Suzumiya Haruhi no Yuuutsu - 24
( 長門 ( な が と )) 知っている
( キョン ) 案内 さ れた ところ は 長門 の マンション の 裏 だった
( ハルヒ ) あっ !
( 鳴き声 )
( ハルヒ ) あら みんな 人 に 慣れて る の ね
黒 猫 黒 猫 …
は あ ~
まあ いい わ こいつ に し ましょう
( キョン ) また 設定 変え や がった !
黒 じゃ ない けど この際 しかたない わ
さあ 有希 ( ゆき ) これ が あなた の 相棒 よ
仲よく し なさい ね !
( 猫 の 鳴き声 )
( キョン ) 撮影 が 再開 さ れた もう 場所 なんか どこ でも いい らしい
有希 み くる ちゃん に 攻撃 よ !
くらう が いい
( み くる ) ひ い ~!
はい カット ! ナイス !
その 猫 しゃべる こと に する わ 魔法使い の 飼い 猫 だ も の
皮肉 の 一 つ くらい は 言う わ よ ね
( キョン ) とんでもない !
( ハルヒ ) あなた の 名前 は シャミセン よ !
ほら シャミセン なんか 話し なさい !
( キョン ) 話す わけない と いう か 話さ ないで くれ
… って シャミセン って !
( ハルヒ ) うん 順調 ね
キョン その 猫 の 世話 は あんた に 任せる わ
家 に 連れて 帰って あした まで に 芸 の 一 つ でも 仕込んで おき なさい
火 の 輪 くぐり と か
は あ ~
はい それ じゃあ 今日 は ここ まで !
あした から は いよいよ クライマックス よ !
撮影 快調 体調 万全
みんな ゆっくり 休んで あした に 備え なさい !
( ハルヒ の 鼻歌 )
( ため息 )
ご 苦労 だった な 後 で 猫 缶 を おごって やる よ
それとも 煮干し が いい か ?
( シャミセン ) どちら でも かまわ ない
( み くる ) あっ ( 古泉 ( こい ずみ )) お っ
おいおい 今 の は 長門 か ? 俺 は 猫 に 聞いた んだ
私 も その つもり だった 故 に 返事 を した
私 は 何 か 間違った こと を 言った のだろう か ?
( キョン ) う おお …
驚き です ね 三毛猫 で オス と は
いや ツッコ む ところ は そこ じゃ ないだ ろ
( み くる ) ビックリ です 猫 さん が 言葉 を しゃべる なんて
( シャミセン ) 私 に は きみ たち が なぜ 驚いて いる の か が 分から ない
( キョン ) 化け 猫 猫 又 ( また ) の 類い か ?
確かに 私 は きみ に とって 人 の 言葉 に 聞こえる か の ような
音 を 出して いる の かも しれ ん
だ と すれば
何 を もって きみ は 私 が 言葉 どおり の 意味 を 込めた ―
発声 を して いる のだ と 確認 する の か ?
そりゃ あれ だ
ちゃんと 俺 の 問いかけ に 答えて いる から だ
私 が 発して いる 音声 が
たまたま 偶然に も きみ の 質問 に 対する 応答 に
合致 して いる だけ かも しれ ないで は ない か
そんな の が まかり通れば 人間 同士 でも
会話 が 成立 して い ない こと に なる じゃ ねえ か
( シャミセン ) まったく その とおり だ
あたかも 会話 して いる か の ような 行為 を 働いて いた と して
それ が 正しい 意思 伝達 を 行って いる か どう か など
誰 に も 分から ない のだ
誰しも 本音 と 建て前 を 使い分けて い ます から ね
( キョン ) お前 は 黙って ろ !
言わ れて みれば そうです … よね ?
( キョン ) すみません が あなた も 黙って いて ください ませ ん か
現況 は あまり よろしく ない ようです ね
僕たち は まだまだ 涼 宮 ( すずみ や ) さん を 過小 評価 して いた ようです
あの どういう こと です か ?
涼 宮 さん の 映画 内 設定 が
世界 の 常識 と して 固定 さ れる 恐れ が 出て きた のです よ
もし 彼女 が
“ 巨大 隕石 ( いんせき ) が 落下 して くる シーン を 撮り たい ” と 思えば
本当に 実現 する かも しれ ませ ん
( み くる ) じゃあ どう すれば ?
