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世界の昔話, ワタの花と妖精

ワタの花と妖精

ワタ の 花 と 妖精

むかし むかし 、 アメリカ の 沼地 ( ぬまち ) に 一 人 の 妖精 ( ようせい ) がい ました 。 この 妖精 は 、 糸 を つむぐ 名人 です 。 妖精 の 糸 車 は 、 朝 から 晩 まで クルクル と 回って い ます 。 妖精 の つむいだ 糸 は 小さな クモ の 糸 より も 細くて しなやかで 、 とっても つや が あり ました 。 この 糸 を 使う と 、 それはそれは 美しい 布 が 出来る のです 。 ですから 妖精 の 女王 が 舞踏 会 ( ぶとう かい ) を 開く 時 に は 、 みんな が この 素晴らしい 糸 を 注文 する のでした 。 妖精 の 使って いる 針 は 、 おじさん の クマンバチ の 針 でした 。 クマンバチ は 、 いつも 文句 ばかり 言って いた ので 、 みんな から きらわ れて い ました 。 けれども おじさん は 、 死ぬ 時 に 妖精 を 呼んで 、 「 わたし が 死んだら 針 を 抜き取って 、 お前 が 使って おくれ 。 そして 何 か 、 役 に 立つ 事 を して おくれ 」 と 、 言った のです 。 妖精 の 住む 沼地 に は 、 クマンバチ より も もっと 恐ろしい 動物 が い ました 。 それ は 、 大 グモ です 。 その 大きな 体 は 、 小鳥 くらい も あり ます 。 大 グモ の 体 は 、 赤 と 黄 の だ んだ ら もよう に 染まって い ました 。 この 大 グモ も 、 糸 を つむいで い ました 。 大 グモ の 糸 は 銀色 に 光って 、 なかなか に きれいでした 。 けれども 妖精 の 細くて しなやかな 糸 と 比べる と 、 まるで 荒 なわ 様 に 見え ました 。 大 グモ は 自分 より 美しい 糸 を つくる 妖精 が 、 憎らしくて なり ませ ん 。

ある 日 、 妖精 は 糸 を つむぎ ながら 、 ふと 上 を 見上げ ました 。 すると 大 グモ が 頭 の 上 に おりて 来て 、 今にも 自分 を 食べよう と して いる のです 。 妖精 は 、 糸 車 と 針 を かかえて 逃げ 出し ました 。 すると 大 グモ は 長い 足 を のばして 、 妖精 を 追い かけて き ます 。 妖精 は 、 穴 から 頭 を 出して いる ネズミ を 見つけ ました 。 「 ネズミ さん 、 ネズミ さん 。 入れて ちょうだい ! 大 グモ に 追い かけ られて いる んです ! 」 ネズミ は 大 グモ と 聞いて 、 震え あがり ました 。 そして あわてて 頭 を 引っ込めた か と 思う と 、 パタン と 戸 を 閉めて しまい ました 。 仕方なく 妖精 は 、 また 走り 出し ました 。 間もなく 、 カエル を 見つけ ました 。 「 カエル さん 、 カエル さん 。 助けて ちょうだい ! 大 グモ に 追い かけ られて る んです ! 」 けれど カエル は 、 知らん顔 です 。 可愛 そうに 妖精 は 、 もう 息 が 切れて 死んで しまい そうでした 。 その とき ホタル が 、 お 尻 の ちょうちん を つけて やって 来 ました 。 「 ホタル さん 、 お 願い です 。 助けて ちょうだい ! 大 グモ に 追い かけ られて いる んです ! 」 すると ホタル は 、 「 わたし の ちょうちん に 、 ついて いらっしゃい 。 すぐ に 良い ところ へ 連れて 行って あげ ます よ 」 と 、 言い ました 。 ホタル の 後 に ついて 、 妖精 は 美しい モモ 色 の 花 の 咲いて いる 野原 ヘ と やって 来 ました 。 「 さあ 、 早く あの きれいな 花 の 中 ヘ 飛び 込み なさい ! 」 ホタル の 言葉 に 、 妖精 は ありったけ の 力 を ふりしぼって 花 に 飛び 込み ました 。 ところが 大 グモ は すぐ に 追いつく と 、 モモ 色 の 花 の 一 番 外側 の 花びら に しがみつき ました 。 妖精 は クマンバチ の 針 を にぎって 、 大 グモ の 足 を チクン と 刺し ました 。 ビックリ した 大 グモ は 、 花びら と 一緒に 地面 に 落ち ました 。 モモ 色 の 花 は 中 に 妖精 を 入れた まま 、 ピッタリ と 花びら を 閉じ ました 。 起き上がった 大 グモ は 、 これ を 見て カンカンに 怒り ました 。 そして モモ 色 の 花 の まわり に 糸 を はりめぐらして 、 妖精 が 出て 来る の を 待つ 事 に し ました 。

