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三姉妹探偵団 1, 三姉妹探偵団01 chapter 06 (2)

三 姉妹 探偵 団 01 chapter 06 (2)

「 君 に 頼ま れた こと が あった んだ 」

「 あ !

── ちょ 、 ちょっと こっち へ 」

と 、 夕 里子 は 国友 の 手 を 引 張って 行く 。

「 どうした の ?

「 姉 に 聞か せ たく ない の 。

何しろ 心配 性 だ から 」

「 そう か 。

君 たち は 面白い 姉妹 だ ね 」

と 、 国友 が 微笑んだ 。

「 筆 蹟 の こと 、 何 か 分 った ?

「 うん 、 一目 で 分 る と 言って た よ 」

「 分 る って 、 どう ?

「 あの 休暇 届 は 他の 人間 が 書いた もの だ よ 。

つまり 、 誰 か が 、 君 の お 父さん の 字 を 真似て 書いた んだ 」

「 やっぱり !

夕 里子 は 声 を 弾ま せた 。

こんな 、 人殺し の あった 所 で 、 嬉し そうな 声 を 出して は いけなかった が 、 それ でも 、 つい 飛び上り そうに なる の を 、 抑え 切れ なかった 。

「 しかし 、 真似 した の は 、 かなり 無器用な 人間 で 、 しかも 素人 だろう と 言って たな 」

「 素人 ?

「 つまり 、 そういう 経験 の ない 人間 さ 。

何しろ 、 書いた インク の 色 も 少し 違う んだ 。 多少 なり と も 、 文書 の 偽造 なんか やった こと の ある 人間 なら 、 その辺 の こと に は 、 気 を つかう はずな んだ よ 」

夕 里子 は 肯 いて 、

「 ねえ 、 これ で 、 少し は あなた の 親分 の 考え も 変る かしら ?

「 まだ 、 ぶつけて い ない んだ が ね 、 すぐに コロリ と 変る の は 期待 し ない 方 が いい よ 」

「 あら 、 だって ──」

と 不服 げ な 夕 里子 へ 、

「 警察 って ところ は 、 一旦 指名 手配 したら 、 そう 簡単に は 変え ない よ 。

やはり 、 あっさり と 誤り を 認めて いたら 、 警察 の 名誉に かかわる 、 と 思って る から ね 」

「 誤り を 正す のに 遅 すぎる と いう こと は ない わ 」

以前 、 どこ か 教科 書 で 見た 文句 であった 。

「 まあ 、 僕 に 任せ なさい 」

国友 は 夕 里子 の 肩 を 叩いた 。

「── 国友 さん 、 どうして 、 ここ に ?

夕 里子 は 、 ふと 気付いて 言った 。

「 昨夜 は 徹夜 の 張り込み で ね 、 署 へ 戻ったら 、 この 事件 の こと が 耳 に 入った んだ よ 。

びっくり した よ 、 君 の 居候 して る 家 じゃ ない か 」

「 じゃ 、 一睡 も せ ず に ?

「 君 の こと が 心配に なって ね 」

夕 里子 は 、 何となく 胸 が 熱く なった 。

「 ところで 、 妹 さん 、 入院 って 、 どうした の ?

夕 里子 が 話 を する と 、 国友 は 目 を 丸く して 、

「 危 い なあ !

