 時 ふとう しろ を 見 ます と 、 立派な 一 軒 の 西洋 造り の 家 が あり ました 。 そして 玄関 に は RESTAURANT 西洋 料理 店 WILDCAT HOUSE 山猫 軒 と いう 札 が でて い ました 。 「 君 、 ちょうど いい 。 ここ は これ で なかなか 開けて る んだ 。 入ろう じゃ ない か 」 「 おや 、 こんな とこ に おかしい ね 。 しかし とにかく 何 か 食事 が できる んだろう 」 「 もちろん できる さ 。 看板 に そう 書いて ある じゃ ない か 」 「 はいろう じゃ ない か 。 ぼく は もう 何 か 喰 べ たくて 倒れ そうな んだ 。 」 二 人 は 玄関 に 立ち ました 。 玄関 は 白い 瀬戸 の 煉瓦 で 組んで 、 実に 立派な もん です 。 そして 硝子 の 開き戸 が たって 、 そこ に 金 文字 で こう 書いて あり ました 。 「 どなた も どう か お 入り ください 。 決して ご 遠慮 は あり ませ ん 」 二 人 は そこ で 、 ひどく よろこんで 言い ました 。 「 こいつ は どう だ 、 やっぱり 世の中 は うまく できて る ねえ 、 きょう 一 日 なんぎ した けれど 、 こんど は こんな いい こと も ある 。 この うち は 料理 店 だ けれども ただ で ご馳走 する んだ ぜ 。 」 「 どうも そう らしい 。 決して ご 遠慮 は あり ませ ん と いう の は その 意味 だ 。 」 二 人 は 戸 を 押して 、 なか へ 入り ました 。 そこ は すぐ 廊下 に なって い ました 。 その 硝子 戸 の 裏側 に は 、 金 文字 で こう なって い ました 。 「 ことに 肥 った お方 や 若い お方 は 、 大 歓迎 いたし ます 」 二 人 は 大 歓迎 と いう ので 、 もう 大よろこびです 。 「 君 、 ぼくら は 大 歓迎 に あたって いる のだ 。 」 「 ぼくら は 両方 兼ねて る から 」 ず ん ず ん 廊下 を 進んで 行き ます と 、 こんど は 水 いろ の ペンキ 塗り の 扉 が あり ました 。 「 どうも 変な 家 だ 。 どうして こんなに たくさん 戸 が ある のだろう 。 」 「 これ は ロシア 式 だ 。 寒い とこや 山 の 中 は みんな こう さ 。 」 そして 二 人 は その 扉 を あけよう と し ます と 、 上 に 黄いろ な 字 で こう 書いて あり ました 。 「 当 軒 は 注文 の 多い 料理 店 です から どう か そこ は ご 承知 ください 」 「 なかなか はやって る んだ 。 こんな 山 の 中 で 。 」 「 それ あ そうだ 。 見た まえ 、 東京 の 大きな 料理 屋 だって 大通り に は すくない だろう 」 二 人 は 云 いながら 、 その 扉 を あけ ました 。 すると その 裏側 に 、 「 注文 は ずいぶん 多い でしょう が どう か 一 々 こらえて 下さい 。 」 「 これ は ぜんたい どういう ん だ 。 」 ひと り の 紳士 は 顔 を しかめ ました 。 「 うん 、 これ は きっと 注文 が あまり 多くて 支度 が 手間取る けれども ごめん 下さい と 斯 う いう こと だ 。 」 「 そう だろう 。 早く どこ か 室 の 中 に はいり たい もん だ な 。 」 「 そして テーブル に 座り たい もん だ な 。 」 ところが どうも うるさい こと は 、 また 扉 が 一 つ あり ました 。 そして その わき に 鏡 が かかって 、 その 下 に は 長い 柄 の ついた ブラシ が 置いて あった のです 。 扉 に は 赤い 字 で 、 「 お 客 さま がた 、 ここ で 髪 を きちんと して 、 それ から はきもの の 泥 を 落して ください 。 」 と 書いて あり ました 。 「 これ は どうも 尤 も だ 。 僕 も さっき 玄関 で 、 山 の なか だ と おもって 見くびった んだ よ 」 「 作法 の 厳しい 家 だ 。 きっと よほど 偉い 人 たち が 、 たびたび 来る んだ 。 」 そこ で 二 人 は 、 きれいに 髪 を けずって 、 靴 の 泥 を 落し ました 。 そ したら 、 どう です 。 ブラシ を 板 の 上 に 置く や 否 や 、 そい つ が ぼうっと かすんで 無くなって 、 風 が どう っと 室 の 中 に 入って き ました 。 二 人 は びっくり して 、 互 に よりそって 、 扉 を が たん と 開けて 、 次の 室 へ 入って 行き ました 。 早く 何 か 暖 いもの でも たべて 、 元気 を つけて 置か ない と 、 もう 途方 も ない こと に なって しまう と 、 二 人 と も 思った のでした 。 扉 の 内側 に 、 また 変な こと が 書いて あり ました 。 「 鉄砲 と 弾丸 を ここ へ 置いて ください 。 」 見る と すぐ 横 に 黒い 台 が あり ました 。 「 なるほど 、 鉄砲 を 持って もの を 食う と いう 法 は ない 。 」 「 いや 、 よほど 偉い ひと が 始終 来て いる んだ 。 」 二 人 は 鉄砲 を はずし 、 帯 皮 を 解いて 、 それ を 台 の 上 に 置き ました 。 また 黒い 扉 が あり ました 。 「 どうか 帽子 と 外套 と 靴 を おとり 下さい 。 」 「 どう だ 、 とる か 。 」 「 仕方ない 、 とろう 。 たしかに よっぽど えらい ひと なんだ 。 奥 に 来て いる の は 」 二 人 は 帽子 と オーバー コート を 釘 に かけ 、 靴 を ぬいで ぺたぺた あるいて 扉 の 中 に はいり ました 。 扉 の 裏側 に は 、 「 ネクタイピン 、 カフスボタン 、 眼鏡 、 財布 、 その他 金物 類 、 こと に 尖った もの は 、 みんな ここ に 置いて ください 」 と 書いて あり ました 。 扉 の すぐ 横 に は 黒 塗り の 立派な 金庫 も 、 ちゃんと 口 を 開けて 置いて あり ました 。 鍵 まで 添えて あった のです 。 「 は は あ 、 何 か の 料理 に 電気 を つかう と 見える ね 。 金 気 の もの は あぶない 。 ことに 尖った もの は あぶない と 斯 う 云 うんだろう 。 」 「 そう だろう 。 して 見る と 勘定 は 帰り に ここ で 払う のだろう か 。 」 「 どうも そう らしい 。 」 「 そうだ 。 きっと 。 」 二 人 は めがね を はずしたり 、 カフスボタン を とったり 、 みんな 金庫 の なか に 入れて 、 ぱち ん と 錠 を かけ ました 。 すこし 行き ます と また 扉 が あって 、 その 前 に 硝子 の 壺 が 一 つ あり ました 。 扉 に は 斯 う 書いて あり ました 。 「 壺 の なか の クリーム を 顔 や 手足 に すっかり 塗って ください 。 」 みる と たしかに 壺 の なか の もの は 牛乳 の クリーム でした 。 「 クリーム を ぬれ と いう の は どういう ん だ 。 」 「 これ は ね 、 外 が ひじょうに 寒い だろう 。 室 の なか が あんまり 暖 いと ひび が きれる から 、 その 予防 な んだ 。 どうも 奥 に は 、 よほど えらい ひと が きて いる 。 こんな とこ で 、 案外 ぼくら は 、 貴族 と ちかづき に なる かも 知れ ない よ 。 」 二 人 は 壺 の クリーム を 、 顔 に 塗って 手 に 塗って それ から 靴下 を ぬいで 足 に 塗り ました 。 それ でも まだ 残って い ました から 、 それ は 二 人 と も めいめい こっそり 顔 へ 塗る ふり を し ながら 喰 べ ました 。 それ から 大急ぎで 扉 を あけ ます と 、 その 裏側 に は 、 「 クリーム を よく 塗り ました か 、 耳 に も よく 塗り ました か 、」 と 書いて あって 、 ちいさな クリーム の 壺 が ここ に も 置いて あり ました 。 「 そうそう 、 ぼく は 耳 に は 塗ら なかった 。 あぶなく 耳 に ひび を 切らす とこ だった 。 ここ の 主人 は じつに 用意 周到だ ね 。 」 「 ああ 、 細かい とこ まで よく 気 が つく よ 。 ところで ぼく は 早く 何 か 喰 べ たい んだ が 、 どうも 斯 う どこまでも 廊下 じゃ 仕方ない ね 。 」 する と すぐ その 前 に 次の 戸 が あり ました 。 「 料理 は もう すぐ でき ます 。 十五 分 と お 待た せ は いたし ませ ん 。 すぐ たべ られ ます 。 早く あなた の 頭 に 瓶 の 中 の 香水 を よく 振り かけて ください 。 」 そして 戸 の 前 に は 金 ピカ の 香水 の 瓶 が 置いて あり ました 。 二 人 は その 香水 を 、 頭 へ ぱちゃぱちゃ 振り かけ ました 。 ところが その 香水 は 、 どうも 酢 の ような 匂 が する のでした 。 