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キツネ と 獲物
キツネ と 獲物
むかし むかし 、 漁師 が 魚 を いっぱい 大きな カゴ に 入れて 、 凍った 道 を 引っぱって 歩いて い ました 。
「 ああ 、 こんなに たくさん 魚 が 捕れた の は 久しぶりだ なあ 。
家 で 待って いる おかみ さん は 、 どんな 顔 で 喜んで くれる だろう 」 漁師 は 、 おかみ さん の うれし そうな 顔 と 声 を 思い浮かべて 、 ニッコリ 微笑み ました 。
すると 道 の 真ん中 に 、 キツネ が 倒れて い ました 。
どうやら 、 死んだ キツネ の ようです 。
「 こりゃ いい や 。
今日 は ついて る ぞ 」 漁師 は キツネ を ヒョイ と 抱き上げ 、 カゴ の 魚 の 上 に ポン と 置いて また ニッコリ 微笑み ました 。
「 こいつ で 、 暖かい えりまき を 作って やれる ぞ 」 漁師 は 家 に 帰る と 、 おかみ さん に 言い ました 。
「 お ー い 、 今夜 は ごちそう だ ぞ 。
おまけに プレゼント も ある ぞ 」 そして 、 カゴ の 中 を 見た とたん 、 「 あ あっ !
」 と 、 叫んで しまい ました 。
何と カゴ に は 、 キツネ も 魚 も ない のです 。
漁師 は 大きな カゴ を ひっくり返して 調べ ました が 、 穴 など 開いて い ませ ん 。
「 しまった 。
これ は キツネ に だまさ れた んだ !
」 漁師 は ガッカリ して 、 肩 を ガクン と 落とし ました 。
実は キツネ は カゴ いっぱい 魚 を つんだ 漁師 を 見て 、 死んだ ふり を して いた のです 。
そして 思った 通り に 魚 の 上 に 乗せて くれた ので 、 一 匹 ずつ 魚 を 道 に 落とし 、 最後の 一 匹 を 道 に 投げる と 、 キツネ は 漁師 に わから ない 様 に カゴ から 飛び降りて 大急ぎで 落とした 魚 を 次々 と 拾い ながら 森 へ 帰って 行った のでした 。
魚 を たくさん 持って 森 へ 帰って 来た キツネ を 見つけて 、 オオカミ が 尋ね ました 。
「 そんなに たくさんの 魚 、 どうした ん だい ?
」 キツネ は すまして 、 こう 答え ました 。
「 簡単 さ 。
村 の 井戸 ( いど ) に 尻尾 を たらして おいたら 、 ごらん の 通り さ 。
魚 が ドンドン 食いついて 、 もう 大変だった よ 」 「 ふーん 。
それ は 良い 事 を 聞いた ぞ 」 オオカミ は すぐ に 村 の 井戸 へ 走って 行き 、 自分 の 尻尾 を 井戸 の 中 に たらし ました 。
キツネ は 魚 を お腹 一 杯 食べて から 、 村 へ 出かけて 行き ました 。
そして 一 軒 の お 百姓 さん の 家 へ 行き 、 大声 で 言い ました 。
「 大変だ 。
井戸 で オオカミ が ウンチ を して る !
」 それ を 聞いた 家 の おかみ さん が 、 棒 を 持って 飛び出して 来 ました 。
「 何 だって !
大切な 井戸水 に ウンチ だ なんて 、 じょうだん じゃ ない よ !
」 おかみ さん は 近所 中 の おかみ さん を 呼び 集めて 、 井戸 へ 走って 行き ました 。
それ を 知って 、 オオカミ は ビックリ です 。
あわてて 逃げよう と し ました が 、 凍った 井戸水 に 尻尾 が しっかり 固まって しまい 、 尻尾 が 抜け ませ ん 。
おかみ さん たち は 、 「 この オオカミ め !
ただ じゃ すま ない よ !
」 と 、 持って 来た 棒 で 、 オオカミ を ポカポカ 殴り ました 。
一方 、 キツネ は おかみ さん が 出て 行った 台所 に 忍び込み 、 バター の ツボ に 手 を 突っ込み ました 。
そして ペロペロ と なめる と 、 今度 は 頭から 足 まで 体 中 に バター を 塗り ました 。
そうして 台所 を 抜け出し 、 いちもく さん で 森 へ 走って 帰り ました 。
森 に たどりつく と 、 キツネ は うずくまって オオカミ を 待ち ました 。
しばらく して 、 オオカミ は キズ だらけ で 帰って 来 ました 。
ボロボロ に なった 尻尾 から は 、 血 が 出て い ます 。
オオカミ は キツネ を 見る と 、 かみつき そうな 勢い で 怒鳴り ました 。
「 やい !
お前 の せい で ひどい 目 に あった ぞ !
