イタズラ な Kiss 2〜 Love in TOKYO #7
( 入江 琴子 ( いりえ ことこ )) 私 達 の せい で …
全然 関係ない のに …
( 鴨狩 啓太 ( かもがり けいた )) 関係ない なんて …
関係ない なんて 言う な よ
あんな 奴 …
やめ ちまえ
( 池沢 金之助 ( いけざわ きんのすけ )) ヤキモチ や
( 入江 直樹 ( なおき )) ヤキモチ ? 俺 が ?
入江 君 は ―
もう 私 の こと 好き じゃなくなった ん でしょ ?―
ううん 違う …
最初 から 好き じゃなかった ん でしょ ?
落ち着け !
やあだっ ! なんで …
なんで …
なんで 私 なんか と 結婚 した の ?
私 ばっかり … 私 ばっかり すごく 好きで …
もう 嫌 !!
琴子 !
( 琴子 ) 自分 が 一番 怖くて 聞け なかった こと を ―
でも ずっと 心 の どこか で ―
いつも 思って いた こと を 言って しまった
( 泣き声 )
( 琴子 ) 自分 で ピリオド を 打って しまった …
( 琴子 ) 私 達 … もう おしまい な の ?
( 金之助 ) いや ~ 今日 も 忙しかった な
( 戸 の 開閉 音 )
すんません もう 閉店 な んです わ ―
琴子 …?―
どない して ん 琴子
( クリスティーヌ ) 琴子 ~
( 泣き声 )
( 泣き声 )
おいおい …
( 泣き声 )
( 泣き声 )
大丈夫 か ?
大丈夫 か ?
( クリスティーヌ ・ ロビンス ) 茶 デモ 飲ミ ナハレ
直樹 ト ケンカ ヤリマクッテ ン デ ン カ ?
入江 の 野郎 琴子 泣か せたら 承知 せん て ゆーた やろ が !
( 相原 重雄 ( あいはら しげお )) まったく しょーがねえ なあ
あと で 俺 と 帰る ぞ
帰ら ない !
直樹 君 が 心配 する だ ろ ?
入江 君 は … 私 が 何 した って どうした って どうでもいい の
何 が あった か 知ら ねえ が こんな 時間 に …
( 琴子 ) お 願い ! ここ に いる こと も 言わ ないで
もう …
帰れ ない の
( 泣き声 )
琴子 ! ワタシ ノ ウチ オイデー ナ
いい の ?
いい の ?
ウン ! モチノロン デス !
ウン ! モチノロン デス !
琴子 わし の アパート でも えー で いつまで おって も ええ から な
( クリスティーヌ ) 金之助 !
あ … もしもし ? 琴子 今 来た よ
ああ 大丈夫 だ 構わ ん よ ―
今夜 は クリス の 家 に 泊めて もらう そうだ
うん … 少し 時間 が 経てば 落ち着く だろう
うん 心配 させた ね
( 直樹 ) ありがとう ございます
( 重雄 ) じゃ
♪~
♪~
( 琴子 ) うう …
( 小倉 智子 ( おぐら ともこ )) 食べ ない の ? 琴子 さん
ちょっと … 今 は …
( 智子 ) 大丈夫 ?
( 桔梗 幹 ( ききょう もとき )) 入江 さん と ケンカ して 家出 て ヤケ酒 した んだ って
琴子 さん つらい わ ね ~
うっ …
や ~ ね ~ 女 の 二日酔い なんて みっともない
( 啓太 ) ほら !
( 琴子 ) 啓太
これ が 一番 即効性 ある から 飲め よ
( 琴子 ) ありがと
おい クリス …
見え へん !
ナニ シテ ン ネン ?
ナニ シテ ン ネン ?
しーっ !
あいつ や あいつ !
( 幹 ) ふーん 琴子 に は 優しい の ね
にっが !
お前 家出 たって 本当 か ?
え ?