「 この 香水 は へんに 酢 くさい 。 どうした ん だろう 。 」 「 まちがえた んだ 。 下 女 が 風邪 でも 引いて まちがえて 入れた んだ 。 」 二 人 は 扉 を あけて 中 に はいり ました 。 扉 の 裏側 に は 、 大きな 字 で 斯 う 書いて あり ました 。 「 いろいろ 注文 が 多くて うるさかった でしょう 。 お 気の毒でした 。 もう これ だけ です 。 どう か から だ 中 に 、 壺 の 中 の 塩 を たくさん よく もみ込んで ください 。 」 なるほど 立派な 青い 瀬戸 の 塩 壺 は 置いて あり ました が 、 こんど と いう こんど は 二 人 と も ぎょっと して お 互 に クリーム を たくさん 塗った 顔 を 見合せ ました 。 「 どうも おかしい ぜ 。 」 「 ぼく も おかしい と おもう 。 」 「 沢山の 注文 と いう の は 、 向 う が こっち へ 注文 して る んだ よ 。 」 「 だ から さ 、 西洋 料理 店 と いう の は 、 ぼく の 考える ところ で は 、 西洋 料理 を 、 来た 人 に たべ させる ので は なくて 、 来た 人 を 西洋 料理 に して 、 食べて やる 家 と こういう こと な んだ 。 これ は 、 その 、 つ 、 つ 、 つ 、 つまり 、 ぼ 、 ぼ 、 ぼくら が ……。 」 がたがた がたがた 、 ふるえ だして もう もの が 言え ませ ん でした 。 「 その 、 ぼ 、 ぼくら が 、…… うわ あ 。 」 がたがた がたがた ふるえ だして 、 もう もの が 言え ませ ん でした 。 「 遁 げ ……。 」 がたがた し ながら 一 人 の 紳士 は うしろ の 戸 を 押そう と し ました が 、 どう です 、 戸 は もう 一 分 も 動き ませ ん でした 。 奥 の 方 に は まだ 一 枚 扉 が あって 、 大きな かぎ 穴 が 二 つ つき 、 銀 いろ の ホーク と ナイフ の 形 が 切りだして あって 、 「 いや 、 わざわざ ご 苦労です 。 大へん 結構に でき ました 。 さあ さあ お なか に お はいり ください 。 」 と 書いて あり ました 。 おまけに かぎ 穴 から は きょろきょろ 二 つ の 青い 眼 玉 が こっち を のぞいて い ます 。 「 うわ あ 。 」 がたがた がたがた 。 「 うわ あ 。 」 がたがた がたがた 。 ふた り は 泣き出し ました 。 する と 戸 の 中 で は 、 こそこそ こんな こと を 云 って い ます 。 「 だめだ よ 。 もう 気 が ついた よ 。 塩 を も みこま ない ようだ よ 。 」 「 あたりまえ さ 。 親分 の 書き よう が まずい んだ 。 あす こ へ 、 いろいろ 注文 が 多くて うるさかった でしょう 、 お 気の毒でした なんて 、 間 抜けた こと を 書いた もん だ 。 」 「 どっち で も いい よ 。 どうせ ぼくら に は 、 骨 も 分けて 呉 れ や し ない んだ 。 」 「 それ は そう だ 。 けれども もし ここ へ あいつ ら が はいって 来 なかったら 、 それ は ぼくら の 責任 だ ぜ 。 」 「 呼ぼう か 、 呼ぼう 。 おい 、 お 客 さん 方 、 早く いらっしゃい 。 いらっしゃい 。 いらっしゃい 。 お 皿 も 洗って あり ます し 、 菜っ葉 も もう よく 塩 で もん で 置き ました 。 あと は あなた が た と 、 菜っ葉 を うまく とりあわせて 、 まっ白 なお 皿 に のせる だけ です 。 はやく いらっしゃい 。 」 「 へい 、 いらっしゃい 、 いらっしゃい 。 それとも サラド は お 嫌い です か 。 そん なら これ から 火 を 起して フライ に して あげ ましょう か 。 とにかく はやく いらっしゃい 。 」 二 人 は あんまり 心 を 痛めた ため に 、 顔 が まるで くしゃくしゃの 紙屑 の ように なり 、 お 互 に その 顔 を 見合せ 、 ぶるぶる ふるえ 、 声 も なく 泣き ました 。 中 で は ふ っふ っと わらって また 叫んで い ます 。 「 いらっしゃい 、 いらっしゃい 。 そんなに 泣いて は 折角 の クリーム が 流れる じゃ あり ませ ん か 。 へい 、 ただいま 。 じき もって まいり ます 。 さあ 、 早く いらっしゃい 。 」 「 早く いらっしゃい 。 親方 が もう ナフキン を かけて 、 ナイフ を もって 、 舌なめずり して 、 お 客 さま 方 を 待って い られ ます 。 」 二 人 は 泣いて 泣いて 泣いて 泣いて 泣き ました 。 その とき うしろ から いきなり 、 「 わん 、 わん 、 ぐ ゎあ 。 」 と いう 声 が して 、 あの 白熊 の ような 犬 が 二 疋 、 扉 を つきやぶって 室 の 中 に 飛び込んで き ました 。 鍵 穴 の 眼 玉 は たちまち なくなり 、 犬 ども は う うとう なって しばらく 室 の 中 を くるくる 廻って い ました が 、 また 一声 「 わん 。 」 と 高く 吠えて 、 いきなり 次の 扉 に 飛びつき ました 。 戸 は がた り と ひらき 、 犬 ども は 吸い込ま れる ように 飛んで 行き ました 。 その 扉 の 向 う の まっくらやみの なか で 、 「 に ゃあ お 、 く ゎあ 、 ごろごろ 。 」 と いう 声 が して 、 それ から がさがさ 鳴り ました 。 室 は けむり の ように 消え 、 二 人 は 寒 さ に ぶるぶる ふるえて 、 草 の 中 に 立って い ました 。 見る と 、 上着 や 靴 や 財布 や ネクタイ ピン は 、 あっ ち の 枝 に ぶらさがったり 、 こっち の 根 もと に ちらばったり して い ます 。 風 が どう と 吹いて きて 、 草 は ざ わざ わ 、 木 の 葉 は かさかさ 、 木 は ごと ん ごと ん と 鳴り ました 。 犬 が ふうとう なって 戻って き ました 。 そして うしろ から は 、 「 旦那 あ 、 旦那 あ 、」 と 叫ぶ もの が あり ます 。 二 人 は 俄かに 元気 が ついて 「 おおい 、 おおい 、 ここ だ ぞ 、 早く 来い 。 」 と 叫び ました 。 簔帽 子 を かぶった 専門 の 猟師 が 、 草 を ざ わざ わ 分けて やってき ました 。 そこ で 二 人 は やっと 安心 し ました 。 そして 猟師 の もってきた 団子 を たべ 、 途中 で 十 円 だけ 山鳥 を 買って 東京 に 帰り ました 。 しかし 、 さっき 一ぺん 紙くず の ように なった 二 人 の 顔 だけ は 、 東京 に 帰って も 、 お 湯 に は いって も 、 もう もと の とおり に なおり ませ ん でした 。


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注文 の 多い 料理 店 宮沢 賢治 ちゅうもん||おおい|りょうり|てん|みやさわ|けんじ Kenji Miyazawa, ein Restaurant mit vielen Bestellungen A restaurant with many orders Kenji Miyazawa Un restaurant avec beaucoup de commandes Kenji Miyazawa Um restaurante com muitas encomendas Kenji Miyazawa 宫泽贤治(Kenji Miyazawa),点餐多的餐厅

二 人 の 若い 紳士 が 、 すっかり イギリス の 兵隊 の かたち を して 、 ぴかぴか する 鉄砲 を かついで 、 白熊 の ような 犬 を 二 疋 つれて 、 だいぶ 山奥 の 、 木 の 葉 の かさかさ した とこ を 、 こんな こと を 云いながら 、 あるいて おり ました 。 ふた|じん||わかい|しんし|||いぎりす||へいたい|||||||てっぽう|||しろくま|||いぬ||ふた|ひき|||やまおく||き||は|||||||||うん いながら||| Zwei junge Herren, alle in der Gestalt eines britischen Soldaten, mit einem glänzenden Gewehr, und zwei Hunden wie Eisbären, viel in den Bergen, auf den Blättern eines Baumes, so wie dieser. Two young gentlemen took a form of a British soldier and together with a glittering firearm, two dogs like a white bear were settled in two, and a lot of the trees in the mountains deep, the leaves of the tree were deeply moved like this While saying that, it was there. Två unga herrar är alla formade som brittiska soldater, bär en blank pistol, två hundar som en vit björn, och det faktum att bladens träd är så stora. Det var något att säga. 两名年轻的绅士,都像英国士兵一样,拿着闪亮的枪,还有两只狗,像只白熊,在山的深处,像一棵树的叶子。一边说,一边。