ちゃんと 検査 し ない と だめだ よ 」

「 ええ 。

もちろん その つもり 。 本当に 困っちゃ う 。 みんな 頼りない の ばっかり ! 夕 里子 は 心 に も ない こと を 言った 。

「 でも ね 、 君 も 用心 して くれよ 」

と 、 国友 は 真顔 で 言った 。

「 私 …… 考えて た の 、 ゆうべ 、 帰って 来る 途中 で 。

私 たち の 手 で 犯人 を 見付けよう なんて 、 大体 が 無 茶 な んじゃ ない か 、 って 」

「 賛成 だ な 」

「 だから 私 一 人 で 見付けよう と 思う の 」

夕 里子 の 言葉 に 、 国友 は 目 を むいた 。

「── 私 で 何 か 手伝える こと が あれば 言って くれ 」

と 、 安東 が 綾子 と 一緒に 表 へ 出て 来る 。

「 お 姉さん 、 ちゃんと 会社 行って よ 」

と 、 夕 里子 が 釘 を さす 。

「 うん 、 分 って る わ よ 」

綾子 が 、 ちょっと むくれ 顔 で 言った 。

「 あんた は 刑事 さん だった ね 」

と 、 安東 が 国友 を 見て 言った 。

「 そうです 。

こちら の 佐々 本 さん の 事件 を 担当 して いた ので 」

「 そう か 。

まだ 佐々 本 さん の 行方 は 知れ ん の か ? 「 手がかり が まるで あり ませ ん 。

手配 する と 普通 、 何 件 か の 通報 は ある もの な んです が 」

「 全然 ない の か 」

「 二 件 ほど あり ました が 、 完全な 間違い でした 」

「 そう か 。

── 彼 は いい 人 だった 。 とても 人殺し と は 信じ られ ん な 」

「 こちら の お嬢さん も そう 思って おら れる ようです よ 」

「 ともかく 彼 を 見付け ない こと に は 、 どうにも なる まい 。

よろしく 頼む よ 」

安東 が 綾子 を 促して 、 家 の 方 へ 戻って 行った 。

── 夕 里子 は 、 何となく 釈然と し ない 気持 で 、 二 人 を 見送って いた が 、

「 ねえ 、 国友 さん 」

「 ん ?

「 あの 二 人 ……。

変じゃ ない ? 「 変 ?

── どこ が ? 「 いいえ ……。

いい の 、 別に 」

夕 里子 は 、 綾子 の こと を よく 知っている 。

いくら 父親 ぐらい の 年齢 の 男 だ から と いって 、 そう 親し げ に 腕 を 取ったり する なんて 、 考え られ ない 。

どうも 、 夕 里子 は 不安だった 。

それ に 、 安東 と 綾子 が 出て 来て 、 なぜ 安東 の 妻 が 出て 来 ない のだろう ?

早朝 の 寒 さ に 、 ちょっと 夕 里子 は 身震い した 。

「 もう 入った 方 が いい よ 」

国友 が 、 優しく 言った 。

── しかし 夕 里子 は 、 なかなか 片瀬 家 の 玄関 を 入る こと が でき なかった 。 敦子 の 母 の 死 に 、 自分 も 責任 が ある と 思う と 、 急に ここ が 自分 の 家 で なかった こと を 、 痛感 さ せ られた のである 。

「── で は 、 どうも 。

また ご 連絡 し ます 。 少し お 休み に なった 方 が いい です よ 」

刑事 が 、 玄関 を 出て 来て 、 また 欠 伸 を した 。

「 夕 里子 」

敦子 が 顔 を 覗かせる 。

「 どうした の ?

「 え ?

うん ……。 何 か 入り にくくて 」

「 いや ね 。

そんな こと 言わ ないで 入って よ 」

敦子 が 出て 来て 、 夕 里子 の 手 を つかんだ 。

「 私 じゃ 、 ご飯 も 炊け ない んだ もの 」

敦子 の 言葉 に 、 夕 里子 は 微笑んだ 。


三 姉妹 探偵 団 01 chapter 06 (2) みっ|しまい|たんてい|だん| Three Sisters Detective Agency 01 chapter 06 (2)

「 君 に 頼ま れた こと が あった んだ 」 きみ||たのま||||| "I have been asked by you."

「 あ !

── ちょ 、 ちょっと こっち へ 」 ち ょ ち ょ, go to here a little bit "

と 、 夕 里子 は 国友 の 手 を 引 張って 行く 。 |ゆう|さとご||くにとも||て||ひ|はって|いく And, Yuuriko keeps her hands on Kunitomo.

「 どうした の ? " What's wrong ?

「 姉 に 聞か せ たく ない の 。 あね||きか|||| "I do not want to ask my sister.

何しろ 心配 性 だ から 」 なにしろ|しんぱい|せい|| I am worried about it

「 そう か 。

君 たち は 面白い 姉妹 だ ね 」 きみ|||おもしろい|しまい||

と 、 国友 が 微笑んだ 。 |くにとも||ほおえんだ

「 筆 蹟 の こと 、 何 か 分 った ? ふで|あと|||なん||ぶん| "What do you know about brushstrokes?

「 うん 、 一目 で 分 る と 言って た よ 」 |いちもく||ぶん|||いって|| "Yeah, I told you to know at a glance."

「 分 る って 、 どう ? ぶん||| "How about that?

「 あの 休暇 届 は 他の 人間 が 書いた もの だ よ 。 |きゅうか|とどけ||たの|にんげん||かいた||| "The vacation notice was written by another person.

つまり 、 誰 か が 、 君 の お 父さん の 字 を 真似て 書いた んだ 」 |だれ|||きみ|||とうさん||あざ||まねて|かいた| In other words, someone imitated your father's letter and wrote it. "

「 やっぱり !

