盗んだ 書類 ぬすんだ|しょるい

静かな 夜ふけ 。 しずかな|よふけ |late night エフ 博士 の 研究 所 の そば に 、 ひとり の 男 が ひそんで いた 。 |はかせ||けんきゅう|しょ||||||おとこ||| ||||||near||||||| その 男 は 、 泥棒 だった 。 |おとこ||どろぼう|

エフ 博士 は これ まで に 、 すばらしい 薬 を つぎつぎ と 発明 して きた 。 |はかせ||||||くすり||||はつめい|| まもなく 、 また 新しい 薬 を 完成 する らしい と の うわさ だった 。 ||あたらしい|くすり||かんせい|||||| 男 は その 秘密 を 早い ところ 盗み出し 、 よそ に 売りとばそう と いう 計画 を たてた のだ 。 おとこ|||ひみつ||はやい||ぬすみだし|||うりとばそう|||けいかく|||

男 は 窓 から 、 そっと のぞきこんだ 。 おとこ||まど||| なか で は エフ 博士 が ひとり 、 むちゅうに なって 薬 を まぜあわせて いる 。 ||||はかせ|||||くすり||| 熱中 し すぎて 、 のぞかれて いる こと に 気 が つか ない 。 ねっちゅう|||||||き|||

やがて 、 少量 の 薬 が できあがった 。 |しょうりょう||くすり|| みどり 色 を した 液体 だった 。 |いろ|||えきたい| 博士 は それ を 飲み 、 大きく うなずいた 。 はかせ||||のみ|おおきく| ||||drank||

「 うむ 、 味 は 悪くない 。 |あじ||わるく ない におい も 、 これ で いい だろう ......」

そして 、 のび を し ながら つぶやいた 。

「 やれやれ 、 やっと できた 。 いま まで に わたし は 、 いろいろな 薬 を 作った 。 ||||||くすり||つくった しかし 、 この 薬 に まさる 薬 は ある まい 。 ||くすり|||くすり||| 世界的 な 大 発明 だ 。 せかい てき||だい|はつめい| さて 、 忘れない うち に 、 製造 法 を 書きとめて おく と しよう 」 |わすれ ない|||せいぞう|ほう||かきとめて||| |will not forget|||||||||

博士 は 紙 に 書き 、 それ を へや の すみ の 金庫 の なか に 、 大事 そうに し まいこんだ 。 はかせ||かみ||かき|||||||きんこ||||だいじ|そう に|| それ から 、 自分 の 家 へ と 帰って いった 。 ||じぶん||いえ|||かえって|

待ちかまえて いた 男 は 、 仕事 に とりかかった 。 まちかまえて||おとこ||しごと|| 注意 して 窓 を こじあけ 、 なか に しのびこむ 。 ちゅうい||まど||||| さっき 博士 が やった 通り に 金庫 の ダイヤル の 番号 を 合わせる と 、 簡単に あける こと が できた 。 |はかせ|||とおり||きんこ||だいやる||ばんごう||あわせる||かんたんに|||| 男 は 書類 を ポケット に 入れ 、 うれし そうな 足どり で 逃げ出した 。 おとこ||しょるい||ぽけっと||いれ||そう な|あしどり||にげだした

「 しめ しめ 、 これ で ひと もうけ できる ぞ 。 博士 が 飲んだ ところ を みる と 、 人体 に 害 のない こと は たしかだ 。 はかせ||のんだ|||||じんたい||がい|の ない||| それ に 、 すごい 薬 と か 言って いた 。 |||くすり|||いって| だが 、 どんな ききめ が ある のだろう か ......」

その 点 が 、 なぞ だった 。 |てん||| 飲んだ あと 博士 が どう なった の か 、 調べる ひま は なかった 。 のんだ||はかせ||||||しらべる||| 電話 を かけて 聞く わけに も いか ない 。 でんわ|||きく|||| しかし 、 エフ 博士 の 発明 だから 、 いま まで の 例 から みて 、 役 に 立つ 薬 である こと は あきらかだ 。 ||はかせ||はつめい|||||れい|||やく||たつ|くすり||||

かくれ家 に 引きあげた 男 は 、 紙 に 書いて ある 製法 に 従って 、 薬 を 作って みる こと に した 。 かくれが||ひきあげた|おとこ||かみ||かいて||せいほう||したがって|くすり||つくって|||| どんな 作用 が ある の か 知っていない と 、 ひと に 売りつける 時 に 困る のだ 。 |さよう|||||しってい ない||||うりつける|じ||こまる|

原料 を 集め 、 フラスコ や ビーカー も 買い ととのえた 。 げんりょう||あつめ|ふらすこ||びーかー||かい| そして 、 何 日 か かかって 、 問題 の 薬 が できあがった 。 |なん|ひ|||もんだい||くすり|| スズラン の ような 、 いい に おい が する 。 すずらん|||||||

男 は それ を 自分 で 飲んで みた 。 おとこ||||じぶん||のんで| すがすがしい 味 が した 。 |あじ|| 男 は イス に 腰 を かけ 、 ききめ が あらわれる の を 待った 。 おとこ||いす||こし||||||||まった

その うち 、 男 は 立ちあがり 、 そと へ 出た 。 ||おとこ||たちあがり|||でた 急ぎ足 で 歩き つづけ 、 ついた ところ は エフ 博士 の 研究 所 だった 。 いそぎあし||あるき||||||はかせ||けんきゅう|しょ|

「 先生 。 せんせい 申し わけない こと を しました 。 もうし|||| この あいだ 、 ここ の 金庫 から 書類 を 盗んで いった の は 、 わたし です 。 ||||きんこ||しょるい||ぬすんで||||| わたし を つかまえ 、 警察 へ つき出して 下さい 」 |||けいさつ||つきだして|ください

と 男 は 言った 。 |おとこ||いった それ を 迎えた 博士 は 念 を 押した 。 ||むかえた|はかせ||ねん||おした

「 本当に あなた な の です か 」 ほんとうに|||||

「 そう です 。 書いて ある 通り に やって 薬 を 作り 、 それ を 飲んで みました 。 かいて||とおり|||くすり||つくり|||のんで| そう する と 、 自分 の した こと が 悪かった の に 気づき 、 ここ へ やってきた の です 。 |||じぶん|||||わるかった|||きづき||||| お 許し 下さい 。 |ゆるし|ください 盗んだ 書類 は 、 おかえし します 」 ぬすんだ|しょるい||| |||return|

男 は 涙 を 流して あやまった 。 おとこ||なみだ||ながして| だが 、 エフ 博士 は 怒ろう と も せず 、 にっこり 笑い ながら 言った 。 ||はかせ||いかろう|||せ ず||わらい||いった

「 それはそれは 。 やはり 、 わたし の 発明 は ききめ が あった 。 |||はつめい|||| この 薬 は 、 良心 を めざめ させる 作用 を 持った もの です 。 |くすり||りょうしん||||さよう||もった|| ところが 、 作って は みた もの の 、 あと で 困った こと に 気 が ついた 。 |つくって|||||||こまった|||き|| 実験 の ため に 、 進んで 飲んで みよう と いう 悪人 が いない の です 。 じっけん||||すすんで|のんで||||あくにん|||| しかし 、 あなた の おかげ で 、 作用 の たしか さ が 証明 できた と いう わけ です 。 |||||さよう|||||しょうめい||||| どうも 、 ごくろうさまでした 」 thank you|