「 ぜんたい 、 ここ ら の 山 は 怪しから ん ね 。 ||||やま||あやしから|| „Überhaupt sind diese Berge nicht verdächtig. "Oh my, these mountains are not suspicious. "I det hela taget är bergen här inte misstänkta. 鳥 も 獣 も 一 疋 も 居 や がらん 。 ちょう||けだもの||ひと|ひき||い|| Es gibt keine Vögel, keine Tiere, keine Schwerter. Birds and beasts live in the house. Det finns inga fåglar, inga djur, inga svärd. 有鸟类,野兽甚至鸟类。 なんでも 構わ ない から 、 早く タンタアーン と 、 やって 見 たい もん だ なあ 。 |かまわ|||はやく||||み|||| Mir ist alles egal, also möchte ich Tantaan so schnell wie möglich sehen. I do not care about anything, I want to do it with Tantaan as soon as possible. 」 「 鹿 の 黄いろ な 横 っ 腹 な ん ぞ に 、 二三 発 お 見舞 もう したら 、 ずいぶん 痛快だろう ねえ 。 しか||きいろ||よこ||はら|||||ふみ|はつ||みまい||||つうかいだろう| "I wonder if it will be a lot of painful if I give you a couple of warning signs to the deer yellowish side belly. くるくる まわって 、 それ から ど た っと 倒れる だろう ねえ 。 |||||||たおれる|| It will turn around and then you will fall down. 」   それ は だいぶ の 山奥 でした 。 ||||やまおく| That was a lot of mountain depths. 案内 して きた 専門 の 鉄砲 打ち も 、 ちょっと まごついて 、 どこ か へ 行って しまった くらい の 山奥 でした 。 あんない|||せんもん||てっぽう|うち|||||||おこなって||||やまおく| The professional gun striking that I was showing was also awfully awful and it was about the mountain where I went somewhere. それ に 、 あんまり 山 が 物 凄い ので 、 その 白熊 の ような 犬 が 、 二 疋 いっしょに めまい を 起こして 、 しばらく 吠 って 、 それ から 泡 を 吐いて 死んで しまい ました 。 |||やま||ぶつ|すごい|||しろくま|||いぬ||ふた|ひき||||おこして||ばい||||あわ||はいて|しんで|| Besides, the mountain is so wonderful that the dog like the white bear raised dizziness together, barked for a while, then bubbled and died. 「 じつに ぼく は 、 二千四百 円 の 損害 だ 」 と 一 人 の 紳士 が 、 その 犬 の 眼 ぶた を 、 ちょっと かえして みて 言い ました 。 |||にせんしひゃく|えん||そんがい|||ひと|じん||しんし|||いぬ||がん||||||いい| "Indeed, I am a loss of 2,400 yen," one gentleman tried a bit back of the dog's eyelid and said it. 「 ぼく は 二千八百 円 の 損害 だ 。 ||にせんはっぴゃく|えん||そんがい| "I am damaged by 2,800 yen. 」 と 、 も ひと り が 、 くやし そうに 、 あたま を まげて 言い ました 。 ||||||そう に||||いい| One mentor said, crouchingly, toppled the head. はじめ の 紳士 は 、 すこし 顔 いろ を 悪く して 、 じっと 、 も ひと り の 紳士 の 、 顔つき を 見 ながら 云 い ました 。 ||しんし|||かお|||わるく|||||||しんし||かおつき||み||うん|| The first gentleman made a bit of a bad face and stood still watching the face of one gentleman. 「 ぼく は もう 戻ろう と おもう 。 |||もどろう|| "I think I will return. 」 「 さあ 、 ぼく も ちょうど 寒く は なった し 腹 は 空いて きた し 戻ろう と おもう 。 ||||さむく||||はら||あいて|||もどろう|| "Well, I am just getting cold, my belly has come and I will return. 」 「 そい じゃ 、 これ で 切りあげよう 。 ||||きりあげよう "Well then, I will cut it out. なあ に 戻り に 、 昨日 の 宿屋 で 、 山鳥 を 拾 円 も 買って 帰れば いい 。 ||もどり||きのう||やどや||やまどり||ひろ|えん||かって|かえれば| Returning to Nara, you can buy Yamagata for Yamagata in the inn today as well and return. 」 「 兎 も でて いた ねえ 。 うさぎ|||| "It was rabbits as well. そう すれば 結局 おんなじ こった 。 ||けっきょく|| That way it ended like a long ago. では 帰ろう じゃ ない か 」   ところが どうも 困った こと は 、 どっち へ 行けば 戻れる の か 、 いっこうに 見当 が つか なく なって い ました 。 |かえろう||||||こまった|||||いけば|もどれる||||けんとう|||||| Let's go home "Where the troubled thing was, I had no idea which way I could go back. 風 が どう と 吹いて きて 、 草 は ざ わざ わ 、 木 の 葉 は かさかさ 、 木 は ごと ん ごと ん と 鳴り ました 。 かぜ||||ふいて||くさ|||||き||は|||き|||||||なり| How the wind blows, the grass is dead, the leaves of the tree are clever, and the trees are ringing. 「 どうも 腹 が 空いた 。 |はら||あいた "I am hungry. さっき から 横 っ 腹 が 痛くて たまらない んだ 。 ||よこ||はら||いたくて|| I can not stop my stomach hurting from a while ago. 」 「 ぼく も そう だ 。 "I also do. もう あんまり あるき たく ない な 。 I do not want to have much of it anymore. 」 「 あるき たく ない よ 。 "I do not want to have one. ああ 困った なあ 、 何 か たべ たい なあ 。 |こまった||なん|||| I was in embarrassed situation, I want to eat something. 」 「 喰 べ たい もん だ なあ 」   二 人 の 紳士 は 、 ざ わざ わ 鳴る すすき の 中 で 、 こんな こと を 云 い ました 。 しょく||||||ふた|じん||しんし|||||なる|||なか|||||うん|| "" I want to eat it. "The two gentlemen said this in a raging snowshoe. その 時 ふとう しろ を 見 ます と 、 立派な 一 軒 の 西洋 造り の 家 が あり ました 。 |じ||||み|||りっぱな|ひと|のき||せいよう|つくり||いえ||| At that time I saw a futon, there was a wonderful house made in the West. そして 玄関 に は RESTAURANT 西洋 料理 店 WILDCAT HOUSE 山猫 軒 と いう 札 が でて い ました 。 |げんかん|||restaurant|せいよう|りょうり|てん|wildcat|house|やまねこ|のき|||さつ|||| And at the entrance there was a RESTAURANT Western restaurant WILDCAT HOUSE Wildcat. 「 君 、 ちょうど いい 。 きみ|| "You, just fine. ここ は これ で なかなか 開けて る んだ 。 |||||あけて|| It's pretty open here. 入ろう じゃ ない か 」 「 おや 、 こんな とこ に おかしい ね 。 はいろう||||||||| It is incomprehensible. "" Oh, this is strange. しかし とにかく 何 か 食事 が できる んだろう 」 「 もちろん できる さ 。 ||なん||しょくじ|||||| But anyway I can eat something. "" Of course I can do it. 看板 に そう 書いて ある じゃ ない か 」 「 はいろう じゃ ない か 。 かんばん|||かいて|||||||| Is not that written on the signboard? "" Would not it be okay? ぼく は もう 何 か 喰 べ たくて 倒れ そうな んだ 。 |||なん||しょく|||たおれ|そう な| I am going to collapse because I want to eat something. 」   二 人 は 玄関 に 立ち ました 。 ふた|じん||げんかん||たち| They stood at the entrance. 玄関 は 白い 瀬戸 の 煉瓦 で 組んで 、 実に 立派な もん です 。 げんかん||しろい|せと||れんが||くんで|じつに|りっぱな|| The entrance is made up of bricks of white Seto, and it is really splendid. そして 硝子 の 開き戸 が たって 、 そこ に 金 文字 で こう 書いて あり ました 。 |がらす||ひらきど|||||きむ|もじ|||かいて|| Then the door of the glass opened and it was written in gold letters like this. 「 どなた も どう か お 入り ください 。 |||||はいり| "Everyone please enter. 決して ご 遠慮 は あり ませ ん 」   二 人 は そこ で 、 ひどく よろこんで 言い ました 。 けっして||えんりょ|||||ふた|じん||||||いい| There are no holdbacks by any means. "The two of them said that with great joy. 「 こいつ は どう だ 、 やっぱり 世の中 は うまく できて る ねえ 、 きょう 一 日 なんぎ した けれど 、 こんど は こんな いい こと も ある 。 |||||よのなか|||||||ひと|ひ|||||||||| "How about this guy, after all the world is well done, I heard today, I hung out the day, but next time I have something like this. この うち は 料理 店 だ けれども ただ で ご馳走 する んだ ぜ 。 |||りょうり|てん|||||ごちそう||| This is a cooking shop, but I'm just a treat. 」 「 どうも そう らしい 。 "It seems so. 決して ご 遠慮 は あり ませ ん と いう の は その 意味 だ 。 けっして||えんりょ||||||||||いみ| That means that you do not hold back. 」   二 人 は 戸 を 押して 、 なか へ 入り ました 。 ふた|じん||と||おして|||はいり| They pushed the door and went into the house. そこ は すぐ 廊下 に なって い ました 。 |||ろうか|||| There was a corridor immediately there. その 硝子 戸 の 裏側 に は 、 金 文字 で こう なって い ました 。 |がらす|と||うらがわ|||きむ|もじ||||| On the back side of the glass door, it was like this with gold letters. 「 ことに 肥 った お方 や 若い お方 は 、 大 歓迎 いたし ます 」   二 人 は 大 歓迎 と いう ので 、 もう 大よろこびです 。 |こえ||おかた||わかい|おかた||だい|かんげい|||ふた|じん||だい|かんげい|||||おおよろこびです "The people who are particularly fertile and young are welcome." They are greatly welcomed so they are greatly pleased. 「 君 、 ぼくら は 大 歓迎 に あたって いる のだ 。 きみ|||だい|かんげい|||| "You, we are most welcome. 」 「 ぼくら は 両方 兼ねて る から 」   ず ん ず ん 廊下 を 進んで 行き ます と 、 こんど は 水 いろ の ペンキ 塗り の 扉 が あり ました 。 ||りょうほう|かねて|||||||ろうか||すすんで|いき|||||すい|||ぺんき|ぬり||とびら||| "We both have dual consequences" As I went through the corridor in a few moments, there was a door for water painting next time. 「 どうも 変な 家 だ 。 |へんな|いえ| "It is a strange house. どうして こんなに たくさん 戸 が ある のだろう 。 |||と||| Why is there so many doors? 」 「 これ は ロシア 式 だ 。 ||ろしあ|しき| "This is a Russian expression. 寒い とこや 山 の 中 は みんな こう さ 。 さむい||やま||なか|||| Everyone in this mountain is cold. 」   そして 二 人 は その 扉 を あけよう と し ます と 、 上 に 黄いろ な 字 で こう 書いて あり ました 。 |ふた|じん|||とびら|||||||うえ||きいろ||あざ|||かいて|| And when they tried to open their doors, they wrote in yellow letters on the top like this. 「 当 軒 は 注文 の 多い 料理 店 です から どう か そこ は ご 承知 ください 」 「 なかなか はやって る んだ 。 とう|のき||ちゅうもん||おおい|りょうり|てん||||||||しょうち||||| "Since our restaurant is a restaurant with many orders please please consent there." "It is pretty easy. こんな 山 の 中 で 。 |やま||なか| In this mountain. 」 「 それ あ そうだ 。 ||そう だ "That's right. 見た まえ 、 東京 の 大きな 料理 屋 だって 大通り に は すくない だろう 」   二 人 は 云 いながら 、 その 扉 を あけ ました 。 みた||とうきょう||おおきな|りょうり|や||おおどおり|||||ふた|じん||うん|||とびら||| Even the big cooks in Tokyo will not have enough bowls before watching it. "While they said that, they opened their doors. すると その 裏側 に 、 「 注文 は ずいぶん 多い でしょう が どう か 一 々 こらえて 下さい 。 ||うらがわ||ちゅうもん|||おおい|||||ひと|||ください Then on the other side of it, "There will be plenty of orders, please refrain from us. 