シュタインズ ・ ゲート ゼロ (08)
( 岡部 ( お かべ )) あっ … あ …
( 紅 莉栖 ( くり す )) フゥ …
来て た なら 来て たって 言って よ ね
黙って 立って たら びっくり する じゃ ない
( 蛇口 の 閉まる 音 )
あけ まして おめでとう
( 岡部 ) え …
( 紅 莉栖 ) お 正月 の 挨拶 でしょ ?
それとも ハッピーニューイヤー の ほう が よかった ?
と いう か 珍しい わ ね
あんた が ここ に 顔 出す なんて
あっ …
ちょ っ … 新年 早々 何 を !
あ …
( 岡部 の 泣き声 )
♪~
~♪
( 岡部 ) すまない
気 に し ないで 私 も 時々 ある
思い出した んでしょ
まゆ り の こと
( 岡部 ) え …
特に ラボ に いる と いつも 思う
足音 が して 扉 が 開いて ―
あの 声 が 飛び込んで くる んじゃ ない か って
( コップ の 倒れる 音 ) ( 紅 莉栖 ) あっ …
岡部 ?
岡部 ?
( 岡部 ) う っ …
( 岡部 ) ハッ !
( 岡部 の 吐く 音 ) ( 紅 莉栖 ) 岡部 !
( 岡部 ) すまなかった
( 紅 莉栖 ) う うん ごめん 私 こそ よけいな こと 言った
考えて みれば あんた が ここ に 来る なんて ―
まゆ り がらみ 以外 ない もの ね
( 岡部 ) そう … か ?
あれ 以来 ほとんど 顔 見せた こと ない じゃ ない
橋田 ( は し だ ) も だ けど
あんた より は まだ … ね
( 岡部 ) ここ は 本当に アルファ 世界 線 な の か ?
ハッ !
電話 … レンジ は ?
あんた が 破棄 さ せた んでしょ 忘れた の ?
岡部 ?
少し 外 の 風 に 当たって くる
そう … しっかり ね
( ドア の 開閉 音 )
( 岡部 ) きのう まで と 何も 変わら ない 人 … 街 の 空気
だが … ここ は アルファ 世界 線 だ
現実 の … あの どんなに 避けよう と して も ―
まゆ り の 死 へ と 収束 して しまった … 世界 線
( ダル )“ 今 病院 に 運ば れて 心臓 発作 じゃ ない か って ”
( 岡部 ) たとえ SERN ( セルン ) や その 手 から 逃れた と して も ―
この 世界 線 に いる かぎり ま ゆり は “ 世界 ” に 殺さ れる
だから … だ から 俺 は …
なのに … なぜ 俺 は ここ に いる ?
なぜ リーディング ・ シュタイナー が 発動 した !
D メール も タイムリープマシン も 使って ない のに !
( ダル ) オカリン ?
あ …
ダル ?
( ダル ) アキバ に 来る なんて 珍しい じゃ ん
( ドア の 開く 音 )
( フブキ ) お かえり ニャ さ ー い
( フブキ ) ご 主人 様 ~
ただいま ー
今日 は オカリン も 連れて きた で ご ざる よ
( る か ) お … 岡部 さん !?
( フブキ ) あ … ( 岡部 ) ルカ 子 ( こ )?
( フェイリス ) 凶 真 ( きょう ま )~!
アハハッ 会い たかった ニャ ~ 凶 真 …
( 岡部 ) そんなに 久しぶりだった か
( る か ) いえ 全然 …
( ダル ) 僕 も しばらく は 足 が 遠のいて いた し ね
( フブキ ) あの …
はじめ まして フブキ と いい ます
まゆ り ちゃん と は コスプレ 仲間 で ずいぶん 世話に なって いて …
( フェイリス ) フブニャン に は まゆ し ぃ が い なく なって から ―
店 を 手伝って もらって る んだ ニャ
あ …
( フブキ ) つらかった けど ―
そっち の ほう が まゆ り ちゃん も 喜んで くれる か なって
夏 コミマ の とき の 写真 です
す っ ごく かわいく できた から って ―
みんな で 一緒に 記念 写真 も 撮って …
全然 元気だった んです よ
具合 悪 そうな ところ も なくて いつも の まゆ り ちゃん で …
( フブキ の 泣き声 )
フブニャン 前 に も 言った ニャ
泣けば それ だけ まゆ し ぃ が 心配 しちゃ う ニャ
ニャ ? フブニャン ( フブキ ) うん
( 岡部 ) もし …
( フェイリス ・ フブキ ) え ?
