Katanagatari Episode 2 (2) Katanagatari Episode 2 (2)

まあ 　 確かに あそこ の 連中 は 個性 の 塊 みたいな 者 だ から |たしかに|||れんちゅう||こせい||かたまり||もの||

目指せ と いう の も めざせ||||

最終 的に あそこ まで たどり着け と いう の も 酷な 話 だ さいしゅう|てきに|||たどりつけ|||||こくな|はなし|

しかし 七 花 　 そう は 言って も 最低 限 の 努力 は して もらわ ねば なら ぬ |なな|か|||いって||さいてい|げん||どりょく||||||

そう いう わけで 　 差し 当たって そ なた の 口癖 を 考えよう と いう のだ |||さし|あたって||||くちぐせ||かんがえよう|||

考えて 決める ような こと な の か 　 それ かんがえて|きめる||||||

ああ 　 こいつ は 普通じゃ ない んだ なあ と 読者 へ の 印象 が 強く なる |||ふつうじゃ|||||どくしゃ|||いんしょう||つよく|

俺 は 別に 普通 と 思わ れて も いい んだ けど おれ||べつに|ふつう||おもわ|||||

わたし が そう はいかん

退屈で 途中 で 読む の を 止め られて しまったら どう する のだ たいくつで|とちゅう||よむ|||とどめ|||||

報告 書 って おもしろく 書か なくちゃ なら ない の か ほうこく|しょ|||かか|||||

おお そうだ 　 例の 天才 剣士 錆 白 兵 の 口癖 も まあまあ 格好良かった ぞ |そう だ|れいの|てんさい|けんし|さび|しろ|つわもの||くちぐせ|||かっこいかった|

