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江戸小話, きりょうじまん

きりょう じまん

きりょう じまん

今日 は 、 暖かい 春 の 日差し が 心地よい 四 月 。 上野 の 山 は 花見 の 客 で 、 大 賑わい です 。 そこ へ 、 大 旦那 の 娘 さん が 女 中 ( じょ ちゅう → 住み込み の お 手伝い さ ん ) を 連れて 、 お 花見 に 出かけ ました 。 この 娘 さん 、 なかなか の きりょう よし (→ 美人 の 事 ) な のです が 、 何かにつけ て けち を つける くせ が あり ます 。 「 ああ 、 たいした の は い ない ねえ 」 満開 の 桜 より も 道 行く 娘 たち の 顔 が 気 に なる 様 で 、 出会う 娘 の 一人一人 に けち を つけて 歩き ました 。 「 あれ は 、 背 が 低い ね 」 「 あっ ち は 、 背 が 高 すぎる 」 「 あの 娘 は 口 は 小さい が 、 目 が 大き すぎる 」 「 あれ は だめ 、 色 が 黒い 」 「 あっ ち は 色白だ けど 、 ひ たい が 広 すぎる 」 こんな 調子 で 、 出会う 娘 を 何の かん の と 、 けなし 続けて 、 娘 は 不 忍 池 ( しのば ず の いけ → 上野 に ある ハス の 名所 ) まで やって 来 ました 。 そして 池 の 水 に うつった 、 自分 の 顔 を 見る と 、 「 ああ 、 これ も あんまり 、 感心 した 顔 じゃ ない ね 」 と 、 言い ました 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


きりょう じまん self-satisfaction with one's personal appearance

きりょう じまん

今日 は 、 暖かい 春 の 日差し が 心地よい 四 月 。 きょう||あたたかい|はる||ひざし||ここちよい|よっ|つき 上野 の 山 は 花見 の 客 で 、 大 賑わい です 。 うえの||やま||はなみ||きゃく||だい|にぎわい| そこ へ 、 大 旦那 の 娘 さん が 女 中 ( じょ ちゅう → 住み込み の お 手伝い さ ん ) を 連れて 、 お 花見 に 出かけ ました 。 ||だい|だんな||むすめ|||おんな|なか|||すみこみ|||てつだい||||つれて||はなみ||でかけ| この 娘 さん 、 なかなか の きりょう よし (→ 美人 の 事 ) な のです が 、 何かにつけ て けち を つける くせ が あり ます 。 |むすめ||||||びじん||こと||||なにかにつけ|||||||| 「 ああ 、 たいした の は い ない ねえ 」   満開 の 桜 より も 道 行く 娘 たち の 顔 が 気 に なる 様 で 、 出会う 娘 の 一人一人 に けち を つけて 歩き ました 。 |||||||まんかい||さくら|||どう|いく|むすめ|||かお||き|||さま||であう|むすめ||ひとりひとり|||||あるき| 「 あれ は 、 背 が 低い ね 」 「 あっ ち は 、 背 が 高 すぎる 」 「 あの 娘 は 口 は 小さい が 、 目 が 大き すぎる 」 「 あれ は だめ 、 色 が 黒い 」 「 あっ ち は 色白だ けど 、 ひ たい が 広 すぎる 」   こんな 調子 で 、 出会う 娘 を 何の かん の と 、 けなし 続けて 、 娘 は 不 忍 池 ( しのば ず の いけ → 上野 に ある ハス の 名所 ) まで やって 来 ました 。 ||せ||ひくい|||||せ||たか|||むすめ||くち||ちいさい||め||おおき|||||いろ||くろい||||いろじろだ|||||ひろ|||ちょうし||であう|むすめ||なんの|||||つづけて|むすめ||ふ|おし|いけ|||||うえの|||はす||めいしょ|||らい| そして 池 の 水 に うつった 、 自分 の 顔 を 見る と 、 「 ああ 、 これ も あんまり 、 感心 した 顔 じゃ ない ね 」 と 、 言い ました 。 |いけ||すい|||じぶん||かお||みる||||||かんしん||かお|||||いい|

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )