三 姉妹 探偵 団 3 Chapter 16
エピローグ
「── 井口 と 草間 由美子 が 、 自白 した 、 と 連絡 が あった よ 」
と 、 国友 が 言った 。 「 しかし 、 綾子 君 の こと は 知ら ない と 言って る そうだ 」
「 どこ へ 行っちゃ った の か なあ 」
夕 里子 は 、 首 を 振った 。
国友 と 二 人 、 広い 小峰 邸 の 中 を 、 もう 何 時間 も 捜し 回って いる のである 。
「 井口 たち は 、 初め 、 丸山 に 、 有田 信子 も 小峰 も 殺さ せる 計画 だった らしい 。 やっぱり 、 小峰 の 財産 を 、 大分 使い込んで いた んだ 。 だから 少なくとも 小峰 は 、 人 の 目の前 で 、 しかも 自分 たち も 見 られて いる 状態 で 、 他の 人間 に 殺さ せ なくちゃ なら なかった 」
「 疑い が かかる の を 予期 して た の ね 」
「 ところが 、 丸山 が 、 思って いた より 気 の 小さな 男 で 、 有田 信子 は 、 思いがけず 殺さ れた けど 、 とても 小峰 を 殺す なんて でき ない 」
「 有田 信子 を 殺した の が 誰 か 、 丸山 は 見て いた の ね 。 それ で 草間 由美子 に 話した んでしょう 」
「 そう 。 坂口 爽子 が 息子 を 守る ため なら 、 どんな こと でも する と 見て 、 丸山 に は 見切り を つけた んだ 。 僕 と 話す の を 聞いた 草間 由美子 は 、 丸山 を 生かして おいちゃ 危 い と 思った んだ な 。 外 で 待って いた 井口 に 言って 、 丸山 を 殺さ せた 」
「 それ から 、 坂口 爽子 を 脅して 、 小峰 を 撃た せた 。 ── 勇一 を 病院 の 前 で 撃った の は ? 「 井口 だ そうだ よ 。 そう いえば 、 小峰 も もち 直した そうだ し ──。 井口 は 坂口 爽子 から 拳銃 を 取り戻し に 行って 、 ちょうど 爽子 が 君 と 会う ため に 学校 へ 出かける の を 見た んだ 。 で 、 後 を つけて 来た んだ よ 。 や あ 、 珠美 君 ! 珠美 が 、 門 を 入って 、 二 人 の 方 へ やって 来る 。
「 綾子 姉ちゃん 、 見付かった ? 「 まだ 。 ── あんた 勇一 君 の 方 は いい の ? 「 あんな 奴 、 放っといて 構わ ない わ よ ! と 、 ふくれて いる 。
「 どうした の ? 「 意識 が 戻って 、 私 の 顔 見て 、 最初に 何て 言った と 思う ? 『 貯金 全部 だ な 』 で すって ── 死 ん じまえ ば いい んだ わ 。 保険 に 入れて 、 受取 人 、 私 に し とく から 」
夕 里子 は 笑い 出して しまった 。
「 いい 取り合せよ 、 あんた たち 。 ── 勇一 君 も 人生 が 変る わ ね 」
「 お腹 空いた 。 ── 綾子 姉ちゃん 、 もし 、 どこ か に いる と して も 、 空腹で の びてん じゃ ない ? 「 悲観 的 ね 」
「 現実 的な の よ 。 ── 綾子 姉ちゃん に は 、 いつも おにぎり ぐらい 持た せる べきだ わ 。 迷子 に なった とき の ため に 」
夕 里子 が 、 指 を パチン と 鳴らした 。
「 そう だ わ ! ガレージ の わき から 入る 物置 ! あそこ 捜して なかった ! 三 人 は 、 建物 の わき を 回って 行った 。
「 この ドア よ 。 確か 、 中 から は 開か ない の 」
夕 里子 が ドア を 開ける と ……。
「 あら 、 三 人 お 揃い で 」
目の前 に 、 珍妙な 格好の 綾子 が 立って いた 。
「── お 姉さん ! どうして こんな 所 に いた の よ ? 「 だって ── エレベーター の 点検 で ね 。 ちょっと 動かして みて くれ って 言わ れて さ 。 ここ で 降りたら 、 エレベーター 動か なく なっちゃ った の 。 ドア は 開か ない し 、 電話 も ない し 」
「 それ に したって ……」
夕 里子 は ホッと し ながら も 腹 が 立った 。
「 でも 、 ここ も そう 居心地 悪く なかった わ 。 結構 ヒーター が 効いて て あった か いし 。 ── あら 、 珠美 。 誘拐 さ れた んじゃ なかった の ? 珠美 は 、 事情 を 説明 する 気 に も なれ なかった 。
四 人 は 、 外 へ 出て 、 門 の 方 へ 歩き 出した 。
「 しかし 、 綾子 君 」
と 、 国友 が 言った 。 「 結構 元気 そうだ ね 。 お腹 空いて ない の かい ? 「 だって 、 あそこ 、 非常 用 の クッキー と か 乾パン と か 水 と か 、 何でも ある の 。 ── ね 、 夕 里子 」
「 何 ? 「 乾パン って 意外に おいしい って こと 発見 した の よ 、 私 ! と 、 綾子 が 得意 げ に 言う 。
「 おめでとう 」
夕 里子 は 、 ため息 と 共に 言った 。
門 の 所 まで 来て 、 国友 が 、
「 アッ ! と 足 を 止めた 。
目の前 に 、 ベンツ が 停 って いて 、 それ に もたれて 立って いる の は 、 杉下 ルミ だった 。
「 私 の 国友 さん ! お 待ち して た の よ 。 ドライブ し ま しょ ! 「 ねえ 、 君 ──」
「 もう 事件 は 解決 した んでしょ ? だったら いい じゃ ない 。 ね ? そんな 貧乏 くさい 子 と 付合って も 面白く ない わ よ 」
「 ちょっと ──」
夕 里子 は やたら 怒りっぽく なって いた 。
「 国友 さん は 私 の 恋人 な んだ から ね ! 「 あんた が 勝手に そう 思って る だけ じゃ ない の 、 この ジャジャ 馬 ! と ルミ が 怒鳴り 返す 。
「 何で すって ! この 成金 ! 「 成金 で 悪かった わ ね ! お 金 は あった 方 が いい の よ ! 「 愛情 は 別 よ 」
「 少女 漫画 の 読み 過ぎよ ! 「 何 よ ! ── 怒鳴り 合って いる 二 人 を 前 に 、 国友 は ただ なす すべ も ない 。
珠美 は 面白がって 眺めて いて 、 ただ 、 綾子 一 人 が 目 を パチクリ さ せ ながら 、
「 あの 二 人 、 何 して ん の ? と 、 呟いた のだった ……。