橋の上の幸福
きょう の うえ の こうふく
Happiness on the Bridge
橋 の 上 の 幸福
きょう||うえ||こうふく
Happiness on the bridge
むかし むかし 、 スウーピア 川 と 言う 川 の ほとり に 、 小さな 家 が あり ました 。
|||かわ||いう|かわ||||ちいさな|いえ|||
Once upon a time there was a small house on the banks of the Suupia River.
この 家 に は 、 お 父さん と お 母さん 、 それ に 三 人 の 子ども が 住んで い ました 。
|いえ||||とうさん|||かあさん|||みっ|じん||こども||すんで||
In this house, a father and mother, and three children lived.
お 父さん は 働き者 でした が 、 家 は 貧乏だった ので 三 人 の 子ども たち は いつも お腹 を 空か せて い ました 。
|とうさん||はたらきもの|||いえ||びんぼうだった||みっ|じん||こども||||おなか||あか|||
My father was a hard worker, but his family was poor, so his three children were always hungry.
ある 年 の 春 、 家 に 食べ物 が なくなった 為 、 お 父さん は スウーピア 川 に 釣り に 出かけ ました 。
|とし||はる|いえ||たべもの|||ため||とうさん|||かわ||つり||でかけ|
One spring, my dad went fishing on the Soopia River because he ran out of food.
「 どうか 神さま 、 魚 の 一 匹 でも 釣ら せて 下さい 」 お 父さん は 頑張り ました が 、 夜 に なって も 魚 は 一 匹 も 釣れ ませ ん でした 。
|かみさま|ぎょ||ひと|ひき||つら||ください||とうさん||がんばり|||よ||||ぎょ||ひと|ひき||つれ|||
"Please, God, please catch even one fish." My father worked hard, but at night, he could not catch any fish.
「 ああ 、 なさけない 父親 だ 」 お 父さん は 、 トボトボ と 家 に 帰り ました 。
||ちちおや|||とうさん||とぼとぼ||いえ||かえり|
“Oh, I'm a lonely father.” Dad went home with Tobotobo.
家 で は 、 子ども たち が お 母さん と 眠って い ました 。
いえ|||こども||||かあさん||ねむって||
At home, the children were sleeping with their mother.
テーブル の 上 に は 、 ヤギ の ミルク が ほんの 少し お 皿 に 残って い ます 。
てーぶる||うえ|||やぎ||みるく|||すこし||さら||のこって||
On the table, a little bit of goat's milk is left on the plate.
「 今夜 の 晩 ご飯 は 、 ヤギ の ミルク だけ だった の か 。
こんや||ばん|ごはん||やぎ||みるく||||
"Is goat's milk the only supper tonight?
その うち に ヤギ も やせて しまって 、 ミルク を 出さ なく なる だろう 」 お 父さん は 大きな ため 息 を ついて 、 ワラ の ベッド に 潜り 込み ました 。
|||やぎ||||みるく||ださ|||||とうさん||おおきな||いき|||わら||べっど||くぐり|こみ|
The goat will lose weight in the meantime and will not give up milk." Dad sighed deep into the straw bed.
その 夜 、 お 父さん は 不思議な 夢 を 見 ました 。
|よ||とうさん||ふしぎな|ゆめ||み|
That night, Dad had a mysterious dream.
『 シチェチン の 大橋 の 上 で 、 幸福に 出会う よ 』 夢 の 中 で 、 誰 か が お 父さん に 言う のです 。
||おおはし||うえ||こうふくに|であう||ゆめ||なか||だれ||||とうさん||いう|
"I will meet happiness on the bridge in Szczecin." In a dream, someone tells his father.
朝 に なって 目 を 覚ました お 父さん は 、 夢 の 言葉 を 繰り返し ました 。
あさ|||め||さました||とうさん||ゆめ||ことば||くりかえし|
Waking up in the morning, Dad repeated the words of his dreams.
