力 比べ
ちから|くらべ
trial of strength
力 比べ
ちから|くらべ
Compare power
むかし むかし 、 ペルシア (→ イラン ) に 、 ものすごい 力持ち の 男 が い ました 。
|||いらん|||ちからもち||おとこ|||
ある 日 の 事 、 この 力持ち は 、 インド に は 自分 より も 、 もっと 強い 力持ち が いる と 言う うわさ を 耳 に し ました 。
|ひ||こと||ちからもち||いんど|||じぶん||||つよい|ちからもち||||いう|||みみ|||
これ を 聞いた 力持ち は 、 すぐさま その インド 人 と 力 比べ を して みよう と 思い ました 。
||きいた|ちからもち||||いんど|じん||ちから|くらべ|||||おもい|
そこ で 町 に 行って 十万 袋 の 小麦粉 を 買う と 、 それ を お 弁当 の 代わり に 頭 の 上 に 乗せて 出かけ ました 。
||まち||おこなって|じゅうまん|ふくろ||こむぎこ||かう|||||べんとう||かわり||あたま||うえ||のせて|でかけ|
So I went to the town and bought 100,000 bags of flour, and instead of a lunch box, I put it on my head and went out.
日 の 暮れる 頃 、 インド の 国境 い に ある 湖 に 着き ました 。
ひ||くれる|ころ|いんど||くにざかい||||こ||つき|
力持ち は ひどく のど が かわいた ので 、 湖 の 岸 に ひざまずいて 、 ズズズーッ と 水 を 一口 吸い 込み ました 。
ちからもち|||||||こ||きし|||||すい||ひとくち|すい|こみ|
すると 湖 の 水 が 、 半分 以上 も 減って しまい ました 。
|こ||すい||はんぶん|いじょう||へって||
それ から 今度 は 持って 来た 小麦粉 を 、 残った 水 の 中 に 入れて かき混ぜ ました 。
||こんど||もって|きた|こむぎこ||のこった|すい||なか||いれて|かきまぜ|
Then I put the flour I brought in into the remaining water and stirred it.
力持ち は それ を 全部 食べる と 、 その場で 眠って しまい ました 。
ちからもち||||ぜんぶ|たべる||そのばで|ねむって||
さて 、 湖 に は 毎朝 の 様 に 、 一 匹 の 大きな ゾウ が 水 を 飲み に 来 ます 。
|こ|||まいあさ||さま||ひと|ひき||おおきな|ぞう||すい||のみ||らい|
その 朝 も やって 来た のです が 、 おどろいた 事 に 今朝 は 湖 の 水 が あり ませ ん 。
|あさ|||きた|の です|||こと||けさ||こ||すい||||
( どう しよう ?
) ゾウ は 、 困って しまい ました 。
ぞう||こまって||
ガッカリ して 帰ろう と した 時 、 グッスリ と 寝 込んで いる 力持ち を 見つけ ました 。
がっかり||かえろう|||じ|ぐっすり||ね|こんで||ちからもち||みつけ|
その お腹 の 大きい 事 。
|おなか||おおきい|こと
That big thing.
( さては 、 あいつ が 飲みほして しまった んだ な ) と 、 ゾウ は 気 が ついて 、 カンカンに 怒り ました 。
|||のみほして|||||ぞう||き|||かんかん に|いかり|
そして ゾウ は 、 「 え いっ !
|ぞう|||
」 と 、 ばかりに 、 力持ち の 頭 を ふみ つけ ました 。
||ちからもち||あたま||||
すると 力持ち は 目 を 覚まして 、 ゾウ に ふみ つけ られた 頭 を ポリポリ とかく と 、 「 頭 を くすぐった の は 、 お前 だ な 」 と 、 言って 、 ゾウ を こわき に かかえ あげ ました 。
|ちからもち||め||さまして|ぞう|||||あたま|||||あたま|||||おまえ||||いって|ぞう||||||
Then the mighty woke up and said, "You are the one who tickled your head," and said, "You are the one who tickled your head."
それ から ゾウ を ふろしき に 包んで 、 ヒョイ と 肩 に かつぎ ました 。
||ぞう||||つつんで|||かた|||
それ から しばらく 歩いて 、 インド の 力持ち の 家 に たどり着き ました 。
|||あるいて|いんど||ちからもち||いえ||たどりつき|
ペルシア の 力持ち は 、 大きな 声 で 呼びかけ ました 。
||ちからもち||おおきな|こえ||よびかけ|
The Persian powers called out in a loud voice.