私 を 裏切った 奴 の こと を 褒める の も 癪 に 障る が わたくし||うらぎった|やつ||||ほめる|||しゃく||さわる|

それ でも 認める べき ところ は 認め ねば なる まい ||みとめる||||みとめ|||

参考 まで に 聞こう か さんこう|||きこう|

「 拙者 に ときめいて もらう で ご ざる 」 せっしゃ||||||

そんな 口癖 を つけ られたら 悲惨だ |くちぐせ||||ひさんだ

あ そうだ 　 ほら 　 俺 が よく 口 に する 言葉 が あった ぜ |そう だ||おれ|||くち|||ことば|||

ほお

あの な 　「 面倒だ 」 って やつ ||めんどうだ||

「 チェリオ 」

愚か 者 　 そんな ダル そうな 言葉 は 個性 と して 確立 して どう する おろか|もの||だる|そう な|ことば||こせい|||かくりつ|||

そんな 動き の ない 登場 人物 を 書く 私 の 身 に も なって み ろう |うごき|||とうじょう|じんぶつ||かく|わたくし||み|||||

途中 で 書く の を やめ たく なって しまったら どう する のだ とちゅう||かく|||||||||

そう か

そもそも 刀 を 集め ながら |かたな||あつめ|

「 面倒だ 　 面倒だ 」 と 言って いる 姿 を 描写 したり したら めんどうだ|めんどうだ||いって||すがた||びょうしゃ||

まるで そな たが いやいや 働いて いる ようで は ない か ||||はたらいて|||||

のり のり で 働け って か |||はたらけ||

その とおり だ

とにかく

私 がそ なた を 無理やり 働か して いる か の ような 形 に なる こと だけ は わたくし||||むりやり|はたらか||||||かた|||||

避け たい さけ|

あんた こそ 自分 本位 だろう ||じぶん|ほんい|

と は 言って も なあ 　 そんな 簡単に 思いつか ねえ よ ||いって||||かんたんに|おもいつか||

安心 しろ あんしん|

そういう と 思って 私 が 予め 考えて おいて やった ||おもって|わたくし||あらかじめ|かんがえて||

まあ 　 そな たに も 好み が ある だろう から なあ ||||よしみ|||||

候補 の 中 から 採集 的に 選ぶ の は そな たの 権利 だ こうほ||なか||さいしゅう|てきに|えらぶ|||||けんり|

好きな もの を 選んで くれて かまわ ぬ すきな|||えらんで|||

押し付け が まし い 権利 だ な おしつけ||||けんり||

まあ 　 好きな の が あったら な |すきな||||

ふむ 　 案ずる な |あんずる|

格好いい 中 でも お 勧め の 口癖 を 用意 した かっこいい|なか|||すすめ||くちぐせ||ようい|

「 ほら 　 俺 って 誰 より も 神 から 愛さ れて る じゃ ん 」 |おれ||だれ|||かみ||あいさ||||

ほ 　 ほら

いや 　 確か あんた は 戦闘 能力 を 持た ない 代わり に |たしか|||せんとう|のうりょく||もた||かわり|

その分 頭 が いい って 設定 じゃ な っ かた っけ そのぶん|あたま||||せってい|||||

何 を 言う なん||いう

こんな 口癖 　 頭 が よく なければ 閃 かん ぞ |くちぐせ|あたま||||せん||

確かに 悪魔 的な 閃 き で は ある が たしかに|あくま|てきな|せん|||||

基本 的に 敵 に 対して 挑発 の 用途 で 使う 言葉 だ な きほん|てきに|てき||たいして|ちょうはつ||ようと||つかう|ことば||

格 の 違い を 示す と 言う か かく||ちがい||しめす||いう|

自ら の 絶対 的 自信 を 示す と 言う か おのずから||ぜったい|てき|じしん||しめす||いう|

こういう セリフ を 言う こと で |せりふ||いう||

そ なた の 全 能 性 が 現れる と 同時に |||ぜん|のう|せい||あらわれる||どうじに

勝利 を 収めた とき に 　 かなり の 楽勝 感 が 出る しょうり||おさめた|||||らくしょう|かん||でる

ただ の いやな 奴 に なって る 気 が する ぞ |||やつ||||き|||

ぶっちゃ け 　 そ なた が 多少 いやな 奴 の ほう が |||||たしょう||やつ|||

私 と して は 助かる のだ わたくし||||たすかる|

手 に 負えない ような やんちゃ で 生意気な 荒 くれ 者 を て||おえない||||なまいきな|あら||もの|

手綱 を とって うまく 操って こそ たづな||||あやつって|

私 の 評価 も 上がる だろう から な わたくし||ひょうか||あがる|||

その 意味 で は 　 そ なた は 少し 善良 すぎる |いみ||||||すこし|ぜんりょう|

勝手だ かってだ

「 どうやら あんた 島流し に さ れ たい ようだ な 」 ||しまながし||||||

なぜ 二十 年 も の 間 島流し に 目 に あって いた 自分 が |にじゅう|とし|||あいだ|しまながし||め||||じぶん|

外 の 誰 か に 向けて そんな 台詞 を 得意 げ に 言わ なければ なら ない のだろう がい||だれ|||むけて||せりふ||とくい|||いわ||||

ばか 者 　 だ から こそ 説得 力 が あって よい のだろう |もの||||せっとく|ちから||||

要ら ねえ よ 　 そんな 説得 力 いら||||せっとく|ちから

好み の うるさい 男 だ よしみ|||おとこ|

この 不毛な 会話 道中 ずっと 続く のだろう か |ふもうな|かいわ|どうちゅう||つづく||

後 は 　 あまり 捻り が ない のだ が あと|||ねじり||||

「 ただし 　 その頃 に は あんた は 八 つ 裂き に なって いる だろう けど な 」 と |そのころ|||||やっ||さき|||||||

これ ぐらい か

ああ もう 　 それ で いい 　 それ で 行こう |||||||いこう

あっ

それ が いい と 言った んだ ||||いった|

「 ただし 　 その頃 に は あんた は 八 つ 裂き に なって いる だろう けど な 」 |そのころ|||||やっ||さき||||||

うん 　 とても いい 感じ だ |||かんじ|

ああ 　 これ で いい の か

少し 意外だ な すこし|いがいだ|

これ は 考えた 中 で は それ ほど 強く 推す つもり の ない 一 品 だった のだ が ||かんがえた|なか|||||つよく|おす||||ひと|しな|||

