×

Mes naudojame slapukus, kad padėtume pagerinti LingQ. Apsilankę avetainėje Jūs sutinkate su mūsų cookie policy.


image

Fairy Tales, 大きな運と小さな運

大きな 運 と 小さな 運

大きな 運 と 小さな 運

むかし むかし 、 ある 山奥 の ほら 穴 に 、 ぐ ひん さん が 住んで い ました 。 ぐ ひん さん と は 、 テング の 事 です 。 この ぐ ひん さん の 占い は とても 良く 当たる と 評判 な ので 、 もう すぐ 子ども が 生まれる 木 兵 衛 ( も くべ え ) と 賢二 郎 ( けんじ ろう ) が 生まれる 子ども の 運 を 占って もらい ました 。 「 オン ! オン ! 山 の 神 、 地 の 神 、 天 の 神 、 木 兵 衛 と 賢二 郎 の 子 の ぶ に を お 教えた まえ ー ! 」 ぐ ひん さん は 大声 で 呪文 ( じゅもん ) を 唱える と 、 まずは 木 兵 衛 に 言い ました 。 「 神 の おおせ られる に は 、 お前 に は 竹 三 本 の ぶ に の 子 が 生まれる そうだ 」 「 竹 三 本 の 、 ぶ に ? 」 「 そう じゃあ 。 人 に は 生まれながら に そなわった 、 運 と いう もの が ある 。 それ すなわち 、 ぶ に じゃ 」 「 と 、 言う と 、 おら の 子 に は 、 たった 竹 三 本 の 運 しか そなわら ん の か ? 」 木 兵 衛 は 、 がっかり です 。 ぐ ひん さん は 、 次に 賢二 郎 に 言い ました 。 「 お前 の ところ に は 、 長者 ( ちょうじゃ ) の ぶ に の 子 が 生まれる 。 お前 の 子 は 、 長者 に なる さだめ じゃあ 」 「 貧乏な おら の 子 が 、 長者 に ねえ 」 ぐ ひん さん の 占い を 聞いて 、 二 人 は 村 に 帰り ました 。

それ から しばらく して 、 二 人 の 家 に 子ども が 生まれ ました 。 「 玉 の 様 な 、 男の子 じゃ 」 「 うち は 、 女の子 じゃ 」 どちら も 元気な 子ども で 、 二 人 は 手 を 取り 合って 喜び ました 。 木 兵 衛 の 子ども は 吾作 ( ご さく )、 賢二 郎 の 子ども は お 紗希 ( お さき ) と 名付け られ 、 二 人 は 病気 も せ ず に スクスク と 育ち ました 。

ある 日 の 事 、 木 兵 衛 と 賢二 郎 が 畑 仕事 を して いる ところ へ 、 吾作 と お 紗希 が にぎり飯 を 持って 来 ました 。 「 お とう 、 昼 飯 じゃあ 」 「 みんな で 、 一緒に 食べよう よ 」 「 賢二 郎 、 そう する か 」 「 おうおう 、 そう すべ え 」 四 人 は あぜ道 に ならんで 、 にぎり飯 を 食べ ました 。 ムシャムシャ ・・・、 ガチン ! 木 兵 衛 が 食べて いた にぎり飯 の 中 に 、 小さな 石 が 入って い ました 。 「 なん や 、 石 なぞ 入れ おって 。 ・・・ ペ っ ! 」 木 兵 衛 は 小 石 を 、 ご飯 粒 ごと 吐き出し ました 。 すると 吾作 も 親 の 真似 を して 、 「 ぺっ 、 ペ っ 、 ペ っ 」 と 、 ご飯 粒 を 吐き出し ました 。 それ を 見た 賢二 郎 は 、 木 兵 衛 に 言い ました 。 「 ああ 、 もったいない 事 を して 。 石 だけ を 、 吐き出したら よかろう に 」 すると 木 兵 衛 は 、 笑い ながら 言い ました 。 「 石 だけ を 選ぶ なんて 、 けち く さいわい 。 おら は 、 けちくさい 事 は 大嫌いじゃ 。 賢二 郎 どん は 、 よくよく の 貧乏 性 じゃ の う 。 アハハハハハッ 」 「 そう は 言って も 、 おら は どうも もったいない 事 が 出来 ん のや 。 なあ 、 お 紗希 」 「 うん ! それ から 何 年 か 過ぎて 、 吾作 は 町 の 竹 屋 で 修行 を して 古い おけ を 修理 する 輪 がけ の 職人 に なり ました 。 お 紗希 は 、 隣村 で 働く 事 に なり ました 。 竹 職人 に なって 村 に 帰って 来た 吾作 に 、 木 兵 衛 は うれし そうに 言い ました 。 「 よし よし 、 それ だけ 技術 を 身 に つけたら 立派な もの や 。 ぐ ひん さん に は 竹 三 本 の ぶ に と 言わ れた が 、 がんばれば 竹 百 本 、 うん に ゃ 、 竹 千 本 の 大 金持ち に だって なれる わい 」 「 ああ 、 がんばる ぞ 」 こうして 吾作 は 村 々 を まわって 輪 がえ の 仕事 を し ました が 、 しかし いくら 働いて も 輪 がえ は それほど お 金 に なり ませ ん 。 「 ああ 、 輪 がえ と いう の は 、 つまら ん 仕事 じゃあ 」

