盾 の 勇者 の 成り 上がり 2 Chapter 09 (2)
これ が ラフタリア の 本心 と か だったら 落ち込む どころ じゃ 済まない 。
「 ご しゅじん さま は フィーロ を 必要 と して くれる よ ね ! 」 「 まあ な 」 「 うん ! 信じる ! 」 「 ナオフミ 様 は あのような 事 を おっしゃいません 。 まっすぐ 行きましょう 」 やがて 蝙蝠 みたいな 魔物 、 ボイスゲンガー と いう 、 この 声 の 正体 だった 奴 と 戦った 。 魔法 屋 が 魔法 で 援護 して くれた から かなり 楽勝 だった 。 フィーロ に 至って は 壁 走り を 見せて 蹴 けり で 一撃 と いう 素晴らしい 戦闘 力 を 見せて くれた 。 一応 ボイスゲンガー を 盾 に 吸わ せる 。
ボイスゲンガー ( 蝙蝠 型 ) シールド の 条件 が 解放 さ れました 。 ボイスゲンガー ( 蝙蝠 型 ) シールド
能力 未 開放 …… 音波 耐性 ( 小 )
専用 効果 メガホン 専用 効果 の メガホン …… まん ま 拡声器 だった 。
盾 自体 の 効果 は 低い なぁ 。 まあ そんなに 強い 魔物 じゃ なかった し 、 しょうがない 。
しかし …… 蝙蝠 型 ?
イヤな 予感 に 耳 を 澄ます と 、 横穴 の 奥 から また も 声 が 聞こえて くる 。
…… 行く しか ない んだろう な 。
横穴 が 大分 暗く なって きて いる ので 松明 を 片手 に 進む 。 だが 、 突然 何も 見え なく なった 。
『 ナオフミ 様 ! 覚悟 ! 』 と いう 声 と 共に 痛み が 走る 。 「 ラフタリア !?」
「 ナオフミ 様 ! 大丈夫です か ! 」 『 死んで ください ! 』 「 や 、 や ー ! 」 「 落ちついて 、 これ も 魔物 の 攻撃 よ ! 魔法 で この 辺り を 暗く して いる の ! 」 く …… だが 、 これ は 非常に 厄介な 攻撃 だ ぞ 。 本当に ラフタリア に 切られて いる ような 錯覚 を 覚える 。 正直 かなり 痛い 。
俺 の 防御 力 を 超えた 攻撃 ? ラフタリア なら あり うる 。 だが 、 引っかき 傷 の ような 感覚 だ な 。
「 ご しゅじん さま は ごはん ー ! 」 フィーロ の 声 まで 聞こえる 。 おいおい 、 引っかき 傷 と 思った 途端 に フィーロ の 声って 、 怪し さ 抜群だろう が 。 どうにか する 手段 は ない か ?
「 魔法 屋 、 なんとか でき ない か ? 」 「 今 魔法 を 唱えて いる ところ よ 、 少し 待って 」 …… これ が 本当の 言葉 な の か すら わから ない な 。 下手に 信用 して も 実は 違いました じゃ 危ない 。 厄介な 洞窟 だ 。
…… そうだ 。 さっき 手 に 入れた 盾 が ある じゃ ない か 。
俺 は ボイスゲンガー ( 蝙蝠 型 ) シールド に 変化 さ せ 、 専用 効果 である メガホン を 使う 。
「 わ ! 」 俺 の 声 が 反響 して 辺り に 響き渡り 、 バタバタ と 変な 音 が する 。 「 ビックリ しました 」 「 フィーロ も ー 」
『 力 の 根源 たる 我 が 命ずる 。 理 を 今一 度 読み 解き 、 我等 の 視覚 を 戻せ 』
「 ファスト ・ アンチバインド ! 」 バシッ と 暗い と 思って いた 視界 が 明るく なる 。 元 に 戻った 目 で 見る と 、 足元 に ネズミ みたいな もの の 群れ が 転がって いた 。
そして ラフタリア 達 を 見る と 傷 だらけ だ 。
目 が 見え ない 状態 で 攻撃 を 受け 続けて いた んだ 。 ボロボロ に なる の も しょうがない か 。
もしかしたら こいつ 等 に は 不意打ち で 攻撃 力 が 上がる と か そんな 力 が あった の かも しれ ない 。
