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盾の勇者成りがり02, 盾の勇者の成り上がり 02 Chapter 08

盾 の 勇者 の 成り 上がり 02 Chapter 08

八 話 飴 と 鞭 「 奴隷 商 ! 」 俺 は 朝一 で 奴隷 商 の テント に 乗り込んで いた 。 「 朝 から どうした と いう のです 勇者 様 。 ハイ 」

「 お前 の 所 の 魔物 紋 が 不良 品 だった ぞ 。 返答 しだい で は 俺 の 危険な 奴隷 と 魔物 が ここ で 暴れる こと に なる 。 そうだ ろ ? 」 「 フィーロ 、 お腹 空いた から 後 で ね 」 「…… いい加減に し ない と お前 を 朝飯 に する ぞ 」

フィーロ に 掛けた 魔物 紋 が どうも 思い通りに 発動 せ ず 、 しかも 外せ ない 。

「 おや ? それ は どういう 事 です かな ? 」 奴隷 商 に 俺 は 朝 の 出来事 を 説明 する 。 あの 後 が 大変だった 。 フィーロ を どうにか 宥 なだめて 人間 の 姿 に さ せて から テント に やってきた 。 ラフタリア に 至って は 、 フィーロ が 変な 事 を し ない か 常時 気 を 張って いて 大変 そうだ 。

「 どうやら フィロリアル ・ クイーン に 普通の 魔物 紋 で は 拘束 を 解かれて しまう ようです 。 ハイ 」

「 と いう と ? 」 「 高位 の 魔物 は 普通の 魔物 紋 で は 縛れ ない のです よ 。 くじ の 景品 である 騎竜 に は 特別な 魔物 紋 を 刻みます 」 「 つまり コイツ に は 普通の 魔物 紋 だ と 効か ない と ? 」 「 ええ 」 奴隷 商 の 奴 、 新たな 事実 に やや 興奮 気味 と なって 手帳 に 何 か を カリカリ と 書いて いる 。

「 で 、 その 特別な 魔物 紋 は 施して くれる の か ? 」 「 いやはや 、 それ は サービス の 適用 外 です 。 ハイ 」

「 なんだ と 」

「 さすが に 安く は ない 費用 が かかります ので 、 サービス に する に は 厳しい ところ です 。 こちら の 被害 も 限界 に 近い です ので 」

これ 以上 の サービス は さすが に 出せ ない と 言う わけ か 。 まあ 、 あれ だけ の 被害 を 出さ せて しまった のだ から しょうがない か ……。

「 幾ら だ ? 」 「 勇者 様 の 将来 に 期待 して 、 大 マケ に まけて 銀貨 二〇〇 枚 で どう でしょう 」 くう う う う …… 高い 。

「 そこ を ──」

「 ちなみに 相場 は 安くて 銀貨 八〇〇 枚 です 。 私 、 勇者 様 に は 期待 して おります ので 嘘 は 吐いて おりません 」 ぐ は ! 俺 の 精神 に 多大な ダメージ が 与えられた 。 敗北 を 認め 、 非常に 遺憾 ながら も 奴隷 商 に 銀貨 二〇〇 枚 を 渡す 。

「…… 嘘 だったら 俺 の 危険な 配下 が 貴 様 を 血 祭り に あげる から な 」

「 承知 して おります と も 」 いつの間にか フィロリアル ・ クイーン の 姿 に なって いる フィーロ 。 その 大きな 翼 を 、 ラフタリア が 手 で 繋 つないで 連れて 来る 。

「 そこ で ジッと して いろ よ 、 フィーロ 」

「 なんで ー ? 」 「 ジッと して いたら 後 で 良い 物 を 食べ させて やる 」 「 ホント ? 」 「 ああ 」 目 を 輝か せた フィーロ は 、 奴隷 商 の 指示 する 場所 で ジッと して いる 。

