盾 の 勇者 の 成り 上がり 2 Chapter 09 (3)
何 か 奢って くれる の か ? 」 「 そんな ところ だ 。 それ で 、 大きな 鉄板 と か を 用意 でき ない か ? 」 「 ん ? そんな もの を 何 に 使う んだ ? 」 「 料理 に 使う んだ よ 」 「 アン ちゃん の 手 料理 か ? ちょっと 期待 して いる の と は 違う んだ が 」
「 なんだ よ 」
ガッカリ した 表情 の 親父 に ちょっと ムッと する 。
「 じゃあ ラフタリア 、 市場 で 炭 と 、 適当に 野菜 、 肉 を 買って きて くれ 、 フィーロ の 食欲 を 考えて 五 人 分 くらい な 」
「 わかりました 」 銀貨 を 渡し 、 ラフタリア に 買い物 に 行か せる 。
「 ゴッハン ~ ゴッハン ~」
フィーロ の テンション も 上がり 、 糸 巻き 機 が グルグル と 回って いく 。
それ から しばらく して 魔法 屋 が 回す の を やめ させる 。
「 そろそろ 良い かしら ね 。 回す の を やめて 良い わ よ 」
「 もっと 回したら ごはん 増える かな ? 」 「 増え ない 。 もう 回す な 」
「 は ~ い 」
フィーロ は 魔物 の 姿 で 俺 の 元 へ 戻って くる 。
「 ご しゅじん さま ~ ごはん 」
「 まだ だ 。 服 が 出来て ないだ ろ 」
「 えー ……」
フィーロ は 非常に 残念 そうな 声 を 出す 。 そもそも ラフタリア が まだ 戻って いない のだ から 、 ご飯 も クソ も ない 。 と いう か …… この 無邪気 さ 、 本当に 子供 みたいだ な 。
「 店 を 出る とき に は 人 の 姿 に 戻る んだ ぞ 」
「 は ー い 」
本当に わかって いる の か ?
不安だ 。 これ が 子供 を 持った 親 の 気持ちって 奴 ? まさか 。
「 後 は これ を 布 に して から 服 に すれば 完成 ね 」
魔法 屋 は 出来上がった 糸 を 俺 達 に 見せる 。
「 布 の 方 は 機織り を して くれる 人 に 頼めば なんとか なる だ ろ 」
「 そい つ に は あて が ある 。 付いて き な 」
「 じゃあ 、 買い物 に 出かけた お 嬢ちゃん が 戻って きたら なんて 言えば 良い かしら ? 」 「 城下町 を 出る 所 に ある 門 で 待って いて くれ と 伝えて 欲しい 」 「 わかった わ 」
武器 屋 の 親父 の 先導 で 、 俺 達 は 魔法 屋 を 後 に する 。
「 料金 は 後 で 武器 屋 から 頂く わ よ ~」
「…… 幾ら くらい に なり そうな んだ ? 」 非常に 気 に なる ので 尋ねて みる 。 「 魔力 の 糸 化 の 事 ? 水晶 が ちょっと 値 が 張る の よ 。 勇者 様 に は 手伝って もらった し 、 素材 も 提供 して もらった から 今回 は タダ で 良い わ 」
「 助かる 」
これ で 銀貨 五〇 枚 と か だったら 割に 合わ ない と 思った だろう し 。
で 、 武器 屋 と 一緒に 機 はた織り を して くれる 人 の 所 に 行き 、 糸 を 布 に して くれる と いう 話 に なった 。
「 珍しい 素材 だ から 、 こっち も 色々 と やら なきゃ ダメっぽい なぁ …… たぶん 、 今日 の 夕方 に は 出来上がる から 、 今 の うち に 洋裁 屋 に 行って サイズ を 測る と 良い よ 。 後 で 届け とく 」
