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( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )
( 機械 音声 ) ただいま 電話 に 出る こと が でき ませ ん
( ブギー ポップ ) 弓道 に おける 美 と は ―
“ 真 ( まこと ) ” の 形 と “ 善 ” の 心 が 一体 と なった とき に 現れる そう だ ね
( 女子 生徒 ) 敬 ( けい ) 1 年 の 男子 が 呼 ん でる わ よ
( 敬 ) あ …
( 田中 ( た なか ) ) 先輩 今朝 当番 で 校門 に い まし た よ ね ?
( 敬 ) ええ まあ …
( 田中 ) 紙 木城 ( かみ きしろ ) さん は 見 ませ ん でし た か ?
直子 ( なお こ ) さん ?
そう いえ ば 今日 は 見 て ない けど ?
そう です か
また サボって る ん じゃ ない ?
それ は ない ん です ( 敬 ) え ?
もう 間に合わ ない かも しれ ない
( 教師 ) 紙 木城 も ?
( 教師 ) あの 子 確か 志望 校 A 判定 よ ね ?
( 教師 ) ええ 悩み らしい 悩み は ない と 思う ん です
ただ 数 日 家 に も 帰って ない と いう 話 も あって …
あ … 先生 ノート ここ に 置 い て おき ます
( 敬 ) 直子 さん 家 に も あんまり 帰って ない みたい ね
( 田中 ) 彼女 の 家 今 誰 も い ない ん です
両親 が 離婚 協議 中 らしく …
( 敬 ) そう な の ( 田中 ) ええ
だから 余計 に 心配 で
( イス を 引く 音 ) ( 早乙女 ( さおとめ ) ) それ なら …
( 早乙女 ) 霧 間 ( き り ま ) 凪 ( なぎ ) に 聞く と いい ん じゃ ない か ?
正美 ( まさみ ) なんで お前 …
まんざら 僕 も 知ら ない 話 じゃ なかった んで
何 か 知って る の か ?
( 早乙女 ) 彼女 なら 何 か 知って る かも しれ ない
紙 木城 先輩 と は 中学 から の 友人 だ から ね
霧 間 さん なら 今日 見かけ た けど ?
( 早乙女 ) よし
( 敬 ) あ … 待って
( 末 真 ( す えま ) ) 霧 間 さん 来 てる はず な ん だ けど …
( 田中 ) 来 てる の に 授業 に 出 て ない と いう こと です か ?
( 末 真 ) うん 彼女 らしい と いえ ば そう な ん だ けど
やっぱり 何 か あり そう だ な
( 田中 ) うん
( 田中 ) なあ 正美
お前 どう し て 霧 間 先輩 の こと を そんなに 知って る ん だ よ
彼女 に は フラ れ た こと が あって ね
そう な の ! ?
昔 の 話 だ よ
( 敬 ) 屋上 に も い なかった わ
霧 間 さん
そっち は どう ?
そ っか
すいません 僕 の ため に
別に 直子 さん が 気 に なる だけ よ
ちなみに 田中 君 は 直子 さん と は どう いう 関係 な の ?
えっ と …
( 早乙女 ) こいつ ―
紙 木城 先輩 と つきあって る らしい ん です
え えー ! ?
おい 正美 内緒 だって
委員 長 あと 校 内 で 人目 に つか ない 所 って ―
まだ あり ます か ?
えっ ? ん ー っと …
体育 倉庫 くらい かな
( 田中 ) どう だ ? 正美
( 早乙女 ) 誰 も い ない なあ
人 が い た よう な 形跡 も ない ね
( 敬 ) おかしい わ ね
思った ん です が いっそ の こと ―
放送 で 霧 間 凪 を 呼び出す と いう の は どう です か ね ?
( 敬 ) 怒ら れる わ よ
当直 の 先生 だって いる し
けど もう それ くらい しか …
まあ 確か に その ほう が 早い かも ね
いい わ 先生 に は 私 が 叱ら れる
さすが 委員 長
( 敬 ) 2 年 B 組 の 霧 間 凪 さん
至急 放送 室 まで 来 て ください
紙 木城 直子 さん の こと で お 話 が あり ます
霧 間 凪 さん
紙 木城 直子 さん の こと で お 話 が あり ます
至急 放送 室 まで 来 て ください
( 凪 ) エコーズ マンティコア の 気配 は ある の か ?