」 「 これ は ぜんたい どういう ん だ 。 "This is a whole thing what it is. 」 ひと り の 紳士 は 顔 を しかめ ました 。 |||しんし||かお||| A gentleman frown. 「 うん 、 これ は きっと 注文 が あまり 多くて 支度 が 手間取る けれども ごめん 下さい と 斯 う いう こと だ 。 ||||ちゅうもん|||おおくて|したく||てまどる|||ください||し|||| "Yeah, this is certainly because orders are so much that I do not have time to prepare, but I am sorry. 」 「 そう だろう 。 " " It would be so . 早く どこ か 室 の 中 に はいり たい もん だ な 。 はやく|||しつ||なか|||||| I want to get inside the room somewhere. 」 「 そして テーブル に 座り たい もん だ な 。 |てーぶる||すわり|||| "And I'd like to sit on the table. 」   ところが どうも うるさい こと は 、 また 扉 が 一 つ あり ました 。 ||||||とびら||ひと||| "But there was one more doorstep, noisy. そして その わき に 鏡 が かかって 、 その 下 に は 長い 柄 の ついた ブラシ が 置いて あった のです 。 ||||きよう||||した|||ながい|え|||ぶらし||おいて|| And after that a mirror was hanging, under it there was a brush with a long handle. 扉 に は 赤い 字 で 、 「 お 客 さま がた 、 ここ で 髪 を きちんと して 、 それ から はきもの   の 泥 を 落して ください 。 とびら|||あかい|あざ|||きゃく|||||かみ||||||||どろ||おとして| In the red letter on the door, "Customers, please do the hair neatly here and then drop the shovel of mud. 」 と 書いて あり ました 。 |かいて|| "It was written. 「 これ は どうも 尤 も だ 。 |||ゆう|| "This is quite likely. 僕 も さっき 玄関 で 、 山 の なか だ と おもって 見くびった んだ よ 」 「 作法 の 厳しい 家 だ 。 ぼく|||げんかん||やま||||||みくびった|||さほう||きびしい|いえ| I also saw it as a door earlier, thinking it was in the mountain and I was stupid. " きっと よほど 偉い 人 たち が 、 たびたび 来る んだ 。 ||えらい|じん||||くる| Surely the great people come often. 」   そこ で 二 人 は 、 きれいに 髪 を けずって 、 靴 の 泥 を 落し ました 。 ||ふた|じん|||かみ|||くつ||どろ||おとし| The two of them cleaned the hair neatly and dropped the mud of the shoes. そ したら 、 どう です 。 Then how is it. ブラシ を 板 の 上 に 置く や 否 や 、 そい つ が ぼうっと かすんで 無くなって 、 風 が どう っと 室 の 中 に 入って き ました 。 ぶらし||いた||うえ||おく||いな|||||||なくなって|かぜ||||しつ||なか||はいって|| As soon as I put the brush on the board, it got drowsy and gone, and how the wind came into the room. 二 人 は びっくり して 、 互 に よりそって 、 扉 を が たん と 開けて 、 次の 室 へ 入って 行き ました 。 ふた|じん||||ご|||とびら|||||あけて|つぎの|しつ||はいって|いき| They were surprised, opened a little more, one by one, opened the door and went into the next room. 早く 何 か 暖 いもの でも たべて 、 元気 を つけて 置か ない と 、 もう 途方 も ない こと に なって しまう と 、 二 人 と も 思った のでした 。 はやく|なん||だん||||げんき|||おか||||とほう||||||||ふた|じん|||おもった| As soon as I had something warm, I thought that if I did not put on well, it would be a tremendous thing anymore. 扉 の 内側 に 、 また 変な こと が 書いて あり ました 。 とびら||うちがわ|||へんな|||かいて|| There was a strange thing written inside the door. 「 鉄砲 と 弾丸 を ここ へ 置いて ください 。 てっぽう||だんがん||||おいて| "Put your guns and bullets here. 」   見る と すぐ 横 に 黒い 台 が あり ました 。 みる|||よこ||くろい|だい||| As soon as I saw there was a black table next to it. 「 なるほど 、 鉄砲 を 持って もの を 食う と いう 法 は ない 。 |てっぽう||もって|||くう|||ほう|| "Indeed, there is no law to eat food with a gun. 」 「 いや 、 よほど 偉い ひと が 始終 来て いる んだ 。 ||えらい|||しじゅう|きて|| "No, the greatest people are all over. 」   二 人 は 鉄砲 を はずし 、 帯 皮 を 解いて 、 それ を 台 の 上 に 置き ました 。 ふた|じん||てっぽう|||おび|かわ||といて|||だい||うえ||おき| They removed the gun, solved the belt and put it on the table. また 黒い 扉 が あり ました 。 |くろい|とびら||| There was a black door again. 「 どうか 帽子 と 外套 と 靴 を おとり 下さい 。 |ぼうし||がいとう||くつ|||ください "Please take off your hat, cloak and shoes. 」 「 どう だ 、 とる か 。 "How do you do? 」 「 仕方ない 、 とろう 。 しかたない| "There is no choice, I will. たしかに よっぽど えらい ひと なんだ 。 Certainly it is a very nice person. 奥 に 来て いる の は 」   二 人 は 帽子 と オーバー コート を 釘 に かけ 、 靴 を ぬいで ぺたぺた あるいて 扉 の 中 に はいり ました 。 おく||きて||||ふた|じん||ぼうし||おーばー|こーと||くぎ|||くつ|||||とびら||なか||| They are coming in the back. "They nailed the hat and the overcoat, stuck their shoes and entered the door. 扉 の 裏側 に は 、 「 ネクタイピン 、 カフスボタン 、 眼鏡 、 財布 、 その他 金物 類 、   こと に 尖った もの は 、 みんな ここ に 置いて ください 」 と 書いて あり ました 。 とびら||うらがわ|||||めがね|さいふ|そのほか|かなもの|るい|||とがった||||||おいて|||かいて|| On the back side of the door was written "Tie pins, cuff links, eyeglasses, wallets, other hardware items, sharp objects, please put them here." 扉 の すぐ 横 に は 黒 塗り の 立派な 金庫 も 、 ちゃんと 口 を 開けて 置いて あり ました 。 とびら|||よこ|||くろ|ぬり||りっぱな|きんこ|||くち||あけて|おいて|| A fine black safe just beside the door also opened its mouth properly. 鍵 まで 添えて あった のです 。 かぎ||そえて|| It was attached to the key. 