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JIN-仁- 完结编, JIN-仁- 完结编 #11 (1)

JIN - 仁 - 完结 编 #11 (1)

( 咲 ) 手 は 一 つ だけ ございます

( 野 風 ) もと の 世 へ お 戻り に なら れる こと であり ん す か ?

もちろん 願う こと しか でき ぬ 手 で は ございます が

それ より 他 は … いずれ に せよ

お 二 人 に は 時 が ない と いう こと であり ん すな

先生 に お 気持ち は お 伝え に ?

先生 は 今

私 ども に 持てる だけ の 医療 技術 を 伝えよう と して おら れ ます

それ だけ で 私 に は

もう 十分に ございます

咲 様

( 橘 ) 私 が フランス へ 留学 で ございます か ?

( 勝 ) おう 徳川 から も 何 人 か 行か せよう って 話 に なって て さ

推して やる から お め え さん 行って きちゃ どう だい ?

願って も ない 話 で ございます が

お め え が いくら 悔やんだ って あいつ は 帰って こね え んだ

前 を 向けよ 恭 太郎

≪( 西郷 ) 徳川 の もん が 上野 に 集まり →

「 彰 義 隊 」 ち 名乗って おら れる ようじゃ っど ん

謀 反 の 企て ちい う 噂 も ご わん どん

とんで も ねえ ありゃ あ

江戸 の 市中 取締 を やら せて る 連中 で さあ

そい なら 徳川 が 認めた

市中 取締 隊 じゃ っち いう こつ ご わん どな

お ッ お うよ !

( 仁 ) 会津若松 へ 行く って どうして です か ?

( 良 順 ) 会津 に 旧 幕 軍 が 集まり 戦 が 始まる ようです

私 は 徳川 様 の 禄 を はむ 医者

いか な 世に なろう と 最後 まで お供 する つもりです

今日 は 先生 に 一 つ お 願い が ございます

何で すか ?

今後 江戸 で 何 か 事 が 起こった 場合

南方 先生 に 医学 所 へ の お 指図 を お 願い し たい のです

何 か って 戦って こと です か ?

徳川 の 者 は 先 の 世 へ の 望み を 失って おり ます

その 思い が 火 を 噴こう と 何の 不思議 も ございませ ぬ

あの 私 そういう とき

一 番 間違っちゃ い そうな 気 が する んです けど

では その 間違った 道 を

お 指図 ください

は あ

( 辰五郎 の 笑い声 )

( 辰五郎 ) 間違った 指図 を 出せ た あ 松本 先生 も 粋だ ねえ

何 を 考えて らっしゃる の か

先生 は しがらみ が 少 ねえ から な

しがらみ ?

松本 先生 も 俺 も し がらみ だらけ だ →

何 か 事 を 決める とき に は まず 考え ち まう

これ は 徳川 様 に とって どう かって よ

けど で っけ え 目 で 見りゃ

それ が 正しい か どう か は 分か ん ねえ わな

そう な んです か ねえ

( 彰 義 隊 ) お ー い 錦 切れ 取った ぞ

大丈夫です か ? ( 官 軍兵 ) 覚えて おれ !

今 の は ?

( 喜市 ) 彰 義 隊 の 連中 が 官軍 の 侍 に 嫌がらせ して た んだ よ

彰 義 隊 ? ( 茜 ) 最期 まで 上 様 お守り しよう と

寛 永 寺 に 立てこもって る 徳川 の お 侍 達 だ よ

官軍 さん の ここ に ついて る 錦 切れ 取って

嫌がらせ する の が 流行って る みたいで さ

きん ぎ れ ? 天子 様 の 「 軍 」 て 印 を

ここ に くっつけて んだ よ

( 辰五郎 ) 褒め られた こっちゃ ねえ けど

おさまり つか ねえ んだろう なあ 彰 義 隊 も

先生 も 大丈夫 かい ?

あんまり 具合 よ さ そうに 見え ねえ けど

大丈夫です ちょっと 忙しい だけ で

〈 確か 幕末 から 明治 に かけて あちこち で 不満 を 持った 武士 が 〉

〈 反乱 を 起こした って 学校 で 教え られた 覚え が ある 〉

江戸 時代

終わる んだ なあ

〈 そして 多分 〉

〈 俺 も 終わって いく んだろう 〉

〈 あの 患者 の こと は 何となく 分かった けど 〉

《≪( 龍 馬 ) 戻る ぜ よ あん 世界 へ 》

〈 分から ない こと も 山ほど ある 〉

〈 俺 が ここ に 来た 意味 も 〉

〈 分から ない まま 終わる んだろう か 〉

まあ 人生 って そんな もんか …

〈 ここ で 終わり を 迎える と して 〉

〈 最後に 俺 が できる こと は 何 だろう 〉

すいません

この 器 は 生きて いた の や も しれ ませ ぬ

すいません

野 風 さん ?