そんな ある 日 、 隣村 まで 足 を のばした 吾作 は 、 長者 屋敷 の 前 で 呼び止め られ ました 。 「 輪 がえ 屋 さん 、 おけ の 輪 がえ を お 願い し ます 」 お 手伝い の 娘 が 、 こわれた おけ を 持って 屋敷 から 出て 来 ました 。 「 へい 、 ありがとう ございます 」 吾作 は 輪 がえ を し ながら 、 お 手伝い の 娘 に たずね ました 。 「 ずいぶん と 、 使い 込んだ おけ です ね 。 しかし 長者 さま なら 輪 がえ なんぞ し ないで 、 新しい おけ を 買った 方 が はやい んじゃ ない です か ? 」 「 はい 。 以前 は そう でした が 、 新しい 若 奥さま が 来 られて から 、 使える 物 は 直して 使う 様 に なった んです 。 でも その おかげ で 、 若 奥さま が 来 られて から 屋敷 が ずいぶん と 大きく なり ました よ 」 「 へえ ー 、 そんな もの です か ね 。 わたし は どうも 、 けちくさい の が 苦手で 」 すると そこ へ 長者 の 若 奥さま が 通り かかり 、 輪 がえ を して いる 吾作 を 見て なつかし そうに 言い ました 。 「 あれ ぇ 、 あんた 、 吾作 さん や ない の ? ほら 、 あたし よ 。 小さい 頃 に よく 遊んだ 、 隣 の 」 吾作 は 若 奥さま の 顔 を 見て 、 びっくり し ました 。 「 あり ゃあ ! お 紗希 ちゃん で ねえ か 。 こ 、 ここ の 、 奥さま に なら れた ので ござり ま する か ? 」 「 ええ 。 あと で にぎり飯 を つくって あげる から 、 待っ とって 」 お 紗希 は 台所 に 行く と 、 さっそく にぎり飯 を つくり ました 。 そして 長者 の 嫁 に なった 自分 の 幸せ を 吾作 に も 分けて あげ たい と 思い 、 にぎり飯 の 中 に 小判 を 一 枚 ずつ 入れた のです 。 この 小判 は 、 お 紗希 が 何 年 も かかって ためた 物 でした 。