( 岡部 ) もし … ま ゆり が ―
生きて い られる 世界 … そんな 世界 が ―
あった と したら …
あ … ダル ?
( ダル ) オカリン ちょっと
( 岡部 ) おい …
岡部 さん …
( 岡部 ) ああ っ …
な 何 だ よ ?
( ダル ) 言って いい こと と 悪い こと が ある んじゃ まい か ?
まゆ 氏 が 生きて る 世界 だ なんて …
あの とき それ を 選ば なかった の は オカリン だ ろ ?
エシュロン の データ を ―
クラッキング する の を やめた の は オカリン だ ろ !
俺 は … 押さ なかった の か ?
( ダル ) ああ
自分 でも ずっと 言い 続けて た じゃ ん か
“ 俺 が まゆ 氏 を 殺した ”
“ 俺 が それ を 選択 した んだ ” って
何で 電話 レンジ も タイムリープマシン も 破棄 した ん ?
いまさら 後悔 する くらい だったら 残して おけば よかった ん !
牧 瀬 ( まき せ ) 氏 だって あんなに …
( 岡部 ) 紅 莉栖 が ?
( ダル )“ チャンス は ある まだ やり 直せる ”
“ まだ できる こと は ある はず ” って
( 携帯 電話 の 振動 音 )
( 紅 莉栖 ) はい 牧 瀬 です
ああ 橋田 か 久しぶり あけ まして おめでとう
( ダル ) あけ お め の こと よ ろ
( 紅 莉栖 ) 珍しい わ ね 橋田 が 私 に 電話 して くる なんて
オカリン に … 会った お
そう
( ダル ) や っぱ ラボ に も 来た んだ よ ね ?
( 紅 莉栖 ) ええ … あいつ 何 か 言って た ?
うん まゆ 氏 の こと まだ …
“ もし 生きて たら そんな 世界 が あったら ” って
岡部 は ?
( ダル ) 僕 さ オカリン に ―
“ 何で いまさら そんな こと ” って 怒っちゃ った けど さ
ひょっとして …
( ドア の 開閉 音 )
( 走り去る 足音 )
( 足音 )
( 岡部 ) 紅 莉栖 …
なぜ ここ が ?
( 紅 莉栖 ) 分かる わ よ あんた の こと だ も の
そう か
( 紅 莉栖 ) ウソ よ ( 岡部 ) え ?
( 紅 莉栖 ) ん … GPS
そんな もの が …
やっぱり 知ら ない の ね
岡部 あなた ―
別の 世界 線 から 来た わ ね
ハッ !
あんた が 今 座って る 場所 は ―
ま ゆり が いつも 座って た 場所 だった
あの 子 を 諦めた あいつ は ―
そこ に は 絶対 に 座ろう と は し なかった
罪 の 意識 … だった の かしら ね
あと あんた GPS の こと も 知ら なかった でしょ ?
( 岡部 ) そうだ な なぜ だ ?
教え ない
( 岡部 ) それ は …
( 紅 莉栖 ) 作り 直した の
言う ならば “ 電話 レンジ 改 ”
いや “ 電話 レンジ ( 仮 ) 改 ” か
( 岡部 ) 作り 直した ? どうして …
過去 に メール を 送る ため … いえ …
世界 線 を 変える ため よ
( 岡部 ) あっ … ( 紅 莉栖 ) 岡部
あなた は これ を 使って 元 の 世界 線 に 戻り なさい
( 岡部 ) どう … いう ?
あなた は ま ゆり の 生きて いた … と いう より ―
ま ゆり を 生かす こと の できた 世界 線 から 来た 岡部 な んでしょ ?
( 岡部 ) ハッ !