あ ッ すいません

今 咲 さん が 野 風 さん に 見えて

え ッ !?

多分 岩 の せい だ と 思う んです けど

先生 の お 指図 の もと

皆 で 手術 は でき ぬ ので ございます か ?

私 の 岩 を 摘出 する ため に は

バイポーラー って いう 道具 が どうしても 必要で

これ は ねえ もう どうにも …

こんな とき に 無理に お 笑い に なら ないで ください ませ

でも 江戸 の 人 達 って 笑う の 上手じゃ ない です か

私 も 見習い たい なあ って 思って る んです けど

うまく いって ない って こと です ね

もと の 世に

お 戻り に なら れる 方法 は ない ので ございます か ?

まあ その …

行ったり 来たり 自分 で できる んだったら

もう やって る って いう か

でも それ って すごく 便利です よ ね

パパッ と 戻って 治して もらって

ここ に ない 薬 取って 戻って きたり して ね

すいません

先生 は 助かり たく は ない ので ございます か ?

そりゃ

助かり たい で すよ

でも でき ない こと を 考えて 嘆く より

できる こと や って 笑って い たい って いう か

そんな 顔 して たって 何も よく なら ないで すよ

咲 さ ん

はい

《( 榊原 ) 我ら は 決して 新 政府 など 認め ん 》

《 最後 の 一 兵 に なろう と も 抵抗 する つもりだ 》

《 上野 で 待つ 》

医者 が 最後に できる こと …

と いう こと な ので 皆さん よろしく お 願い し ます

( 佐分利 ) それ は 先生 が お 亡くなり に なら れたら

腑分 けせ え って こと で っか !?

はい

ですから 当分 脳 の 構造 と 働き

さらに は 脳 腫瘍 に ついて の 集中 講義 を し ます

その 最後 の 仕上げ と して

私 が 死んだら 実物 を 見て ほしい んです

知り合い の 体 を 切る と いう の は いい 気持ち は し ない と 思い ます が

待って ください そんな ん 私ら …

仁 友 堂 に は お 金 が あり ませ ん

ペニシリン を お 金 に かえる こと も でき なかった し

皆さん に 医者 と して の 地位 を 約束 する こと も でき ませ ん

私 が 皆さん に 残せる の は

知識 だけ です

だったら できる だけ の もの を 残し たい んです

この 脳 も

腫瘍 も 役 に 立て たい って いう か

役 に 立てて ほしい と いう か

私 の 死 を

皆さん の 手 で

できる だけ 意味 の ある もの に して ほしい んです

私 が そうして ほしい んです

はい

はい

来た か

じゃあ 始め ます

私 の 場合 恐らく この 脳 の 松 果 体 と いう ところ から

脳 室 内 に かけて 岩 が あり ます

出る 症状 と して は まず 頭痛

噴出 性 の 嘔吐 それ から 先生

脳 の 岩 が 起こす 頭痛 っ ちゅう の は ただ の 頭痛 と どう 違う んで っか ?

教えて もらえる と 見立て が し やすい んで っけ ど

そう か CT スキャン ない んだ よ なあ

し ー て ぃ ー ?

あ ッ 何でもない です

そう です ね 牽引 性 頭痛 と いう か

キリキリ と いう 感じ と いう か

脳 を ねじら れて

吐き そうに なる 感じ … です か ね

明日 官軍 が

攻撃 を しかけて くる と いう の か !

それ が 何 だ と いう のだ !

徳川 の 意地 を 見せる まで じゃ

( 気勢 を 上げる )

橘 !

逃げる の か ?

具 足 を 取り に 戻る だけ です

大丈夫な の かい 先生 ?

ちょっと 疲れ が 出た みたいで

勝 先生 こそ また 何 か 胃 の 腑 が 痛む こと でも ?

彰 義 隊 の 奴 ら が 官軍 と あちこち で もめ や がって よ

見 ました よ きん ぎ れ と か いう の 取って る の

のら りく ら り ごまかして た んだ が よ

このまま じゃ そろそろ 戦 に な っち ま うよ

戦わ ず して 負け は 認め られ ん て とこ だろう けど よ

勝 先生

お ッ すま ねえ こんな 話 し に 来た んじゃ ねえ んだ よ

実は 恭 太郎 の こと な んだ けど よ 兄 が 何 か ?

