三 姉妹 探偵 団 01 chapter 14 (2)
片瀬 家 の 居間 である 。
国友 は 首 を 振って 、
「 しかし 、 そう 言い張って る んだ 。
君 の お 父さん の こと は 何も 知ら ない 、 と ……」
「 噓 よ 、 そんな はずな いわ !
と 、 珠美 が テーブル を ドンと 叩いた 。
「 追及 して みる けど ね 。
しかし 、 夫人 の 方 も そう 言って いる 。 どうも 噓 じゃ ない らしい んだ よ 」
「 じゃ 、 パパ が 帰って 来たら 、 どう する つもりだった の かしら ?
「 さあ ね 。
ともかく 、 安東 は 佐々 本 さん が いる と 思って 、 水口 淳子 の 死体 を 運び込み 、 無理 心中 に 見せかけよう と 火 を つけた 。 ところが 佐々 本 さん は い ない 。 ── 困ったろう が 、 今度 は 佐々 本 さん が 帰って 来 ない ので 指名 手配 さ れて しまった 。 安東 と して も 、 どう しよう も なかった わけだ よ 」
「 その 内 に 奥さん が 安東 の 犯罪 に 気付いた んです ね 」
「 君 が あれこれ 調べ 始めた ので 、 疑い を そらそう と 、 浮 浪 者 に 君 を 襲わ せたり 、 細工 を した んだ 。
そして 、 片瀬 紀子 さん の お 葬式 の とき 、 神田 初江 は 一 度 、 安東 の 所 へ 電話 した 。 その とき 、 岐子 が 出た んだ な 。 そして 急いで 片瀬 家 の 方 へ 行く と 、 綾子 君 が 出て 来た 。 これ は 何 か ある と 思って 、 後 を 尾 け て 行った 。 ── 葬儀 に 出る つもりで 家 を 出た ので 、 喪章 を 持って いた んだ 」
「 神田 初江 の アパート を 知って た の ね 」
「 神田 初江 が 水口 淳子 の こと を 知っている と いう 話 は 、 聞いて いた わけだ から ね 。
どこ に 住んで いる の か 、 調べて いた んだろう 。 そして 、 わざわざ 綾子 君 を 呼んだ からに は 、 何 か 重大な 話 が ある のだ 、 と 考えて 、 綾子 君 が 道 に 迷って いる 間 に 、 神田 初江 を 殺した 。 後 で 喪章 の こと に 気付いて 、 取り に 戻った の が 、 危機一髪 だった が 、 巧 く切り 抜けた わけだ な 」
しばらく 沈黙 が あって 、 綾子 が ポツリ と 言った 。
「 でも 、 奥さん は 愛して た の ね 、 安東 先生 を ……」
「 綾子 姉ちゃん の こと 、 出て けって 怒鳴った の は 、 本当に 怒って た の か な 。
それとも 、 先生 に 近付く と お 姉ちゃん が 危 い と 思った から かな ? と 珠美 が 言った 。
「 両方 じゃ ない 、 きっと 」
と 夕 里子 は 言った 。
「 私 は 、 ご 主人 を 愛して た から だ と 思い たい な 」
綾子 が 言った 。
お 姉さん は 、 あんな 目 に 遭って も 、 ちっとも 変ら ない んだ から 、 と 夕 里子 は 思った 。
それ が いい とこ だ けど ね ……。
「 それにしても さ ──」
珠美 が ため息 を ついた 。
「 パパ 、 どこ に 行った の か なあ 」