「『 シチェチン の 大橋 の 上 で 、 幸福に 出会う よ 』 か 。
||おおはし||うえ||こうふくに|であう||
"" On the bridge of Szczecin, you will meet happiness."
一体 、 どんな 幸福だろう 。
いったい||こうふくだろう
What kind of happiness is it?
・・・ いや 、 ただ の 夢 じゃ ない か 。
|||ゆめ|||
...No, it's just a dream.
本気に する なんて バカバカしい 」 お 父さん は そう 思って 、 その 日 も 釣り に 出かけ ました 。
ほんきに|||ばかばかしい||とうさん|||おもって||ひ||つり||でかけ|
It was so ridiculous to take it seriously.” Dad thought so, and went fishing also on that day.
けれども 今日 も 、 魚 は 釣れ ませ ん でした 。
|きょう||ぎょ||つれ|||
But even today, I couldn't catch any fish.
そして 夜 に なる と 、 また 同じ 夢 を 見た のです 。
|よ|||||おなじ|ゆめ||みた|
And at night, I had the same dream again.
『 シチェチン の 大橋 の 上 で 、 幸福に 出会う よ 』 お 父さん は 、 首 を かしげ ました 。
||おおはし||うえ||こうふくに|であう|||とうさん||くび|||
“On the bridge in Szczecin, you will meet happiness.” Dad bowed his head.
「 二 日 も 続けて 同じ 夢 を 見る なんて 、 もしかすると ・・・。
ふた|ひ||つづけて|おなじ|ゆめ||みる||
"Maybe I have the same dream for two days in a row ...
いや 、 腹 が 空き 過ぎて 、 頭 が どうかした の かも しれ ない 」 次の 日 、 お 父さん は また 川 へ 釣り に 行き ました 。
|はら||あき|すぎて|あたま|||||||つぎの|ひ||とうさん|||かわ||つり||いき|
No, maybe I'm too hungry and I'm sick." The next day, Dad went fishing again to the river.
けれど 魚 は 釣れ ず 、 夜 に なる と また 同じ 夢 を 見た のです 。
|ぎょ||つれ||よ|||||おなじ|ゆめ||みた|
However, I couldn't catch any fish, and at night I had the same dream again.
『 シチェチン の 大橋 の 上 で 、 幸福に 出会う よ 』 朝 に なる と 、 さすが に 気 に なって お 父さん は お 母さん に 夢 の 話 を し ました 。
||おおはし||うえ||こうふくに|であう||あさ||||||き||||とうさん|||かあさん||ゆめ||はなし|||
"I will meet happiness on the bridge in Szczecin." In the morning, my father was really worried and told his mother a dream story.
「 三 日 も 続けて 見る って 事 は 、 これ は 神さま の お告げ かも しれ ねえ 。
みっ|ひ||つづけて|みる||こと||||かみさま||おつげ|||
"It may be God's announcement that you will see it for three days in a row.
バカバカしい と 思う かも しれ ない が 、 そんな 気 が する んだ 」 すると お 母さん は 、 真面目な 顔 で 言い ました 。
ばかばかしい||おもう||||||き||||||かあさん||まじめな|かお||いい|
I know it sounds crazy, but that's the way I feel about it." Then, Mom said with a serious face.
「 きっと 、 神さま の お告げ です よ 。
|かみさま||おつげ||
ちょうど シチェチン で 市場 が 開く から 、 ついでに 市場 で 働いて おい で よ 。
|||いちば||あく|||いちば||はたらいて|||
The market is just about to open in Sichechin, so why don't you come and work at the market?
神さま の お告げ だ もの 。
かみさま||おつげ||
It was a sign from God.
パン の 一 斤 ( きん → 重量 の 単位 で 、1 斤 は 約 600 グラム ) くらい めぐんで 下さる わ よ 」 「 そう だ な 。
ぱん||ひと|きん||じゅうりょう||たんい||きん||やく|ぐらむ|||くださる|||||
I'd go over about a loaf of bread (in a unit of weight → one loaf is about 600 grams)." "Yes.