官 費 留学 の 話 を 持って った んだ けど さ

それ すごい 話 じゃ ないで す か

だ ろ ? なのに 考え させて くれ って それ ばっかり でよ

まったく 何 考えて んだ か

明日 朝一 番 で 恭 太郎 さん の とこ 行って き ます よ

先生 私 が まいり ます ゆえ

私 も 恭 太郎 さん と ちゃんと 話し たい こと が ある んです

( 栄 ) 今日 は よく 食べ られ ます ね

何 ゆえ か 今日 は 格別 おいしゅう ございます →

まあ これ は 咲 の ほうが 上 で ございます が

左 様 で ございます か

そろそろ 咲 に 敷居 を またぐ こと を 許して やって は いかがです か ?

私 は 「 戻って くる な 」 と は ひと言 も 言って おり ませ ぬ

向こう が 勝手に 戻って こ ぬ だけ で

しかし 咲 の 身 に なれば 「 許す 」 と 言わ れ ねば

戻り にくい でしょう なあ 考えて おき ましょう

お 願い し ます

行って まいり ます

撃て ーッ !

( 砲声 )

急ぎ ましょう

何 か あった んです か 栄 さん ?

恭 太郎 が

上野 に まいった ようで ございます

( 橘 )「 私 は わけ あって ある お方 を 死 に 追いやり ました 」

「 その お方 は 私 の 何 倍 も 」

「 生きる 値打ち の ある お方 で ございました 」

「 かよう な 私 を 恩 の ある 先生 方 は 責める こと も せ ず 」

「 ただ 前 を 向け と おっしゃって ください ます 」

「 ですが 将来 ある お方 の 命 を 奪って おき ながら 」

「 のうのうと 己 の 道 を 開いて いく こと を 」

「 己 に 許す こと が でき ませ ぬ 」

「 くだら ぬ 私 が ただ 一 つ 誇れる こと が ある と する ならば 」

「 それ は 最期 まで 徳川 の 家臣 と して 」

「 忠節 を 尽くした と いう こと のみ で ございます 」

「 母上 お 育て いただき かた じ け のう ございます 」

「 橘 恭 太郎 」

誇れる こと …

行って は なり ませ ぬ 咲 !

恭 太郎 は 悩みぬいた 末

この 道 を 選んだ のです →

お前 に も 分かる でしょう

徳川 様 と 共に と いう 気持ち は

兄 上 は 生き ねば なり ませ ぬ

尊い お方 を 死に 追いやった と いう なら こそ

傷つこう と 泥 に まみれよう と

はい つくば って 生き ねば なり ませ ぬ

行か ない でおくれ 咲

後生 です

行か ない でおくれ お前 まで

母上

咲 は

兄 上 と 戻って まいり ます

必ず

その とき は どうか

門 を くぐら せて ください ませ

咲 さ ん !

私 が 行って き ます お 願い し ます

栄 さん

恥 を さらそう が

生きる こと こそ 是

これ から は そのような 世 が 来る のでしょう か

私 ども が 信じて きた 道 は 間違い だった のでしょう か

そう は 思い ませ ん けど

恭 太郎 さん は 一 つ だけ 大 間違い を して る と 思い ます

恭 太郎 さん の 誇る べき こと は …

逃げろ ~!

( 福田 ) 先生 大丈夫で ございます か ( 山田 ) 大丈夫です か !?

上野 で 戦争 が 始まった みたいです

野戦 の 治療 所 設置 し たい んで

医学 所 に も 声 を かけて ください は い

兄 上 ッ 兄 上 !

咲 さ ん これ 以上 は 無理です !

兄 上 !

咲 …

兄 上 !

咲 ッ !

咲 さ ん ! 大丈夫で っか ? 咲 さ ん

流れ弾 に 当たった ようで ございます

咲 …

兄 上

咲 は 甘えて ばかり で ございました

己 の こと に ばかり とらわれ

兄 上 の お 気持ち を 思いやる こと も せ ず

これ から は ご 恩返し が しとう ございます

ですから どう か お 戻り いただけ ませ ぬ か ?

私 に は もう 生きる 値打ち など

死ぬ ん やったら 南方 先生 に 断って から やろ !

「 助けて もろ うた 命 です けど 捨てて ええ で っか 」 って

ちゃ い ます か !

( 横 松 ) 立て ます か 大丈夫です か ?

八木 先生 横 松 先生 !

( 八木 ) 南方 先生 が この先 で 野戦 治療 所 …→

咲 さ ん !?