よし 、 魔法 を 施す なら 今 だ 。 俺 が 奴隷 商 に 目 で 合図 を 送る 。 奴隷 商 も 頷 うなずき 、 顔 の 見え ない ローブ を 着た 部下 を 一二 人 も 呼んで フィーロ を 取り囲む 。 そして なにやら 薬品 を 地面 に 流し 、 フィーロ に 向かって 全員 で 魔法 を 唱え だした 。 やがて 床 が 光り輝き 、 フィーロ を 中心 に 魔法 陣 が 展開 さ れる 。

「 え 、 な 、 な ー に 」

バチバチ と フィーロ は 抵抗 を 試みる が それ も 叶わ ず 、 魔法 陣 が フィーロ を 侵食 する 。

「 い 、 いった ─── い ! やめて ー ! 」 魔物 紋 の 更新 に 痛み を 感じた フィーロ が 暴れ 回り 、 その 度 に バチバチ と 魔法 陣 が 揺らぐ 。 奴隷 商 の 部下 から 驚愕 の 声 が 発せられた 。 「 念 に は 念 を 、 多 めの 人数 で 魔法 拘束 を さ せて おります が …… この 重圧 の 中 で 動ける と は 、 将来 が 末恐ろしい です 。 ハイ 」

そう いや 、 まだ Lv 19 だ もん な 、 これ で 70 と か 行ったら どれ だけ の 強 さ を 見せる の か 。 奴隷 商 の 言葉 に も 頷ける 。

やがて 、 魔法 陣 は フィーロ の 腹部 に 完全に 刻み込ま れ 、 静かに なった 。

「 終わり です 。 ハイ 」

俺 の 視界 に も 前 より も 高度な 指示 を 与えられる らしい 魔物 の アイコン が 表示 されて いる 。 俺 は 迷わ ず 、 俺 の 言う 事 は 絶対 と チェック を 入れた 。

「 は ぁ …… は ぁ ……」

フィーロ は 肩 で 息 を し ながら 俺 の 方 に 歩いて くる 。

「 ご しゅじん さま ひど ー い 。 すごく 痛かった ー 」

俺 は 自分 でも 邪悪に 笑って いる のだろう な と 思い ながら フィーロ に 命令 する 。

「 まずは 人 型 に なれ 」

「 えー 痛かった から や だ ー 。 おいしい もの ちょうだい ! 」 舐 なめた 口調 で 命令 を 拒否 し 、 食べ物 を ねだる フィーロ の 魔物 紋 が 輝く 。 「 え 、 いや ! 何 、 や だ や だ 」

フィーロ は 魔物 紋 に 何 か 魔法 を 飛ばす が 、 今度 は 弾かれて 呪い が 発動 した 。 「 いたい 、 いたい 、 いたい ! 」 フィーロ は 魔物 紋 の 痛み で 転がる 。 「 俺 の 言う 事 を 聞か ない と もっと 痛く なる ぞ 」

「 いたい 、 いたい ! う う ……」

嫌々 ながら 人 型 に 変身 する フィーロ 。 すると 魔物 紋 の 輝き は 収まった 。

「 ふむ …… 今度 は ちゃんと 発動 した な 。 よく やった ぞ 、 奴隷 商 」

「 ええ 、 かなり 強力な 紋様 な ので 、 簡単に は 弄る こと は できません 。 ハイ 」

俺 は 倒れて いる フィーロ の 前 に 出て 告げる 。

「 お前 本体 で 銀貨 一〇〇 枚 、 次に その 魔物 紋 で 二〇〇 枚 。 合計 銀貨 三〇〇 枚 の 損失 だ 。 その分 は 俺 の 指示 に 従って 返して もらう から な 」

「 ご 、 ご しゅじん さま ー 」

フィーロ が よ ろ よ ろ と 俺 に 手 を 伸ばす 。 なんか 純粋 そうな 顔 を して いる 子供 に こんな 事 を 言う の も 良心 が 痛む のだ けど 、 俺 だって ワガママ な 奴 を 野ざらし に して おけ ない 。

