三 姉妹 探偵 団 01 chapter04 (1)
みっ|しまい|たんてい|だん|
Three Sisters Detective Agency 01 chapter04 (1)
4 休暇 届 は 遅かった
きゅうか|とどけ||おそかった
4 Vacation notice was late
「 こら 、 会計 !
|かいけい
"Hey, accounting!
と 夕 里子 が 言った 。
|ゆう|さとご||いった
「 金 よこせ !
きむ|
"Give money!
「 何 よ 、 理由 が なきゃ 出して や ん ない 」
なん||りゆう|||だして|||
"What, I will give out without a reason"
珠美 は 、 中学校 へ 行く ところ を 捕まって 、 不機嫌だった 。
たまみ||ちゅうがっこう||いく|||つかまって|ふきげんだった
Tomomi was cranky, capturing the place to go to junior high school.
「 早く して よ 、 遅刻 する じゃ ない の 」
はやく|||ちこく||||
"Do it early, not late."
「 電話 代 」
でんわ|だい
" Telephone bill "
「 だって ── 片瀬 さん と この を 使う んでしょ 。
|かたせ|||||つかう|
"Because ──-you use this with Katase-san.
だったら 、 いい じゃ ない 。
If so, it is not good.
お 金持 な んだ から 」
|かねもち|||
We are rich. "
「 そんな わけ に は いか ない わ よ 。
"That is not the case.
市 外 な んだ から 」
し|がい|||
It's out of town. "
「 どこ へ かける の ?
"Where are you going?"
「 札幌 」
さっぽろ
「 ええ ?
「 パパ が 本当に 札幌 に 泊って なかった か どう か 、 確かめる の 。
ぱぱ||ほんとうに|さっぽろ||とまって|||||たしかめる|
"Make sure that Dad really did not stay in Sapporo.
だから 一〇〇 番 でかける から 、 お 金 が いる の よ 」
|ひと|ばん||||きむ||||
That is why I have to pay at number one, so I have money. "
「 いくら ?
「 二千 円 も ありゃ いい わ 」
にせん|えん||||
"I wish there were two thousand yen too!"
「 そんなに ?
" so much ?
「 何 軒 かける か 分 ん ない の よ 」
なん|のき|||ぶん||||
"I do not know how much it costs to spend."
「 分 った わ よ 」
ぶん|||
"I got it."
珠美 は 渋々 、 財布 から 千 円 札 を 二 枚 出した 。
たまみ||しぶしぶ|さいふ||せん|えん|さつ||ふた|まい|だした
Shumi reluctantly put out two 1,000-yen bills from his wallet.
「 余ったら 返して よ 」
あまったら|かえして|
"If it's over, return it."
何しろ ケチ に 徹して いる のである 。
なにしろ|||てっして||
I am devoted to poor quality anyhow.
「 じゃあ ね 」
" See ya "
珠美 が 走って 行く の を 、 夕 里子 は 苦笑 し ながら 見送った 。
たまみ||はしって|いく|||ゆう|さとご||くしょう|||みおくった
Yuko Riko watched with wry smile that Tamami was running.
綾子 は 、 張切って 出社 して 行った らしい 。
あやこ||はりきって|しゅっしゃ||おこなった|
Ayako seems to have taken off after hanging out.
珠美 も 、 めげ ず に したたかに やって いる ようだ 。
たまみ||||||||
Suzumi seems to be doing it without hesitation.
── 一向に 事態 は 良く なって い ない が 、 それ でも 夕 里子 は 奇妙に 心 の 和む の を 感じて いた 。
いっこうに|じたい||よく|||||||ゆう|さとご||きみょうに|こころ||なごむ|||かんじて|
一 Although things are not getting better in the meantime, Yuuriko felt strangely calming.
片瀬 家 へ 戻る と 、 敦子 が 鞄 を 手 に 出て 来る ところ で 、
かたせ|いえ||もどる||あつこ||かばん||て||でて|くる||
Returning to Katase family, where Atsuko comes out with a bag,
「 夕 里子 、 行か ない の ?
