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世界の昔話, コルニーユじいさんの秘密

コルニーユ じいさん の 秘密

コルニーユ じいさん の 秘密

むかし むかし 、 平和で 楽しい 村 が あり ました 。 村 の 人 たち は みんな 仲良し で 、 日曜日 に は 教会 に 集まり 、 おい の りした 後 に は 歌ったり おどったり し ます 。 畑 仕事 も 、 力 を 貸し 合い ます 。 村 の 人 たち は 、 いつも みんな が 幸せで い られる ように 考えて 暮らして いた のでした 。 そして 畑 で とれた ムギ は 粉 ひき 小屋 に 持って 行き 、 粉 に して パン を 作って 焼いて 食べ ました 。 この 村 に は たくさんの 粉 ひき 小屋 が あって 、 大きな 風車 ( ふうしゃ ) が クルクル と 風 に 回り 、 村 の 人 たち の 歌 に あわせる ように 、 ゴトンゴトン と 粉 ひきうす が 音 を 立てて い ました 。

コルニーユ じいさん も 、 粉 ひき 小屋 で 孫 の ビベット と 元 気 よく 働いて い ました 。 コルニーユ じいさん は 粉 ひき の 仕事 が 大好きで 、 六十 年 も この 仕事 を して いる のに 、 いつでも 大 はりきり です 。 ところが この 村 に 、 粉 ひき 工場 が 出来た のです 。 工場 に ムギ を 持って 行く と 、 あっという間 に 機械 ( きかい ) で 粉 に して くれ ます 。 村 の 人 たち は その方 が 早く パン を 作れる ので 、 だんだん ムギ を 工場 に 持って 行く ように なり ました 。 村 に たくさん あった 粉 ひき 小屋 は 、 一 つ また 一 つ と 、 うす を まわす の を やめて しまい ました 。 ムギ を 持って 来て くれる 人 が い なければ 、 仕事 に なら ない から です 。 それ で 粉 ひき 小屋 は とりこわさ れ 、 次々 と 畑 に 変わって いき ました 。 まるで 風車 の 村 だった のに 、 とうとう 風車 は 一 つ だけ に なって しまい ました 。 それ は 、 コルニーユ じいさん の 風車 です 。 コルニーユ じいさん は 、 「 風車 が クルクル まわって 、 うす が ゴトンゴトン と 音 を 立てて 粉 を 作る の さ 。 その 粉 で 作った パン で なきゃ 、 うまい はず が ない 」 と 、 ブツブツ 一 人 言 を 言って 歩く ように なり ました 。 それ を 見た 村 の 人 たち は 、 「 かわいそうに 。 仕事 が なくて コルニーユ じいさん 、 頭 が おかしく なった の か ねえ 」 と 、 うわさ し ました 。 コルニーユ じいさん が 何 を 考えて いる の か 、 孫 の ビベット に も わから なく なり ました 。 だって 、 あんなに 可愛がって くれて いた のに 、 「 ビベット 、 わし は 一 人 で 暮らし たく なった 。 お前 は 、 出て 行って くれ 。 そして もう 二度と 、 ここ へ は 来る な 」 と 、 いきなり そう 言った のです から 。 ビベット は 追い出さ れる ように 粉 ひき 小屋 を 出て 、 村 の すみ の 小さな 家 で 暮らす ように なり ました 。 コルニーユ じいさん の 暮らし は 、 誰 が 見て も ひどい もの でした 。 やせこけて 服 は ボロボロ 、 クツ も 穴 が 開いて いる の を 、 何 ヶ月 も はいて いる のです 。 けれど 不思議な 事 に 風車 は 前 と 同じ 様 に 、 クルクル と 楽し そうに まわって い ます 。 それ に コルニーユ じいさん は 朝 に なる と ロバ を 連れて 村 を 出て 行き 、 帰り に は ふくらんだ 袋 を ロバ の 背中 に つんで いる のでした 。 「 コルニーユ じいさん 、 急が し そうだ ね 」 村 の 人 が 声 を かける と 、 コルニーユ じいさん は ニコニコ 笑って 答え ます 。 「 ああ 、 隣 ( と なり ) の 村 や その 向こう の 村 から 、 いっぱい 注文 ( ちゅうもん ) が あって ね 」 「 そうかい 、 大変だ ね 」 村 の 人 たち は そう 言った あと 、 みんな 心 の 中 で 思い ました 。 ( そんなに もうかって いる の なら 、 服 や クツ を 買い かえれば いい のに ) ビベット も 、 もちろん そう 思い ました 。 でも 様子 を 見 に 行って も 、 コルニーユ じいさん は ドア に カギ を かけて 、 中 に は 入れて は くれ ませ ん 。 ビベット は そんなに 忙しく く 働いて いる お じいさん の 体 が 、 心配で たまり ませ ん でした 。 だ から 断ら れて も 、 断ら れて も 、 会い に 行き ました 。

