( チト ) う う … ん っ
ん … う う う …
お っ … う う … ん …
う っ ん ん っ …
ああ ダメ や っぱ 無理
あ こら 待て ユー !
( ユーリ ) ん …
も ~ しょうがない な ~
ここ を 通る しか ない って ち ー ちゃん が 言った ん じゃ ない
いや …
ん ~ まあ そう な ん だ けど …
うん …
( パイプ の きしむ 音 )
( チト ) これ は 無理 だ わ …
♪~
ヘタレ だ な
だって …
イシイ が 書 い て くれ た 食料 生産 施設 へ の 地図 に は ―
“ この先 に 行け ば 分かる ” と しか 書 い て なかった し
分かる の か な これ …
( ユーリ ) だ けど ―
この先 に まだ 食料 が ある って 言う ん だ から
だったら 行く しか ない じゃ ん
あ ~ あ
( ユーリ ) ふん っ ほら 起き て
( チト ) 何も 食べ なく て も 生き て いけ たら な ~
そんな の 生き てる と は 言わ ない ぜ
( チト ) ん …
ほら 行 こ う
大丈夫 だって
( チト ) うん …
( ユーリ と チト の 足音 )
( チト ) う う う …
ん っ あ …
( ユーリ ) ち ー ちゃん
大丈夫 ?
( チト ) ん …
そう だ こういう 時 こそ …
アレ だ よ ( ユーリ ) アレ ?
( ユーリ ) ち ー ちゃん 好き だ ね これ
別に 好き じゃ ない
( ユーリ ) 落ちる 時 は …
道連れ と いう こと か …
( チト ) いや … 私 が 落ち た 瞬間 に ―
ユー が 反対 に 落ち れ ば 助かる か な って
難易 度 高い な …
でも なかなか 直ら ない ね ~
高い 所 苦手 な の
なんで ?
( チト ) なんで ?
だいたい 私 たち って ―
そもそも すごく 高い 所 で 暮らし てる わけ じゃ ん … う ぐ …
それ と は ちょっと 違う よう な …
あっ … ユー は 今 おなか すい てる ?
すい てる が …
でも いつも すい て いる よ ね
いや … いつも より めちゃめちゃ すい てる
あっ そう か !
つまり ち ー ちゃん は めちゃめちゃ 怖い ん だ ね
( チト ) まあ それ に 近い かも
ねえ ち ー ちゃん
道 って こっち で 合って る の か な ~ ?
たぶん …
( ユーリ ) う …
( ユーリ ) よい しょ
( チト ) あ ~
( ユーリ ) よい しょ
( チト ) う ~
( ユーリ ) ち ー ちゃん
( チト ) ハァ …
( ユーリ ) いっち に
( チト ) う ~
( ユーリ ) ワン ツー
( チト ) ん ~
( チト と ユーリ の 足音 )
薄暗く なって き た ね
( チト ) あっ
しまった …
ランタン 置 い てき ちゃ った
( ユーリ ) あら あら
今日 は もう 引き返す ?
( チト ) いや …
と いう か 私 たち …
どっち から 来 た ん だ っけ ?
もし かして …
迷った か ?
でも ほら
私 たち って いつも 迷って る よう な もん だ し
いつも と は 少し 違う よう な …
あ …
めちゃめちゃ 迷って る
( チト ) うん
( ユーリ ) しょうがない ね ~
いっそのこと 今日 は ―
ここ で 寝る って の は ?
( チト ) それ は 絶対 や だ !
私 が 寝返り で 落ち たら ―
ち ー ちゃん は 反対 側 に 落ち て ね
難易 度 高 すぎる …
( ユーリ ) じゃあ とにかく 進む しか ない ね
( チト ) 足元 気 を つけろ よ
( ユーリ ) 大丈夫 何とか なる よ ~
( チト ) ユー が 大丈夫 って 言う と 逆 に 危険 な 気 が する
ぬ ~ ん
( 足元 が きしむ 音 ) ( チト ) 足元 気 を つけろ って
う わ っ あっ !
だ … だい じ ょ う … えっ
ち ー ちゃん が ―
光って る …
( チト ) う わ ~ っ
( ユーリ ) う っ ち ー ちゃん !
( ユーリ ) お ~ と と と ~ う っ …
ち ー ちゃん 大丈夫 ?
( チト ) ユー ( ユーリ ) ん ?
ち ー ちゃん !
( チト ) 道 だ
え ?
道 が …
中 に …
管 の 中 が 道 に なって た ん だ ( ユーリ ) い よっ …
“ 行け ば 分かる ” って の は こういう こと か …
( ユーリ ) 矢印 まで ある よ ~
めちゃめちゃ 道 だ ね
あ ~
今 まで の 苦労 は 何 だった ん だ …
( ユーリ ) でも 管 の 入り口 なんて あった っけ ?