と の 事 な ので 、 俺 達 は そのまま 洋裁 屋 に 行く 。
服 一 着 が 出来る のに こんなに も 時間 が 掛かる と は …… かなり 大変だ 。
「 わ ぁ …… 凄く かわいい 子 です ね 」
洋裁 屋 に は 頭 に スカーフ を 巻いた メガネ の 女の子 の 店員 が いた 。
ちょっと 地味な 印象 を 受ける 。 なんて いう のだろう 。 俺 の 世界 だったら 同人 誌 と か 書いて そうな イメージ の 大人 しい 系 、 美 少女って 感じ 。 「 羽 が 生えて いて 天使 みたい 。 亜人 に も 似た の が いる けど …… それ より も 整って いる わ ね 」
「 そう な の か ? 」 親父 に 聞く と 肩 を 上げられた 。 「 羽 の 生えた 亜人 さん は 、 足 と か 手 と か 、 他の 所 に も 鳥 の ような 特徴 が ある の よ 。 だけど この 子 は 羽 以外 に それ らしい の は 無くて 凄い わ 」
「 ん ~? 」 フィーロ は 首 を 傾けて 洋裁 屋 の 女の子 を 見上げる 。 「 ああ 、 コイツ は 魔物 な んだ 。 人 に 化けて いる 。 本当の 姿 だ と 普通の 服 じゃ 破ける んだ 」
「 へ ぇ …… じゃあ 依頼 は 魔力 化 する 布 の 洋裁 ね 。 面白い わ ぁ 」
なんか メガネ が 輝いて る 。 やっぱり この 子 、 俺 の いた 世界 じゃ オタク に 該当 する タイプ だ 。
似た ような 知り合い が 同人 誌 即売 会 で は 販売 する 側 に いる ので 懐かしい 。
もちろん 俺 は その 子 から サークル 参加 の 入場 券 を もらって 度々 入って いた ので 、 親しみ やすい タイプ で も ある 。
「 素材 が 良い から シンプルに ワンピース と か が 良い かも 。 後 は 魔力 化 して も 影響 を 受け そうに ない アクセント が あれば 完璧 ! 」 マント を 羽織った フィーロ を メジャー で 採寸 して いく 。 「 魔物 化 した 時 の 姿 が 見た いわ ! 」 「 へ ? 」 フィーロ が 困り 顔 で 俺 の 方 を 見て くる 。 うん 、 俺 も なんか 空気 に 飲ま れ そう 。
「 ここ じゃ ギリギリ だ な 」
天井 の 高 さ が 二 メートル 弱 しか ない 洋裁 屋 じゃ 、 フィーロ が 元 の 姿 に 戻った 時 に 天井 に 頭 が ぶつかる 。
「 座って 戻る ? 」 「 それ で 良い だ ろ 」 フィーロ は 天井 を 気 に し ながら 魔物 の 姿 に 戻り 、 洋裁 屋 の 女の子 を 見つめる 。
「 ギャップ が 良い アクセント ね ! 」 フィーロ の 本当の 姿 に も 動じ ない と は …… この 洋裁 屋 、 できる ! 「 と なる と リボン を 付けて アクセント に する わ 」
フィーロ の 首 回り を 測り 、 洋裁 屋 は 服 の 設計 を 始めた 。
「 じゃあ 素材 が 届く の を 待って いる から ! 」 「 コイツ は 良い 職人 な んだ ぜ 」 「 だろう な 」
ああいう タイプ は 一 度 火 が 点 つく と 凝る タイプ だ 。 仕事 は 必ず やり遂げる だろう 。
「 ま 、 明日 に は 完成 して いる だろう な 」
「 早い な 。 それ より も 結局 金額 は 幾ら に なる んだ ? 合計 だ 」