「 言う 事 を 聞け 」

「 や 、 や ー 」

「 そう か そう か 、 どうしても 俺 の 言う 事 に 従え ない の なら 、 ここ で あの 怖い おじさん に お前 を 引き取って もらおう 」

「……!?」

フィーロ の 奴 、 やっと 自分 の 立場 が わかった の か 、 恐怖 に 顔 が 歪む 。

奴隷 商 の 奴 、 何 か 微妙に 困った ような 嬉し そうな 表情 で 俺 を 見て いる な ……。

「 幾ら で コイツ を 買って くれる ? 」 「 そう です ねぇ 。 珍しい ので 迷惑 料 込み と して 金貨 三〇 枚 出して も 購入 したい です な 。 重度 の 魔物 紋 を 刻んで いる ので もう 暴れる こと も でき ない でしょう し 、 使い道 に は 事欠か ない か と 。 ハイ 」

奴隷 商 の 奴 、 自分 で 売買 さ れる の が 困る と 言って いた くせ に ここぞとばかり に 値段 を 付けて きた 。 本音 は 知ら ない が 、 こいつ の 手 に 渡れば フィーロ の 一生 は 終わる な 。

それにしても フィーロ の 奴 、 凄く 怯えた 表情 で 俺 を 見上げて いる 。

これ は きつい …… 消えた はずの 俺 の 良心 が 活性 化 して いる 。 だが 、 フィーロ の 態度 次第 で は 本当に そういう 未来 を 選ば なければ なら ない 。

俺 は 優しい お 兄ちゃん でも なければ 、 ペット を 溺愛 する 飼い主 で も ない 。

「 だ 、 そうだ 。 今度 は お前 が 暴れて も 俺 は 迎え に 来 ない ぞ …… に が ー い 薬 を 飲ま されて 、 色々 体 を 弄 繰り 回さ れた 挙句 …… 死んじゃ うんだろう なぁ ? 」 「 や 、 や ────! 」 フィーロ は 大きな 声 で 拒否 する 。 「 ご しゅじん さま ーフィーロ を 嫌いに なら ないで ー ! 」 俺 の 足 に 縋って 懇願 する フィーロ 。 くっ! これ は 厳しい ……。

「 俺 の 言う 事 を 素直に 聞く なら 嫌いに なら ない 。 これ から は ちゃんと 聞く んだ ぞ 」

「 う 、 うん ! 」 「 よし よし 、 じゃあ 宿屋 で 寝る とき は 絶対 に 本当の 姿 に なる な 。 これ が 最初の 約束 だ 」

「 うん ! 」 満面 の 笑み を 浮かべる フィーロ に 俺 の 数 少ない 良心 が 疼く 。 と 、 フィーロ から 視線 を 逸ら す と 、 奴隷 商 が これ でも か と いう ほど 、 楽しげな 笑み を 浮かべて いる 。

「 あっぱれな ほど の 外 道っぷり に 私 、 ゾクゾク して います 。 アナタ こそ 伝説 の 盾 の 勇者 です ! 」 賞 賛 の 観点 が 間違って いる 気 が する が …… 文句 を 言う の も どう か なぁ 。 「 ナオフミ 様 …… さすが に あんまりで は ……」

「 コイツ は こう で も し ない と 言う 事 聞か ないだ ろ 。 お前 だって 最初 は そう だったろう が 」

俺 の 返答 に ラフタリア も 頷く 。

「 そう いえば そう でした ね 」

「 ワガママ は 許せる ところ と 許しちゃ いけない ところ が ある んだ 」

主に 俺 の 本意 で 決まる と は あえて 言わ ない 。

「 飴 と 鞭 です ね 、 わかります 。 ハイ 」

「 奴隷 商 、 貴 様 に は 言って いない 」 しかも 勝手に 俺 を 理解 する な 。

「 色々 迷惑 を 掛けた な 」

「 そう 思う のでしたら 是非 扱い やすい よう 、 私 共 が 用意 した フィロリアル の 育成 を ──」

「 さて 、 今日 は まだ 行く 所 が ある んだ 。 行か せて もらおう 」

「 極力 私 共 の ペース に 飲ま れ ない ように して いる 勇者 様 の 意志 の 強 さ に 尊敬 の 念 を 抱きます 」 こんな 調子 で 話 を 終えた 俺 達 は テント を 後 に した 。