まあ 　 そう は 言って も 自信 作 であった こと に は 違い が ない |||いって||じしん|さく|||||ちがい||

ああ 　 びっくり した ぜ

俺 に 似合い すぎる おれ||にあい|

そう か そう か

これ は そな た の 超 必殺 技 である ところ の |||||ちょう|ひっさつ|わざ|||

「 七 花 八 裂 」 から 着想 得た もの な のだ なな|か|やっ|さ||ちゃくそう|えた|||

そ 　 そう か

うむ 　 礼 を 言って いい ぞ |れい||いって||

感謝 感激 雨 あられ かんしゃ|かんげき|あめ|あら れ

うむ うむ 　 そう か そう か

そな たが 気 に 入った のならば 是非 は ない ||き||はいった||ぜひ||

しかし 　 そ なた の 好み が 煩い せい で ||||よしみ||わずらい||

思いのほか 長話 に なって しまった な おもいのほか|ながばなし||||

とはいえ 　 まだ 急が なければ なら ぬ ほど で は ない ||いそが|||||||

この 調子 なら 　 夕方 ごろ に は 目的 地 に 着く であろう |ちょうし||ゆうがた||||もくてき|ち||つく|

あ 　 ただし その頃 に は あんた は 八 つ 裂き に なって いる だろう けど な ||そのころ|||||やっ||さき||||||

「 チェリオ 」

そ なた 何も 考えて おら ん なあ ||なにも|かんがえて|||

ややこしい な

ああ 　 ちなみに 先 から 多用 して いる 「 チェリオ 」 だ が ||さき||たよう|||||

これ は 私 の 口癖 だ ||わたくし||くちぐせ|

そ 　 そう か

気 に も して い なかった き|||||

「 チェリオ 」 と は 九州 のな |||きゅうしゅう|

薩摩 藩 あたり で 流行 して いる 気合 を 入れる ため の 掛け声 だ さつま|はん|||りゅうこう|||きあい||いれる|||かけごえ|

これ は 方言 と 言う より 　 むしろ 文化 かな ||ほうげん||いう|||ぶんか|

別に 私 は 九州 と ゆかり が ある と いう わけで は ない のだ が べつに|わたくし||きゅうしゅう|||||||||||

「 チェリオ 」 なんて 気合 を 入れる 掛け声 の 割に ||きあい||いれる|かけごえ||わりに

なんだか 発音 が 可愛い であろう |はつおん||かわいい|

これ は 私 の 外見 感 の 相乗 効果 も あって ||わたくし||がいけん|かん||そうじょう|こうか||

かなり 期待 できる 思いつき だ と 自負 して おる |きたい||おもいつき|||じふ||

報告 書 を 提出 した 後 に は ほうこく|しょ||ていしゅつ||あと||

もちろん 　 ご存知 の とおり |ごぞんじ||

薩摩 藩 が 発祥 の 気合 を 入れる ため の 掛け声 は 「 チェスト 」 さつま|はん||はっしょう||きあい||いれる|||かけごえ||

とがめ の 言う 「 チェリオ 」 で は ||いう|||

「 別れ 」 を 意味 する 外来 語 と なって しまい ます わかれ||いみ||がいらい|ご||||

彼女 が その 間違い に 気付き かのじょ|||まちがい||きづき

恥ずかし さ の あまり 稀な 混乱 ぶり を 見せて しまう こと に なる の は はずかし||||まれな|こんらん|||みせて||||||

これ より 数 ヵ 月 後 の 物語 で ございます ||すう||つき|あと||ものがたり||

白 兵 　 その 刀 貰い 受ける しろ|つわもの||かたな|もらい|うける

御 主 も また 刀 の 魔力 に 取り付か れた 迷い 人 で ご ざる か ご|おも|||かたな||まりょく||とりつか||まよい|じん||||

参ら まいら

拙者 に ときめいて もらう で ご ざる せっしゃ||||||

