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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 10. 風 - 竹久 夢二

10. 風 - 竹久 夢二

風 が 、 山 の 方 から 吹いて 来ました 。 学校 の 先生 が お 通り に なる と 、 街 で 遊んで いた 生徒 達 が 、 みんな お辞儀 を する ように 、 風 が 通る と 、 林 に 立って いる 若い 梢 も 、 野 の 草 も 、 みんな お辞儀 を する のでした 。

風 は 、 街 の 方 へ も 吹いて 来ました 。 それ は たいそう 面白 そうでした 。 教会 の 十字 塔 を 吹いたり 、 煙突 の 口 で 鳴ったり 、 街 の 角 を 廻る とき 蜻蛉 返り を したり する 様子 は 、 とても 面白 そうで 、 恰度 子供 達 が 「 鬼ごっこ する もん 寄っと い で 」 と 言う ように 、「 ダンス を する もん 寄っと い で 」 と いい ながら 、 風 の 遊 仲間 を 集める のでした 。

風 が 面白 そうな 歌 を うたい ながら 、 ダンス を して 躍 廻る ので 、 干物 台 の エプロン や 、 子供 の 着物 も ダンス を はじめます 。 すると 木 の 葉 も 、 枝 の 端で 踊り だす 。 街 に 落ちて いた 煙草 の 吸殻 も 、 紙屑 も 空 に 舞上って 踊る のでした 。

その 時 、 街 を 歩いて いた 幸太郎 と いう 子供 の 帽子 が 浮かれ だして 、 いつの間にか 、 幸太郎 の 頭 から 飛下りて 、 ダンス を し ながら 街 を 駆けだしました 。 その 帽子 に は 、 長い リボン が ついて いた から 、 遠く から 見る と まるで 鳥 の ように 飛ぶ のでした 。 幸太郎 は 、 驚いて 、「 止れ ! 」 と 号令 を かけた が 、 帽子 は 聞え ない ふり を して 、 風 と ふざけ ながら 、 どんどん 大通り の 方 まで とんで ゆきます 。

一生懸命に 、 幸太郎 は 追っかけた から 、 やっと の こと で 追いついて 、 帽子 の リボン を 押えよう と する と 、 また どっと 風 が 吹いて きた ので 、 こんど は まるで 輪 の ように くるくる と 廻り ながら 駆けだしました 。

「 坊ちゃん 、 なかなか つかまりません よ 。」

帽子 が 駆け ながら いう のです 。

する と 、 こんど は 大通 から 横町 の 方 へ 風 が 吹き まわした ので 、 幸太郎 の 帽子 も 、 風 と 一しょに 、 横町 へ 曲って しまいました 。 そして そこ に あった ビール 樽 の かげ へ かくれました 。

幸太郎 は 大急ぎで 、 横町 の 角 まで きた が 、 帽子 は 見つかりません 。

「 ぼく の 帽子 が ない や 」

幸太郎 は 、 もう 泣きだし そうに なって 言いました 。 帽子 を つれて いった 風 も 、 幸太郎 を 気の毒に なって きて 、

「 坊ちゃん 、 私 が 見つけて あげましょう 。」 そう いって 、 ビール 樽 の かげ の 帽子 の しっぽ を 、 ひらひら と 吹いて 見せました 。 幸太郎 は 、 すぐ 帽子 の ある 所 を 見つけました 。

「 万歳 ! 」 幸太郎 は 、 帽子 の 尻尾 を つかんで 叫びました 。

「 風 やい 、 もう 取ら れ ない ぞ ! 」 幸太郎 は 、 帽子 の つば を 両手 で 、 しっかり 握って い いました 。

「 ほう 、 ほう 」 風 は そう 言い ながら 、 飛んで 行きました 。

エプロン も 、 木 の 葉 も 、 紙屑 も また ダンス を して いた けれど 、 幸太郎 の 帽子 は もう ダンス を しません でした 。

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10. 風 - 竹久 夢二 かぜ|たけ ひさ|ゆめ ふた |Takehisa|Yumeji 10. Wind - Takehisa Yumeji 10\. Wind - Yumeji Takehisa 10. viento - Takehisa Yumeji 10. vent - Takehisa Yumeji 10. 바람 - 타케히사 유메지 10. vento - Takehisa Yumeji 10. ветер - Такехиса Юмэдзи 10. 风 - 竹久梦二

