すもう取りと、貧乏神 すもう とり と|びんぼう しん Sumo-taking and the god of poverty El sumo y el dios de la pobreza.

すもう 取り と 、 貧乏 神 |とり||びんぼう|かみ

むかし むかし 、 つるぎ 山 と いう 、 すもう 取り がい ました 。 ||つる ぎ|やま||||とり|| はじめ は ガリガリ の 小さな 体 でした が 、 いっしょうけんめい けいこ を して 、 ズンズン 大きく なり ました 。 ||||ちいさな|からだ||||||||おおきく|| 「 はやく 大関 ( おおぜき → むかし は 大関 が 一 番 強い 位 でした ) に なって 、 お 母さん に 喜んで もらう んだ 」 　 つるぎ 山 は 大関 に なる ため に 、 毎日 きびしい けいこ を 続け ました 。 |おおぜき||||おおぜき||ひと|ばん|つよい|くらい|||||かあさん||よろこんで|||つる ぎ|やま||おおぜき|||||まいにち||||つづけ| ところが ある 日 から 、 つるぎ 山 は 急に 弱く なって しまい ました 。 ||ひ||つる ぎ|やま||きゅうに|よわく||| 自分 より も 体 の 小さい 者 に も 、 コロコロ と 負かさ れて しまう のです 。 じぶん|||からだ||ちいさい|もの|||ころころ||まかさ||| 「 さっき の は 、 ちょっと ゆだん した から だ 。 もう ゆだん し ない ぞ 。 さあ こい ！ 」 　 でも やっぱり 、 いくら がんばって も コロコロ と 負けて しまい ます 。 |||||ころころ||まけて|| 「 もう だめだ 。 残念だ が 、 すもう を やめよう 」 　 そして 、 お 世話 に なった 親方 ( おやかた ) に 言い ました 。 ざんねんだ|||||||せわ|||おやかた|||いい| 「 わたし は 、 もう 限界 です 。 |||げんかい| 田舎 へ 帰って お 母さん の そば で 働く ので 、 ひま を くださ い 」 　 しかし 親方 は 、 つるぎ 山 を はげまし ました 。 いなか||かえって||かあさん||||はたらく|||||||おやかた||つる ぎ|やま||| 「 調子 の 悪い 時 は 、 誰 に でも ある 。 ちょうし||わるい|じ||だれ||| もう 少し 、 ガマン する のだ 。 |すこし|がまん|| 負けて も けいこ を 続ければ 、 必ず 強く なる 」 　 けれど つるぎ 山 は 親方 の 家 を 逃げ 出して 、 お 母さん の いる 田舎 へ 帰った のです 。 まけて||||つづければ|かならず|つよく|||つる ぎ|やま||おやかた||いえ||にげ|だして||かあさん|||いなか||かえった| 「 お 母さん 、 すもう 取り に なり ました が 、 どうしても 大関 に なれ そう も あり ませ ん 。 |かあさん||とり||||||おおぜき||||||| これ から は 田舎 で 働く ので 、 お 母さん の そば へ おいて ください 」 　 手 を ついて あやまる つるぎ 山 に 、 お 母さん は きびしく 言い ました 。 |||いなか||はたらく|||かあさん||||||て||||つる ぎ|やま|||かあさん|||いい| 「 いけ ませ ん ！ そんな 意気地なし は 、 お 母さん の 子 で は あり ませ ん 。 |いくじなし|||かあさん||こ||||| もう 一 度 、 親方 さん の ところ へ 帰って 、 しっかり けいこ を して ごらん なさい 。 |ひと|たび|おやかた|||||かえって|||||| 大関 に なる まで は 、 二度と 帰って は いけ ませ ん ！ おおぜき|||||にどと|かえって|||| 」 「 でも 」 「 はやく 、 親方 さん の ところ に 帰り なさい ！ ||おやかた|||||かえり| 」 「・・・ はい 」 　 そこ まで 言わ れれば 、 仕方 が あり ませ ん 。 |||いわ||しかた|||| つるぎ 山 は 親方 の ところ へ 、 帰る こと に し ました 。 つる ぎ|やま||おやかた||||かえる|||| その 帰る 途中 に 、 けわしい 山 が あり ます 。 |かえる|とちゅう|||やま||| つるぎ 山 が 山 を 登って いる と 、 「 お ー い 、 お ー い 」 と 、 誰 か が 後ろ から 呼び ました 。 つる ぎ|やま||やま||のぼって||||-|||-|||だれ|||うしろ||よび| それ は 頭 の 毛 が ボウボウ と のびて いて 、 体 は やせて 骨 と 皮 ばかり の 老人 です 。 ||あたま||け||||||からだ|||こつ||かわ|||ろうじん| 「 わたし に 、 何 か 用 か ね ？ ||なん||よう|| 」 「 さ ようです 。 ヘヘヘ へ 。 わたし を おいてきぼり に し ないで ください よ 。 今朝 は うっかり して 遅れ ました が 、 わたし たち は 、 いつも 一緒でしょう 。 けさ||||おくれ|||||||いっしょでしょう さあ 、 行き ましょう 」 「・・・？ |いき| いつも 一緒だ って ？ |いっしょだ| お前 は 一体 、 誰 だ ？ おまえ||いったい|だれ| 」 「 わたし です か 。 ヘヘヘ へ 。 わたし は 、 貧乏 神 ( びんぼう が み ) です 。 ||びんぼう|かみ|||| いつも あなた に 、 ついて いる のです よ 」 　 つるぎ 山 は ビックリ して 、 貧乏 神 の 顔 を にらみ つけ ました 。 |||||||つる ぎ|やま||びっくり||びんぼう|かみ||かお|||| 「 わかった ぞ ！ お前 が ついて いる から 、 わたし は すもう に 負ける のだ な 。 おまえ|||||||||まける|| そう だろう ！ 」 「 ヘヘヘ へ 。 その 通り です が 、 ちょっと 違い ます 。 |とおり||||ちがい| わたし が いる から 弱く なった ので は なく 、 あなた が 弱い から 、 わたし が やって 来た のです 」 「 わたし が 弱い だ と ！ ||||よわく|||||||よわい|||||きた||||よわい|| なに を 言う 、 わたし は す もう 取り の つるぎ 山 だ ぞ ！ ||いう|||||とり||つる ぎ|やま|| 」 「 ヘヘヘ へ 。 あなた の どこ が 強い のです か ？ ||||つよい|| ちょっと 負け が 続いた から と いって 、 親方 の ところ から 逃げ 出して 、 お 母さん に 泣きつく お 人 が 」 「 なっ 、 な んだ と ！ |まけ||つづいた||||おやかた||||にげ|だして||かあさん||なきつく||じん||な っ||| 」 　 つるぎ 山 は 大声 で 怒鳴り ました が 、 しかし 貧乏 神 の 言う 事 も 間違い で は あり ませ ん 。 つる ぎ|やま||おおごえ||どなり||||びんぼう|かみ||いう|こと||まちがい||||| ( 確かに 、 貧乏 神 の 言う 通り だ 。 たしかに|びんぼう|かみ||いう|とおり| わたし が 意気地なし だ から 、 貧乏 神 が やってきた のだ 。 ||いくじなし|||びんぼう|かみ||| よし 、 元気 を 出そう 。 |げんき||だそう 貧乏 神 なんか に 、 負けて たまる か ！ びんぼう|かみ|||まけて|| ) 　 つるぎ 山 は はだか に なって まわし を しめる と 、 貧乏 神 に 言い ました 。 つる ぎ|やま|||||||||びんぼう|かみ||いい| 「 貧乏 神 ！ びんぼう|かみ ひと つ 、 すもう を とろう じゃ ない か 」 「 ヘヘ へ へ 。 すもう です か ？ まあ 、 とっても いい です が 、 でも 、 わたし の 方 が 勝ち ます よ 」 「 そんな 事 は ない 。 ||||||||かた||かち||||こと|| 勝つ の は 、 この つるぎ 山 だ ！ かつ||||つる ぎ|やま| 」 「 いいえ 、 意気地なし の あなた で は 、 わたし に 勝て ませ ん よ 」 「 勝て ない か どう か 、 ためして みる が いい ！ |いくじなし|||||||かて||||かて|||||||| 」 　 つるぎ 山 は 、 ドシン 、 ドシン と 、 しこ を ふんで から 、 貧乏 神 に 組み 付き ました 。 つる ぎ|やま|||||||||びんぼう|かみ||くみ|つき| そして 全身 に 力 を 込めて 、 「 え いっ ！ |ぜんしん||ちから||こめて|| 」 と 、 貧乏 神 を 投げ飛ばした のです 。 |びんぼう|かみ||なげとばした| 「 お みごと ！ あなた は きっと 、 大関 に なれ ます よ 」 　 貧乏 神 は そう 言って 、 消えて しまい ました 。 |||おおぜき|||||びんぼう|かみ|||いって|きえて|| その とたん 、 つるぎ 山 の 体 に 力 が わいて き ました 。 ||つる ぎ|やま||からだ||ちから|||| 力 が あふれ出て 、 自分 でも 強く なった の が わかり ます 。 ちから||あふれでて|じぶん||つよく||||| つるぎ 山 は 元気 いっぱいで 、 親方 の 家 に 帰り ました 。 つる ぎ|やま||げんき||おやかた||いえ||かえり|

そして つるぎ 山 は けいこ を つんで 、 それ から 三 年 目 、 ついに 大関 に なる 事 が 出来た のです 。 |つる ぎ|やま|||||||みっ|とし|め||おおぜき|||こと||できた|

おしまい