全て お 見通し か
( 紅 莉栖 ) 分かる わ よ どん だけ 見て きた と …
あ いや そういう 意味 じゃ なく …
いや 違わ ない んだ けど
とにかく あなた は 違う 世界 線 から 来た 岡部 倫太郎 ( りん たろう )
なら 話 は 早い
戻り なさい
世界 線 を 変えて ま ゆり は 確かに 生きる こと が できた
でも そんな 世界 線 も こうして 簡単に ―
俺 が 何 を する でも なく 変わって しまった
本当に 今回 は 俺 は 何も して い ない んだ
それなのに 何で こんな こと に なる んだ ?
俺 は お前 を …
俺 なんか を 好いて くれた お前 を なかった こと に して まで …
なのに … な のに ―
お前 を もう 一 度 殺せ と いう の か
俺 に は もう そんな こと …
( 足音 )
橋田
オカリン は ?
( 紅 莉栖 ) 出て くるって
結局 は 岡部 が ま ゆり の こと 忘れ られる わけな いもん ね
牧 瀬 氏 は …
いや 何でもない お
( 携帯 電話 の 振動 音 )
( 紅 莉栖 ) 結論 は 出た ?
出る わけな いわ よ ね
もう 電車 動いて る わ よ ね
1 時間 後 秋葉原 ( あき は ばら ) の 駅 で 集合
なぜ ?
( 紅 莉栖 ) 連れて いき たい 所 が ある の
( 紅 莉栖 ) 白衣 じゃ ない と 目立た ない わ ね
どこ へ 行く んだ ?
ついてくれば 分かる わ
( 紅 莉栖 ) 何 ? ( 岡部 ) いや
こうして 電車 に 乗る ような こと なかった な と …
あんまり ジロジロ 見 ん な 駅員 に 突き出す ぞ
えん罪 だ
視線 だけ で セクハラ が 成立 した 事案 は いくら で も ある
フッ … やはり アマデウス と は 違う か
( 紅 莉栖 ) ア … アマデウス ?
( 岡部 ) あ いや 人工 知能 の
何で あんた が 知って ん の よ 私 話 した っけ ?
( 岡部 ) 比 屋 定 ( ひや じょう ) さん と レスキネン 教授 と な
( 紅 莉栖 ) は あ !? 真 帆 ( ま ほ ) 先輩 と ?
そっち の 世界 線 で は どんな こと に なって ん の よ !
( 岡部 ) 何で 怒って る んだ ?
( 紅 莉栖 ) 怒って ないし ! もう !
( 岡部 ) そして その 直前 アクセス が でき なく なった
( 紅 莉栖 ) ふむ …
アマデウス に 何 か ?
分から ない
でも 常識 的に 考えて ―
人工 知能 と 世界 線 変動 が 関係 して る と は 思え ない けど
偶然 … か
アマデウス に は 私 の 記憶 も 保管 さ れて いる
その 中 に タイム マシン の 理論 が ある こと も …
( 岡部 ) ある の か ?
( 紅 莉栖 )“ 私 ” は 理論 的に は 否定 して た けど
( アマデウス 紅 莉栖 ) タイム マシン は 可能で は ない
けれど 不可能 と まで は 言い切れ ない と いった ところ でしょう か
( 岡部 ) 紅 莉栖 の … アマデウス の 答え は 違って いた
パパ に 見て もらおう と 思って 私 なり に …
盗む の ? 私 の 論文
( 紅 莉栖 ) 岡部 ?
( 岡部 ) 大丈夫だ
それにしても 真 帆 先輩 と 知り合い に なって る なんて ね
セミナー で たまたま な
先輩 結構 が さつ で 融通 利か ない ところ が ある でしょ
不器用だ し
そこ は 変わって ない んだ な
じゃあ お前 も 生意気な 後輩 だった の か
ん … 失礼 ね 従順な 後輩 して ました
いつも 飲み物 買い に 行って たし さんぴん 茶 と か
あ …
ああ … う …
( 紅 莉栖 ) みんな 来て くれて いる の ね
ま ゆり が 死んで から の あんた は ―
それ は ひどい もの だった
ラボ に も 大学 に も 行か ず ―
毎日 ここ で 日 が 暮れる まで 過ごして いた
まるで ―
誰 か に 天国 へ ―
連れて いって ほしい か の ように
私 に は どう する こと も でき なかった
だって それ は 私 を 生かす ため だった から
紅 莉栖 …
( 紅 莉栖 ) でも それ も 終わり
終わり に し なきゃ いけない の
このまま じゃ 岡部 が 押しつぶさ れて しまう
同じだ
たとえ ベータ 世界 線 へ 行って も ―
それ は 変わら ない んだ
お前 を 見殺し に 俺 は …
しっかり し なさい 岡部 倫太郎 !