ゆう|さとご|いか||
"Yuuriko, don't you go?
「 当分 休学 」
とうぶん|きゅうがく
"Study for a while"
「 どうして ?
敦子 は 、 ちょっと 奥 の 方 を 気 に して 、「 ね 、 授業 料 なら 、 うち の パパ に 出さ せる わ よ 」
あつこ|||おく||かた||き||||じゅぎょう|りょう||||ぱぱ||ださ|||
Yuko was concerned about the back of her mind a little and said, "Hey, let 's give it to my dad if it' s the tuition fee."
「 違う の よ 」
ちがう||
"No."
と 、 夕 里子 は 友人 の 手 を 握った 。
|ゆう|さとご||ゆうじん||て||にぎった
Yuriko held hands of his friend.
「 ありがとう 。
感謝 し ます わ 」
かんしゃ|||
I am grateful "
「 気味 悪い なあ 、 もう 」
きみ|わるい||
"I feel weird, I already do it"
「 何 よ !
なん|
" What !
── 私 は 、 パパ の 無実 を 晴らす まで 、 学校 に 行か ない の 」
わたくし||ぱぱ||むじつ||はらす||がっこう||いか||
-I will not go to school until I clear up my dad 's innocence. "
「 夕 里子 が やる の 、 そんな こと 」
ゆう|さとご|||||
"Evening Riko does it, such a thing"
「 姉妹 三 人 、 力 を 合わせて ね 。
しまい|みっ|じん|ちから||あわせて|
"The three sisters put their strength together.
警察 は パパ を 犯人 に 仕立てて 満足 して んだ もの 。
けいさつ||ぱぱ||はんにん||したてて|まんぞく|||
The police are satisfied by tailoring Dad to the criminal.
私 たち が やる 他 ない じゃ ない 」
わたくし||||た|||
We do not have anything else to do "
「 ね 、 私 も 手伝う !
|わたくし||てつだう
"Hey, help me too!
と 、 敦子 が 目 を 輝か せた 。
|あつこ||め||かがやか|
And Reiko made her eyes shine.
「 いい でしょ ?
「 だめ 」
「 どうして よ ?
「 敦子 引 張り込んで 、 もしも の こと が あったら 、 お宅 の ご 両親 に 申し訳ない じゃ ない 。
あつこ|ひ|はりこんで||||||おたく|||りょうしん||もうしわけない||
"If you have drawn me down, I would be sorry to my parents at home.
散々 お 世話に なって ん のに さ 」
さんざん||せわに||||
You are taking care of you carelessly "
「 でも ……」
「 休み の 日 に は 、 何 か 頼む かも しれ ない けど 」
やすみ||ひ|||なん||たのむ||||
"On a day off, I might ask you something."
「 分 った 」
ぶん|
敦子 は 渋々 肯 いて 、「 犯人 捕まえる の は 、 日曜 か 祭日 に して ね 」
あつこ||しぶしぶ|こう||はんにん|つかまえる|||にちよう||さいじつ|||
Reiko confessed, "Make it a Sunday or a holiday to catch the criminal"
「 そう 巧 く 行く もん です か !
|こう||いく|||
"Is it going to work so well!
── 夕 里子 は 、 居間 へ 行く と 、 掃除 を 終えた 敦子 の 母 へ 、
ゆう|さとご||いま||いく||そうじ||おえた|あつこ||はは|
─ ─ After returning to the living room, Riko Yurimo to Atsuko's mother who finished cleaning,
「 電話 、 お 借り し ます 」
でんわ||かり||
"I'll borrow you by phone"
と 頭 を 下げた 。
|あたま||さげた
I lowered my head.
さて 、 メモ を 取り出し 、 書き抜いて 来た 、 札幌 の 主な ホテル の 番号 を 眺める 。
|めも||とりだし|かきぬいて|きた|さっぽろ||おもな|ほてる||ばんごう||ながめる
Well, I took out the memo, wrote it out, and looked at the numbers of the main hotels in Sapporo.