なんで だ よ
ワナ だ から か ?
だったら なおさら だ
ここ で 俺 たち が 引っかから なかったら ヤツ は 逃げる
そ したら もう 追 え ない ぜ
( エコーズ ) どっち な の だ ろ う
来 ない です ね
( 敬 ) 先生 も 来 ない わ ね
どう し た の かしら ?
( 田中 ) 霧 間 さん もう 校 内 に い ない の かも しれ ませ ん ね
いや 絶対 に いる はず だ ( 敬 ) え ?
もう 一 度 放送 し て みよ う
( ブレーカー が 落ちる 音 ) ( 早乙女 ) あっ
( 敬 ) わ っ ( 田中 ) 停電 ! ?
チッ … ブレーカー か
あっ
( 田中 ) あっ
えっ ?
( 早乙女 ) 霧 間 さん ! これ は 一体 どう いう こと です か
( 凪 ) あんた ら は 知ら なく て いい こと だ
( 敬 ) 霧 間 さん …
あっ ん ん …
( 凪 ) この 中 に は い ない ん だ な ? エコーズ
( エコーズ ) あ … い ない
誰 ?
( 凪 ) 改造 さ れ た 形跡 も ない し な
そう か 悪い こと を し た な
疑い は 晴れ た
あんた ら に は 帰って もらう
えっ ?
ちょっと ! 訳 が 分か ん ない ん だ けど
この 人 誰 ?
うち の 学校 の 生徒 じゃ ない でしょ ?
( 凪 ) 新 刻 ( に い とき ) さん
この 2 人 は 分かる と し て なんで あんた が ここ に いる ん だ ?
( 敬 ) それ は こっち の セリフ よ
一体 何 が どう なって る の よ !
( 田中 ) そ そう です よ
僕 たち は 紙 木城 さん を 捜し てる だけ で …
直子 の こと は 俺 も 心配 し てる
だから 説明 し て って 言って … う っ
あっ …
あ … ありがとう
( 凪 ) ここ で あった こと は 黙って い て もらい たい
その ほう が あんた たち の ため だ
( 敬 ) は あ ? こんな こと まで し て おい て ―
そんな 話 通じる と でも 思って る の ! ?
( 田中 ) 紙 木城 さん は 無事 な ん でしょ う か ?
( 敬 ) 直子 さん は 私 の 知り合い よ
何 か 知って る なら 教え て
私 たち だって 協力 できる わ !
( 凪 ) いや 無理 だ
え ? どう し て よ
これ は 普通 じゃ ない
俺 みたい な 異常 な ヤツ で ない と 対処 でき ない 事態 な ん だ
また “ 普通 で は ダメ ” です か
( 凪 ) あんた は 普通 の ヤツ だ ろ ?
俺 に 関わる と トラブル に なる から さ
ごめん な
( 凪 ) 志郎 ( しろう ) 君 だった な
直子 の こと は もう 忘れ た ほう が いい
どう し て です か ! ?
ねえ あなた さっき から 何 な の ?
何だか 知ら ない けど ―
全部 自分 1 人 で 背負って る みたい な 顔 し て !
まあまあ 新 刻 さ ん
( 敬 ) だって …
しかた あり ませ ん よ
霧 間 さん に は 霧 間 さん の 事 情 が ある ん です から
ねっ 霧 間 さん
僕 に は 分かり ます よ
そう
普通 で は 僕ら は 満足 でき ない
何 の こと だ ?
( 早乙女 ) あなた に フラ れ て ―
かえって よかった と 今 は 思って る ん です よ
何せ もし あなた と 共に 行動 し て た と し たら ―
僕 は きっと 彼女 と 出会って も 敵 に 回って い た でしょ う から ね
だから 何 の こと だ ?
だから ―
僕 に とって あなた の ほう が
もう 普通 の 側 で しか ない と いう こと です よ
今や あなた は 僕ら の 敵 だ
マンティコア か …
( 敬 ) あっ
( 倒れる 音 )
あっ
( 百合 原 ( ゆり はら ) ) う っ
( 百合 原 ) あ …
追え !
