( 沙 子 ) かわいそう 。 尾崎 先生 も 室井 さん も 。
( 夏野 ) だ けど 俺 は … 。
( 徹 ) 《 夜更かし と か する と よく 親父 に →
「 起き上がり が 来る ぞ 」 って 脅かさ れ た よ 》
( 敏夫 ) 疫病 じゃ なかった の か !
( 昭 ) 俺 たち が やる しか ない ん だ !
( 正雄 ) あっ … ! →
あ … 。 あ あ あ … 。
( たたく 音 )
( 正雄 ) あ … け … て … 。 →
あ … け … て … !
愛し ‥ 愛し 合う の さ もっと
激しい 渇き に 狂い そう
目 を 閉じ て 罪深き くちづけ
お前 の 匂い 狂わせる
真 夜中 に 目覚め て 狂気 愛 飲み干す
おい で この 腕 の 中 " あっ ち の 闇 は 苦い ぞ "
君 は 惑い 揺らめく
やがて 永遠 に なる " こっち の 闇 は 甘い ぞ "
僕 は 深く 突き刺す
おい で この 腕 の 中 " あっ ち の 闇 は 苦い よ "
君 は 惑い 揺らめく
おい !
ここ で 何 してん だ ?
( かおり ) あ … あの ちょっと … 。
あんた 確か 清水 の 友達 だ よ な 。
( かおり ) あっ はい 。 ( 昭 ) かおり 。 誰 ?
とにかく こっち 来い よ 。
お前 たち 誰 か に 見 られ て た ぞ 。 ( 昭 ・ かおり ) えっ ! ?
( かおり ) 気付か なかった … 。
何 し て た ん だ ? あんな 所 で 。
( 昭 ) 別に 。 そんな もん 持 っ … 。
ひょっとして お前 たち も あの 屋敷 が 怪しい と 思って る ?
( かおり ・ 昭 ) あっ 。
( 昭 ) あ … 。 まさか 兄ちゃん も ?
う わ ああ ああ ! !
な … 何 だ ! ? ( 昭 ) 初めて だ !
信じ て くれる 人 が い た ! 誰 も 相手 に し て くれ なかった ん だ ! !
《 父ちゃん ! 母ちゃん ! 》 →
《 村 の 人 が 死 ん で いる の は 兼 正 の せい だ ! 》
( 佐知子 ) 《 バカ な こ と 言って ない で 早く お 風呂 入 ん なさい 》
( 昭 ) 俺 見 た のに ! 死 ん だ はず の 人 が →
あの 家 に 入る の を ! 分かった 。 分かった よ 。
とにかく ここ じゃ 話せ ない 。 ( 昭 ) うん 。
「 起き上がり 」 って 言う ん だ ろ ? ( 昭 ) えっ ?
一 度 死 ん で 生き返った やつ の こと この 村 で は 。
そう だ よ ! 起き上がり だ よ !
8 月 に 死 ん だ 製材 所 の 康幸 兄ちゃん 。
俺 の 知って る 康幸 兄ちゃん らしく ない 感じ だった 。
でも 仲良く し て くれ た 人 だ もん 間違え っこ ない よ !
俺 は 清水 を 見て いる 。 ( 昭 ) えっ ! 恵 を ! ?
( かおり ) 嘘 … ! →
恵 ちゃん 死ぬ 前 に 桐 敷 の 奥さん に 会った って … 。 →
康幸 さん も … 。 →
だけど … だ から って … 。
確かめ て みる しか ない 。
清水 の 墓 を 暴く ん だ 。 ( 昭 ・ かおり ) えっ ! ?
そう すれ ば 一 発 で 分かる 。 清水 が 起き上がった か どう か 。
( 昭 ) そ … そうだ よ 兄ちゃん ! そう すれ ば いい ん だ !
( 辰巳 ) やっ 。
( 正雄 ) 《 何で だ よ ! 何で 俺 が こんな 所 に ! 》
( ノック )
( 葵 ) 正雄 ? 葵 よ 。
( 保 ) 保 だ 。
( 葵 ) 博巳 君 残念 だった わ ね 。 それ と この 前 は ごめんなさい 。 →
わたし ひどい こと 言った よ ね 。 →
後悔 し てる の 。 お 願い 正雄 。 ここ を 開け て 。
( 葵 ) じゃあ また 来る から … 。
( 正雄 ) 《 嫌 だ … 。 葵 ちゃん 。 保 。 俺 を 1 人 に し ない で くれ 》
( 正雄 ) 《 夜 が 怖い ん だ … 。 あいつ が … あいつ が … 》
( ノック ) ( 正雄 ) 《 窓 の 外 に … 》
( 柚木 ) 正雄 君 。 開け て くれ 。 →
正雄 君 ?