「 は は あ 、 何 か の 料理 に 電気 を つかう と 見える ね 。 |||なん|||りょうり||でんき||||みえる| "Oh, it looks like you use electricity for some dishes. 金 気 の もの は あぶない 。 きむ|き|||| The one with money is dangerous. ことに 尖った もの は あぶない と 斯 う 云 うんだろう 。 |とがった|||||し||うん| It is said that such a sharp point is dangerous. 」 「 そう だろう 。 して 見る と 勘定 は 帰り に ここ で 払う のだろう か 。 |||みる||かんじょう||かえり||||はらう|| " " It would be so . 」 「 どうも そう らしい 。 」 「 そうだ 。 |||そう だ I wonder if I will pay the bill here on my way back. きっと 。 "It seems so. 」   二 人 は めがね を はずしたり 、 カフスボタン を とったり 、 みんな 金庫 の なか に 入れて 、 ぱち ん と 錠 を かけ ました 。 ふた|じん|||||||||きんこ||||いれて||||じょう||| " " That's it . すこし 行き ます と また 扉 が あって 、 その 前 に 硝子 の 壺 が 一 つ あり ました 。 |いき||||とびら||||ぜん||がらす||つぼ||ひと||| surely . 扉 に は 斯 う 書いて あり ました 。 とびら|||し||かいて|| "Two people removed glasses, caught the cufflinks, and everyone put them in a safe and locked up. 「 壺 の なか の クリーム を 顔 や 手足 に すっかり 塗って ください 。 つぼ||||くりーむ||かお||てあし|||ぬって| There was a door again as I went a little, there was one glass jar in front of it. 」   みる と たしかに 壺 の なか の もの は 牛乳 の クリーム でした 。 |||つぼ||||||ぎゅうにゅう||くりーむ| It was said on the door. 「 クリーム を ぬれ と いう の は どういう ん だ 。 くりーむ||||||||| "Please apply the cream in the pot to your face and limbs. 」 「 これ は ね 、 外 が ひじょうに 寒い だろう 。 |||がい|||さむい| Indeed the one in the pot was milk cream. 室 の なか が あんまり 暖 いと ひび が きれる から 、 その 予防 な んだ 。 しつ|||||だん|||||||よぼう|| "What does it mean to get the cream wet? どうも 奥 に は 、 よほど えらい ひと が きて いる 。 |おく|||||||| "This is going to be cold outside. こんな とこ で 、 案外 ぼくら は 、 貴族 と ちかづき に なる かも 知れ ない よ 。 |||あんがい|||きぞく||||||しれ|| It's prevention because it can crack well in the room if it is very warm. 」   二 人 は 壺 の クリーム を 、 顔 に 塗って 手 に 塗って それ から 靴下 を ぬいで 足 に 塗り ました 。 ふた|じん||つぼ||くりーむ||かお||ぬって|て||ぬって|||くつした|||あし||ぬり| Indeed, there is a lot of great people in the back. それ でも まだ 残って い ました から 、 それ は 二 人 と も めいめい こっそり 顔 へ 塗る ふり を し ながら 喰 べ ました 。 |||のこって||||||ふた|じん|||||かお||ぬる|||||しょく|| Such a place, surprisingly we might become a chic with a nobleman. それ から 大急ぎで 扉 を あけ ます と 、 その 裏側 に は 、 「 クリーム を よく 塗り ました か 、 耳 に も よく 塗り ました か 、」 と 書いて あって 、 ちいさな クリーム の 壺 が ここ に も 置いて あり ました 。 ||おおいそぎで|とびら||||||うらがわ|||くりーむ|||ぬり|||みみ||||ぬり||||かいて|||くりーむ||つぼ|||||おいて|| They painted the cream on the face, painted on their hands, then painted their socks on their feet. 「 そうそう 、 ぼく は 耳 に は 塗ら なかった 。 そう そう|||みみ|||ぬら| Even so still, I kept eating while pretending to paint the face secretly each of them. あぶなく 耳 に ひび を 切らす とこ だった 。 |みみ||||きらす|| Then, when opening the door in a hurry, on the back side of it, "Well painted the cream well, did you paint well on the ear?", A small cream pot placed here as well was . ここ の 主人 は じつに 用意 周到だ ね 。 ||あるじ|||ようい|しゅうとうだ| "Oh yeah, I did not paint on my ears. 」 「 ああ 、 細かい とこ まで よく 気 が つく よ 。 |こまかい||||き||| There was no doubt that I had to crack my ears. ところで ぼく は 早く 何 か 喰 べ たい んだ が 、 どうも 斯 う どこまでも 廊下 じゃ 仕方ない ね 。 |||はやく|なん||しょく||||||し|||ろうか||しかたない| My husband here is carefully prepared. 」   する と すぐ その 前 に 次の 戸 が あり ました 。 ||||ぜん||つぎの|と||| "Oh, you will notice a lot of details. 「 料理 は もう すぐ でき ます 。 りょうり||||| By the way, I would like to eat something quickly, but it is no use hallway like this anywhere. 十五 分 と お 待た せ は いたし ませ ん 。 じゅうご|ぶん|||また||||| "Soon there was the next door. すぐ たべ られ ます 。 "I can cook now. 早く あなた の 頭 に 瓶 の 中 の 香水 を よく 振り かけて ください 。 はやく|||あたま||びん||なか||こうすい|||ふり|| I will not let you wait for 15 minutes. 」   そして 戸 の 前 に は 金 ピカ の 香水 の 瓶 が 置いて あり ました 。 |と||ぜん|||きむ|||こうすい||びん||おいて|| I can eat it soon. 二 人 は その 香水 を 、 頭 へ ぱちゃぱちゃ 振り かけ ました 。 ふた|じん|||こうすい||あたま||ぱち ゃぱ ちゃ|ふり|| Sprinkle the perfume in the bottle as quickly as possible on your head. ところが その 香水 は 、 どうも 酢 の ような 匂 が する のでした 。 ||こうすい|||す|||にお||| And in front of the door there was a gold pika perfume bottle. 「 この 香水 は へんに 酢 くさい 。 |こうすい|||す| They sprinkled the perfume on the head. どうした ん だろう 。 However, the perfume smelled like vinegar. 」 「 まちがえた んだ 。 "This perfume has vinegar strangers. 下 女 が 風邪 でも 引いて まちがえて 入れた んだ 。 した|おんな||かぜ||ひいて||いれた| It would happened to . 」   二 人 は 扉 を あけて 中 に はいり ました 。 ふた|じん||とびら|||なか||| "I made a mistake. 