そう 数 は ない が 、 事件 の あった 日 か 、 その 前 から 、 父 が 泊って いた か どう か 、 調べて もらおう と いう のだ 。
|すう||||じけん|||ひ|||ぜん||ちち||とまって|||||しらべて||||
There is no such number, but I would like to ask him if he had been staying since the day the incident occurred or before that.
訊 いて も 、 果して 教えて くれる もの か どう か 。
じん|||はたして|おしえて|||||
Even if you ask, will it be something that will tell you in the end?
ともかく 当って 砕けろ 、 だ 。
|あたって|くだけろ|
In any case hit it and break it.
「 さて 始める か 」
|はじめる|
"Well now?"
と 手 を のばした とたん 、 電話 が 鳴り 出した 。
|て||||でんわ||なり|だした
As soon as I lifted my hand, the phone rang.
敦子 の 母親 は 、 二 階 を 掃除 して いる らしい 。
あつこ||ははおや||ふた|かい||そうじ|||
Reiko's mother seems to be cleaning the second floor.
仕方なく 、 夕 里子 は 受話器 を 上げた 。
しかたなく|ゆう|さとご||じゅわき||あげた
Reluctantly, Yuuriko raised the handset.
「 はい 、 片瀬 で ございます 」
|かたせ||
"Yes, it's Katase."
夕 里子 は 声 が 死んだ 母 そっくり だ と いう こと に なって いる 。
ゆう|さとご||こえ||しんだ|はは||||||||
Riko Yuriko is supposed to be like a mother whose voice died.
つまり 大人びた 声 な のである 。
|おとなびた|こえ||
In other words, it is a mature voice.
特に 電話 で は 取り 澄ました 声 を 出す ので 、 余計 、 大人っぽく なる 。
とくに|でんわ|||とり|すました|こえ||だす||よけい|おとなっぽく|
Especially on the phone, I have a clear voice, which makes me more mature.
「 もしもし 、 奥さん だ ね 」
|おくさん||
"Hello, you're a wife."
男 の 、 低く 押し殺した 声 だ 。
おとこ||ひくく|おしころした|こえ|
It is the voice of the man who killed him low.
「 もしもし ?
「 俺 だ よ 」
おれ||
" It's me "
向 う は 、 こんな 時間 だ から 、 母親 しか い ない と 思って いる のだろう 。
むかい||||じかん|||ははおや|||||おもって||
Because it is such a time, it seems that there is only a mother.
「 あの ……」
と 言って 、 夕 里子 は 言葉 を 切った 。
|いって|ゆう|さとご||ことば||きった
Saying that, Yuuriko cut off the word.
何 か 相手 の 話し 方 に 、 まともで ない 印象 を 受けた のである 。
なん||あいて||はなし|かた||||いんしょう||うけた|
I got a decent impression on how someone talked.
「 会い たい んだ よ 」
あい|||
"I want to meet you"
男 は 低い 声 で 言った 。
おとこ||ひくい|こえ||いった
The man said in a low voice.
「 この前 の ホテル に 来て くれ 。
この まえ||ほてる||きて|
"Please come to the hotel last time.
二 時 に 。
ふた|じ|
── 分 った かい ?
ぶん||
─ ─ Do you understand?
「 え 、 ええ ……」
「 来 ない と 旦那 に しゃべる ぜ 。
らい|||だんな|||
"I will talk to my husband if I don't come.
いい か 」
Is that okay?
電話 は 唐突に 切れて しまった 。
でんわ||とうとつに|きれて|
The phone was suddenly cut off.
夕 里子 は しばらく 受話器 を 握った まま 、 その 場 に 突っ立って いた 。
ゆう|さとご|||じゅわき||にぎった|||じょう||つったって|
Yuriko stood on the spot holding the handset for a while.
