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Fairy Tales, 家が栄える、おまじない

家 が 栄える 、おまじない

家 が 栄える 、 おまじない

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とんち の 上手な 人 が い ました 。

きっ ちょ むさん の 村 に は 、 先祖 代々 田畑 や 山 を たくさん 持って いる 金 助 ( きん すけ ) さん と いう 大 百姓 が い ました 。 しかし どうした わけ か 金 助さん の 代 に なって から 少しずつ 財産 が 減って いき 、 もう どうにも なら ない 状態 でした 。 「 あれほど 栄えて いた 家 が 、 こう も すたれる と は 。 これ は きっと 、 福 の 神 が 家 を 出て 行った からに 違いない 」 金 助さん が 、 こう 考えた の も 無理 は あり ませ ん 。 なぜなら 金 助さん は とても 良い 人 で 、 これ まで に 悪い 事 も お 金 を むだに 使った 事 も ない から です 。 それなのに 金 助さん の 田畑 だけ に 虫 が ついて お 米 が 出来 なかったり 、 大事な 牛 や 馬 が 病気 に なって 死んだり と 、 次 から 次 へ と 悪い 事 が 重なって 行く のです 。 有名な 易者 ( えきしゃ ) に 占って もらって も 原因 が わから ず 、 神主 さん に お 払い を して もらって も 効き目 が あり ませ ん でした 。

そんな ある 日 、 金 助さん は ふと 思い ました 。 「 そう だ 、 あの きっ ちょ むさん だったら 、 何 か 良い まじない を 知って いる かも しれ ん ぞ 」 金 助さん から 相談 を 受けた きっ ちょ むさん は 、 しばらく 首 を ひねって 考えて い ました が 、 やがて 何 か を 思い ついた の か 、 ひざ を ぽん と たたいて 言い ました 。 「 よし 。 ほかなら ぬ 金 助さん の 頼み だ から 、 とっておき の まじない を お 教え し ましょう 」 「 それ は 、 ありがたい 。 して 、 それ は どんな まじない だ ね ? 」 「 まあ 、 待って ください 。 ここ で は 説明 出来 ない 事 だ から 、 明日 の 朝 早く 八幡 ( は ちま ん → 八幡 神 を 祭神 と する 神社 の 総称 ) さま の 鳥居 の 下 に 来て 下さい 。 そこ で 、 とっておき の まじない を お 教え し ます から 。 でも その 代わり 、 ほか の 村人 が 起きる 前 に 起きて 、 自分 の 家 の まわり と よそ の 家 の まわり を 回って くる のです よ 。 そう し ない と 、 とっておき の まじない も 効き目 が あり ませ ん から ね 」 「 いい と も 、 いい と も 」

さて 次の 朝 、 金 助さん は 約束 通り 、 まだ 薄暗い うち に 起き 出し ました 。 金 助さん は 生まれた 時 から の お 坊ちゃん な ので 、 こんなに 早起き を した の は 生まれて 初めて です 。 「 ああ 、 早起き の 朝 と 言う の は 気持ち が 良い 物 だ な 。 今日 は きっと 、 村 一 番 の 早起き に 違いない ぞ 」 金 助さん は 家 の 者 を 起こさ ない ように 着替える と 、 きっ ちょ むさん の 言葉 通り に 家 の まわり を 一回り し ました 。 すると 納屋 の 前 に 、 昨日 の 仕事 を 終えた 使用人 が 、 すき や かま など の 道具 を てきとうに 置いて いた の を 見つけ ました 。 ( なんだ 、 これ は ? うち の 使用人 は 、 いつも こんなに だらしない の か ? ) 金 助さん は 少し 嫌な 顔 を し ました が 、 きっ ちょ むさん と の 約束 通り 、 ほか の 家々 を まわり ながら 八幡 さま の 方 へ と 向かい ました 。 する と 驚いた 事 に 、 今日 は 村 一 番 の 早起き だ と 思って いた の は 間違い でした 。 他の 家 で は もう 仕事 を 始めて いて 、 まだ 寝て いる 家 は 金 助さん の 家 だけ です 。 ( これ は ・・・) 金 助さん が 八幡 さま へ 着いて みる と 、 野良 着 を 着た きっ ちょ むさん が もう 先 に 来て い ました 。 「 きっ ちょ むさん 」 金 助さん が 声 を かける と 、 きっ ちょ むさん が ふり返り ました 。 「 やあ 、 金 助さん 。 今日 は 、 早く 起き ました ね 。 では 約束 通り 、 家 が 栄える まじない を お 教え し ましょう 」 すると 金 助さん は 、 手 を ふって 答え ました 。 「 きっ ちょ むさん 。 これ 以上 、 わし に は じ を かかさ ないで くれ 。 早起き した おかげ で 、 家 が おとろえた わけ が わかった よ 。 さっそく 家 に 帰って 、 家 の 者 たち と 働か ない と な 」 「 それ は 結構 。 がんばれば 、 すぐ に 元 の 暮らし が 取り戻せ ます よ 」