盾 の 勇者 の 成り 上がり 02 Chapter 08 たて||ゆうしゃ||なり|あがり|chapter Aufstieg der Helden des Schildes 02 Kapitel 08

八 話 飴 と 鞭 やっ|はなし|あめ||むち 「 奴隷 商 ! どれい|しょう 」 俺 は 朝一 で 奴隷 商 の テント に 乗り込んで いた 。 おれ||あさいち||どれい|しょう||てんと||のりこんで| 「 朝 から どうした と いう のです 勇者 様 。 あさ||||||ゆうしゃ|さま ハイ 」 はい

「 お前 の 所 の 魔物 紋 が 不良 品 だった ぞ 。 おまえ||しょ||まもの|もん||ふりょう|しな|| 返答 しだい で は 俺 の 危険な 奴隷 と 魔物 が ここ で 暴れる こと に なる 。 へんとう||||おれ||きけんな|どれい||まもの||||あばれる||| そうだ ろ ? そう だ| 」 「 フィーロ 、 お腹 空いた から 後 で ね 」 |おなか|あいた||あと|| 「…… いい加減に し ない と お前 を 朝飯 に する ぞ 」 いいかげんに||||おまえ||あさはん|||

フィーロ に 掛けた 魔物 紋 が どうも 思い通りに 発動 せ ず 、 しかも 外せ ない 。 ||かけた|まもの|もん|||おもいどおりに|はつどう||||はずせ|

「 おや ? それ は どういう 事 です かな ? |||こと|| 」 奴隷 商 に 俺 は 朝 の 出来事 を 説明 する 。 どれい|しょう||おれ||あさ||できごと||せつめい| あの 後 が 大変だった 。 |あと||たいへんだった フィーロ を どうにか 宥 なだめて 人間 の 姿 に さ せて から テント に やってきた 。 |||ゆう||にんげん||すがた|||||てんと|| ラフタリア に 至って は 、 フィーロ が 変な 事 を し ない か 常時 気 を 張って いて 大変 そうだ 。 ||いたって||||へんな|こと|||||じょうじ|き||はって||たいへん|そう だ

「 どうやら フィロリアル ・ クイーン に 普通の 魔物 紋 で は 拘束 を 解かれて しまう ようです 。 ||くいーん||ふつうの|まもの|もん|||こうそく||とか れて|| ハイ 」 はい

「 と いう と ? 」 「 高位 の 魔物 は 普通の 魔物 紋 で は 縛れ ない のです よ 。 こうい||まもの||ふつうの|まもの|もん|||しばれ||| くじ の 景品 である 騎竜 に は 特別な 魔物 紋 を 刻みます 」 ||けいひん||きりゅう|||とくべつな|まもの|もん||きざみ ます 「 つまり コイツ に は 普通の 魔物 紋 だ と 効か ない と ? ||||ふつうの|まもの|もん|||きか|| 」 「 ええ 」 奴隷 商 の 奴 、 新たな 事実 に やや 興奮 気味 と なって 手帳 に 何 か を カリカリ と 書いて いる 。 どれい|しょう||やつ|あらたな|じじつ|||こうふん|きみ|||てちょう||なん|||||かいて|

「 で 、 その 特別な 魔物 紋 は 施して くれる の か ? ||とくべつな|まもの|もん||ほどこして||| 」 「 いやはや 、 それ は サービス の 適用 外 です 。 |||さーびす||てきよう|がい| ハイ 」 はい

「 なんだ と 」

「 さすが に 安く は ない 費用 が かかります ので 、 サービス に する に は 厳しい ところ です 。 ||やすく|||ひよう||かかり ます||さーびす|||||きびしい|| こちら の 被害 も 限界 に 近い です ので 」 ||ひがい||げんかい||ちかい||

