ローザ と ジバル
Rosa and Zibal
ローザ と ジバル
Rosa and Gibal
むかし むかし 、 ある ところ に 、 三 人 の 娘 を 持った お 金持ち の 商人 ( しょうにん ) がい ました 。
|||||みっ|じん||むすめ||もった||かねもち||しょうにん|||
Once upon a time, there was a rich merchant (Shonin) who had three daughters.
上 の 二 人 は わがままで 、 一 日 中 、 おしゃれ を する 事 ばかり 考えて い ました 。
うえ||ふた|じん|||ひと|ひ|なか||||こと||かんがえて||
The two above were selfish and were thinking about dressing up all day long.
けれども 一 番 下 の ローザ は 、 気 だて の やさしい お 父さん 思い の 娘 でした 。
|ひと|ばん|した||||き|||||とうさん|おもい||むすめ|
But Rosa at the bottom was a carefree, kind-hearted dad's daughter.
お 父さん は 運 の 悪い 事 が 続いて 、 財産 を すっかり なくして しまい ました 。
|とうさん||うん||わるい|こと||つづいて|ざいさん|||||
Dad was unlucky and lost his fortune altogether.
でも わずかです が 、 まだ 遠く の 町 に お 金 が あずけて あり ます 。
|わずか です|||とおく||まち|||きむ||||
But there is still a small amount of money in the distant town.
そこ で お 父さん は 、 お 金 を 取り に 旅 に 出かける こと に し ました 。
|||とうさん|||きむ||とり||たび||でかける||||
There, Dad decided to go on a trip to get some money.
ところが 上 の 娘 たち は 、 お 父さん が 貧乏に なった って そんな 事 は おかまいなしです 。
|うえ||むすめ||||とうさん||びんぼうに||||こと||おかまいなし です
However, for the older daughters, it doesn't matter if their father became poor.
「 お 父さん 。
|とうさん
お みやげ に は 、 絹 ( きぬ ) の 着物 と 宝石 を 買って 来て ね 」 と 、 ねだり ました 。
||||きぬ|||きもの||ほうせき||かって|きて||||
As a souvenir, please buy a silk kimono and jewels. "
お 父さん は 、 だまって いる 下 の 娘 に 尋ね ました 。
|とうさん||||した||むすめ||たずね|
Dad asked his younger daughter, who was sick.
「 ローザ 。
お前 は 、 何 が 欲しい か ね ?
おまえ||なん||ほしい||
What do you want?
」 「・・・ 小さな バラ の 花 を 、 一 本 ください 。
ちいさな|ばら||か||ひと|ほん|
"... Please give me a small rose flower.
ほか の 物 は 、 何も いり ませ ん わ 」 と 、 ローザ は 答え ました 。
||ぶつ||なにも||||||||こたえ|
I don't need anything else, "Rosa replied.
お 父さん は 、 遠く の 町 まで 出かけ ました 。
|とうさん||とおく||まち||でかけ|
Dad went to a distant town.
その 帰り に お 父さん は 道 に 迷って 、 いつの間にか 深い 森 の 中 へ 入って しまい ました 。
|かえり|||とうさん||どう||まよって|いつのまにか|ふかい|しげる||なか||はいって||
On the way back, Dad lost his way and before he knew it, he went into a deep forest.
あいにくの 大雨 で 、 び しょ ぬれ です 。
|おおあめ|||||
Unfortunately, it was a heavy rain and it was soaked.
