すす 竹 売り
|たけ|うり
す す 竹 売り
||たけ|うり
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。
||きち|しろく|||いう|||じん|||
以前 、 吉 四六 さん は キジ を 売って いる と 勘違い さ せて 、 カラス を 売り つけて 大もうけ した 事 が あり ます が (→ おとり の キジ )、 これ は それ から しばらく たった ある 日 の お 話し です 。
いぜん|きち|しろく|||きじ||うって|||かんちがい|||からす||うり||おおもうけ||こと|||||||きじ||||||||ひ|||はなし|
In the past, Yoshishiroku-san misled you into thinking he was selling pheasants, so he made a lot of money selling crows (→ decoy pheasant), but this is the story of one day, some time after that.
今度 は 吉 四六 さん 、 町 に す す 竹 を 売り に やって 来 ました 。
こんど||きち|しろく||まち||||たけ||うり|||らい|
This time, Yoshishiroku has come to town to sell Susu bamboo.
「 ささ や ~ ぁ 、 す す 竹 ~ ぇ 」 吉 四六 さん が 声 を 張り上げて 町 の 中 を 歩いて いる と 、 その 姿 を 見た 一 人 の 商人 が 隣 の 店 に 飛び 込み ました 。
|||||たけ||きち|しろく|||こえ||はりあげて|まち||なか||あるいて||||すがた||みた|ひと|じん||しょうにん||となり||てん||とび|こみ|
"Sasaya, Susutake," shouted Yoshishiroku as he walked through the town.
「 河内 屋 ( かわ ち や ) さん !
かわうち|や||||
"Mr. Kawachiya!
ちょっと 、 ちょっと 」 「 これ は これ は 、 虎 屋 ( とら や ) さん 。
||||||とら|や|||
どう し ました ?
」 「 ほれ 、 いつか 。
かご の 上 に キジ を 乗せて 安い 値 で 『 カラス 、 カラス 』 と 言って 売り に 来た 男 が い ました ね 。
||うえ||きじ||のせて|やすい|あたい||からす|からす||いって|うり||きた|おとこ||||
There was a man who put a pheasant on a basket and came to sell it at a low price, saying, "Crow, crow."
それ を 見て 『 きっと 、 カラス と キジ の 見分け が つか ない 田舎 者 だ 』 と 思って 、『 カラス を くれ 』 と 言う と 、 中 から 本物 の カラス を 取り出して 売り つけた で は あり ませ ん か 」 「 ああ 、 あり ました 。
||みて||からす||きじ||みわけ||||いなか|もの|||おもって|からす||||いう||なか||ほんもの||からす||とりだして|うり||||||||||
覚えて い ます よ 」 「 そう 、 その 男 が 今 、 す す 竹 売り に 来た んです よ 。
おぼえて||||||おとこ||いま|||たけ|うり||きた||
I remember." "Yes, the man just came to sell bamboo.
どう です ?
あの 時 の 腹いせ に 、 うーん と 油 を しぼって やろう じゃ あり ませ ん か 」 そう 言って 虎 屋 と 呼ば れた 男 は 、 河内 屋 に ある 作戦 を ささやき ました 。
|じ||はらいせ||||あぶら||||||||||いって|とら|や||よば||おとこ||かわうち|や|||さくせん|||
As revenge for that time, why don't you squeeze some oil?" The man called Toraya whispered a plan to Kawachiya.
「 なるほど 、 これ は おもしろい 」 「 でしょう 。
そら 、 やって 来 ました よ 。
||らい||
・・・ おい 、 す す 竹 売り !
|||たけ|うり
」 虎 屋 が 吉 四六 さん に 、 声 を かけ ました 。
とら|や||きち|しろく|||こえ|||
すると 吉 四六 さん は 、 すぐ に やって 来て 、 「 へい 、 ありがとう ございます 」 と 、 頭 を 下げ ました 。
|きち|しろく||||||きて|||||あたま||さげ|
Then Yoshishiroku-san came over immediately and said, "Thank you very much," and bowed his head.
「 さ さ を 、 一 本 くれ ない か 。
|||ひと|ほん|||
"Could you give me one sasa?
いくら だ ?
how much?
」 「 はい 。
十 文 で ございます 」 「 それ 十 文 だ 。
じゅう|ぶん||||じゅう|ぶん|
とっ とき な 」 「 はい 、 ありがとう ございます 」 「 おい 、 おれ に は 、 す す 竹 一 本 くれ 」 今度 は 、 河内 屋 が 声 を かけ ました 。
と っ||||||||||||たけ|ひと|ほん||こんど||かわうち|や||こえ|||
It's time." "Yes, thank you very much." "Hey, give me a piece of soot bamboo."
