人工知能は人間を超えるか Chapter 07 (5) じんこう ちのう は にんげん を こえる か|chapter Will Artificial Intelligence Surpass Humans Chapter 07 (5) ¿Superará la inteligencia artificial a los humanos? Capítulo 07 (5)

人工 知能 技術 は 汎用 性 が 高い ので 、 ひと つ の 企業 、 ひと つ の 産業 だけ で 研究 開発 の 投資 が 割に 合う か と いう と 、 難しい かも しれ ない 。 じんこう|ちのう|ぎじゅつ||はんよう|せい||たかい|||||きぎょう||||さんぎょう|||けんきゅう|かいはつ||とうし||わりに|あう|||||むずかしい||| ||||||||||||||||||||||||relatively||||||||| Artificial intelligence technology is so versatile that it may be difficult for a single company or industry to justify the investment in research and development.

むしろ 複数 の 企業 、 複数 の 産業 が 協力 して 取り組む 必要 が ある と 思う 。 |ふくすう||きぎょう|ふくすう||さんぎょう||きょうりょく||とりくむ|ひつよう||||おもう |multiple|||||||||||||| Rather, I think it is necessary for multiple companies and industries to work together.

現在 、 ディープラーニング に 代表 さ れる 特徴 表現 学習 の 研究 は 、 まだ アルゴリズム の 開発 競争 の 段階 である 。 げんざい|||だいひょう|||とくちょう|ひょうげん|がくしゅう||けんきゅう|||||かいはつ|きょうそう||だんかい| ||||||||||||||||||stage| Currently, feature representation learning research, as typified by deep learning, is still in the competitive stage of algorithm development.

ところが 、 この 段階 を 越える と 、 今度 は データ を 大量に 持って いる ところ ほど 有利な 世界 に なる はずだ 。 ||だんかい||こえる||こんど||でーた||たいりょうに|もって||||ゆうりな|せかい||| ||||||next||||||||||||| After this stage, however, the world should now be more favorable to those with the most data. そう なる と 、 日本 は おそらく 海外 の データ を 持って いる 企業 に 太刀打ち でき ない 。 |||にっぽん|||かいがい||でーた||もって||きぎょう||たちうち|| In that case, Japan would probably not be able to compete with companies that have overseas data. 世界 的な プラットフォーム 企業 が 存在 し ない から だ 。 せかい|てきな||きぎょう||そんざい|||| There are no global platform companies. そう なる 前 に アルゴリズム の 開発 競争 の 段階 で できる だけ アドバンテージ を 持つ 必要 が ある 。 ||ぜん||||かいはつ|きょうそう||だんかい||||||もつ|ひつよう|| |||||||||||||advantage||||| Before that happens, we need to have as much of an advantage as possible in the competitive algorithm development phase. 逆転 まで の 時間 は それほど 残されて いない 。 ぎゃくてん|||じかん|||のこさ れて| There is not much time left to reverse the situation. ここ まで 読んで いただいた 方 に は 、 私 が 伝え たかった メッセージ が 届いた だろう か 。 ||よんで||かた|||わたくし||つたえ||めっせーじ||とどいた|| I hope those of you who have read this far have received the message I wanted to send.

人工 知能 の 60 年 に 及ぶ 研究 で 、 いく つ も の 難問 に ぶつかって きた が 、 それ ら は 「 特徴 表現 の 獲得 」 と いう 問題 に 集約 できる こと 。 じんこう|ちのう||とし||およぶ|けんきゅう||||||なんもん||||||||とくちょう|ひょうげん||かくとく|||もんだい||しゅうやく|| ||||||||||||difficult questions||ran into||||||||||||||summed up|| In 60 years of research on artificial intelligence, we have encountered many difficult problems, which can be summarized as the problem of "feature representation acquisition".