か 　 格好いい |かっこいい

待って 待って 　 歩く の が 早い ぞ まって|まって|あるく|||はやい|

ああ 　 悪い 　 人 と 歩く の は 慣れて ない から な |わるい|じん||あるく|||なれて|||

あんた 着込んで る から 足 が 重い んだ よ |きこんで|||あし||おもい||

た わけ 　 女子 に 軽々しく 重い と か 言う な ||じょし||かるがるしく|おもい|||いう|

いや 　 あんた は 十分 軽い って |||じゅうぶん|かるい|

けど 　 そんな 格好じゃ 動き づらい だろう ||かっこうじゃ|うごき||

重ねて た わけ かさねて||

女子 の お 洒落 は 別 筋肉 だ じょし|||しゃれ||べつ|きんにく|

女子 に は そんな 器官 が ある の か じょし||||きかん||||

粗野な 男 に は 分から ぬ 繊細な 器官 よ そやな|おとこ|||わから||せんさいな|きかん|

まあ 　 お 洒落 なんて どう で も いい けど よ ||しゃれ|||||||

服 なんて 着る だけ 邪魔だ と 思う けど な ふく||きる||じゃまだ||おもう||

そ なた の 上半身 に 服 を 着せる こと を 私 は すでに 諦めて いる が |||じょうはんしん||ふく||きせる|||わたくし|||あきらめて||

下半身 まで は 脱いで くれる な よ かはんしん|||ぬいで|||

変態 と 旅 は し たく ない へんたい||たび||||

安心 しろ あんしん|

あんた が 買って くれた この 袴 は そこそこ 気 に 入って いる ||かって|||はかま|||き||はいって|

動き やすい し 　 戦い やすい うごき|||たたかい|

動き やすい と 戦い やすい は 違う の か うごき|||たたかい|||ちがう||

まあ 　 違う ね |ちがう|

で 　 その 下 酷 城 は まだ な の か ||した|こく|しろ|||||

夜 に な っち まう ぞ よ|||||

そう したら 困る の は とがめ だろう ||こまる||||

そう だ な 　 女子 が 砂漠 で 露 宿 と あって は |||じょし||さばく||ろ|やど|||

せっかく の お 洒落 が 台無しだ |||しゃれ||だいなしだ

そういう 問題 か |もんだい|

誰 だ こんな ところ に もの を 置いた 奴 は だれ|||||||おいた|やつ|

こいつ は 真庭 に の 真庭 白鷺 ||まにわ|||まにわ|しらさぎ

へえ 城 なんで |しろ|

蜃気楼 に より 大気 の 迷彩 しんきろう|||たいき||めいさい

ここ まで 近寄ら ねば 認識 でき ない ||ちかよら||にんしき||

それ が 因幡 砂漠 の 下 酷 城 だ ||いなば|さばく||した|こく|しろ|

攻める に 固く 　 守る に 易い せめる||かたく|まもる||やすい

知ら ない 人間 は 知ら ない こと だ が しら||にんげん||しら||||

一部 で は 有名な 話 で は ある いちぶ|||ゆうめいな|はなし|||

びっくり しち まった じゃ ねえ か

すま ぬ 　 そ なた を びっくり さ せよう と 思って |||||||||おもって

そい つ 　 城 の そば に 捨て られて いたって こと は ||しろ||||すて||||

真庭 忍 軍 は 十二 頭領 内 で 競争 して おる と いって おった が まにわ|おし|ぐん||じゅうに|とうりょう|うち||きょうそう||||||

四季 崎記 紀 の 完成 形 変 体 刀 　 十二 本 収集 競争 しき|さきき|き||かんせい|かた|へん|からだ|かたな|じゅうに|ほん|しゅうしゅう|きょうそう

おそらくは 因幡 下 酷 城 の 宇練 銀閣 が 斬 刀 　 鈍 を 所有 して いる と 知り |いなば|した|こく|しろ||うれん|ぎんかく||き|かたな|どん||しょゆう||||しり

