episode 14「 温泉 旅行 は ハプニング だらけ ・ 後編 」 (1)
( 菜緒 ( なお )) わ あ きれい
何 ?
そ … そんな じっと 見 ないで よ
( 上原 ( うえ はら )) 悪い
え ?
お前 の ほう が 何 万 倍 も きれいだ と 思って
上原 君
フフ … フフフ …
イッタ …
あれ ? って いう か 上原 君 どこ ?
( 女性 店員 たち の 話し声 )
は …
( 店員 ) 本当 いい 男 ね
( 菜緒 ) そう いえば 上原 君 め っちゃ モテ る んじゃ ん
( 店員 ) や だ いい 男 ね ( 菜緒 ) あっ あ …
すいません すいません …
( 店員 ) え ? ちょ っ …
( 菜緒 ) ハァ …
( 上原 ) お前 大丈夫 か ?
( 菜緒 ) え ?
私 は 大丈夫だ けど
大丈夫じゃ ない の は 上原 君 な んだ から
は あ ?
( 上原 ) で どこ ? ( 菜緒 ) へ ?
お前 が 行き たい とこ
まだ 決ま ん ね ー の か
う ~ ん ここ も いい んだ けど
こっち も 捨て がたい んだ よ ね ~
1 つ に しろ
えっ !?
時間 ない の に 欲張って も しょうがない だ ろ ?
でも …
また 来りゃ いい し
え ?
何 だ よ ?
う うん
そう だ よ ね
また 来れば いい もん ね 2 人 で
よし ここ に した !
ここ は 何が何でも 行く って 決めて た んだ
( 菜緒 ) よい しょ よい しょ …
この 神社 ね
恋 が 未来 永 劫 ( えい ごう ) かなう って いう 絵馬 が ある んだ よ
( 上原 ) ふ ~ ん
( 菜緒 ) 絶対 買わ なくちゃ ね フフフッ
( 上原 ) に して も 階段 キツ いな これ
( 菜緒 ) ねっ 絵馬 絵馬
すいません 恋愛 成就 の 絵馬 1 つ ください
あっ いや 2 つ …
10 個 ください !
どう 考えて も いら ね ー だ ろ そんなに
未来 永 劫分 買って おか ない と
( 上原 ) は ? ( 巫女 ) あの …
大変 申し訳 あり ませ ん
実は 絵馬 が つい 先ほど 売り切れて しまい まして
え …
ある だけ 全部 くれ と いう お 客 様 が …
完全に お前 と 同類 だ な ( 菜緒 ) え …
そんな …
( まり な ) お ~ お かえり お 2 人 さん
で どう だった ? 愛 が 深まっちゃ ったり した ?
上原 君 と 私 の 未来 が 見え なく なった
( 阿部 ) おお ! みんな
え ? 北浦 さん ?
( 阿部 ) 偶然 通り で 会って さ 意気 投合 しちゃ って
( 希 ( のぞみ )) 強引に ついてきた だけ だ ろ
( 阿部 ) いや これ の おかげ か な 買い占めて よかった ~
あー ! 絵馬
もし かして 全部 買った の って あ べ っち !?
うん
あー ち ょっ … 1 個 ちょうだい
1 個 ちょうだい ( 阿部 ) 何で だ よ
( 菜緒 )1 個 ちょうだい よ ( 阿部 ) 何で ? や だ よ
( 一星 ( いっせい )) これ で 全員 揃った か
( 菜緒 ) そんな 使わ ない じゃ ん ( 阿部 ) もう 5 個 しか …
あっ 北浦 さん 今 聞いたら 1 人 増えて も 大丈夫 だって
は ?
“ は ?” って 仲良し グループ なんだ ろ ?
( 希 ) いや 違う
私 は たまたま 上原 から 旅行 券 …
あっ そう いえば お前 さ
余計な こと 言う な よ
なあ ~
お前 も 旅行 券 を 持って た けど
彼女 を 大事に 思う あまり 私 に くれた こと と か ?
お前 の 弱み を 握る の も 悪く ない な
じゃあ お 言葉 に 甘えて 私 も ご 一緒 させて もらおう かな
よろしく 吉川 ( よし かわ ) さん
はい
( 菜緒 ) フゥー !
あっ ち ょっ … ちょっと 待って よ
( まり な ) イェーイ 何 それ は い はい はい
お ~!
