逃げる は 恥 だ が 役 に 立つ #05 (02)
お帰り 百合 ちゃん 会社 は ?
明日 出る 代わり に 早 上がり した 何で また
あんた の せい でしょう が あれ 以来 連絡 よこさ ない から
とりあえず 中 に
平匡 さん が 帰って くる 前 に みくり の 気持ち 聞いて おき たい と
伯母 の 立場 で 言い たく ない んだ けど
言い たく ない んだ けど ね でも 言っ ちゃう けど ね 私 実は
見た んでしょ ? 私 と 風見 さん
聞いた ? 風見 に 聞いた 入って
まさか みくり が 不倫 で 二股 で 離婚 なんて いう こと に なったら
桜 に 顔 向け でき ない じゃ ない
より に よって 私 が 紹介 した マンション の 一室 が 不倫の 愛 の 巣 だ なんて
私 に も 責任 の 一端 が
百合 ちゃん 座って 落ち着いて
はっきり 言って 風見 の こと は 嫌い だ けど
でも どうしても みくり が 風見 と 一緒に なり たい と いう なら
私 は この 気持ち を グッと こらえる
でも ね どっち を 選ぶ こと に なって も
私 は みくり の 味方 だ から それ だけ は 覚え といて
ありがとう
でも ね 百合 ちゃん うん
私 と 風見 さん は 何でもない の
ホントに 何でも 何にも なくて
ただ 単に 風見 さん に 頼ま れて 風見 さん ち の 家事 代行 して る だけ
家事 代行 ? うん
ご飯 作ったり 掃除 したり 週 に 2 回
新婚 の 人妻 が
独身 男 の 家 で ?
平匡 さん は ? もちろん 知って る けど
何で 許す の ? 相手 は あの 風見 よ
何 考えて ん の 平匡 さん 百合 ちゃん
信じ られ ない 常識 が なさ すぎる
今 すぐ 平匡 呼び なさい 説教 して やる
( 携帯 着信 )
「 風見 さん 宅 で 家事 代行 を して いる と 話したら 火 に 油 」
「 ごめんなさい 」
すいません 遅く なって
百合 さん は ? 寝て ます
寝て る ? ここ 最近 寝不足 だった みたいで
倒れる ように 寝て くれ ました
すごく 怒って た ので 少し でも 気 を 静めよう と
お酒 を 飲ま せた んです
ヤマタノオロチ 退治 の 要領 です ね
そっと 戻って 仲 むつまじい 夫婦 の 芝居 を し ましょう
目覚めて すぐ 親密 感 あふれる 僕達 を 目撃 する
その 上 で 風見 宅 に 行く ぐらい で は びくともしない 関係 だ と 説明 を
分かり ました
あッ ちょっと 待って はい えッ ?
恋人 らしい 空気 を 醸し出して から 行った 方 が
今日 は 金曜 です
緊急 事態 です 早速 ルール 崩壊 して ます
今 は 目の前 の ヤマタノオロチ け を 考え ましょう
そう です ね その とおり だ 醸し ましょう 新婚 感
出し ましょう 親密 感
いき ます よ はい
( ベランダ の ドア が 開く )
どこ 行った ~?
チャンス です 直接 見せる んです
ちょッ …
えい
見て ます か ? たぶん
ちょっと 回り ます ね は い
見て ます めっちゃ 見て ます
はい
( 棒読み で ) もう 平匡 さん ったら お うち の 鍵 を 忘れる なんて
( 棒読み で ) 悪かった ね みくり さん 僕 の ため に
お帰りなさ~い
留守 中 に すみ ません
百合 ちゃん コンタクト いつ 外した ?
起きたら さ 目 が もう パッツンパッツン で
さっき ベランダ 出て た よ ね あッ 下 いた の みくり ?
そう ああ 人 が いる 気配 は した けど
コンタクト ないし ボワ~ッ と して もう 何にも 見え なかった
あの 百合 さん
色々 と ご 心配 を お かけ した よう です が
僕達 は 夫婦 と して
百合 さん ? 百合 ちゃん ?
ごめん もう 眠くて 死に そう
今日 は 帰る
お 仕事 大変な んだ ね
仕事 が 大変な の は いつも の こと な んだ けど さ
あんた達 の こと 考えて たら 眠れ なく なっ ちゃった の よ
明日 連絡 する ね
気 を つけて ね は~い
はあ~ 送ら なくて 平気 です か ?
タクシー つかまえる と 思う んで
今日 ここ へ 来た せい で 明日 は 午後 から 休日 出勤 と 言って ました
一刻 も 早く 安心 さ せて あげ たい です ね
あッ 席 替わり ましょう えッ ?
