Katanagatari Episode 8 (3)
二度と そんな 的外れな 心配 が でき ぬ よう
これ を 機会 に そ なた を 教育 して やる
今夜 は 寝かさ ぬ ぞ
明日 決着 を つけよう
「 虚 刀 流 · 薔薇 」
で 「 虚 刀 流 · 百合 」
人間 認識 即刻 惨殺
斬 殺 できる もん なら 斬 殺して みろ
そのころ に は あんた を まあ 八 つ 裂き に は でき ない んだ けど な
バカ は まって ない
「 虚 刀 流 · 鷺 草 」
「 虚 刀 流 · 石榴 」 から 「 菖蒲 」 まで
混成 接続
七 花
危ない 危ない
いい か 攻撃 は
打撃 系 のみ に 限る
分かった
どうせ 日和 号 に 投げ 技 は 通じ ねえ
それ も 頭部 と 胴体 に は 当てる な
うん
しかし とがめ も すげ え こと 考える よ な
傷つけちゃ いけない って 縛り が ある ところ に
相手 に 勝手に 防御 さ せる って 考え
意思 の ない 人形 を そういうふうに 利用 する と は
まったく
でも やっぱり けん制 が 効か ない って の は 厄介だ
こっち は 体 が 覚えちゃ って る から な
無駄だ と 思って も
ついつい 要所 要所 で けん制 を 入れちゃ うし
反撃 開始
「 人形 殺 法 · 竜巻 」
「 人形 殺 法 · 旋風 」
「 人形 殺 法 · 春一 番 」
「 人形 殺 法 · 突風 」
そのほか は だいたい とがめ の 予想 した とおり の ようだ な
当然だ
そ なた の 姉 ほど で は なく と も な
わたし だって 見る 目 は ある のだ
外側 から 見れば それ が どういう 動き を する の か
どういう 動き が 可能な の か くらい は 見 切れる と も
これ で だいたい 日和 号 の 動き が 分かる はずだ
これ を 把握 する まで 今夜 は 寝かさ ぬ ぞ
ああ
あえて 言う なら わたし は 見切る ので も 見抜く ので も ない
そ なた を 信じ ただ 見守る しか ない
信じて いる ぞ 七 花
だったら 俺 は
いい か 七 花
俺 は 刀 だ
そして お前 も また 刀 だ
刀 は 斬れ なければ 意味 は ない
まずは その こと を 第 一 に 考え
お前 は ただ 鋭き 刀 であれば いい
俺 が そう であった ように
どういう 意味
その うち 分かる
今 なら 親父 の 言葉 の 意味 が 分かる
刀 に なる と は 気持ち を 持つ な 考える な
感じる な と いう 意味 だ
「 人形 殺 法 · 鎌 鼬 」
とがめ 日和 号 は ちょっと 前 の 俺 だ
覚悟 決意 も なく
何も 捨て ないで 正義 の 心 も なく ただ
とがめ に 言わ れる まま 刀 集 め を して いた 俺 だ
七 花
だから 真庭 の 蝙蝠 も 迷彩 も 錆 も
刀 を 集める ため に 何の 迷い も なく 斬った
でも 意思 を 持た ない 刀 の まま だったら
俺 は 姉ちゃん に 勝つ こと が でき なかった
ただ 四季 崎 に 命じ られる まま 何 百 年 も 命令 どおり に 攻撃 する こいつ は
ちょっと 前 の 俺 と 同じだ
俺 こんなふうに こんな 機械 人形 みたいに 戦って た んだ
きっと みんな ちっとも 楽しく なかった んだろう な
人間 認識
俺 に は お前 が 刀 に しか 見え ない けれど
日和 号 お前 は 俺 を 人間 と 言って くれる んだ な
「 虚 刀 流 · 木蓮 」
「 人形 殺 法 · 嵐 」
「 虚 刀 流 · 桜 桃 」
「 人形 殺 法 · 砂 嵐 」
「 虚 刀 流 · 野 苺 」
「 人形 殺 法 · 台風 」
とがめ
俺 も とがめ を 信じて その 命令 に 従う
この 身 が 折れよう と も 俺 は
何 だ
「 人形 殺 法 · 微風 刀 風 」
おいおい マジ かよ
まさか ここ まで とがめ の 予想 どおり だ なんて
見れば 分かる 人形 は 人間 と 違って 素直だ
とがめ
とがめ 俺 も とがめ を 信じて る ぞ
命令 に 従う の も 俺 の 意思 で だ
たとえ この 身 が 折れよう と も 俺 は とが め を 守る
心 に そう 決めた ぜ
何 を いまさら 言って おる
とがめ に 命じ られた から じゃ ない
俺 が 人 と して この 心 で そう 決めた んだ
俺 は 刀 だ が
同時に 魂 を 持つ 人間 な んだ から