( 女将 ( おかみ )) 男性 の 方 は そちら の めじろ の 間
女性 の 方 は お 2 階 の つぐみ の 間 に なり ます
は ~ い ありがとう ございます
( 阿部 ) えっ !? 一緒の 部屋 じゃ ない の ?
( 一星 ) 若い 男女 が 同じ 部屋 なんて とんで も ね ー よ
きっちり 分け といて もらった
せっかく 北浦 さん と
仲良く なれる チャンス だ と 思った のに
( 女将 ) あら
恋愛 成就 で 有名な 所 なら すぐ 近く に
( 阿部 ・ 菜緒 ) えっ !?
( 女将 ) お 客 様 が お 持ち の 絵馬 も
その 伝説 に 関係 ある みたいです よ ?
“ 悲恋 塚 ( ひ れ ん づか )” って 言う んです けど
〝 恋愛 成就 に 絶大な 効果 が あり 〞
あっ
ぜ … ぜひとも その 話 を 詳しく !
ええ …
何 … 何 です か ?
( 女将 ) そして 2 人 は
結ばれる こと の ない まま この世 を 去り
それ を 哀れに 思った 村人 が
あの 悲恋 塚 を つくった
らしい です
らしい です って
( 女将 ) ごめんなさい
私 ここ の 女将 に なって まだ 日 が 浅い もの で
でも その 塚 に 行って
両 想い に なれた カップル が たくさん いる みたいです よ
り ょ … 両 想い
って お前 もう 付き合って んだ ろ
ああ もう 聞こえて ない と 思い ます
それでは
あっ そう そう
その 女性 の 生家 が ちょうど ここ
この 別館 の 場所 みたいで
たま ~ に その方 が
こちら に お邪魔 する …
らしい です よ
( 物音 )
( 菜緒 ) わ っ !
( まり な ) びっくり した
まあ それ も あくまで 噂 です から
では ご ゆっくり
( 物音 )
( 菜緒 ) わ っ ! ( まり な ) もう … 何 ?
( 光 石 ) いや びっくり した っ しょ 今
びっくり した でしょ ?
俺 も 食べる
びっくり した でしょ ?
全然 認め ない ん すよ
( 女将 ) そう いえば …
両 想い の 男女 が 悲恋 塚 に 行く と
とんでもない 目 に 遭う と か 遭わ ない と か …
何 だった かしら ?
外 ( 阿部 ) 俺 と 北浦 さん 吉川 と 上原 紺野 と 光 石
みんな が 幸せに なれる
すばらしい 案 だ と 思う んだ けど
( まり な ) うん まあ 確かに 王道 っちゃ 王道 だ けど
あと は どう やって
吉川 と 上原 を その 気 に さ せる か
( 光 石 ) って いう か 一星 さん は ?
( まり な ) うん
うん 明日 ラーメン おごる
( まり な ) ん ? ( 光 石 ) 忘れて た よ ね ?
( 菜緒 ) おいしい ( 上原 ) うまい な
( 菜緒 ) ねえ ホタテ ちょうだい ( 上原 ) ホタテ ?
( 菜緒 ) うん ( 上原 ) じゃあ すき焼き くれ
( 阿部 ) ほ い
( まり な ) はい お 2 人 さん 早く 引いて 引いて
何 これ クジ 引き ?
いい もの が 当たる かも よ ~
は いはい は い
( 阿部 ) はい
( 阿部 ) よし
じゃあ 北浦 さん に は これ
一星 さん
“ 一星 さん ” って 俺 ら に 選ぶ 権利 も ねえ の か よ
食べ物 なら いら ない ぞ
それでは “ 悲恋 塚 ドキドキ 肝 試し 大会 ” を 始め ます
( 光 石 ) お ~ っと 肝 試し ! ( まり な ) お ~ 待って ました
( 光 石 ) 盛り上がる よ ( まり な ) 怖い な !
俺 パス
あっ あの
私 も 肝 試し は ちょ っ … ちょっと 違う かな
あ ? 何 だ よ 〝 強制 参加 〞 って
や だ よ
( 阿部 ) 男 に 二 言 は ない よ
恋愛 成就 だ よ ?
恋愛 成就 だ よ ?