( チト ) たぶん 見落とし て た ん だ ろ う …
イシイ は ここ を 通って 行き来 し て た ん だ ろ う な
なるほど ~
ち ー ちゃん !
( チト ) う う …
ち ー ちゃん
下 見 ない で 1 歩 1 歩 ゆっくり ね
う … うん …
ん … ハァ …
わ っ …
ハァ ~…
( ユーリ ) ちょっと 休憩 し よ う か ~
( 2 人 ) ハァ …
フゥ …
こんなに 大きな 管 も あった ん だ な ~
( ユーリ ) 外 から じゃ 分から ん かった ね
変 な ゴミ が たくさん 落ち てる ね
デカ い …
流れ て き た の か な ?
普段 から こんな ふう に 矢印 が あれ ば ―
楽 な の に な ~
( ユーリ ) え ~ N つま ん ない よ ~
( チト ) つま ん ない って …
あっ このまま 簡単 に 着 い たら おもしろく ない から ―
別 の 道 に 行って みる の は どう ?
は あ ?
探検
たとえば あの 穴 と か さ
( チト ) 却下
目的 地 を 目前 に し て ―
道しるべ を 無視 する やつ が どこ に ?
ここ に いる が !
( チト ) ホント に やめ て
ごめん
ハァ …
今度 めちゃめちゃ 迷ったら ―
もっと めちゃめちゃ おなか すく ぞ
そして 死ぬ
そ っか ~
じゃあ このまま で いい や
だ ろ う ?
( ユーリ ) だ ね
( パイプ の きしむ 音 )
( チト と ユーリ の 足音 )
( ユーリ ) はい と ~ ちゃ ~ く
フゥ …
食料 どこ に ある ん だ ろ う
さあ
( ユーリ ) ん ?
( チト ) あっ ! あった
( ユーリ ) イモ !
す っげ え ~
こんな ふう に なって る ん だ
植物 じゃ ~ ん !
うん … は あっ
( シャッター 音 )
( チト ) あ でも …
ここ まで 来 て 1 つ だけ か …
( ユーリ ) これ だけ だ ね 残って る の
( チト ) “ 少し だけ 残って る ” と は イシイ も 言って た けど …
( ユーリ ) 少し すぎる
意外 と ボンヤリ し てるよ ね あの 人
だから 翼 が 折れる ん だ よ
おい
イシイ も お前 に だけ は 言わ れ たく ない だ ろ う よ
とりあえず ―
施設 の 中 は 隅々 まで 探し て み ない と
ここ から 下 に 降り られる かな
( ユーリ ) わ ~ い ! わ わ わ ~ い ! !
( チト ) う わ あ あっ
( ユーリ ) お っ おお ~ わ あ ~ ( チト ) う う っ … う っ う わ あっ …
( ユーリ ) キャハハハッ ( チト ) う っ う わ ~ っ !
う っ ああ … う う … N ( ユーリ ) おっと と ~
( チト ) ハァ …
( ユーリ ) こういう の って さ 何 の 機械 な ん だ ろ ?
( チト ) 食料 生産 施設 な ん だ から ―
そりゃ あ 食料 を 生産 する ため の 機械 だ ろ
食料 って …
さっき の イモ じゃ なく て ?
( チト ) う ~ ん
( ユーリ ) ん ?
何 だ ろ これ
う っ う わ っ ! あっ くっ う わ あっ
お っ おお っ お っ おお っ おお っ う わ あ あっ ! !
う っ おい ユー 止めろ っ !
( ユーリ ) こっち かな
( ユーリ ) ハァッ ハァ … ユー !
う わ あ あっ ハァッ ハァッ
ハァ ハァ ハァ …
( ユーリ ) まだ 動く ん だ ね これ
変 な も の 勝手 に 触る ん じゃ ない !
ああいう の は 横 に 逃げ ない と …
は あ ! ?
横 に ~
( チト ) ふん っ ( ユーリ ) う う …
( ユーリ ) ごめん ごめん
( チト ) う う っ …
気 を つけろ よ !
でも … ホント に どういう 機械 な ん だ ろ う ね
お っ
ち ー ちゃん 何 か ある よ
何 か ?
また そんな 所 に 登って … 危ない ぞ
( ユーリ ) おっと っと ~
粉 みたい な の
( チト ) 粉 ?
ユー ?
ん ん ~ ちょっと 甘い
甘い ?
これ あの 味 が する な
イモ の 味
うん 確かに
と いう こと は …
つまり これ が …
こう なった って こと か
さっき の 機械 …
ち ー ちゃん も 粉 に なる とこ だった ね
ど ぅ ~
ごめん
でも つまり 食べ られる って こと じゃ ~ ん !
イモ は 煮 て 食べ て た けど ―
粉 は どう すれ ば いい ん だ ろ ?
ん っ 焼く と か ?
( チト ) 焼き か ~
( チト ) これ も 動く かな
お っ つい た
焼く 機械 みたい だ し やっぱり 焼 い て た の か な
( ユーリ ) ねえ ねえ ち ー ちゃん
これ 何て 読む の ?
( チト ) ん ?
“ さとう ” だ な
“ さとう ” ? 向こう に 落ち て た
甘い よ
甘い な ~
さとう … どこ か で 見 た 気 が …
ねえ 思い出し た ん だ けど ―
イモ は レーション の 材料 だって 言って た よ ね ?
食べ物 の 話 は ちゃんと 覚え てる ん だ な
あっ そう か
これ …
レーション の 材料 表示 に ―
“ し お ” って の も ある な
あ はい ! 別 の 袋 も あり まし た !
マジ か
って こと は …
イモ さとう し お で ―
もし かして レーション 作れ る ん じゃ ?
マジ か ! ? すげ え ~
よ ~ し
( チト ) 昔 さあ ―
お じいさん と パン を 焼 い た こと が あった じゃ ない ?
あの パン は おいしかった
食べ物 の 話 は ちゃんと 覚え てる ん だ な
最後 の パン だった ね ~
( チト ) あの 時 み たい に やれ ば いい ん じゃ ない か な
( ユーリ ) うむ
粉 と さとう と し お を 混ぜ て …
水 を 加え ながら …
こねる
( ユーリ ) こねる
こねる
こねる ( チト ) こねる
( ユーリ ) こねる
( チト ) こねる
( ユーリ ) こねる
( チト ) こねる
( ユーリ ) こねる
( チト ) こねる
( ユーリ ) こねる
( チト ) こねる
( ユーリ ) こねる
結構 しんどい …
でも … 何 か 触り 心地 が 変わって き た ね
( チト ) ホント だ ね
( ユーリ ) わ っ め っちゃ も っち もち し て き た !
フフフ … も っち もち ~
( ユーリ と チト の 鼻歌 )
♪~
( ユーリ ) よい しょ
( チト ) フゥ ~
( ユーリ ) あ よい しょ ~
( チト ) ん …
( ユーリ ) あ よい しょ ~ N ( チト ) ん …
( ユーリ ) いち に
( チト ) ん ~
( ユーリ ) ワン ツー
( チト ) フゥ ~
( ユーリ ) よい しょ ~
( チト ) へ ~ い
( ユーリ ) あ よい しょ よい しょ
( チト ) ん ~ ん ~
( ユーリ ) いち に ~ いち に ~
( チト ) ん ~ ん ~
うに ょ ~ ん
( 2 人 ) ウヘヘ ~
( チト と ユーリ の 笑い声 )
( ユーリ ) これ を 伸ばし て …
切る !
あと は 焼く だけ か …
あっ
熱い …
焼き 加減 に 気 を つけ なきゃ
( ユーリ ) まだ ?
( チト ) まだ すぎる だ ろ
ハァ …
もう いい かな ~
まだ だって
( ユーリ ) そろそろ いい ん じゃ … N ( チト ) まだ
( ユーリ ) お 願い しま … N ( チト ) まだ
( ユーリ ) あっ ( チト ) まだ
( ユーリ ) ちょっと だ … N ( チト ) まだ
( ユーリ ) あ …
( ユーリ ) 焼け た かな ?
焼け た かな ~ ?
( チト ) ほお ~
お ~ 焼け てる ~
( チト ) いい 匂い …
おお ~ っ
ちょっと 焼き すぎ た かな …
( ユーリ ) 何 か キラキラ し てる ね
( チト ) 余った さとう を かけ た やつ かな
で はっ
( ユーリ ) うまい ~ N ( チト ) おいしい ~
( チト ) 生地 が まだ 残って る から 焼か ない と な
( ユーリ ) あれ だけ あれ ば 1 年 くらい 持つ の で は ?
( チト ) 無理 無理 見通し が 甘 すぎる
甘い か …
め ちゃ 甘い ね ~ これ
( チト ) さとう が たくさん あった から な
( ユーリ ) ん … ねえ ?
ん ?
甘い って 幸せ だ よ ね
そう だ な ~
( 2 人 ) ハァ …
♪~
いっぱい でき た ね ~
( シャッター 音 )
( シャッター 音 )
何 その 形
これ ?
あれ の 形
魚 ?
それ それ ~
これ は お じいさん で …
これ は カナザワ
イシイ
私 そして ち ー ちゃん