次の 日 も 、 大 グモ は その 糸 の 上 で 妖精 が 出て 来る の を 待ち ました 。 ところが 一 日 中 待って も 、 妖精 は 出て 来 ませ ん でした 。 次の 日 も 、 また 次の 日 も 、 大 グモ は 待ち ました 。 その うち に 、 花びら が 一 枚 一 枚 落ち 始め ました 。 大 グモ は 、 「 いよいよ 、 妖精 が 食べ られる ぞ 」 と 、 舌なめずり を し ながら 花 に 一 歩 近づき ました 。 とうとう 、 最後の 花びら が 落ち ました 。 それ でも 、 妖精 は 出て き ませ ん 。 大 グモ は だまさ れた と 思って 、 カンカンに 怒り ました 。 そして あまりに も 怒り すぎて 、 大 グモ は 死んで しまい ました 。

さて 、 花 の 中 に 飛び 込んだ 妖精 は 、 花 の 奥 に ある タネ の 袋 の 中 に 隠れて いた のです 。 そして やっぱり 、 糸 車 を 忙しく 回して い ました 。

三 日 たつ と 、 妖精 は タネ の 袋 から 飛び出し ました 。 そして タネ の 袋 から 、 細くて しなやかな 糸 が あふれ出 ました 。 それ は 、 妖精 の つくった 糸 でした 。 その 糸 は 、 タネ の 袋 から ふさ に なって ぶらさがり ました 。 やがて 人間 が やって 来て 、 妖精 の きれいな 糸 を 持って 帰り ました 。 妖精 は 、 モモ 色 の 花 が とても 気 に 入り ました 。 それ から は ずっと 、 モモ 色 の 花 の 中 で 糸 車 を 回して い ます 。 そして 今 でも 妖精 は ワタ の 花 の 中 に いて 、 糸 を つむいで いる のです 。

おしまい

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ワタの花と妖精 ワタ の か と ようせい Wata flowers and fairies Wata flores y hadas Wata bloemen en feeën Flores e fadas Wata

ワタ の 花 と 妖精 ||か||ようせい Cotton flowers and fairies Fiori e fate di Wata Águas, flores e fadas

