( セミ の 声 )
( いおり ょぎ ) いい か こば と !
夏 休み は オレ 達 の ライバル だ !
( こば と ) ライバル … です か 。
そう だ ! 夏 休み の ヤツ は →
海 だ ! 虫 捕り だ ! スイカ 割り だ !
と 心 の 傷 や 痛み から 目 を 背け させる 術 を →
ゴマン と 持って る ん だ から な 。 聞い て ん の か ど ば と !
お 手紙 … 。 手紙 じゃ ねえ チラシ って 言う ん だ !
言わ ん こっちゃ ねえ 。 こりゃ コンペイトウ 集 め も 苦戦 する か も 。
とりわけ 夏 祭り は 強敵 だ 。
笛 や 太鼓 縁日 に 浴衣 さらに 盆踊り まで ついてくる 。
きれい です 。
いい か ! オレ の 言い たい 事 は 分かって る だ ろ う な !
( 風 の 吹く 音 ) あっ !
まだ 話 は 終わって ねえ ぞ !
夏 祭り に 負け ない よう に →
皆さん の 傷 つい た 心 を 癒 やし て 差し上げ ます !
・~ ( オープニング ・ テーマ )
・ 「 どう すれ ば いい ん だ っけ 」
・ 「 あたりまえ の こと って いつも 難しい な 」
・ 「 嬉しい とき 笑って 」
・ 「 好き な とき に 歌い たい だけ な のに 」
・ 「 いつか 願い は 叶う と 」
・ 「 でも いつ かって どれ くらい ? 」
・ 「 待ち きれ ない よ 」
・ 「 123 ! の 合図 で 両手 広げ て 」
・ 「 全身 に ひかり を 集め て 」
・ 「 どこ に ある の 教え て 私 に できる 事 」
・ 「 めいっぱい 傷 つい て せい いっぱい 走って 」
・ 「 何 十 回 転 ん で 泣 い て 」
・ 「 それ でも また あきれる くらい 」
・ 「 明日 を 信じ てる 」
・~
( なつき ) 夏 祭り … 。
( 足音 )
どこ に 飛 ん で いった ん でしょ う ?
これ です か ?
はい それ です !
ありがとう ござい ます 。
ちょっと 待って 。 これ 使って 。 え ?
手 が び しょ ぬれ です よ 。 あっ !
・ ありがとう ござい ます !
( 藤本 ) あん ? 何 やって ん だ あいつ ?
夏 祭り の チラシ な ん です 。
もう 夏 祭り の 時期 な の ね 。 行った 事 ある ん です か ?
子供 の 頃 から 毎年 ね 。 おみこし に 縁日 に 花火 。
花火 … ?
わ ~ !
でも … 今年 は 行け ない か な 。
どうして です か ?
( 子供 達 の 声 )
( 子供 1 ) 絶対 負け ない から !
( 子供 2 ) でも ね 私 ね ちょっと 泳げ る よう に なった !
あっ !
もう 行か なきゃ 。 今日 は 高校 の 登校 日 な の 。
よもぎ 保育 園 は 夏 休み です ! えっ ?
( ゆき の ) あっ ! あ ~ !
イタッ … 。
ゆきの … 。
なっちゃ ん … おはよう 。
あ … 。
また ケータイ 見 ながら 歩 い て た の ね 。 グズグズ し てる と 遅刻 する よ 。
あ … ?
大丈夫 です か ?
は ぁ ?
あっ ! こば と ~ 。
いおり ょぎ さん
体 が 重い … 。
ぐ は は は は は … !
大丈夫 です か ? 大丈夫 じゃ ねえ !
言って る そばから 祭り に 負け てん じゃ ねえ か !
そこ を 動く な ! 今 オレ 様 が 気合い を 入れ て やる 。
ゴホッ ゴホッ ゴホッ 。
干し て くれ 。
あの 制服 は 聖 南 女 学院 だ 。
なっちゃ ん さん の 事 ご存じ で ?
知ら ん 。 女子 大 付属 の 高校 だ 。 清 花 さん と 千歳 さん の 出身 校 だ 。
よく ご存じ です ね 。
お前 に は 縁 の ない お 嬢 様 学校 だ 。
今日 も 意地悪 です 。 保育 園 が 夏 休み の 間 →
ずっと バイト と 勉強 で 煮詰まって ん じゃ ねえ か ?
は あ ? 乾 い た ぞ 。 これ 返し に 行く ん だ ろ ?
