えんま に なった 、権 十 お じいさん |||けん|じゅう|| Gonju Grandpa, who became Emma. Enma ni natta, abuelo Gonju.

えんま に なった 、 権 十 お じいさん |||けん|じゅう||

むかし むかし 、 芝居 ( しばい ) が さかんな 村 が あり ました 。 ||しばい||||むら||| 少し でも 時間 が ある と 、 大人 も 子ども も みんな 芝居 の 練習 を して い ます 。 すこし||じかん||||おとな||こども|||しばい||れんしゅう||||

ある 年 の 事 、 この 村 で 一 番 芝居 の 上手な 権 十 ( ごん じゅう ) お じいさん が 、 ポックリ と 死んで しまい ました 。 |とし||こと||むら||ひと|ばん|しばい||じょうずな|けん|じゅう|ご ん|||||||しんで|| お じいさん は あの 世 へ つながる 暗い 道 を 一人ぼっち で トボトボ と 歩いて いる と 、 むこう から 金ぴかの 服 を 着た えんま 大王 が のっしのっし と やって 来 ました 。 ||||よ|||くらい|どう||ひと り ぼ っち||とぼとぼ||あるいて|||||きむ ぴか の|ふく||きた||だいおう|||||らい| 「 こら 、 そこ の 亡者 ( もうじゃ → 死んだ 人 )」 「 へえ 」 「 へえ で は ない 。 |||もうじゃ|もう じゃ|しんだ|じん||||| 返事 は 『 はい 』 と もうせ 。 へんじ|||| それ に 何 じゃ 、 お前 の すわり よう は 」 「 へえ 。 ||なん||おまえ||||| その 、 腰 が ぬけ ました ので 」 「 ふん 、 だらしない 。 |こし|||||| ・・・ ところで お前 、 確か しゃば (→ 人間 の 住む 世界 ) で は 、 芝居 を やって おった そうだ な 」 「 へえ 、 よく ご存じ で 。 |おまえ|たしか||にんげん||すむ|せかい|||しばい||||そう だ||||ごぞんじ| しかし わたし の は 芝居 と もうして も 、 にわか 芝居 (→ しろうと の 芝居 ) でして 」 「 そう か 。 ||||しばい||もう して|||しばい|||しばい||| その にわか 芝居 と やら で かまわ ん から 、 ここ で やって みせろ 」 「 あの 、 えんま さま は 、 芝居 が お 好きで ございます か ？ ||しばい|||||||||||||||しばい|||すきで|| 」 「 いや 、 見た 事 が ない 。 |みた|こと|| しかし 、 しゃば の 者 は 芝居 を 見て 楽しんで おる と 聞く 。 |||もの||しばい||みて|たのしんで|||きく そこ で 、 芝居 を して おった お前 が 来る と 聞いて 、 わざわざ ここ まで 来た のじゃ 。 ||しばい||||おまえ||くる||きいて||||きた| さあ 、 芝居 と は どのような もの か 、 やって み い 」 「 へえ 、 やって み い と おっしゃい まして も 、 わし は この 通り の 亡者 でして 、 衣装 も 何も ございませ ん 」 「 衣装 が なくて は 、 芝居 が 出来 ぬ の か ？ |しばい||||||||||||||||||||とおり||もうじゃ||いしょう||なにも|||いしょう||||しばい||でき||| 」 「 へえ 、 出来 ませ ぬ 。 |でき|| もし 、 あなた さま が 衣装 を 貸して くだされば 、 地獄 ( じごく ) の 芝居 を やって ごらん に いれ ます が 」 　 そこ で えんま 大王 は 、 自分 の 衣装 を ぬいで 貸して やり ました 。 ||||いしょう||かして||じごく|||しばい|||||||||||だいおう||じぶん||いしょう|||かして|| こうして 、 えんま 大王 が お じいさん の 衣装 を 着て 亡者 と なり 、 お じいさん が えんま 大王 の 衣装 を 着て えんま 大王 に なり ました 。 ||だいおう|||||いしょう||きて|もうじゃ|||||||だいおう||いしょう||きて||だいおう||| 「 では 、 芝居 を はじめろ 」 「 へえ 。 |しばい||| さっそく 、 はじめ ましょう 」 　 お じいさん は すっかり 元気に なって 、 すっくと 立ち あがり ました 。 |||||||げんきに|||たち|| 「 まずは 、 えんま の おどりで ござい 」 　 お じいさん が えんま 大王 の 服 を 着て おどって いる と 、 そこ へ 赤 鬼 と 青 鬼 が やって 来 ました 。 |||||||||だいおう||ふく||きて||||||あか|おに||あお|おに|||らい| 「 もし 、 えんま 大 王さま 」 　 鬼 たち は お じいさん の 前 に 両手 を ついて 、 ペコペコ 頭 を 下げ ました 。 ||だい|おうさま|おに||||||ぜん||りょうて||||あたま||さげ| 「 えんま 大 王さま 。 |だい|おうさま そろそろ 、 お 戻り くださ れ 」 「 ただいま 亡者 ども が 団体 で まいり まして 、 地獄 は 大忙しで ござり ます 」 　 その 時 、 亡者 の 衣装 を 着た えんま 大王 が 、 あわてて 言い ました 。 ||もどり||||もうじゃ|||だんたい||||じごく||おおいそがしで|ござ り|||じ|もうじゃ||いしょう||きた||だいおう|||いい| 「 この た わけめ ！ えんま 大王 は 、 この おれ だ ぞ 」 　 すると 赤 鬼 と 青 鬼 が 、 えんま 大王 を にらみ つけ ました 。 |だいおう|||||||あか|おに||あお|おに|||だいおう|||| 「 こらっ ！ こら っ 亡者 の くせ に 何 を ぬかす 。 もうじゃ||||なん|| お前 は 、 は よう 地獄 へ まいれ 」 「 いや 、 だから 、 おれ が えんま だ 。 おまえ||||じごく|||||||| おれ が 、 本物 の 大王 だ 」 「 無礼 者 ！ ||ほんもの||だいおう||ぶれい|もの 」 　 赤 鬼 は 持って いた 金 棒 で 本物 の えんま 大王 を バシッバシッ と 打ちのめして 、 地獄 へ 引きずって 行き ました 。 あか|おに||もって||きむ|ぼう||ほんもの|||だいおう||||うちのめして|じごく||ひきずって|いき| 「 さあ 、 えんま 大 王さま 、 お 急ぎ ください 」 　 こうして えんま 大王 の 服 を 着た 権 十 お じいさん は 青 鬼 に 連れて 行か れ 、 そのまま 本当の えんま 大王 に なった と いう 事 です 。 ||だい|おうさま||いそぎ||||だいおう||ふく||きた|けん|じゅう||||あお|おに||つれて|いか|||ほんとうの||だいおう|||||こと|

おしまい