敦子 の 母 が 顔 を 出して 、
あつこ||はは||かお||だして
A dumpling 's mother came out with a face,
「 夕 里子 さん 、 今 、 電話 が かかった ?
ゆう|さとご||いま|でんわ||
"Yuuriko-san, have you called now?
「 え ?
あ ── あの 、 間違い です 」
||まちがい|
Oh yeah, that 's a mistake. "
夕 里子 は 急いで 受話器 を 戻した 。
ゆう|さとご||いそいで|じゅわき||もどした
Yuriko hurriedly returned the handset.
「 そう 」
敦子 の 母 は 、 疑う 様子 も なく 、 掃除 機 を ガラガラ 引きずり ながら 、 あっ ち へ 行って しまった 。
あつこ||はは||うたがう|ようす|||そうじ|き|||ひきずり|||||おこなって|
Sadako's mother went to there while dragging a vacuum cleaner without any doubts.
夕 里子 は 、 動 悸 が 鎮まる の を 待って いた 。
ゆう|さとご||どう|き||しずまる|||まって|
Yuuriko was waiting for her to settle down.
今 の 電話 は ……。
いま||でんわ|
初め 、 夕 里子 は 、 よく 手当り次第 に かけて 来る 、 いたずら 電話 か と 思った のである 。
はじめ|ゆう|さとご|||てあたりしだい|||くる||でんわ|||おもった|
At first, Yuuriko thought that it was a prank call that often came upon her arrival.
しかし 、 向こう は 「 この前 の ホテル 」 と いい 、「 二 時 に 」 と 言った 。
|むこう||この まえ||ほてる|||ふた|じ|||いった
However, the other side said "Hotel at the last time" and said "at two o'clock".
しかも 、「 来 ない と 旦那 に しゃべる 」 と も ……。
|らい|||だんな||||
Moreover, "I will talk to my husband if I don't come."
と いう こと は 、 少なくとも 一 度 は 、 あの 男 が 敦子 の 母 と 会って いる と いう こと である 。
||||すくなくとも|ひと|たび|||おとこ||あつこ||はは||あって|||||
That means that at least once, that man is meeting with Ms. Ayako's mother.
「 まさか !
"No way!
と 、 夕 里子 は 呟いた 。
|ゆう|さとご||つぶやいた
And, Yuuriko roared.
いや ── 夕 里子 とて 子供 で は ない から 、 いかに 仲 の 良 さ そうな 夫婦 と いえ ども 、 色々 問題 も ある だろう と いう こと は 想像 が つく 。
|ゆう|さとご||こども||||||なか||よ||そう な|ふうふ||||いろいろ|もんだい||||||||そうぞう||
No-Yu Riko is not a child, so it is imaginable that even a couple who might be good friends may have various problems.
しかし 、 あの 電話 は 、 どう 見て も まともで は なかった 。
||でんわ|||みて||||
However, that telephone was not decent at all.
敦子 の 母 が 、 万一 浮気 する に して も 、 あんな 男 に ……。
あつこ||はは||まんいち|うわき||||||おとこ|
Even if your mother's mother cheated by any chance, to such a man ....
それにしても 、 どうした もの だろう 、 と 夕 里子 は 考え込んで しまった 。
|||||ゆう|さとご||かんがえこんで|
Even so, Yuriko thought that would be the case.
まさか 敦子 の 母 に 、 今 の 電話 の 内容 を 伝える わけに も いか ない 。
|あつこ||はは||いま||でんわ||ないよう||つたえる||||
I can not tell you the contents of the present telephone to Ms. Ayako's mother.
しかし 、 黙って いれば どう なる か ?
|だまって||||
But what if it keeps silent?
当然 敦子 の 母 は 、 ホテル へ 行か ない 。
とうぜん|あつこ||はは||ほてる||いか|
Naturally, Ms.'s mother does not go to the hotel.
あの 男 は 、 もし 来 なければ 、 しゃべる 、 と 言って いる のだ 。
|おとこ|||らい||||いって||
That man is saying if he doesn't come, he speaks.
