朝 寝坊 山 の 引っ越し あさ|ねぼう|やま||ひっこし Morning Sleepover Mountain Moving Mudança para a Montanha do Sono Matinal Переезд на гору "Утренний сон 浅波山搬家

朝 寝坊 山 の 引っ越し あさ|ねぼう|やま||ひっこし

むかし むかし 、 ある 山 の 近く に 、 大きな 大きな 男 が 住んで い ました 。 |||やま||ちかく||おおきな|おおきな|おとこ||すんで|| 男 の 名前 は 、 だいだ ら ぼう です 。 おとこ||なまえ||||| だいだ ら ぼう が 立ち あがれば 、 青空 の 白い 雲 は お へそ の まん 中 あたり で 、 だいだ ら ぼう が 歩けば 地面 が 沈み 、 雨 が 降る と その 足跡 が 池 に なり ます 。 ||||たち||あおぞら||しろい|くも||||||なか|||||||あるけば|じめん||しずみ|あめ||ふる|||あしあと||いけ||| そんな 大きな だいだ ら ぼう は 、 いつも 山 に どっかり と 座り 、 ときどき 鹿島 灘 に 手 を 伸ばして は 、 ハマグリ を 取って 食べて くらして い ました 。 |おおきな||||||やま||||すわり||かじま|なだ||て||のばして||はまぐり||とって|たべて||| 「 オレ が 歩く と 土地 が でこぼこに なって 、 村 の みんな に 迷惑 が かかる もん な 」 　 ある 日 の 事 、 山 を 枕 に 昼寝 を しよう と 、 水戸 の 方 へ そっと 足 を 伸ばした だいたら ぼう は 、 「 ん ？ おれ||あるく||とち||||むら||||めいわく||||||ひ||こと|やま||まくら||ひるね||||みと||かた|||あし||のばした|||| なんだ あ ？ 」 　 伸ばした 足 もと で 、 人 が ザワザワ 動いて いる 様子 です 。 のばした|あし|||じん|||うごいて||ようす| だいだ ら ぼう は 用心 して 起きる と 、 忙し そうに 動き まわる 水戸 の 村人 たち に たずね ました 。 ||||ようじん||おきる||いそがし|そう に|うごき||みと||むらびと|||| 「 おい 。 何 を して る んだ あ ？ なん||||| 」 　 いきなり 天から 声 が 降って きた ので 、 村人 たち は びっくり し ました 。 |てんから|こえ||ふって|||むらびと||||| 「 なんだ 、 だいだ ら ぼうか 。 ああ 驚いた 」 「 実は ここ に 穴 を 掘って 、 水 を ため たい んだ 。 |おどろいた|じつは|||あな||ほって|すい|||| 田んぼ に 、 水 ひき たい から なあ 」 　 村人 たち は 土 を 掘ったり 運んだり して 、 働き 始め ました 。 たんぼ||すい|||||むらびと|||つち||ほったり|はこんだり||はたらき|はじめ| だいだ ら ぼう は 、 ふと 思い ました 。 |||||おもい| ( よし 、 おれ が 手伝って やろう 。 |||てつだって| だって 、 おれ が 子供 の ころ 、 村 の みんな は 食べ物 わけて くれた もの な 。 |||こども|||むら||||たべもの|||| うん 、 恩返し する なら 今 だ ) 　 その 夜 、 村 の みんな が 寝静まった の を 見届ける と 、 だいだ ら ぼう は 大きな 手 で 地面 を 掘り 始め ました 。 |おんがえし|||いま|||よ|むら||||ねしずまった|||みとどける||||||おおきな|て||じめん||ほり|はじめ| 「 うん こら しょ 」 　 いくら だいだ ら ぼう でも 、 深くて 広い くぼ地 を 作る の は 大変です 。 ||||||||ふかくて|ひろい|くぼち||つくる|||たいへんです 掘って 掘って 一生懸命 掘って いる うち に 、 だいだ ら ぼう の 指 の 先 が やぶれて 血 が 流れて 来 ました 。 ほって|ほって|いっしょうけんめい|ほって||||||||ゆび||さき|||ち||ながれて|らい| ( 痛い けど 、 がんばら ない と ) 　 そうして 掘り 続けて 夜 が 明ける ころ 、 なんと まわり が 八 キロ も ある 大きな くぼ地 を 作った のです 。 いたい||||||ほり|つづけて|よ||あける|||||やっ|きろ|||おおきな|くぼち||つくった| だいだ ら ぼう は 、 泥 だらけ の 手 で おでこ の 汗 を ふき ました 。 ||||どろ|||て||||あせ||| 顔 が 、 泥 と 血 で 汚れ ました 。 かお||どろ||ち||けがれ| だいだ ら ぼう は 腰 を さすり ながら 山 へ もどる と 、 大 あくび を して やっと 眠り ました 。 ||||こし||||やま||||だい|||||ねむり| 何も 知ら ず 集まって 来た 村 の 人 たち は 、 大きな くぼ地 を 見て びっくり 。 なにも|しら||あつまって|きた|むら||じん|||おおきな|くぼち||みて| 「 だれ だろう ？ ひと 晩 で こんな 大きな 沼 を 作った の は 」 「 だいだ ら ぼう が 、 やって くれた んだ 。 |ばん|||おおきな|ぬま||つくった||||||||| ありがたい こった 、 ありがたい こった 」 　 若者 も 年寄り も 、 手 を 取り 合って 喜び ました 。 ||||わかもの||としより||て||とり|あって|よろこび| それ から まもなく 、 だいだ ら ぼう は 大 足 村 ( おお だ ら むら ) へ 遊び に 行き ました 。 |||||||だい|あし|むら||||||あそび||いき| 大 足 村 は 、 だいだ ら ぼう の 故郷 です 。 だい|あし|むら||||||こきょう| だいだ ら ぼう が 姿 を 見せる と 、 みんな が 集まって 来 ました 。 ||||すがた||みせる||||あつまって|らい| 「 よく 来た なあ 、 元気だった か 」 「 だいだ ら ぼう 、 久しぶりだ なあ 」 　 だいだ ら ぼう は 、 みんな が 喜んで くれた ので うれしくて たまり ませ ん 。 |きた||げんきだった|||||ひさしぶりだ||||||||よろこんで|||||| 「 いや あ 、 おれ も この 通り 大きく なった から 、 恩返し に 来た んだ よ 。 |||||とおり|おおきく|||おんがえし||きた|| 何 か おれ に 出来る こと は ない か ？ なん||||できる|||| 」 　 すると 村長 が 、 目 に 涙 を ためて 言い ました 。 |そんちょう||め||なみだ|||いい| 「 お前 は 本当に いい やつ じゃ 。 おまえ||ほんとうに||| 子供 の ころ の お前 が 、 あんまり よく 食う もん だ から 、 村 に は 食べ物 が なくなって 、 追い出した と いう のに 」 「 いや あ 、 追い出さ れた んじゃ ねえ 。 こども||||おまえ||||くう||||むら|||たべもの|||おいだした||||||おいださ||| 勝手に 出て 行った んだ 。 かってに|でて|おこなった| 今 でも 、 みんな よく 食べ物 を くれた と 感謝 して んだ 。 いま||||たべもの||||かんしゃ|| なあ 、 それ より 何 か おれ に 出来る こと ない か 」 　 村長 は うなずいて 、 東 の 方 を 指さし ました 。 |||なん||||できる||||そんちょう|||ひがし||かた||ゆびさし| 「 なら 、 たのま れて もらう けど な 。 村 の 東 に ある 哺時 臥山 ( くれ ふし やま ) の せい で 、 日の出 が おそく なって 困っ とる んじゃ 。 