俺 は 手 荷物 から ヒール 丸薬 を 出して ラフタリア 達 に 手渡した 。
「 魔法 屋 、 回復 魔法 は 使え ない の か ? 」 「 残念 ながら 私 は 適性 が ない の よ 」 「 そう か 」
これ は 厄介だ ぞ 、 受けた ダメージ は 思いのほか 大きい 。
ああ 、 ちなみに 先ほど 倒した ボイスゲンガー ( ネズミ 型 ) を 盾 に 吸わ せた ところ 、 専用 効果 が 同じで 、 能力 解放 効果 が 目 つぶし 耐性 ( 小 ) だった 。
警戒 の ため に アラートシールド を 発動 さ せる 。 これ で 半径 二〇 メートル 圏 内 に 魔物 が 近づく と 盾 が 教えて くる 。 ダンジョン と か だ と 範囲 が 狭まる の は 今回 わかった けど さ 。
そんなこんな で ボロボロ に なり ながら 辿り着いた の は 、 淡く 光る 鉱石 の 鉱脈 だった 。
「 ギュキィイイイイイ ! 」 変な 鳴き声 の …… 横穴 の 入り口 に あった 足跡 の 主 が そこ を 牛耳って いた 。 魔物 名 は ヌエ 。 なるほど 、 キメラ と の 符合 率 が 高い わけだ 。
ヌエ と は 和風 モノ の ファンタジー で キメラ と 同じ ポジション に いる 魔物 、 妖怪 に 位置 する 化け物 。
サル の 頭 に タヌキ の 胴 、 虎 の 手足 に シッポ は 蛇 。
そう いえば ラフタリア と ライトメタル を 発掘 し に いった 時 も 、 波 で 遭遇 した の に よく 似た 魔物 と 遭った のだった か 。 偶然 の 一致 な んだろう けど 怖い な 。
他の 勇者 共 三 人 と それぞれ の 仲間 が 連携 して 倒した 魔物 に 近い 力 の 敵 を 今 の 俺 達 が 倒 せる の か ?
「 東方 の 地 に 生息 する 魔物 が どうして こんな 所 に ? 」 魔法 屋 が ヌエ を 見て そう 呟いた 。 生息 図 から 外れた 魔物 と いう こと か 。
ここ は 撤退 を する の も 手 だ な 。 ラフタリア 達 に 視線 で 合図 を 送る ── はずだった のだ が 。
「 いきます ! 」 「 うん ! 」 「 コラ ! 勝手に 行く んじゃ ない ! 」 ここ で また ラフタリア の 突進 が 始まって しまった 。 最近 は 特に 目立つ 問題 だ 。
怪我 を できる 限り させ たく ない のに 、 この 子 は ……。
「 私 は 後方 援護 する わ ね 」
魔法 屋 は 杖 を 前 に 向けて 魔法 を 唱え 始める 。
俺 は ラフタリア と フィーロ の 後 を 追いかけた 。
「 て ぇい ! 」 「 うりゃ ああ ! 」 「 ギュギイイ ! 」 ラフタリア が 剣 を 振り回して ヌエ の 腹 を 突き刺し 、 フィーロ が 顔面 に 蹴り を 入れる 。 だが 、 決定 打 に なる に は 厳しく 、 若干 の 出血 程度 で ヌエ は 虎 の ような 四 肢 で ラフタリア と フィーロ に 爪 を 向ける 。
さ せる か ! 俺 が ラフタリア と フィーロ を 突き飛ばして 前 に 出て 庇う 。
「 少し は 考えろ ! 」 気付か れる 前 なら 撤退 する こと も できた と 言う のに 、 こいつ 等 は ……。 「 す 、 すいません 。 ですが やる しか ないで す よ 」
「 ごはん ……」
「 俺 達 は まだ 弱い んだ ! 勝てる 相手 と 勝て ない 相手 の 区別 を つけ なきゃ 死ぬ だ ろ ! 」 ぐ …… ヌエ の 爪 が 俺 の 肩 に 食い込んで 血 が 出て くる 。 すごく 痛い 。 なんで こんな 事 を やら なきゃ なら ない の か ウンザリ して くる 。