はい 大丈夫だ 大丈夫です

先生 医学 所 まで 呼んじゃ 困る んだ よ

これ じゃ 徳川 は 彰 義 隊 を 認めた こと に な っち まう だ ろ

でも 私 達 は 医者 です


JIN - 仁 - 完结 编 #11 (1) |しとし|かん结|

( 咲 ) 手 は   一 つ だけ ございます さ|て||ひと|||

( 野 風 ) もと の 世 へ   お 戻り に なら れる こと であり ん す か ? の|かぜ|||よ|||もどり||||||||

もちろん   願う こと しか でき ぬ 手 で は ございます が |ねがう|||||て||||

それ より 他 は … いずれ に せよ ||た||||

お 二 人 に は 時 が ない と いう こと であり ん すな |ふた|じん|||じ||||||||

先生 に   お 気持ち は   お 伝え に ? せんせい|||きもち|||つたえ|

先生 は   今 せんせい||いま

私 ども に   持てる だけ の 医療 技術 を 伝えよう と して おら れ ます わたくし|||もてる|||いりょう|ぎじゅつ||つたえよう|||||

それ だけ で   私 に は |||わたくし||

もう 十分に ございます |じゅうぶんに|

咲 様 さ|さま

( 橘 ) 私 が フランス へ 留学 で ございます か ? たちばな|わたくし||ふらんす||りゅうがく|||

( 勝 ) おう   徳川 から も 何 人 か 行か せよう って 話 に なって て さ か||とくがわ|||なん|じん||いか|||はなし||||

推して やる から   お め え さん 行って きちゃ どう だい ? おして|||||||おこなって|||

願って も ない 話 で ございます が ねがって|||はなし|||

お め え が   いくら 悔やんだ って あいつ は 帰って こね え んだ |||||くやんだ||||かえって|||

前 を 向けよ   恭 太郎 ぜん||むけよ|きよう|たろう

≪( 西郷 ) 徳川 の もん が 上野 に 集まり → さいごう|とくがわ||||うえの||あつまり

「 彰 義 隊 」 ち 名乗って おら れる ようじゃ っど ん あきら|ただし|たい||なのって|||||

謀 反 の 企て ちい う 噂 も ご わん どん はかりごと|はん||くわだて|||うわさ||||

とんで も ねえ   ありゃ あ

江戸 の 市中 取締 を やら せて る 連中 で さあ えど||しちゅう|とりしまり|||||れんちゅう||

そい なら   徳川 が 認めた ||とくがわ||みとめた

市中 取締 隊 じゃ っち いう こつ ご わん どな しちゅう|とりしまり|たい|||||||

お ッ   お うよ !

( 仁 ) 会津若松 へ 行く って どうして です か ? しとし|あいづわかまつ||いく||||

( 良 順 ) 会津 に   旧 幕 軍 が 集まり 戦 が 始まる ようです よ|じゅん|あいず||きゅう|まく|ぐん||あつまり|いくさ||はじまる|よう です

私 は   徳川 様 の 禄 を はむ 医者 わたくし||とくがわ|さま||ろく|||いしゃ

いか な 世に なろう と 最後 まで   お供 する つもりです ||よに|||さいご||おとも||つもり です

今日 は   先生 に 一 つ   お 願い が ございます きょう||せんせい||ひと|||ねがい||

何で すか ? なんで|

今後 江戸 で   何 か 事 が 起こった 場合 こんご|えど||なん||こと||おこった|ばあい

南方 先生 に   医学 所 へ の お 指図 を お 願い し たい のです なんぽう|せんせい||いがく|しょ||||さしず|||ねがい|||の です

何 か って   戦って こと です か ? なん|||たたかって|||

徳川 の 者 は 先 の 世 へ の 望み を 失って おり ます とくがわ||もの||さき||よ|||のぞみ||うしなって||

その 思い が   火 を 噴こう と 何の 不思議 も ございませ ぬ |おもい||ひ||ふこう||なんの|ふしぎ|||

あの   私   そういう とき |わたくし||

一 番   間違っちゃ い そうな 気 が する んです けど ひと|ばん|まちがっちゃ||そう な|き|||ん です|

では   その 間違った 道 を ||まちがった|どう|

お 指図 ください |さしず|

は あ

( 辰五郎 の 笑い声 ) たつごろう||わらいごえ

( 辰五郎 ) 間違った 指図 を 出せ た あ 松本 先生 も   粋だ ねえ たつごろう|まちがった|さしず||だせ|||まつもと|せんせい||いきだ|

何 を 考えて らっしゃる の か なん||かんがえて|||

先生 は   しがらみ が 少 ねえ から な せんせい||||しょう|||

しがらみ ?

