The rules we make together will be a weapon to solve world 's challenges | Masato ODA | TEDxKobe (1)
字幕 : UDO Rina 校正 : Emi Atarashi
皆さん これ 何だか わかります か
そう キクラゲ です
キノコ の 仲間 な ん です よ ね
12歳 の 時 たまたま キクラゲ の 話 に なりました
確か 苦手な 食べ物 と か
そんな たわ い も ない 話 だった と 思います
友達 が 言って た ん です
「俺 キクラゲ あか ん わ
キクラゲって あの コリコリ する クラゲ の 仲間 や んな」
「ん ん?」
僕 は 突っ込みました
「キクラゲ は キノコ の 一種 や と 思う で」
ところが 声 の 大きな K 君 が 来て 一喝 する ん です
(K 君 )「アホ か キクラゲ は クラゲ や で 中華 料理 と か に 入っと る やろ」
「いや 中華 料理 の クラゲ と は 違う やつ や キクラゲ は キノコ や で」
(K 君 )「クラゲ や と 思う 人」
「はい はい は ー い」
6人 の うち で すね 4人 が クラゲ と 答え
多数決 の 結果
キクラゲ は クラゲ と されて しまった ん です
(笑)
なんで 多数決 で 決め ん ねん と ふてくされる 僕 に
「アホ 民主 主義 は 多数決 なん や 」と K 君 は 言い放ちました
キクラゲ を クラゲ と 断定 さ れ 腹 も 立ちました が
今 まで あんまり 考えた こと も なかった 「民主 主義 」が 心 に ひっかかりました
「民主 主義?
みんな で 決めるって いう 意味 や んな
多数決 で 決めるって いう 意味 なんか な?
しかし 声 の 大きい やつ は 有利 や なあ
正しい こと を 言って も 声 が 小さい と 聞いて もらわ れ へん
それ が 伝えられる 地位 に なら ん と あか ん の や 」と
12歳 の 僕 は 思って しまった ん です ね
その後 僕 は
「将来 は 政治 家 に なろう 」と 思う よう に なりました
うーん
手段 と 目的 を 取り違えてます
心配です ね
ともあれ 12歳 の 僕 は 勉強 を 始めました
さて 大学 に 入り 19歳 の 僕
政治 の 授業 を 受けて た ん です ね
先生 に 「政治 家 に なりたい ん です 」と 伝えました
すると
「君 ね 勉強 して たら 政治 家 に なれる と 思ったら 大 間違い だ よ
政治 家 に なる に は まず 先生 の カバン 持ち を 何 年 も やら ない と
お 父さん が 政治 家 だって いう ような 地盤 と か
有名 人 と して の 看板 が あれば 別だけど ね
選挙 に 勝つ に は お 金 だって すごく かかる
地盤 、看板 、カバンって 言う だろう?」
ガーン
政治 家 に なるって そういう こと な んだろう か
僕 は がっかり して もやもや して 過ごして いました
でも 落ち込んで いる 僕 を 元気づける 出会い も ありました
それ は インターネット でした
キーワード を 入力 する だけ で
好きな バンド の ツアー の スケジュール から
アメリカ 政府 の 発表 資料 まで 読める ん です
こいつ は すごい ぞ
当時 は まだ ネット 検索 を 知ってる 人 が あまり い なかった ん です
だから 僕 は 「あいつ に 聞けば なんでも わかる 」と
一 時期 言われて いた ん です ね
実際 は 裏 で 検索 して た だけ な ん です けど
幸いな こと に 大学 で は
「インターネット を 作った 父 」と 言わ れる 村井 純 先生 の 思想 に も
触れる こと が できました
インターネット に は 中央 が ない
だから どこ か が 壊れて も どこ か が 補完 して いく
あらゆる 地域 が あらゆる 産業 が あらゆる 人 が
等しく つながる こと が できる
これ が インターネット な んだ
これ は きっと 新しい 時代 に なる 僕 は 確信 しました
情報 で 世界 が 繋がる のであれば
政治 家 に なら なくったって 社会 を 変えられる かも
インターネット に 夢中に なる うち
僕 は 政治 家 を 目指そう と いう 気持ち は なくなって いきました
23歳 の 時 僕 は IT 企業 に 就職 します
大きな 企業 の 情報 システム に 触れて
IT が 現場 で どういう 風 に 使わ れる の か 学んで いきました
そんな 社会 人 生活 を 送る 中 で