会話 丸聞こえ だ ぞ
そう そう 啓太 から も 何か 言って やって よ
入江 と ケンカ した んだ ろ ?
俺 ん とこ 来る か ?
え …?
狭い アパート だ けど …
ちょっ ちょっと 待って 何 言って ん の 啓太 !
言った だ ろ ? 本気 だって
俺 は お前 の こと が 好き だ
あいつ ! 何 言う …
ドコ 行ク ネン ? 金之助 !
お前 の こと が 気 に なって 目 が 離せ ない んだ
だ … だって わた … 私 は 入江 君 の …
だから 離婚 しろ よ !
あいつ は 追いかけて きて くれた の か よ
俺 の 存在 を 知って て も ヤキモチ も 焼か ない
あいつ は お前 に 何 して くれた んだ ?―
そんな の 夫婦 じゃない !
夫婦 っていう の は お互い が 必要 で なきゃ ダメ な んだ よ
お前 に は 俺 が 必要 な んだ
( 直樹 ) 違う な
全然 違う んだ よ
入江 君 …
今さら 何 言って んだ
これ だけ 琴子 の こと 悩ませ やがって ―
お前 に は 琴子 を 幸せ に でき ない んだ
結婚 する 資格 なんて なかった んだ よ !
( 学生 ) どう なって る の ?
( 学生 ) 鴨狩 と 琴子 が … 不倫 !?
( 直樹 ) 確かに そう だった かもしれない な
そう だった かも じゃない んだ …
そう だった んだ よ !
嫉妬 して た
俺 は 鴨狩 に 嫉妬 して た んだ
は ?
俺 は 今 まで 嫉妬 する とか 人 を ねたむ とか
つらい とか 悲しむ とか そういう 人間 の 持った ―
ドロドロ した 見苦しい 感情 を 持った こと が なかった
けど …
琴子 が 俺 の 前 に 現れて から 変わった ―
俺 の 中 に 隠れて いた そういう 感情 に 振り回され だして
自分 でも どう すれば いい の か わから なく なって …
随分 戸惑って イライラ した よ
だから 何 だって いう んだ よ !
鴨狩 お前 は 十分 すぎる ぐらい ―
ドロドロ した 見苦しい 感情 を 持った 人間 だ ろ ?
何 だ と てめえ ケンカ 売って ん の か ?
俺 は 褒めた つもり だ けど …
ま … うらやましく も ない けど ね ―
だから お前 に 琴子 は 必要 ない
必要 な の は 俺 だ
え …
俺 が 本当 の 自分 に なれる の は ―
琴子 が そば に いる 時 だけ だ
本当 ? 入江 君 …
ああ
最近 まで こんな こと も わから なくて
金之助 に 教えて もらった よ
金 ちゃん が ?
( 直樹 ) 今 も わざわざ 俺 を 呼び に 飛んで きた よ
あいつ … よく こんな 思い 6 年間 も して きた な
ホント すごい 奴 だ よ
人間 の 出来 が 違う ん や
入江 君 …
ん ?
私 …
私 …
本当に 入江 君 の そば に いて も いい の ?
だから そう だって 言って る だろ ?
もう 絶っ対 …
死ぬ まで 離れ ない から ね !
覚悟 してる よ
( 拍手 )
( 学生 ) おめでとー !
( 学生 ) 熱い ね !
ここ … 食堂 だった !
俺 は そういう 感情 も 少ない みたいだ
もう ~
( 学生 ) いい な ー
何 すんだ 幹 !
どー す ん の よ !
夫婦 の 絆 深め ちゃった だけ じゃない の
今 だけ だ よ …
あんた は さ …
かわいそう な 人 を 救って あげ たい ―
そう 思った だけ よ
不幸 に 思えた 琴子 を … ねっ 熱血 啓太 君 !
そういう こと に し とく かな
あんた が 救わ なきゃ いけない 患者 さん は ―
これ から たくさん いる んだ から ―
一人 に 構って る 暇 なんか ない わ よ
まっ あたし は 入江 さん の こと 諦め ない けど ね
( 琴子 ) ただいま ~!