」 すると キツネ は 、 ウーン 、 ウーン と 、 苦し そうな うなり 声 を あげて オオカミ を 見上げ ました 。
「 まあ 、 そう 言わ ないで ください よ 。
わたし も あなた と 同じ 様 に 棒 で 叩か れて 、 頭から 脳 ミソ が 出て しまった のです から 」 オオカミ は 、 ベトベト に 濡れた キツネ の 頭 と 体 を 見る と 、 「 そう か 、 お前 の 方 が 大変だった な 。
よし 、 お ぶって やる よ 」 と 、 キツネ を 家 まで 送って やり ました 。
キツネ は オオカミ の 背中 で 、 ニヤリ と 笑う と 、 「 どうも ありがとう 、 オオカミ さん 」 と 、 言って 、 バター の ついた ベトベト の 手 を おいし そうに なめ ました 。
おしまい
キツネ と 獲物
きつね||えもの
Fox and Prey
キツネ と 獲物
きつね||えもの
むかし むかし 、 漁師 が 魚 を いっぱい 大きな カゴ に 入れて 、 凍った 道 を 引っぱって 歩いて い ました 。
||りょうし||ぎょ|||おおきな|||いれて|こおった|どう||ひっぱって|あるいて||
「 ああ 、 こんなに たくさん 魚 が 捕れた の は 久しぶりだ なあ 。
|||ぎょ||とれた|||ひさしぶりだ|
家 で 待って いる おかみ さん は 、 どんな 顔 で 喜んで くれる だろう 」 漁師 は 、 おかみ さん の うれし そうな 顔 と 声 を 思い浮かべて 、 ニッコリ 微笑み ました 。
いえ||まって||||||かお||よろこんで|||りょうし||||||そう な|かお||こえ||おもいうかべて|にっこり|ほおえみ|
すると 道 の 真ん中 に 、 キツネ が 倒れて い ました 。
|どう||まんなか||きつね||たおれて||
どうやら 、 死んだ キツネ の ようです 。
|しんだ|きつね||よう です
「 こりゃ いい や 。
今日 は ついて る ぞ 」 漁師 は キツネ を ヒョイ と 抱き上げ 、 カゴ の 魚 の 上 に ポン と 置いて また ニッコリ 微笑み ました 。
きょう|||||りょうし||きつね||||だきあげ|||ぎょ||うえ||||おいて||にっこり|ほおえみ|
「 こいつ で 、 暖かい えりまき を 作って やれる ぞ 」 漁師 は 家 に 帰る と 、 おかみ さん に 言い ました 。
||あたたかい|||つくって|||りょうし||いえ||かえる|||||いい|
「 お ー い 、 今夜 は ごちそう だ ぞ 。
|-||こんや||||
おまけに プレゼント も ある ぞ 」 そして 、 カゴ の 中 を 見た とたん 、 「 あ あっ !
|ぷれぜんと|||||||なか||みた|||
」 と 、 叫んで しまい ました 。
|さけんで||
何と カゴ に は 、 キツネ も 魚 も ない のです 。
なんと||||きつね||ぎょ|||の です
漁師 は 大きな カゴ を ひっくり返して 調べ ました が 、 穴 など 開いて い ませ ん 。
りょうし||おおきな|||ひっくりかえして|しらべ|||あな||あいて|||
「 しまった 。
これ は キツネ に だまさ れた んだ !
||きつね||||
」 漁師 は ガッカリ して 、 肩 を ガクン と 落とし ました 。
りょうし||がっかり||かた||がくん||おとし|
実は キツネ は カゴ いっぱい 魚 を つんだ 漁師 を 見て 、 死んだ ふり を して いた のです 。
じつは|きつね||||ぎょ|||りょうし||みて|しんだ|||||の です
そして 思った 通り に 魚 の 上 に 乗せて くれた ので 、 一 匹 ずつ 魚 を 道 に 落とし 、 最後の 一 匹 を 道 に 投げる と 、 キツネ は 漁師 に わから ない 様 に カゴ から 飛び降りて 大急ぎで 落とした 魚 を 次々 と 拾い ながら 森 へ 帰って 行った のでした 。
|おもった|とおり||ぎょ||うえ||のせて|||ひと|ひき||ぎょ||どう||おとし|さいご の|ひと|ひき||どう||なげる||きつね||りょうし||||さま||||とびおりて|おおいそぎで|おとした|ぎょ||つぎつぎ||ひろい||しげる||かえって|おこなった|
魚 を たくさん 持って 森 へ 帰って 来た キツネ を 見つけて 、 オオカミ が 尋ね ました 。
ぎょ|||もって|しげる||かえって|きた|きつね||みつけて|おおかみ||たずね|
「 そんなに たくさんの 魚 、 どうした ん だい ?
