25. 幸福 - 島崎 藤村
こうふく|しまさき|ふじむら
happiness|Shimazaki|Fujimura
25. happiness - Shimazaki Toson
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25. 행복 - 시마자키 후지무라
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25. счастье - Симадзаки Тосон
25. 幸福——岛崎藤村
25. 幸福-島崎藤村
幸福 - 島崎 藤村
こうふく|しまさき|ふじむら
|Shimada|Tōmura
Happiness-Toson Shimazaki
「 幸福 」 が いろいろな 家 へ 訪ねて 行きました 。
こうふく|||いえ||たずねて|いき ました
|||||visited|
"Happiness" visited various houses.
誰 でも 幸福 の 欲しく ない 人 は ありません から 、 どこ の 家 を 訪ね まして も 、 みんな 大喜びで 迎えて くれる に ちがい ありません 。
だれ||こうふく||ほしく||じん||あり ませ ん||||いえ||たずね||||おおよろこびで|むかえて||||あり ませ ん
||||||||||||||to visit||||happily|welcoming|will welcome||doubt|
No one wants happiness, so no matter where you visit, everyone must be overjoyed.
けれども 、 それでは 人 の 心 が よく 分りません 。
||じん||こころ|||ぶん りません
|||||||understand
However, that doesn't really understand the human mind.
そこ で 「 幸福 」 は 貧しい 貧しい 乞食 の ような 服装 を しました 。
||こうふく||まずしい|まずしい|こじき|||ふくそう||し ました
||||poor||beggar|||clothing||
There, "happiness" dressed like a poor, poor beggar.
誰 か 聞いたら 、 自分 は 「 幸福 」 だ と 言わ ず に 「 貧乏 」 だ と 言う つもりでした 。
だれ||きいたら|じぶん||こうふく|||いわ|||びんぼう|||いう|
|||||||||||poor||||intended to
When I asked someone, I intended to say that I was "poor" rather than "happiness."
そんな 貧しい 服装 を して いて も 、 それ でも 自分 を よく 迎えて くれる 人 が ありましたら 、 その 人 の ところ へ 幸福 を 分けて 置いて 来る つもりでした 。
|まずしい|ふくそう|||||||じぶん|||むかえて||じん||あり ましたら||じん||||こうふく||わけて|おいて|くる|
||clothing||||||||||welcoming|welcomes|||if there was||||||||share|||intended
Even if I was dressed poorly, if there was a person who would welcome me well, I would have shared happiness with that person.
この 「 幸福 」 が いろいろな 家 へ 訪ねて 行きます と 、 犬 の 飼って ある 家 が ありました 。
|こうふく|||いえ||たずねて|いき ます||いぬ||かって||いえ||あり ました
||||||visited|||||raising||||
When this "happiness" visited various houses, there was a house with a dog.
その 家 の 前 へ 行って 「 幸福 」 が 立ちました 。
|いえ||ぜん||おこなって|こうふく||たち ました
||||||||appeared
I went to the front of the house and stood "happiness".
そこ の 家 の 人 は 「 幸福 」 が 来た と は 知りません から 、 貧しい 貧しい 乞食 の ような もの が 家 の 前 に いる の を 見て 、
||いえ||じん||こうふく||きた|||しり ませ ん||まずしい|まずしい|こじき|||||いえ||ぜん|||||みて
|||||||||||||||beggar||||||||||||
The people there don't know that "happiness" has come, so seeing something like a poor poor beggar in front of the house,
「 お前 さん は 誰 です か 。」
おまえ|||だれ||
"Who are you?"
と 尋ねました 。
|たずね ました
|asked
I asked.
「 わたし は 「 貧乏 」 で ございます 。」
||びんぼう||
「 ああ 、「 貧乏 」 か 。
|びんぼう|
||quotation particle
「 貧乏 」 は 吾家 じゃ お 断り だ 。」
びんぼう||われいえ|||ことわり|
||my house|||decline|
"Poverty" is not accepted by my family. "
と そこ の 家 の 人 は 戸 を ぴしゃんと しめて しまいました 。
|||いえ||じん||と||ぴ しゃんと||しまい ました
|||||||door||with a sharp sound|closed|
Then the people in the house slammed the door shut.
おまけに 、 そこ の 家 に 飼って ある 犬 が おそろしい 声 で 追い立てる ように 鳴きました 。
|||いえ||かって||いぬ|||こえ||おいたてる||なき ました
on top of that|||||kept||||terrifying|||chase||cried
What's more, the dog in that house screamed in a terrifying voice to drive him away.
「 幸福 」 は 早速 ごめん を 蒙り まして 、 今度 は 鶏 の 飼って ある 家 の 前 へ 行って 立ちました 。
こうふく||さっそく|||かぶり||こんど||にわとり||かって||いえ||ぜん||おこなって|たち ました
||right away|||received||||chicken||raising|||||||
そこ の 家 の 人 も 「 幸福 」 が 来た と は 知ら なかった と 見えて 、 いやな もの でも 家 の 前 に 立った ように 顔 を しかめて 、
||いえ||じん||こうふく||きた|||しら|||みえて||||いえ||ぜん||たった||かお||
|||||||||||||||unpleasant|||||||||||frowning
Even the people in the house seemed to have no idea that ``happiness'' had come, and they frowned as if they were standing in front of their house, even if they didn't like it.