松本 先生 も 俺 も し がらみ だらけ だ → まつもと|せんせい||おれ|||||

何 か 事 を 決める とき に は まず 考え ち まう なん||こと||きめる|||||かんがえ||

これ は 徳川 様 に とって   どう かって よ ||とくがわ|さま|||||

けど   で っけ え 目 で 見りゃ ||||め||みりゃ

それ が 正しい か どう か は 分か ん ねえ わな ||ただしい|||||わか|||

そう な んです か ねえ ||ん です||

( 彰 義 隊 ) お ー い   錦 切れ   取った ぞ あきら|ただし|たい||-||にしき|きれ|とった|

大丈夫です か ? ( 官 軍兵 ) 覚えて おれ ! だいじょうぶ です||かん|ぐんぴょう|おぼえて|

今 の は ? いま||

( 喜市 ) 彰 義 隊 の 連中 が   官軍 の 侍 に 嫌がらせ して た んだ よ きいち|あきら|ただし|たい||れんちゅう||かんぐん||さむらい||いやがらせ||||

彰 義 隊 ? ( 茜 ) 最期 まで 上 様   お守り しよう と あきら|ただし|たい|あかね|さいご||うえ|さま|おもり||

寛 永 寺 に 立てこもって る 徳川 の お 侍 達 だ よ ひろし|なが|てら||たてこもって||とくがわ|||さむらい|さとる||

官軍 さん の ここ に ついて る 錦 切れ   取って かんぐん|||||||にしき|きれ|とって

嫌がらせ する の が 流行って る みたいで さ いやがらせ||||はやって|||

きん ぎ れ ? 天子 様 の 「 軍 」 て 印 を |||てんし|さま||ぐん||いん|

ここ に   くっつけて んだ よ

( 辰五郎 ) 褒め られた こっちゃ ねえ けど たつごろう|ほめ||||

おさまり つか ねえ んだろう なあ 彰 義 隊 も |||||あきら|ただし|たい|

先生 も   大丈夫 かい ? せんせい||だいじょうぶ|

あんまり 具合 よ さ そうに 見え ねえ けど |ぐあい|||そう に|みえ||

大丈夫です   ちょっと 忙しい だけ で だいじょうぶ です||いそがしい||

〈 確か   幕末 から 明治 に かけて あちこち で 不満 を 持った 武士 が 〉 たしか|ばくまつ||めいじ|||||ふまん||もった|ぶし|

〈 反乱 を 起こした って 学校 で 教え られた 覚え が ある 〉 はんらん||おこした||がっこう||おしえ||おぼえ||

江戸 時代 えど|じだい

終わる んだ なあ おわる||

〈 そして   多分 〉 |たぶん

〈 俺 も 終わって いく んだろう 〉 おれ||おわって||

〈 あの 患者 の こと は 何となく 分かった けど 〉 |かんじゃ||||なんとなく|わかった|

《≪( 龍 馬 ) 戻る ぜ よ   あん 世界 へ 》 りゅう|うま|もどる||||せかい|

〈 分から ない こと も   山ほど ある 〉 わから||||やまほど|

〈 俺 が   ここ に 来た 意味 も 〉 おれ||||きた|いみ|

〈 分から ない まま 終わる んだろう か 〉 わから|||おわる||

まあ   人生 って   そんな もんか … |じんせい|||

〈 ここ で 終わり を 迎える と して 〉 ||おわり||むかえる||

〈 最後に 俺 が できる こと は 何 だろう 〉 さいごに|おれ|||||なん|

すいません

この 器 は 生きて いた の や も しれ ませ ぬ |うつわ||いきて|||||||

すいません

野 風 さん ? の|かぜ|

あ ッ   すいません

今   咲 さん が   野 風 さん に 見えて いま|さ|||の|かぜ|||みえて

え ッ !?