むら||ひがし|||ほとき|がやま|||||||ひので||||こま っ|| 日の出 が おそい もん で 、 みんな 朝 ねぼう して しまう んじゃ よ 。 ひので||||||あさ||||| だから 、 朝 寝 坊山 ( あさ ねぼう やま ) って 呼んで いる んじゃ 」 　 村 の 人 たち も 言い ました 。 |あさ|ね|ぼうやま|||||よんで|||むら||じん|||いい| 「 そうだ 。 そう だ 朝 ねぼう する から 仕事 が おくれて な 、 その おかげ で 村 は 、 いつまで たって も 貧乏な まま だ 」 「 だいだ ら ぼう よ 、 あの 朝 寝坊 山 を 、 どこ か 遠く へ 運んで くれ ねえ か 」 　 だいだ ら ぼう は 、 力強く うなずき ました 。 あさ||||しごと|||||||むら|||||びんぼうな||||||||あさ|ねぼう|やま||||とおく||はこんで||||||||ちからづよく|| 「 よし 、 まかせて くれ 」 　 だいだ ら ぼう は 、 さっそく 朝 寝坊 山 の ふもと を 掘り 始め ました 。 ||||||||あさ|ねぼう|やま||||ほり|はじめ| 穴 が 掘 れる と 、 そこ に 指 を つっこんで 「 うーん 」 と 、 朝 寝坊 山 を 地面 から ひきちぎろう と し ました が 、 なんといっても 相手 は 山 です 。 あな||ほ|||||ゆび|||||あさ|ねぼう|やま||じめん||||||||あいて||やま| 持ち あげよう と する と 、 だいだ ら ぼう の 足 が 地面 に めり込んで いき ました 。 もち|||||||||あし||じめん||めりこんで|| そして その たび に 、 ゴゴゴゴゴーッ と 、 地震 が おき ます 。 ||||||じしん||| だいだ ら ぼう の 汗 は 、 大雨 の ように 村 の 人 たち の 上 に 降り ました 。 ||||あせ||おおあめ|||むら||じん|||うえ||ふり| 「 もう 、 ひといき だ ！ 」 　 歯 を くいしばり 、 力 を ふりしぼって 、 だいだ ら ぼう は 朝 寝坊 山 を 持ち あげ ました 。 は|||ちから|||||||あさ|ねぼう|やま||もち|| バリバリバリー ！ ついに 朝 寝坊 山 は 、 地面 から 離れ ました 。 |あさ|ねぼう|やま||じめん||はなれ| だいだ ら ぼう は 朝 寝坊 山 を 持ち あげて 、 腰 の あたり で かかえ ました 。 ||||あさ|ねぼう|やま||もち||こし||||| 「 けど 、 どこ へ 引っ越す か なあ 。 |||ひっこす|| 朝 寝坊 山 が 移って きて 困る 人 が いたら 、 いやだ し なあ 」 　 だいだ ら ぼう は 朝 寝坊 山 を かかえた まま 、 あちこち 見まわ し ました 。 あさ|ねぼう|やま||うつって||こまる|じん||||||||||あさ|ねぼう|やま|||||みまわ|| 「 うん ？ ・・・ ああ 、 あそこ が いい 」 　 だいだ ら ぼう は 、 のっしのっし と 北西 の 方 へ 歩き 出し ました 。 ||||||||||ほくせい||かた||あるき|だし| そこ は 、 誰一人 住んで い ない 土地 です 。 ||だれひとり|すんで|||とち| だいだ ら ぼう は 大 足 村 から 八 キロ も 、 朝 寝坊 山 を かかえて 行き ました 。 ||||だい|あし|むら||やっ|きろ||あさ|ねぼう|やま|||いき| そして 、 　 ドスーン ！ 空 に ひび が 入る か と 思う ような 大きな 音 を たてて 、 朝 寝坊 山 の 引っ越し が 終わり ました 。 から||||はいる|||おもう||おおきな|おと|||あさ|ねぼう|やま||ひっこし||おわり|

おしまい