輪 がえ を 終えた 吾作 は 、 川岸 へ 行って お 紗希 から もらった にぎり飯 を 食べる 事 に し ました 。 「 ほう 、 こりゃ うま そうじゃ 。 さすが は 、 長者 さま 。 飯 の つや が 違う わい 」 そして にぎり飯 を 口 に 入れる と 、 力 チン ! と 、 歯 に かたい 物 が あたり ました 。 「 ペッ ! なん や 、 えらい 大きな 石 が 入っ とる ぞ 」 吾作 は にぎり飯 を 川 の 中 に 吐き出す と 、 二 つ 目 の にぎり飯 を 口 に 入れ ました 。 カチン ! 「 これ も か 。 ペッ ! 」 三 つ 目 も 。 力 チン ! 「 なん や 、 これ も か 。 ペッ ! 」 四 つ 目 も 、 五 つ 目 も 。 カチン ! カチン ! 「 何 じゃ 、 この にぎり飯 は ? どれ も これ も 、 みんな 石 が 入っ とる や ない か 」 そして 最後の 一 つ も 、 やはり 力 チン と き ました 。 吾作 は これ も 川 に 吐き すてよう と して 、 ふと にぎり飯 を 割って み ました 。 「 長者 の 家 の 飯 に は 、 どんな 石 が 入っ とる んじゃ ? ・・・ や やっ 、 これ は ! 」 にぎり飯 の 中 から 出て 来た 物 は 、 石 で は なく 小判 です 。 「 し 、 しも うた 。 前 に 入って いた の も 、 小判 やった ん か 」 お 紗希 が 心 を 込めた おくり物 は 、 深い 川 の 底 に 沈んで しまい ました 。

この 話 を 聞いて 、 木 兵 衛 は 吾作 を しかり ました 。 「 なんで 初め に 力 チン と きた 時 に 、 中 を 確かめ なかった ん や ! そう すりゃ 、 六 枚 の 小判 が 手 に 入った のに ! 」 「 けど 、 石 だけ を 選んで 吐き出す なんて 、 そんな けちくさい 事 は お とう も 嫌いやろ ? やっぱり おら に は 、 運 が ない ん や 」 その 言葉 を 聞いて 、 木 兵 衛 は ぐ ひん さん の 言葉 を 思い出し ました 。 「 ぐ ひん さん の 言う 通り 、 お 紗希 は 長者 の 嫁 に なった 。 やはり 吾作 に は 、 竹 三 本 の ぶ に しか ない の か ・・・」 木 兵 衛 が がっかり して いる と 、 どこ から と も なく ぐ ひん さん が 現れて 言い ました 。 「 木 兵 衛 よ 、 それ は 違う ぞ 。 お 紗希 が 長者 の 嫁 に なれた の は 、 物 を 大切に する 良い お なご だった から じゃ 。 いくら 良い ぶ に を 持って いて も 、 それ を 生かせ ん 者 も おる 。 反対に 小さな ぶ に しか なくて も 、 大きな 運 を つかむ 者 も おる 。 ぶ に と は 努力 しだい で 、 どう と で も 変わる 物 じゃ 。 長者 に なって も 物 を 大切に する お 紗希 を 見習えば 、 お前 たち に も 運 が つかめる だろう 」

それ から と いう もの 木 兵 衛 と 吾作 は 物 を 大切に する 様 に なり 、 やがて 竹 千 本 の 山 を 持つ 長者 に なった そうです 。

おしまい


大きな 運 と 小さな 運 おおきな|うん||ちいさな|うん Big luck and small luck Groot en klein geluk. Большая и малая удача.