夕 里子 が 黙って いる こと で 、 却って 片瀬 家 の 平和 が めちゃくちゃに なる かも しれ ない 。
ゆう|さとご||だまって||||かえって|かたせ|いえ||へいわ||||||
The fact that Yuuriko is silent may, on the contrary, destroy the Katase family's peace.
「 参った なあ ……」
まいった|
"I'm here ..."
夕 里子 は 頭 を かかえて しまった 。
ゆう|さとご||あたま|||
Riko had a head.
と たんに また 電話 が 鳴り 出した 。
|||でんわ||なり|だした
The phone rang again as soon as possible.
「 私 が 出る わ 」
わたくし||でる|
"I'm leaving"
今度 は 敦子 の 母 が やって 来た 。
こんど||あつこ||はは|||きた
This time the mother of Reiko came.
また 今 の 男 だろう か ?
|いま||おとこ||
Will he be a man now?
「 はい 。
片瀬 です 。
かたせ|
── 少々 お 待ち 下さい 」
しょうしょう||まち|ください
待 ち Please wait a bit.
受話器 を 夕 里子 の 方 へ 差し出して 、「 あなた に よ 」
じゅわき||ゆう|さとご||かた||さしだして|||
I presented the handset to Yuuriko and said, "I am you."
逆 なら よかった のに 。
ぎゃく|||
You should have done it in the reverse.
「 野上 さん って 女 の 人 」
のかみ|||おんな||じん
"Mr. Nogami is a woman"
野上 。
のかみ
── 野上 幸代 か 。
のかみ|さちよ|
幸 Yukie Nogami?
父 の 会社 で 親切に して くれた 人 だ 。
ちち||かいしゃ||しんせつに|||じん|
He was kind to me at my father's company.
「 ああ 、 夕 里子 さん ?
|ゆう|さとご|
野上 幸代 よ 」
のかみ|さちよ|
Yukie Nogami "
「 昨日 は どうも 」
きのう||
"Thank you for yesterday"
「 お宅 の 電話 が かかんな いから ── 当り前だ けど ね ── 学校 へ かけて ね 、 担任 の 先生 から そこ を 聞いた の 」
おたく||でんわ||||あたりまえだ|||がっこう||||たんにん||せんせい||||きいた|
"I can't call your home phone-but it 's obvious-I went to school, I heard it from my homeroom teacher"
「 どうも ……」
「 昨日 は カッコ良かった じゃ ない !
きのう||かっこいかった||
"Yesterday was cool!
すっかり 惚れちゃ った わ よ 、 あんた に 。
|ほれちゃ|||||
I was completely in love with you.
胸 が スッ と した 。
むね||||
My chest tired.
会社 でも たちまち 大 評判 よ 」
かいしゃ|||だい|ひょうばん|
It's a big reputation right away from the company. "
「 そんな こと ──」
"That's ──"
「 それ で ね 、 昨日 、 あなた が お 父さん の 休暇 の こと 、 気 に して た でしょ ?
|||きのう||||とうさん||きゅうか|||き||||
"Well then, did you care about your father 's vacation yesterday?
私 、 休暇 届 の つづり を 調べて みた の 」
わたくし|きゅうか|とどけ||||しらべて||
I examined the spelling of the vacation notice.
「 すみません 、 本当に 。
|ほんとうに
"Excuse me, really.
何 か 分 り まして ?
なん||ぶん||
Do you understand something?
「 ちょっと あんた に 見て ほしい の 。
|||みて||
"I want you to look at it for a moment.
どうも 佐々 本 さん の 字 と 違う ような の よ ね 」
|ささ|ほん|||あざ||ちがう||||
It seems that it is different from Sasamoto's letter, is not it? "
夕 里子 は 、 胸 が ときめいて 来る の を 感じた 。
ゆう|さとご||むね|||くる|||かんじた
Yuuriko felt that her chest was coming up.
