ソードアート ・オンライン 12 ユイ の 心
これ は ... すごい な
そう ... だ ね
毎日 こう な んです よ
ユイ ちゃん の 具合 ... 大丈夫です か
昨晩 ゆっくり と 休ま せて もらった おかげ で
この とおり な んです が
いま まで に も こんな こと が
分から ない んです
この 子 二十二 層 の 森 の 中 で 迷子 に なって いて
記憶 を 無くして る みたいで
ま ぁ ...
それ で 始まり の 街 に
この 子 の こと を 知って る 人 が いる んじゃ ない か と 思って
何 か 心当たり は あり ませ ん か
残念です けど
始まり の 街 で 暮らして た 子 じゃ ない と 思い ます
ゲーム 開始 時 に 子供 たち の ほとんど が 心 に 傷 を 負い ました
私 そんな 子 たち を ほうって おけ なくて
この 教会 で 一緒に 暮らし 始めた んです
毎日 困って いる 子がい ない か 街 の 中 を 見て 回って い ます が
ユイ ちゃん みたいな 子 は 見た こと が あり ませ ん
そう です か ...
はじめ まして ユリ エール です
軍 ... の 方 です よ ね
昨日 の 件 で 抗議 に 来 たって こと です か
いやいや とんでもない その 逆です
よく やって くれた と お 礼 を 言い たい くらい
今日 は お 二 人 に お 願い が あって 来た のです
お 願い ?
もともと 私 たち は ... いえ ギルド の 管理 者 シンカー は
決して 今 の ような 独善 的な 組織 を 作ろう と して いた わけじゃ ない んです
ただ 情報 や 食糧 を なるべく 多く の プレイヤー で 均等に 分かち合おう と した だけ で
だが 軍 は 巨大に なり すぎた
はい
内部 分裂 が 続く 中 台頭 して きた の が キバオウ と いう 男 です
キバオウ 一派 は 権力 を 強め 効率 の いい 狩場 の 独占 を したり
調子 に 乗って 「 徴税 」 と 称した 恐喝 まがい の 行為 すら 始めた のです
でも ゲーム 攻略 を 蔑 ろ に する キバオウ を 批判 する 声 が 大きく なって
キバオウ は 配下 の 中 で もっとも ハイレベルの プレイヤー たち を 最 前線 に 送り出した んです
コーバッツ さん ...
最悪の 結果 に キバオウ は 強く 糾弾 さ れ
もう 少し で 彼 を ギルド から 追放 できる ところ まで 行った のです が
追い詰め られた キバオウ は シンカー を 罠 に かける と いう 強攻 策 に 出 ました
シンカー を ダンジョン 奥深く に 置き去り に した んです
転移 結晶 は ?
まさか 手ぶらで ?
彼 は いい 人 すぎた んです
キバオウ の 丸 腰 で 話し合おう と いう 言葉 を 信じて
三 日 前 の こと です
三 日 も 前 に ? それ で シンカー さん は ?
かなり ハイレベルな ダンジョン の 奥 な ので 身動き が 取れ ない ようで
全て は 副 官 である 私 の 責任 です
ですが とても 私 の レベル で は 突破 でき ませ ん し
キバオウ が にらみ を 利かせる 中 軍 の 助力 は 当て に でき ませ ん
そんな ところ に 恐ろしく 強い 二 人 組 が 街 に 現れた と いう 話 を 聞きつけ
こうして お 願い に 来た 次第 です
キリト さん アスナ さん
どうか 私 と 一緒に シンカー を 救出 に 行って ください ませ ん か
私 たち に できる こと なら 力 を 貸して 差し上げ たい ... と 思い ます
でも こちら で あなた の お 話 の 裏付け を し ない と
無理な お 願い だって こと は 私 に も 分かって い ます
でも 彼 が 今 どうして いる か と 思う と もう おかしく なり そうで
大丈夫だ よ ママ
その 人 嘘 ついて ない よ
ユ ... ユイ ちゃん そんな こと 分かる の ?