そんな ある 日 の 事 、 ビベット は 友だち の 男の子 と コルニーユ じいさん の 粉 ひき 小屋 に 行き ました 。 お じいさん は 、 留守 でした 。 ビベット と 男の子 は はしご に のぼり 、 開いて いる 窓 から 中 に 入って みる 事 に し ました 。 そして 二 人 は 、 粉 ひき 小屋 の 中 で 、 「 あっ ! 」 と 、 言った まま 、 立ち つくして しまい ました 。 なんと 粉 ひきうす の 中 に は ムギ 一 粒 なく 、 ただ 風車 が 風 に クルクル と まわって いる だけ だった のです 。 それ に 小屋 の すみ に 転がって いる 袋 に は 、 ムギ で は なく 土 が 入って いた のです 。 「 これ 、 お じいちゃん が ロバ に 乗せて 持って 来る 袋 よ 」 「 ビベット 。 君 の お じいさん は 、 ムギ を ひく よう 頼ま れて いる ふり を して いた んだ ね 。 どんなに 貧乏に なって も 、 粉 ひき を し たかった んだ ね 」 「 かわいそうな 、 お じいちゃん 」 ビベット は 、 ポロポロ と 涙 を 流し ました 。 そして 二 人 は 粉 ひき 小屋 を 出る と 、 村 の 人 たち に 粉 ひき 小屋 で 見て 来た 事 を 話し ました 。 村 の 人 たち は 誰 も が 目 に 涙 を ためて 、 うなづき ました 。 「 そう 言えば 、 工場 が 出来て から 村 は 変わった わ 」 「 コルニーユ じいさん の 気持ち を 、 考えて あげる こと も し なかった よ 。 気の毒な 事 を した 」 村 の 人 たち は ムギ を 袋 に つめて 、 コルニーユ じいさん の 粉 ひき 小屋 に 向かい ました 。 コルニーユ じいさん は 、 もう 動く 力 も なくて 小屋 の 前 で ションボリ と 座って い ました 。 「 なあ 、 コルニーユ じいさん 。 家 の ムギ を 、 粉 に しと くれ よ 」 「 家 も だ 。 家 の ムギ も たのむ 」 「 やっぱり パン は 、 風車 で 作った パン が 一 番 うまい から な 」 村 の 人 たち が 次々 に 袋 を 差し出す と 、 コルニーユ じいさん の 目 は たちまち 輝き ました 、 「 おおっ ! ムギ かい ! ムギ だ な ! 待って いろ よ 、 とびきり おいしい 粉 を 作って やる から な 」

おしまい


コルニーユ じいさん の 秘密 |||ひみつ The Secret of Grandpa Corneille

コルニーユ じいさん の 秘密 |||ひみつ

むかし むかし 、 平和で 楽しい 村 が あり ました 。 ||へいわで|たのしい|むら||| 村 の 人 たち は みんな 仲良し で 、 日曜日 に は 教会 に 集まり 、 おい の りした 後 に は 歌ったり おどったり し ます 。 むら||じん||||なかよし||にちようび|||きょうかい||あつまり||||あと|||うたったり||| 畑 仕事 も 、 力 を 貸し 合い ます 。 はたけ|しごと||ちから||かし|あい| 村 の 人 たち は 、 いつも みんな が 幸せで い られる ように 考えて 暮らして いた のでした 。 むら||じん||||||しあわせで|||よう に|かんがえて|くらして|| そして 畑 で とれた ムギ は 粉 ひき 小屋 に 持って 行き 、 粉 に して パン を 作って 焼いて 食べ ました 。 |はたけ|||||こな||こや||もって|いき|こな|||ぱん||つくって|やいて|たべ| この 村 に は たくさんの 粉 ひき 小屋 が あって 、 大きな 風車 ( ふうしゃ ) が クルクル と 風 に 回り 、 村 の 人 たち の 歌 に あわせる ように 、 ゴトンゴトン と 粉 ひきうす が 音 を 立てて い ました 。 |むら||||こな||こや|||おおきな|かざぐるま|||くるくる||かぜ||まわり|むら||じん|||うた|||よう に|||こな|||おと||たてて||

コルニーユ じいさん も 、 粉 ひき 小屋 で 孫 の ビベット と 元 気 よく 働いて い ました 。 |||こな||こや||まご||||もと|き||はたらいて|| コルニーユ じいさん は 粉 ひき の 仕事 が 大好きで 、 六十 年 も この 仕事 を して いる のに 、 いつでも 大 はりきり です 。 |||こな|||しごと||だいすきで|ろくじゅう|とし|||しごと||||||だい|| ところが この 村 に 、 粉 ひき 工場 が 出来た のです 。 ||むら||こな||こうじょう||できた|の です 工場 に ムギ を 持って 行く と 、 あっという間 に 機械 ( きかい ) で 粉 に して くれ ます 。 こうじょう||||もって|いく||あっというま||きかい|||こな|||| 村 の 人 たち は その方 が 早く パン を 作れる ので 、 だんだん ムギ を 工場 に 持って 行く ように なり ました 。 むら||じん|||そのほう||はやく|ぱん||つくれる|||||こうじょう||もって|いく|よう に|| 村 に たくさん あった 粉 ひき 小屋 は 、 一 つ また 一 つ と 、 うす を まわす の を やめて しまい ました 。 むら||||こな||こや||ひと|||ひと|||||||||| ムギ を 持って 来て くれる 人 が い なければ 、 仕事 に なら ない から です 。 ||もって|きて||じん||||しごと||||| それ で 粉 ひき 小屋 は とりこわさ れ 、 次々 と 畑 に 変わって いき ました 。 ||こな||こや||||つぎつぎ||はたけ||かわって|| まるで 風車 の 村 だった のに 、 とうとう 風車 は 一 つ だけ に なって しまい ました 。 |かざぐるま||むら||||かざぐるま||ひと|||||| それ は 、 コルニーユ じいさん の 風車 です 。 |||||かざぐるま| コルニーユ じいさん は 、 「 風車 が クルクル まわって 、 うす が ゴトンゴトン と 音 を 立てて 粉 を 作る の さ 。 |||かざぐるま||くるくる||||||おと||たてて|こな||つくる|| その 粉 で 作った パン で なきゃ 、 うまい はず が ない 」 と 、 ブツブツ 一 人 言 を 言って 歩く ように なり ました 。 |こな||つくった|ぱん||||||||ぶつぶつ|ひと|じん|げん||いって|あるく|よう に|| それ を 見た 村 の 人 たち は 、 「 かわいそうに 。 ||みた|むら||じん||| 仕事 が なくて コルニーユ じいさん 、 頭 が おかしく なった の か ねえ 」 と 、 うわさ し ました 。 しごと|||||あたま|||||||||| コルニーユ じいさん が 何 を 考えて いる の か 、 孫 の ビベット に も わから なく なり ました 。 |||なん||かんがえて||||まご|||||||| だって 、 あんなに 可愛がって くれて いた のに 、 「 ビベット 、 わし は 一 人 で 暮らし たく なった 。 ||かわいがって|||||||ひと|じん||くらし|| お前 は 、 出て 行って くれ 。 おまえ||でて|おこなって| そして もう 二度と 、 ここ へ は 来る な 」 と 、 いきなり そう 言った のです から 。 ||にどと||||くる|||||いった|の です| ビベット は 追い出さ れる ように 粉 ひき 小屋 を 出て 、 村 の すみ の 小さな 家 で 暮らす ように なり ました 。 ||おいださ||よう に|こな||こや||でて|むら||||ちいさな|いえ||くらす|よう に|| コルニーユ じいさん の 暮らし は 、 誰 が 見て も ひどい もの でした 。 |||くらし||だれ||みて|||| やせこけて 服 は ボロボロ 、 クツ も 穴 が 開いて いる の を 、 何 ヶ月 も はいて いる のです 。 |ふく||ぼろぼろ|くつ||あな||あいて||||なん|かげつ||||の です けれど 不思議な 事 に 風車 は 前 と 同じ 様 に 、 クルクル と 楽し そうに まわって い ます 。 |ふしぎな|こと||かざぐるま||ぜん||おなじ|さま||くるくる||たのし|そう に||| それ に コルニーユ じいさん は 朝 に なる と ロバ を 連れて 村 を 出て 行き 、 帰り に は ふくらんだ 袋 を ロバ の 背中 に つんで いる のでした 。 |||||あさ||||ろば||つれて|むら||でて|いき|かえり||||ふくろ||ろば||せなか|||| 「 コルニーユ じいさん 、 急が し そうだ ね 」   村 の 人 が 声 を かける と 、 コルニーユ じいさん は ニコニコ 笑って 答え ます 。 ||いそが||そう だ||むら||じん||こえ|||||||にこにこ|わらって|こたえ| 「 ああ 、 隣 ( と なり ) の 村 や その 向こう の 村 から 、 いっぱい 注文 ( ちゅうもん ) が あって ね 」 「 そうかい 、 大変だ ね 」   村 の 人 たち は そう 言った あと 、 みんな 心 の 中 で 思い ました 。 |となり||||むら|||むこう||むら|||ちゅうもん||||||たいへんだ||むら||じん||||いった|||こころ||なか||おもい| ( そんなに もうかって いる の なら 、 服 や クツ を 買い かえれば いい のに )   ビベット も 、 もちろん そう 思い ました 。 |||||ふく||くつ||かい||||||||おもい| でも 様子 を 見 に 行って も 、 コルニーユ じいさん は ドア に カギ を かけて 、 中 に は 入れて は くれ ませ ん 。 |ようす||み||おこなって|||||どあ||かぎ|||なか|||いれて|||| ビベット は そんなに 忙しく く 働いて いる お じいさん の 体 が 、 心配で たまり ませ ん でした 。 |||いそがしく||はたらいて|||||からだ||しんぱいで|||| だ から 断ら れて も 、 断ら れて も 、 会い に 行き ました 。 ||ことわら|||ことわら|||あい||いき|