何て 顔 してん の よ
私 の 知って る 鳳凰 院 ( ほう おういん ) 凶 真 さん なら もっと 自信 に 満ちた 顔 を し なくちゃ
そんな の は 設定 だ ウソ だ
あの とき の ま ゆり を 元気づけよう と して 作り上げた …
あんた は ま ゆり に 笑って いて ほしかった
それ だけ な の よ
そして それ は 私 も 同じ
あんた の 選択 は 間違って い ない
あいつ が 間違えて しまった だけ な の よ
この 世界 線 は
だから 戻り なさい 岡部 倫太郎
あなた が 今 ここ に いる の は 夢 で しか ない
現実 に 帰る の
夢 …
( 紅 莉栖 ) そう
( 岡部 ) あ …
( 紅 莉栖 ) 戻り ましょう ラボ へ
( キーボード を 打つ 音 )
( キーボード を 打つ 音 )
( 紅 莉栖 ) 夢 から 覚める 前 に 1 つ だけ 約束 して
( 岡部 ) 何 だ ?
( 紅 莉栖 ) 戻ったら 私 の こと は 忘れ なさい
( 岡部 ) できる わけ … ないだ ろ
( 紅 莉栖 ) でき なくて も し なさい それ が 私 の 望み な んだ から
感情 の 問題 じゃ ない アマデウス
え ?
今回 の あなた の 世界 線 変動 の 原因 は 分から ない
けれど タイム マシン が 絡んで る こと は 明白
( 岡部 ) でも 電話 レンジ は …
あっ ち の 私 に ついて は 断言 でき ない けれど ―
こっち の 世界 線 で は 私 は あなた と 出会って ―
タイム マシン 理論 を 完成 さ せて しまった
同じ こと に なら ない 保証 は ない
少なくとも 深く 関わり を 持つ の は 危険だ と 思う
( 紅 莉栖 ) ん っ ( 岡部 ) ん …
指切り げん まん
ウソ ついたら 海馬 に 電極 ぶ っ 刺す
指 切った
( 岡部 ) 語呂 悪い な ( 紅 莉栖 ) ほっとけ
あ …
( 紅 莉栖 ) ねえ ( 岡部 ) あ ?
( 紅 莉栖 ) 覚えて る ? 初めて 会った とき の こと
いきなり 人 の 服 まくり 上げて …
“ 何 なんだ この ヘンタイ は !” と 思った わ よ
( 岡部 ) そう か
こいつ から したら あの とき が 初対面 に なる の か
俺 は …
待てよ
( キーボード を 打つ 音 )
準備 できた わ
これ で あと は その メール を 送れば あなた は 元 の 世界 線 に 戻れる
( 電子 レンジ の 起動 音 )
( 紅 莉栖 ) 岡部 ( 岡部 ) あっ ああ …
( 岡部 ) これ を 送れば 元 の 世界 線 に 戻れる
ま ゆり が 死んで い ない … 失わ ず に 済む 世界
だが そこ に こいつ は い ない
紅 莉栖 は い ない
俺 が 殺して しまった
一 番 大切な …
( 岡部 ) くっ …
岡部
ん ?
♪~
( 紅 莉栖 ) あなた に 会えて よかった
( 岡部 ) 紅 莉栖 …
あっ ああ …
( 紅 莉栖 の 荒い 息 )
( 携帯 電話 の 振動 音 )
( ドア の 開く 音 )
( 紅 莉栖 ) 岡部 !
私 も 岡部 の こと が …
~♪