( 小鳥 の さえずり )
( 純 ( じゅん ) ) ウフッ
( 純 ) 頑 張る ぞ ー ! お ~ !
♪ ~
~ ♪
( 自転車 の ベル の 音 )
( 自転車 の ベル の 音 )
( 男子 生徒 A ) 純 ちゃん お は よ ー
お ~ は よ ~
( 男子 生徒 B ) 先生 ! ( 純 ) お ~ は よ ~
( 男子 生徒 C ) お っ は よ ー
( 男子 生徒 D ) おはよう ござい ま ー す
( 純 ) 実習 期間 は 残り 8 日 まず は あの 子 に …
あの 子 に 信頼 さ れ なきゃ
桂木 ( かつらぎ ) 君 の 心 を 開 い て み せる わ !
あの 子 に とって 最高 の 先生 に なる ぞ ! お ~ !
( 桂 馬 ( け いま ) ) なんで だ ?
なんで 授業 中 に ゲーム する の が 問題 な ん だ ?
( エルシィ ) よく ない です よ
でも まあ 教師 ルート に 入れ られ た の は 不本意 だ が
今 なら まだ 互換 フラグ で 脱出 できる
え ? “ 互換 フラグ ” ?
ちひろ の とき に 使った 誰 に でも 共通 の ルート だ
恋愛 に 関係 の ない イベント で テンション を いっぱい に 高め て
どこ か で それ を 恋愛 に 変換 する
しかし 今回 の 相手 は “ 親し さ ” を 属性 に 持つ 人間 だ
プラス の 感情 で 埋め て も 効果 は 薄い
な の で ここ は 怒り で 埋める
さあ て 怒ら せ まくる ぞ ! プンプン ! プンプン プンプン !
( エルシィ ) それ で うまく いく ん でしょ う か ?
わかる もん か !
とにかく 今 は 別 の フラグ を 立て て 違う 流れ に 行き たい
( 桂 馬 ) う わ っ
やった ー
( 桂 馬 ) このまま 教師 ルート を 続け て みろ ゴール は ヘタ し たら 卒業 式 だ ぞ
えっ 待 て ませ ん !
( 桂 馬 ) その ため に も …
目指せ ! 最悪 の 関係 !
あっ お … オー !
( 足音 )
( 純 ) か … 桂木 君
今 は 授業 中 よ ゲーム は …
( 桂 馬 ) 別 に いい でしょ
自習 中 な ん だ から
( 純 ) 今 なら この 子 の 気持ち が わかる
寂しい の よ 寂しい から こう なる の よ
( 桂 馬 ) どう だ
な っ !
( 純 ) 大丈夫 私 が なんとか し て あげる から ね
( 純 ) みんな 何 か 質問 は ない ?
( 男子 生徒 E ) は ー い ! は ー い !
どこ が わから ない の かも わかり ませ ー ん
( 生徒 たち の 笑い声 )
( 男子 生徒 F ) そら っ ( 男子 生徒 G ) おっと
あ …
( ゲーム の 操作 音 )
桂木 君
( 桂 馬 ) クソッ いつも の 攻略 だったら 誰 でも 簡単 に 怒ら せ られる のに
( 純 ) 桂木 君 ( 桂 馬 ) ん ?
( 純 ) 私 が 相手 する わ
ほら っ
( 桂 馬 ) フッ ( 純 ) あっ
( 桂 馬 ) フフフ これ で どう だ ?
( 二階堂 ( に かいどう ) ) う わ っ ( 桂 馬 ) ん ?
いい い …
( 二階堂 ) フフフフフ フーン
( 桂 馬 ) 慣れ ない こと する ん じゃ なかった
( 二階堂 ) シュート ! シュート ! ( 桂 馬 ) 違う 怒ら せる 相手 が 違う
( 純 ) あっ ああ …
( 桂 馬 ) う わ っ !
あー 私 の 靴
捜し て た の よ ありがとう !
( 桂 馬 ) ハァ …
( ドア が 開く 音 )
( エルシィ ) う わ っ ( 桂 馬 ) ん ?
( エルシィ ) う っ う う …
神様 チャンス チャンス
できる か !
( 純 ) 若き 天才 二 沢 ( に さ わ ) が ―
世代 交代 を 懸けて 挑む しか し !