うん うまく 言え ない けど 分かる
疑って 後悔 する より は 信じて 後悔 しよう ぜ
行こう なんとか なる さ な
相変わらず のんきな 人 ね
微力 ながら お 手伝い させて いただき ます
ありがとう ございます
大事な 人 を 助け たい って 気持ち 私 に も よく 分かり ます から
ちょっと お 留守番 して て な
いや ユイ も 行く
ユイ ちゃん 私 と 一緒に お 留守番 し ましょう
いや
えっ
これ が 反抗 期 って やつ か
バカ 言わ ない の
ユイ ちゃん 今 から 行く ところ は 危ない から
ユイ も 行く
まさか 始まり の 街 の 地下 に こんな ダンジョン が ある なんて
ベータテスト の 時 に は こんな の なかった ぞ 不覚だ
上層 攻略 の 進み 具合 に よって 開放 さ れる タイプ な んでしょう ね
キバオウ は この ダンジョン を 独占 しよう と 計画 して い ました
専用 の 狩場 が あれば 儲かる から な
それ が 六十 層 クラス の 強力な モンスター が 出る ので
ほとんど 狩り は でき なかった ようです
ここ が 入口 です
ユイ 怖く ない よ
大丈夫です この 子 見た目 より ずっと しっかり して ます から
うん きっと 将来 は いい 剣士 に なれる
うん
では 行き ましょう
なんだか すみません 任せ っぱなし で
いいえ あれ は もう 病気 です から やらせ ときゃ いい んです よ
だいぶ 奥 に 来た けど そろそろ かしら
シンカー は この 位置 から 動いて い ませ ん
たぶん 安全 エリア に いる んだ と 思い ます
そこ まで 行けば 転移 結晶 が 使え ます から
戦った 戦った
すみません
いや 好きで やって る んだ し アイテム も 出る から
なに か いい もの 出て る の
な ... 何 それ
スカベンジトード の 肉
さっき の 蛙 ?
ゲテモノ ほど うまい って 言う から な
後 で 料理 して くれよ
絶対 いや
な ... な に する んだ よ
くっ そ それ なら これ で どう だ
いや ! いやいや いやいや ...
ほら アスナ 貴重な 肉 だ ぞ
ちょっと 嫌だ って
だから お いしん だって
笑った
お 姉ちゃん 初めて 笑った
さあ 行き ましょう
あっ 安全 エリア よ
奥 に プレイヤー が 一 人 いる
シンカー
あっ おい
ユリエール
シンカー
来ちゃ ダメだ その 通路 は ...
ダメ ユリエール さん 戻って
ユリエール さん この 子 と 一緒に 安全 エリア に 退避 して ください
はい
ママ ...
さあ
アスナ 今 すぐ ユイ たち を 連れて 転移 結晶 で 脱出 しろ
俺 の 識別 スキル でも データ が 見え ない
たぶん 九十 層 クラス だ
俺 が 時間 を 稼ぐ から 早く 逃げろ
キ ... キリト 君 も 一緒に
あと から 行く 早く
ママ ...
ユイ を 頼み ます 三 人 で 脱出 して ください
アスナ
いけない その ...