多分   岩 の せい だ と 思う んです けど たぶん|いわ|||||おもう|ん です|

先生 の お 指図 の もと せんせい|||さしず||

皆 で 手術 は でき ぬ ので ございます か ? みな||しゅじゅつ||||||

私 の 岩 を 摘出 する ため に は わたくし||いわ||てきしゅつ||||

バイポーラー って いう 道具 が どうしても 必要で |||どうぐ|||ひつようで

これ は ねえ   もう どうにも …

こんな とき に   無理に お 笑い に なら ないで ください ませ |||むりに||わらい|||||

でも   江戸 の 人 達 って 笑う の   上手じゃ ない です か |えど||じん|さとる||わらう||じょうずじゃ|||

私 も   見習い たい なあ って 思って る んです けど わたくし||みならい||||おもって||ん です|

うまく いって ない って こと です ね

もと の 世に ||よに

お 戻り に なら れる 方法 は ない ので ございます か ? |もどり||||ほうほう|||||

まあ   その …

行ったり 来たり 自分 で   できる んだったら おこなったり|きたり|じぶん|||

もう   やって る って いう か

でも   それ って すごく 便利です よ ね ||||べんり です||

パパッ と 戻って   治して もらって ||もどって|なおして|

ここ に ない 薬 取って   戻って きたり して ね |||くすり|とって|もどって|||

すいません

先生 は   助かり たく は ない ので ございます か ? せんせい||たすかり||||||

そりゃ

助かり たい で すよ たすかり|||

でも でき ない こと を 考えて 嘆く より |||||かんがえて|なげく|

できる こと や って 笑って い たい って いう か ||||わらって|||||

そんな 顔 して たって 何も   よく なら ないで すよ |かお|||なにも||||

咲 さ ん さ||

はい

《( 榊原 ) 我ら は   決して 新 政府 など 認め ん 》 さかきばら|われら||けっして|しん|せいふ||みとめ|

《 最後 の 一 兵 に なろう と も 抵抗 する つもりだ 》 さいご||ひと|つわもの|||||ていこう||

《 上野 で 待つ 》 うえの||まつ

医者 が 最後に   できる こと … いしゃ||さいごに||

と いう こと な ので   皆さん よろしく お 願い し ます |||||みなさん|||ねがい||

( 佐分利 ) それ は   先生 が お 亡くなり に なら れたら さぶり|||せんせい|||なくなり|||

腑分 けせ え って こと で っか !? ふぶん||||||

はい

ですから 当分   脳 の 構造 と 働き |とうぶん|のう||こうぞう||はたらき

さらに は   脳 腫瘍 に ついて の 集中 講義 を し ます ||のう|しゅよう||||しゅうちゅう|こうぎ|||

その 最後 の 仕上げ と して |さいご||しあげ||

私 が 死んだら 実物 を 見て ほしい んです わたくし||しんだら|じつぶつ||みて||ん です

知り合い の 体 を 切る と いう の は いい 気持ち は し ない と 思い ます が しりあい||からだ||きる||||||きもち|||||おもい||

待って ください   そんな ん   私ら … まって||||わたしら

仁 友 堂 に は   お 金 が あり ませ ん しとし|とも|どう||||きむ||||

ペニシリン を   お 金 に かえる こと も でき なかった し |||きむ|||||||

皆さん に   医者 と して の 地位 を 約束 する こと も でき ませ ん みなさん||いしゃ||||ちい||やくそく||||||

私 が   皆さん に 残せる の は わたくし||みなさん||のこせる||

知識 だけ です ちしき||

だったら   できる だけ の もの を 残し たい んです ||||||のこし||ん です

この 脳 も |のう|

腫瘍 も 役 に 立て たい って いう か しゅよう||やく||たて||||

役 に 立てて ほしい と いう か やく||たてて||||

私 の 死 を わたくし||し|

皆さん の 手 で みなさん||て|

できる だけ 意味 の ある もの に して ほしい んです ||いみ|||||||ん です

私 が   そうして ほしい んです わたくし||||ん です

はい

はい

来た か きた|

じゃあ   始め ます |はじめ|

私 の 場合   恐らく この 脳 の 松 果 体 と いう ところ から わたくし||ばあい|おそらく||のう||まつ|か|からだ||||

脳 室 内 に かけて   岩 が あり ます のう|しつ|うち|||いわ|||

出る 症状 と して は   まず   頭痛 でる|しょうじょう|||||ずつう

噴出 性 の 嘔吐   それ から 先生 ふんしゅつ|せい||おうと|||せんせい

脳 の 岩 が 起こす 頭痛 っ ちゅう の は ただ の 頭痛 と   どう 違う んで っか ? のう||いわ||おこす|ずつう|||||||ずつう|||ちがう||