そう で し た 。
・~
なっちゃ ん さん 居 ませ ん ね 。 早く し ない と 日 が 暮れる ぞ 。
あっ ! 居 まし た 。
( 担任 教師 ) 水橋 な つき さん が 代表 を 務める ボランティア クラブ の 美化 活動 が 認め られ →
この度 県 から 感謝 状 を 頂く 事 に なり まし た 。
( 拍手 )
なっちゃ ん さん は 水橋 なつき さ ん と いう お 名前 な ん です ね 。
コケ て た ヤツ も 同じ クラス か … 。
( 担任 ) 休み だ から と いって 夜更かし し ない よう に !
あっ … 今朝 の … 。
( 担任 ) 夏 休み は 気 が 緩み がち です 。 →
聖 南 の 生徒 に ふさわしい 節度 … 。 ( シャッター 音 )
森川 さん また あなた ね ! →
いい加減 に し ない と 没収 し ます よ !
す … すみません 。 ( 笑い声 )
( 若菜 ) うまく 撮れ てる ! ( はる な ) やっぱり センス ある よ 。
( ゆき の ) そう かな ? 自信 持ち な よ 。
( 担任 ) … 以上 です 。 ( チャイム )
( 担任 ) プール 掃除 の 当番 は プール サイド に 集合 し て 下さい 。
来る ぞ 。 は いっ 。
( 戸 の 開 音 )
( ざわめき )
あっ … あの !
あなた ここ の 生徒 ?
いいえ 。 私 は 「 よもぎ 保育 園 」 の 花 戸 小 鳩 です 。
保育 園 ? 何 を 言って る の ?
そこ の あなた ! 急 い で 事務 員 さん を 呼 ん で き て 。
めん どく せ ぇ ~ 。 こば と 逃げろ 。
え ? どうして です か ? いい から 逃げろ 。
は いっ やって み ます 。
こら ! 待ち なさい !
とにかく なつき さん を 捜さ ない と 。
( カメラ の シャッター 音 )
レンズ を ちゃんと 持って 。 やっぱり 本物 は いい な !
ゆき の っち だって もう じき 買え る じゃ ない 。
あっ ! あの 子 今朝 なっちゃ ん と … 。
ゆきの さん と おっしゃる ん です か 。 ええ 。
私 は 花 戸 小 鳩 です !
( ゆき の ) なっちゃ ん 。
彼女 なっちゃ ん に 用 が ある みたい な ん だ けど 。
今朝 の … 。
ハンカチ お返し に まいり まし た !
洗って くれ た の ?
はい ! でも アイロン を 持って なく て シワ シワ で すみ ませ ん 。
そんな 事 … 。 どうも ありがとう 。
じゃあ 私 行く ね 。
えっ ! プール 掃除 は ?
ごめん 。 なっちゃ ん に は 言って なかった けど バイト し て て … 。
アルバイト は 校則 で 禁止 さ れ てる でしょ う ?
分かって る けど … 。
( 若菜 はる な ) ゆきの ~ !
遅く なっちゃ っ た ! う うん 。 なっちゃ ん ホント ごめん 。
( なつき ) ゆきの … 。
ゆき の っち 今 カメラ を 買う ため に 頑張って て 。
えっ ! プール 掃除 は 私 達 が 手伝う から →
今日 の ところ は 見逃し て !
知ら なかった … 。
なつき さ ん ! えっ ?
こば と ご 一緒 し ます !
藤本 さん が 言った とおり です 。
さすが 私 と は 縁 の ない 場所 です 。
いきなり 「 ご 一 緒 し ます 」 って あり え ねえ ナンパ だ よ な 。
ナンパ … ? それ あり え ない ん です か ?
( ドア の 開 音 )
お 待た せ 。 いきなり ナンパ し て すみません !
私 も 一 人 で 帰り たく ない 気分 だった から うれしかった わ 。
良かった です 。
あの 写真 … 。
ゆきの さん に 似 て い ます 。
小学生 の 頃 の 夏 祭り … 。
とって も 仲よし です ! 仲よし だった … かな ?
今 は 仲よし じゃ ない ん です か ?
だって ゆきの が 避ける から … 。
回想
なっちゃ ん おはよう 。 おはよう ゆきの ちゃん 。
後ろ シャツ 出 てる よ 。 えっ ! 直し て あげる ね 。
( なつき ) < 昔 は 普通 に 毎朝 一緒 に 学校 に 通って た >
遅れ て ごめん ! 寝ぐせ すごい よ !
うそ ! ちょっと 待って て ! えっ
ゆきの ちゃん 早く 戻って 来 て ね !