「 出て 来い !
でて|こい
インド の 力持ち 。
いんど||ちからもち
俺 さま が 投げ 倒して やる から 、 かかって 来い !
おれ|||なげ|たおして||||こい
」 すると 中 から 、 おかみ さん が 答え ました 。
|なか|||||こたえ|
「 あいにく 、 今 は 留守 です よ 。
|いま||るす||
あの 人 は 、 山 へ たき ぎ を 取り に 行き ました 」 「 そう か 。
|じん||やま|||||とり||いき|||
じゃ 、 また 来る 。
||くる
See you soon.
これ は 、 ほんの 手 土産 だ よ 」 ペルシア の 力持ち は そう 言って 、 庭 の 中 へ かついで 来た ゾウ の 包み を ポイッ と 投げ 込み ました 。
|||て|みやげ|||||ちからもち|||いって|にわ||なか|||きた|ぞう||つつみ||||なげ|こみ|
すると 中 から 、 おかみ さん の 声 が 聞こえ ました 。
|なか|||||こえ||きこえ|
「 あれ まあ 、 おっかさん 。
||おっか さん
ごらん よ 。
お 客 さん が ネズミ を 投げ 込んで いった よ 」 「 ほって おおき 。
|きゃく|||ねずみ||なげ|こんで||||
The customer threw the mouse in. "" Hey, big.
ネズミ の 一 匹 ぐらい 、 つまみ出せば いい じゃ ない か 」 ペルシア の 力持ち は ビックリ し ました が 、 すぐ に 聞き 違えた のだ と 思い ました 。
ねずみ||ひと|ひき||つまみだせば|||||||ちからもち||びっくり||||||きき|ちがえた|||おもい|
Shouldn't we just pick up about one mouse? ”I was surprised by the power of Persia, but I immediately thought that I had misunderstood.
( まさか 、 ゾウ が ネズミ に 見える はず は ない ) 力持ち は 、 相手 を 探し に 山 に 向かって 歩いて 行き ました 。
|ぞう||ねずみ||みえる||||ちからもち||あいて||さがし||やま||むかって|あるいて|いき|
(No way, the elephant shouldn't look like a mouse.) The mighty walked towards the mountain in search of his opponent.
インド の 力持ち は 、 すぐ に 見つかり ました 。
いんど||ちからもち||||みつかり|
なにしろ 頭 の 上 に 、 貨車 千 両 ほど も たき ぎ を 乗っけて いる のです から 。
|あたま||うえ||かしゃ|せん|りょう||||||のっけて||の です|
After all, there are about a thousand freight cars on top of my head.
「 これ は 、 まったく 素晴らしい 相手 だ 」 と 、 ペルシア の 力持ち は 感心 して 、 呼び止め ました 。
|||すばらしい|あいて|||||ちからもち||かんしん||よびとめ|
「 インド の 力持ち よ 。
いんど||ちからもち|
きみ の うわさ を 聞いて 、 ぼく は わざわざ ペルシア から 力 比べ に 来た んだ 」 「 そう か 、 それ は うれしい 」 と 、 インド の 力持ち は 答え ました 。
||||きいて||||||ちから|くらべ||きた||||||||いんど||ちからもち||こたえ|
「 しかし 、 ここ じゃ 場所 が ない 。
|||ばしょ||
"But there is no place here.
それ に 、 手 を 叩いて くれる 見物人 も い なくて は つまらない 」 「 それ じゃ 、 見物人 は きみ の お 母さん に 頼む と しよう 」 「 よし きた 。
||て||たたいて||けんぶつにん||||||||けんぶつにん|||||かあさん||たのむ||||
おっ かさ ー ん 、 ここ に 来て 、 力 比べ を 見てくれ !
||-||||きて|ちから|くらべ||みてくれ
」 する と 、 お 母さん が 答え ました 。
|||かあさん||こたえ|
「 だめ 、 だめ 。
手 が はなせ ない よ 。
て||||
わたし の ラクダ を 娘 が 盗んだ ので 、 いま 追っかけて る ところ だ よ 。
||らくだ||むすめ||ぬすんだ|||おっかけて||||
My daughter stole my camel, so I'm chasing it now.
でも なんなら 、 わたし の 手の平 の 上 で やったら どう だい ?
||||て の ひら||うえ||||
But why not do it in the palm of my hand?