虚構 に よる 現実 へ の 浸食 を 防が ねば なり ませ ん
今 の 彼女 は 現実 と フィクション を 無意識 の うち に 混同 さ せて い ます
よほど 調子 に 乗って る んだ な
涼 宮 さん の 異 能力 が 映画 作り と いう フィルター を 通して
顕在 化 して いる のです
これ を 防ぐ に は
あくまで フィクション に すぎ ない と いう こと を
涼 宮 さん に 分から せて
この 映画 を 合理 的に 落ち着く よう 誘導 し なければ なり ませ ん
猫 が しゃべる の を どう 正当 化 すれば いい んだ ?
正当 化 と いう の は 違い ます ね それ で は 結局
猫 が しゃべり だす 世界 が 構築 さ れる こと に なる わけです が
それ は 我々 の 世界 に は あり え ない もの です
じゃあ お前たち は どう な んだ よ ?
ええ です から 我々 が 存在 する の は 涼 宮 さん の おかげ でしょう ね
あの しゃべる 猫 と 同じです
( キョン ) なんとか なら ない の か ?
( 古泉 ) もし これ が ファンタジー 世界 で の 出来事 なら
なんの 説明 も いり ませ ん
ですが しゃべる 猫 や ミクルビーム が
現実 に 存在 する と 証明 さ れた 瞬間
我々 の 世界 は 変容 し ます
超 常 現象 が ない 世界 から 超 常 現象 を 内包 した 世界 に
認識 し 直さ なければ なら ない のです
じゃあ どう すりゃ いい ?
涼 宮 さん が 納得 し そうな 映画 的 結末 を つければ いい のです
ある か ? そんな の
あり ます よ
ごくごく 簡単で それ まで の 理屈 に 合わ ない 展開 を
一気に 常識 的な もの へ 転化 する 結末 が
言って みろ
夢 オチ です
冗談 を 言った つもり は ない のです が
ハルヒ が それ で 納得 する と 思う か ?
難しい かも しれ ませ ん です が こういった 場合 に は
映画 の 内容 が 全て 夢 ウソ 間違い だった と いう こと を
作品 内 で 自己 言及 する の が 一 番 よい 解決 法 な のです よ
( キョン ) お前 に とって は そう だろう
また 俺 に とって も その ほう が いい の かも しれ ない
しかし ハルヒ は どう だ ?
( キョン ) いい か ? 家 で は ひと言 も しゃべる な
ちゃんと 猫 らしく して いろ
( シャミセン ) “ 猫 らしく ” と いう 言葉 の 意味 は 分から ない が
きみ が そのように 言う の なら 従おう
( キョン ) しゃべる な 返事 は “ ニャ ~” で 統一 しろ
( シャミセン ) ニャ ~
( キョン の 妹 ) うわ ~!
( 妹 ) 猫 猫 猫 ~ ( シャミセン ) ニャ ~
( キョン ) よっ こい … しょう いち
お っ それ じゃ また 後 で な
よかろう
( キョン ) 文化 祭 まで 残り 数 日 と なった 我が 校 だ が
まるで ハルヒ の テンション に 連動 する か の ように
雑然 たる 雰囲気 を 着実に 増大 さ せて いた
( 戦士 風 の 男 ) 早く 伝説 の クリスタル クレッセントオーブ を 探し出さ ねば
( ドワーフ の 男 ) だ ね だ ね だ ~ ね !
( キョン ) この分 で は 異 世界 人 の 1 人 2 人 が 交じって いた と して も
不思議で は なく なって きた 感じ だ
( 鶴屋 ( つる や )) キョン く ~ ん
み くる が 話 が ある って
( 鶴屋 ) ほら み くる キョン 君 に あれ を
( み くる ) これ その …
わ わ わ … 割引 券 です !
( キョン ) えっ ? ( 鶴屋 ) あたし たち の クラス で やる
焼きそば 喫茶 の やつ だ よ
ありがとう ございます
お 友達 と お 誘い 合わせ の 上 で お 越し ください
それ だけ ! じゃあ ね ~!
ウフッ
キョン 君
なんで しょうか ?