大きな 運 と 小さな 運 おおきな|うん||ちいさな|うん

むかし むかし 、 ある 山奥 の ほら 穴 に 、 ぐ ひん さん が 住んで い ました 。 |||やまおく|||あな||||||すんで|| ぐ ひん さん と は 、 テング の 事 です 。 |||||||こと| この ぐ ひん さん の 占い は とても 良く 当たる と 評判 な ので 、 もう すぐ 子ども が 生まれる 木 兵 衛 ( も くべ え ) と 賢二 郎 ( けんじ ろう ) が 生まれる 子ども の 運 を 占って もらい ました 。 |||||うらない|||よく|あたる||ひょうばん|||||こども||うまれる|き|つわもの|まもる|||||けんじ|ろう||||うまれる|こども||うん||うらなって|| 「 オン ! おん オン ! おん 山 の 神 、 地 の 神 、 天 の 神 、 木 兵 衛 と 賢二 郎 の 子 の ぶ に を お 教えた まえ ー ! やま||かみ|ち||かみ|てん||かみ|き|つわもの|まもる||けんじ|ろう||こ||||||おしえた||- 」   ぐ ひん さん は 大声 で 呪文 ( じゅもん ) を 唱える と 、 まずは 木 兵 衛 に 言い ました 。 ||||おおごえ||じゅもん|||となえる|||き|つわもの|まもる||いい| 「 神 の おおせ られる に は 、 お前 に は 竹 三 本 の ぶ に の 子 が 生まれる そうだ 」 「 竹 三 本 の 、 ぶ に ? かみ||||||おまえ|||たけ|みっ|ほん|||||こ||うまれる|そう だ|たけ|みっ|ほん||| 」 「 そう じゃあ 。 人 に は 生まれながら に そなわった 、 運 と いう もの が ある 。 じん|||うまれながら|||うん||||| それ すなわち 、 ぶ に じゃ 」 「 と 、 言う と 、 おら の 子 に は 、 たった 竹 三 本 の 運 しか そなわら ん の か ? ||||||いう||||こ||||たけ|みっ|ほん||うん||||| 」   木 兵 衛 は 、 がっかり です 。 き|つわもの|まもる||| ぐ ひん さん は 、 次に 賢二 郎 に 言い ました 。 ||||つぎに|けんじ|ろう||いい| 「 お前 の ところ に は 、 長者 ( ちょうじゃ ) の ぶ に の 子 が 生まれる 。 おまえ|||||ちょうじゃ||||||こ||うまれる お前 の 子 は 、 長者 に なる さだめ じゃあ 」 「 貧乏な おら の 子 が 、 長者 に ねえ 」   ぐ ひん さん の 占い を 聞いて 、 二 人 は 村 に 帰り ました 。 おまえ||こ||ちょうじゃ|||||びんぼうな|||こ||ちょうじゃ|||||||うらない||きいて|ふた|じん||むら||かえり|

それ から しばらく して 、 二 人 の 家 に 子ども が 生まれ ました 。 ||||ふた|じん||いえ||こども||うまれ| 「 玉 の 様 な 、 男の子 じゃ 」 「 うち は 、 女の子 じゃ 」   どちら も 元気な 子ども で 、 二 人 は 手 を 取り 合って 喜び ました 。 たま||さま||おとこのこ||||おんなのこ||||げんきな|こども||ふた|じん||て||とり|あって|よろこび| 木 兵 衛 の 子ども は 吾作 ( ご さく )、 賢二 郎 の 子ども は お 紗希 ( お さき ) と 名付け られ 、 二 人 は 病気 も せ ず に スクスク と 育ち ました 。 き|つわもの|まもる||こども||ごさく|||けんじ|ろう||こども|||さまれ||||なづけ||ふた|じん||びょうき|||||すくすく||そだち|