ウィキペディア が 出て きた ん です ね
当時 は まだ 今 ほど の 情報 量 は なかった ん です けれど
みんな で 作る 世界 の 無料 の オンライン の 辞書
これ に 興奮 しました
村井 先生 が 言って いた 「中央 」が なくて
どこ か が 壊れて も 誰 か が 補完 して いくって いう インターネット の 特性 を
ウィキペディア は ずばり と 見せ付けて くれた ん です
情報 が 多く の 人 に 開かれて いく
人間って すごい オープンって すごい
この 素晴らし さ を もっと もっと 活用 する に は
どう したら いい んだろう
こんな 思い で 会社 に 勤め ながら
社会 人 大学院 に も 入学 した ん です
そこ で 僕 が IT 関連 の 授業 と 思って
勘違い で 履修 した 未来 学って いう 授業 が ありました
ここ で 論じられて いた の が
気候 変動 問題 だった ん です
この 時 の 衝撃 が
僕 の この後 の 生き 方 を 変える きっかけ に も なりました
温度 上昇 が もたらす 熱波 、洪水 、水 の 枯渇
生態 系 が 大きく 崩れて 食べ物 が 不足 して
太古 の ウイルス が 地上 に 出現 して しまう
この 状況 を 食い止める ため に 科学者 たち は
それ こそ 僕 が 生まれる 前 から
温室 効果 ガス の 排出 を 抑える よう に 警告 して きました
先進 国 の 間 で ようやく
京都 議定書って いう 二 酸化 炭素 を 削減 する ルール が できた ん です
しかし 世界 の 足並み は 全く 揃いません でした
「先進 国 だけ に 義務 が ある なんて アンフェアだ 」と か
「経済 は 一体 どう する んだ」
自分 たち が 将来 生きる か 死ぬ か の 問題 であった と して も
国家 間 の 意思 決定 と いう の は 一筋縄 で は いきま せ ん
僕 も 一 度 目指して いた この 中央 集権 の 選ば れ し者 たち の 会議 は
物事 を 先 送り に して
有効な 手段 が 取ら れる こと の ない まま に 時間 が 過ぎ去って いる ん です
そして 多く の 人 たち に とって も
忙しい 日常 の 中 で この 問題 へ の 熱意 は 続きません
これ は 現在 まで の 二 酸化 炭素 の 濃度 と 平均 気温 の グラフ です
1979年 に 国際 気候 会議 が あって 以来
僕 が 幻滅 した 京都 議定書 、パリ 協定 など
いっぱい 話し合い を 経て いる ん です けれども
一本調子に 状況 が 悪く なって いる の が 分かります
これ が 残念 ながら
国 の 代表 たち が 話し合い を 続けて いる 結果 な ん です
これって キクラゲ を クラゲ だ と 決めた キクラゲ 民主 主義 と
本質 的に 変わりません よ ね
まったく 多数決って 何 な んでしょう
ここ で 少し 考えて みたい ん です
実は こういう 問題 は 気候 変動 の 話 だけ では ありません
なんで 僕ら は 集団 に なる と
妥当な 意思 決定 が でき なく なる んだろう
それ は 決める 立場 に ある 人 が
痛み を 伴う 決定 を する と 損 を する と
近視眼的に なって いる から で は ない でしょう か
多く の 決める 立場 を 人 に 任せて いる 人 たち は
どこ か の 誰 か が きっと うまく やって くれる はず と
思って いる から かも しれません
どう やったら この 状況 を 脱して
良い 意思 決定 が できる よう に なる のだろう
僕 は 大学院 に 通い 始めた 頃 から
人間 集団 の 意思 決定 を より バー ジョン アップ する 方法 は ない の か と
考える よう に なって いきました
村井 純 先生 も 言って いた あらゆる 人 たち が つながり
壊れて も 誰 か が 補完 するって いう インターネット の 力 を
意思 決定 に 使え ない の か
そんな こと を 思う よう に なって いきました
この 問題 意識 に 応えて くれる 技術 が このあと 登場 する ん です
それ は 自動 翻訳 技術 です
2018年 頃
翻訳 技術 の 精度 が 大きく 向上 した ん です
とっても 不自然だった 翻訳 が
ディープラーニング 技術 の 登場 で とって も なめらかに なり
日々 精度 が 進化 して る ん です ね
アラビア 語 も ギリシャ 語 も
ヘブライ 語 も ベトナム 語 も
今 まで 全く たどり着く こと の でき なかった 様々な 言語 で 書かれた 文章 が