それ から 金 助さん は 、 毎日 誰 より も 早く 起きて 家 の 者 たち と 一緒に 仕事 を し ました 。 その おかげ でき っ ちょ むさん の 言葉 通り 、 金 助さん の 家 は 以前 の 豊か さ を 取り戻した のです 。

おしまい

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家 が 栄える 、おまじない いえ||さかえる| Home flourishes, spells A casa floresce, soletra. 一個能讓你的家繁榮昌盛的咒語

家 が 栄える 、 おまじない いえ||さかえる|

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とんち の 上手な 人 が い ました 。 ||||||いう|||じょうずな|じん|||

きっ ちょ むさん の 村 に は 、 先祖 代々 田畑 や 山 を たくさん 持って いる 金 助 ( きん すけ ) さん と いう 大 百姓 が い ました 。 ||||むら|||せんぞ|だいだい|たはた||やま|||もって||きむ|じょ||||||だい|ひゃくしょう||| しかし どうした わけ か 金 助さん の 代 に なって から 少しずつ 財産 が 減って いき 、 もう どうにも なら ない 状態 でした 。 ||||きむ|じょ さん||だい||||すこしずつ|ざいさん||へって||||||じょうたい| 「 あれほど 栄えて いた 家 が 、 こう も すたれる と は 。 |さかえて||いえ|||||| これ は きっと 、 福 の 神 が 家 を 出て 行った からに 違いない 」   金 助さん が 、 こう 考えた の も 無理 は あり ませ ん 。 |||ふく||かみ||いえ||でて|おこなった||ちがいない|きむ|じょ さん|||かんがえた|||むり|||| This must be because the God of Good Fortune has moved out of the house. なぜなら 金 助さん は とても 良い 人 で 、 これ まで に 悪い 事 も お 金 を むだに 使った 事 も ない から です 。 |きむ|じょ さん|||よい|じん|||||わるい|こと|||きむ|||つかった|こと|||| それなのに 金 助さん の 田畑 だけ に 虫 が ついて お 米 が 出来 なかったり 、 大事な 牛 や 馬 が 病気 に なって 死んだり と 、 次 から 次 へ と 悪い 事 が 重なって 行く のです 。 |きむ|じょ さん||たはた|||ちゅう||||べい||でき||だいじな|うし||うま||びょうき|||しんだり||つぎ||つぎ|||わるい|こと||かさなって|いく| 有名な 易者 ( えきしゃ ) に 占って もらって も 原因 が わから ず 、 神主 さん に お 払い を して もらって も 効き目 が あり ませ ん でした 。 ゆうめいな|えきしゃ|||うらなって|||げんいん||||かんぬし||||はらい|||||ききめ||||| I had a famous I chi practitioner tell me the cause of the problem, but he couldn't figure it out, and I had a Shinto priest perform a purification ceremony, but it didn't work.

そんな ある 日 、 金 助さん は ふと 思い ました 。 ||ひ|きむ|じょ さん|||おもい| Then one day, Mr. Kinsuke suddenly had a thought. 「 そう だ 、 あの きっ ちょ むさん だったら 、 何 か 良い まじない を 知って いる かも しれ ん ぞ 」   金 助さん から 相談 を 受けた きっ ちょ むさん は 、 しばらく 首 を ひねって 考えて い ました が 、 やがて 何 か を 思い ついた の か 、 ひざ を ぽん と たたいて 言い ました 。 |||||||なん||よい|||しって||||||きむ|じょ さん||そうだん||うけた||||||くび|||かんがえて|||||なん|||おもい|||||||||いい| When Kinsuke asked him for advice, Kichimu twisted his head and thought for a while, but then he thought of something, tapped his knee, and said, "Well, maybe that Kichimu-san knows of a good spell. 「 よし 。 ほかなら ぬ 金 助さん の 頼み だ から 、 とっておき の まじない を お 教え し ましょう 」 「 それ は 、 ありがたい 。 ||きむ|じょ さん||たのみ||||||||おしえ||||| して 、 それ は どんな まじない だ ね ? 」 「 まあ 、 待って ください 。 |まって| ここ で は 説明 出来 ない 事 だ から 、 明日 の 朝 早く 八幡 ( は ちま ん → 八幡 神 を 祭神 と する 神社 の 総称 ) さま の 鳥居 の 下 に 来て 下さい 。 |||せつめい|でき||こと|||あした||あさ|はやく|はちまん||ち ま||はちまん|かみ||さいじん|||じんじゃ||そうしょう|||とりい||した||きて|ください そこ で 、 とっておき の まじない を お 教え し ます から 。 |||||||おしえ||| でも その 代わり 、 ほか の 村人 が 起きる 前 に 起きて 、 自分 の 家 の まわり と よそ の 家 の まわり を 回って くる のです よ 。 ||かわり|||むらびと||おきる|ぜん||おきて|じぶん||いえ||||||いえ||||まわって||| Instead, they get up before the other villagers and go around their house and the houses of other villagers. そう し ない と 、 とっておき の まじない も 効き目 が あり ませ ん から ね 」 「 いい と も 、 いい と も 」 ||||||||ききめ|||||||||||| Otherwise, the spell won't work.