( 入江 紀子 ( のりこ )) 琴子 ちゃんっ おかえりなさい !―
あら … あら ~
まあ ー ! どういう こと ? 仲直り できた の ?
お 義母 ( か あ ) さん いろいろ と ご 心配 お かけ し ました
無事 仲直り し ました
ああ …
ホント よかった わ ~
( 泣き声 )
いつまで ベタベタ して んだ よ !
さっ
( 紀子 ) で 何 が あった の ?
入江 君 が みんな の 前 で 私 に …
愛 の 告白 を して くれた んです !
ええ~っ ! お 兄ちゃん たら やる 時 は やる じゃない の ~
も ~ この この この !
( 入江 裕樹 ( ゆうき )) お 兄ちゃん が !?
本当 の 自分 に なれる の は 琴子 が そば に いる 時 だけ だ
… って !
… って !
おいっ !
おいっ !
おいっ !
いや ~ っ 何 その セリフ !
いや ~ っ 何 その セリフ !
琴子 ちゃん 愛さ れて る の ね ~
ケンカ して 仲直り して これ から 真 の 夫婦 に なる の ね !
ありがとう 琴子 ちゃん
え ?
琴子 ちゃん に 出会って ―
お 兄ちゃん すごく 成長 した と 思う の
人 の 気持ち が わかる ように なった と いう か …
きっと 冷血な お 兄ちゃん の 氷 の ハート を
琴子 ちゃん の 愛で 溶かした の よ
私 の 愛 なんて … そんな …
これ から も お 兄ちゃん を 見捨て ないで やって ね
はい ! もちろん です
さあ 今夜 は 仲直り 記念日 の お 祝い を し なくっちゃ ~!
し ましょう ! 何 に し ます ?
ケーキ 作ろう かしら
( 琴子 ) あ ~! 一緒に 作り ましょう
( 教員 ) 入江 さん ―
注射 も ダメ バイタルサイン 測定 も ダメ ―
車 イス の 移乗 も ダメ …―
となると なかなか 厳しい です ね ―
来月 から 病院 へ 行って 実習 が 始まる んです よ
はい
( 教員 ) じゃあ 明日 再 テスト を 行い ましょう ―
それ に パス し なければ もう 一年 やり直し ―
いい です ね ?
そんなー !!
( 泣き声 )
ん ?
( 泣き声 )
琴子 !
何 して んだ こんな 朝 早く
あ … 啓太
私 今日 再 テスト で …
今 まで 習った もの の 抜き打ち って 言わ れて て
今朝 も 6 時 から 練習 して る んだ けど
ちっとも うまく いか なくて …
( 警告音 )
すげー 量 の 注射針 無駄 に し やがった な
私 何 やって も ダメ な んだ よ ね
注射 の 一本 も 打て なく って …
こんなん で 本当に 看護師 に なれる の か って 不安 で …
そしたら …
泣いて る 暇 なんか ねー だろ ?
え ?
いい よ 俺 の 腕 使え
こんな の 一回 でも コツ を 覚えたら こっち の もん だ
何回 失敗 して も いい から 思い切って やれ よ
いい の ?
おう
よし …
じゃあ やる よ
おいっ !
きんちゅう くん 巻け よ !
ごめん ね …―
えいっ
えいっ
( 警告音 )
( 警告音 )
ごめん ね 今度 こそ
( 琴子 ) えいっ
( 琴子 ) えいっ
( 警告音 )
( 警告音 )
( 警告音 )
しっかり 針 を 見ろ
しっかり 針 を 見ろ
はいっ ―
えいっ
( 警告音 )
( 警告音 )
琴子 肩 の 力 抜け !
なんか いつも 啓太 に そう 言わ れて る よ ね
お前 が 緊張 したら 患者 さん に も 伝わる だ ろ ?
リラックス な !