< それ が いつ の 頃 から か …>
( ゆき の ) ごめん ね 。 寝坊 し ちゃ った 。 先 に 行って て 。
うん 分かった 。
< 高校 に 入って から は だんだん …>
それ で ね … 。
きれい … 。 ( なつき ) え ?
ごめん なっちゃ ん 。 先 行って て 。
うん … 。
( 若菜 ) ゆきの ちゃん 写真 に 興味 ある なら うち の 部 に 入 ん な よ 。
でも 部活 と か まで は 私 … 。 ( はる な ) 見学 だけ でも … 。
( ゆき の ) あの … 。 ( 若菜 ) いい から いい から 。
< 最近 は もう すっかり 別々 で …>
ゆきの が 何 を 考え て いる の か 分から なく て … 。
・~
・~
なつき さん を お 助け し たい です ! どう やって ?
分かり ませ ん 。
分か ん ねぇ の か よ ~ ! き ゃ ~ !
とりあえず ゆきの さん に お 会い し て み ます 。
( 役員 ) ご苦労さま 。 なんとか 祭り に 間に合い そう だ 。
はい 。 あ … 。
あれ ?
好き な の どうぞ 。 アルバイト の お邪魔 を し て すみません 。
もう 終わり だ から 気 に し ない で 。 そう なん です か 。
お 金 も たまった し 明日 から の 駅 ビル の セール で カメラ 買う ん だ 。
昨日 持って い た の は 違う ん です か ? 昨日 ?
あれ は 友達 の 。 自分 の が どうしても 欲しく て →
ずっと バイト し て た ん だ 。 すごい です ね !
ケータイ の カメラ で 始め た 趣味 な ん だ けど すっかり ハマ っちゃ っ て 。 →
写真 部 の 友達 と も 仲よく なった し すごく 話 が 合う ん だ 。
なつき さん は … ?
なつき さ ん と は お 話 し ない ん です か ?
なっちゃ ん は 昔 から の 友達 で … 。
回想
ウフフ … お そろい だ ね 。 うん 。
ねえ ストラップ 買い に 行 こ う ! お そろい が いい 。
ストラップ まで 同じ だ と 分か ん なく なっちゃ う よ 。
そ っか … エヘヘ ヘヘ 。
私 は これ に する 。 じゃあ 私 は これ 。
なつき だ から スイカ 。 ゆきの は 雪だるま 。
( 2 人 ) かわいい ~ !
取り替え っこ する ? うん 。
大切 に する ね 。 私 も 大切 に する フフフ 。
なつき さ ん と は もう 仲よし じゃ ない ん です か ? えっ ?
嫌い に なっちゃ っ た ん です か ?
なっちゃ ん を 嫌い に なんか なら ない ! →
なっちゃ ん は 私 の あこがれ 。
回想 や だ ~ 恥ずかしい よ 。
ねえ 一緒 に 撮 ろ う 。 うん 。
( 2 人 ) はい チーズ 。
( ゆき の ) 今度 ちゃん と 撮ら せ て !
( なつき ) ゆきの が もっと 上手 に なったら ね 。
( 2 人 の 笑い声 )
なつき さん も ゆきの さん も 本当 は 仲よし で い たい のに →
どうして 仲 よく でき ない ん でしょ う ?
さあ な 本人 達 に も 分から ねえ の に 分かる ハズ が ねえ だ ろ う 。
でも … 何とか し たい です 。
すみません 。 セール 中 の カメラ 屋 さん は どちら で しょうか ?
( 案内 人 ) それ でし たら … 。 は いっ 。
( 若菜 ) 帰ったら 試し 撮り し よ う 。 ( はる な ) いい ね それ 。
あ … 。
なっちゃ ん 。 お 買い物 ? う … うん 。
一 眼 レフ の カメラ 。
そう 。
ゆき の っち 頑張って バイト し て いい カメラ 買った ん だ よ 。
そう そう 。 私 たち 写真 部 も うらやましい ぐらい 。
ゆき の っち 写真 部 入り な よ ! それ い ~ ね !
一 眼 デビュー 記念 って 事 で 。
( はる な ) 念願 の カメラ 買った ん だ し 。 ( 若菜 ) 今度 撮影 会 行 こ う よ ! →
ゆき の っち 才能 ある から 絶対 いい 写真 撮れる って !
( 3 人 で はしゃぐ 声 )
バッカ みたい ! えっ ?