しかも 運 の 悪い 事 は 続く もの で 、 強盗 ( ごうとう ) に あって お 金 も ウマ も 荷物 も そっくり 取ら れて しまった のです 。
|うん||わるい|こと||つづく|||ごうとう|||||きむ||||にもつ|||とら|||の です
お 父さん は 、 雨 の 森 を あて も なく トボトボ と 歩いて いき ました 。
|とうさん||あめ||しげる|||||とぼとぼ||あるいて||
ふと 見る と 、 遠く の 方 に 明かり が 見え ます 。
|みる||とおく||かた||あかり||みえ|
お 父さん は 、 その 明かり を めざして 歩いて 行き ました 。
|とうさん|||あかり|||あるいて|いき|
そして 、 ご殿 の ように 立派 な 家 の 前 に 出 ました 。
|ごてん||よう に|りっぱ||いえ||ぜん||だ|
お 父さん は ヘトヘト に 疲れて おり 、 しかも お腹 は ペコペコ です 。
|とうさん||||つかれて|||おなか|||
思い切って 、 中 へ 入って み ました 。
おもいきって|なか||はいって||
そこ は 台所 で 、 誰 も い ない のに かまど が 赤々 と 燃えて い ました 。
||だいどころ||だれ|||||||あかあか||もえて||
お 父さん は ぬれた 着物 を かわかす と 、 次の 部屋 へ 入って み ました 。
|とうさん|||きもの||||つぎの|へや||はいって||
そこ は 、 食堂 でした 。
||しょくどう|
誰 も い ない のに テーブル に は 食事 の 支度 が して あって 、 スープ が おいし そうな に おい を たてて い ました 。
だれ|||||てーぶる|||しょくじ||したく||||すーぷ|||そう な||||||
お 父さん は もう たまら なく なって 、 スープ を 飲み はじめ ました 。
|とうさん||||||すーぷ||のみ||
する と 驚いた 事 に 、 スープ を 飲み 終える と いつの間にか お 皿 が かわって 肉 が 出て き ました 。
||おどろいた|こと||すーぷ||のみ|おえる||いつのまにか||さら|||にく||でて||
こうして お 皿 は 次々 と かわって 、 最後に は コーヒー まで 出た のです 。
||さら||つぎつぎ|||さいごに||こーひー||でた|の です
お腹 が いっぱいに なった ので 、 お 父さん は となり の 部屋 へ 入って み ました 。
おなか||||||とうさん||||へや||はいって||
そこ に は 立派な ベット が あって 、 いつでも 寝 られる ように なって い ました 。
|||りっぱな|||||ね||よう に|||
お 父さん は 絹 の ふとん に くるまって 、 朝 まで グッスリ と 眠り ました 。
|とうさん||きぬ|||||あさ||ぐっすり||ねむり|
あくる 朝 、 お 父さん が 起きる と 食堂 に は 朝 の 食事 が 出来て い ました 。
|あさ||とうさん||おきる||しょくどう|||あさ||しょくじ||できて||
お 父さん は 食事 を すまして から 、 庭 に 出て み ました 。
|とうさん||しょくじ||||にわ||でて||
そこ は 今 まで 見た 事 も ない ほど 美しい 庭 で 、 ありとあらゆる 果物 ( くだもの ) が なり 、 美しい 花 が 咲いて い ました 。
||いま||みた|こと||||うつくしい|にわ|||くだもの||||うつくしい|か||さいて||
バラ の 花 を 見た 時 、 お 父さん は ローザ と の 約束 を 思い出し ました 。
ばら||か||みた|じ||とうさん|||||やくそく||おもいだし|
「 そうだ 。
そう だ
一 本 だけ 、 もらって いこう 」 お 父さん が 一 本 の バラ を 折った とたん 、 突然 恐ろしい 物音 が して 、 恐ろしい 姿 の 魔物 が 現れ ました 。
ひと|ほん|||||とうさん||ひと|ほん||ばら||おった||とつぜん|おそろしい|ものおと|||おそろしい|すがた||まもの||あらわれ|
「 わし の 家 に だまって 入って 、 大切な バラ を 盗む と は 何事 だ !
||いえ|||はいって|たいせつな|ばら||ぬすむ|||なにごと|
お前 の 首 を ヘ し 折って やる ぞ !
おまえ||くび||||おって||
」 お 父さん は 驚いて 、 自分 の 不幸せな 旅 の 話 や ローザ と の 約束 の 事 を 話し ました 。
|とうさん||おどろいて|じぶん||ふしあわせな|たび||はなし|||||やくそく||こと||はなし|
すると 魔物 は 、 怖い 声 で 言い ました 。
|まもの||こわい|こえ||いい|
「 では 、 わし の 大切な バラ を 折った かわり に 、 お前 の 一 番 大事な 物 を よこせ 。
|||たいせつな|ばら||おった|||おまえ||ひと|ばん|だいじな|ぶつ||
下 の 娘 の ローザ を 、 連れて こい 。
した||むすめ||||つれて|
わし の 妻 に する 。
||つま||
それ が いや なら 、 今 すぐ お前 の 首 を へし折って やる !