白鷺 は ここ を 訪れた のであろう しらさぎ||||おとずれた|

そして 　 返り 討ち にあった |かえり|うち|

真庭 忍 軍 の 頭領 が この ざま と は まにわ|おし|ぐん||とうりょう|||||

真庭 に の 頭領 なら 俺 も 倒した ぜ まにわ|||とうりょう||おれ||たおした|

そ なた の 場合 は 運 に も 恵まれて いた だろう が |||ばあい||うん|||めぐまれて|||

まあ 　 前向きに 考える と しよう |まえむきに|かんがえる||

先 に たどり着いた 真庭 に が 斬 刀 の 収集 に 失敗 した さき||たどりついた|まにわ|||き|かたな||しゅうしゅう||しっぱい|

これ は 捕らえよう に よって は 悪い こと で も ある まい ||とらえよう||||わるい|||||

もしも 白鷺 が 変 体 刀 収集 に 成功 して いれば |しらさぎ||へん|からだ|かたな|しゅうしゅう||せいこう||

無駄 足 に なって しまって おった のだ から な むだ|あし|||||||

なるほど 　 前向きだ |まえむきだ

だけど 　 こいつ が 襲撃 に 失敗 した こと で |||しゅうげき||しっぱい|||

ここ の 城主 は 警戒 しち まった だろう ||じょうしゅ||けいかい|||

最悪の 場合 姿 を 消して いる かも しれ ない ぜ さいあくの|ばあい|すがた||けして|||||

それ は ない

宇練 銀閣 は 因幡 全土 が 砂漠 化 して も うれん|ぎんかく||いなば|ぜんど||さばく|か||

それ でも この 土地 から 退か なかった 男 だ |||とち||しりぞか||おとこ|

それ に 　 この 白鷺 の 有様 を 見る 限り |||しらさぎ||ありさま||みる|かぎり

宇練 は 自分 の 腕 に 絶対 の 自信 を 持って おる うれん||じぶん||うで||ぜったい||じしん||もって|

士 道 不 覚悟 の 敵 前 逃亡 など 考え も すま い し|どう|ふ|かくご||てき|ぜん|とうぼう||かんがえ|||

どうやら 思って いた 以上 に 強敵 の ようだ な |おもって||いじょう||きょうてき|||

あるいは 出直 すって の も あり かも しれ ねえ ぜ |でなお||||||||

あり え ん 話 だ |||はなし|

真庭 忍 軍 が これほど の 速度 で 動いて いる 今 まにわ|おし|ぐん||||そくど||うごいて||いま

私 が たたら を 踏んで いる 暇 など ある もの か わたくし||||ふんで||いとま||||

七 花 　 私 は 今 むしろ 安心 して いる ところ な のだ なな|か|わたくし||いま||あんしん|||||

真庭 白鷺 が 引き立て 役 に なって くれた おかげ で まにわ|しらさぎ||ひきたて|やく|||||

上 に 提出 する 報告 書 に 盛り上がり が できた のだ から な うえ||ていしゅつ||ほうこく|しょ||もりあがり|||||

裏切り者 の 真庭 忍 軍 うらぎりもの||まにわ|おし|ぐん

それ を 撃退 した と いう 剣士 から 変 体 刀 を 収集 した なだ と ||げきたい||||けんし||へん|からだ|かたな||しゅうしゅう|||

なんとも 痛快で は ない か |つうかいで|||

何より なにより

「 逆さ 喋り 」 など と いう 描写 の うっとうしい 忍者 を さかさ|しゃべり||||びょうしゃ|||にんじゃ|

これ で 私 は 書か ず に 済む ||わたくし||かか|||すむ

大体 　 七 花 だいたい|なな|か

ここ まで お膳立て が 整って い ながら ||おぜんだて||ととのって||

すごすご 引き下がる など と 言う 格好悪い 有様 を |ひきさがる|||いう|かっこわるい|ありさま|

そ なた は 私 に 書け と いう の か |||わたくし||かけ||||

なるほど 　 前向きだ |まえむきだ

だから 　 俺 は あんた に 惚れた んだ |おれ||||ほれた|

前 に 出る と 危ない じゃ ない か ぜん||でる||あぶない|||

戦う の は 俺 なんだろう たたかう|||おれ|

それとも あんた が まず 最初に 宇練 銀閣 と 戦おう って の か ||||さいしょに|うれん|ぎんかく||たたかおう|||

馬鹿 者 　 私 の 戦闘 力 は そな たも よく 知る ところ だろう ばか|もの|わたくし||せんとう|ちから|||||しる||

私 を 倒す こと など 　 障子 紙 を 破く より も 容易 い ぞ わたくし||たおす|||しょうじ|かみ||やぶく|||ようい||

そんな こと 威張って 言わ れて も ||いばって|いわ||

あの な

どうも そ なた は その 辺り を 誤解 して いる ようだ から 一応 言って おく が |||||あたり||ごかい|||||いちおう|いって||

私 たち は 別に 強盗 と いう わけで は ない のだ わたくし|||べつに|ごうとう||||||

うん

いきなり 丁 々 発 止 の ちゃん ばら を 行い |ちょう||はつ|や|||||おこない

強奪 すれば 良い と いう もの で は ない ごうだつ||よい||||||

手順 を 踏み 　 交渉 が 必要な のだ よ てじゅん||ふみ|こうしょう||ひつような||

ええ と 　 お 役所 的な 手続き って ことか |||やくしょ|てきな|てつづき||

今回 の ところ は その 理解 で も いい こんかい|||||りかい|||

それ で 済む んだったら ||すむ|

別に 俺 要ら ない んじゃ ない の か べつに|おれ|いら|||||

四季 崎 の 刀 の 毒 を 好んで 摂取 する ような 人間 は しき|さき||かたな||どく||このんで|せっしゅ|||にんげん|

凡そ 狂 人 と 相場 は 決まって おる で な およそ|くる|じん||そうば||きまって|||

つまり 端 から 交渉 で 済む と 思って な いって こと だろう |はし||こうしょう||すむ||おもって||||

しかし な そう は 言って も だ ||||いって||

例えば 　 刀 の 所有 者 が 善人 だった 時 たとえば|かたな||しょゆう|もの||ぜんにん||じ

そ なた は どう する つもりな のだ

う うん

幕府 の 後ろ盾 が ある 以上 人 を 斬って も 咎め られる こと は ない が ばくふ||うしろだて|||いじょう|じん||きって||とがめ|||||

だからと言って 無 闇 や だ ら に 切り 刻んで 良い と いう こと で は ない のだ だからといって|む|やみ|||||きり|きざんで|よい|||||||

分かったら 行く ぞ わかったら|いく|

明白に 怪しい 襖 だ が めいはくに|あやしい|ふすま||

ここ に 何 か ある って こと だろう ||なん|||||

あぁ 待て 　 無用心に 開ける な 　 こら |まて|ぶようじんに|あける||

おい

宇練 銀閣 だ な うれん|ぎんかく||