これ 以上 の サービス は さすが に 出せ ない と 言う わけ か 。 |いじょう||さーびす||||だせ|||いう|| まあ 、 あれ だけ の 被害 を 出さ せて しまった のだ から しょうがない か ……。 ||||ひがい||ださ||||||

「 幾ら だ ? いくら| 」 「 勇者 様 の 将来 に 期待 して 、 大 マケ に まけて 銀貨 二〇〇 枚 で どう でしょう 」 ゆうしゃ|さま||しょうらい||きたい||だい||||ぎんか|ふた|まい||| くう う う う …… 高い 。 ||||たかい

「 そこ を ──」

「 ちなみに 相場 は 安くて 銀貨 八〇〇 枚 です 。 |そうば||やすくて|ぎんか|やっ|まい| 私 、 勇者 様 に は 期待 して おります ので 嘘 は 吐いて おりません 」 わたくし|ゆうしゃ|さま|||きたい||おり ます||うそ||はいて|おり ませ ん ぐ は ! 俺 の 精神 に 多大な ダメージ が 与えられた 。 おれ||せいしん||ただいな|だめーじ||あたえ られた 敗北 を 認め 、 非常に 遺憾 ながら も 奴隷 商 に 銀貨 二〇〇 枚 を 渡す 。 はいぼく||みとめ|ひじょうに|いかん|||どれい|しょう||ぎんか|ふた|まい||わたす

「…… 嘘 だったら 俺 の 危険な 配下 が 貴 様 を 血 祭り に あげる から な 」 うそ||おれ||きけんな|はいか||とうと|さま||ち|まつり||||

「 承知 して おります と も 」 しょうち||おり ます|| いつの間にか フィロリアル ・ クイーン の 姿 に なって いる フィーロ 。 いつのまにか||くいーん||すがた|||| その 大きな 翼 を 、 ラフタリア が 手 で 繋 つないで 連れて 来る 。 |おおきな|つばさ||||て||つな||つれて|くる

「 そこ で ジッと して いろ よ 、 フィーロ 」 ||じっと||||

「 なんで ー ? |- 」 「 ジッと して いたら 後 で 良い 物 を 食べ させて やる 」 じっと|||あと||よい|ぶつ||たべ|さ せて| 「 ホント ? ほんと 」 「 ああ 」 目 を 輝か せた フィーロ は 、 奴隷 商 の 指示 する 場所 で ジッと して いる 。 め||かがやか||||どれい|しょう||しじ||ばしょ||じっと||

よし 、 魔法 を 施す なら 今 だ 。 |まほう||ほどこす||いま| 俺 が 奴隷 商 に 目 で 合図 を 送る 。 おれ||どれい|しょう||め||あいず||おくる 奴隷 商 も 頷 うなずき 、 顔 の 見え ない ローブ を 着た 部下 を 一二 人 も 呼んで フィーロ を 取り囲む 。 どれい|しょう||うなず||かお||みえ||||きた|ぶか||いちに|じん||よんで|||とりかこむ そして なにやら 薬品 を 地面 に 流し 、 フィーロ に 向かって 全員 で 魔法 を 唱え だした 。 ||やくひん||じめん||ながし|||むかって|ぜんいん||まほう||となえ| やがて 床 が 光り輝き 、 フィーロ を 中心 に 魔法 陣 が 展開 さ れる 。 |とこ||ひかりかがやき|||ちゅうしん||まほう|じん||てんかい||

「 え 、 な 、 な ー に 」 |||-|

バチバチ と フィーロ は 抵抗 を 試みる が それ も 叶わ ず 、 魔法 陣 が フィーロ を 侵食 する 。 ||||ていこう||こころみる||||かなわ||まほう|じん||||しんしょく|