||||いま||おまえ||くび||へしおって|
」 仕方 が あり ませ ん 。
しかた||||
お 父さん は 魔物 に 娘 を 連れて くる と 約束 して 、 やっと 家 へ 帰して もらい ました 。
|とうさん||まもの||むすめ||つれて|||やくそく|||いえ||かえして||
お 父さん は 家 に 帰る と 、 むかえ に 出た ローザ に バラ を 渡して さめざめ と 泣き ました 。
|とうさん||いえ||かえる||||でた|||ばら||わたして|||なき|
「 お 父 さま 。
|ちち|
どう なさった の ?
どんなに 貧乏に なって も 、 いい じゃ あり ませ ん か 。
|びんぼうに||||||||
みんな で 仲良く 、 やって いけ ます わ 」 と 、 ローザ は お 父さん を なぐさめ ました 。
||なかよく|||||||||とうさん|||
「 ああ 、 ローザ 。
えらい 事 に 、 なって しまった んだ よ 。
|こと|||||
わたし の 命 より も 、 大切な お前 が ・・・。
||いのち|||たいせつな|おまえ|
そう だ !
可愛い お前 を やる くらい なら 、 わたし の 命 を 取ら れた 方 が ましだ 」 お 父さん は 泣き ながら 、 魔物 と の 約束 を ローザ に 話し ました 。
かわいい|おまえ|||||||いのち||とら||かた||||とうさん||なき||まもの|||やくそく||||はなし|
「 お 父さん も 、 泣か ないで ください 。
|とうさん||なか||
わたし は お 嫁 に いく だけ で 、 死ぬ わけで は ない のでしょう 。
|||よめ|||||しぬ||||
・・・ それ に きっと 、 神さま が 守って ください ます わ 」
|||かみさま||まもって|||
あくる 日 、 お 父さん は ローザ を 連れて 、 魔物 の ご殿 へ 出かけ ました 。
|ひ||とうさん||||つれて|まもの||ごてん||でかけ|
ご殿 で は 、 二 人 分 の 食事 が 用意 して あり ました 。
ごてん|||ふた|じん|ぶん||しょくじ||ようい|||
お 父さん は 娘 と 別れ の 食事 を して 、 ションボリ と 帰って いき ました 。
|とうさん||むすめ||わかれ||しょくじ|||しょんぼり||かえって||
さて 、 一 人 残さ れた ローザ は 、 いつ 魔物 が 出て くる か と ビクビク し ながら ご殿 の 中 を 見て まわり ました 。
|ひと|じん|のこさ|||||まもの||でて||||びくびく|||ごてん||なか||みて||
Now, Rosa, who was left alone, looked around the inside of the palace, wondering when the monster would come out.
魔物 の ご殿 です が 、 どの 部屋 も どの 部屋 も 美しく かざら れて おり 、 若い 娘 の 喜び そうな 物 が いっぱい あり ました 。
まもの||ごてん||||へや|||へや||うつくしく||||わかい|むすめ||よろこび|そう な|ぶつ||||
Although it is a demon's palace, every room was beautifully decorated, and there were many things that the young daughter would be happy with.
ご殿 中 を 探して も 、 魔物 は どこ に も い ませ ん でした 。
ごてん|なか||さがして||まもの||||||||
Even when I searched for the palace, there were no monsters anywhere.
魔物 だけ で なく 、 召使い の 姿 も 見え ませ ん 。
まもの||||めしつかい||すがた||みえ||
Not only the demons, but also the servants can be seen.
けれども どこ か で 見て いる の か 、 ローザ が し たい と 思う 事 は 何でも して くれ ました 。
||||みて|||||||||おもう|こと||なんでも|||
But wherever he was looking, Rosa did whatever he wanted to do.
ローザ は どこ から と も なく 聞こえて くる 音楽 を 聞き ながら 、 夕食 を 食べて 美しい 部屋 で 眠り ました 。
|||||||きこえて||おんがく||きき||ゆうしょく||たべて|うつくしい|へや||ねむり|
Rosa ate dinner and slept in a beautiful room, listening to music that could be heard from nowhere.