そう しよう 」 こうして お 父さん は 、 さっそく 出かけて 行き ました 。
||||とうさん|||でかけて|いき|
Let's do it like this.” Dad immediately went out and went.
お 父さん は 途中 で 友だち の 馬車 ( ばしゃ ) に 乗せて もらい 、 三 日 後 に シチェチン の 大橋 に 到着 し ました 。
|とうさん||とちゅう||ともだち||ばしゃ|||のせて||みっ|ひ|あと||||おおはし||とうちゃく||
「 さて 、 まずは 幸福 を 待って みる か 」 お 父さん は 夢 の お告げ 通り 、 大橋 の 上 に 立って じっと 幸福 を 待ち ました 。
||こうふく||まって||||とうさん||ゆめ||おつげ|とおり|おおはし||うえ||たって||こうふく||まち|
でも 、 夕方 に なって も 何も 起こり ませ ん 。
|ゆうがた||||なにも|おこり||
But nothing happened in the evening.
今 から 市場 へ 行って 仕事 を 探す に は 遅 すぎる し 、 宿 に 泊まる お 金 も あり ませ ん 。
いま||いちば||おこなって|しごと||さがす|||おそ|||やど||とまる||きむ||||
「 仕方ない 。
しかたない
" it can not be helped .
今夜 は 橋 の 下 で 眠る か 」 お 父さん が 橋 の 下 で 身 を 震わせる と 、 一 人 の 老人 が 近づいて 来 ました 。
こんや||きょう||した||ねむる|||とうさん||きょう||した||み||ふるわせる||ひと|じん||ろうじん||ちかづいて|らい|
Do you sleep under the bridge tonight?” My father shook himself under the bridge, and an old man approached me.
「 どうした ね 。
"What's wrong?
こんな ところ で 震えて 」 「 はい 、 それ は ・・・」 お 父さん は 、 三 日 続けて 見た 夢 の 話 を し ました 。
|||ふるえて|||||とうさん||みっ|ひ|つづけて|みた|ゆめ||はなし|||
"I tremble in a place like this." "Yes, that's..." Dad told me about a dream he had for three consecutive days.
すると 老人 は 手 を 叩いて 笑い 、 こう 言った のです 。
|ろうじん||て||たたいて|わらい||いった|
Then the old man smashed his hand and laughed, and said,
「 そう か 、 そう か 。
" Ah, I see I see .
実は な 、 わし も 同じ 夢 を 三 日 続けて 見た んじゃ よ 。
じつは||||おなじ|ゆめ||みっ|ひ|つづけて|みた||
Actually, I had the same dream for three days in a row.
何でも スウーピア 川 の ほとり に 貧しい 五 人 家族 の 家 が あって な 。
なんでも||かわ||||まずしい|いつ|じん|かぞく||いえ|||
Anything, there is a poor family of five on the banks of the Supia River.
その 家 の 暖炉 ( だんろ ) の 下 に 大金 が 埋めて ある から 、 掘って みろ と 言う んじゃ 。
|いえ||だんろ|||した||たいきん||うずめて|||ほって|||いう|
しかし 、 誰 が そんな 夢 の 話 を 信じる か ね 」 話 を 聞き 終わる と 、 お 父さん は 老人 の 手 を しっかり と 握りしめ 、 「 そう です ね 。
|だれ|||ゆめ||はなし||しんじる|||はなし||きき|おわる|||とうさん||ろうじん||て||||にぎりしめ|||
私 が 馬鹿だった 。
わたくし||ばかだった
I was an idiot.
すぐ 帰り ます 」 と 、 別れ を 告げて 、 大橋 から 遠い 家 まで 走って 行き ました 。
|かえり|||わかれ||つげて|おおはし||とおい|いえ||はしって|いき|
I said, "I'm going home soon," and said goodbye, and ran to a house far from Ohashi.
