イタズラ な Kiss 2〜 Love in TOKYO #10 (2)
まあた 間違えて ~ 美晴 なんて い ねえで
あ … あれ ?
まあったく 琴子 ちゃん は ―
わらし の 頃 から 物覚え が わりがった から なあ
言った わ ね ~!
鶴三 伯父さん だって 動物園 行った 時 に
自分 の 子 と 人 の 子 間違えて ―
全然 知ら ない 子 連れて 帰ってきた じゃない の よ !
また しょーもねえ こと だけ は よーく 覚え で んだ からあ !
あれ は あん 子 も わりー べ
なーんも 言わ ん と ついでく っから
子供 の せい に した わ ね ! 自分 が そそっかしい くせ に ~
なんて 次元 の 低い 争い な んだ …
( 男の子 ) 痛え よ ~
( 鶴三 ) こらあ !
何 し とー ! おめえ 方
( 男の子 ) こ … これ が コトリン 作った 兄ちゃん だろ ?
( 男の子 ) 有名人 だ べ
( 男の子 達 ) サイン して ~! サイン して …
( 琴子 ) ちょっと あんた 達 ! 入江 君 は 芸能人 じゃない んだ から
( 女性 ) すいませーん
あがって いい ~?
熊代 敬老会 の おばちゃん 達 !
( 女性 ) いや ~ いい 男 だ こと ~
( 女性 ) おめ が ~? 琴子 ちゃん の ムゴ は ?
はい
( 女性 ) いい 男 だ な よかった ~
( 女性 ) わだし のど が 痛くて 診て くれる かな ~
( 女性 ) わだし も …
琴子 ちゃん の ムゴ さ 見て から ―
胸 が きゅ~って 締め付け られる ん だ ども これ は 何 だべ な !
( 女性 ) わだし が 先 だべ
( 女性 ) いん や わだし …
( 女性 ) わだし が 先 だべ
( 鶴三 ) お~い !―
持ってき だ よー 悦っ ちゃん の アルバム
見 たい 見 たーい
( 鶴三 ) 女学生 の 時 から の が 入って る よいしょ …
俺 も 見た こと なかった な
( 琴子 ) え … お母さん ?
( 鶴三 ) ハッハッハッ
学校 帰り さ よ~ぐ その たこ焼き 屋 さ 寄って ―
食って 帰って きた んだ うんめえ うんめえ って な
琴子 に そっくり な んだ な
( 直樹 ) お母さん は ここ に ホクロ が あった んです ね
( 重雄 ) え ?
いや ホクロ なんか なかった ぞ
え ? でも …
( 鶴三 ) よーく 見ろ それ 青のり だべ ~
え ?
青のり ?
( 鶴三 と 重雄 の 笑い声 )
や ~ ね ~ もう お 母さん たら ね ~
ねえ …
♪~
( 琴子 ) お 母さん …
フフッ
いや なんで さっきから こんな 物 ばっかり …
いや … ちょ … ねえ …
これ は 割と いい 感じ かも …―
ええ !?
“ ミス とんぶり ”!?
どういう こと !? これ !
お前 “ ミス あきた こまち ” って …
いや … だって お 父さん が そう 言って た から …
いや 俺 は 確かに 母さん から そう 聞いて …
まさか “ ミス とんぶり ” だった と は ね
でも でも 本当 は ―
美人 で おしとやか で 品 が あって
物静か な 才女 だった と 思う の 私 ! うん うん …
物静か な 才女 だった と 思う の 私 ! うん うん …
( 鶴三 ) ハッハッハッ …
( 鶴三 ) ハッハッハッ …
悦っ ちゃん が 才女 ? おしとやか ?
んな こと ある わけ ね ~ べ
伯父さん …
( 鶴三 ) 悦っ ちゃん は 昔 から 落ち着き ねぐて
成績 も 後ろ から 数えた 方 が 早がった !―
運動 神経 も なーんもね ~ し ―
ハッハッハッ …
お 母さん …
あ … せば 隣村 の 何だ が いう 男 が 好き で …
待ち伏せ して 凍死 する とこ であった から ―
村中 大騒ぎ に なった ごど が あった な ~
ほお ~
凍死 ?