ローザ が 魔物 に 会った の は 、 次の 日 の 朝 でした 。
||まもの||あった|||つぎの|ひ||あさ|
Rosa met the demon the next morning.
ローザ は 世界 中 の 花 を 集めた ような 、 すばらしい 花だん を さんぽ して い ました 。
||せかい|なか||か||あつめた|||かだん|||||
Rosa was wandering around wonderful flowers, like a collection of flowers from all over the world.
する と ものすごい 地ひびき が して 、 むこう から 恐ろしい 姿 を した 魔物 が 、 わめき ながら やって 来た のです 。
|||じひびき|||||おそろしい|すがた|||まもの|||||きた|の です
Then there was a tremendous amount of ground cracking, and a monster with a terrifying appearance came from the other side, screaming.
ローザ は 怖くて 怖くて 、 気 が 遠く なり そうでした 。
||こわくて|こわくて|き||とおく||そう でした
Rosa was scared, scared, and seemed daunting.
けれども 魔物 は ローザ に 気 が つく と 、 急に 静かに なって ローザ に 優しく 言い ました 。
|まもの||||き||||きゅうに|しずかに||||やさしく|いい|
But when the demon noticed Rosa, he suddenly became quiet and said kindly to Rosa.
「 怖 がら ないで おくれ 。
こわ|||
"Don't be afraid.
わし は 、 悪い 者 で は ない 。
||わるい|もの|||
I'm not a bad guy.
どうか この ご殿 で 、 幸せに 暮らし ておくれ 」 そして 魔物 は 、 そっと 言い ました 。
||ごてん||しあわせに|くらし|||まもの|||いい|
「 ローザ 、 わし に キス して くれ ない か ?
|||きす||||
"Rosa, can you kiss me?
」 ローザ は 、 真っ青に なり ました 。
||まっさおに||
どうして 、 こんな 恐ろしい 魔物 に キス が 出来る で しよう 。
||おそろしい|まもの||きす||できる||
How can you kiss such a terrifying monster?
怖 がる ローザ を 見る と 、 魔物 は 悲し そうに 言い ました 。
こわ||||みる||まもの||かなし|そう に|いい|
「 いや 、 いい んだ よ 。
"No, it's okay.
嫌 なら 、 仕方 が ない 。
いや||しかた||
If you don't like it, you can't help it.
ビックリ さ せて 、 すま なかった 。
びっくり||||
I'm sorry to be surprised.
・・・ お前 が 心から キス して くれる まで 、 わし は いつまでも 待って いる よ 」 こうして ローザ は 、 魔物 の ご殿 で 暮らし はじめ ました 。
おまえ||こころから|きす|||||||まって||||||まもの||ごてん||くらし||
... I'll be waiting forever until you kiss me from the bottom of my heart. "Thus Rosa began to live in the demon's palace.
魔物 は 、 ジバル と いい ました 。
まもの|||||
ジバル に 会う の は 、 毎朝 八 時 から 九 時 の 間 だけ でした 。
||あう|||まいあさ|やっ|じ||ここの|じ||あいだ||
I met Gibal only between 8 and 9 o'clock every morning.
毎朝 会って 話し を する うち に 、 だんだん ジバル が 怖く なく なり ました 。
まいあさ|あって|はなし||||||||こわく|||
As I met and talked every morning, I became less and less afraid of Gibal.
いいえ 、 それどころか 、 ジバル に 会う の が 待ち遠しく なって きた のです 。
||||あう|||まちどおしく|||の です
No, on the contrary, I've been looking forward to seeing Gibal.
けれども キス を する 気持ち に は 、 どうしても なれ ませ ん 。
|きす|||きもち||||||
However, I can't help feeling like kissing.
いつの間にか 、 一 年 が 過ぎ ました 。
いつのまにか|ひと|とし||すぎ|
Before I knew it, a year had passed.
ローザ は 、 家 が 恋しく なり ました 。
||いえ||こいしく||
Rosa missed her house.
( お 父さん たち は 、 どうして いる かしら ?
|とうさん|||||
(What are your dads doing?
) そう 思う と 、 もう たまら なく お 父さん の 顔 が 見 たく なり ました 。
|おもう||||||とうさん||かお||み|||
With that in mind, I was dying to see my dad's face.