ある 日 の 事 、 木 兵 衛 と 賢二 郎 が 畑 仕事 を して いる ところ へ 、 吾作 と お 紗希 が にぎり飯 を 持って 来 ました 。 |ひ||こと|き|つわもの|まもる||けんじ|ろう||はたけ|しごと||||||ごさく|||さまれ||にぎりめし||もって|らい| 「 お とう 、 昼 飯 じゃあ 」 「 みんな で 、 一緒に 食べよう よ 」 「 賢二 郎 、 そう する か 」 「 おうおう 、 そう すべ え 」   四 人 は あぜ道 に ならんで 、 にぎり飯 を 食べ ました 。 ||ひる|めし||||いっしょに|たべよう||けんじ|ろう||||||||よっ|じん||あぜみち|||にぎりめし||たべ| ムシャムシャ ・・・、 ガチン ! 木 兵 衛 が 食べて いた にぎり飯 の 中 に 、 小さな 石 が 入って い ました 。 き|つわもの|まもる||たべて||にぎりめし||なか||ちいさな|いし||はいって|| 「 なん や 、 石 なぞ 入れ おって 。 ||いし||いれ| ・・・ ペ っ ! 」   木 兵 衛 は 小 石 を 、 ご飯 粒 ごと 吐き出し ました 。 き|つわもの|まもる||しょう|いし||ごはん|つぶ||はきだし| すると 吾作 も 親 の 真似 を して 、 「 ぺっ 、 ペ っ 、 ペ っ 」 と 、 ご飯 粒 を 吐き出し ました 。 |ごさく||おや||まね|||||||||ごはん|つぶ||はきだし| それ を 見た 賢二 郎 は 、 木 兵 衛 に 言い ました 。 ||みた|けんじ|ろう||き|つわもの|まもる||いい| 「 ああ 、 もったいない 事 を して 。 ||こと|| 石 だけ を 、 吐き出したら よかろう に 」   すると 木 兵 衛 は 、 笑い ながら 言い ました 。 いし|||はきだしたら||||き|つわもの|まもる||わらい||いい| 「 石 だけ を 選ぶ なんて 、 けち く さいわい 。 いし|||えらぶ|||| おら は 、 けちくさい 事 は 大嫌いじゃ 。 |||こと||だいきらいじゃ 賢二 郎 どん は 、 よくよく の 貧乏 性 じゃ の う 。 けんじ|ろう|||||びんぼう|せい||| アハハハハハッ 」 「 そう は 言って も 、 おら は どうも もったいない 事 が 出来 ん のや 。 |||いって||||||こと||でき||の や なあ 、 お 紗希 」 「 うん ! ||さまれ| それ から 何 年 か 過ぎて 、 吾作 は 町 の 竹 屋 で 修行 を して 古い おけ を 修理 する 輪 がけ の 職人 に なり ました 。 ||なん|とし||すぎて|ごさく||まち||たけ|や||しゅぎょう|||ふるい|||しゅうり||りん|||しょくにん||| お 紗希 は 、 隣村 で 働く 事 に なり ました 。 |さまれ||りんそん||はたらく|こと||| 竹 職人 に なって 村 に 帰って 来た 吾作 に 、 木 兵 衛 は うれし そうに 言い ました 。 たけ|しょくにん|||むら||かえって|きた|ごさく||き|つわもの|まもる|||そう に|いい| 「 よし よし 、 それ だけ 技術 を 身 に つけたら 立派な もの や 。 ||||ぎじゅつ||み|||りっぱな|| ぐ ひん さん に は 竹 三 本 の ぶ に と 言わ れた が 、 がんばれば 竹 百 本 、 うん に ゃ 、 竹 千 本 の 大 金持ち に だって なれる わい 」 「 ああ 、 がんばる ぞ 」   こうして 吾作 は 村 々 を まわって 輪 がえ の 仕事 を し ました が 、 しかし いくら 働いて も 輪 がえ は それほど お 金 に なり ませ ん 。 |||||たけ|みっ|ほん|||||いわ||||たけ|ひゃく|ほん||||たけ|せん|ほん||だい|かねもち||||わ い|||||ごさく||むら||||りん|||しごと|||||||はたらいて||りん|||||きむ|||| 「 ああ 、 輪 がえ と いう の は 、 つまら ん 仕事 じゃあ 」 |りん||||||||しごと|