夕 里子 は 声 を 弾ま せた 。 ゆう|さとご||こえ||はずま|

こんな 、 人殺し の あった 所 で 、 嬉し そうな 声 を 出して は いけなかった が 、 それ でも 、 つい 飛び上り そうに なる の を 、 抑え 切れ なかった 。 |ひとごろし|||しょ||うれし|そう な|こえ||だして|||||||とびあがり|そう に||||おさえ|きれ| In such a place where there was a murderer, I should not make a voice that was happy, but still, I could not suppress being about to jump up.

「 しかし 、 真似 した の は 、 かなり 無器用な 人間 で 、 しかも 素人 だろう と 言って たな 」 |まね|||||ぶきような|にんげん|||しろうと|||いって| "But what I imitated was that he was a pretty clumsy human and would be an amateur,"

「 素人 ? しろうと

「 つまり 、 そういう 経験 の ない 人間 さ 。 ||けいけん|||にんげん| "That is, it is a human who has no such experience.

何しろ 、 書いた インク の 色 も 少し 違う んだ 。 なにしろ|かいた|いんく||いろ||すこし|ちがう| After all, the color of the ink I wrote is a little different. 多少 なり と も 、 文書 の 偽造 なんか やった こと の ある 人間 なら 、 その辺 の こと に は 、 気 を つかう はずな んだ よ 」 たしょう||||ぶんしょ||ぎぞう||||||にんげん||そのへん|||||き||||| If you're a person who has done some forgery of documents, you should be careful about things in that area. "

夕 里子 は 肯 いて 、 ゆう|さとご||こう|

「 ねえ 、 これ で 、 少し は あなた の 親分 の 考え も 変る かしら ? |||すこし||||おやぶん||かんがえ||かわる| "Hey, does this change your mindset 's thoughts a little?

「 まだ 、 ぶつけて い ない んだ が ね 、 すぐに コロリ と 変る の は 期待 し ない 方 が いい よ 」 ||||||||||かわる|||きたい|||かた||| "I haven't hit it yet, but I hope you don't expect it to turn into a coolie right away."

「 あら 、 だって ──」 "Oh, だ っ ──"

と 不服 げ な 夕 里子 へ 、 |ふふく|||ゆう|さとご| And to Yuko Yuko,

「 警察 って ところ は 、 一旦 指名 手配 したら 、 そう 簡単に は 変え ない よ 。 けいさつ||||いったん|しめい|てはい|||かんたんに||かえ|| "The police are not going to change so easily once they are wanted.

やはり 、 あっさり と 誤り を 認めて いたら 、 警察 の 名誉に かかわる 、 と 思って る から ね 」 |||あやまり||みとめて||けいさつ||めいよに|||おもって||| After all, if you admit the easy mistake, I think that it will be involved in the honor of the police "

「 誤り を 正す のに 遅 すぎる と いう こと は ない わ 」 あやまり||ただす||おそ||||||| "There is no way too late to correct an error."

以前 、 どこ か 教科 書 で 見た 文句 であった 。 いぜん|||きょうか|しょ||みた|もんく| It was a complaint I saw earlier in a textbook.

「 まあ 、 僕 に 任せ なさい 」 |ぼく||まかせ| "Well, leave it to me"

国友 は 夕 里子 の 肩 を 叩いた 。 くにとも||ゆう|さとご||かた||たたいた Kunitomo beat Yuuriko's shoulder.

「── 国友 さん 、 どうして 、 ここ に ? くにとも|||| "友 friend, why are you here?

夕 里子 は 、 ふと 気付いて 言った 。 ゆう|さとご|||きづいて|いった Yuuriko suddenly noticed and said.

「 昨夜 は 徹夜 の 張り込み で ね 、 署 へ 戻ったら 、 この 事件 の こと が 耳 に 入った んだ よ 。 さくや||てつや||はりこみ|||しょ||もどったら||じけん||||みみ||はいった|| "Last night was a long night, and when I returned to the station, I heard about the incident.

びっくり した よ 、 君 の 居候 して る 家 じゃ ない か 」 |||きみ||いそうろう|||いえ||| I was surprised, isn't it the house you're home to?

「 じゃ 、 一睡 も せ ず に ? |いっすい|||| "Well, without falling asleep?

「 君 の こと が 心配に なって ね 」 きみ||||しんぱいに|| "I'm worried about you."