( 上原 ) うる せ ー な
いい の ? 菜緒
いい の ? 菜緒
いい の ? 菜緒
( 上原 ) 分かった 食わせろ
( 上原 ) 分かった 食わせろ
( 上原 ) 分かった 食わせろ
いや だって … 出ちゃ う かも しれ ない じゃ ん
いや だって … 出ちゃ う かも しれ ない じゃ ん
いや だって … 出ちゃ う かも しれ ない じゃ ん
( 上原 ) トロ もらう から な
いや だって … 出ちゃ う かも しれ ない じゃ ん
いや だって … 出ちゃ う かも しれ ない じゃ ん
( 阿部 ) え ? ( 上原 ) その代わり
( 阿部 ) え ? ( 上原 ) その代わり
そ っか 残念
菜緒 が す っ ごく 欲しがって た 絵馬 が
手 に 入る チャンス だった のに
絵馬 ?
絵馬
絵馬 !?
( 阿部 ) ルール は 簡単
悲恋 塚 に 置いて ある 俺 の 大事な …
絵馬 を 取って くる
しかも それ を あげちゃ う ! ( まり な ) あげちゃ う !
( 菜緒 ) え ? ( 阿部 ) どう だ 吉川 欲し い だ ろ ?
欲しい 欲しい !
あっ でも 1 人 で 行く の ?
( 阿部 ) 安心 しろ 肝 試し と 言えば ペア !
さあ 今 こそ お 手持ち の クジ を ご覧 あれ !
なぜ か びっくり
運命 の 人 と ペア に なって る んじゃ ない か な ?
( まり な ) あ ~ み っちゃ ~ ん ( 光 石 ) おお ~!
( まり な ・ 光 石 ) イェーイ
あれ ?
あれ れ ?
何で ?
あ べ っち …
愚か なり
( 阿部 ) ハァ …
じゃあ 俺 幽霊 やる んで
時間 空いたら 適当に 来て ください
( 一星 ) 気合 の カケラ も 感じ らん ねえ 幽霊 だ な あいつ
大丈夫 か ?
( 菜緒 ) え … って いう か あ べ っち より
本物 の 幽霊 出ちゃ う かも よ
( 一星 ) あっ お前 本気 で 怖がって ん の か ?
( 菜緒 ) だって あんな 話さ れたら ( 一星 ) 出 ねえ よ
まあ 万が一 出 ち まったら …
俺 逃げる けど な
( 菜緒 ) 逃げ ないで よ ( 一星 ) 何で ?
( 菜緒 ) 一緒に 行こう よ ( 一星 ) や だ よ
( 希 ) 上原 ( 上原 ) あ ?
( 希 ) 上原 ( 上原 ) あ ?
( 希 ) 上原 ( 上原 ) あ ?
( 菜緒 ) 何で よ や だ や だ …
( 菜緒 ) 何で よ や だ や だ …
( 菜緒 ) 何で よ や だ や だ …
( 希 ) 顔 が 怖い
( 菜緒 ) 何で よ や だ や だ …
( 希 ) よかった な 暗くて
( 上原 ) つ ー か さっさと 行って 終わら せる
( 阿部 ) わ っ !
( 希 ) ご 苦労
もう や だ こんな の
( 一星 ) そい じゃ 行く か ?
絵馬 ゲット して 恋愛 成就
いざ
( 踏む 音 )
( 菜緒 ) あっ ( 一星 ) 何 だ よ
( 菜緒 ) や っぱ 怖い ( 一星 ) もう ビビ って ん の ?
( 菜緒 ) やっぱり ( 一星 ) 早く !
( 菜緒 ) ちょっと 待って
( 一星 ) お前 あの 変な 絵馬 欲しい んだ ろ ?
( 菜緒 ) 怖い 怖い …
( 希 ) 祈 っと か なくて いい の か ? 恋愛 成就
俺 そういう の 信じて ね ー から
( 希 ) 同じく
( 上原 ) 結局 自分 の 人生 どうにか す ん の は 自分 だ ろ
( 希 ) まあ な
( 上原 ) 誰 か に どうにか して もらおう って いう
あいつ の 根性 が 気 に いら ねえ
( 希 ) それ だけ お前 に 夢中 って こと だ ろ
かわいい 彼女 じゃ ない か しっかり 手 握って おけよ
吉川 さん みたいな タイプ 結構 モテ る ぞ
余計 なお 世話だ
( 希 ) 本当 上原 は
痛い と こ突か れる と 悪態 が 出る な
( 上原 ) うる せ ー な お前 は ( 希 ) ハハッ ハハッ
あっ 吉川 さん たち だ
あっ 2 人 と も 早い ね もう 取って きた んだ ?
