三姉妹探偵団(2) Chapter 02 (2)
「 明り が 点いて る わ 」
二 人 は 、 大学 の 裏門 に 近い 辺り に 来て いた 。
プレハブ の 建物 が いくつか 並んで いて 、 工芸 部 と か 美術 部 の アトリエ に 使われて いた 。 その 一 つ の 窓 から 、 光 が 射 して いる のだ 。
「 何だか わけ の 分 ら ない 彫刻 を 作って る んだろう 、 きっと 」
「 前衛 よ 」
「 こっち は 守衛 だ よ 」
と 、 太田 は 言った 。
「 十二 時 過ぎ まで やられちゃ 、 こっち が 困る ね 」
「 じゃ 、 声 を かけて 来たら ?
「 うん 。
── いや 、 明り が 消えた な 」
太田 が 歩き 出す 前 に 、 その 窓 が 暗く なった 。
太田 たち は 、 少し 手前 の 、 木立 ち の 陰 に 立って いた 。
── その 建物 の 戸 が 、 ガタガタ と 音 を 立てて 開く 。
「 もう 、 本当に 滑り が 悪い んだ から !
と 、 女 の 声 が した 。
「 あら 、 あの 声 ……」
と 、 茂子 が 言った 。
「 聞いた こと が ある みたい 」
誰 か が 出て 来た 。
── そして 、 もう 一 人 。
月 明り の 下 に 姿 を 見せる と 、 茂子 が 、 思わず 声 を 上げ そうに なって 、 口 を 手 で 押えた 。
「 どうした ?
太田 が 低い 声 で 言った 。
「 あの 女 の 人 …… 委員 長 の 水口 さん だ わ 」
と 、 茂子 は 言った 。
水口 恭子 が 、 メガネ を かけ 直して 、 周囲 を 見回した 。
スラリ と して 、 ちょっと お 高く 止った 感じ の する 三 年生 。 ── 二十一 歳 の はずだ が 、 とても そう は 見え ない 。
一緒に いる の は 、 淡い ツイード 姿 の 男性 で ── 水口 恭子 を 抱く と 、 キス した 。
「 呆れた な 」
と 、 太田 が 呟く 。
「 あれ は 主任 教授 の 梨 山 先生 だ ! ちょっと ズングリ 型 の 体つき な ので 、 並ぶ と 、 むしろ 水口 恭子 の 方 が 大きい くらい に 見える 。
「── 明日 、 夜 は 空いて る んだ 。
ホテル に でも 行か ない か 」
と 、 梨 山 教授 が 誘って いる 。
「 無理 言わ ないで 。
文化 祭 まで 四 日 しか ない の よ 。 委員 長 は 目 が 回る くらい 忙しい の 」
と 、 水口 恭子 は つれない 。
「 こんな 所 じゃ 、 落ちつか ない じゃ ない か 」
「 スリル が あって いい わ 」
と 、 水口 恭子 は 笑った 。
「 ともかく 、 また 今度 ね 」
「 OK 。
仕方ない な 」
と 、 梨 山 は 肩 を すくめた 。
「 送ろう 」
「 お 願い 。
── 運転 は 気 を 付けて よ 」
「 心配 する な 」
梨 山 教授 が 、 水口 恭子 の 肩 を 抱いて 、 裏門 の 方 へ と 歩いて 行った 。
── 太田 と 茂子 は 、 フッと 息 を 吐いた 。
「── びっくり した !
と 、 茂子 が 言った 。
「 水口 さん 、 男 嫌い で 有名だった のに 」
「 しかし 、 どう 見て も 文化 祭 の 打ち合せ と は 思え ない ね 」
太田 は 真面目 くさって 言った ……。