全て の 技 を 受け止め そして 返す 鶴 馬 ( つるま )
( 桂 馬 ) よく 考え たら 僕 は 問題 児 な ん だ から
問題 児 が 問題 行動 を 取って も 普通 な の か
ゲーム の 中 の 主人公 は のっぺらぼう な の に
今回 は 自分 の パラメーター が 大きな 障害 だ
勝った 勝った ! 鶴 馬 3 冠 防衛 !
お …
( 純 ) 桂木 君 こっち 見 て た
そろそろ 必殺 技 出 そう かな
( チャイム の 音 )
( 女子 生徒 A ) じゃ ー ね ー ( 女子 生徒 B ) バイバイ
( 桂 馬 ) どう する ?
このまま じゃ 長瀬 ( ながせ ) の ペース から 逃げ られ ない ぞ
( 純 ) 桂木 君
帰る 前 に 先生 と 勝負 し ない ?
( 桂 馬 ) また 先手 を !
実は 先生 も かなり ゲーマー な の よ
クククー 私 に 勝 てる か ね ? ロンリー 桂木 君
( 桂 馬 ) 何 だ それ は そんな 思いつき の 手 に 誰 が 乗る か
( 純 ) さあ これ なら 興味 ある でしょ
桂木 君 あなた の ハート は もう カウント スリー よ
( 桂 馬 ) 逆さま ( 純 ) え ?
( 桂 馬 ) NPFP が 逆さま
ん ? あっ ああ ! とにかく 始め ま しょ う
ん ? あ れ れ ? つか ない
( 純 ) えー 高かった のに … ( 桂 馬 ) クッ …
( 桂 馬 ) 横 ! 側面 !
ん ? ああ ここ が スイッチ か
ありがとう 桂木 君
クッ …
( ゲーム 機 音楽 )
( 純 ) ふう ん 今 の ゲーム って すごい ん だ ね
あっ あら ?
面白い ! 桂木 君 が 夢中 に なる の わかる よ
でも ゲーム より 大切 な もの も ある
結局 ゲーム は 作り 物 よ 現実 の 代わり に は なら ない わ
だから 君 も ゲーム の 中 に 逃げ込 ん で ない で ―
現実 の 中 で ちゃんと 生き て いか なきゃ
私 力 に なる から ねっ !
( 桂 馬 ) お前 何にも わかって ない な
え ?
僕 が リアル から 逃げ て ゲーム を やって る と 思って た の か ?
あっ あの … 別に 私 は …
お前 の 勝手 な 基準 で 人 を 見る ん じゃ ない !
あ …
もう ちょっと わかって る ヤツ か と 思った よ
ああ …
か … 桂木 君 !
お前 なんか … う が っ
失礼 し まし た
( 純 ) そんな はず ない 私 は 間違って ない
あの 子 に とって これ が いちばん な の よ
どう し て わから ない の ?
どう し て 通じ ない の ?
( エルシィ ) もう 神様 が 怒ら さ れ てる じゃ ない です か
( 桂 馬 ) すま ん
しかたない もう 教師 ルート を 受け入れよ う
ええ ! でも それ じゃあ 長く かかる ん じゃ …
決まった ルート に 逆らう の は リスク が 大き すぎる
( エルシィ ) あ … ( 桂 馬 ) 大丈夫 だ
( 桂 馬 ) 僕 に 考え が ある
忘れ て た よ
僕 と 長瀬 を つなぐ 第三者 を
ここ から は 二階堂 を 攻める
( エルシィ ) 神様 どう し て 長瀬 先生 じゃ なく て
二階堂 先生 を 攻める ん です か ?
教師 ルート 最大 の ネック は 上下 関係 だ
( 桂 馬 ) 好き だ ー !
( 純 ) もう 桂木 君 ったら 勉強 の ほう は …
どう し た の ?
( 桂 馬 ) うわ ー !
( 桂 馬 ) この 関係 は 非常に 強固 で ―
短 期間 で 対等 に なる の は 難しい そこ で …
来い ! 二階堂 !
( ニカイドウロボ ) ンマ !
( 桂 馬 ) ハッ !
( 純 ) せ … 先輩 ?
( 桂 馬 ) この 学校 の 先輩 だった 二階堂 と 関係 を 作って
( 桂 馬 の 笑い声 )
えー !