見づがった 時 に は 半分 雪 に 埋もれて ら っけ ~
ハッハッハッ …
ハッハッハッ …
( 直樹 ) ハハハ …
( 琴子 ) 入江 君 が こんなに 笑う なんて …
ああ 苦しい …
怖い ぐらい お前 に そっくりな んだ な
顔 も 性格 も … ハハハ …
( 鶴三 ) オラ がた ん とこ は みーんな こんな だ !
ハッハッハッ …
私 もう 寝る !
お … おい 明日 は 朝 から 墓参り 行く んだ ぞ
( 琴子 ) わかって る !
よし よし よし 直樹 さん 飲も ! 飲も 飲も …
すいません
入江 く~ん …
( 重雄 の 笑い声 )
( 直樹 ) お 義父 さん は 実家 に 来られて 何年 ぐらい な んです か ?
( 重雄 ) あー そうだ なあ ―
初めて ここ に 寄った の は 確か …―
もう 25 年 ぐらい 前 だ けど ―
いつも 立ち寄って た わけじゃない から ね ―
おっとと … はい はい はい
すいません
じゃあ お 義母 ( かあ ) さん と は ―
二十歳 ぐらい の 時 に 知り合った んです か
うーん
俺 が まだ 料理屋 の 一番 下 の 見習い やって て
あいつ が 19 だった かな
お互い まだ 田舎 から 出て きた ばっかり で さあ
街 歩いて たら ―
いきなり 目の前 で ふらーっと 倒れた 女 が いて さ
それ は … すごい です ね
( 重雄 ) 慌てて … 駆けつけて 聞いて みたら ―
3 日 も メシ 食って ねえ って 言う んだ よ
( 直樹 ) 行き倒れ って やつ です か
( 重雄 ) ああ
俺 が いなかったら どう なって た こと か
で とにかく ―
何 か 食わして や ん なきゃ と 思って 俺 が メシ 作って やったら ―
あいつ すごい 勢い で 4 杯 も お代わり して さ
それ は すごい です ね
お腹 が 減って て って いう の も ある でしょう けど
お 義父 さん の 料理 よほど おいしかった ん でしょう ね
そう かなあ
でも まあ 俺 が 作った 料理 を
あんなに うま そう に 食って くれた の は ―
あいつ が 初めて だった から さ ―
いやあ ホントに いい 顔 して 食って た なあ
で それから 毎日 の ように ウチ の 店 に 来る ように なって
いつも 安い メシ 食う んだ よ ―
で 気 が つく と いつも 俺 の 目の前 の 席 に 座って て …―
で なんだか いつの間にか …
やっぱり 琴子 の お 母さん な んです ね
( 重雄 ) そう な んだ よ !―
あいつ うまい もん に は 目 が ない くせ に ―
もう 料理 と きたら とんと ダメ で な ―
どう やったら あんな まずい もん 作れる の か って …
そこ も 一緒 な んです ね
( 重雄 ) ハッハッハッ
なんか もう こう なったら 何 として も 俺 が ―
うまい もん 食わして や ん なきゃ って 思う ように なって さ
( 直樹 ) お 義母 さん の 食い っぷり に 惚れ ちゃった んです ね
( 重雄 ) ハッハッハッ ―
そう かも な ~―
あ … 直樹 君 ―
この 話 は 琴子 に は 内緒 な ?
( 直樹 ) そう な んです か ?
( 重雄 ) なんか 照れくさくて さあ
いや ~ しかし …
“ ミス あきた こまち ” が “ ミス とんぶり ” だった と は ね ~
えらい 違い だ な
違います ね だいぶ
( 重雄 ) “ あきた こまち ” だったら ―
まあ 秋田 美人 て 感じ が する けど …
“ とんぶり ” は なんか 響き が … な ?