「 じゃ 、 そちら へ 行き ます !
|||いき|
"Well then I will go there!
「 うん 、 一 時間 で来 られる ?
|ひと|じかん|でき|
"Yeah, can you come in an hour?
じゃ 、 会社 の ビル の 前 に 喫茶 店 が ある から 、 そこ へ 」
|かいしゃ||びる||ぜん||きっさ|てん|||||
Well, there is a cafe in front of the building of the company so go there "
「 はい !
元 気 よく 、 夕 里子 は 立ち上り ながら 答えた 。
もと|き||ゆう|さとご||たちのぼり||こたえた
Excitingly, Yuuriko answered while rising.
もう 怪 電話 の こと など 、 どこ か へ 吹っ飛んで いた 。
|かい|でんわ|||||||ふっとんで|
It was already blowing away somewhere, such as a phantom phone.
「── お 仕事 、 いい んです か ?
|しごと|||
"-Are you good at work?
昨日 、 西川 と 会った 喫茶 店 に 入る と 、 野上 幸代 が 、 まだ 十二 時 前 だ と いう のに 、 サンドイッチ を 食べて いる 。
きのう|にしかわ||あった|きっさ|てん||はいる||のかみ|さちよ|||じゅうに|じ|ぜん|||||さんどいっち||たべて|
When I entered a coffee shop meeting with Nishikawa yesterday, although Yukiyo Nogami is still before 12 o'clock, I am eating a sandwich.
「 平気 、 平気 」
へいき|へいき
"Happiness, calmness"
と モグモグ やり ながら 、「 あんた も ね 、 二十 年 近く も 勤めて ごらん 。
|もぐもぐ||||||にじゅう|とし|ちかく||つとめて|
Mogmogu while doing, "I hope you have been working for nearly two decades.
何 やった って 文句 言わ れ なく なる から さ 。
なん|||もんく|いわ|||||
Because I will not be complaining about what I did.
一緒に 食べる ?
いっしょに|たべる
「 いいえ 、 結構です 」
|けっこうです
夕 里子 は つい 笑って しまった 。
ゆう|さとご|||わらって|
Yuriko just laughed.
「 それ で 、 休暇 届 の 方 は ──」
||きゅうか|とどけ||かた|
"So, if you have a vacation notice ..."
「 あ 、 そう か 。
肝心の こと 忘れちゃ いけない ね 」
かんじんの||わすれちゃ||
I can not forget the important thing "
野上 幸代 は 事務 服 の ポケット から 、 ノート 半分 くらい の 紙 を 取り出した 。
のかみ|さちよ||じむ|ふく||ぽけっと||のーと|はんぶん|||かみ||とりだした
Nogami Yukiyo took out half of his notebook paper from his office clothes pocket.
簡易 印刷 と いう の か 、〈 休暇 届 〉 と あって 、 日付 、 理由 を 書く 欄 が あり 、 下 に は 印 を 押す 欄 が 四 つ も 並んで いる 。
かんい|いんさつ|||||きゅうか|とどけ|||ひづけ|りゆう||かく|らん|||した|||いん||おす|らん||よっ|||ならんで|
There is a report on vacation, and there is a field for writing the date and reason. There are also four fields for pressing the mark below.
「 こんなに ハンコ 押す んです か 」
||おす||
"Would you like to press it like this?"
「 そう 。
上役 は 見 やしない で 、 女の子 が 押す んだ けど ね 。
うわやく||み|||おんなのこ||おす|||
Do not look at your boss, but girls are pushing.
それ 、 佐々 本 さん の 字 ?
|ささ|ほん|||あざ
That 's Sasamoto' s character?
夕 里子 は 、 その 用紙 に 記入 さ れた 〈 氏名 〉 欄 の 〈 佐々 本 周平 〉 と いう 文字 を じっと 見つめた 。
ゆう|さとご|||ようし||きにゅう|||しめい|らん||ささ|ほん|しゅうへい|||もじ|||みつめた
Yuuriko stared at the letter "Sasamoto Shuhei" in the <Name> field on the form.