ああ
とことん そっけない 男 だ な
あの 2 人 や っぱ お 似合い かも
吉川
あっ なん ちゃ って !
ごめん
いっちゃ ん の 前 で また グチ っちゃ う とこ だった
さっ 悲恋 塚 まで あと 少し !
行こう いっちゃ ん
( 菜緒 ) よし
これ くらい 念入りに 祈 っと け ば 大丈夫だ よ ね ?
ね ? いっちゃ ん
さすが に もう 十分だ と 思う ぞ
( カラス の 鳴き声 )
( 羽音 )
( 菜緒 ) わ っ !
( 菜緒 ) いっちゃ ん 早く 早く ( 一星 ) おお
( 鳥 の 鳴き声 )
( 一星 ) 何 だ ?
( 羽音 )
( 一星 ) あれ ? ( 菜緒 ) あれ ?
( 菜緒 ) あれ ? ちょ っ … ちょっと
いっちゃ ん 帰 ろ
大丈夫だ から 落ち着け って 吉川
( 葉 擦れ の 音 )
( 一星 ) おお
( 菜緒 ・ 一星 ) わ あ !
( 菜緒 ) え … え … ちょ っ …
ギャー ! わ あー !
( 光 石 ) 遅 すぎ じゃ ねえ か ? 菜緒 たち
何 やって んだ
( まり な ) まさか また 道 に 迷った と か ?
( 光 石 )1 本道 で どう やったら 迷え る んだ よ
( まり な ) だ よ ね
あっ !
あ ~ もう やっと 帰って きた
遅い よ 菜緒
え ? … って あ べ っち ?
えっ 何で 何で ?
何で あ べ っち が 先 に 下りて くん の ?
( 阿部 ) えっ 吉川 と 一星 さん って まだ 上 に いん の ?
遅い から てっきり もう 下 に おりた か と …
( まり な ) 何 か あった の か な
( 菜緒 ) 本当 ごめんなさい
( 一星 ) まさか タヌキ で 腰 抜かす と は な
( 菜緒 ) いきなり 出て きた から びっくり しちゃ って
( 一星 ) つうか 重 っ
( 菜緒 ) えっ ! ウソ ごめん
ごめん いっちゃ ん ( 一星 ) 冗談 だ よ
こりゃ お前 の 彼 氏 大変だ な
( 一星 ) よい しょ ( 菜緒 ) うん そう かも
上原 君 の 前 でも 1 回 腰 抜かしちゃ った こと あって
( 上原 ) お前 重 すぎ
あと 腰 抜かす と か 迷惑 すぎ
( 菜緒 ) その 時 も おんぶ で 運んで もらった んだ よ ね
す っ ごい 文句 言わ れた けど
( 一星 ) よい しょ
( 菜緒 ) よくよく 考えたら さ
私 結構 迷惑 かけて んだ よ ね
愛想 つかさ れる の も 時間 の 問題 だったり して
ハハ …
( 菜緒 ) もっと ちゃんと し なきゃ だ よ ね
ちゃんと 考えて ちゃんと 周り 見て
あっ あと 勉強 も
( 一星 ) 何で 吉川 だけ 変わ ん なきゃ な ん ね ー んだ よ
( 菜緒 ) え ?
( 一星 ) 本物 の 恋人 同士 って いう の は さ
対等な んじゃ ね ー の ?
で 互いに 影響 し 合って
何 か いい 感じ の もん に 変わって くんじゃ ね ー の ?
そりゃ お前 ツッコミ どころ 満載 だ よ
けど あいつ に だって 俺
何とか しろ よって 思う とこ 結構 ある ぞ
いっちゃ ん
だから まあ あれ だ
お前 だけ が
自分 押し殺す って いう の は 間違って る
本物 の 2 人 は 対等 か
いっちゃ ん も そういう 恋して ん の ?
バ … バカ 言う んじゃ ねえ これ は 俺 の 話 じゃ なくて だ な
( 光 石 ) 遅く ねえ か ?
( 希 ) 迎え に いく の か ?
( 上原 ) あいつ ら 帰って こ ねえ と