( 桂 馬 ) 一気に あいつ と 対等 に なる
( 桂 馬 ) 年上 攻略 は 第三者 を ステップ に する
これ 定番 ! なん だ けど …
問題 は あの 二階堂 に …
( 二階堂 ) ど りゃ ! ( リョー ) う わ っ
どう やって 近づく か だ
( エルシィ ) それ は 大丈夫 です よ ( 桂 馬 ) ん ?
だって 神様 言って た じゃ ない です か
先生 は 生徒 と 仲よく する の が 仕事 だって
あ ? 何 だ ?
( キーボード を 打つ 音 )
( キーボード を 打つ 音 )
お前 と 私 に まだ 接点 が ある の か ?
( 桂 馬 ) 仲よく なる 気 まるで ない な こいつ
とりあえず 警戒 心 を 解く か
( 桂 馬 ) 先生 ( 二階堂 ) ん ?
僕 最近 悩 ん でる ん です
ゲーム ばっかり やって て このまま で いい の か って …
( 二階堂 ) そんな こと お前 が 思う わけな い だ ろ
う せろ 気色 悪い
( 桂 馬 ) こいつ 本当 に 教師 か ?
( 純 ) 児玉 ( こだま ) 先生 ( 桂 馬 ) ん ?
( 純 ) さっき の 怒り 方 ひどく ない でしょ う か
あんな 怒り 方 を し たら 生徒 を 傷つけ ます
( 児玉 ) あ ? 何 だ ?
ダメ な ヤツ を ダメ と 言って 何 が 悪い ?
ダメ な 子 を ダメ じゃ ない 子 に する の が 教師 です よ
ハハハ ! 理想 を 言う ね 若い 人 は
う っ …
( 児玉 ) 教師 は 大人 だ よ
子供 に 現実 を 教える の が 大人 の 役目 だ
( 純 ) う っ …
( 桂 馬 ) ん ?
( 純 ) どう し て あんな 人 が 教師 な の かしら
現実 って わざわざ 学校 で 教える もの ?
( リョー ) だ から チゲー って ( 男子 生徒 H ) ええ ?
( リョー ) 好き と か じゃ ね ー し
( 男子 生徒 H ) 超 てれ てる ( 男子 生徒 I ) 好き な ん だ ろ ?
( リョー たち の 笑い声 )
( 純 ) 君 たち ! ( リョー たち ) あ ?
また ポイ 捨て し てる の ね
すぐ 横 に ごみ箱 が ある でしょ !
( リョー ) うる せ え な
( 男子 生徒 H ) あっ こいつ 2 年 とこ に 来 てる 熱血 女 じゃ ん
え ?
( リョー ) ウッゼ 行く ぞ ( 男子 生徒 H ) ハァ
( 純 ) 私 普通 の こと を 言って る だけ
当たり前 の こと を 言う の が どう し て 熱血 な の ?
( 缶 を 蹴飛ばす 音 )
( 桂 馬 ) だ ー !
なな な …
なな な …
( 桂 馬 ) う う う …
こいつ ら の 言い回し は 文法 的 に おかしい
これ の どこ が 私 の 授業 より 面白い ん だ ?
出来 た !
( 二階堂 ) お ー 早い な ! じゃあ C 組 の も 頼む
( 桂 馬 ) え ?
ため 過ぎ だ ろ !
うるさい ヤツ だ な 返し て ほしい ん だ ろ ? これ
( 二階堂 ) だったら … ( 桂 馬 ) 違う !
余計 な 手順 は もう なし だ 何でも いい
お前 の 知って いる 長瀬 の 情報 を 教えろ
( 二階堂 ) ほう お前 も 女 に 興味 を 持つ の か
( 桂 馬 ) う っ そ … そう いう こと じゃ なく て
あ … お っ お … おお …
( 二階堂 ) 教え て やる ぞ 何でも
ウッ アッ アッ …
( 二階堂 ) こんな ところ で どう だ ?
( 女子 生徒 C ) 長瀬 先生 に 体力 ない から 運動 苦手 って 言ったら さ
一緒に 走 ろ う って ジョギング 誘わ れ ちゃ った
さすが に 断った けど ね
( 女子 生徒 D ) よかった 私 も 断っちゃ っ た から
( 男子 生徒 J ) へ ぇ ~ すごい な 長瀬 先生
みんな の 相談 に 乗って ん の ?
( 女子 生徒 C ) うん ( 女子 生徒 D ) でも ちょっと …
熱 すぎる の よ
( 3 人 ) あっ …
( 男子 生徒 K ) ん ? 何 です か ? 長瀬 先生
ねえ これ から 私 と 一緒に 勉強 し ない ?