父親 の 字 を 、 そう そう よく 見た こと は ない が ……。
ちちおや||あざ|||||みた||||
I have never seen the character of my father so well ... ....
「 似て い ます けど …… でも 、 何 か 違う みたいです 」
にて|||||なん||ちがう|
"It looks similar but ... but it looks like something is different."
「 私 も そう 思った の 。
わたくし|||おもった|
これ が 他の 伝票 の 字 な の よ 」
||たの|でんぴょう||あざ|||
This is the letter of another slip. "
野上 幸代 は もう 一 枚 の 伝票 を 取り出した 。
のかみ|さちよ|||ひと|まい||でんぴょう||とりだした
Nojo Yukiyo took out another slip.
「 これ は 間違い なく 佐々 本 さん の 書いた やつ な の 。
||まちがい||ささ|ほん|||かいた|||
"This is definitely the guy Sasamoto-san wrote.
ほら 、 見て 」
|みて
夕 里子 は 二 枚 の 伝票 の 字 を 見比べた 。
ゆう|さとご||ふた|まい||でんぴょう||あざ||みくらべた
Yuuriko compared the letters of the two slips.
「 でも 、 そっくり ……」
"But, it's exactly ......"
「 そっくり 過ぎ ない ?
|すぎ|
"Do not you look exactly?"
「 え ?
「 どんな 人 だって 、 くせ は ある と して も 、 名前 を 全く 同じに 書く なんて こと 、 ない でしょ ?
|じん||||||||なまえ||まったく|どうじに|かく||||
"Every person, even if there is a habit, do not you write your name exactly the same, do not you?
それ に しちゃ 似 すぎて る ような 気 が する の よ 」
|||に||||き||||
I feel like it 's too similar to it. "
そう 言わ れて みれば 確かに その 通り だ 。
|いわ|||たしかに||とおり|
If you say so, it is true.
「 それ に 、 ちょっと 変な の は 〈 理由 〉 な の 」
|||へんな|||りゆう||
"And that 's why it' s the reason why it 's a bit strange."
「〈 私用 〉 って なって ます ね 」
しよう||||
"I am supposed to be" for private use "
「 そう 。
〈 私用 〉 に は 違いない んだ けど ね 。
しよう|||ちがいない|||
It must be <private> though.
一 日 ぐらい の 休み なら 〈 私用 〉 で いい けど 、 木 、 金 、 土 と 三 日間 でしょう 。
ひと|ひ|||やすみ||しよう||||き|きむ|つち||みっ|にち かん|
If it is a day off, it is fine to use it for private use, but it will be three days with trees, money, and soil.
長い 休み に 〈 私用 〉 と いう 書き 方 を する と 課長 が うるさい の よ ね 」
ながい|やすみ||しよう|||かき|かた||||かちょう|||||
The section chief is noisy when doing a writing called "private" on a long break. "
「 具体 的に 理由 を 書け 、 と いう こと です か 」
ぐたい|てきに|りゆう||かけ|||||
"Can you specifically say why?"
「 そう 。
それ に 〈 旅行 〉 なら 、 別に 隠す こと も ない し 、 そう 書いたろう と 思う の よ 」
||りょこう||べつに|かくす||||||かいたろう||おもう||
Also if it is a "travel", I will not hide it separately, I think I will write it so.
夕 里子 は 眉 を 寄せて 考え込んだ 。
ゆう|さとご||まゆ||よせて|かんがえこんだ
Yuuriko drew her mind and thought.
「 もし …… 誰 か が その 伝票 を 、 父 の 字 を 真似 して 書いた と したら 、〈 旅行 〉 って いう 字 の 見本 が なかった んじゃ ない でしょう か 。
|だれ||||でんぴょう||ちち||あざ||まね||かいた|||りょこう|||あざ||みほん||||||
"If ... ... If someone imitated the fetish by imitating the father's letter, there would have been no sample of the word" travel ".