( 正雄 ) 《 駄目 だ 。 駄目 な ん だ 》 →
《 こいつ を 中 に 入れ て は いけない 》 →
《 駄目 な ん だ 。 誰 か 助け て … 》
( 正雄 ) 《 どうして … 》
この こと は 誰 に も 言って は いけない よ 。
わたし は あした も 来る から 待って いる ん だ 。 →
いい ね ? 正雄 君 。
( 正雄 ) 《 生き てる ! ! 俺 生き てる よ ! ! 》
( 物音 )
( 正雄 ) 《 えっ … 。 誰 ! ? 》
やっ !
( 辰巳 ) 声 が 出 ない ん だ ろ ?
心配 する な やり 方 が ある 。 話す とき は 呼吸 を する よう に だ 。
( 正雄 ) 《 あれ ? 俺 息 し て ない 》
大丈夫 だ よ 村 迫 正雄 君 。 すぐに 慣れる さ 。 さっ !
( 辰巳 ) 落ち着け 。
そう 君 の 墓 だ よ 。 君 は 死 ん だ ん だ 。
俺 … 死 ん だ … の ?
は ぁ ー 。 だから 落ち着 い て よく 聞く ん だ 。 →
君 は ね 蘇生 し た ん だ 。
そ … せい … 。 起き上がった の ! ?
この 村 で は そう 言う らしい ね 。 →
生き返った ん だ 。 ただし 人間 と は 違う けど ね 。
起き上がり … ! う ぅ … 。
( 辰巳 ) は ぁ ー 。 じゃあ また この 中 へ 戻る か ?
誰 でも 蘇生 する わけ じゃ ない ん だ ぞ 。
君 の おい の 村 迫 博巳 は 蘇生 し なかった 。 →
ほら 。 甘い 腐乱 の 香り が 漂って る だ ろ ?
博巳 … 死 ん だ … 。 起き上がら ない ?
( 辰巳 ) 蘇生 する の は 数 人 に 1 人 。 つまり 君 は 特別 な 存在 な ん だ 。
( 正雄 ) 特別 … 。
そう だ 。 君 は 我々 の 大切 な 仲間 に なった 。
仲間 … 。 大切 … 。
( 辰巳 ) だ が ね 正雄 君 。 君 は もう 年 を 取る こと も なく →
病気 で 死ぬ こと も ない が 不死身 と いう わけ で も ない ん だ 。
首 を 切断 さ れ たり 心臓 に くい を 打た れ たら 死ぬ !
だけど そんな こと を する やつ が いる かい ?
( 辰巳 ) それ から 君 は 日光 に 弱い 。 →
焼け た だれ て 時間 が たて ば 死 ん で しまう 。
( 辰巳 ) そうだ 。 このまま ここ で 朝 を 迎え たら →
君 は 焼け 死ぬ こと に なる 。
嫌 だ ! ! もう 死に たく ない ! どう すれ ば いい の ! ?
その ため に 俺 が 来 た ん だ よ 。
( 正雄 ) 山 入 … 。
( 辰巳 ) 夜明け と 同時に 君 は 眠り 日没 に 起きる 。 →
眠り は 深く 抵抗 でき ない 。 昏睡 だ 。 →
まあ これ は 朝 に なれ ば 分かる よ 。 ここ なら 眠って も 安心 だ 。 →
それ から 一 番 大事 な の は 食事 だ 。 食事 を し なけ れ ば 飢え て 死ぬ 。
君 は 生き延びる ため に 人 の 血液 を 必要 と する ん だ 。
血液 … 。 人 の ? →
吸 血 鬼 … 。 ( 辰巳 ) 言い 方 は 自由 だ 。
俺 人 を 襲う の ?
そう だ ね 。 でも 気 に する こと ない だ ろ ?
人 が 食べる ため に 家畜 を 殺す の と 同じ だ 。 →
牛 や 豚 を 食べ て き た だ ろ ? ( 正雄 ) そ … そう だ けど … 。
( 辰巳 ) 生き延びる ため だ 。 試し て みる かい ?
い ぃ ~ ! ?