そんな ある 日 の 事 、 ビベット は 友だち の 男の子 と コルニーユ じいさん の 粉 ひき 小屋 に 行き ました 。 ||ひ||こと|||ともだち||おとこのこ|||||こな||こや||いき| お じいさん は 、 留守 でした 。 |||るす| ビベット と 男の子 は はしご に のぼり 、 開いて いる 窓 から 中 に 入って みる 事 に し ました 。 ||おとこのこ|||||あいて||まど||なか||はいって||こと||| そして 二 人 は 、 粉 ひき 小屋 の 中 で 、 「 あっ ! |ふた|じん||こな||こや||なか|| 」 と 、 言った まま 、 立ち つくして しまい ました 。 |いった||たち||| なんと 粉 ひきうす の 中 に は ムギ 一 粒 なく 、 ただ 風車 が 風 に クルクル と まわって いる だけ だった のです 。 |こな|||なか||||ひと|つぶ|||かざぐるま||かぜ||くるくる||||||の です それ に 小屋 の すみ に 転がって いる 袋 に は 、 ムギ で は なく 土 が 入って いた のです 。 ||こや||||ころがって||ふくろ|||||||つち||はいって||の です 「 これ 、 お じいちゃん が ロバ に 乗せて 持って 来る 袋 よ 」 「 ビベット 。 ||||ろば||のせて|もって|くる|ふくろ|| 君 の お じいさん は 、 ムギ を ひく よう 頼ま れて いる ふり を して いた んだ ね 。 きみ|||||||||たのま|||||||| どんなに 貧乏に なって も 、 粉 ひき を し たかった んだ ね 」 「 かわいそうな 、 お じいちゃん 」   ビベット は 、 ポロポロ と 涙 を 流し ました 。 |びんぼうに|||こな||||||||||||ぽろぽろ||なみだ||ながし| そして 二 人 は 粉 ひき 小屋 を 出る と 、 村 の 人 たち に 粉 ひき 小屋 で 見て 来た 事 を 話し ました 。 |ふた|じん||こな||こや||でる||むら||じん|||こな||こや||みて|きた|こと||はなし| 村 の 人 たち は 誰 も が 目 に 涙 を ためて 、 うなづき ました 。 むら||じん|||だれ|||め||なみだ|||うな づき| 「 そう 言えば 、 工場 が 出来て から 村 は 変わった わ 」 「 コルニーユ じいさん の 気持ち を 、 考えて あげる こと も し なかった よ 。 |いえば|こうじょう||できて||むら||かわった|||||きもち||かんがえて|||||| 気の毒な 事 を した 」   村 の 人 たち は ムギ を 袋 に つめて 、 コルニーユ じいさん の 粉 ひき 小屋 に 向かい ました 。 きのどくな|こと|||むら||じん|||||ふくろ||||||こな||こや||むかい| コルニーユ じいさん は 、 もう 動く 力 も なくて 小屋 の 前 で ションボリ と 座って い ました 。 ||||うごく|ちから|||こや||ぜん||しょんぼり||すわって|| 「 なあ 、 コルニーユ じいさん 。 家 の ムギ を 、 粉 に しと くれ よ 」 「 家 も だ 。 いえ||||こな|||||いえ|| 家 の ムギ も たのむ 」 「 やっぱり パン は 、 風車 で 作った パン が 一 番 うまい から な 」   村 の 人 たち が 次々 に 袋 を 差し出す と 、 コルニーユ じいさん の 目 は たちまち 輝き ました 、 「 おおっ ! いえ||||||ぱん||かざぐるま||つくった|ぱん||ひと|ばん||||むら||じん|||つぎつぎ||ふくろ||さしだす|||||め|||かがやき|| ムギ かい ! ムギ だ な ! 待って いろ よ 、 とびきり おいしい 粉 を 作って やる から な 」 まって|||||こな||つくって|||

おしまい