あの こんな こと 言う と あたし が 古泉 君 を あれ か と 思わ れる ようで
その イヤな んです けど …
は あ
あたし は その … 別の 考え を 持って いて
つまり は その … それ は …
古泉 君 の 解釈 と は 違う もの な んです
ハルヒ が 神様 だ と か そういう 話 です か ?
は あ ~
涼 宮 さん に この 現在 を 変える 力 が ある の は 間違い ないで す
でも それ が 世界 の 仕組み を 変える もの だ と は 思い ませ ん
この 世界 は 最初 から こう だった の
( キョン ) それはそれは 古泉 と は 真っ向 から 反発 する 意見 です ね
( み くる ) 長門 さん も 違う こと を 考えて いる と 思う
あの こんな こと を 言う と
ちょっと 人 聞き が 悪い かも しれ ない んです けど
古泉 君 の こと その …
あんまり 信用 し ないで … って 言ったら 語弊 が ある けど
えっ と ごめんなさい
あたし 説明 下手だ し 制限 かかって る し あの …
だけど !
分かって ます よ
ハルヒ が 神様 な わけ ない じゃ ないで す か
俺 に は まだ 古泉 より
朝比奈 ( あさひ な ) さん の ほう が 分かり やすい で すよ
ありがとう
でも あたし 自身 に は 古泉 君 に 含む ところ は あり ませ ん
それ も 分かって おいて ください ね
朝比奈 み くる の 主張 は こう だ と 思わ れる
涼 宮 ハルヒ が 想像 した ので は なく
世界 は このまま の 形 で 以前 から 存在 して いた
超 能力 や 時間 移動 体
概念 形 地球 外 生命 体 など の 超 自然 的 存在 は
もともと そこ に いた のである
涼 宮 ハルヒ の 役割 は それ ら を 自覚 なし に 発見 する こと であり
その 能力 は 3 年 前 から 発揮 さ れて いる
ただし 彼女 は 世界 の 異常 を 探知 できる が
決して 認識 する こと は ない
認識 を 妨害 する 要素 も また ここ に 存在 する から である
それ が 我々
( キョン ) あっ …
朝比奈 さん に は 古泉 と 違う 理由 が あって
ハルヒ が 不思議 現象 を 見つける こと が 不都合な の か ?
( 長門 ) そう
彼女 は 彼女 が 帰属 する 未来 時空 間 を 守る ため に
この 時空 に 来て いる
( キョン ) なんだか 重要な こと を さらりと 言わ れた ような 気 が する
( 長門 ) 古泉 一樹 ( いつき ) と 朝比奈 み くる は
互いに 相手 の 解釈 を 決して 認める こと は ない
彼ら に とって 異なる 存在 の 理論 は
自分 たち の 存在 基盤 を 揺るがす もの に ほかなら ない から
待てよ !
古泉 は 3 年 前 に 超 能力 が 自分 に 宿った のだ と 言った ぞ
古泉 一樹 の 言葉 が 真実である と いう 保証 は どこ に も ない
( キョン ) あっ …
( キョン ) 確かに 保証 は ない
古泉 の 理屈 は 俺 が こうむった 出来事 に
もっともらしい 解説 を つけて いる だけ だ
それ が 正解 だ と 誰 に 分かる ?
朝比奈 さん の 理屈 だって 同じ こと だ
朝比奈 版 解答 が 正しい のだ と 誰 が 保証 して くれる のだろう
( キョン ) お前 は どう 思って る んだ ? どれ が 正解 だ ?
前 に お前 が 言って た 自律 進化 の 可能 性 って の は 結局 な んな んだ ?
私 が どんな 真実 を 告げよう と あなた は 確証 を 得る こと が でき ない
な っ なぜ だ ? あっ …
( 長門 ) 私 の 言葉 が 真実である と いう 保証 も どこ に も ない から
あなた に とって は
( ドア が 開く 音 )
( キョン ) 分から ん 普通 分かる か ?
古泉 も 長門 も もっと 他人 に 分かり やすく 話して くれよ
( キョン ) 映画 撮影 が 順調だ と 考えて いる の は ハルヒ だけ で
俺 と 古泉 と 朝比奈 さん は 次第に 顔 に かかる 縦 線 が
影 を 濃く する ように なって いった
あっ ! あっ !