( 男子 生徒 K ) え ? なんで ?
児玉 先生 に ダメダメ だって 言わ れ て 悔しく ない の ?
見返し て やり ま しょ うよ
( 男子 生徒 K ) いい よ 別に 見返す と か
どう し て ? あなた バカ に さ れ た の よ
侮辱 さ れ た の よ
せめて 児玉 先生 に 文句 言う べき よ
( 女子 生徒 E ) もう 長瀬 先生
嫌がって る し やめよ う よ
( 純 ) あ … ( 女子 生徒 F ) そう そう
( 女子 生徒 F ) 児玉 に 目 つけ られ て 面倒くさい こと に なったら 嫌 だ し さ
( 純 ) 面倒くさい ?
君 たち 面倒くさい から ―
バカ って 呼ば れ て も いい って 言う の ?
そりゃ あ いい こと は ない けど …
だから って ねえ …
( 純 ) どう し て みんな が 嫌 な こと な の に 何 も し ない の ?
しかたない よ
それ が 現実 って こと で
現実 ?
( 女子 生徒 E ) 先生 ?
あの …
何 が 現実 よ ! バカ じゃ ない の
( 女子 生徒 E ) う っ う う …
( 女子 生徒 E ・ F ) ああ …
ハッ
ご … ごめんなさい
( 女子 生徒 G ) ああ いう の も 嫌 だ よ ね
ハッ
児玉 も ひどい けど
長瀬 先生 みたい な の も 意外 と キツ い よ ね
( 女子 生徒 G ) 今 は 実習 だ から いい けど さ
( 男子 生徒 K ) 熱血 教師 って の も つきあい き れ ない よ な
( 女子 部員 ) もう つきあい き れ ない よ
( エルシィ ) ん ?
( エルシィ ) うーん 全然 腫れ が 引き ませ ん
( 桂 馬 ) 今日 1 日 中 …
二階堂 に 仕事 さ せ られ て た から な
あいつ は 生っ粋 の エス だ
それ で 長瀬 先生 の 情報 の ほう は ?
( 桂 馬 ) ゼロ だ ( エルシィ ) えー !
( 桂 馬 ) 二階堂 の ヤツ もっと すんなり 話せよ
おかしい な
( 桂 馬 ) お ? ( エルシィ ) あ …
( 桂 馬 ) エルシィ 長瀬 の ヤツ
僕 が 見 て ない 間 に 何 か あった か ?
いいえ 別に … ただ 時々
クラス の みんな と 食い違って は い ます けど …
( 二階堂 ) 何 だ ? まだ 用 か ?
( キーボード を 打つ 音 )
( キーボード を 打つ 音 )
長瀬 落ち込 ん で た ぞ
( キーボード を 打つ 音 )
( キーボード を 打つ 音 )
( 二階堂 ) 大した こと じゃ ない だ ろ 問題 は 報告 さ れ て ない
( 二階堂 ) 大した こと じゃ ない だ ろ 問題 は 報告 さ れ て ない
その ほう が 問題 だ
( キーボード を 打つ 音 )
( キーボード を 打つ 音 )
小さな こと で 落ち込む ほう が 根 が 深かったり する ん だ
( キーボード を 打つ 音 )
そう か 長瀬 の こと を 教え て くれ ない の は ―
話し たく ない こと が 含ま れ てる ん だ
( 二階堂 ) 根拠 も なし に 何 が “ そう か ” だ
ゲーム じゃ よく ある 話 です よ
ハァ …
( 桂 馬 ) 不思議 だ
あいつ が 落ち込む と なぜ か 気 に なる ん だ
あいつ は いつも 落ち込 ん でる コート に い た とき から
ん ? コート ? コート コート …
( 体育 教師 ) ああ コート ね
ほら あれ
2 人 と も 写って る だ ろ
“ 第 39 回 全国 大会 優勝 ”
( 二階堂 ) 舞 校 ( まい こう ) バスケ 部 最後 の 栄光 だ
( エルシィ ) 知ら なかった です
舞 校 の バスケ 部 って 強かった ん です ね
あっ
( 桂 馬 ) やっと … ( エルシィ ) はい ?
やっと こちら の ペース で 進め られ そう だ
♪ ~
~ ♪