夕 里子 は 、 何となく 胸 が 熱く なった 。 ゆう|さとご||なんとなく|むね||あつく| Yuuriko had a heartwarming feeling somehow.

「 ところで 、 妹 さん 、 入院 って 、 どうした の ? |いもうと||にゅういん||| "By the way, what happened to your sister, hospitalization?

夕 里子 が 話 を する と 、 国友 は 目 を 丸く して 、 ゆう|さとご||はなし||||くにとも||め||まるく| When Yuuriko talks, Kyutomo rolls her eyes,

「 危 い なあ ! き||

ちゃんと 検査 し ない と だめだ よ 」 |けんさ||||| You have to check it properly. "

「 ええ 。

もちろん その つもり 。 Of course that's gonna be. 本当に 困っちゃ う 。 ほんとうに|こまっちゃ| みんな 頼りない の ばっかり ! |たよりない|| Everyone just can't rely on it! 夕 里子 は 心 に も ない こと を 言った 。 ゆう|さとご||こころ||||||いった Yuuriko said something not in her mind.

「 でも ね 、 君 も 用心 して くれよ 」 ||きみ||ようじん|| "But, you should be careful too"

と 、 国友 は 真顔 で 言った 。 |くにとも||まがお||いった Said, a friend of his mind.

「 私 …… 考えて た の 、 ゆうべ 、 帰って 来る 途中 で 。 わたくし|かんがえて||||かえって|くる|とちゅう| "I ...... I was thinking, last night, on the way back home.

私 たち の 手 で 犯人 を 見付けよう なんて 、 大体 が 無 茶 な んじゃ ない か 、 って 」 わたくし|||て||はんにん||みつけよう||だいたい||む|ちゃ||||| It 's probably blatant to find the culprit with our hands. "

「 賛成 だ な 」 さんせい|| "I agree."

「 だから 私 一 人 で 見付けよう と 思う の 」 |わたくし|ひと|じん||みつけよう||おもう| "So I'm going to find it alone"

夕 里子 の 言葉 に 、 国友 は 目 を むいた 。 ゆう|さとご||ことば||くにとも||め|| His friend looked at Yuuriko's words.

「── 私 で 何 か 手伝える こと が あれば 言って くれ 」 わたくし||なん||てつだえる||||いって| "-Tell me if you have something to help me"

と 、 安東 が 綾子 と 一緒に 表 へ 出て 来る 。 |あんどう||あやこ||いっしょに|ひょう||でて|くる And, Ando comes out with Miko to the table.

「 お 姉さん 、 ちゃんと 会社 行って よ 」 |ねえさん||かいしゃ|おこなって| "My sister, please go to the office properly."

と 、 夕 里子 が 釘 を さす 。 |ゆう|さとご||くぎ|| And Yuuriko is nailing.

「 うん 、 分 って る わ よ 」 |ぶん|||| "Yeah, I know."

綾子 が 、 ちょっと むくれ 顔 で 言った 。 あやこ||||かお||いった Reiko said with a slight face.

「 あんた は 刑事 さん だった ね 」 ||けいじ||| "You were a detective, right?

と 、 安東 が 国友 を 見て 言った 。 |あんどう||くにとも||みて|いった And said Ando looked at his friend.

「 そうです 。 そう です

こちら の 佐々 本 さん の 事件 を 担当 して いた ので 」 ||ささ|ほん|||じけん||たんとう||| Because I was in charge of Sasamoto 's case here "

「 そう か 。

まだ 佐々 本 さん の 行方 は 知れ ん の か ? |ささ|ほん|||ゆくえ||しれ||| Is Sasamoto 's whereabouts still known? 「 手がかり が まるで あり ませ ん 。 てがかり||||| "There are no clues.

手配 する と 普通 、 何 件 か の 通報 は ある もの な んです が 」 てはい|||ふつう|なん|けん|||つうほう|||||| If you arrange it, there will usually be some reports.

「 全然 ない の か 」 ぜんぜん||| "Aren't there at all?"

「 二 件 ほど あり ました が 、 完全な 間違い でした 」 ふた|けん|||||かんぜんな|まちがい| "There were two cases but it was a complete mistake"

「 そう か 。

── 彼 は いい 人 だった 。 かれ|||じん| -He was a good person. とても 人殺し と は 信じ られ ん な 」 |ひとごろし|||しんじ||| I can't believe it 's a murderer. "

「 こちら の お嬢さん も そう 思って おら れる ようです よ 」 ||おじょうさん|||おもって|||| "It seems that this lady is thinking so too."