「 はい 、 ただいま 」 吉 四六 さん が 何気なく す す 竹 を 一 本 渡す と 、 河内 屋 は いきなり 怒り 出し ました 。
||きち|しろく|||なにげなく|||たけ||ひと|ほん|わたす||かわうち|や|||いかり|だし|
"Yes, I'm home." Kawachiya suddenly got angry when Yoshishiroku casually handed him a stick of bamboo.
「 おい こら !
"Hey come on!
これ は 虎 屋 に 売った の と 同じで は ない か !
||とら|や||うった|||おなじで|||
Isn't this the same one I sold to Toraya!?
虎 屋 は 『 さ さ 』 で 、 おれ は 『 す す 竹 』 と 言った んだ !
とら|や|||||||||たけ||いった|
Toraya said "Sasa" and I said "Susutake"!
」 虎 屋 も 、 吉 四六 さん に 詰め寄り ました 。
とら|や||きち|しろく|||つめより|
Toraya, too, rushed to Kichishiroku-san.
「 そう だ !
『 ささ や 、 す す 竹 』 と 言う からに は 、 違う 物 で なければ なら ん 。
||||たけ||いう|||ちがう|ぶつ||||
If you say, ``Sasaya, Susutake,'' it must be something different.
見れば 、 みんな 同じ 物 だ 。
みれば||おなじ|ぶつ|
If you look at them, they're all the same thing.
お前 は かたり (→ 人 を だまして 、 お 金 を 取る こと ) だ !
おまえ|||じん||||きむ||とる||
You are a swindler (→ cheating people and taking money)!
ふとい やろう だ !
Let's do it suddenly!
」 全く のいちゃ もん です が 、 でも 吉 四六 さん は 平気な 顔 で 言い ました 。
まったく||||||きち|しろく|||へいきな|かお||いい|
It's a complete joke, but Yoshishiroku said with a calm face.
「 これ は これ は 、 誰 か と 思ったら 、 虎 屋 の 旦那 で 」 「 うん 、 いかにも おれ は 虎 屋 だ 」 「 お 名前 は 、 権兵衛 さん で ?
||||だれ|||おもったら|とら|や||だんな||||||とら|や|||なまえ||ごんべえ||
"I thought this was Toraya's husband." "Yeah, I'm Toraya."
」 「 ああ 、 権兵衛 だ が 、 それ が どうかした か ?
|ごんべえ||||||
"Oh, Gonbei, what's wrong with that?"
」 「 ヘヘ へ 、 そちら さま は 、 河内 屋 の 久 六 ( きゅう ろく ) さん で ?
|||||かわうち|や||ひさ|むっ||||
"Hehehe, are you Mr. Kyuroku from Kawachiya?"
」 「 そうだ 。
そう だ
河内 屋 が 屋号 ( やごう ) で 、 名 が 久 六 だ 。
かわうち|や||やごう|||な||ひさ|むっ|
Kawachiya is the name of the store, and the name is Kyuroku.
さあ それ より も 早く 、 さ さ で ない す す 竹 を 寄こ せっ !
||||はやく|||||||たけ||よこ|
Now, quicker than that, give me some not-so-small bamboo!
」 すると 吉 四六 さん は 、 腹 を かかえて 笑い 出し ました 。
|きち|しろく|||はら|||わらい|だし|
Then Yoshishiroku-san held his stomach and burst into laughter.
「 な 、 なに を 笑う !
|||わらう
」 「 いや 、 実は わたし の 売って いる 竹 は 、 屋号 が 笹 屋 で 、 名前 が す す 竹 と 申す のです 。
|じつは|||うって||たけ||やごう||ささ|や||なまえ||||たけ||もうす|
"No, actually, the name of the bamboo I sell is Sasaya, and the name is Susutake.
屋号 で 呼んで も 名前 で 呼んで も 、 物 は どちら も 同じ 物 です よ 」 それ を 聞いた 二 人 の 商人 は 、 「 ちくしょう 、 また やられた わ !
やごう||よんで||なまえ||よんで||ぶつ||||おなじ|ぶつ|||||きいた|ふた|じん||しょうにん|||||
It doesn't matter if you call it by its trade name or its name, it's the same thing." When the two merchants heard that, they said, "Damn, we got hit again!
」 と 、 言って 、 おとなしく 店 の 中 に 帰って 行き ました 。
|いって||てん||なか||かえって|いき|
'' he said, and quietly returned to the shop.
おしまい