風 が 、 山 の 方 から 吹いて 来ました 。 かぜ||やま||かた||ふいて|き ました The wind blew from the mountains. 学校 の 先生 が お 通り に なる と 、 街 で 遊んで いた 生徒 達 が 、 みんな お辞儀 を する ように 、 風 が 通る と 、 林 に 立って いる 若い 梢 も 、 野 の 草 も 、 みんな お辞儀 を する のでした 。 がっこう||せんせい|||とおり||||がい||あそんで||せいと|さとる|||おじぎ||||かぜ||とおる||りん||たって||わかい|こずえ||の||くさ|||おじぎ||| ||||||||||||||students|||bow||||||||grove|||||branch||field|||||bow||| Just as the school teachers walked down the street, the students who were playing in the city all bowed, and when the wind passed, the young treetops standing in the forest, the grass in the fields, all bowed. did . 正如所有在街上玩耍的學生在老師走過時鞠躬一樣,森林裡的小樹梢和田野裡的小草在風吹過時都鞠躬。

風 は 、 街 の 方 へ も 吹いて 来ました 。 かぜ||がい||かた|||ふいて|き ました The wind was blowing toward the city. それ は たいそう 面白 そうでした 。 |||おもしろ|そう でした ||very|| It looked very interesting. 看起來很有趣。 教会 の 十字 塔 を 吹いたり 、 煙突 の 口 で 鳴ったり 、 街 の 角 を 廻る とき 蜻蛉 返り を したり する 様子 は 、 とても 面白 そうで 、 恰度 子供 達 が 「 鬼ごっこ する もん 寄っと い で 」 と 言う ように 、「 ダンス を する もん 寄っと い で 」 と いい ながら 、 風 の 遊 仲間 を 集める のでした 。 きょうかい||じゅうじ|とう||ふいたり|えんとつ||くち||なったり|がい||かど||まわる||とんぼ|かえり||||ようす|||おもしろ|そう で|かつど|こども|さとる||おにごっこ|||よ っと||||いう||だんす||||よ っと||||||かぜ||あそ|なかま||あつめる| church||cross|tower||blew|chimney||||sounded|||||to turn||dragonfly|turning back||||appearance||||seems very|just like||children||tag game|||gathering||||||||||gathering||||||||playing|playmates||| The appearance of blowing the cross tower of the church, ringing at the mouth of the chimney, and turning the dragonfly when going around the corner of the city seems to be very interesting, and the children say "tag". So, while saying, "Dance, come close to me," I gathered friends from the wind. 在教堂的十字塔上吹气,在烟囱口响起,在城镇的角落里做着蜻蜓般的动作,它们看起来非常有趣,以至于孩子们说,“来吧,玩捉迷藏!”同样,一边说着“过来参加舞会”,一边召集了风的玩伴们。 在教堂的十字塔上吹氣,在煙囪口響起,在城鎮的角落裡做著蜻蜓般的動作,它們看起來非常有趣,以至於孩子們說:“來吧,玩捉迷藏!”同樣,一邊說著“過來參加舞會”,一邊召集了風的玩伴們。

