JIN - 仁 - 完结 编 #10 (1)
( 東 ) うわ あー ッ !
( 仁 ) 龍 馬 さん ッ !
龍 馬 さん ! 龍 馬 さん ッ !
( 榊原 ) 行く ぞ 橘 !
( 龍 馬 ) 東 …
私 の 兄 は …
あなた に 斬ら れた んです →
あなた が 久 坂 さん と 会った 帰り に
《( 侍 ) う ッ !》
あなた は 私 の 敵 な んです よ
初め から この つもり で 近づいた んです
ずっと …
こう しよう と …
ほ いたら …
どう いて わし を ここ まで 守り 続けて くれた んじゃ ?→
何 ぼ でも 折 は あったろう に
う う ッ …
そんな 話 …
今さら わし が 信じる と 思う か や
これ も …
わし を 守る ため じゃ ろう ?
違い ます ! やめて ください
咲 さ ん ! 佐分利 先生 を 起こして きて ください
咲 さ ん ッ
( 咲 ) は ッ … はい ッ
龍 馬 さん 大丈夫です か ?
南方 仁 が おれば …
坂本 龍 馬 は
死な ん
ほうじ ゃろ ?
はい !
助け ます
俺 が
この 手 で
龍 馬 さん ッ !
左前 頭部 の 骨 が 陥没 その 下 の 硬 膜 が 破れ
さらに その 下 に ある 大脳 の 一部 が 外 に 出 かかって い ます
開放 性 頭蓋 骨 陥没 骨折 脳 挫傷 に 急性 硬 膜 下血 腫
さらに は 外傷 性 くも膜 下 出血 の 疑い も あり ます
エーテル 麻酔 を 導入 ラリンジアルマスク を 挿入 して
気道 確保 して ください ( 咲 ・ 佐分利 ) はい
〈 俺 は きっと この ため に ここ に 来た のだ 〉
〈 この とき の ため に 〉
《 お まん は あ ほか 》
《 頼む ぜ よ 南方 先生 》
《 ハハハ …》
〈 坂本 龍 馬 を よみがえら せる ため に 〉
始め ます
骨片 を 外し ます
これ から 硬 膜 を 切開 し ます
硬 膜 を 真ん中 の 大脳 鎌 上矢 状 洞 を 中心 に 蝶番 の ように
半分 ずつ 切開 し ます
脱出 した 挫 滅 脳 と 硬 膜 下血 腫 を 除去 し
洗浄 した 後 再び 硬 膜 を 閉じ ます
先生 脳 が 膨れて きて おり ます が
脳 挫傷 の せい です 後 で 処置 し ます
どんどん 腫れて きて ます けど 脳 圧 を 下げ ましょう
脳 室 ドレナージ で 血 性 髄 液 を 取り除き ます
鼻 根 部 から 正中 12 センチ 上 そこ から 右 へ 2~3 センチ ほど
よし
ドレナージ は い
脳 室 に 向かって 5 センチ ほど 穿 刺し ます
先生
難しい 方法 なんで っか ?
手ごたえ だけ が 頼り なんで
いき ます
よし 届いた
先生 ッ !
大丈夫です ドレナージ は 成功 です
これ から 数 日 は チューブ を 脳 室 内 に 残し
排 液 を 続け ます
では 縫 合 に 移り ます
これ で 開 頭 手術 は 終了 です
続いて 大腿部 外側 を 切開 し ます
大腿部 って ケガ して は る ように は 見え ま へん けど
さっき 頭 の 骨片 を 取り出し ました よ ね
回復 を 待って 頭蓋 骨 を 元どおりに する 手術 を する ので
それ まで それ を この 大腿部 に 保存 して おく 必要 が ある んです
体 の 中 に 保存 する んで っか ? それ が 一 番 確かな んで
う ッ !
《 俺 は お前 だ 》 《≪( 龍 馬 ) お まん は わし じゃ 》
大丈夫です すいません
う う ッ ! 先生 !
う う ッ …
私 が やり ます んで 指図 を お 願い でき ます か ?
大丈夫です … 指図 を お 願い し ます !
大腿部 外側 15 センチ ほど
皮下 まで 縦 切開
はい ッ
( 榊原 ) 江戸 へ 戻ったら 妹 と 医者 に 他言 無用 と 言い含めて おけよ
( 橘 ) はい
( お 登 勢 ) さ … 坂本 はん は これ で
助から はり ます の や ろか ?
手術 自体 は うまく いき ました が これ から 脳 浮腫 脳 腫脹 と の
闘い が 待って ます の … のうふ …
脳 が ケガ を し 腫れて しまって いる のです
脳 の 中 の 髄 液 を 排除 する こと で 脳 圧 を 下げ
アンビュバッグ で 自発 呼吸 が 戻る まで 人工 呼吸 を 続け
その 間 ペニシリン を 投与 し 栄養 は 栄養 液 で 与え ます
何 や よう … 分から しま へん けど
生きて はり ます の やろ な ? はい
へえ
あの … それ …
私 に で けし ま へん や ろか ?