||ぎょ|||
」 キツネ は すまして 、 こう 答え ました 。
きつね||||こたえ|
「 簡単 さ 。
かんたん|
村 の 井戸 ( いど ) に 尻尾 を たらして おいたら 、 ごらん の 通り さ 。
むら||いど|||しっぽ||||||とおり|
魚 が ドンドン 食いついて 、 もう 大変だった よ 」 「 ふーん 。
ぎょ||どんどん|くいついて||たいへんだった||ふ - ん
それ は 良い 事 を 聞いた ぞ 」 オオカミ は すぐ に 村 の 井戸 へ 走って 行き 、 自分 の 尻尾 を 井戸 の 中 に たらし ました 。
||よい|こと||きいた||おおかみ||||むら||いど||はしって|いき|じぶん||しっぽ||いど||なか|||
キツネ は 魚 を お腹 一 杯 食べて から 、 村 へ 出かけて 行き ました 。
きつね||ぎょ||おなか|ひと|さかずき|たべて||むら||でかけて|いき|
そして 一 軒 の お 百姓 さん の 家 へ 行き 、 大声 で 言い ました 。
|ひと|のき|||ひゃくしょう|||いえ||いき|おおごえ||いい|
「 大変だ 。
たいへんだ
井戸 で オオカミ が ウンチ を して る !
いど||おおかみ|||||
」 それ を 聞いた 家 の おかみ さん が 、 棒 を 持って 飛び出して 来 ました 。
||きいた|いえ|||||ぼう||もって|とびだして|らい|
「 何 だって !
なん|
大切な 井戸水 に ウンチ だ なんて 、 じょうだん じゃ ない よ !
たいせつな|いどみず||||||||
」 おかみ さん は 近所 中 の おかみ さん を 呼び 集めて 、 井戸 へ 走って 行き ました 。
|||きんじょ|なか|||||よび|あつめて|いど||はしって|いき|
それ を 知って 、 オオカミ は ビックリ です 。
||しって|おおかみ||びっくり|
あわてて 逃げよう と し ました が 、 凍った 井戸水 に 尻尾 が しっかり 固まって しまい 、 尻尾 が 抜け ませ ん 。
|にげよう|||||こおった|いどみず||しっぽ|||かたまって||しっぽ||ぬけ||
おかみ さん たち は 、 「 この オオカミ め !
|||||おおかみ|
ただ じゃ すま ない よ !
」 と 、 持って 来た 棒 で 、 オオカミ を ポカポカ 殴り ました 。
|もって|きた|ぼう||おおかみ||ぽかぽか|なぐり|
一方 、 キツネ は おかみ さん が 出て 行った 台所 に 忍び込み 、 バター の ツボ に 手 を 突っ込み ました 。
いっぽう|きつね|||||でて|おこなった|だいどころ||しのびこみ|ばたー||つぼ||て||つっこみ|
そして ペロペロ と なめる と 、 今度 は 頭から 足 まで 体 中 に バター を 塗り ました 。
|||||こんど||あたまから|あし||からだ|なか||ばたー||ぬり|
そうして 台所 を 抜け出し 、 いちもく さん で 森 へ 走って 帰り ました 。
|だいどころ||ぬけだし||||しげる||はしって|かえり|
森 に たどりつく と 、 キツネ は うずくまって オオカミ を 待ち ました 。
しげる||||きつね|||おおかみ||まち|
しばらく して 、 オオカミ は キズ だらけ で 帰って 来 ました 。
||おおかみ||きず|||かえって|らい|
ボロボロ に なった 尻尾 から は 、 血 が 出て い ます 。
ぼろぼろ|||しっぽ|||ち||でて||
オオカミ は キツネ を 見る と 、 かみつき そうな 勢い で 怒鳴り ました 。
おおかみ||きつね||みる|||そう な|いきおい||どなり|
「 やい !
お前 の せい で ひどい 目 に あった ぞ !
おまえ|||||め|||
」 すると キツネ は 、 ウーン 、 ウーン と 、 苦し そうな うなり 声 を あげて オオカミ を 見上げ ました 。
|きつね||うーん|うーん||にがし|そう な||こえ|||おおかみ||みあげ|
「 まあ 、 そう 言わ ないで ください よ 。
||いわ|||
わたし も あなた と 同じ 様 に 棒 で 叩か れて 、 頭から 脳 ミソ が 出て しまった のです から 」 オオカミ は 、 ベトベト に 濡れた キツネ の 頭 と 体 を 見る と 、 「 そう か 、 お前 の 方 が 大変だった な 。
||||おなじ|さま||ぼう||たたか||あたまから|のう|みそ||でて||の です||おおかみ||べとべと||ぬれた|きつね||あたま||からだ||みる||||おまえ||かた||たいへんだった|
よし 、 お ぶって やる よ 」 と 、 キツネ を 家 まで 送って やり ました 。
||||||きつね||いえ||おくって||
キツネ は オオカミ の 背中 で 、 ニヤリ と 笑う と 、 「 どうも ありがとう 、 オオカミ さん 」 と 、 言って 、 バター の ついた ベトベト の 手 を おいし そうに なめ ました 。
きつね||おおかみ||せなか||||わらう||||おおかみ|||いって|ばたー|||べとべと||て|||そう に|な め|
おしまい
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