今 なら 勝 てる
( 田中 ) う っ …
う ああ ああ あっ
( 田中 の 叫び声 )
( 敬 ) あっ
( 早乙女 の 笑い声 )
( 早乙女 ) ホント は 僕 が 殺さ れ たかった ん です けど ね
まっ これ は これ で 快感 で し た よ
( 凪 の せきこみ )
( 早乙女 ) 自分 で やる ほう も ―
病みつき に なり そう です よ
( おびえる 声 )
( 田中 の 叫び声 )
( エコーズ ) どっち な の だ
( エコーズ ) ん …
( 足音 )
( 走り去る 足音 )
逃がす か
( 敬 ) ハァ ハァ ハァ …
ん っ
( 早乙女 ) いい ねえ 新 刻 さ ん
その 目 は いい
僕 は そう いう 意志 の ある 力強い 目 が 大好き な ん だ
( 敬 ) 何 な の よ あなた たち
百合 原 美奈子 ( みな こ ) は …
一体 あれ は 何 な の よ ?
( 早乙女 ) 本物 の 百合 原 は もう 死 ん で いる
は ?
彼女 は マンティコア だ
( 敬 ) マンティコア ?
人 を 喰 ( く ) う もの だ よ ( 敬 ) え ?
それ じゃ 最近 失踪 し た 人 たち って みんな …
( 早乙女 ) ああ 大体 はね
( 敬 ) そ っか それ で 霧 間 さん ―
ずっと あなた たち の こと を 捜し て た の ね
( 早乙女 ) バカ な ん だ
自分 は エコーズ の 味方 を し て い た くせ に ―
敵 に も 同じ ように 味方 が いる と は 思わ なかった らしい
( 百合 原 ) う っ
( 敬 ) あっ
( 百合 原 ) もう いい わ 早乙女 君
あと は 私 が やる から ( 早乙女 ) そうかい
( エコーズ ) ん っ う っ … あっ
( 敬 ) あっ
( エコーズ ) う っ ん っ …
( 敬 ) だ 大丈夫 ?
( 足音 )
( 百合 原 ) そい つ に 助け を 求め て も ムダ よ
もう 死ぬ もの
ペン に 毒 を 仕込 ん で おい た の さ
再生 能力 を 封じる ため に ね
しかし 君 の オリジナル と いう わり に は ―
大した こと なかった な
( 百合 原 ) ええ もっと 強い はず な ん だ けど …
( 早乙女 ) むしろ 霧 間 凪 の ほう が やっかい だった
( 百合 原 ) ウフッ だ から 彼 女 に なる ん でしょ
隠れみの と し て も 格好 の 素材 だ し
それ に 早乙女 君 あなた に とって も
フッ
な 何 を 言って る の よ ( 百合 原 ) ん ?
この 体 を 捨て て 霧 間 凪 に 変わる の よ
( 敬 ) は ?
( 百合 原 ) フフッ 大丈夫
あんた も 世間 的 に は 死ぬ こと は ない わ
改造 さ れ スレイブ と し て 生き 続ける こと に なる
スレイブ ?
( 百合 原 ) そう あんた は 生き た しかばね に なる の
あんた の 心 は なくなって ―
たとえ 好き な 男 を 見 て も 何 も 感じ なく なっちゃ う けど ね
あなた たち は 悪魔 よ !
悪 … 魔
( エコーズ ) 人間 は どっち な の だ ろ う か
( 百合 原 ) 悪魔 ? 大いに 結構
私 は もと から 人間 じゃ ない し ―
早乙女 君 だって あんた ら みたい な 愚か な 人間 と は 全然 違う の
( 敬 ) 人間 が 愚か です って ?
私 と この 人 は たぶん ここ で 死ぬ けれど ―
私 と 同じ ように あなた たち を 許 せ ない と 考える 人 は 必ず いる !
あなた たち が どこ へ 行った って 誰 か が 必ず 見つけ出す !
( 敬 の 泣き声 )
( エコーズ ) 人間 は …
何 の つもり ?
まだ 何 か しよ う って いう の ?
は あ ?
( エコーズ ) 我が身 を “ 情報 ” に 変え て ―
今 御 許 ( みもと ) に “ 報告 ” を 送る
( 早乙女 ) う う っ ( 百合 原 ) あっ
( 敬 ) う っ 何 … 何 な の ?