いえ 私 が …
今 下 で ご飯 の 支度 して ます さかい に
少し お 休み に なら はった 方 が よろし お すえ
長い … 闘い に なり ます の やろ ?
ありがとう ございます
ご 自分 の 息継ぎ に 合わせて 押して ください
今さら です けど …
何 が 起こった んで っか ?
兄 の お 役目 は
おそらく 坂本 様 の 暗殺 だった ので ございます
ほ な 斬り はった ん は …
いえ
斬った の は 東 様 です
え ッ !?
え ッ ? 東 様 は かつて
坂本 様 に 兄 上 を 斬ら れた と
おっしゃって おら れ ました
あだ討ち … って こと で っか ?
で そのまま 恭 太郎 さん は 逃げ はった んで っか ?
今 は 龍 馬 さん を 助ける こと だけ を 考え ませ ん か ?
はい
す ん ま へん
大丈夫です か ? 咲 さん も
私 も
医者 の 端くれ で ございます
はい
( アンビュバッグ を 押す 音 が 響く )
( 八木 ) に せ 薬 の 罪 が 晴れ ぬ 場合 どう なる のであろう な ?
( 横 松 ) 最も 重い とき は 死罪 と 聞いた こと が あり ます
死罪 !?
先ほど から 何 を して おる のだ ? このような とき に
前 から 思って いた ので ございます が …
( 与力 ) 講義 を 受けた 五 人 の 医者 より 訴状 が 出さ れて おる のだ
ペニシリン の 偽り の 作り 方 を 教え られた と な
その 結果 十三 人 も の 病人 を 死に 至ら しめて しまった と →
その 医者 達 は ペニシリン の 製造 を 認める 免許 状 も 持って おった のだ →
この 文字 は 間違い なく 南方 仁 の 手 であろう ?
( 山田 ) に せ 薬 の 作り 方 を 教える わけない と 思う のです が
礼 が 払え なかった から だ と その 医者 達 は 申して おる
仁 友 堂 は
一 文 も 払え ぬ 老婆 とて 治療 を いたし ます
金 ごとき で に せ 薬 を 教える など …
天地 が 逆 さ に なろう と も いたし ませ ぬ !
あー ッ …
( 多紀 ) わし は この 騒ぎ 和 宮様 の とき と 同じに おい を 感じて おる
( 良 順 ) 私 も で ございます ( 多紀 ) 仕組んだ 者 は
和 宮様 が あの 日 寺 に 行く こと を 知り 得
奥 女 中 と 接する こと の できる 身の上 の 者
おそらくは 奥 医師 か それ に 近い 身 分の 者 で →
南方 医師 に 強い 恨み を 抱く 者 で は ある まい か と 思う て おる のだ が
≪( 彦三郎 ) 恐れ ながら 旦那 様 方
( 彦三郎 ) 野 風 の 身 請け の お 調べ の 際
南方 先生 に 面目 を つぶさ れた お 医者 様 が お 一 人
〈 手術 から 四 日 〉
〈 龍 馬 さん の 容態 は なかなか 好転 し なかった 〉
代わり ましょう か ? 佐分利 先生
もう 少し … 大丈夫です
先生
これ を 坂本 様 に 読んで み ませ ん か ?
何で すか ? これ 野 風 さん の 文 です
本来 は 開けて は なら ぬ もの です が
やって み ましょう か
「 坂本 様 お 元気で ござい ん しょうか ?」
( 野 風 )「 私事 であり ん す が 」
「 あ ちき は このたび 母 と なり ん した 」
「 仁 友 堂 の 皆様 の お 力 で 」
「 取り上げて い ただ きん した 」
「 けん ど ふと 振り返れば 」
「 実のところ 旦那 様 と 出会う まで の 間 」
「 あ ちき は ずっと 坂本 様 の お 心 に 」
「 支え られて きた 気 が いたし ん す 」
「 かなわ ぬ 思い に やけに なら ず に い られた の は 」
《 わし ん とこ に 来る かえ ?》
「 坂本 様 が あ ちき な ん ぞ に 好きだ ほれた と 」
「 言って くださった から こそ 」
「 女子 は ずるう ござ りん すな 」
《 こう すれば 顔 見え ん 》
《 雪 に … なり とう あり ん す 》
「 胸 を 貸して いただいた あの 日 の ご恩 は 」
「 一生 忘れ ん せん 」
「 いつか フランス に いらっしゃら れる 折 に は 」
「 何とぞ お 知らせ ください まし 」
「 心 より お もてなし いた しん す 」
「 野 風 」
龍 馬 さん
野 風 さん から 待ちに待った あ いびき の お 誘い です よ
行か ないで どう する んです か ?