それ なら 、 追っかけ ながら 見て やれる から ね 」 そこ で 二 人 は 、 お 母さん の 手の平 の 上 に 飛び乗る と 、 取っ 組み 合い を 始め ました 。
||おっかけ||みて||||||ふた|じん|||かあさん||て の ひら||うえ||とびのる||とっ|くみ|あい||はじめ|
この ありさま を 遠く の 方 から 見て いた 娘 は 、 これ は 自分 を 捕まえる ため に 、 お 母さん が 兵隊 を やとって きた のだ と 思い ました 。
|||とおく||かた||みて||むすめ||||じぶん||つかまえる||||かあさん||へいたい||||||おもい|
The daughter, who was looking at this situation from a distance, thought that it was her mother's troops to catch her.
それ で 娘 は ヒョイ と 手 を 伸ばす と 、 お 母さん も 二 人 の 力持ち も 連れて いた 百六十 匹 の ラクダ も 、 みんな ひっくるめて 大きな ふろしき に 包んで しまい ました 。
||むすめ||||て||のばす|||かあさん||ふた|じん||ちからもち||つれて||ひゃくろくじゅう|ひき||らくだ||||おおきな|||つつんで||
So when the daughter reached out with Hyoi, the mother and the 160 camels, who were accompanied by two powerful men, were all wrapped up in a large furoshiki.
そして それ を 頭 の 上 に 乗せる と 、 ドンドン と 歩いて 行き ました 。
|||あたま||うえ||のせる||どんどん||あるいて|いき|
Then he put it on his head and walked with him.
その うち に 娘 は お腹 が 空いて 来た ので 、 近く にあった 町 の パン 屋 を 町 ごと そっくり 包んで 、 また 歩き 出し ました 。
|||むすめ||おなか||あいて|きた||ちかく||まち||ぱん|や||まち|||つつんで||あるき|だし|
Then my daughter was hungry, so I wrapped up the bakery in the nearby town and started walking again.
やがて 、 広い 畑 に 出 ました 。
|ひろい|はたけ||だ|
畑 に は 、 大きな スイカ が なって い ます 。
はたけ|||おおきな|すいか||||
There is a big watermelon in the field.
娘 は それ を 割って 中身 を 食べる と 、 持って 来た 荷物 を スイカ の 皮 の 中 に 押し 込み ました 。
むすめ||||わって|なかみ||たべる||もって|きた|にもつ||すいか||かわ||なか||おし|こみ|
The daughter broke it and ate the contents, and pushed the baggage she brought into the skin of the watermelon.
そして それ を まくら に して 、 いつの間にか グッスリ と 眠って しまい ました 。
||||||いつのまにか|ぐっすり||ねむって||
眠って いる うち に 、 大 洪水 が 押し寄せ ました 。
ねむって||||だい|こうずい||おしよせ|
世の中 の 物 は 、 何もかも 押し流さ れて しまい ました 。
よのなか||ぶつ||なにもかも|おしながさ|||
ただ スイカ だけ が 、 プカプカ と 水 の 上 に 浮いて い ました 。
|すいか|||||すい||うえ||ういて||
スイカ は 浮き ながら 、 海 へ 流れて いき ました 。
すいか||うき||うみ||ながれて||
やがて 洪水 が ひいて 、 世の中 は すっかり 変わり ました 。
|こうずい|||よのなか|||かわり|
スイカ が 岸辺 へ 打ち上げ られて 、 中 から ぞろぞろ と 人間 が はい出 して き ました 。
すいか||きしべ||うちあげ||なか||||にんげん||はいしゅつ|||
お 母さん や 、 二 人 の 力持ち や 、 ラクダ や 、 パン 屋 や 、 そのほか 色々な 物 が 出て 来 ました 。
|かあさん||ふた|じん||ちからもち||らくだ||ぱん|や|||いろいろな|ぶつ||でて|らい|
新しい 世界 は こうして 、 この 人 たち から 始まった のです 。
あたらしい|せかい||||じん|||はじまった|の です
つまり これ が 、 人間 の 先祖 です 。
|||にんげん||せんぞ|
そして スイカ の 中 で 暮らした ので 、 人間 の 大き さ は だいたい 同じ 様 に なった と いう 事 です 。
|すいか||なか||くらした||にんげん||おおき||||おなじ|さま|||||こと|
And since I lived in a watermelon, the size of human beings is about the same.
おしまい