うん …
よしっ もう 一回 いけ !
はい
あー やった やったー ! できたー !
やった ぞ 琴子 !
やった できた よー ありがとう 啓太 !―
で ~ 甘え ついでに …
もう 一つ お 願い が ある んです けど …
( 啓太 ) え ?
琴子 力み すぎ だ
( 琴子 ) はい …
ゆっくり な
( 琴子 ) はいっ
おいっ 集中 しろ !
はい
慌てる な
ゆっくり な
ゆっくり な
( 琴子 ) はいっ
そう そうそう …
やった ー ! できた ー !
よかった な
啓太 の おかげ だ よ !
ああっ もう 絶対 この コツ 忘れ ない !
お前 さあ 何の ため に 看護師 に なり てー の ?
いろいろ ある だ ろ ? 子供 の 頃 から の 夢 だ と か
病気 の 人 を 助け たい と か
うん …
私 は ね …
入江 君 が お 医者 さん に なる から その お 手伝い が し たい の
それ だけ ?
ううん …
私 って ドジ だし いつも 失敗 ばっかり して
みんな に 迷惑 かけて る でしょ ?
そんな 私 でも 誰か の 役 に 立って
心細い 患者 さん の 支え に なり たい な って 最近 思う の
まあ 一番 は 入江 君 な んだ けど ね
ハハハ …
ったく かなわ ねー な お前 に は
入江 と 幸せ な んだ な
うん
テスト 頑張れ よ
ありがと … 啓太
( 啓太 ) よお !
朝っぱら から 何か用 か ?
今 まで あんた の 奥さん の 注射 の 練習台 に なって た んだ よ
今日 再 テスト って 言う から
ふーん それ は ご苦労 だった な
ったく お前 って 男 は …
俺 もう 追いかけ ない から 琴子 の こと
たとえ お前 が どんな ひどい 夫 でも 嫌 な 奴 でも …
琴子 が 幸せ なら ―
何も もう 言わ ない
あいつ の 俺 を 思う 強い 気持ち に ―
かなわない って 自覚 した んだ ろ ?
さっさと 気付けば よかった のに なあ
人 が 折れて やれば 調子 に 乗り やがって !―
この うぬぼれ やろ ー !
大事 に しろ よ
♪~
( 幹 ) 何 それ ?
ああ 再 テスト 合格 した って 言ったら
金 ちゃん が 張り切って くれて
よかった ! これ で みんな そろって 実習 だ ね
うん
ちょっと その 前 に …
いよいよ ね
何 が ?
やー ね 戴帽式 よ 決まって る じゃ ない
ああ 戴帽式 ね … って 何 だ っけ ?
あんた !
看護師 に なろう って 人間 が 戴帽式 知ら ない のお ?
だって 私 編入 組 だし …
んな もん 関係ない わ よ ! いい ? 戴帽式 って いう の は ね …
看護 学生 が 看護 師 に なる ため の 第一歩 目 の 儀式 …
看護 学生 に とって の 成人 式 の ような もの よ
ほお ~
師長 さん から 初めて ―
ナースキャップ を かぶせて もらえる の
( 品川 真里菜 ( しながわ まりな )) そう そう キャンドル 持って ね ロマンチック ~
( 幹 ) あたし は この 日 を どんなに 夢見て きた か …
自分 の ナースキャップ …
白衣 の 天使 に 近づく 最初 の 日 な の よ ね ~
あたし は この 日 の ため に ―
看護師 の 道 を 目指した と 言って も 過言 じゃない わ !
ふーん そんなに 素敵 な の ?
それ に 楽しみ は もう 1 つ ある の よ ね ー
何 ?
好き な 医学部 の 男 の 人 に
お 花 を もらう って いう の が ある の よ
( 琴子 ) お 花 ?
( 琴子 ) お 花 ?