ん !? ヌエ の 全身 が 淡く 光り 出した ! 「 今 すぐ 下がれ ! 」 「 は 、 はい ! 」 「 ご しゅじん さま は ? 」 「 下 が れる か ! 」 バチバチ と ヌエ の 全身 から 雷 が 巻き起こる 。 しかも 俺 に 組み 付いて いる んだ 。
間違い なく 必殺 攻撃 だろう 。
耐え きれる か ? 正直 自信 が ない 。 だが 、 ヌエ は 俺 を 放す つもり は ない ようだ 。
「 ダメ ! 」 フィーロ が ぐ いっと ヌエ の 顔面 を 蹴り 飛ばし 、 俺 を 引き寄せる 。 なんて 力 技 。
「 ギュギイイイイ ! 」 バチバチ と ヌエ を 中心 に 大きな 稲光 が 巻き起こる 。 受け止め なくて よかった …… と 見て いい だろう な 。 ヌエ の 方 も この 攻撃 を 撃ったら 動け ない ようだ し 。
『 力 の 根源 たる 我 が 命ずる 。 理 を 今一 度 読み 解き 、 彼 の 者 を 焼き払え 』
「 ツヴァイト ・ ファイアブラスト ! 」 その 隙 に 、 魔法 屋 が 炎 の 魔法 を 放って 攻撃 する 。 「 ギュギイイイィイイ ! 」 やった か !? そう 思った のだ が 、 ヌエ は こちら の 攻撃 が 終わる と 、 再び 動き 始める 。
「 く ……」
逃げる に も かなり 足 が 速 そうだ 。 フィーロ に 乗れば どうにか でき そうだ けど ……。
「 ご しゅじん さま 」
「 なんだ ? 」 「 さっき の 大声 を 出す のって フィーロ に も できる ? 」 「 ああ 」 ボイスゲンガーシールド の 専用 効果 メガホン に は 、 そのまま 盾 の 後ろ に 拡声器 みたいな 音声 を 拾う 部分 が ある 。 そこ に 声 を 出せば 増幅 した 声 が 発せられる はずだ 。 「 じゃあ 、 ご しゅじん さま ー 。 あの 魔物 の 動き を さっき みたいに 止めて 、 フィーロ に 声 を 出さ せて 」
「 それ に 何の 意味 が ある んだ ? 」 「 あの 魔物 、 音 に 凄く 敏感だ よ ? 」 魔物 だ から わかる 分析 能力 ? ここ は 信用 して みる の も 手 か 。 モンスター を ハンティング する ゲーム でも 音 を 出す と 隙 を 見せる 敵 が いたし 、 決定 打 を 注ぎ込む の に も 良い だろう 。
「 魔法 屋 は 継続 して 魔法 援護 を 、 ラフタリア は 警戒 し ながら 魔法 屋 を 守って いて くれ 」
「 ですが ナオフミ 様 ! 」 「 二 人 も 守って いられる ほど 余裕 は ない んだ 。 お 願い だ から 聞いて くれ 」
「…… わかりました 」 俺 は 突進 して くる ヌエ に 向けて 体 を 広げ 攻撃 を 受け止める 。
ぐ …… サル の 頭 の くせ に 噛む 力 が 強い じゃ ねえ か 。 痛いって の ! 「 ギュギィイイ ! 」 盾 の 付いた 左腕 を ヌエ の 頭 に 近づけ 、 右手 で 爪 を 受ける 。 イヤに なって くる 。 全身 傷 だらけ 。 日本 で こんな 化け物 と 戦ったら 俺 は 今頃 ミンチ だ な 。 伝説 の 盾 に 感謝 だ 。 防御 力 が 下がる から やり たく ない が ボイスゲンガーシールド に 変える 。
「 ホラ ! 」 俺 が やれ と 指示 する と フィーロ が 思いっきり 息 を 吸う 。 「 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ ! 」 や べ ! 鼓膜 が 破れる !
それ くらい でっかい 声 で フィーロ は メガホン に 向けて 声 を 出した 。 遠く の 方 で ガラガラ と 崩落 する ような 音 が 聞こえた 。
「 ギュギ !?」
ブシュッ と ヌエ の 耳 から 血 が 噴き出し 、 昏倒 する 。
よし 、 隙 だらけ だ !