え ッ ?
( 呼吸 を する )
これ は …
自発 呼吸 ! はい !
いやいや いや こんな … え ッ ?
これ で 意識 が 戻れば … 望み は 持てる と 思い ます
もう 一息 です よ
龍 馬 さん !
( 呼吸 を 続ける 龍 馬 )
( 男 ) ウチ の 蔵 に 何 か ?
ここ で 命拾い を した のです
長 州 が 御所 に 押し入った と きど す か ?
あん とき は 何 や 変わった お 医者 はん 方 が
ぎょう さん の ケガ 人 治さ はり まして な
《 やり 残した こと は ない が かえ ?》
《 ひと つ だけ …》
拾って は なら ぬ 命 だった の かも しれ ませ ん ね
坂本 さん
〈 あれ から 俺 は 〉
〈 龍 馬 さん が 食いついて き そうな 未来 の 話 を 語り 続けた 〉
その 携帯 電話 って の は どこ に いて も 話 が できる んです
他 に も メール って いう の が あって
文 を 遠く 離れた 相手 に
一瞬 で 届ける こと が できる んです よ
龍 馬 さん が 携帯 持ったら きっと 一 日 中 鳴り っぱなし です よ
旅 も ずっと 楽に なる んです
新幹線 って いう 電気 で 動く 車 …
あ ッ 箱 …
馬 まあ そんな の に 乗れば 江戸 から 京都 まで 一刻 と 少し です
飛行機 って いう 空 飛ぶ …
船 !
その 船 は もっと 速い んです
海 の 向こう だって 地球 の 裏側 だって
どこ に だって 行ける ように なる んです よ
また 頭痛 で ございます か ?
遠い 未来 の 話 の とき は こ ない んだ よ なあ
どう な んだ っけ ? この後 すぐ の 歴史
俺 地理 だった んだ よ なあ
あの … 頭痛 を 起こし たい ので ございます か ?
頭痛 が 起こったら
龍 馬 さん まだ 生き られる って こと じゃ ないで す か
龍 馬 さん !
龍 馬 さん …
( くぐもった 声 で ) 先生 …
佐分利 先生 を 呼んで まいり ます ! はい ッ
妙な もん を
見 よった ぜ よ
妙 ?
箱 を 連ねた ような
巨大な 蛇 が はい 回り
空 に は
巨大な 鳥 の ような もん が
雲 を 連れ
みんな
西洋 人 の ような いでたち で …
こん まい 箱 に 向こう て
独り言 しゃべり いう が じゃ
あり ゃあ …
先生 の 住 ん じょ った 世界 かえ ?
はい
やっぱり のう …
大丈夫な ようです から 少し 待ち ましょう
えいのう
わし も
先生 の ように
別の 時代 に 行き たい ね や
龍 馬 さん
未来 に 行ったら
どこ に 行って みたいです か ?
吉原
すいません もう ない んです
島原 は ?
すいません
他 に は ?
ほう じゃ
保険 は ? ああ
民間 の 保険 会社 なら あり ます
会社 ?
カンパニー が あり ます
カンパニー かえ
そっち は 分かる んです ね
早う わし も
保険 の カンパニー を
つくら ん と いかんの う
そう です よ
ほんとに
先生 に は
この 時代 は どう 見えた が じゃ ?
愚かな こと も
山ほど あったろう ?
教わる こと だらけ でした
例えば …
えっ と …
未来 は 夜 でも
そこら じゅう に 明かり が ついて いて
昼 みたいに 歩ける んです
でも ここ で は
ちょうちん を さげ ない と 歩く こと も でき ない し
ちょうちん の 火 が 消えたら 誰 か に もらわ なきゃ いけなくて
一 人 で 生きて いける なんて …
文明 が つくった 幻想 だ なあ と か
離れて しまったら 手紙 しか 頼る 方法 ないし
ちゃんと 届いた か どう かも 分から ない し
人生 って …
ほんと …
一期一会 だ なあ と か
あ ッ あと …
笑った 人 が 多い です
ここ の 人 達 は 笑う の が 上手です
コロリ の 治療 の とき 覚えて ます か ?
誰 も 私 を 信じて くれ ない とこ に
龍 馬 さん
一 人 で 患者 を 担いで きて くれた じゃ ないで す か
あれ で …
私 に 対する 風向き が 変わった んです よ ね
ペニシリン の お 金 が 足りない とき も
龍 馬 さん 千 両 箱 担いで 戻って きて くれた じゃ ないで す か
本物 の 行動 力 って いう か
教わり ました よ 龍 馬 さん に
龍 馬 さん は
親友 で …
悪友 で
私 の ヒーロー でした
でし たち …
わしゃ
まだ 生 きち ょる ぜ よ
あ ッ すいません