雇用 主 が こちら へ フラット な 職場 と いう こと で
でも この 位置 関係 は 私 の 方 が 偉 そう です
ならば ハグ の 延長 の 恋人 タイム なら どう です か ?
恋人 なら どちら が 上 も なく 双方 どこ に 座ろう が 関係 あり ません
恋人 なら ソファー で 横 並び です
う~
二人 並んで 座って 手 を 恋人 つなぎ して
一緒に テレビ を 見たり する んです 恋人 なら
どうぞ どうも
百合 ちゃん って 人 の 話 を 信じ ない タイプ な んです
自分 で 見た もの 感じた もの が すべて で
何 を 言って も 「 どうせ 嘘 でしょ ?」 から 入る って いう
説得 力 の ある 話 を し ない と 太刀打ち でき ません ね
今 は 平匡 さん に 対する 不信 感 で あふれて る ので
何 を どう 話せば いい の やら
さっき の 直接 見て もらう って いう 作戦 は 正しかった んです ね
成功 して いれば です が
もう一度 やって み ましょう か
あッ あッ 休日 出勤 大変 です ね
そっち こそ 僕 は もう 帰る とこ です
この間 は 見事に 逃げて くれた じゃ ない
みくり に 家事 代行 頼んで る だけ で やましい こと が 何にも ない なら
堂々 と して れば いい じゃ ない の
そういう 意味 で は やましい んです よ ね
みくり さん の こと 好きな んで
では また
しっかり し なさい よ 平匡
痛い
今 平匡 って 言った ?
風見 さん 何 言った んだ ?
出勤 は 確認 でき ました 行き ましょう
ああッ
ゴダールジャパン は 19 階
前 に 言って た んです コーヒー が できる まで の 間
公園 の 緑 を 眺める の が 仕事 中 の 癒やし だって
百合 ちゃん は カフェイン 中毒 な ので 午後 だけ でも 3回 は チャッンス ある か と
この 高さ で 気づき ます か ね ?
この キリム は 百合 ちゃん の トルコ 土産 で 同じ デザイン は 二つ と あり ません
見れば すぐ 分かる はず です なるほど
仲 むつまじい 夫婦 を 演じ ましょう やり遂げ ましょう
醸し ましょう 新婚 感 出し ましょう 親密 感
はあ~ 平和 です ね
はい
昔 よく 家族 で ピクニック して ました
キャンプ なんか も
最近 は 私 だけ 不参加 でした けど
僕 は ピクニック は 一度 だけ 小 3 の 時
父 は 工場 を やって いて ほとんど 休み が なくて
その 一度 が 幸せな 思い出 な んです ね
それ が 母 が お弁当 に 瓦 そば を 作って きて
瓦 そば ? 山口 の 名物 です
お店 で は 瓦 に 屋根 の 瓦 です けど
熱々 の 瓦 の 上 に そば を のっけて
その 上 に 錦糸卵 と 甘辛い 牛肉 を のせ ます
おいし そう 母 と して は
サプライズ の つもり で 重箱 に そば を つめて きた んです けど
父 が 怒りだし 「 なぜ 外 で 伸び きった そば を 食わ なきゃ いか ん の か 」
「 それ に 茶 そば じゃ なく 日本 そば じゃ ない か 」 って
瓦 そば は 茶 そば な んです ね
はい 母 は 鹿児島 の 出身 で なじみ が なくて
父 は 怒りだす と 自分 を 曲げ ない 人 な ので
「 俺 は 食わ ん 」 って
仕方 ない ので 僕 が 一人 で
「 おいしい おいしい 」 って 言い ながら
重箱 いっぱい の そば を 必死に 食べた
地獄 の ような 思い出 で
それ 以来 瓦 そば が 食べ られ ません
どうして 母 は 父 と 離婚 し ない んだろう って
子供 心 に ずっと 思って ました
すいません 暗い 話 で
いえ 嬉しい です
地獄 の ような 話 が ?
平匡 さん の 話 が 聞けて 嬉しい と いう 意味 です
私 は ご 両親 に お 会い した 時 素敵 だ と 思い ました
お 似合い だ な~って そう でしょう か
昔 は 今 ほど 離婚 が 簡単 じゃ なかった し
僕 と いう 子供 が いた から 別れ なかった だけ です よ
だ と したら お 手柄 です
夫婦 の 危機 を 救った 息子
母 の 足かせ に なった 息子 で は ?
別れ ないで 済む なら その方 が いい じゃない です か
母 が 今 幸せ なら いい んです けど
あれ ?