でも ウソ つかなく たって よかった のに なあ ?
お 義母 さん やり ます ね
やられ ちまった ―
ハッハッハッ
お 母さん …
お 母さん
お 母さん も ―
ここ で 天井 見 ながら 寝たり した の かな …
( 琴子 ) 私 って お 母さん の こと 何にも 知ら なかった んだ なあ ―
少ない 記憶 で イメージ して た お 母さん と ―
実際 の お 母さん は だいぶ 違った みたいだ けど ―
なんか 前 より 身近 に 感じる の は なんで だろう …
( 琴子 ) でも … 不思議 ―
入江 君 私 の お 母さん の こと ―
ちゃんと 考えて くれて た んだ なあ ―
なんとなく 照れくさくて ―
お 母さん の 話 と か あんまり し ない できた のに ―
なんで だろう … 不思議 ―
でも … 嬉しかった …
( 戸 が 開く 音 )
( 戸 が 閉まる 音 )
( 秀美 ) 直樹 さん
“ 真綿 で 首 を 絞める ” って どういう 意味 ?
真綿 って いう の は ―
細かくて 柔らかい けど 切れ にくい こと から
遠回し に じわじわ と 痛めつける って いう 意味 が ある んだ よ
は ~ 遠回しに じわじわ … なるほど ね ~
( 男の子 ) コトリン の 兄ちゃん
この 問題 わがんねえ んだ けど
ああ これ は 二次方程式 を 使えば 簡単な 問題 だ
は ~ 兄ちゃん すげ ~
公式 さえ 覚えれば 簡単な 問題 だ
( 男の子 ) コトリン の 兄 ちゃん これ 何て 読む の ?
( 直樹 ) 竹取のおきな
( 男の子 ) は ~
おきな !
コトリン の 兄 ちゃん ここ 何 入れれば いい ?
from
へ ? もう 一回 言って
Cheese is made from milk ... だ から
チーズ イズ メイド フ … フロム ミルク
ミルク じゃなくて milk
ミルク
milk
( 琴子 ) 入江 くーん !
ちょっ ちょっと ちょっと …
何 な の よ この よく わからない 寺子屋 状態 は ! はあ ?
直樹 さん
“ 悪妻 百年 の 不作 ” って どういう 意味 ~?
“ 夫 の ため に なら ない 妻 を 持つ と ―
一生 苦労 する ” って いう 意味 だ よ
は ~ そっか
ちょっと 何 言って ん の よ 美晴 ちゃん
悪妻 って あんた まあ ~!
( 秀美 ) うち 秀美 だって !―
琴子 姉ちゃん 何度 も 言わせ ないで !
あっ そう だ っけ ?
直樹 さん あと で 一緒に お 花 つみ さ 行き たい
いい よ
( 男の子 ) ラジコン で 遊ぼう !
( 男の子 ) いい や 虫 取り さ 行こう !
サッカー やり たい !
ラジコン だ …
サッカー !
ちょっと もう ! お 墓参り 行か なきゃ な のに !
( 鶴三 ) 直樹 さ~ん !―
近所 の じい さま と ばあ さま 方 が ―
痛え から ちょっと 体 診て もらいてえ って …―
いい か ?
いい です よ
入江 君 …
( 女性 ) ここ さ ここ さ 座れ
もお ~! 診療所 ある から そっち 行けば いい のに …
図々しい ん だから みんな !
( 琴子 ) もう ~!
こんな 時間 に なっ ちゃった じゃない の よ ~!
ああ ~!
お 墓参り は 午前 中 に 行った 方 が いい のに ~
ハッハッハッ …
琴子 ちゃん 意外 と 古風な んだ な ~
だって そんな の 常識 じゃない の よ !