「 ともかく 彼 を 見付け ない こと に は 、 どうにも なる まい 。 |かれ||みつけ||||||| "Anyway, it won't be worth noting to find him.

よろしく 頼む よ 」 |たのむ| Thank you for your consideration "

安東 が 綾子 を 促して 、 家 の 方 へ 戻って 行った 。 あんどう||あやこ||うながして|いえ||かた||もどって|おこなった Andong encouraged Reiko and went back to the house.

── 夕 里子 は 、 何となく 釈然と し ない 気持 で 、 二 人 を 見送って いた が 、 ゆう|さとご||なんとなく|しゃくぜんと|||きもち||ふた|じん||みおくって|| -Yuuriko looked at the two people with a feeling that she was not stunned somehow,

「 ねえ 、 国友 さん 」 |くにとも|

「 ん ?

「 あの 二 人 ……。 |ふた|じん "Two of them ....

変じゃ ない ? へんじゃ| Isn't it strange? 「 変 ? へん

── どこ が ? ど こ Where are you? 「 いいえ ……。

いい の 、 別に 」 ||べつに Good, apart from "

夕 里子 は 、 綾子 の こと を よく 知っている 。 ゆう|さとご||あやこ|||||しっている Yuuriko knows a lot about Yuzu.

いくら 父親 ぐらい の 年齢 の 男 だ から と いって 、 そう 親し げ に 腕 を 取ったり する なんて 、 考え られ ない 。 |ちちおや|||ねんれい||おとこ||||||したし|||うで||とったり|||かんがえ|| It is impossible to think of being a man of about the age of a father and taking arms in such a friendly manner.

どうも 、 夕 里子 は 不安だった 。 |ゆう|さとご||ふあんだった Oh, Yuuriko was uneasy.

それ に 、 安東 と 綾子 が 出て 来て 、 なぜ 安東 の 妻 が 出て 来 ない のだろう ? ||あんどう||あやこ||でて|きて||あんどう||つま||でて|らい|| Also, Andong and Reiko came out, why is Andong 's wife not coming out?

早朝 の 寒 さ に 、 ちょっと 夕 里子 は 身震い した 。 そうちょう||さむ||||ゆう|さとご||みぶるい| In the early morning cold, Yuuriko shuddered for a while.

「 もう 入った 方 が いい よ 」 |はいった|かた||| "You should have entered it already."

国友 が 、 優しく 言った 。 くにとも||やさしく|いった

── しかし 夕 里子 は 、 なかなか 片瀬 家 の 玄関 を 入る こと が でき なかった 。 |ゆう|さとご|||かたせ|いえ||げんかん||はいる|||| However, Yuuriko was not able to enter the entrance of Katase's house quite easily. 敦子 の 母 の 死 に 、 自分 も 責任 が ある と 思う と 、 急に ここ が 自分 の 家 で なかった こと を 、 痛感 さ せ られた のである 。 あつこ||はは||し||じぶん||せきにん||||おもう||きゅうに|||じぶん||いえ|||||つうかん|||| When I saw that Yuko's mother was responsible, I suddenly realized that I was not my home.

「── で は 、 どうも 。 "-Well, thank you.

また ご 連絡 し ます 。 ||れんらく|| I will contact you again. 少し お 休み に なった 方 が いい です よ 」 すこし||やすみ|||かた|||| It would be nice to have a break for a while. "

刑事 が 、 玄関 を 出て 来て 、 また 欠 伸 を した 。 けいじ||げんかん||でて|きて||けつ|しん|| A detective came out of the front door and made a short break again.

「 夕 里子 」 ゆう|さとご

敦子 が 顔 を 覗かせる 。 あつこ||かお||のぞかせる Reiko looks at her face.

「 どうした の ?

「 え ?

うん ……。 何 か 入り にくくて 」 なん||はいり| It's hard to get in

「 いや ね 。 "No.

そんな こと 言わ ないで 入って よ 」 ||いわ||はいって| Don't say that, come in "

敦子 が 出て 来て 、 夕 里子 の 手 を つかんだ 。 あつこ||でて|きて|ゆう|さとご||て|| Reiko came out and grabbed Yuuriko's hand.

「 私 じゃ 、 ご飯 も 炊け ない んだ もの 」 わたくし||ごはん||たけ||| "I can't cook rice either."

敦子 の 言葉 に 、 夕 里子 は 微笑んだ 。 あつこ||ことば||ゆう|さとご||ほおえんだ Yuko smiles to Yuko's words.