エコーズ …
( 百合 原 の すすり泣き )
( 百合 原 ) う っ
う わ あ ああ ああ あっ
ひ いっ
殺す
何もかも 1 人 残ら ず 全て 殺し 尽くし て やる !
( 笑い声 )
( 敬 ) ハァ ハァ … あっ
くっ …
あっ
あっ
あ あっ
( 百合 原 の うめき声 )
( うめき声 )
( ブギー ポップ ) 腕 は 簡単 に 切断 でき た が ―
首 は そう は いか ない な
み … 宮下 ( みや した ) さん ?
今 は ブギー ポップ だ
マンティコア と いった な ?
君 は 人間 以上 の 力 を 持って いる よう だ が ―
この 僕 も 人間 が ふだん 無意識 に セーブ し て いる 力 を ―
自由 に 使える ん だ
今 だ 志郎 君
もしも その 手 で 真実 を 射 ぬ ける と し たら ―
君 に その 覚悟 は ある かい ?
あ …
( 田中 ) 大丈夫 です か ?
( 敬 ) あっ うん … けど …
( 田中 ) お 知り合い です か ?
知って は … 知って は いる ん だ けど …
( 振り返る 音 ) ( 2 人 ) あっ
( ブギー ポップ ) もう 少し だけ 手 を 貸し て ほしい
( 凪 ) ん … ( 敬 ) あっ
霧 間 さん
( ブギー ポップ ) エコーズ は 命 を 分けて いた ん だ
この 死 に 損ない に ね
さっき の マンティコア は ―
エコーズ と いう 怪人 が 弱 すぎる と 言って い た が ―
これ が 原因 だ
や あ 炎 の 魔女
( 凪 ) お前 か
出 て い た ん なら もっと 早く 出 て こい よ な
( ブギー ポップ ) まあ そう 言う な よ
( 凪 ) 終わった の か ? ( ブギー ポップ ) ああ
エコーズ と いう 人 の 犠牲 と ―
2 人 の 勇気 ある 行動 の おかげ で ね
( 凪 ) そう か
( 敬 ) 結局 は 何も なかった こと に なって しまう ん でしょ う ね
( 凪 ) ああ
直子 さん は やっぱり …
( 凪 ) たぶん な
( 田中 ) どう も ありがとう ござい まし た
うまく 言 え ませ ん が ―
たぶん 僕 が 紙 木城 さん に 代わって ―
お 礼 を 言わ なきゃ なら ない ん だ と 思い ます
( 敬 ) あの 人 たち は 何者 だった の かしら ?
( 凪 ) さあ な
ただ エコーズ は 天使 だって 直子 は 言って た
( 敬 ) 天使 ?
( 凪 ) 天 の 神様 に 命じ られ て ―
人類 を 生かす か 滅ぼす か どう か の 最後 の 審判 の 審査 に 来 た ん だ って
人間 が 善 か 悪 か どちら な の か 判断 する ため に ね
もし それ が 本当 なら 今回 は 見逃し て もら え た らしい
( 敬 ) じゃあ 世界 を 救った の は …
( 凪 ) ああ
でも 俺 たち は あいつ に ―
“ ありがとう ” すら 言う こと が でき ない ん だ もう
( 敬 ) ブギー ポップ は どう 思って る の か な ?
( 凪 ) さあ ね 何 なら 本人 に 聞い て みる か ?
え ?
( 凪 ) 何 も 覚え ちゃ い ない だ ろ う けど
( 凪 ) ん っ ( 敬 ) あっ
( 藤 花 ( とうか ) ) ふう ん
( 藤 花 ) あっ ( 竹田 ( たけ だ ) ) あ …
大丈夫 だ よ
( 敬 ) あら 先輩 今 帰り です か ? ( 竹田 ) ああ
男女 交際 は 規則 違反 です が
今回 は 特別 に 見逃し ます よ
( 凪 ) ふう ん ( 竹田 ) ん …
あんた が 宮下 藤 花 か
俺 は 霧 間 凪 だ よろしく
よろしく
( 透 子 ( すいこ ) ) 始まり の 終わり は 同時に 終わり の 始まり で も ある の よ
ブギー ポップ
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