( キョン ) いつの間にか モデルガン から は BB 弾 で は なく
水 撃 弾 が 出る ように なって いた し
朝比奈 さん は ハルヒ が 違う 色 の コンタクト を 持ってくる たび に
物騒な 物 を 出し
その つど 長門 に 噛 ( か ) まれ ていたし
桜 が 咲いて いる と 思ったら 数 日 後 に は 散って い たし
神社 の 白い ハト たち は とっくに 絶滅 した はずの
リョコウバト に なって いた らしい し
地球 の 歳 差 運動 が 微妙に ズレ たり して いた そうだ
( テレビ : アナウンサー ) 日経 平均 先物
10 月 現在 の 最 高値 最 安値 は …
( 妹 ) キョン く ~ ん お 友達 ~!
うん ?
あっ …
や あ …
涼 宮 さん に とって 細かい 設定 や 伏線 は どう で も いい んです よ
恐らく オチ なんか も 考えて は い ない でしょう
ひょっとしたら 未完 で 終わる かも しれ ませ ん ね
それ だ と 困る んだろう が
世界 が フィクション 化 する と 困る の は 僕たち の 理論 です から ね
本当の 話 を お 聞か せ し ます と
涼 宮 さん を 中心 と する なんらか の 理論 を 持って いる の は
我々 機関 と 朝比奈 さん の 一派 だけ で は あり ませ ん
たくさん ある のです
水面 下 で 我々 が 行って いる さまざまな 抗争 と
血みどろの 殲滅 ( せ ん めつ ) 戦 を
ダイジェスト で 教えて さしあげ たい くらい です よ
同盟 と 裏切り 妨害 と だまし 討ち
破壊 と 殺戮 ( さつりく )
各 グループ と も 総力 を 挙げて の 生き残り 合戦 です
まあ こんな こと は あなた に は 無縁の こと でしょう が ね
涼 宮 さん に も
特に 涼 宮 さん に は 永遠に 知ら ないで いて ほしい
彼女 の 心 を 曇らせる ような こと は し たく ない んです
僕 の 基準 で 言えば 涼 宮 さん は 愛す べき キャラクター を お 持ち です
ああ もちろん あなた も
なぜ 俺 に そんな こと を 教える ?
口 が 滑った のです よ 理由 なんか あり ませ ん
なん に せよ つまらない 話 です よ
確かに な 全然 面白く ない
つまらない 話 の ついで に もう 一 つ
朝比奈 さん が なぜ
僕 や あなた と 行動 を ともに して いる か
その 理由 を 考えた こと が あり ます か ?
彼女 の 役目 は あなた を 籠 絡 する こと です
涼 宮 さん に 少し でも 言う こと を 聞か せる こと が できる の は
唯一 あなた です から
あなた を からめ 捕って しま の が 最適な のです
幼く 見える 容姿 や 涼 宮 さん の 無理 難題 に 唯 々 諾々 と 従う ―
かわいそうな 立ち 位置 も そう です
全て は あなた の 目 を 自分 に 向け させる ため です よ
( キョン ) 冗談 は 聞き 飽きた
( 古泉 ) フッ … ああ すみません
やはり 僕 は
冗談 を 貫き 続ける 能力 に 欠けて い ます ね
ウソ です よ
本気に し ました ?
涼 宮 さん の 映画 と クラス の 劇 と で
僕 の プレッシャー は 結構 厳しい もの に なって いる のです
この上 閉鎖 空間 でも 出たり したら 倒れ 伏す 自信 が あり ます ね
それ も あって あなた に お 願 いし に 来た のです
どうか 涼 宮 さん の 映画 が 発生 源 の
この 異常 現象 を 止めて もらえ ない か と ね
ハルヒ の 映画 の 内容 が 全部 デタラメ である と いう こと を
ハルヒ 自身 に 自覚 さ せる こと
… だった か ?
明確に 自覚 さ せる こと です ね
できれば 撮影 が 終わって しまう 前 に
よろしく お 願い し ます
( キョン ) な ん なんだ あいつ は ? 俺 に 責任 を 押しつけ に 来た の か ?