そんな ある 日 、 隣村 まで 足 を のばした 吾作 は 、 長者 屋敷 の 前 で 呼び止め られ ました 。 ||ひ|りんそん||あし|||ごさく||ちょうじゃ|やしき||ぜん||よびとめ|| 「 輪 がえ 屋 さん 、 おけ の 輪 がえ を お 願い し ます 」   お 手伝い の 娘 が 、 こわれた おけ を 持って 屋敷 から 出て 来 ました 。 りん||や||||りん||||ねがい||||てつだい||むすめ|||||もって|やしき||でて|らい| 「 へい 、 ありがとう ございます 」   吾作 は 輪 がえ を し ながら 、 お 手伝い の 娘 に たずね ました 。 |||ごさく||りん||||||てつだい||むすめ||| 「 ずいぶん と 、 使い 込んだ おけ です ね 。 ||つかい|こんだ||| しかし 長者 さま なら 輪 がえ なんぞ し ないで 、 新しい おけ を 買った 方 が はやい んじゃ ない です か ? |ちょうじゃ|||りん||なん ぞ|||あたらしい|||かった|かた|||||| 」 「 はい 。 以前 は そう でした が 、 新しい 若 奥さま が 来 られて から 、 使える 物 は 直して 使う 様 に なった んです 。 いぜん|||||あたらしい|わか|おくさま||らい|||つかえる|ぶつ||なおして|つかう|さま||| でも その おかげ で 、 若 奥さま が 来 られて から 屋敷 が ずいぶん と 大きく なり ました よ 」 「 へえ ー 、 そんな もの です か ね 。 ||||わか|おくさま||らい|||やしき||||おおきく|||||-||||| わたし は どうも 、 けちくさい の が 苦手で 」   すると そこ へ 長者 の 若 奥さま が 通り かかり 、 輪 がえ を して いる 吾作 を 見て なつかし そうに 言い ました 。 ||||||にがてで||||ちょうじゃ||わか|おくさま||とおり||りん|||||ごさく||みて||そう に|いい| 「 あれ ぇ 、 あんた 、 吾作 さん や ない の ? |||ごさく|||| ほら 、 あたし よ 。 小さい 頃 に よく 遊んだ 、 隣 の 」   吾作 は 若 奥さま の 顔 を 見て 、 びっくり し ました 。 ちいさい|ころ|||あそんだ|となり||ごさく||わか|おくさま||かお||みて||| 「 あり ゃあ ! お 紗希 ちゃん で ねえ か 。 |さまれ|||| こ 、 ここ の 、 奥さま に なら れた ので ござり ま する か ? |||おくさま|||||ござ り||| 」 「 ええ 。 あと で にぎり飯 を つくって あげる から 、 待っ とって 」   お 紗希 は 台所 に 行く と 、 さっそく にぎり飯 を つくり ました 。 ||にぎりめし|||||ま っ|||さまれ||だいどころ||いく|||にぎりめし||| そして 長者 の 嫁 に なった 自分 の 幸せ を 吾作 に も 分けて あげ たい と 思い 、 にぎり飯 の 中 に 小判 を 一 枚 ずつ 入れた のです 。 |ちょうじゃ||よめ|||じぶん||しあわせ||ごさく|||わけて||||おもい|にぎりめし||なか||こばん||ひと|まい||いれた| この 小判 は 、 お 紗希 が 何 年 も かかって ためた 物 でした 。 |こばん|||さまれ||なん|とし||||ぶつ|

輪 がえ を 終えた 吾作 は 、 川岸 へ 行って お 紗希 から もらった にぎり飯 を 食べる 事 に し ました 。 りん|||おえた|ごさく||かわぎし||おこなって||さまれ|||にぎりめし||たべる|こと||| 「 ほう 、 こりゃ うま そうじゃ 。 |||そう じゃ さすが は 、 長者 さま 。 ||ちょうじゃ| 飯 の つや が 違う わい 」   そして にぎり飯 を 口 に 入れる と 、   力 チン ! めし||||ちがう|わ い||にぎりめし||くち||いれる||ちから| と 、 歯 に かたい 物 が あたり ました 。 |は|||ぶつ||| 「 ペッ ! なん や 、 えらい 大きな 石 が 入っ とる ぞ 」   吾作 は にぎり飯 を 川 の 中 に 吐き出す と 、 二 つ 目 の にぎり飯 を 口 に 入れ ました 。 |||おおきな|いし||はい っ|||ごさく||にぎりめし||かわ||なか||はきだす||ふた||め||にぎりめし||くち||いれ| カチン ! 「 これ も か 。 ペッ ! 」   三 つ 目 も 。 みっ||め| 力 チン ! ちから| 「 なん や 、 これ も か 。 ペッ ! 」   四 つ 目 も 、 五 つ 目 も 。 よっ||め||いつ||め| カチン ! カチン ! 「 何 じゃ 、 この にぎり飯 は ? なん|||にぎりめし| どれ も これ も 、 みんな 石 が 入っ とる や ない か 」   そして 最後の 一 つ も 、 やはり 力 チン と き ました 。 |||||いし||はい っ||||||さいご の|ひと||||ちから|||| 吾作 は これ も 川 に 吐き すてよう と して 、 ふと にぎり飯 を 割って み ました 。 ごさく||||かわ||はき|||||にぎりめし||わって|| 「 長者 の 家 の 飯 に は 、 どんな 石 が 入っ とる んじゃ ? ちょうじゃ||いえ||めし||||いし||はい っ|| ・・・ や やっ 、 これ は ! 」   にぎり飯 の 中 から 出て 来た 物 は 、 石 で は なく 小判 です 。 にぎりめし||なか||でて|きた|ぶつ||いし||||こばん| 「 し 、 しも うた 。 前 に 入って いた の も 、 小判 やった ん か 」   お 紗希 が 心 を 込めた おくり物 は 、 深い 川 の 底 に 沈んで しまい ました 。 ぜん||はいって||||こばん|||||さまれ||こころ||こめた|おくりもの||ふかい|かわ||そこ||しずんで||