「 い 、 いった ─── い ! やめて ー ! |- 」 魔物 紋 の 更新 に 痛み を 感じた フィーロ が 暴れ 回り 、 その 度 に バチバチ と 魔法 陣 が 揺らぐ 。 まもの|もん||こうしん||いたみ||かんじた|||あばれ|まわり||たび||||まほう|じん||ゆらぐ 奴隷 商 の 部下 から 驚愕 の 声 が 発せられた 。 どれい|しょう||ぶか||きょうがく||こえ||はっせ られた 「 念 に は 念 を 、 多 めの 人数 で 魔法 拘束 を さ せて おります が …… この 重圧 の 中 で 動ける と は 、 将来 が 末恐ろしい です 。 ねん|||ねん||おお||にんずう||まほう|こうそく||||おり ます|||じゅうあつ||なか||うごける|||しょうらい||すえおそろしい| ハイ 」 はい

そう いや 、 まだ Lv 19 だ もん な 、 これ で 70 と か 行ったら どれ だけ の 強 さ を 見せる の か 。 |||lv||||||||おこなったら||||つよ|||みせる|| 奴隷 商 の 言葉 に も 頷ける 。 どれい|しょう||ことば|||うなずける

やがて 、 魔法 陣 は フィーロ の 腹部 に 完全に 刻み込ま れ 、 静かに なった 。 |まほう|じん||||ふくぶ||かんぜんに|きざみこま||しずかに|

「 終わり です 。 おわり| ハイ 」 はい

俺 の 視界 に も 前 より も 高度な 指示 を 与えられる らしい 魔物 の アイコン が 表示 されて いる 。 おれ||しかい|||ぜん|||こうどな|しじ||あたえ られる||まもの||||ひょうじ|さ れて| 俺 は 迷わ ず 、 俺 の 言う 事 は 絶対 と チェック を 入れた 。 おれ||まよわ||おれ||いう|こと||ぜったい||ちぇっく||いれた

「 は ぁ …… は ぁ ……」

フィーロ は 肩 で 息 を し ながら 俺 の 方 に 歩いて くる 。 ||かた||いき||||おれ||かた||あるいて|

「 ご しゅじん さま ひど ー い 。 ||||-| すごく 痛かった ー 」 |いたかった|-

俺 は 自分 でも 邪悪に 笑って いる のだろう な と 思い ながら フィーロ に 命令 する 。 おれ||じぶん||じゃあくに|わらって|||||おもい||||めいれい|

「 まずは 人 型 に なれ 」 |じん|かた||

「 えー 痛かった から や だ ー 。 |いたかった||||- おいしい もの ちょうだい ! 」 舐 なめた 口調 で 命令 を 拒否 し 、 食べ物 を ねだる フィーロ の 魔物 紋 が 輝く 。 し||くちょう||めいれい||きょひ||たべもの|||||まもの|もん||かがやく 「 え 、 いや ! 何 、 や だ や だ 」 なん||||

フィーロ は 魔物 紋 に 何 か 魔法 を 飛ばす が 、 今度 は 弾かれて 呪い が 発動 した 。 ||まもの|もん||なん||まほう||とばす||こんど||はじか れて|まじない||はつどう| 「 いたい 、 いたい 、 いたい ! い たい|い たい|い たい 」 フィーロ は 魔物 紋 の 痛み で 転がる 。 ||まもの|もん||いたみ||ころがる 「 俺 の 言う 事 を 聞か ない と もっと 痛く なる ぞ 」 おれ||いう|こと||きか||||いたく||

「 いたい 、 いたい ! い たい|い たい う う ……」

嫌々 ながら 人 型 に 変身 する フィーロ 。 いやいや||じん|かた||へんしん|| すると 魔物 紋 の 輝き は 収まった 。 |まもの|もん||かがやき||おさまった

「 ふむ …… 今度 は ちゃんと 発動 した な 。 |こんど|||はつどう|| よく やった ぞ 、 奴隷 商 」 |||どれい|しょう

「 ええ 、 かなり 強力な 紋様 な ので 、 簡単に は 弄る こと は できません 。 ||きょうりょくな|もんよう|||かんたんに||いじる|||でき ませ ん ハイ 」 はい