そして 、 その 問題 が ディープラーニング と いう 特徴 表現 学習 の 方法 に よって 、 一部 、 解か れ つつ ある こと 。 ||もんだい|||||とくちょう|ひょうげん|がくしゅう||ほうほう|||いちぶ|とか|||| |||||||||||||||solved|||| And that the problem is being solved, in part, by a feature representation learning method called deep learning. 特徴 表現 学習 の 研究 が 進めば 、 いま まで の 人工 知能 の 研究 成果 と あわせて 、 高い 認識 能力 や 予測 能力 、 行動 能力 、 概念 獲得 能力 、 言語 能力 を 持つ 知能 が 実現 する 可能 性 が ある こと 。 とくちょう|ひょうげん|がくしゅう||けんきゅう||すすめば||||じんこう|ちのう||けんきゅう|せいか|||たかい|にんしき|のうりょく||よそく|のうりょく|こうどう|のうりょく|がいねん|かくとく|のうりょく|げんご|のうりょく||もつ|ちのう||じつげん||かのう|せい||| If research on feature representation learning continues, together with the results of existing research on artificial intelligence, intelligence with high cognitive, predictive, behavioral, concept acquisition, and language abilities may be realized. その こと は 、 大きな 産業 的 インパクト も 与える であろう こと 。 |||おおきな|さんぎょう|てき|いんぱくと||あたえる|| This would also have a significant industrial impact. 知能 と 生命 は 別の 話 であり 、 人工 知能 が 暴走 し 人類 を 脅かす ような 未来 は 来 ない こと 。 ちのう||せいめい||べつの|はなし||じんこう|ちのう||ぼうそう||じんるい||おびやかす||みらい||らい|| ||||||||||||||threaten|||||| Intelligence and life are two different things, and a future in which artificial intelligence runs amok and threatens humanity is unlikely. それ より 、 軍事 応用 や 産業 上 の 独占 など の ほう が 脅威 である こと 。 ||ぐんじ|おうよう||さんぎょう|うえ||どくせん|||||きょうい|| Instead, military applications and industrial monopolies pose more of a threat. そして 、 日本 に は 、 技術 と 人材 の 土台 が あり 、 勝てる チャンス が ある こと 。 |にっぽん|||ぎじゅつ||じんざい||どだい|||かてる|ちゃんす||| And that Japan has the technology and human resources to have a chance to win.

人工 知能 が 開く 世界 は 、 決して バラ 色 の 未来 で も ない し 、 決して 暗黒の 未来 で も ない 。 じんこう|ちのう||あく|せかい||けっして|ばら|いろ||みらい|||||けっして|あんこくの|みらい||| ||||||||||||||||dark|||| The world that artificial intelligence will open up is not a rosy future, nor is it a dark future.

人工 知能 の 技術 は 着々 と 進展 し 、 少しずつ 世界 を 豊かに して いく 。 じんこう|ちのう||ぎじゅつ||ちゃくちゃく||しんてん||すこしずつ|せかい||ゆたかに|| Artificial intelligence technology is steadily advancing, enriching the world little by little. 明日 、 いきなり 人工 知能 が 世界 を 変える わけで は ない し 、 かといって 、 その 技術 の 進展 を 無視 する こと も でき ない 。 あした||じんこう|ちのう||せかい||かえる|||||||ぎじゅつ||しんてん||むし||||| ||||||||||||but also||||||||||| Artificial intelligence will not suddenly change the world tomorrow, but neither can we ignore its technological advances.

読者 の みなさん は 、「 はじめ に 」 で 述べた 「 人工 知能 の 大きな 飛躍 の 可能 性 」、 つまり 宝くじ が 当たる かも しれ ない 未来 を どう とらえた だろう か 。 どくしゃ|||||||のべた|じんこう|ちのう||おおきな|ひやく||かのう|せい||たからくじ||あたる||||みらい||||| ||||||||||||||||||||||||||perceived|| How did you view the "potential for great leaps in artificial intelligence" described in the Introduction, a future in which you might even win the lottery?

ディープラーニング と いう 「 特徴 表現 学習 」 が 、 人工 知能 に おける 大きな 山 を 越えた と すれば 、 この先 、 人工 知能 に 大きな 発展 が 待って いて も おかしく ない 。 |||とくちょう|ひょうげん|がくしゅう||じんこう|ちのう|||おおきな|やま||こえた|||このさき|じんこう|ちのう||おおきな|はってん||まって|||| If "feature representation learning," or deep learning, has passed the big mountain in artificial intelligence, it is not surprising that a great development in artificial intelligence awaits in the future.

さまざまな 産業 で 大きな 変革 を 起こす の かも しれ ない 。 |さんぎょう||おおきな|へんかく||おこす|||| ||||transformation|||||| It could cause major changes in a variety of industries. 長期 的に は 、 産業 構造 の あり 方 、 人間 の 生産 性 と いう 概念 も 大きく 変える の かも しれ ない 。 ちょうき|てきに||さんぎょう|こうぞう|||かた|にんげん||せいさん|せい|||がいねん||おおきく|かえる|||| In the long term, it may significantly change the way we think about industrial structure and human productivity.