今日 誕生日 でした 母 の
電話 し なきゃ おめでとう コール
した こと ない です し ましょう よ
なら 私 が かけ ます
あれ ? やっ さん から 着信 3 件 も
かけた 方 が いい ん じゃない です か
です ね
平匡 さん も 電話 して ください ね
( 携帯 着信 )
( 宗八 ) おい 鳴っと る ぞ 電話 ( 知佳 ) はいはい
あら 平匡
もしもし ? どうした ん 珍しい
うん
今日 母さん 誕生日 だ よ ね
☎ おめでとう
みくり さん に かけろ って 言わ れた んじゃ ろ
☎ 結婚 する と 変わる んじゃ ね ~
☎ みくり さん も 一緒 ? うん
今 向こう も 電話 して て 公園 に 来て る
ピクニック ?
まあ
あッ
☎ もしもし ? 平匡 ?
( 口笛 を 吹く )
ああ … ☎ 平匡 ? もしもし ?
ああ ごめん 何 ?
お父さん と 三人 で ピクニック 行った の 覚え ちょる ?
何 を 古い 話 を し とる んじゃ
いい じゃない
ほら 帰り し に 瓦 そば 食べて
帰り ?
( バイブレーター 着信 )
はい ☎ やっと 出た
何 ?
「 何 ?」 って 着信 3件 も あった から
☎ うん
どっち よ 用 ある の ? ない の ?
( 安恵 ) 用 って いう か …
役所 に 出して きた
離婚 届
えッ ? ☎ それ だけ
☎ 会った 時 相談 しよう と 思った けど
楽し そうな の 水 さす みたいで 言え なくて
言って よ 余計な こと は いっぱい 言う くせ に
親 に も 周り の 人 に も
☎ 離婚 する の すっごい 反対 され ちゃって さ
子供 いる のに 何 考えて る ん だって
旦那 の 浮気 ぐらい
水 に 流せ って
☎ でも 私
どうしても 許せ なく って
顔 見る の も 耐え られ なくて
☎ 私 間違って る かな
心 狭い の か な
この 子 の ため に
私 が 我慢 する べき だった の か な
浮気 された 私 が 悪い の か な
蝶 育てて 家 の こと して
頑張った つもり だ けど
何 が いけなかった んだろう
いけなく ない
やっさん よく やった よ
私 ≪( 安恵 ) この 子 不幸 に し ちゃう の か な そんな こと ない 蝶 ちゃん だって
やっさん が 笑って る 方 が 嬉しい よ
☎ やっさん 間違って ない
私 は やっさん の 味方 だ から ね
誰 が 何と 言おう と
やっさん の 味方 だ から ね
やっさん どう でした か ?
子供 が いる と
人生 の 選択 が 自分 だけ の もの じゃ なく なる から
難しい です ね
でも 相手 の 顔 を 見る の も 耐え られ ない まで いっ ちゃったら
子供 の 精神 衛生 上 も よく ない と 思う し
離婚 して よかった んです うん
し ました か 離婚
はい
すいません 私 さっき と 逆の こと 言って ます
うち の 母 が 離婚 し なかった の は
子供 の ため だけ じゃ なかった かもしれません
さっき 電話 で ピクニック の 話 を し ました
地獄 の ?
地獄 の 帰り に 瓦 そば を 食べた そう です
帰り ?
《 帰り し に お 父さん お 店 連れて って くれた じゃ ない 》
《☎ 本物 食べ さ し ちゃ る って 》
《☎ あんた 寝 とった かしら 》
《 おいしい 》
《☎ お 昼 食べ とら ん かった せい も ある と は 思う ん じゃ けど 》
《☎ すっごく おいしくて 》
《 後にも先にも あ ねえ な おいしかった お そば 》
《 食べた こと ない わ ねえ 》
僕 に とって は 最悪な 思い出 です が
母 に とって は 生涯 で 一番 おいしい お そば だった そう です
僕 の 知ら ない 物語 が
他 に も ある の かも しれ ない
やっさん と 旦那 さん に は
そういう 思い出 が 足りなかった の か な
二人 でも 幸せ に なって ほしい な
私 は やっさん の 味方 だ よって
それ しか 言え ません でした
つらい 時 味方 だって 言って くれる 人 が いる だけ で 救わ れ ます よ
そんな 人 いた こと ない や
あッ 沼田 さん
《 俺 は いつでも 津崎 君 の 味方 だ よ 》
何 か 勘違い して る 気 が して なら ない んです が
私 は 百合 ちゃん です ね
《 私 は みくり の 味方 だ から 》
仲 いい です よ ね はい
昔 から すごく かわいがって くれて て