むかし むかし 、 アメリカ の 沼地 ( ぬまち ) に 一 人 の 妖精 ( ようせい ) がい ました 。 ||あめりか||ぬまち|||ひと|じん||ようせい||| Once upon a time, there was a fairy in a swamp in the United States. Era uma vez, nos pântanos da América, uma fada. この 妖精 は 、 糸 を つむぐ 名人 です 。 |ようせい||いと|||めいじん| This fairy is a master of thread. Esta fada é uma mestra em tecer fios. 妖精 の 糸 車 は 、 朝 から 晩 まで クルクル と 回って い ます 。 ようせい||いと|くるま||あさ||ばん||くるくる||まわって|| The fairy spinning wheel spins from morning till night. A roda da fada gira e gira de manhã à noite. 妖精 の つむいだ 糸 は 小さな クモ の 糸 より も 細くて しなやかで 、 とっても つや が あり ました 。 ようせい|||いと||ちいさな|くも||いと|||ほそくて|||||| The speary thread of the fairy was thinner and more supple than the spider's thread, and was very shiny. この 糸 を 使う と 、 それはそれは 美しい 布 が 出来る のです 。 |いと||つかう|||うつくしい|ぬの||できる| With this thread, it can make a beautiful cloth. Com este fio, é possível fazer tecidos bonitos. ですから 妖精 の 女王 が 舞踏 会 ( ぶとう かい ) を 開く 時 に は 、 みんな が この 素晴らしい 糸 を 注文 する のでした 。 |ようせい||じょおう||ぶとう|かい||||あく|じ||||||すばらしい|いと||ちゅうもん|| So when the fairy queen held the ball, everyone ordered this wonderful thread. Assim, quando a rainha das fadas deu um novelo, toda a gente encomendou este fio maravilhoso. 妖精 の 使って いる 針 は 、 おじさん の クマンバチ の 針 でした 。 ようせい||つかって||はり||||くまんばち||はり| The needle used by the fairy was the uncle's needle. A agulha utilizada pela fada era a agulha de abelha do meu tio. クマンバチ は 、 いつも 文句 ばかり 言って いた ので 、 みんな から きらわ れて い ました 。 くまんばち|||もんく||いって|||||||| The bee was always complaining, so everyone was discouraged. Kumambachi estava sempre a queixar-se, o que fazia dele um alvo para toda a gente. けれども おじさん は 、 死ぬ 時 に 妖精 を 呼んで 、 「 わたし が 死んだら 針 を 抜き取って 、 お前 が 使って おくれ 。 |||しぬ|じ||ようせい||よんで|||しんだら|はり||ぬきとって|おまえ||つかって| But when he died, he called the fairy and said, "When I die, pull out my needle and give it to you. Mas quando morreu, chamou as fadas e disse: "Quando eu morrer, tirem a agulha e dêem-ma para vosso uso. そして 何 か 、 役 に 立つ 事 を して おくれ 」 と 、 言った のです 。 |なん||やく||たつ|こと|||||いった| And please do something useful, "he said. E façam algo de útil por nós", disse. 妖精 の 住む 沼地 に は 、 クマンバチ より も もっと 恐ろしい 動物 が い ました 。 ようせい||すむ|ぬまち|||くまんばち||||おそろしい|どうぶつ||| There were more terrifying animals in the swamps where the fairy lives than the wasps. Nos pântanos onde viviam as fadas, havia um animal ainda mais assustador do que a abelha. それ は 、 大 グモ です 。 ||だい|| It's a big spider. É uma aranha gigante. その 大きな 体 は 、 小鳥 くらい も あり ます 。 |おおきな|からだ||ことり|||| Its large body is the size of a small bird. 大 グモ の 体 は 、 赤 と 黄 の だ んだ ら もよう に 染まって い ました 。 だい|||からだ||あか||き|||||||そまって|| The body of the giant spider was stained like a red and yellow dandelion. O corpo da aranha gigante estava manchado como um dente-de-leão vermelho e amarelo. この 大 グモ も 、 糸 を つむいで い ました 。 |だい|||いと|||| This big spider also picked up thread. Esta aranha gigante também estava a enrolar um fio. 大 グモ の 糸 は 銀色 に 光って 、 なかなか に きれいでした 。 だい|||いと||ぎんいろ||ひかって||| The thread of the large spider glowed silver and was quite beautiful. Os fios da aranha gigante eram de prata brilhante e muito bonitos. けれども 妖精 の 細くて しなやかな 糸 と 比べる と 、 まるで 荒 なわ 様 に 見え ました 。 |ようせい||ほそくて||いと||くらべる|||あら||さま||みえ| But when compared to the fairy's thin, pliable thread, it looked like a rough line. 大 グモ は 自分 より 美しい 糸 を つくる 妖精 が 、 憎らしくて なり ませ ん 。 だい|||じぶん||うつくしい|いと|||ようせい||にくらしくて||| Large spiders do not hate the fairy who produces more beautiful threads than themselves. A aranha gigante não podia deixar de odiar as fadas que faziam fios mais bonitos do que ela.