扉 の 裏側 に は 、 大きな 字 で 斯 う 書いて あり ました 。 とびら||うらがわ|||おおきな|あざ||し||かいて|| The lower woman pulled in even a cold and inserted it wrong. 「 いろいろ 注文 が 多くて うるさかった でしょう 。 |ちゅうもん||おおくて|| They opened the door and went inside. お 気の毒でした 。 |きのどくでした There was written in the large letter on the back side of the door. もう これ だけ です 。 "There were lots of orders and it was noisy. どう か から だ 中 に 、 壺 の 中 の 塩 を たくさん   よく もみ込んで ください 。 ||||なか||つぼ||なか||しお||||もみ こんで| I was sorry. 」   なるほど 立派な 青い 瀬戸 の 塩 壺 は 置いて あり ました が 、 こんど と いう こんど は 二 人 と も ぎょっと して お 互 に クリーム を たくさん 塗った 顔 を 見合せ ました 。 |りっぱな|あおい|せと||しお|つぼ||おいて|||||||||ふた|じん||||||ご||くりーむ|||ぬった|かお||みあわせ| It is already only this. 「 どうも おかしい ぜ 。 Please let me get the salt in the jar a lot better. 」 「 ぼく も おかしい と おもう 。 Indeed there was a splendid blue Seto pot in Seto, but next time we looked at the face painted a lot of creams with each other. 」 「 沢山の 注文 と いう の は 、 向 う が こっち へ 注文 して る んだ よ 。 たくさんの|ちゅうもん|||||むかい|||||ちゅうもん|||| "It is strange. 」 「 だ から さ 、 西洋 料理 店 と いう の は 、 ぼく の 考える ところ で は 、 西洋 料理 を 、 来た 人 に たべ させる ので は なくて 、 来た 人 を 西洋 料理 に して 、 食べて やる 家 と こういう こと な んだ 。 |||せいよう|りょうり|てん|||||||かんがえる||||せいよう|りょうり||きた|じん|||さ せる||||きた|じん||せいよう|りょうり|||たべて||いえ||||| "I think it is strange too. これ は 、 その 、 つ 、 つ 、 つ 、 つまり 、 ぼ 、 ぼ 、 ぼくら が ……。 "To order a lot of orders, we are ordering here. 」 がたがた がたがた 、 ふるえ だして もう もの が 言え ませ ん でした 。 |||||||いえ||| "So, a western restaurant is a place where I think Western food isn't something to eat for the people who come to you, but for those who eat the people who come to eat it And that's what it is like. 「 その 、 ぼ 、 ぼくら が 、…… うわ あ 。 This is that one, one, one, that is, ぼ, 、, ぼ. 」 がたがた がたがた ふるえ だして 、 もう もの が 言え ませ ん でした 。 |||||||いえ||| "I shook it, and I could not say anything anymore. 「 遁 げ ……。 とん| "That, my, my, my ...... wow. 」 がたがた し ながら 一 人 の 紳士 は うしろ の 戸 を 押そう と し ました が 、 どう です 、 戸 は もう 一 分 も 動き ませ ん でした 。 |||ひと|じん||しんし||||と||おそう|||||||と|||ひと|ぶん||うごき||| I started to sway and I couldn't say anything anymore. 奥 の 方 に は まだ 一 枚 扉 が あって 、 大きな かぎ 穴 が 二 つ つき 、 銀 いろ の ホーク と ナイフ の 形 が 切りだして あって 、 「 いや 、 わざわざ ご 苦労です 。 おく||かた||||ひと|まい|とびら|||おおきな||あな||ふた|||ぎん|||ほーく||ないふ||かた||きりだして|||||くろうです "I'm sorry .... 大へん 結構に でき ました 。 たいへん|けっこうに|| "One man gentleman tried to push the back door while he did, but how about the door did not move for a minute. さあ さあ お なか に お はいり ください 。 There is still a door in the back, two large key holes attached, and the shape of the silver hawk and knife are cutting out, "No, it is a tough pursuit. 」 と 書いて あり ました 。 おまけに かぎ 穴 から は きょろきょろ 二 つ の 青い 眼 玉 が こっち を のぞいて い ます 。 |かいて|||||あな||||ふた|||あおい|がん|たま|||||| I was able to do a lot. 「 うわ あ 。 Please come to your stomach now. 」 がたがた がたがた 。 "Was written. 「 うわ あ 。 」 がたがた がたがた 。 ふた り は 泣き出し ました 。 |||||||なきだし| In addition, two blue eyeballs are peeking out from the keyhole. する と 戸 の 中 で は 、 こそこそ こんな こと を 云 って い ます 。 ||と||なか|||||||うん||| Then, in the door, sneak is saying such a thing. 「 だめだ よ 。 "I am. もう 気 が ついた よ 。 |き||| I've already noticed. 塩 を も みこま ない ようだ よ 。 しお|||||| It doesn't seem to inject salt. 」 「 あたりまえ さ 。 I was crying. 親分 の 書き よう が まずい んだ 。 おやぶん||かき|||| Then, in the door, it is very important to say such a thing. あす こ へ 、 いろいろ 注文 が 多くて うるさかった でしょう 、 お 気の毒でした なんて 、 間 抜けた こと を 書いた もん だ 。 ||||ちゅうもん||おおくて||||きのどくでした||あいだ|ぬけた|||かいた|| " No good . 」 「 どっち で も いい よ 。 I was already nervous. どうせ ぼくら に は 、 骨 も 分けて 呉 れ や し ない んだ 。 ||||こつ||わけて|くれ||||| It looks like you don't eat salt. 」 「 それ は そう だ 。 "That's right. けれども もし ここ へ あいつ ら が はいって 来 なかったら 、 それ は ぼくら の 責任 だ ぜ 。 ||||||||らい||||||せきにん|| It is not good to write the master letter. 」 「 呼ぼう か 、 呼ぼう 。 よぼう||よぼう To tomorrow, it was awful to have many orders, and I wrote that I was sorry that I was stupid. おい 、 お 客 さん 方 、 早く いらっしゃい 。 ||きゃく||かた|はやく| " " whichever . いらっしゃい 。 いらっしゃい 。 お 皿 も 洗って あり ます し 、 菜っ葉 も もう よく 塩 で もん で 置き ました 。 |||さら||あらって||||なっぱ||||しお||||おき| In any case, we do not divide bones and repel them. あと は あなた が た と 、 菜っ葉 を うまく とりあわせて 、 まっ白 なお 皿 に のせる だけ です 。 ||||||なっぱ||||まっしろ||さら|||| All you have to do now is put the green leaves together and put them on a white plate. はやく いらっしゃい 。 