教えて もらえる と 見立て が   し やすい んで っけ ど おしえて|||みたて||||||

そう か CT スキャン   ない んだ よ なあ |||すきゃん||||

し ー て ぃ ー ? |-|||-

あ ッ   何でもない です ||なんでもない|

そう です ね   牽引 性 頭痛 と いう か |||けんいん|せい|ずつう|||

キリキリ と いう 感じ   と いう か |||かんじ|||

脳 を   ねじら れて のう|||

吐き そうに なる 感じ …  です か ね はき|そう に||かんじ|||

明日   官軍 が あした|かんぐん|

攻撃 を しかけて くる と いう の か ! こうげき|||||||

それ が 何 だ と いう のだ ! ||なん||||

徳川 の 意地 を 見せる まで じゃ とくがわ||いじ||みせる||

( 気勢 を 上げる ) きせい||あげる

橘 ! たちばな

逃げる の か ? にげる||

具 足 を   取り に 戻る だけ です つぶさ|あし||とり||もどる||

大丈夫な の かい   先生 ? だいじょうぶな|||せんせい

ちょっと 疲れ が 出た みたいで |つかれ||でた|

勝 先生 こそ   また 何 か 胃 の 腑 が 痛む こと でも ? か|せんせい|||なん||い||ふ||いたむ||

彰 義 隊 の 奴 ら が   官軍 と あちこち で   もめ や がって よ あきら|ただし|たい||やつ|||かんぐん|||||||

見 ました よ きん ぎ れ と か いう の   取って る の み||||||||||とって||

のら りく ら り ごまかして た んだ が よ

このまま じゃ そろそろ 戦 に な っち ま うよ |||いくさ|||||

戦わ ず して   負け は 認め られ ん て とこ だろう けど よ たたかわ|||まけ||みとめ|||||||

勝 先生 か|せんせい

お ッ   すま ねえ   こんな 話 し に 来た んじゃ ねえ んだ よ |||||はなし|||きた||||

実は   恭 太郎 の こと な んだ けど よ 兄 が   何 か ? じつは|きよう|たろう|||||||あに||なん|

官 費 留学 の 話 を 持って った んだ けど さ かん|ひ|りゅうがく||はなし||もって||||

それ   すごい 話 じゃ ないで す か ||はなし||||

だ ろ ?  なのに 考え させて くれ って それ ばっかり でよ |||かんがえ|さ せて|||||

まったく   何   考えて んだ か |なん|かんがえて||

明日   朝一 番 で 恭 太郎 さん の とこ   行って き ます よ あした|あさいち|ばん||きよう|たろう||||おこなって|||

先生   私 が まいり ます ゆえ せんせい|わたくし||||

私 も 恭 太郎 さん と   ちゃんと 話し たい こと が ある んです わたくし||きよう|たろう||||はなし|||||ん です

( 栄 ) 今日 は   よく 食べ られ ます ね さかい|きょう|||たべ|||

何 ゆえ か   今日 は 格別 おいしゅう ございます → なん|||きょう||かくべつ||

まあ   これ は 咲 の ほうが 上 で ございます が |||さ|||うえ|||

左 様 で ございます か ひだり|さま|||

そろそろ   咲 に 敷居 を またぐ こと を 許して やって は   いかがです か ? |さ||しきい|||||ゆるして|||いかが です|

私 は  「 戻って くる な 」 と は ひと言 も 言って おり ませ ぬ わたくし||もどって|||||ひとこと||いって|||

向こう が 勝手に 戻って こ ぬ だけ で むこう||かってに|もどって||||

しかし   咲 の 身 に なれば 「 許す 」 と 言わ れ ねば |さ||み|||ゆるす||いわ||

戻り にくい でしょう なあ 考えて おき ましょう もどり||||かんがえて||

お 願い し ます |ねがい||

行って まいり ます おこなって||

撃て ーッ ! うて|-ッ

( 砲声 ) ほうせい

急ぎ ましょう いそぎ|

何 か   あった んです か   栄 さん ? なん|||ん です||さかい|

恭 太郎 が きよう|たろう|

上野 に   まいった ようで ございます うえの||||

( 橘 )「 私 は   わけ あって ある お方 を   死 に 追いやり ました 」 たちばな|わたくし|||||おかた||し||おいやり|

「 その お方 は   私 の 何 倍 も 」 |おかた||わたくし||なん|ばい|

「 生きる 値打ち の ある お方 で ございました 」 いきる|ねうち|||おかた||

「 かよう な 私 を   恩 の ある 先生 方 は 責める こと も せ ず 」 ||わたくし||おん|||せんせい|かた||せめる||||

「 ただ   前 を 向け と おっしゃって ください ます 」 |ぜん||むけ||||

「 ですが   将来 ある お方 の 命 を 奪って おき ながら 」 |しょうらい||おかた||いのち||うばって||

「 のうのうと 己 の 道 を 開いて いく こと を 」 |おのれ||どう||あいて|||