ある 日 、 妖精 は 糸 を つむぎ ながら 、 ふと 上 を 見上げ ました 。 |ひ|ようせい||いと|||||うえ||みあげ| One day, the fairy suddenly looked up while pinching the thread. Um dia, a fada estava a enrolar um fio e de repente olhou para cima. すると 大 グモ が 頭 の 上 に おりて 来て 、 今にも 自分 を 食べよう と して いる のです 。 |だい|||あたま||うえ|||きて|いまにも|じぶん||たべよう|||| Then the big spider came over his head and was about to eat himself. Depois, uma grande aranha desce-lhe sobre a cabeça e está prestes a comê-lo. 妖精 は 、 糸 車 と 針 を かかえて 逃げ 出し ました 。 ようせい||いと|くるま||はり|||にげ|だし| The fairy ran away with a spinning wheel and a needle. A fada mudou a roda de fiar e a agulha e fugiu. すると 大 グモ は 長い 足 を のばして 、 妖精 を 追い かけて き ます 。 |だい|||ながい|あし|||ようせい||おい||| The large spider then stretches out its long legs and follows the fairy. A aranha gigante estica então as suas longas pernas e persegue a fada. 妖精 は 、 穴 から 頭 を 出して いる ネズミ を 見つけ ました 。 ようせい||あな||あたま||だして||ねずみ||みつけ| The fairy has found a rat sticking out of a hole. A fada encontra um rato com a cabeça a sair de um buraco. 「 ネズミ さん 、 ネズミ さん 。 ねずみ||ねずみ| "Mr. Mouse, Mr. Mouse. 入れて ちょうだい ! いれて| Please put it in! 大 グモ に 追い かけ られて いる んです ! だい|||おい|||| You're being chased by a big spider! 」   ネズミ は 大 グモ と 聞いて 、 震え あがり ました 。 ねずみ||だい|||きいて|ふるえ|| When I heard that the mouse was a big spider, I trembled. そして あわてて 頭 を 引っ込めた か と 思う と 、 パタン と 戸 を 閉めて しまい ました 。 ||あたま||ひっこめた|||おもう||||と||しめて|| And I wondered if I had to withdraw my head in a hurry, and closed the pattern and the door. 仕方なく 妖精 は 、 また 走り 出し ました 。 しかたなく|ようせい|||はしり|だし| The fairy reluctantly started running again. 間もなく 、 カエル を 見つけ ました 。 まもなく|かえる||みつけ| Soon after, I found a frog. 「 カエル さん 、 カエル さん 。 かえる||かえる| 助けて ちょうだい ! たすけて| Help me, please! 大 グモ に 追い かけ られて る んです ! だい|||おい|||| I'm being chased by a big spider! 」   けれど カエル は 、 知らん顔 です 。 |かえる||しらんかお| But the frog is an unknown face. 可愛 そうに 妖精 は 、 もう 息 が 切れて 死んで しまい そうでした 。 かわい|そう に|ようせい|||いき||きれて|しんで||そう でした The fairy seemed pretty dead and died. その とき ホタル が 、 お 尻 の ちょうちん を つけて やって 来 ました 。 ||ほたる|||しり||||||らい| At that time, fireflies came with their ass lanterns. 「 ホタル さん 、 お 願い です 。 ほたる|||ねがい| "I wish you, Firefly. 助けて ちょうだい ! たすけて| Please help me! 大 グモ に 追い かけ られて いる んです ! だい|||おい|||| I'm being chased by a big spider! 」   すると ホタル は 、 「 わたし の ちょうちん に 、 ついて いらっしゃい 。 |ほたる||||||| "And fireflies said," Come on to my lantern. すぐ に 良い ところ へ 連れて 行って あげ ます よ 」 と 、 言い ました 。 ||よい|||つれて|おこなって|||||いい| I'll take you to a good place immediately, "he said. ホタル の 後 に ついて 、 妖精 は 美しい モモ 色 の 花 の 咲いて いる 野原 ヘ と やって 来 ました 。 ほたる||あと|||ようせい||うつくしい|もも|いろ||か||さいて||のはら||||らい| After the fireflies, the fairy came with a beautiful peach-colored field. 「 さあ 、 早く あの きれいな 花 の 中 ヘ 飛び 込み なさい ! |はやく|||か||なか||とび|こみ| "Come on, jump into that beautiful flower! 」   ホタル の 言葉 に 、 妖精 は ありったけ の 力 を ふりしぼって 花 に 飛び 込み ました 。 ほたる||ことば||ようせい||||ちから|||か||とび|こみ| In the words of the firefly, the fairy squeezed all the power he had and jumped into the flower. ところが 大 グモ は すぐ に 追いつく と 、 モモ 色 の 花 の 一 番 外側 の 花びら に しがみつき ました 。 |だい|||||おいつく||もも|いろ||か||ひと|ばん|そとがわ||はなびら||| However, the large spider quickly caught up and clung to the outermost petals of the peach-colored flowers. 妖精 は クマンバチ の 針 を にぎって 、 大 グモ の 足 を チクン と 刺し ました 。 ようせい||くまんばち||はり|||だい|||あし||||さし| The fairy grabbed the needle of a carpenter bee and stabbed the leg of a large spider. A fada agarrou a agulha de uma abelha de carpinteiro e esfaqueou a perna de uma grande aranha. ビックリ した 大 グモ は 、 花びら と 一緒に 地面 に 落ち ました 。 びっくり||だい|||はなびら||いっしょに|じめん||おち| The surprised big spider fell to the ground with its petals. モモ 色 の 花 は 中 に 妖精 を 入れた まま 、 ピッタリ と 花びら を 閉じ ました 。 もも|いろ||か||なか||ようせい||いれた||ぴったり||はなびら||とじ| The peach-colored flowers closed the petals perfectly, with the fairy inside. 起き上がった 大 グモ は 、 これ を 見て カンカンに 怒り ました 。 おきあがった|だい|||||みて|かんかん に|いかり| The big spider who got up got angry at Kankan when he saw this. A grande aranha que se levantou ficou com raiva de Kankan quando viu isso. そして モモ 色 の 花 の まわり に 糸 を はりめぐらして 、 妖精 が 出て 来る の を 待つ 事 に し ました 。 |もも|いろ||か||||いと|||ようせい||でて|くる|||まつ|こと||| Then I laid a thread around the peach-colored flower and waited for the fairy to come out.