母国 語 で 読める ん です
僕 は この 翻訳 技術 を 使えば
世界 の あらゆる 場所 で 行わ れる 意思 決定 に も
人々 が 触れる こと が できる よう に なる と 考えました
僕ら の 未来 に とって 重要な 問題 を
キクラゲ 民主 主義 で 決めて しまわ ない ため に は
みんな が それ を ウォッチ できる よう に すれば いい じゃ ない か
民主 主義 、インターネット 、中央 の ない 分散 型
オープン 、翻訳 テクノロジー
僕 の 中 で 色 んな もの が 繋がりました
過去 の 人類 が でき なかった もの でも 今 なら できる かも しれ ない
2018年 に 僕 は 勤めて いた 会社 を 辞めて 起業 しました
ルール が 作られて いく プロセス を
世界中 の 人 に 見て もらえる よう に しよう と 決めました
僕 は 「ルール 」ルール こそ が
解決 の 鍵 な んだ と 気づいた ん です
でも ルール は 僕たち を 縛り
どこ か 一部 の 人 が 得 を する よう に 設けられた もの
って いう 印象 を 持つ 人 も 実は 圧倒 的な んじゃ ない でしょう か
しかし よく 考えて みて ください
ルール は 本来 僕たち の 暮らし を 良く する ため に
設計 さ れる べき もの である ん です
世界 に は 解決 の 難しい 問題 が いろいろ あります
ルール は この 問題 に 立ち向かって いく ため の
僕ら の 武器 で も ある ん です
これ が 僕 が 今日 みなさん に お 伝え し たかった こと
「みんな で 作る ルール は 世界 の 難問 へ の 武器 に なる 」です
持続 可能な イノベーション に 投資 を 向ける と か
配慮 の ない 技術 に 制限 を かける と か
草 の 根 の 活動 に お 金 を まわす と か
これら は 全て ルール に よって 成り立って いる ん です
ルール で 僕ら は ありたい 社会 を デザイン できる ん です
幼かった 僕 は
民主 主義 は 多数決 の こと を 言い換えて いる んだ と 思って いました
しかし 今 ならば 自信 を 持って 言えます
民主 主義 と は 単なる 多数決 の こと では ありません
民主 主義 と は 共に 答え を 作って いく プロセス
プロセス な ん です
だから 多数決 は その プロセス の 最後 の ... 最後 の 手段 である だけ な ん です
この ありたい 社会 を デザイン する プロセス に
多く の 人 が 関わって ほしい
気候 変動 の ような 国境 を 越えて くる 人類 全体 に 影響 する ような 様々な 問題 に も
みんな で 答え を 作る ん です
一部 の 声 の 大きな 人 たち だけ の 多数決 は 本当の 民主 主義 では ありません
そんな の は キクラゲ 民主 主義 な ん です
多く の 人 が 関わって そこ に 分断 を 生ま ないで
世界中 の 知恵 を 集めて 磨いて いける
こういう 場 が 必要な ん です
そう 考えて 僕 は ルールウォッチャー を 発明 しました
翻訳 技術 を 使って
色 んな 国 の ルール が 作られて いく プロセス を
インターネット 上 に 見える よう に した ん です
ルールウォッチャー は
たくさんの 人 が 集 える プラットフォーム で も あります
インターネット が 持つ 分散 と オープン の 思想 で 作りました
ルールウォッチャー に は 現 時点 で
800以上 の 国連 と か 政府 NGO など の
ルール 作り に 関する 発表 を 行って いる 団体 の 情報 が
毎日 自動 的に 集められて きます
僕ら は 翻訳 技術 の おかげ で 人類 で 初めて
他の 国 の ルール が できて いく 過程 を 見られる ん です
ウィキペディア の よう に ルール を 作って いる 時点 で
声 を 上げる こと が できる ん です
ルールウォッチャー で は 自分 の 国 の ルールメイキング と
他の 国 の メイキング を 比較 する こと が できます
そして 気候 変動 など の 国境 を 越えて くる ような 問題 に 対して も
同じ 関心 を 持った 人 たち と 国 を 超えて 繋がって 対話 して
行動 する こと が できる ん です
皆さん
世界 に は 活用 されて いない 知恵 が 膨大に ある はずです
これ が 過去 の 人類 に は 使え なかった 我々 の 世代 の 武器 な ん です
昔 は 他の 国 が どんな こと を やって いる か