「 ラフタリア 、 フィーロ ! 魔法 屋 も 一緒に 攻撃 しろ 」
「 はい ! 」 「 は ー い ! 」 ラフタリア が ヌエ の 胸 に 剣 を 突きさし 、 フィーロ は …… なんか 思いっきり 力 を 込めて うずくまって いて 、 ビキビキ と フィーロ の 足 辺り から 不吉な 音 が 響く 。 『 力 の 根源 たる 我 が 命ずる 。 理 を 今一 度 読み 解き 、 彼 の 者 を 焼き払え 』
「 ツヴァイト ・ ファイアブラスト ! 」 魔法 屋 が ヌエ に 火 の 魔法 を ぶつけ 、 その後 だった だろう か 。 「 た ああ ああ ! 」 ドバーン と 、 本当に そんな 音 が 響く ような 蹴り を フィーロ が ヌエ に かました 。 威力 は 相当な もの で 、 フィーロ に 蹴ら れた ヌエ は 、 頭 を コナゴナ に 消し飛ば さ れ ながら 体 を 壁 に ぶつけた 。
う …… かなり スプラッター な 光景 だ 。
「 勝った ー ! 」 勝利 を 喜んで 両腕 を 上げる フィーロ だ が 、 俺 は あんまり 嬉しく なかった 。 消耗 が 激しくて 痛 え よ 。 ラフタリア と フィーロ が 無 茶 を し なきゃ ここ まで は …… なんて 愚痴って も ダメだ な 。 「 とりあえず 勝った わ ね 。 見た ところ 子供 の ヌエ みたいだ し 、 どこ か の 物好き の 貴族 が 飼い 切れ ず 逃がした の が 野生 化 した の かしら 」
厄介な 貴族 が いる ようだ な 。 まったく 。
と いう か これ で 子供 か よ 。 そう 言えば 見た目 の 怖 さ の 割に 小さい もん な 。
「 ごっは ん ー 」 フィーロ が ヌエ を 食べよう と 口 を 開く 。 丸ごと 行く 気 か !?
「 やめろ ! 」 「 えー ……」 せっかく の 盾 の 材料 が 丸ごと 食われて 無くなる だ ろ ! ヌエ を 解体 して 盾 に 吸わ せる と 程々に 優秀な 盾 が 解放 さ れた 。
ただ 、 ステータス 的に は キメラ の 方 が 優秀だった な 。
「 さて 、 少し 休憩 したら 鉱石 を 採掘 しよう 」
なんか 淡く 光る 綺麗な 鉱脈 が ある し 、 あそこ に ツルハシ を 入れたら 採れ そうだ 。
「 そう ね 。 持てる 限り 持っていく と 良い と 思う わ 」
そんな わけ で 休憩 した 後 、 俺 達 は 鉱石 を 採って 帰った のだった 。
ああ 、 ちなみに その 鉱石 も 盾 に は 吸わ せて いる 。
まだ 解放 ツリー を 満たして い なかった 。 どこ か で 繋がる ツリー が ある だろう 。
城下町 に 着いた ところ で 魔法 屋 の 勧 め を 受け 、 薬屋 を 経由 して 治療 院 へ 行った 。
幸いに して 薬屋 は 治療 院 と の コネ も ある らしく 、 格安で 回復 魔法 を 施して もらう に 至る 。
俺 も 回復 魔法 が 使える らしい ので 早く 覚えたい 。 そんな 日 だった 。
翌日 、 俺 達 と 魔法 屋 が 採掘 した 鉱石 を 宝石 に 加工 して 糸 巻き 機 に 設置 した 。 フィーロ が 昨日 と 同じく 、 うんざり した 様子 で それ を 回す 。
「 う ー ……」
「 我慢 しろ 。 それ が 終われば 約束 を 守って やる から 」
正直 昨日 は 疲れた 。 今日 くらい 休みたい 。 「 ごはん ? おいしい もの ? 」 「 ああ 」 俺 は 約束 は 守る 男 だ 。 フィーロ に は 後 で 美味しい もの を 食べ させる と 約束 して いた こと だ し な 。
「 じゃあ がんばる ! 」 ギュルギュル と フィーロ が 糸 巻き 機 を 回す 。 「 わ ぁ 、 がんばる わ ね 」
「 武器 屋 の 親父 、 お前 と も 約束 が あった な 。 この後 は 暇 か ? 」 「 昼 過ぎ まで は 閉店 だ と 店 に は 書き置き を 残して おいた から な 。