この 話 を 聞いて 、 木 兵 衛 は 吾作 を しかり ました 。 |はなし||きいて|き|つわもの|まもる||ごさく||| 「 なんで 初め に 力 チン と きた 時 に 、 中 を 確かめ なかった ん や ! |はじめ||ちから||||じ||なか||たしかめ||| そう すりゃ 、 六 枚 の 小判 が 手 に 入った のに ! ||むっ|まい||こばん||て||はいった| 」 「 けど 、 石 だけ を 選んで 吐き出す なんて 、 そんな けちくさい 事 は お とう も 嫌いやろ ? |いし|||えらんで|はきだす||||こと|||||きらい やろ やっぱり おら に は 、 運 が ない ん や 」   その 言葉 を 聞いて 、 木 兵 衛 は ぐ ひん さん の 言葉 を 思い出し ました 。 ||||うん||||||ことば||きいて|き|つわもの|まもる||||||ことば||おもいだし| 「 ぐ ひん さん の 言う 通り 、 お 紗希 は 長者 の 嫁 に なった 。 ||||いう|とおり||さまれ||ちょうじゃ||よめ|| やはり 吾作 に は 、 竹 三 本 の ぶ に しか ない の か ・・・」   木 兵 衛 が がっかり して いる と 、 どこ から と も なく ぐ ひん さん が 現れて 言い ました 。 |ごさく|||たけ|みっ|ほん||||||||き|つわもの|まもる|||||||||||||||あらわれて|いい| 「 木 兵 衛 よ 、 それ は 違う ぞ 。 き|つわもの|まもる||||ちがう| お 紗希 が 長者 の 嫁 に なれた の は 、 物 を 大切に する 良い お なご だった から じゃ 。 |さまれ||ちょうじゃ||よめ|||||ぶつ||たいせつに||よい||||| いくら 良い ぶ に を 持って いて も 、 それ を 生かせ ん 者 も おる 。 |よい||||もって|||||いかせ||もの|| 反対に 小さな ぶ に しか なくて も 、 大きな 運 を つかむ 者 も おる 。 はんたいに|ちいさな||||||おおきな|うん|||もの|| ぶ に と は 努力 しだい で 、 どう と で も 変わる 物 じゃ 。 ||||どりょく|||||||かわる|ぶつ| 長者 に なって も 物 を 大切に する お 紗希 を 見習えば 、 お前 たち に も 運 が つかめる だろう 」 ちょうじゃ||||ぶつ||たいせつに|||さまれ||みならえば|おまえ||||うん|||

それ から と いう もの 木 兵 衛 と 吾作 は 物 を 大切に する 様 に なり 、 やがて 竹 千 本 の 山 を 持つ 長者 に なった そうです 。 |||||き|つわもの|まもる||ごさく||ぶつ||たいせつに||さま||||たけ|せん|ほん||やま||もつ|ちょうじゃ|||そう です

おしまい