一方 で 、「 冷静に 見た とき の 期待 値 」、 つまり 宝くじ を 買って 平均 的に 返って くる 金額 に ついて 、 どう とらえた だろう か 。 いっぽう||れいせいに|みた|||きたい|あたい||たからくじ||かって|へいきん|てきに|かえって||きんがく|||||| ||calmly|||||||||||||||||||| On the other hand, how did you perceive the "expected value from a dispassionate standpoint," or the average amount of money you would get back after buying a lottery ticket?

どんなに 人工 知能 の 可能 性 を 低く 見積もった と して も 、 最低 限 、 多く の 産業 で ビッグ データ 化 は 進む だろう 。 |じんこう|ちのう||かのう|せい||ひくく|みつもった||||さいてい|げん|おおく||さんぎょう||びっぐ|でーた|か||すすむ| ||||||||underestimated||||at least||||||||||| No matter how low you estimate the potential of artificial intelligence, at the very least, many industries will move toward big data.

そして 、 そこ に いま まで 人工 知能 が 培って きた 探索 や 推論 、 知識 表現 、 機械 学習 の 技術 が 活 きる はずである 。 |||||じんこう|ちのう||つちかって||たんさく||すいろん|ちしき|ひょうげん|きかい|がくしゅう||ぎじゅつ||かつ|| ||||||||||||||||||||will be utilized|| This is where artificial intelligence should be able to take advantage of its search, inference, knowledge representation, and machine learning technologies. 少なくとも 、 いくつか の 分野 で は 、 これ まで の 専門 家 を 超える ような 人工 知能 の 使い 方 が 出て くる だろう 。 すくなくとも|いく つ か||ぶんや||||||せんもん|いえ||こえる||じんこう|ちのう||つかい|かた||でて|| At least in some fields, artificial intelligence will be used in ways that surpass those of conventional experts. この ２ つ の 可能 性 を 考えた とき 、 この 宝くじ は 決して 悪い もの で は ない と 思う 。 |||かのう|せい||かんがえた|||たからくじ||けっして|わるい||||||おもう Considering these two possibilities, I think this lottery is not a bad thing at all.

人工 知能 の 未来 、 人工 知能 が つくり出す 新しい 社会 に 賭けて も いい と 思わ ない だろう か 。 じんこう|ちのう||みらい|じんこう|ちのう||つくりだす|あたらしい|しゃかい||かけて||||おもわ||| |||||||||||betting on||||||| Don't you think we should bet on the future of artificial intelligence and the new society it will create?

人工 知能 は 人間 を 超える の か 。 じんこう|ちのう||にんげん||こえる|| Will Artificial Intelligence Surpass Humans?

答え は イエス だ 。 こたえ||いえす| The answer is yes. 「 特徴 表現 学習 」 に より 、 多く の 分野 で 人間 を 超える かも しれ ない 。 とくちょう|ひょうげん|がくしゅう|||おおく||ぶんや||にんげん||こえる||| With "feature-expression learning," we may surpass humans in many areas. そう で なくて も 、 限ら れた 範囲 で は 人間 を 超え 、 その 範囲 は ますます 広がって いく だろう 。 ||||かぎら||はんい|||にんげん||こえ||はんい|||ひろがって|| Even if not, it will exceed humans to a limited extent, and that extent will continue to grow. そして 、 これ を 生かす も 殺す も 、 社会 全体 を 構成 する われわれ 自身 の 意思 次第 だ 。 |||いかす||ころす||しゃかい|ぜんたい||こうせい|||じしん||いし|しだい| |||make use of||||||||||||will|| And whether we make the most of it or not depends on the will of the people who make up our society as a whole.

停滞 する 日本 の 産業 。 ていたい||にっぽん||さんぎょう Japan's stagnant industry.

高齢 化 する 社会 。 こうれい|か||しゃかい Aging Society . シリコンバレー に 圧倒 的な 遅れ を とる 日本 の 情報 技術 。 ||あっとう|てきな|おくれ|||にっぽん||じょうほう|ぎじゅつ ||||overwhelming delay|||||| Japan's information technology has taken over the Silicon Valley by storm. 日本 が １９８０ 年 代 に 人工 知能 に 多く の 資金 を 投資 し 、 それ が 人材 と いう 形 で 広がり を 迎えて いる こと 。 にっぽん||とし|だい||じんこう|ちのう||おおく||しきん||とうし||||じんざい|||かた||ひろがり||むかえて|| |||||||||||||||||||||||welcoming|| Japan invested heavily in artificial intelligence in the 1980s, and this investment is now spreading in the form of human resources. その 中 で 迎えた 人工 知能 の ３ 回 目 の 春 。 |なか||むかえた|じんこう|ちのう||かい|め||はる |||welcomed||||||| In the midst of all this, Artificial Intelligence entered its third spring. この 状況 を もし 打開 できる と すれば 、 その カギ を 握る の は 「 人工 知能 の 活用 」 で は ない だろう か 。 |じょうきょう|||だかい|||||かぎ||にぎる|||じんこう|ちのう||かつよう||||| ||||breakthrough|||||||||||||||||| If this situation can be resolved, the key to doing so will be the use of artificial intelligence.