「 お前 さん は 誰 です か 。」
おまえ|||だれ||
と 尋ねました 。
|たずね ました
|asked
「 わたし は 「 貧乏 」 で ございます 。」
||びんぼう||
||poor||
「 ああ 、「 貧乏 」 か 、「 貧乏 」 は 吾家 じゃ 沢山だ 。」
|びんぼう||びんぼう||われいえ||たくさんだ
|||||my home||a lot
"Oh," poor "or" poor "is a lot in my family. "
と そこ の 家 の 人 は 深い 溜息 を つきました 。
|||いえ||じん||ふかい|ためいき||つき ました
|||||||deep|sigh||sighed
and the people of the house let out a deep sigh.
それ から 飼って ある 鶏 に 気 を つけました 。
||かって||にわとり||き||つけ ました
||raising||chicken||||attached
Then I took care of my chicken.
貧しい 貧しい 乞食 の ような もの が 来て 鶏 を 盗んで 行き は し ない か と 思った のでしょう 。
まずしい|まずしい|こじき|||||きて|にわとり||ぬすんで|いき||||||おもった|
||beggar||||||chicken||stole||||||||probably
You might have wondered if something like a poor poor beggar would come and steal the chicken.
「 コッ 、 コッ 、 コッ 、 コッ 。」
a sound||tap|
と そこ の [#「 と そこ の 」 は 底 本 で は 「 と そこ の 」] 家 の 鶏 は 用心深い 声 を 出して 鳴きました 。
|||||||そこ|ほん||||||いえ||にわとり||ようじんぶかい|こえ||だして|なき ました
||||||||||||||||chicken||cautious||||cried
And there [# "and there" is "and there" at the bottom] The chicken at home screamed with a cautious voice.
「 幸福 」 は また そこ の 家 でも ごめん を 蒙り まして 、 今度 は 兎 の 飼って ある 家 の 前 へ 行って 立ちました 。
こうふく|||||いえ||||かぶり||こんど||うさぎ||かって||いえ||ぜん||おこなって|たち ました
|||||||||||||rabbit||raising|||||||
Happiness also apologized at the house there, and this time went to the house where the rabbit was kept and stood.
「 お前 さん は 誰 です か 。」
おまえ|||だれ||
「 わたし は 「 貧乏 」 で ございます 。」
||びんぼう||
「 ああ 、「 貧乏 」 か 。」
|びんぼう|
|poor|
と 言いました が 、 そこ の 家 の 人 が 出て 見る と 、 貧しい 貧しい 乞食 の ような もの が 表 に 立って いました 。
|いい ました||||いえ||じん||でて|みる||まずしい|まずしい|こじき|||||ひょう||たって|い ました
||||||||||||||beggar|||||street|||
But when the people in the house came out and saw, something like a poor poor beggar stood on the table.
そこ の 家 の 人 も 「 幸福 」 が 来た と は 知ら ない ようでした が 、 なさけ と いう もの が ある と 見えて 、 台所 の 方 から おむすび を 一 つ 握って 来て 、
||いえ||じん||こうふく||きた|||しら|||||||||||みえて|だいどころ||かた||||ひと||にぎって|きて
|||||||||||||seemed||kindness||||||||||||rice ball||||clutch|
「 さあ 、 これ を お あがり 。」
|||honorific prefix|please eat
"Come on, take this."
と 言って くれました 。
|いって|くれ ました
He said.
そこ の 家 の 人 は 、 黄色い 沢庵 の お こうこ まで その おむすび に 添えて くれました 。
||いえ||じん||きいろい|たくあん||||||||そえて|くれ ました
|||||||pickled radish||honorable|pickles|||rice ball||served|
The person at that house even accompanied the yellow rice ball to the yellow rice ball.
「 グウ 、 グウ 、 グウ 、 グウ 。」
ぐう|ぐう|ぐう|ぐう
rumble|snoring||
"Guu, Guu, Guu, Guu."
と 兎 は 高い いびき を かいて 、 さも 楽し そうに 昼寝 を して いました 。
|うさぎ||たかい|||||たのし|そう に|ひるね|||い ました
|rabbit|||snoring||snoring|as if||it seemed|nap|||
The rabbit was snoring high and was taking a nap happily.
「 幸福 」 に は そこ の 家 の 人 の 心 が よく 分りました 。
こうふく|||||いえ||じん||こころ|||ぶん りました
||||||||||||understood
"Happiness" really understood the hearts of the people in that house.
おむすび 一 つ 、 沢庵 一切 に も 、 人 の 心 の 奥 は 知れる もの です 。
|ひと||たくあん|いっさい|||じん||こころ||おく||しれる||
rice ball|||pickled radish|completely||||||'s|heart||known||
Even a single rice ball or a whole bowl of takuan can reveal the depths of a person's heart.
それ を うれしく 思い まして 、 その 兎 の 飼って ある 家 へ 幸福 を 分けて 置いて 来ました 。
|||おもい|||うさぎ||かって||いえ||こうふく||わけて|おいて|き ました
||happily||and||rabbit||raised||||||||
I was happy about that, so I shared my happiness and left it at the house where the rabbit was kept.