誰 ? ( 辰巳 ) 知る 必要 は ない 。
君 が 食事 を すれ ば 死ぬ 。 その ため に 弱ら せ て ある 。
俺 … 。 俺 いい 。
( 辰巳 ) じゃあ そのまま 出 て いく かい ? →
朝 に なれ ば 眠り 焼け 死ぬ ぞ 。
嫌 だ ! 嫌 だ !
君 は 大切 な 仲間 だ と 言った だ ろ 。
君 が 勝手 に 振る舞う の を ほか の 仲間 は どう 思う だ ろ う ?
だけど 俺 … 。
俺 は 仲間 の 中 でも 特殊 だ 。
昼 も 起き て い られる し 太陽 の 中 でも 平気 だ 。 →
お前 が 眠った 後 に 外 に 放り出す こと も できる し →
くい を 打つ こと も 首 を 落とす こと も できる ぞ 。
やっ ! いつ まで も 人間 み たい な わがまま は 許さ れ ない って こと さ 。
( 辰巳 ) 見 て ごらん 。 部屋 の 隅 に コップ が ある だ ろ 。 →
誰 でも そう な ん だ 。 →
1 人 目 を 襲う に は ちょっと ばかり 勇気 が いる 。 →
だから あれ を 選 ん で も いい 。
タッ … 。 ターッ 。 ターッ 。
大丈夫 。 俺 の 指示 に 従って い れ ば 全て うまく いく 。 →
君 は 殺す 特権 を 手 に 入れた ん だ 。
( 徳次郎 ) 先生 ! ! 若 先生 ! 節子 が … !
《 奈緒 。 進 。 幹 康 。 その 上 節子 まで が … 》
( 徳次郎 ) こんなに も 続く もの な の か ね 先生 。
敏夫 君 。 正直 に 話し て くれ 。
この 村 で 何 が 起こって る ん だ ! ?
( 敏夫 ) 徳次郎 さん 。 節子 さん は 入院 さ せよ う と 思って いる 。
( 徳次郎 ) 入院 ?
( 敏夫 ) 大丈夫 。 節子 さん は 俺 が 守る !
( 佐知子 ) あんた たち どこ 行く の !
( 昭 ) ちょっと ね … 。 ( 佐知子 ) すぐ 帰って き て よ 。 →
お 母さん 弔 組 の 用 で 出掛ける から 留守番 し て て ちょうだい 。
弔 組 って また 誰 か 死 ん だ の ?
本橋 の おばあ ちゃん 。 →
最近 こんな 用 で 引っ張り出さ れ て ばっかり 。
( かおり ) ちょっと 昭 ! 何 そんなに は しゃい でる の よ ?
( 昭 ) ああ ? そりゃ そう だ ろ ! →
だって 俺 たち が 正しい って こと が 分かる ん だ ぜ 。
( かおり ) やっぱり やめよ う 。 ( 昭 ) ああ ! ?
夏野 さん も 気 が 変わる よ 。 ( 昭 ) は あ ! ?
こんな こと やる べき じゃ ない もの 。
何 いまさら 訳 の 分から ない こと 言って ん だ よ 。
子供 じゃ ある まい し 。 ( かおり ) 子供 よ !
夏野 さん だって わたし より 1 個 上 な だけ 。
だいたい 吸 血 鬼 と か 起き上がり と か →
まじめ に 考える こと 自体 子供 っぽい じゃ ない 。 →
そんな こと で 恵 ちゃん の … 。
友達 だった 恵 ちゃん の お 墓 を 荒らす なんて でき ない !
「 そんな こと 」 じゃ ない よ 。
夏野 の 兄ちゃん だって 必ず 来る 。
証拠 を 見つけ て みんな に 教え て やる ん だ !
かおり は おじけづ い た ん なら 帰れ ば いい さ ! →
俺 は 兄ちゃん と やる ! !
( 敏夫 ) その … 何 だ … 。 この 前 は すま なかった な 。
( 静 信 ) いや い い ん だ よ 。 で 用 って いう の は ?
( 敏夫 ) ん … ? ああ 。
僕 から も 伝え たい こと が ある けど 先 に いい かい ?
( 敏夫 ) ああ 。 何 だ ?
( 静 信 ) 村 役場 の 石田 さん が 失踪 し た 。 →
しかも 役場 から ここ 最近 の 死亡 届 や 書類 一式 が →
なくなって る らしい ん だ よ 。 このまま で は →
外 場 村 で 多く の 死者 が 出 て いる 事実 を →
外 へ 伝え られ なく なって しまう 。
( 敏夫 ) そう か なるほど な 。 そう き た か 。
敏夫 。 これ が どういう こと か 分かって いる の か ?