ローザ の 願い を 、 ジバル は 聞いて くれ ました 。
||ねがい||||きいて||
Gibal listened to Rosa's wishes.
「 そんなに 会い たい の なら 、 行か せて あげよう 。
|あい||||いか||
"If you want to see me so much, let me go.
今夜 は いつも の ように 、 寝 なさい 。
こんや||||よう に|ね|
Go to bed as usual tonight.
明日 の 朝 は 、 お 父さん の 家 で 目 を 覚ます だろう 。
あした||あさ|||とうさん||いえ||め||さます|
I will wake up at my dad's house tomorrow morning.
そして 帰る 時 は 、 寝る 前 に ここ に 帰り たい と 言えば いい 。
|かえる|じ||ねる|ぜん||||かえり|||いえば|
And when you go home, say you want to go back here before you go to bed.
だが 、 あさって は 必ず 帰って き ておくれ 。
|||かならず|かえって||
However, please be sure to come back tomorrow.
でないと お前 も わし も 、 とんでもない こと に なる 。
|おまえ|||||||
Otherwise you and I would be outrageous.
どうか それ だけ は 、 忘れ ないで おくれ 」
||||わすれ||
Please don't forget that. "
あくる 朝 、 目 を 覚ました ローザ は 、 なつかしい お 父さん の 家 に い ました 。
|あさ|め||さました|||||とうさん||いえ|||
The next morning, Rosa woke up and was at her nostalgic dad's house.
お 父さん は 夢 か と ばかり 喜んで 、 ローザ を 抱きしめ ます 。
|とうさん||ゆめ||||よろこんで|||だきしめ|
Dad is happy to hug Rosa, just as if it were a dream.
ローザ は 魔物 の ご殿 で の 暮らし を 話して 、 お 父さん を 安心 さ せ ました 。
||まもの||ごてん|||くらし||はなして||とうさん||あんしん|||
「 お 父さん 、 心配 し ないで ください 。
|とうさん|しんぱい|||
欲しい 物 は 何でも もらえ ます し 、 ジバル は 見た ところ は 恐ろしい 魔物 です が 、 とても やさしい のです 。
ほしい|ぶつ||なんでも||||||みた|||おそろしい|まもの|||||の です
わたくし を 、 それ は 大事に して くれ ます の 」 二 人 の 姉さん は ローザ の 幸せ そうな ようす を 見て 、 しゃくに さわり ました 。
||||だいじに|||||ふた|じん||ねえさん||||しあわせ|そう な|||みて|||
It takes care of me. ”The two older sisters saw Rosa's happy appearance and touched her.
魔物 に ひどい 目 に あわさ れて いる と 思った のに 、 ローザ は まるで お姫さま の ように 立派な 着物 を 着て 、 ますます 美しく かがやいて いる から です 。
まもの|||め||あわ さ||||おもった|||||おひめさま||よう に|りっぱな|きもの||きて||うつくしく||||
I thought she was terrified by the demons, but Rosa was wearing a fine kimono like a princess, and she was shining more and more beautifully.
姉さん たち は 、 妹 を 不幸せな 目 に 会わ せて やろう と 思い ました 。
ねえさん|||いもうと||ふしあわせな|め||あわ||||おもい|
The older sisters decided to let their sister see their unhappy eyes.
妹 が 約束 の 時間 に 帰ら ない と 大変な 事 に なる と 言う と 、 いかにも 悲し そうに こう 言い ました 。
いもうと||やくそく||じかん||かえら|||たいへんな|こと||||いう|||かなし|そう に||いい|
When my sister said that it would be a big deal if she didn't return at the promised time, she said sadly.
「 たった 一 日 で 帰る なんて 、 じょうだん じゃ ない わ 。
|ひと|ひ||かえる|||||
"It's not enough to go home in just one day.
まさか 、 そんな 親不孝な 事 は し ない でしょう ね 。
||おやふこうな|こと|||||
No way, I wouldn't do such an unfaithful thing.
お 父さん と 魔物 と 、 どっち が 大事な の ?
|とうさん||まもの||||だいじな|
Which is more important, dad or demon?