まあまあ 琴子
お前 の 口 から 常識 って 言葉 が 出て くる と は な
何 よ 人 を 非常識 の 塊 みたい に
なーんも なんも 大丈夫 大丈夫
オラ がた も よ~ぐ 夕方 に 行ぐ ども ―
祟られ ねえ べ
( 男性 ) 悦 っちゃん だ ば 大丈夫だ
( 男性 ) んだ んだ
( 男性 ) んだ よ ~
さっき から 気 に なって た んだ けど …
どーして みんな ついてきて ん の よお ~!
どーして って 言われて も な ~
ムコ 殿 と 墓参り さ 行ぎ でえ な ~ って
おう 行ぎ でえ な ~ って
( 琴子 ) 今日 は …―
初めて 入江 君 が お 母さん と 会って くれる 日 な の !
私 に とって すごーく 大事な 日 な んだ からあ !
入江 君 は ―
みんな に 振り回される ため に 来た ん じゃない の !
こら 琴子 …
せっかく …
お 母さん に 会い に きて くれる って そう 思って た のに …
んだ な ー
琴子 ちゃん の 言う通り だ ―
オラ がた も 直樹 さん が 来て くれて ―
嬉しぐて つい 調子 に 乗って しまった なあ
ごめん なあ
悦 っちゃん と ゆっくり 会って きたら いい
( 男性 ) わりがった なあ 琴子
( 男性 ) んだ ば 帰る か
んだ な んだ んだ
( 重雄 ) すいません ホントに
( 直樹 ) お前 の 親戚 って …
お 調子者 で 嬉しがり で ―
世話好き な ミーハー ばっかり だ よ な
でしょ …
ごめん ね 入江 君 本当に ごめんなさい
お前 に そっくりだ よ
そっくり って …
だから ―
飽きなくて 面白い
俺 …
好きだ けど な 結構
呼んで きて やれ よ
みんな で 一緒に 墓参り しよう
うん
入江 君 もうすぐ だ よ !
あっ あのね お 母さん の お 墓 は えーと あそこ の ねえ …
随分 と 派手な 案内 だ な
へ ?
( 琴子 ) あっ !
何 これ …
あーっ !
( 重雄 ) え ? 何 ?
何 よ これ !
わがり やし ー べ !
わかり やすい も 何も ―
私 達 何回も 来て る んだ から わかる に 決まって る でしょ ~!
琴子 ちゃん じゃねぐて !
直樹 さん に わがり やすい か なって
( 一同 ) んだ んだ ~
悦 っちゃん お祭り 好き だった から
( 直樹 ) ありがとう ございます
おかげ さま で どの 墓 が 琴子 の お袋 さん な の か ―
すぐに わかり ました
( 一同 ) どういたしまして ~!
じゃあ あの … 無事に たどり着け たって こと で
少し 片付けて も …?
( 鶴三 ) あ … いい よ な ?
( 男性 ) あー どうぞ どうぞ
( 重雄 ) 墓石 に お 水 も かけ たい し …
外して いい です か ね ?
すいません せっかく 飾って もらった のに …
あれ ? なかなか 頑丈に ついて ます ね
本当 は 悦子 は 俺 の 方 の 墓 に 入る はず だった んだ が …
早く 逝っ ちまった から な
こいつ の 両親 の そば の 方 が 気 が 楽 か と 思って ―
ここ に 相原 の 墓 作っ ちまった んだ
そう な んです か …
俺 が 死んだら 悦子 と 一緒に ここ に 入る つもり だから ―
琴子 は … 直樹 君 の 方 で 頼む な
はい
悦子 !
今日 は なあ 琴子 の 旦那 さん が 来て くれた んだ ぞ
琴子 に は もったいない ぐらい 男前 だろ ?
ときめく ん じゃねー ぞ 悦子 !
気持ち は 嬉しい けど
もう こういう こと し なくて いい から ね !
わがっだ よっ !
本当に わかって る ?
わがって る よ !
( 琴子 ) もお ~
( 琴子 ) お 母さん ―