そう
これ は 斗南 大 医学部 だけ の 伝統的 な 行事 な んだ けど ね
式 が 終わって 講堂 から 出て きた 時 に
好き な 医学生 が 待って て くれて
そこ で お 花 を もらう って いう の が ステータス な の !
なん たって 一生 に 一度 の 行事 だ し この 時期 みんな …
“ 当日 お 花 を もらう 権利 ” を 獲得 する ため に
必死 に なって る の よ
( 琴子 ) フフフ …
その 点 私 は 幸せ 者 !
( 直樹 ) 琴子 !
おめでとう―
ナースキャップ 似合って る な
惚れ直した よ
入江 君 …
( 琴子 ) 想像 した だけ でも ―
なんて なんて 素敵 な の ー !―
私 は 入江 君 に お 花 もらえる の ね
あ … ダメ だ わ あっち の 世界 に 行って る わ
あたし 誰 に 頼もっ かな ~
船津 さん に 頼めば ? 喜んで 来 そうだ けど
嫌 よ ! あんな 人
そう いえば 最近 船津 さん 見かけ ない けど …
( 船津 誠一 ( ふなつ せいいち )) 昨日 僕 の 行きつけ の 寄生虫 館 に 行ったら なんと 休館日 で …
噂 を すれば なんと やら …
( 船津 ) 入江 さん ?―
入江 さん 聞いて ます か ? 入江 さん
入江 さん !
船津 グチ が 長い
( 幹 ) 入江 さん !
入江 くーん !
( 船津 ) 入江 さん 体調 悪い です
( 琴子 ) 入江 君 ! あれ ? 船津 さん は ?
体調 悪く なった って
ウソ よ
どうした の ?
ねえ 入江 さん この間 の 試験 1 位 でした よ ね ?
ああ
最悪 の 出来 と 言って いた けど やっぱり 入江 さん は すごい …
さすが 私 の 旦那様
何 だ よ それ
やっぱり ね …
船津 さん
あんな 大口 叩いて た の に 結局 入江 さん に 負けた から ―
あたし の 所 に 来 られ なく なった の よ
ホント 意気地なし !
ちっちゃい 男 だ と 思わ ない !?
ねえ 入江 君 お 願い が ある んだ けど …
今度 戴帽式 が ある の 入江 君 も 知って る でしょ ?
医学科 の 人 が 看護 学科 の 女の子 に お 花 あげる って いう …
それ で 私 もう 嬉しく って … あ ~!
どの お 花 でも 嬉しい けど やっぱり 私 バラ が …
無理 だ な
え ?
その 日 に 教授 と 俺 で 名古屋 で 開か れる 医学 会 に 出る から 無理 だ
ええーっ !!
だって … だあって ~!
遅く なる から 泊まる だろう し …
まっ どっちみち ―
そんな こっぱずかしい こと 俺 は ごめん だ ね
くだらない
じゃあ な
ひどーい !
あ … あの ね 入江 さん 去年 も すっごい 人気 で …
先輩 達 何人 も 申し込んだ の よ
でも 全員 フラれて た し … だ から …
だから ?
( 教員 ) みなさん いよいよ 戴帽式 が 近づいて き ました
今日 は 戴帽式 で お 世話 を して いただける ―
斗南 大学 病院 看護師長 を お呼び し ました
細井 小百合 ( ほそい さゆり ) です どうぞ よろしく ね
ド 迫力 !
“ 太い のに 細井 ” って 有名 な 師長 よ
気 に 入ら ない 看護師 を ビシビシ いびる んだ って ~
うわっ 目え 付け られたら 大変 ね ~
( 細井 ) そう そう この クラス に 入江 さん って いる わ よ ね ?
はっ はい 私 が 入江 琴子 です
あら あなた が 入江 さん ?
あなた の ご主人 が ね うち の 病院 に 実習 に 来て る の よ
まー ! そりゃ 優秀 で ね 評判 な の
あなた も さぞや 優秀 な ん でしょう ね ?
あ … いや … そん …
はい とっても
( 細井 ) あら あら それ は 頼もしい わ ~!