( スウーピア 川 の ほとり の 五 人 家族 の 貧しい 家 と 言ったら 、 おれ の 家 しか ない はず ) お 父さん は 走って 走って 友だち の 馬車 に 追いつき 、 三 日 後 に は 家 に 帰りつき ました 。
|かわ||||いつ|じん|かぞく||まずしい|いえ||いったら|||いえ|||||とうさん||はしって|はしって|ともだち||ばしゃ||おいつき|みっ|ひ|あと|||いえ||かえりつき|
(If I said it was a poor house for a family of five on the banks of the Supia River, I would have to have my only house.) Dad ran and ran up to catch a friend's carriage, and three days later he came home.
「 あら 、 あなた 、 お かえり なさい 」 「 お 父さん 、 パン は ?
||||||とうさん|ぱん|
"Oh, you welcome back." "Dad, how about bread?
」 出迎える お 母さん と 子ども に 返事 も せ ず 、 お 父さん は オノ で いきなり レンガ の 暖炉 を 壊し 始め ました 。
でむかえる||かあさん||こども||へんじ|||||とうさん||おの|||れんが||だんろ||こわし|はじめ|
Without answering the welcoming mother and child, Dad suddenly started to break the brick fireplace with Ono.
「 あなた 、 何 する の !
|なん||
"What are you doing!
」 驚いた お 母さん が 止めよう と し ました が 、 暖炉 を 壊した お 父さん は 次に 暖炉 の 下 を 掘り 始めた のです 。
おどろいた||かあさん||とどめよう|||||だんろ||こわした||とうさん||つぎに|だんろ||した||ほり|はじめた|
The surprised mom tried to stop it, but the dad, who broke the fireplace, then started digging underneath the fireplace.
お 母さん も 子ども たち も 、 お 父さん が あまりに も 真剣な ので 、 何も 言わ ず に そば で ジッと 見て い ました 。
|かあさん||こども||||とうさん||||しんけんな||なにも|いわ|||||じっと|みて||
My mother, my children, and my dad were so serious that I looked at them without saying anything.
そして しばらく する と 、 お 父さん が 大声 で 叫び ました 。
|||||とうさん||おおごえ||さけび|
「 あった ぞ !
」 そして 土 の 中 から 大 ナベ を 重た そうに 引き上げる と 、 それ を テーブル に 運んで ふた を 取り ました 。
|つち||なか||だい|なべ||おもた|そう に|ひきあげる||||てーぶる||はこんで|||とり|
「 まあ !
」 大 ナベ の 中 に は 、 金貨 が たくさん 入って いた のです 。
だい|なべ||なか|||きんか|||はいって||
「 あなた !
夢 の お告げ は これ だった の ね !
ゆめ||おつげ|||||
」 「 そうさ !
そう さ
これ が 夢 で お告げ の あった 幸福だった んだ 」 お 父さん は その 金貨 で パン と ソーセージ を 山ほど 買い 、 子ども たち と お 母さん に お腹 一 杯 に 食べ させ ました 。
||ゆめ||おつげ|||こうふくだった|||とうさん|||きんか||ぱん||そーせーじ||やまほど|かい|こども||||かあさん||おなか|ひと|さかずき||たべ|さ せ|
実は この 金貨 は 、 お 父さん の ひ い じいさん が 貯めた 物 でした 。
じつは||きんか|||とうさん||||||ちょ め た|ぶつ|
ひ い じいさん は この 金貨 で 、 レストラン を 開こう と 考えて いた のです 。
|||||きんか||れすとらん||かいこう||かんがえて||
その 事 を 思い出した お 父さん は 、 残った 金貨 で シチェチン の 大橋 に レストラン を 開き ました 。
|こと||おもいだした||とうさん||のこった|きんか||||おおはし||れすとらん||あき|
その レストラン は とても 人気 を 集めて 、 家族 は 幸せに 暮らした と いう 事 です 。
|れすとらん|||にんき||あつめて|かぞく||しあわせに|くらした|||こと|
おしまい