But if they don't come here, it's our responsibility. 」 「 へい 、 いらっしゃい 、 いらっしゃい 。 それとも サラド は お 嫌い です か 。 ||||きらい|| Or do you hate Salado? そん なら これ から 火 を 起して フライ に して あげ ましょう か 。 ||||ひ||おこして|ふらい||||| welcome . とにかく はやく いらっしゃい 。 」   二 人 は あんまり 心 を 痛めた ため に 、 顔 が まるで くしゃくしゃの 紙屑 の ように なり 、 お 互 に その 顔 を 見合せ 、 ぶるぶる ふるえ 、 声 も なく 泣き ました 。 ふた|じん|||こころ||いためた|||かお||||かみくず|||||ご|||かお||みあわせ|||こえ|||なき| The dishes were also washed, and the leaves were also well placed with salt. 中 で は ふ っふ っと わらって また 叫んで い ます 。 なか||||||||さけんで|| All you have to do is put together the green leaf well and put it on the whole dish. 「 いらっしゃい 、 いらっしゃい 。 "Welcome, welcome. そんなに 泣いて は 折角 の クリーム が 流れる じゃ あり ませ ん か 。 |ないて||せっかく||くりーむ||ながれる||||| Wouldn't the crying cream flow if you cry so much? へい 、 ただいま 。 Or do you dislike Salad? じき もって まいり ます 。 If so, let's start the fire and make it a fly. さあ 、 早く いらっしゃい 。 |はやく| Come on soon. 」 「 早く いらっしゃい 。 はやく| "Because they both hurt their heart so much that their faces turned like crumpled paper scraps, they saw each other's face, cried, and cried with no voice. 親方 が もう ナフキン を かけて 、 ナイフ を もって 、 舌なめずり して 、 お 客 さま 方 を 待って い られ ます 。 おやかた||||||ないふ|||したなめずり|||きゃく||かた||まって||| In the middle of the room, she is shouting again. 」   二 人 は 泣いて 泣いて 泣いて 泣いて 泣き ました 。 ふた|じん||ないて|ないて|ないて|ないて|なき| その とき うしろ から いきなり 、 「 わん 、 わん 、 ぐ ゎあ 。 If you cry so much, you may find that the cream at the corner flows. 」 と いう 声 が して 、 あの 白熊 の ような 犬 が 二 疋 、 扉 を つきやぶって 室 の 中 に 飛び込んで き ました 。 ||こえ||||しろくま|||いぬ||ふた|ひき|とびら|||しつ||なか||とびこんで|| Hey, I'm here. 鍵 穴 の 眼 玉 は たちまち なくなり 、 犬 ども は う うとう なって しばらく 室 の 中 を くるくる 廻って い ました が 、 また 一声 「 わん 。 かぎ|あな||がん|たま||||いぬ|||||||しつ||なか|||まわって|||||ひとこえ| I will come soon. 」 と 高く 吠えて 、 いきなり 次の 扉 に 飛びつき ました 。 |たかく|ほえて||つぎの|とびら||とびつき| And barked high and suddenly jumped to the next door. 戸 は がた り と ひらき 、 犬 ども は 吸い込ま れる ように 飛んで 行き ました 。 と||||||いぬ|||すいこま|||とんで|いき| The doors fluttered, and the dogs flew as if inhaled. その 扉 の 向 う の まっくらやみの なか で 、 「 に ゃあ お 、 く ゎあ 、 ごろごろ 。 |とびら||むかい||||||||||| The parent can wear nafkin, hold the knife, lick his tongue, and wait for the customer. 」 と いう 声 が して 、 それ から がさがさ 鳴り ました 。 ||こえ||||||なり| "They cried and cried and cried and cried and cried and cried. 室 は けむり の ように 消え 、 二 人 は 寒 さ に ぶるぶる ふるえて 、 草 の 中 に 立って い ました 。 しつ|||||きえ|ふた|じん||さむ|||||くさ||なか||たって|| Suddenly from the back of it, "Well, wow, wow. 見る と 、 上着 や 靴 や 財布 や ネクタイ ピン は 、 あっ ち の 枝 に ぶらさがったり 、 こっち の 根 もと に ちらばったり して い ます 。 みる||うわぎ||くつ||さいふ||ねくたい|ぴん|||||えだ|||||ね|||||| Then, a dog like that white bear jumped into the room with the door in it. 風 が どう と 吹いて きて 、 草 は ざ わざ わ 、 木 の 葉 は かさかさ 、 木 は ごと ん ごと ん と 鳴り ました 。 犬 が ふうとう なって 戻って き ました 。 かぜ||||ふいて||くさ|||||き||は|||き|||||||なり||いぬ||||もどって|| The eyes of the keyhole disappeared quickly, and the dogs were wriggling and crawling around the room for a while, but again a shout "Wan. そして うしろ から は 、 「 旦那 あ 、 旦那 あ 、」 と 叫ぶ もの が あり ます 。 ||||だんな||だんな|||さけぶ|||| "I was so tall and suddenly jumped to the next door. 二 人 は 俄かに 元気 が ついて 「 おおい 、 おおい 、 ここ だ ぞ 、 早く 来い 。 ふた|じん||にわかに|げんき||||||||はやく|こい The two suddenly became cheerful and said, "Hey, oh, here, come early. 」 と 叫び ました 。 |さけび| In the midst of the blindness of the door, "Nya aa, aha, haha. 簔帽 子 を かぶった 専門 の 猟師 が 、 草 を ざ わざ わ 分けて やってき ました 。 みのぼう|こ|||せんもん||りょうし||くさ|||||わけて|| A professional huntsman wearing a minako hat came and divided the grass. そこ で 二 人 は やっと 安心 し ました 。 ||ふた|じん|||あんしん|| The room faded away, and the two were shaking cold and standing in the grass. そして 猟師 の もってきた 団子 を たべ 、 途中 で 十 円 だけ 山鳥 を 買って 東京 に 帰り ました 。 |りょうし|||だんご|||とちゅう||じゅう|えん||やまどり||かって|とうきょう||かえり| When I see it, my jacket, shoes, wallet, tie pin hang on the branches and scatter at their roots. しかし 、 さっき 一ぺん 紙くず の ように なった 二 人 の 顔 だけ は 、 東京 に 帰って も 、 お 湯 に は いって も 、 もう もと の とおり に なおり ませ ん でした 。 ||いっぺん|かみくず||||ふた|じん||かお|||とうきょう||かえって|||ゆ||||||||||||| However, the faces of the two people, who had just turned into paper waste, did not recover as they did when they returned to Tokyo or entered the hot water.