まあ しかし …
( キョン ) 放っておく わけに も いかん か
めん どくさい な チクショウ
映画 は 映画 現実 は 現実 おのおの 別物 な のだ と
そんな 当たり前の こと を 改めて 納得 さ せる 手だて と は なんだ ?
古泉 は “ 夢 オチ ” と か 言って いた が それ 以外 で は …
お っ ?
( キョン ) 翌日 俺 は ハルヒ に とある 一 つ の 提案 を して
すったもんだ の 末 に 了承 を 得た
( ハルヒ ) はい オーケー !
お 疲れ さ ~ ん ! これ で 全部 の 撮影 は 終了 よ
みんな よく 頑張って くれた わ !
あした は 朝 イチ で 部室 に 集合 試写 会 を し ましょう
( み くる ) う う …
( ハルヒ ) み くるちゃ ん 泣く の は まだ 早い わ よ !
その 涙 は パルムドール か オスカー まで 取って おく の !
みんな で 幸せに なり ましょう !
( キョン ) ミクル と ユキ の ラストバトル は
突如 己 の 能力 を 覚醒 さ せた 古泉 イツキ の
なんだか 分から ん ご都合主義 パワー に よって
ユキ が 宇宙 の かなた に 飛ばさ れる こと で 幕 を 閉じた
閉じる の !
( 古泉 ) やっと 終わって くれ ました か
アハッ
しかし 終わって みれば 一瞬 だった 気 も し ます ね
楽しい 時間 は たつ の が 早い と いい ます が
さて 楽しんで いた の は 誰 な んでしょう ?
さあ ね
後 の こと は あなた に お 任せ して も いい です か ?
クラス の 舞台 劇 の ほう で 頭 が いっぱいでして ね
映画 と 違って そっち で は ―
セリフ を と ちって やり 直し と いう わけに は いきま せ ん ので
それ と もう 一 つ あなた に は 感謝 して い ます
我々 も 僕 個人 も ね
( ハルヒ ) はい 大きな 声 で !
目指す は ハリウッド ブロックバスター !
つかむ ぞ 金 熊 金 獅子 賞 ~!
( ハルヒ ) そう よ !
さあ み くる ちゃん も 未来 を 指さして !
やれやれ …
( キョン ) 正直 言って とうとう 最後 まで
俺 に は ハルヒ が なんの 映画 を 撮って いる の か
ピクセル 単位 で 分から なかった
当然の こと だ が
ビジュアルエフェクト を かます 時間 など
どこ を 探して も 余って は おら ず もともと そんな 技術 も ない
ごねた の は ハルヒ だ
そんな 未完成な の を 出展 する わけに は いか ない わ !
なんとか し なさい よ !
文化 祭 は あした だ ぞ もう 限界 だって の !
徹夜 で すれば 間に合う んじゃ ない の ?
ここ に 泊まり込んで やれば いい じゃ ない
あたし も 手伝う から
( キョン ) 結論 から 言う と ハルヒ は なんの 役 に も 立た なかった
あっ !
( マウス の クリック 音 )
( キョン ) か くい う 俺 も その後 まもなく 眠って しまった のだった
( ハルヒ ) キョン こら 起き なさい って ば !
ああ …
ねえ どう なった ?
( キョン ) 泊まり込み の 意味 は なかった 映画 は 未完成の まま である
( モニター : み くる ) 未来 から 来た のです !
( ハルヒ ) へえ ~ ( キョン ) えっ ?
( み くる ) ぱぎ ゃ ~!
( ハルヒ ) まあまあじゃ ない
ちょっと 物足りない けど あんた に して は 上出来だ わ
( キョン ) 俺 で は ない 俺 以外 の 誰 か が やった のだ
本命 長門 対抗 古泉
無印 朝比奈 さん 大 穴 まだ 登場 して い ない 誰 か
そんな とこ だろう
おはよう ございます 首尾 は どう です か ?
おはよう ございます
( ハルヒ ) おはよう ! もちろん 出来て る わ よ
血 と 汗 と 涙 の 長編 スペクタクル が ね !
( み くる ) うわ ~ そう な んです か
( 古泉 ) それ は よかった です ね
( ハルヒ ) フフン
これ から みんな で 見 ましょう !
いや ~ み くるちゃ ん あなた よかった わ !