「 アン ちゃん に は どれ も 原価 で 提供 した と して …… 銀貨 四〇 枚って ところ だろう なぁ ……」 「 フィーロ 、 わかって いる な 。 お前 に は 銀貨 三四〇 枚 も の 大金 を 掛けた んだ 。 相応に 働いて 返して もらう ぞ 」
「 は ー い ! 」 本当に わかって いる の か ? 人 型 に 戻った フィーロ と 一緒に 洋裁 屋 から 出た 。
とにかく やる べき こと は 大体 終わった ので 、 城下町 の 門 で 待って いる ラフタリア と 合流 しよう 。
「 ナオフミ 様 、 言わ れた 通り の 食 材 を 買って きました よ 」 「 フィーロ に は 銀貨 三四〇 枚 掛かった 。 ラフタリア は もっと 安かった 」
「 私 が 安い 女 みたいな 言い 方 し ないで ください よ 」
は ぁ …… これ で やっていく しか ない か 。
「 じゃあ 親父 、 鉄板 を 持ってきて くれ 。 フィーロ 、 お前 は 一緒に 行って 荷車 を 武器 屋 の 前 に 付けて 運んで くるんだ 」
「 うん ! 」 「 お うよ 」 フィーロ は トテトテ と 武器 屋 の 親父 と 一緒に 行き 、 しばらく する と 荷車 を 引いて 帰って 来た 。
…… なんで 人 の 姿 で 引いて くる か な 。
荷車 に は 俺 の 想像 の 範囲 内 の 鉄板 が 入れて ある 。
「 よし 、 じゃあ 城 を 出て 、 草原 の 方 に ある 川原 に 行く ぞ 」
そうして 川原 に 到着 した 。
俺 は 早速 、 石 を 積んで 鉄板 を 置き 、 下 に 炭 を 敷いて から 火 を 点 つける 。
「 ラフタリア と 親父 は 火 を 見て おいて くれ 」
「 あ 、 ああ ……」
「 はい 」
曲がりなりにも 武器 屋 の 親父 だ 。 火 の 管理 は お手の物 の はずだ 。
「 フィーロ は ? 」 「 お前 は そう だ な …… バルーン が 近寄って こ ない か 見張って いろ 」 「 は ー い ! 」 変に 好奇心 を 働か されて フィーロ に 参加 さ れる と 失敗 し そうだ から 、 別の 仕事 を さ せて おく 。 俺 は ラフタリア が 調達 した 野菜 や 肉 を 適度な 大き さ に ナイフ で 切り 、 鉄 串 を 通す 。
「 アン ちゃん 、 炭 の 準備 が できた ぞ 」
「 ああ 」
親父 と ラフタリア が 指示 通り に 鉄板 を 熱く して くれた ので 、 鉄板 の 上 に 脂身 の 肉 を 先 に 乗せて 油 を 滲ま せる 。 それ から 野菜 や 肉 を ばら 撒き 、 隅 の 方 で 直 火 で 鉄 串 に 刺した 物 を 焼いて 転がす 。
「 アン ちゃん 器用だ な ー 」
作業 用 の ナイフ や 木 の 棒 を 使って 肉 や 野菜 を 焦げ ない ように ひっくり返す 。
「 まあ 、 こんな ところ だろう 」
そう 、 川原 で バーベキュー が 今日 の 昼 飯 兼 フィーロ へ の ご 褒美 だ 。
「 フィーロ 、 できた ぞ 」
「 は ー い 」
匂い で 既に 涎 を 垂らして いた フィーロ が やってきて 俺 の 渡した フォーク を 使って 肉 を 食べる 。
「 わ ぁ ! 凄く 美味しい ! 」 パクパク と フィーロ は 焼き上がった 肉 や 野菜 を 口 に 放り込んで いく 。 「 コラ 、 みんな の 分 も ある んだ から 全部 食う な よ 」
「 ふ ぁ ー い 」
頬張り ながら 頷く フィーロ 。 本当に わかって いる の か ?