「 己 に 許す こと が でき ませ ぬ 」 おのれ||ゆるす|||||

「 くだら ぬ 私 が   ただ 一 つ 誇れる こと が ある と する ならば 」 ||わたくし|||ひと||ほこれる||||||

「 それ は 最期 まで 徳川 の 家臣 と して 」 ||さいご||とくがわ||かしん||

「 忠節 を 尽くした と いう こと のみ で ございます 」 ちゅうせつ||つくした||||||

「 母上   お 育て いただき かた じ け のう ございます 」 ははうえ||そだて||||||

「 橘 恭 太郎 」 たちばな|きよう|たろう

誇れる こと … ほこれる|

行って は なり ませ ぬ   咲 ! おこなって|||||さ

恭 太郎 は   悩みぬいた 末 きよう|たろう||なやみぬいた|すえ

この 道 を 選んだ のです → |どう||えらんだ|の です

お前 に も 分かる でしょう おまえ|||わかる|

徳川 様 と 共に と いう 気持ち は とくがわ|さま||ともに|||きもち|

兄 上 は   生き ねば なり ませ ぬ あに|うえ||いき||||

尊い お方 を 死に 追いやった と いう なら こそ とうとい|おかた||しに|おいやった||||

傷つこう と   泥 に まみれよう と きずつこう||どろ|||

はい つくば って 生き ねば なり ませ ぬ |||いき||||

行か ない でおくれ   咲 いか|||さ

後生 です ごしょう|

行か ない でおくれ   お前 まで いか|||おまえ|

母上 ははうえ

咲 は さ|

兄 上 と 戻って まいり ます あに|うえ||もどって||

必ず かならず

その とき は   どうか

門 を   くぐら せて ください ませ もん|||||

咲 さ ん ! さ||

私 が 行って き ます お 願い し ます わたくし||おこなって||||ねがい||

栄 さん さかい|

恥 を さらそう が はじ|||

生きる こと こそ   是 いきる|||ぜ

これ から は そのような 世 が 来る のでしょう か ||||よ||くる||

私 ども が 信じて きた 道 は 間違い だった のでしょう か わたくし|||しんじて||どう||まちがい|||

そう は 思い ませ ん けど ||おもい|||

恭 太郎 さん は   一 つ だけ 大 間違い を して る と 思い ます きよう|たろう|||ひと|||だい|まちがい|||||おもい|

恭 太郎 さん の 誇る べき こと は … きよう|たろう|||ほこる|||

逃げろ ~! にげろ

( 福田 ) 先生   大丈夫で ございます か ( 山田 ) 大丈夫です か !? ふくた|せんせい|だいじょうぶで|||やまだ|だいじょうぶ です|

上野 で   戦争 が 始まった みたいです うえの||せんそう||はじまった|みたい です

野戦 の 治療 所   設置 し たい んで やせん||ちりょう|しょ|せっち|||

医学 所 に も 声 を かけて ください は い いがく|しょ|||こえ|||||

兄 上 ッ   兄 上 ! あに|うえ||あに|うえ

咲 さ ん   これ 以上 は 無理です ! さ||||いじょう||むり です

兄 上 ! あに|うえ

咲 …

兄 上 ! あに|うえ

咲 ッ ! さ|

咲 さ ん ! 大丈夫で っか ?  咲 さ ん さ|||だいじょうぶで||さ||

流れ弾 に 当たった ようで ございます ながれだま||あたった||

咲 …

兄 上 あに|うえ

咲 は   甘えて ばかり で ございました さ||あまえて|||

己 の こと に ばかり   とらわれ おのれ|||||

兄 上 の お 気持ち を 思いやる こと も せ ず あに|うえ|||きもち||おもいやる||||

これ から は ご 恩返し が しとう ございます ||||おんがえし|||

ですから どう か   お 戻り いただけ ませ ぬ か ? ||||もどり||||

私 に は   もう 生きる 値打ち など わたくし||||いきる|ねうち|

死ぬ ん やったら 南方 先生 に 断って から やろ ! しぬ|||なんぽう|せんせい||たって||

「 助けて もろ うた 命 です けど 捨てて ええ で っか 」 って たすけて|||いのち|||すてて||||

ちゃ い ます か !

( 横 松 ) 立て ます か   大丈夫です か ? よこ|まつ|たて|||だいじょうぶ です|

八木 先生   横 松 先生 ! やぎ|せんせい|よこ|まつ|せんせい

( 八木 ) 南方 先生 が   この先 で 野戦 治療 所 …→ やぎ|なんぽう|せんせい||このさき||やせん|ちりょう|しょ

咲 さ ん !? さ||

はい   大丈夫だ 大丈夫です |だいじょうぶだ|だいじょうぶ です

先生 医学 所 まで 呼んじゃ   困る んだ よ せんせい|いがく|しょ||よんじゃ|こまる||

これ じゃ   徳川 は 彰 義 隊 を 認めた こと に な っち まう だ ろ ||とくがわ||あきら|ただし|たい||みとめた|||||||

でも   私 達 は 医者 です |わたくし|さとる||いしゃ|