これ で 観客 の ハート は 完全に つかんだ わ ね
パーフェクト よ み くるちゃ ん !
( キョン ) 文化 祭 が 始まって 俺 の やる こと は なく なった
懸念 して いた 現実 の 変容 と やら は 収まって くれた らしい
シャミセン が しゃべら なく なった こと で
俺 は それ を 知った
なくなった と いえば
文化 祭 前日 まで よく目 に して いた ―
奇妙な 格好の 連中 だ が
あいつ ら が 出て い そうな 演目 も 文化 祭 に なかった
一体 な んだった んだろう か ?
映画 は ハルヒ の ナレーション で 締めくくら れる
遊び の 部分 も 必要な のだ と 言って 説得 した
監督 自ら に よる 幕 引き の セリフ である
それ は 全て を キャンセル できる 魔法 の 言葉 だった
( 映画 : ハルヒ ) ウソ っぱ ち です
ど っか 似て た と して も それ は 他人 の そら 似 です
あっ CM シーン は 別 よ
大森 ( おおもり ) 電器 店 と ヤマ ツチ モデル ショップ を よろしく !
ジャンジャン 買い に 行って あげ なさい !
もう 一 度 言う の ?
この 物語 は フィクション であり 実在 する 人物 団体 …
ねえ キョン なんで こんな こと 言わ ない と いけない の ?
( キョン ) 悩み も 何も ない ように 見える ハルヒ の 唯一 の 悩み と は
ひと言 で 言う と “ 世界 は 普通 すぎる ” って こと で
では こいつ の 考える ―
“ 普通で は ない こと ” って の は 何かと いう と
これ は また スーパー ナチュラルであって
要するに
“ あたし の 目の前 に 幽霊 の 一 つ も 現れ ない と は 何事 か ”
… など と 考えて いやがる のだった
重要な 話 が ある んだ が 聞いて くれ
何 よ ?
お前 は 宇宙 人 か 未来 人 か ―
超 能力 を 使う ような ヤツ が いて ほしい んだ よ な ?
そう だ けど それ が どうした の よ ?
実は 宇宙 人 も 未来 人 も 超 能力 者 も
思い も 寄ら ぬ 身近に いる んだ よ
へえ どこ の 誰 ?
まさか と は 思う けど
有希 や み くる ちゃん や 古泉 君 の こと じゃ ない でしょう ね ?
それ じゃあ ちっとも “ 思い も 寄ら ぬ ” じゃ ない もの
ええ 実は …
そう 言おう と 思って た んだ けど な
は あ ? あんた バカじゃ ない の ?
そんな 都合 の いい 話 が
ある わけない じゃ ない の !
( キョン ) まあ 普通に 考えたら そうだ よ な
( ハルヒ ) それ で 誰 が どんな だって ?
( キョン ) 聞いて 喜べ
あの 長門 有希 は 宇宙 人 だ
統合 なんとか 思 念 体 だった かな ?
そんな 感じ の 存在 の 手先 だ そう !
ヒューマノイド ・ インターフェース だった
それ だ よ !
( ハルヒ ) ふ ~ ん で … み くる ちゃん は ?
( キョン ) 朝比奈 さん は だ な 割と 簡単だ
あの 人 は 未来 人 だ
未来 から 来て る んだ から 未来 人 で 合って る だ ろ ?
( ハルヒ ) 何 年 後 から 来た の よ ?
( キョン ) それ は 知ら ん
教えて くれ なかった んで な
は は ~ ん 分かった わ
分かって くれた か
と いう こと は 古泉 君 は 超 能力 者 な の ね ?
そう 言う つもりな んでしょ ?
そう ! まさしく そう 言う つもりだった !
うん うん
うん うん
( ハルヒ ) フッ ( キョン ) フッ
ふざけ ん な !
( キョン ) この アホ 女 は
どうして 変な 部分 で 常識 的な んだ ?
すんなり 信じて おけば 今 より 物事 が
簡単に なって いる だろう に
( 店員 ) あ … ありがとう ございました
( キョン ) もっとも
ハルヒ が 全て の 現象 を 自覚 して しまえば
この 世界 全体 が どう なる か
知れた もの で は ない のだ が
やれやれ …