「 そんな わけだ 。 ラフタリア と 親父 も 食え 」
「 はい 」
「 お うよ 」
俺 の 渡した 葉っぱ を 小 皿 代わり に 、 ラフタリア と 親父 も 俺 が 焼く 肉 と 野菜 を 食べ 始める 。
「 お 、 こりゃ あ 美味 い 。 ただ の 焼いた 肉 が こんなに 美味しい なんて 驚いた 」
「 何故 か ナオフミ 様 が 作る 料理 は 不思議 と 美味しい んです よ ね 」
「 世辞 と して 受け取って おく 」
「 お世辞 じゃ ねえ よ 。 これ 、 店 が 開ける 次元 じゃ ない か ? 」 親父 が 首 を 傾げ ながら 料理 を ついばむ 。 「 理由 と して 考えられる の は 習得 した 料理 スキル の 所 為 だろう な 」 「 盾 の 力 か ? 」 「 ま 、 そんな ところ だ 」 「 不思議な 盾 だ よ なぁ 。 本当に 羨ま しく なって 来た ぜ 」
「 外せ ねえ し 、 かなり 不便な んだ ぞ 」
攻撃 力無い し ……。
「 アン ちゃん も 大分 強く なって きた んじゃ ない か ? 」 「 どう だ か な 」 世界中 を 巡って 、 様々な 魔物 や 素材 を 武器 に 吸わ せ 、 成長 さ せて 強く なる 。
正直な ところ 、 どれ だけ の 種類 が ある の か 未 だに 見当 が つか ない 。
盾 を どこ まで 育てたら 良い の か すら わから ない 。
だが 、 怠けて いれば 厄災 の 波 が やってくる 。 それ も 何 回 来る かも わかって いない んだ 。 既に 二 回 。 最終 的に 五 回 な の か 、 十 回 な の か 、 百 回 な の か 、 わから ない 事 だらけ だ 。
どちら に して も 今 はやる べき 事 を やる しか ない 。
…… そう いえば 、 カースシリーズ と いう 盾 に ついて も 気 に なる ところ だ 。
ラフタリア が 奪わ れ そうに なった あの 時 、 盾 を 侵食 して 解放 さ れた はずの カースシリーズ と いう 盾 。 あれ から 俺 は 何度 も ツリー を 探して みた 。
しかし 、 どれ だけ 探して も 見つから ない 。
ヘルプ で 呼び出そう と する 。
カースシリーズ
触れる こと さえ 、 はばから れる 。
ただ この 一 文 で 終わって いる 。 しかも 何度 も 調べる と 、 視界 に 電撃 が 走り 文字 が 変わる のだ 。
カースシリーズ
手 を 染め し 者 に それ 相応の 力 と 呪い を 授ける 武具 。 勇者 よ 、 触れる こと なかれ 。
だ から 、 探して も 見つから ない この 武器 を 俺 は 後回し に する こと に した 。
いずれ 、 必要に なった とき に 出て くる の かも しれ ない 。 そんな 限ら れた 条件 の 盾 な のだろう 。
「 ご しゅじん さま ー お 肉 なくなった 」
「 なに ! 」 見る と 既に 肉 が ない 。 鉄 串 に 刺した 奴 も 既に みんな が 食べ 切って いた 。
残って いる の は 野菜 だけ だ 。
「 もう お 仕舞い ? フィーロ 食べ 足りない 」
「 は ぁ …… じゃあ 草原 を 抜けた 森 に いる ウサピル を 五 匹 くらい 獲って 来い 。 追加 で 焼いて やる 」
「 は ー い ! 」 フィーロ は 全速力 で 森 に まで 走って 行った 。 「 いや ぁ 、 美味 い 。 こりゃ あ 得 を した な 」
「 そう 思う なら 服 の 代金 を 割り引け 」
「 これ 以上 割り引いたら こっち が 大 損だ ぞ 、 アン ちゃん 」
まあ 、 こんな 感じ で 今日 は 夕方 近く まで 川原 で バーベキュー を して 一 日 を 終えた 。
ちなみに フィーロ は ウサピル を 一〇 匹 ほど 捕獲 して きた 。
俺 に 至って は 殆ど 食べる 暇 も なく 、 ウサピル の 解体 と 焼肉 作り で 終わった 。