読者 の みなさん に は 、 それぞれ の 仕事 や 生活 の 中 で 、 人工 知能 を どのように 活 か して いけば よい か 、 活 かす こと が できる の か 、 ぜひ 考えて みて ほしい 。 どくしゃ|||||||しごと||せいかつ||なか||じんこう|ちのう|||かつ||||||かつ||||||||かんがえて|| We encourage you to think about how you can make the most of artificial intelligence in your work and in your life.

人工 知能 に よって 、 この 社会 が どう よく なる の か 、 どう すれば 日本 が 輝き を 取り戻す の か 、 考えて ほしい 。 じんこう|ちのう||||しゃかい|||||||||にっぽん||かがやき||とりもどす|||かんがえて| ||||||||||||||||||regain|||| I want you to think about how artificial intelligence can improve our society and how Japan can regain its luster. そして 、 人工 知能 の 現状 と 可能 性 を 正しく 理解 した 上 で 、 ぜひ 人工 知能 を 活用 して ほしい 。 |じんこう|ちのう||げんじょう||かのう|せい||まさしく|りかい||うえ|||じんこう|ちのう||かつよう|| We hope that you will make use of artificial intelligence based on a proper understanding of its current status and potential. それ が 本書 で 伝えたい メッセージ である 。 ||ほんしょ||つたえ たい|めっせーじ| ||||want to convey|| That is the message I want to convey in this book. 最後に 、 いま 人工 知能 が 春 の 時代 を 迎えて いる の は 、 過去 に 人工 知能 の 研究 を 行って きた 研究 者 たち の たゆま ぬ 努力 の おかげ である 。 さいごに||じんこう|ちのう||はる||じだい||むかえて||||かこ||じんこう|ちのう||けんきゅう||おこなって||けんきゅう|もの|||||どりょく||| ||||||||||||||||||||||||||steadfast||||| Finally, the fact that artificial intelligence is now entering its springtime period is due to the tireless efforts of researchers who have been working on artificial intelligence in the past.

冬 の 時代 に も 人工 知能 の 夢 を 諦め ず 、 後進 を 育て 、 研究 を 続けて きた 方々 の おかげ である 。 ふゆ||じだい|||じんこう|ちのう||ゆめ||あきらめ||こうしん||そだて|けんきゅう||つづけて||ほうぼう||| ||||||||||||younger generation|||||||people||| We are indebted to those who have not given up on the dream of artificial intelligence in the wintertime, and who have continued their research and fostered the next generation of researchers. 先人 に 心から の 敬意 を 表したい 。 せんじん||こころから||けいい||あらわし たい ||||respect|| I would like to express my deepest respect to those who came before me. 創造 活動 支援 システム 、 あるいは より 広く 世界 の 分 節 問題 に 関して 研究 を して いる 研究 者 に 、 東京 大学 教授 、 元 人工 知能 学会 会長 の 堀 浩一 氏 が いる 。 そうぞう|かつどう|しえん|しすてむ|||ひろく|せかい||ぶん|せつ|もんだい||かんして|けんきゅう||||けんきゅう|もの||とうきょう|だいがく|きょうじゅ|もと|じんこう|ちのう|がっかい|かいちょう||ほり|こういち|うじ|| |||||||||segment||||||||||||||||||||possessive particle|Hori|Koichi||| One of the researchers working on creative activity support systems or more broadly on global segmentation issues is Koichi Hori, a professor at the University of Tokyo and former president of the Japanese Society for Artificial Intelligence.

（＊ 注 55） The Current State of Machine Intelligence , December 11, 2014 ( http :// www . bloomberg . com / company /2014-12-11/ current - state - machine - intelligence /) そそ|the|current|state||machine|intelligence|december||||||||| |||condition||||December|||Bloomberg News||||||

（＊ 注 56） アンドリュー ・ パーカー 『 眼 の 誕生 カンブリア 紀 大 進化 の 謎 を 解く 』（ 草 思 社 、２００６ 年 ） 。 そそ|||がん||たんじょう||き|だい|しんか||なぞ||とく|くさ|おも|しゃ|とし ||Parker|||||||||||||||