では 本題 に 入り ます
来週 の 戴帽式 に
“ ナイチンゲール 誓詞 ” を 暗唱 して もらう 4 人 を 決め ましょう
( 幹 ) はいはい はい !
何か ?
あたし 桔梗 幹 と 言い ます 立候補 して も いい です か ?
あなた … 男 ね ?
ダメ よ !
え … えっ !? どうして 師長 !
我 が 校 で は 代々 “ ナイチンゲール 誓詞 ” は ―
女子 学生 が 暗唱 する こと に なって い ます
残念 ながら あなた の 役割 は ない わ ね !―
それ に 男子 学生 は ナースキャップ で は なく ―
ワッペン を 身 に つける こと に なって い ます
あたし の … 夢 …
今 まで この 日 の ため に …
( 泣き声 )
それでは 小倉 さん
( 智子 ) はい
森 ( もり ) さん
( 森 ) はい
品川 さん
( 真里菜 ) はい
それ に 入江 琴子 さん に やって もらい ましょう
えっ ?
期待 して い ます よ
ああ …
ちょっと モト ちゃん 飲みすぎ だって ~
だいたい なんで あんた 達 が
“ ナイチンゲール 誓詞 ” 読む の よ !
もう それ 何 度目 よ !
あたし だって 別に やり たい わけじゃない ない わ よ
そう よ
もと は と 言えば モト ちゃん が 私 の こと 優秀 だ と か 言う から
私 が 一番 長い 最後 の パート ―
暗唱 する ハメ に なった ん でしょう !?
あたし は ナースキャップ も かぶれ ない の よ !
あ … 電話 だ
うん
我が 任務 ( つとめ ) に あたり て
取り扱える 人々 の 私事 の 全て
我 が 知り 得 たる 一家 の 内事 の 全て
我 は 人 に 洩らさ ざる べし
すごーい モト ちゃん !
あんた 人一倍 物覚え が 悪い んだ から ―
しっかり 覚え なさい !
あたし の 分 も 頑張って もらわない と ね
それ に ―
入江 さん に 恥 かかせる ような 真似 しちゃ ダメ よ
わかって る けど … プレッシャー だ なあ
我 は 心 より 医師 を 助け
我が 手 に 託され たる 人々 の 幸 の ため に 身 を 捧げ ん
モト ちゃん !
何 ?
私 すごーい こと 思い付い ちゃった んだ けど …
何 よ ?
あの ね 戴帽式 で …
えーっ ?
( 琴子 ) そして 1 週間 後 ―
戴帽式 の 日 が やってきた のでした
( 教員 ) それ で は これ より ―
斗南 大学 医学部 看護 学科 戴帽式 を 行い ます
品川 真里奈
はい
( 細井 ) 頑張って ね
( 教員 ) 小倉 智子
はい
あれ ? 幹 の 奴 どこ 行った
( 教員 ) 鴨狩 啓太
はい
入江 琴子
はい
頑張って ね
( 琴子 ) 入江 君 …―
私 今 … 少し 入江 君 に 近づけた よ ―
見て ほしかった なあ 私 の ナースキャップ 姿
桔梗 幹
( 幹 ) はい
え ?
( 学生 達 ) えっ …
幹 !
な … な …―
な … なんて こと な の !
すぐに 着替えて き なさい ! 戴帽式 を 冒涜 する 気 です か ?
師長 ! 許して あげて ください !
モト ちゃん は この 日 の ため に 頑張って きた んです !
男 でも 女 でも ―
患者 さん を 思う 気持ち は 同じです お 願い し ます !
琴子 …
( 智子 ) 許して あげて ください 先生 !
私 達 から も お 願い し ます !
先生 ! 俺 は 遠慮 する けど ―
幹 に ナースキャップ を かぶら せて やって ください
( 学生 ) そうです よ !