風 が 面白 そうな 歌 を うたい ながら 、 ダンス を して 躍 廻る ので 、 干物 台 の エプロン や 、 子供 の 着物 も ダンス を はじめます 。 かぜ||おもしろ|そう な|うた||||だんす|||おど|まわる||ひもの|だい||えぷろん||こども||きもの||だんす||はじめ ます ||||||singing|||||jumping|||dried fish|||apron||||||||will start While singing songs that seem to be interesting in the wind, they dance and jump around, so the apron on the dried fish stand and the kimono for children also start dancing. すると 木 の 葉 も 、 枝 の 端で 踊り だす 。 |き||は||えだ||はしたで|おどり| |||||branch||end|dancing|starts to dance Then the leaves of the tree also begin to dance at the ends of the branches. 街 に 落ちて いた 煙草 の 吸殻 も 、 紙屑 も 空 に 舞上って 踊る のでした 。 がい||おちて||たばこ||すいがら||かみくず||から||まい のぼって|おどる| street||||tobacco||cigarette butt||scrap paper||||fluttered up|danced| Cigarette butts and paper scraps that had fallen in the city soared into the sky and danced.

その 時 、 街 を 歩いて いた 幸太郎 と いう 子供 の 帽子 が 浮かれ だして 、 いつの間にか 、 幸太郎 の 頭 から 飛下りて 、 ダンス を し ながら 街 を 駆けだしました 。 |じ|がい||あるいて||こうたろう|||こども||ぼうし||うかれ||いつのまにか|こうたろう||あたま||と おりて|だんす||||がい||かけだし ました ||||||Koutarou|||||hat||floating|started to float|before I knew it|||||jumped down|||||||started running At that time, the hat of a child named Kotaro who was walking in the city came to my mind, and before I knew it, I jumped from Kotaro's head and ran through the city while dancing. その 帽子 に は 、 長い リボン が ついて いた から 、 遠く から 見る と まるで 鳥 の ように 飛ぶ のでした 。 |ぼうし|||ながい|りぼん|||||とおく||みる|||ちょう|||とぶ| |hat|locative particle||||||||||||just like||||| The hat had a long ribbon attached to it, so when viewed from a distance, it flew like a bird. 幸太郎 は 、 驚いて 、「 止れ ! こうたろう||おどろいて|とまれ ||surprised|stop Kotaro was surprised and said, "Stop! 」 と 号令 を かけた が 、 帽子 は 聞え ない ふり を して 、 風 と ふざけ ながら 、 どんどん 大通り の 方 まで とんで ゆきます 。 |ごうれい||||ぼうし||きこえ|||||かぜ|||||おおどおり||かた|||ゆき ます |command||called||hat||pretend not to hear||pretending|||||playing|||main street||||flew|will fly However, I pretended that I couldn't hear the hat, and while playing with the wind, I steadily jumped to the main street.

一生懸命に 、 幸太郎 は 追っかけた から 、 やっと の こと で 追いついて 、 帽子 の リボン を 押えよう と する と 、 また どっと 風 が 吹いて きた ので 、 こんど は まるで 輪 の ように くるくる と 廻り ながら 駆けだしました 。 いっしょうけんめいに|こうたろう||おっかけた||||||おいついて|ぼうし||りぼん||おさえよう||||||かぜ||ふいて||||||りん|||||まわり||かけだし ました with all one's might|||chased||finally||||caught up with|hat||ribbon||press down|||||suddenly||||||this time||just like|circle|||spirally||circling||started running Kotaro chased hard, so he finally caught up and tried to hold down the ribbon on his hat, and the wind blew again, so he ran around like a ring. .. 光太郎使出浑身解数追了上去,当他终于追上来,正要拉住帽子上的缎带时,风又刮了起来,这次他像一个圆环一样转了一圈。。

「 坊ちゃん 、 なかなか つかまりません よ 。」 ぼっちゃん||つかまり ませ ん| young master||can't be caught| "Bo-chan, it's hard to catch." “少爷,我抓不到你。”