早く
キリト くん
ユイ ちゃん 駄目
危ない 戻って くる
バカ 早く 逃げろ
ユイ ちゃん
大丈夫だ よ パパ ママ
破壊 不能 オブジェクト
ユイ ちゃん
ユイ ちゃん
ユイ
パパ ママ 全部 思い出した よ
ユイ ちゃん 思い出した の 今 まで の こと
はい
キリト さん アスナ さん
ソードアート ・ オンライン と いう 名 の この 世界 は
一 つ の 巨大な システム に よって 支配 さ れて い ます
システム の 名前 は カーディナル
人間 の メンテナンス を 必要 と し ない 存在 と して 設計 さ れた この システム が
SAO の バランス を 自ら の 判断 に 基づいて 制御 して いる のです
モンスター や NPC の AI アイテム や 通貨 の 出現 バランス
何もかも が カーディナル 指揮 下 の プログラム 群 に 操作 さ れて い ます
プレーヤー の メンタル 的な ケア すら も
メンタルヘルスカウンセリングプログラム 試作 一 号
コードネーム ユイ
それ が 私 です
プログラム AI だって いう の
プレーヤー に 違和感 を 与え ない ように
私 に は 感情 模倣 機能 が 組み込ま れて い ます
偽者 な んです 全部
この 涙 も
ごめんなさい アスナ さん
ユイ ちゃん
でも 記憶 が なかった の
AI に そんな こと 起きる の
2 年 前 正式 サービス が 始まった 日
カーディナル は なぜ か 私 へ プレーヤー に 対する 一切 の 干渉 禁止 を 言い渡し ました
私 は やむなく プレーヤー の メンタル 状態 の モニタリング だけ を 続けた んです
状態 は 最悪 と いって も いい もの でした
ダメ
恐怖 絶望 怒り と いった 負 の 感情 に 支配 さ れた 人々
時として 狂気 に 陥る 人 すら い ました
本来 であれば すぐ に でも その プレーヤー の 元 へ 赴か なければ なら ない
でも 人 に 接触 する こと は 許さ れ ない
私 は 徐々に エラー を 蓄積 さ せ 崩壊 して き ました
でも ある 日
ほか の プレーヤー と は 大きく 異なる
メンタルパラメーター を 持った 二 人 の プレーヤー に 気づき ました
喜び 安らぎ
でも それ だけ じゃ ない
二 人 の そば に 少し でも 近づき たくて 私 は フィールド を 彷徨い ました
それ で 22 層 の 森 に
はい
桐 人 さん アスナ さん
私 ずっと お 二 人 に 会い たかった
おかしい です よ ね
そんな こと 思える はず ない のに
私 ただ の プログラム な のに
ユイ ちゃん あなた は 本物 の 知性 を 持って いる んだ ね
私 に は わかり ませ ん 私 が どう なって しまった の か
ユイ は もう システム に 操ら れる だけ の ポログラム じゃ ない
だから 自分 の 望み を 言葉 に できる はずだ よ
ユイ の 望み は 何 だい
私 は 私 は
ずっと 一緒に いたい です
パパ ママ
ずっと ずっと 一緒だ よ ユイ ちゃん
ああ ユイ は 俺 たち の 子供 だ
もう 遅い んです
遅い
これ は GM が システム に 緊急 アクセス する ため に 設置 さ れた コンソール です
これ は 使って モンスター を 消去 した んです が
同時に 今 私 の プログラム が チェック さ れて い ます
カーディナル の 命令 に 違反 した 私 は システム に とって の 異物 です
すぐに 消去 さ れて しまう でしょう
そんな
何とか なら ない の か よ
パパ ママ ありがとう
これ で お 別れ です
いや そんな の いや よ
これ から じゃ ない
これ から 皆 で 仲良く 楽しく 暮らそう って
ユイ 行く な
パパ と ママ の そば に いる と みんな が 笑顔 に なれる
お 願い です
これ から も 私 の 代わり に みんな を 助けて 喜び を 分けて ください
や だ や だ
ユイ ちゃん が い ない と 私 笑え ない よ
ママ 笑って
カーディナル いや 茅 場
そう いつも お前 の 思い通りに なる と 思う な よ
キリト くん 何 を
今 なら 今 なら まだ ここ の GM アカウント で システム に 割り 込める かも
キリト くん 大丈夫
これ は
ユイ が 起動 した 管理 者 権限 が 消える 前 に
ユイ の プログラム 本体 を 切り離して オブジェクト 化 した んだ
じゃあ これ は
ユイ の 心 だ よ
ね 桐 人 君
もし ゲーム が クリア さ れて この 世界 が なくなったら
ユイ ちゃん は どう なる の
ユイ の データ を 俺 の ナーブギア の ローカルメモリー に 保存 さ れる ように なって いる
向こう で ユイ と して 展開 さ せる の は ちょっと 大変だろう けど
きっと 何とか なる さ
そ っか
じゃあ 向こう で また ユイ ちゃん に 会える んだ ね
私 たち の 初めて の 子供 に
ああ きっと
おい アスナ
ママ 頑張って