七 花
そろそろ だ な
やれやれ ずいぶん と かかって しまった ようだ が
ようやく 燃料 切れ か
思った より 軽い な
じゃあ の たまに 日なたぼっこ する みたいに 立ち止まって た の が
燃料 補給 だった の か
そういう こと だ
とがめ 最初 から それ を
まあ どうして これ が 動いて いる か と いう 素朴な 疑問 を 解消 した 所 から
策 を 練った まで の こと
問題 は
日和 号 の 燃料 とそ なた の 体力 と どっち が 早く 底 を 突く か だった
でも 俺 の 体力 が 勝つ って 勝算 は あった の か
勝つ と 思えば 運命 は そう なる と か 言う つもりだ ろ
違う な
運命 は 自分 で 言い張る もの だ
「 わたし は そな た を 信じて いる から な 」 と 言った であろう
物 は 言いよう だ
さて 今 の うち に 手足 を 取り外して おか ない と な
いつ何時
何 か かわいそうだ な
バカ かそ なた は 人形 に 感情 移入 して どう する
人 の 顔 は して いて も これ は あくまでも 完成 形 変 体 刀 の 1 本
「 微 刀 · 釵 」 な のだ ぞ
刀 に 対する 感情 移入 なら わたし が 言って いい こと で は ない か
結構 かわいらしい 顔 して んだ な
四季 崎記 紀 の 趣味 な の か な
東 風 吹か ば 匂い おこせよ 梅 の 花 主 なし とて 春 を 忘 る な
作り手 も 死に
主 も ない まま 数 百 年 も の 間 あの 不要 湖 を 守り 続けた この 人形 に は
確かに ねぎらい の 言葉 の 一 つ くらい は 掛けて やって も よい の かも しれ ぬ な
敵 ながら あっぱれだ
そう だ さっき の もう 一 回 言って みろ
「 俺 は とが め を 信じて 」 って やつ
いい よもう
言って みろ って
い いって
言えば いい じゃ ん
だから い いって
釵 って の は さ
四季 崎記 紀 が 生前 に 最も 愛した 女性 を 模して 作って ある ん だって さ
笑っちゃ う こと に さ
別に 笑う ような こと で は ない と 思い ます が
わたし の 言う こと を 否定 する の
いい じゃ ん
あんた も だいぶ わたし の 機嫌 の 取り 方 が 分かって きた って 感じ
あの 不愉快な 女 は その後 どうした の かしら
日和 号 と 報告 書 を こっち に 送りつけて 帰って こ ない つもりな の
いえ 不要 湖 で 四季 崎記 紀 の 工房 の 発掘 作業 を して いる ようです
あら 七 花 君 に やら せて いる の ね
まったく 人使い が 荒い わ ね
それにしても 工房 に 何 か 情報 が ある と 思って いる の かしら
真庭 鳳凰 より 得て いる 刀 の 在りか は 天童
その 情報 の 真偽 を 確かめる つもり か と
あ 本当に 天童 に ある んだった わ ね
あそこ の は 何 だ っけ
「 王 刀 · 鋸 」 です
それ より さ
姫 さま
やっぱり 邪魔 よ ね
邪魔 私 が です か
あんた が 邪魔な の は いつも の こと でしょ
真庭 忍 軍 の こと よ
真庭 忍 軍 に ついて は 放っておけば いい と
そんな 過去 の 自分 を 否定 する わ
残り は 確か 3 人 よ ね
あんた さ
ちょっと 真庭 鳳凰 を
暗殺 して き なさい よ
何 だ 何 か あったか
何 か 分か ん ない けど ずっしり 重い し
開けて みる か
箱 など 今 は 関係ない
工房 を 探る の が 先だ
そんな もの は 捨てて お けう
魂 も なく た だ あるじ の 命 に 忠実であった 人形 と の 戦い で
人 の 心 の 意味 を 知った 人間 刀 鑢 七 花
奇 策 士 とがめ と の 刀 集 め の 旅 も いよいよ 佳境 に 入った ところ で
今月 こ よい の 『 刀 語 』 お楽しみ は ここ まで に ございます
語ら ないで 語れ ない 姿
玉手 箱 に 詰めたら 眠れ ます か
動き出す 切ら れる まま の 体
孤独 の 息吹 注ぐ
思い出せ 形 は 人 を 無にして
安らぎ に 帰る の
からくり の 糸 は 透明だ から 嫌い
引き千切る 一 人 で 飛べる
踊ら ない の 踊れ ない 姿
在る 昔 を 絵 に した 踊り わたし
語ら ないで 語れ ない 姿
玉手 箱 に 詰めたら 眠ら れた ね