二 ふた

< p > しばらく 行く と 、 どこ から か あぶ が 一 匹 飛んで きて 、 ぶん ぶん うるさく 顔 の まわり を 飛び回り ました 。 ||いく|||||||ひと|ひき|とんで|||||かお||||とびまわり| 若者 は そば に ある 木 の 枝 を 折って 、 はらいのけ はらいのけ して 歩いて い ました が 、 あぶ は やはり どこまでも ぶん ぶん 、 ぶん ぶん 、 うるさく つきまとって き ました 。 わかもの|||||き||えだ||おって||||あるいて||||||||||||||| 若者 は がまん が でき なく なって 、 とうとう あぶ を つかまえて 、 さっき の わら で おなか を しばって 、 木 の 枝 の 先 へ くくりつけて 持っていき ました 。 わかもの||||||||||||||||||き||えだ||さき|||もっていき| あぶ は もう 逃げる こと が でき なく なって 、 羽 ばかり あいかわらず ぶん ぶん やって い ました 。 |||にげる||||||はね||||||| すると 向こう から 、 身分 の ある らしい 様子 を した 女 の 人 が 、 牛車 に 乗って 長谷 寺 へ おまいり に やって 来 ました 。 |むこう||みぶん||||ようす|||おんな||じん||ぎゅうしゃ||のって|はせ|てら|||||らい| その 車 に は 小さな 男の子 が 乗って い ました 。 |くるま|||ちいさな|おとこのこ||のって|| 男の子 は 車 の みす を 肩 に かついで 、 たいくつ そうに きょろきょろ 外 の けしき を ながめて い ました 。 おとこのこ||くるま||||かた||||そう に||がい|||||| すると 若者 が 木 の 枝 の 先 に ぶん ぶん いう もの を つけて 持って 来る の を 見て 、 ほしく なり ました 。 |わかもの||き||えだ||さき||||||||もって|くる|||みて||| そこ で 男の子 は 、 p >< p >「 あれ を おくれよ 。 ||おとこのこ|||||| あれ を おくれよ 。」 p >< p > と 、 馬 に 乗って お供 に ついて いる 侍 に いい ました 。 |||うま||のって|おとも||||さむらい||| 侍 は 若者 に 向かって 、 p >< p >「 若 さま が そのぶん ぶん いう もの を ほしい と おっしゃる から 、 気の毒だ が さし上げて くれ ない か 。」 さむらい||わかもの||むかって|||わか||||||||||||きのどくだ||さしあげて||| p >< p > と 頼み ました 。 |||たのみ| 若者 は 、 p >< p >「 これ は せっかく 仏 さま から いただいた もの です が 、 そんなに ほしい と おっしゃる なら 、 お 上げ 申し ましょう 。」 わかもの|||||||ふつ|||||||||||||あげ|もうし| と いって 、 すなおに あぶ の ついた 枝 を 渡し ました 。 ||||||えだ||わたし| 車 の 中 の 女 の 人 は それ を 見て 、 p >< p >「 まあ 、 それ は お 気の毒 です ね 。 くるま||なか||おんな||じん||||みて|||||||きのどく|| では その 代わり に 、 これ を 上げ ましょう 。 ||かわり||||あげ| のど が かわいた でしょう 、 お 上がり と いって 、 上げて おくれ 。」 |||||あがり|||あげて| p >< p > と いって 、 大きな 、 いい に おい の する みかん を 三 つ 、 りっぱな 紙 に のせて 、 お供 の 侍 に 渡し ました 。 ||||おおきな||||||||みっ|||かみ|||おとも||さむらい||わたし| 若者 は それ を もらって 、 p >< p >「 お やおや 、 一 本 の わら が 大きな みかん 三 つ に なった 。」 わかもの|||||||||ひと|ほん||||おおきな||みっ||| p >< p > と よろこび ながら 、 それ を 木 の 枝 に むすびつけて 、 肩 に かついで いき ました 。 |||||||き||えだ|||かた|||| p >