次の 日 も 、 大 グモ は その 糸 の 上 で 妖精 が 出て 来る の を 待ち ました 。 つぎの|ひ||だい||||いと||うえ||ようせい||でて|くる|||まち| The next day, the Great Spider waited for the fairy to come out on the thread. ところが 一 日 中 待って も 、 妖精 は 出て 来 ませ ん でした 。 |ひと|ひ|なか|まって||ようせい||でて|らい||| However, even if I waited all day, the fairy did not come out. 次の 日 も 、 また 次の 日 も 、 大 グモ は 待ち ました 。 つぎの|ひ|||つぎの|ひ||だい|||まち| The next day, and the next, the giant spider waited. その うち に 、 花びら が 一 枚 一 枚 落ち 始め ました 。 |||はなびら||ひと|まい|ひと|まい|おち|はじめ| During that time, the petals began to fall one by one. 大 グモ は 、 「 いよいよ 、 妖精 が 食べ られる ぞ 」 と 、 舌なめずり を し ながら 花 に 一 歩 近づき ました 。 だい||||ようせい||たべ||||したなめずり||||か||ひと|ふ|ちかづき| The big spider approached the flower, licking his tongue, saying, "Finally, the fairy can be eaten." とうとう 、 最後の 花びら が 落ち ました 。 |さいご の|はなびら||おち| Finally, the last petals have fallen. それ でも 、 妖精 は 出て き ませ ん 。 ||ようせい||でて||| Still, the fairy hasn't come out. 大 グモ は だまさ れた と 思って 、 カンカンに 怒り ました 。 だい||||||おもって|かんかん に|いかり| The big spider got angry at Kankan, thinking he was fooled. そして あまりに も 怒り すぎて 、 大 グモ は 死んで しまい ました 。 |||いかり||だい|||しんで|| And he was so angry that the big spider died.

さて 、 花 の 中 に 飛び 込んだ 妖精 は 、 花 の 奥 に ある タネ の 袋 の 中 に 隠れて いた のです 。 |か||なか||とび|こんだ|ようせい||か||おく|||たね||ふくろ||なか||かくれて|| Now, the fairy who jumped into the flower was hiding in the bag of seeds in the back of the flower. そして やっぱり 、 糸 車 を 忙しく 回して い ました 。 ||いと|くるま||いそがしく|まわして|| And after all, I was busy spinning the thread wheel.

三 日 たつ と 、 妖精 は タネ の 袋 から 飛び出し ました 。 みっ|ひ|||ようせい||たね||ふくろ||とびだし| Three days later, the fairy jumped out of the seed bag. そして タネ の 袋 から 、 細くて しなやかな 糸 が あふれ出 ました 。 |たね||ふくろ||ほそくて||いと||あふれで| Then, a thin and supple thread overflowed from the seed bag. それ は 、 妖精 の つくった 糸 でした 。 ||ようせい|||いと| It was a thread made by a fairy. その 糸 は 、 タネ の 袋 から ふさ に なって ぶらさがり ました 。 |いと||たね||ふくろ|||||| The thread hung from the bag of seeds in a bag. やがて 人間 が やって 来て 、 妖精 の きれいな 糸 を 持って 帰り ました 。 |にんげん|||きて|ようせい|||いと||もって|かえり| Eventually a human came and returned with a beautiful fairy thread. 妖精 は 、 モモ 色 の 花 が とても 気 に 入り ました 。 ようせい||もも|いろ||か|||き||はいり| The fairy liked the peach-colored flowers very much. それ から は ずっと 、 モモ 色 の 花 の 中 で 糸 車 を 回して い ます 。 ||||もも|いろ||か||なか||いと|くるま||まわして|| Since then, it has been spinning a spinning wheel among peach-colored flowers. そして 今 でも 妖精 は ワタ の 花 の 中 に いて 、 糸 を つむいで いる のです 。 |いま||ようせい||||か||なか|||いと|||| And even now, the fairy is inside the straw flower, whirling the thread.

おしまい the end