写真 って 広告 の 構図 を マネ る と そこそこ 上手 に 見える から →
勘違い し ちゃ う 人 が 多い の よ ね 。 →
ゆき の 勘違い し てる ん じゃ ない ? →
才能 も ない くせ に プロ 気取り の アマチュア って ホント 最悪 !
・~
ゆきの さん !
なつき さ ん !
ゆきの さん ?
あ … 才能 が あったら いい なって 思う けど →
今 は 写真 が 面白く て カメラ が 好き で ただ それ だけ … 。
あの … 大好き な カメラ 買え て 良かった です ね 。 それ から … 。
ごめん 。
一 人 に し て くれる ?
( すすり泣き )
なんで あんな 事 言っちゃ っ た ん だ ろ う ?
ない ! ストラップ が ない ! どうして ?
・~
ない … 。 あっ !
おい 今度 は どこ 行く ん だ ?
やっぱり さっき の なつき さん は よく あり ませ ん 。
だから ひと言 言って 差し上げ なけ れ ば !
言う って 何 を ? それ は … 。
とにかく このまま で は いけ ませ ん !
・ ( 物音 )
・~
どう なさった ん です か ?
ない の ! ストラップ が ない の !
お 手伝い し ます !
そこ も 全部 何度 も 捜し た けど ない の !
どう しよ う 私 … 。 ゆきの に ひどい 事 言っちゃ って … 。
だから なくなっちゃ っ た ん だ ! ( 泣き声 )
とにかく 捜し ます !
( 泣き声 )
どう しよ う … 。 私 … 私 … 。
・~
なつき さ ん … 。
あっ ?
・~
なつき さ ん … 。
あり まし た !
ありがとう … 。
ありがとう こば と ちゃん 。
( ヒグラシ の 声 )
ゆきの さん と なつき さ ん 本当 は まだ 仲よし な ん です ね 。
私 ゆきの が 怖かった の かも … 。
ゆきの さん の 一生懸命 さ が すてき だった から で は ?
あ … 。
ゆきの は 昔 から 少し 変わって て 時々 遠い 存在 の よう に 感じ て →
私 置 い て いかれ そう で すごく 不安 だった 。
だから 勉強 や 他の 事 で 頑張る しか なかった の 。
先 に ゆき の を 遠ざけ た の は 私 の ほう だった 。
なつき さ ん 。 お 電話 貸し て 頂け ます か ?
( メール 着信 音 )
なっちゃ ん … 。
あっ … 。
なっちゃ ん まだ 持って て くれ た ん だ 。
ゆきの さん 。
さっき は ひどい 事 言って … 。 あの … 。
( ゆき の ) 一緒 だ よ 。 え ?
私 も ずっと 持って る よ 。
ゆきの … 。
( なつき ) 私 も ずっと 持って る よ 。
清 花 先生 と 千歳 さん は ケンカ し た 事 ない の です か ?
( 千歳 清 花 ) え ? 数え きれ ない くらい し た わ よ ね 。
あら そう だった かしら ?
しばらく 口 を 利か ない 事 なんて 何度 も あった わ 。
( 清 花 ) そう ね 。 そんな 事 も あった わ ね 。
でも お 二 人 は 仲よし な ん です ね 。
なっちゃ ん スマイル !
え ~ 恥ずかしい よ 。 ( 打ち上げ 花火 )
わ ~ !
花火 きれい です ね 。
へ っ ! 今日 は 90 点 だ 。 持って け ドロボー !
わ ~ ! 花火 きれい です ね ~ !
て め ぇ が 夏 祭り に 癒 や さ れ て どう する ん だ ?
やっぱり マイナス 200 点 だ ど ば と ~ !
花火 きれい です ね ~ 。
こら ぁ ! 人 の 話 聞け ~ ! きれい です … 。
・ 「 人 は み な 飛 ん で み たい の に 」
・ 「 重力 に 騙さ れ てる ん だ 」
・ 「 誰 も ほんとう は 飛べ る ん だ よ 」
・ 「 あの コ が あんなに 哀し そう な の は 」
・ 「 自分 の 影 を どこ か に 忘れ てき ちゃ った から かも 」
・ 「 それ なら 」
・ 「 アリガトウ 、 って 君 に 言え たら 」
・ 「 アリガトウ 、 って 君 が 笑え ば 」
・ 「 行ったり 来たり うれしく なる 」
・ 「 君 が シアワセ に なる 」
・ 「 心配 なんて いら ない よ いっしょ に いる から 」
・ 「 うれしく って も 涙 が でる なんて 不思議 だ 」