( 学生 ) いい と 思い ます
ふう ~―
わかり ました
みなさん の 熱意 に 負けて ―
異例 です が 桔梗 君 に も ナースキャップ を
( 歓声 )
ホントです か ?
( 琴子 ) よかった ね モト ちゃん !
ありがとう 琴子 ! あなた の おかげ よ
みんな ありがとう ! 愛して る わ !
( 学生 達 ) おめでとう !
頑張って ね
♪~
ありがとう ございます 先生
( 琴子 ) 特例 と して モト ちゃん も 無事 ―
ナースキャップ を かぶる こと が でき ました
♪~
我 は ここ に 集い たる 人々 の 前 に 厳か に 神 に 誓わ ん
我が 生涯 を 清く 過ごし 我が 任務 を 忠実 に 尽くさん こと を
我 は 全て 毒 ある もの 害 ある もの を 断ち
悪しき 薬 を 用いる こと なく
また 知り つつ これ を すすめ ざる べし
我 は 我が 力 の 限り
我が 任務 の 標準 ( しるし ) を 高く せん こと を 努む べし
我が 任務 に あたり て 取り扱える 人々 の 私事 の 全て ―
我が 知り 得 たる 一家 の 内事 の 全て
我 は 人 に 洩らさ ざる べし
わ … 我 は …
( 琴子 ) 入江 君 …
心 より 医師 を 助け
( 琴子 ) 聞こえる ?
我が 手 に 託され たる ―
人々 の 幸 の ため に 身 を 捧げ ん
( 琴子 ) 一生懸命 入江 君 を 助ける から ね
( 琴子 ) どうせ 入江 君 今日 帰って こない んだ し ―
もう 少し ひたっ ちゃおう かな ―
看護師 って 勉強 も 人間 関係 も 体力 も ―
きっと すごく 大変 な ん だろう けど ―
なんか 今日 頑張れる 気 が した ―
くじけそう に なったら この 日 を 思い出して …
( 扉 が 開く 音 )
( 扉 が 開く 音 )
ん ?―
あっ はっ …―
だ … だっ 誰 ? もしかして オバケ !?
だ … だっ 誰 ? もしかして オバケ !?
( 足音 )
( 足音 )
( 直樹 ) バーカ
い … 入江 君 !?
ったく いつまで こんな 所 に いる んだ
( 琴子 ) どした の ? 名古屋 は ?
あれ ?
( 直樹 ) 新幹線 で 帰って きた んだ よ
帰って …
帰って きて くれた の ?
間に 合わ なかった けど な
花屋 も 閉まって た し
そんな の いい
いら ない
来て くれた だけ で …
言って みろ よ
お前 が 暗唱 した ところ
うん
我 は …
ここ よ … 心 より 医師 を 助け …
我が 手 に 託され たる ―
人々 の 幸 の ため に …
身 を 捧げ ん
もう 一度
( 琴子 ) 我 は 心 より 医師 を 助け
我が 手 に 託され たる …
人々 の …
人々 の 幸 の ため に …
身 を …
身 を 捧げ ん
♪~
( 琴子 ) ナイチンゲール 様 ―
これ から どんな つらい こと が 待ち受け よう と も ―
私 この 日 を 一生 忘れ ません
♪~
( 琴子 ) 来週 から 看護 実習 が 始まる んだ よ ね ―
緊張 する ~
( 琴子 ) きっと すご~く いい 感じ の おばあさん だ と 思う わ !
( 直樹 ) お前 と は 気 が 合う かも しれ ない な
( 吉田 ( よしだ ) トヨ ) 実習生 の 名前 な ぞ いちいち 覚えて られる かい
( 琴子 ) 午前中 だけ で ナースコール 8 回 !
( 看護師 ) 実習 生 いびり
( 琴子 ) 私 … 自信 なく しちゃった
( 直樹 ) やめる か 看護師
( トヨ ) 胸 が … 胸 が 痛い んだ よ
( 琴子 ) どうした の ? トヨ ばあちゃん