このまま で は 行政 を 動かせ なく なる ん だ ぞ 。
( 敏夫 ) いや 。 伝染 病 は もう いい ん だ 。
敏夫 … 。
( 敏夫 ) なあ 静 信 。 いつ だった か お前 エッセー に 書 い て た よ な 。 →
「 この 村 は 死に よって 包囲 さ れ てる 」 って 。
どう し た ん だ 急に … 。
( 敏夫 ) 今 ここ は そういう 状態 に ある と 思う よ 。 →
この 村 に とって 死 の 象徴 で ある モミ の 木 が →
全て を のみ 込 も う と し て いる よう じゃ ない か 。
何 が 言い たい ん だ ?
( 敏夫 ) 俺 は 一 連 の 死 の 答え を 見つけ た よう な 気 が する 。 →
貧血 に 始まる 諸 症状 。 皮膚 の 蒼白 に 虚 脱 。 →
冷 汗 。 脈拍 の 触 知 不良 。 最終 的 に は 多 臓器 不全 。 →
俺 は 伝染 病 に こだわり 出血 性 ショック を 見落とし て い た 。
でも 外傷 も 内出血 も ない って 。
あった ん だ よ 虫 刺され の よう な あと が 。
だけど それ を つけ た の は 虫 じゃ ない 。
起き上がり だ 。
敏夫 … 。 それ は 駄目 だ 。
起き上がり 。 吸 血 鬼 と 言って も いい 。
そんな 非常識 な 存在 を 認める だけ で →
全て の 答え を 導き 出せ る ん だ 。 ( 静 信 ) 待って くれ 。
( 敏夫 ) 出血 性 ショック で 死ぬ の は ともかく →
離職 や 引っ越し を さ せる よう な 病気 は 存在 し ない 。
おそらく 吸 血 し た やつ が 引っ越し しろ と か 辞職 しろ と か →
強い 暗示 を かけ た ん だ 。
村 の 中 で の 死亡 率 を 上げ ない よう に な 。 →
起き上がり なら そんな こと も できる だ ろ う 。
( 静 信 ) 敏夫 … 。
こういう オカルト 的 な 話 は お前 の 方 が 詳しい だ ろ 。
そういう こと じゃ ない 。
( 敏夫 ) ほか に 説明 が つく か ? だ から 確かめよ う 。
俺 は これ から 起き上がり が ある もの と して 行動 する 。
( 静 信 ) 敏夫 … 。
今 うち に 安 森 節子 さん を 入院 さ せ て いる 。 →
しばらく 不 寝 番 を し て 節子 さん を 守る こと に し た 。 →
やつ ら は 夜 に やって 来る はず だ 。 →
うまく いけ ば この 敵 を 捕まえ られる かも しれ ない 。
静 信 。 頼む 手伝って くれ 。
( 静 信 ) 少し 考え させ て くれ 。
あー ! 兄ちゃん !
おう 来 た か 。 ( 昭 ) 当たり前 だ ろ 。
これ を 使え 。
( 昭 ) すげ ぇ ! あんた も 。
あんた 清水 の 墓 の 場所 知って る よ な ?
あ … うん 。 でも … 。 行 こ う 。
( 昭 ) なあ 兄ちゃん 。 3 人 で こんな の 持って たら 怪しく ね ?
堂々 と して れ ば いい ん だ 。
墓穴 掘り の 手伝い に 行く ん だ って 顔 し てれ ば 誰 も 気 に し ない 。
( 昭 ) そ っか 。 や っぱ 兄ちゃん は すげ ぇ 。
( かおり ) 《 恵 ちゃん の 棺 が 運ば れ て いった 小道 》 →
《 大人 たち が 恵 ちゃん を 黒い 穴 の 中 へ 連れ て いった →
この 小道 》
ほ … 本当 に やる の ?
《 この 下 に は 恵 ちゃん が … 》
いく ぞ !
大きな 夢 目指し 歩 い て い た
迷い 迷って 終わり の ない 旅
あの 時 は 雪 混じり の 雨 で
涙 か どう か わから なかった
さよなら もう 二 度 と 会え ない
私 が 、 選 ん だ 未来 へ また 一 歩 踏み出す よ
大きな 壁 を 超え て
好き だった のに どうして ?
「 最期 だ 」 なんて 言った の ?
今 で は ちゃんと わかる
だから ねぇ " walk " 強く . . .