わたし たち だって 、 悲しい わ 」 心 の 優しい ローザ は 魔物 と の 約束 が 気 に なり ました が 、 つい 一 日 、 帰り を のばして しまい ました 。
|||かなしい||こころ||やさしい|||まもの|||やくそく||き||||||ひと|ひ|かえり||||
We're sad too. ”Rosa, who has a gentle heart, was worried about her promise to the demon, but just one day she extended her return.
次の 日 の 夜 、 ローザ は ジバル の 顔 を 思い浮かべて 、 「 明日 の 朝 、 ジバル の ところ へ 帰り ます 」 と 、 言い ながら 目 を つぶり ました 。
つぎの|ひ||よ|||||かお||おもいうかべて|あした||あさ|||||かえり|||いい||め|||
The next night, Rosa remembered Gibal's face and closed his eyes, saying, "Tomorrow morning, I will return to Gibal."
次の 日 の 朝 、 ローザ は 魔物 の ご殿 の しんだい の 上 で 目 を 覚まし ました 。
つぎの|ひ||あさ|||まもの||ごてん||しんだ い||うえ||め||さまし|
The next morning, Rosa woke up on the devil's palace.
ローザ は 、 すぐ に 庭 に 出 ました 。
||||にわ||だ|
Rosa immediately went out to the garden.
でも いつも の 八 時 に なって も 、 ジバル は 現れ ませ ん 。
|||やっ|じ||||||あらわれ||
But even at the usual eight o'clock, Gibal does not appear.
「 ジバル 、 ジバル 。
ジバル は 、 どこ な の ?
」 ローザ は 大声 で 呼び ながら 、 庭 中 を 探し まわり ました 。
||おおごえ||よび||にわ|なか||さがし||
すると ジバル は 庭 の すみ の しげみ の かげ に 、 死んだ ように 倒れて い ました 。
|||にわ||||||||しんだ|よう に|たおれて||
ローザ の 目 から 、 どっと 涙 が あふれ出 ました 。
||め|||なみだ||あふれで|
「 ああ 、 ジバル 、 許して 。
||ゆるして
"Oh, Gibal, forgive me.
わたし の 大事な ジバル 」 ローザ は 泣き ながら 、 ジバル の そば に ひざまずいて キス を し ました 。
||だいじな||||なき|||||||きす|||
する と 突然 、 ジバル の みにくい 魔物 の 皮 が おちて 、 世にも 美しい 立派な 若者 が 立ち あがった のです 。
||とつぜん||||まもの||かわ|||よにも|うつくしい|りっぱな|わかもの||たち||の です
Suddenly, the skin of a monster that was hard to see for Jibal fell, and a beautiful young man stood up in the world.
若者 は ローザ を 、 しっかり と 抱きしめ ました 。
わかもの||||||だきしめ|
ジバル は 遠く の 国 の 王子 で 、 もう 七 年 の 間 、 魔法 を かけ られて いた のです 。
||とおく||くに||おうじ|||なな|とし||あいだ|まほう|||||の です
Gibal was a prince of a distant nation and had been magical for seven years.
そして ローザ と いう 名 の 娘 に 心から キス を して もらわ なければ 、 元 の 姿 に 戻れ なかった のです 。
||||な||むすめ||こころから|きす|||||もと||すがた||もどれ||の です
And I couldn't return to my original form without a heartfelt kiss from a daughter named Rosa.
ジバル 王子 と ローザ は 、 お 父さん と 二 人 の 姉さん と 一緒に 王子 の 国 ヘ 戻り ました 。
|おうじ|||||とうさん||ふた|じん||ねえさん||いっしょに|おうじ||くに||もどり|
Prince Gibal and Rosa returned to the prince's country with their father and two older sisters.
王子 の 魔法 が とけた と いう 知らせ に 、 国 中 の 人々 が 喜び ました 。
おうじ||まほう|||||しらせ||くに|なか||ひとびと||よろこび|
ジバル 王子 と 心 の 優しい ローザ は 結婚 して 、 いつまでも 幸せに 暮らし ました 。
|おうじ||こころ||やさしい|||けっこん|||しあわせに|くらし|
この お 話 は 、 有名な 『 美女 と 野獣 』 の 類 話 です 。
||はなし||ゆうめいな|びじょ||やじゅう||るい|はなし|
おしまい