俺 は 倒れて いる フィーロ の 前 に 出て 告げる 。 おれ||たおれて||||ぜん||でて|つげる

「 お前 本体 で 銀貨 一〇〇 枚 、 次に その 魔物 紋 で 二〇〇 枚 。 おまえ|ほんたい||ぎんか|ひと|まい|つぎに||まもの|もん||ふた|まい 合計 銀貨 三〇〇 枚 の 損失 だ 。 ごうけい|ぎんか|みっ|まい||そんしつ| その分 は 俺 の 指示 に 従って 返して もらう から な 」 そのぶん||おれ||しじ||したがって|かえして|||

「 ご 、 ご しゅじん さま ー 」 ||||-

フィーロ が よ ろ よ ろ と 俺 に 手 を 伸ばす 。 |||||||おれ||て||のばす なんか 純粋 そうな 顔 を して いる 子供 に こんな 事 を 言う の も 良心 が 痛む のだ けど 、 俺 だって ワガママ な 奴 を 野ざらし に して おけ ない 。 |じゅんすい|そう な|かお||||こども|||こと||いう|||りょうしん||いたむ|||おれ||||やつ||のざらし||||

「 言う 事 を 聞け 」 いう|こと||きけ

「 や 、 や ー 」 ||-

「 そう か そう か 、 どうしても 俺 の 言う 事 に 従え ない の なら 、 ここ で あの 怖い おじさん に お前 を 引き取って もらおう 」 |||||おれ||いう|こと||したがえ|||||||こわい|||おまえ||ひきとって|

「……!?」

フィーロ の 奴 、 やっと 自分 の 立場 が わかった の か 、 恐怖 に 顔 が 歪む 。 ||やつ||じぶん||たちば|||||きょうふ||かお||ゆがむ

奴隷 商 の 奴 、 何 か 微妙に 困った ような 嬉し そうな 表情 で 俺 を 見て いる な ……。 どれい|しょう||やつ|なん||びみょうに|こまった||うれし|そう な|ひょうじょう||おれ||みて||

「 幾ら で コイツ を 買って くれる ? いくら||||かって| 」 「 そう です ねぇ 。 珍しい ので 迷惑 料 込み と して 金貨 三〇 枚 出して も 購入 したい です な 。 めずらしい||めいわく|りょう|こみ|||きんか|みっ|まい|だして||こうにゅう|し たい|| 重度 の 魔物 紋 を 刻んで いる ので もう 暴れる こと も でき ない でしょう し 、 使い道 に は 事欠か ない か と 。 じゅうど||まもの|もん||きざんで||||あばれる|||||||つかいみち|||ことかか||| ハイ 」 はい

奴隷 商 の 奴 、 自分 で 売買 さ れる の が 困る と 言って いた くせ に ここぞとばかり に 値段 を 付けて きた 。 どれい|しょう||やつ|じぶん||ばいばい|||||こまる||いって||||||ねだん||つけて| 本音 は 知ら ない が 、 こいつ の 手 に 渡れば フィーロ の 一生 は 終わる な 。 ほんね||しら|||||て||わたれば|||いっしょう||おわる|

それにしても フィーロ の 奴 、 凄く 怯えた 表情 で 俺 を 見上げて いる 。 |||やつ|すごく|おびえた|ひょうじょう||おれ||みあげて|

これ は きつい …… 消えた はずの 俺 の 良心 が 活性 化 して いる 。 |||きえた||おれ||りょうしん||かっせい|か|| だが 、 フィーロ の 態度 次第 で は 本当に そういう 未来 を 選ば なければ なら ない 。 |||たいど|しだい|||ほんとうに||みらい||えらば|||

俺 は 優しい お 兄ちゃん でも なければ 、 ペット を 溺愛 する 飼い主 で も ない 。 おれ||やさしい||にいちゃん|||ぺっと||できあい||かいぬし|||