さて 次の 朝 、 金 助さん は 約束 通り 、 まだ 薄暗い うち に 起き 出し ました 。 |つぎの|あさ|きむ|じょ さん||やくそく|とおり||うすぐらい|||おき|だし| 金 助さん は 生まれた 時 から の お 坊ちゃん な ので 、 こんなに 早起き を した の は 生まれて 初めて です 。 きむ|じょ さん||うまれた|じ||||ぼっちゃん||||はやおき|||||うまれて|はじめて| Kinsuke has been a monk since he was born, and this is the first time in his life that he has woken up this early. 「 ああ 、 早起き の 朝 と 言う の は 気持ち が 良い 物 だ な 。 |はやおき||あさ||いう|||きもち||よい|ぶつ|| Ah, early mornings are so pleasant. 今日 は きっと 、 村 一 番 の 早起き に 違いない ぞ 」   金 助さん は 家 の 者 を 起こさ ない ように 着替える と 、 きっ ちょ むさん の 言葉 通り に 家 の まわり を 一回り し ました 。 きょう|||むら|ひと|ばん||はやおき||ちがいない||きむ|じょ さん||いえ||もの||おこさ|||きがえる||||||ことば|とおり||いえ||||ひとまわり|| すると 納屋 の 前 に 、 昨日 の 仕事 を 終えた 使用人 が 、 すき や かま など の 道具 を てきとうに 置いて いた の を 見つけ ました 。 |なや||ぜん||きのう||しごと||おえた|しようにん|||||||どうぐ|||おいて||||みつけ| Then, in front of the barn, I found the servants who had finished their work yesterday, leaving their tools, such as the clearing and the kettle, just as they had intended. ( なんだ 、 これ は ? うち の 使用人 は 、 いつも こんなに だらしない の か ? ||しようにん|||||| Are our servants always this sloppy? )   金 助さん は 少し 嫌な 顔 を し ました が 、 きっ ちょ むさん と の 約束 通り 、 ほか の 家々 を まわり ながら 八幡 さま の 方 へ と 向かい ました 。 きむ|じょ さん||すこし|いやな|かお||||||||||やくそく|とおり|||いえいえ||||はちまん|||かた|||むかい| Kinsuke-san looked a little disappointed, but as he had promised Kitsumu, he went to the Hachiman shrine while visiting other houses. する と 驚いた 事 に 、 今日 は 村 一 番 の 早起き だ と 思って いた の は 間違い でした 。 ||おどろいた|こと||きょう||むら|ひと|ばん||はやおき|||おもって||||まちがい| To my surprise, I was wrong in thinking that today I would be the earliest riser in the village. 他の 家 で は もう 仕事 を 始めて いて 、 まだ 寝て いる 家 は 金 助さん の 家 だけ です 。 たの|いえ||||しごと||はじめて|||ねて||いえ||きむ|じょ さん||いえ|| ( これ は ・・・)   金 助さん が 八幡 さま へ 着いて みる と 、 野良 着 を 着た きっ ちょ むさん が もう 先 に 来て い ました 。 ||きむ|じょ さん||はちまん|||ついて|||のら|ちゃく||きた||||||さき||きて|| 「 きっ ちょ むさん 」   金 助さん が 声 を かける と 、 きっ ちょ むさん が ふり返り ました 。 |||きむ|じょ さん||こえ||||||||ふりかえり| 「 やあ 、 金 助さん 。 や あ|きむ|じょ さん 今日 は 、 早く 起き ました ね 。 きょう||はやく|おき|| では 約束 通り 、 家 が 栄える まじない を お 教え し ましょう 」   すると 金 助さん は 、 手 を ふって 答え ました 。 |やくそく|とおり|いえ||さかえる||||おしえ||||きむ|じょ さん||て|||こたえ| 「 きっ ちょ むさん 。 これ 以上 、 わし に は じ を かかさ ないで くれ 。 |いじょう|||||||| Don't harass me any more. 早起き した おかげ で 、 家 が おとろえた わけ が わかった よ 。 はやおき||||いえ|||||| さっそく 家 に 帰って 、 家 の 者 たち と 働か ない と な 」 「 それ は 結構 。 |いえ||かえって|いえ||もの|||はたらか||||||けっこう がんばれば 、 すぐ に 元 の 暮らし が 取り戻せ ます よ 」 |||もと||くらし||とりもどせ||

それ から 金 助さん は 、 毎日 誰 より も 早く 起きて 家 の 者 たち と 一緒に 仕事 を し ました 。 ||きむ|じょ さん||まいにち|だれ|||はやく|おきて|いえ||もの|||いっしょに|しごと||| その おかげ でき っ ちょ むさん の 言葉 通り 、 金 助さん の 家 は 以前 の 豊か さ を 取り戻した のです 。 |||||||ことば|とおり|きむ|じょ さん||いえ||いぜん||ゆたか|||とりもどした|

おしまい