帽子 が 駆け ながら いう のです 。 ぼうし||かけ||| ||running|while|| The hat is running. 帽子跑着说。

する と 、 こんど は 大通 から 横町 の 方 へ 風 が 吹き まわした ので 、 幸太郎 の 帽子 も 、 風 と 一しょに 、 横町 へ 曲って しまいました 。 ||||だい かよ||よこ ちょう||かた||かぜ||ふき|||こうたろう||ぼうし||かぜ||いっしょに|よこ ちょう||まがって|しまい ました ||this time||Odori Street||side street||||||blew|blew||||||||together with|side street||turned| Then, the wind blew from Odori to Yokomachi, so Kotaro's hat also bent to Yokomachi with the wind. そして そこ に あった ビール 樽 の かげ へ かくれました 。 ||||びーる|たる||||かくれ ました |||||barrel||shadow||hidden And he hid me behind the beer barrel that was there. 然后他躲在一个啤酒桶后面。

幸太郎 は 大急ぎで 、 横町 の 角 まで きた が 、 帽子 は 見つかりません 。 こうたろう||おおいそぎで|よこ ちょう||かど||||ぼうし||みつかり ませ ん Kōtarō||in a hurry|side street||corner||||||not found Kotaro hurried to the corner of Yokomachi, but couldn't find his hat. 光太郎急忙跑到横丁的拐角处,却找不到自己的帽子。

「 ぼく の 帽子 が ない や 」 ||ぼうし||| "I don't have my hat."

幸太郎 は 、 もう 泣きだし そうに なって 言いました 。 こうたろう|||なきだし|そう に||いい ました |||about to cry|seemed like|| Kotaro said he was almost crying. 帽子 を つれて いった 風 も 、 幸太郎 を 気の毒に なって きて 、 ぼうし||||かぜ||こうたろう||きのどくに|| ||bringing|brought|||Kotaro||felt sorry for|| The wind that brought me with my hat made me feel sorry for Kotaro. 带着帽子的风为小太郎感到难过,

「 坊ちゃん 、 私 が 見つけて あげましょう 。」 ぼっちゃん|わたくし||みつけて|あげ ましょう young master||||I'll give "Bo-chan, I'll find you." “老大,我给你找。” そう いって 、 ビール 樽 の かげ の 帽子 の しっぽ を 、 ひらひら と 吹いて 見せました 。 ||びーる|たる||||ぼうし||||||ふいて|みせ ました |||barrel||shadow||||tail||fluttering|||showed That said, I fluttered the tail of the hat behind the beer barrel. 说着,他吹了吹啤酒桶后面的帽尾。 幸太郎 は 、 すぐ 帽子 の ある 所 を 見つけました 。 こうたろう|||ぼうし|||しょ||みつけ ました ||right away||||||found Kotaro soon found a place with a hat.

「 万歳 ! ばんざい long live " Banzai ! 」 幸太郎 は 、 帽子 の 尻尾 を つかんで 叫びました 。 こうたろう||ぼうし||しっぽ|||さけび ました ||||tail||grabbed|shouted Kotaro grabbed the tail of his hat and shouted. ’小太郎抓着帽檐喊道。

「 風 やい 、 もう 取ら れ ない ぞ ! かぜ|||とら||| |hey|||will not|| "Wind, I can't take it anymore! 」 幸太郎 は 、 帽子 の つば を 両手 で 、 しっかり 握って い いました 。 こうたろう||ぼうし||||りょうて|||にぎって||い ました ||||brim||||firmly|holding|| Kotaro was holding the brim of his hat firmly with both hands.

「 ほう 、 ほう 」 風 は そう 言い ながら 、 飛んで 行きました 。 ||かぜ|||いい||とんで|いき ました "Huh, huh" The wind flew away, saying so.

エプロン も 、 木 の 葉 も 、 紙屑 も また ダンス を して いた けれど 、 幸太郎 の 帽子 は もう ダンス を しません でした 。 えぷろん||き||は||かみくず|||だんす|||||こうたろう||ぼうし|||だんす||し ませ ん| apron||||leaf||scraps of paper|||||||but||||||||| The apron, the leaves, and the scraps of paper were also dancing, but Koutarou's hat was no longer dancing.