「 だ 、 そうだ 。 |そう だ 今度 は お前 が 暴れて も 俺 は 迎え に 来 ない ぞ …… に が ー い 薬 を 飲ま されて 、 色々 体 を 弄 繰り 回さ れた 挙句 …… 死んじゃ うんだろう なぁ ? こんど||おまえ||あばれて||おれ||むかえ||らい|||||-||くすり||のま|さ れて|いろいろ|からだ||もてあそ|くり|まわさ||あげく|しんじゃ|| 」 「 や 、 や ────! 」 フィーロ は 大きな 声 で 拒否 する 。 ||おおきな|こえ||きょひ| 「 ご しゅじん さま ーフィーロ を 嫌いに なら ないで ー ! |||-フィーロ||きらいに|||- 」 俺 の 足 に 縋って 懇願 する フィーロ 。 おれ||あし||つい って|こんがん|| くっ! これ は 厳しい ……。 ||きびしい

「 俺 の 言う 事 を 素直に 聞く なら 嫌いに なら ない 。 おれ||いう|こと||すなおに|きく||きらいに|| これ から は ちゃんと 聞く んだ ぞ 」 ||||きく||

「 う 、 うん ! 」 「 よし よし 、 じゃあ 宿屋 で 寝る とき は 絶対 に 本当の 姿 に なる な 。 |||やどや||ねる|||ぜったい||ほんとうの|すがた||| これ が 最初の 約束 だ 」 ||さいしょの|やくそく|

「 うん ! 」 満面 の 笑み を 浮かべる フィーロ に 俺 の 数 少ない 良心 が 疼く 。 まんめん||えみ||うかべる|||おれ||すう|すくない|りょうしん||うずく と 、 フィーロ から 視線 を 逸ら す と 、 奴隷 商 が これ でも か と いう ほど 、 楽しげな 笑み を 浮かべて いる 。 |||しせん||はやら|||どれい|しょう||||||||たのしげな|えみ||うかべて|

「 あっぱれな ほど の 外 道っぷり に 私 、 ゾクゾク して います 。 |||がい|どう っぷり||わたくし|||い ます アナタ こそ 伝説 の 盾 の 勇者 です ! ||でんせつ||たて||ゆうしゃ| 」 賞 賛 の 観点 が 間違って いる 気 が する が …… 文句 を 言う の も どう か なぁ 。 しょう|さん||かんてん||まちがって||き||||もんく||いう||||| 「 ナオフミ 様 …… さすが に あんまりで は ……」 |さま||||

「 コイツ は こう で も し ない と 言う 事 聞か ないだ ろ 。 ||||||||いう|こと|きか|| お前 だって 最初 は そう だったろう が 」 おまえ||さいしょ||||

俺 の 返答 に ラフタリア も 頷く 。 おれ||へんとう||||うなずく

「 そう いえば そう でした ね 」

「 ワガママ は 許せる ところ と 許しちゃ いけない ところ が ある んだ 」 ||ゆるせる|||ゆるしちゃ|||||

主に 俺 の 本意 で 決まる と は あえて 言わ ない 。 おもに|おれ||ほんい||きまる||||いわ|

「 飴 と 鞭 です ね 、 わかります 。 あめ||むち|||わかり ます ハイ 」 はい

「 奴隷 商 、 貴 様 に は 言って いない 」 どれい|しょう|とうと|さま|||いって| しかも 勝手に 俺 を 理解 する な 。 |かってに|おれ||りかい||

「 色々 迷惑 を 掛けた な 」 いろいろ|めいわく||かけた|

「 そう 思う のでしたら 是非 扱い やすい よう 、 私 共 が 用意 した フィロリアル の 育成 を ──」 |おもう||ぜひ|あつかい|||わたくし|とも||ようい||||いくせい|

「 さて 、 今日 は まだ 行く 所 が ある んだ 。 |きょう|||いく|しょ||| 行か せて もらおう 」 いか||

「 極力 私 共 の ペース に 飲ま れ ない ように して いる 勇者 様 の 意志 の 強 さ に 尊敬 の 念 を 抱きます 」 きょくりょく|わたくし|とも||ぺーす||のま||||||ゆうしゃ|さま||いし||つよ|||そんけい||ねん||いだき ます こんな 調子 で 話 を 終えた 俺 達 は テント を 後 に した 。 |ちょうし||はなし||おえた|おれ|さとる||てんと||あと||