父 は 私 たち を 置いて 旅行 に 出る なんて こと 、 出張 以外 に は あり ませ ん でした から 」
ちち||わたくし|||おいて|りょこう||でる|||しゅっちょう|いがい|||||||
My father had no choice but to travel except for leaving us. "
「 そう か !
〈 私用 〉 なら いくらも ある から ね 。
しよう|||||
In the case of <private use>, there are many.
あんた 頭 が いい ね !
|あたま|||
You have a good head!
言わ れ つけ ない こと を 言わ れて 、 夕 里子 は 赤く なった 。
いわ||||||いわ||ゆう|さとご||あかく|
Evening child became red after being told what I could not say.
「 それ に 〈 旅 〉 って 字 は 、 ちょっと 真似 する の に 面倒だ よ ね 。
||たび||あざ|||まね||||めんどうだ||
"And the word" travel "is a bother to imitate a bit.
〈 私用 〉 なら 、 そう くせ の ない 字 だし ……」
しよう||||||あざ|
In the case of <private use>, it is a unique character ......
「 この 二 枚 の 伝票 、 拝借 でき ませ ん か 」
|ふた|まい||でんぴょう|はいしゃく||||
"Can you borrow this two sheets of documents?"
「 いい わ よ 、 どう する の 」
"Good, what do you do?"
「 警察 で 筆 蹟 を 見て もらおう と 思う んです 」
けいさつ||ふで|あと||みて|||おもう|
"I'm going to get a look at a brush at the police station."
「 探偵 さん 、 頑張って ね 」
たんてい||がんばって|
"Detective, good luck"
と 、 サンドイッチ に ガブリ と かみつき ながら 、 野上 幸代 は 言った 。
|さんどいっち||||||のかみ|さちよ||いった
And, while biting in a sandwich with Gabri, Yukiyo Nogami said.
夕 里子 は 、 入り組んだ 住宅 密集 地 を 、 もう 一 時間 以上 も 歩き回って いた 。
ゆう|さとご||いりくんだ|じゅうたく|みっしゅう|ち|||ひと|じかん|いじょう||あるきまわって|
Yuriko was walking around a densely populated residential area for more than an hour.
「 や だ 、 また 同じ 所 に 出て 来ちゃ った 」
|||おなじ|しょ||でて|きちゃ|
"Yes, I came to the same place again"
もう 、 この 方向 音痴 !
||ほうこう|おんち
Another direction deaf this direction!
── 自分 を ののしって みて も 、 事態 は 一向に よく なら ない のである 。
じぶん|||||じたい||いっこうに||||
─ ─ I did not feel well at all, even if I looked in on himself.
夕 里子 は 、 水口 淳子 の 家 を 捜して いた 。
ゆう|さとご||みずぐち|あつこ||いえ||さがして|
Yuuriko was searching for the house of Mizuguchi Ayako.
被害 者 の 親 に 、 容疑 者 の 娘 が 会う と いう の は 、 どんな もん かしら 、 と 思わ ないで も なかった が 、 なに 、 構 やしない 。
ひがい|もの||おや||ようぎ|もの||むすめ||あう|||||||||おもわ||||||かま|
It didn't seem like that the victim's parents would see the suspect's daughter meet, but I didn't think anything about it.
その 点 、 まだ 高校 生 である と いう の が 逃げ道 に なる 。
|てん||こうこう|せい||||||にげみち||
In that respect, being a high school student is still an escape.
高校 生 と いう の は 便利である 。
こうこう|せい|||||べんりである
It is convenient to say high school students.
場合 に 応じて 子供 に なったり 、 大人 に なったり できる から だ 。
ばあい||おうじて|こども|||おとな|||||
It can be a child or become an adult according to the case.
さて 、 水口 淳子 の 家 だ が ……。
|みずぐち|あつこ||いえ||
Well, it's Juko Mizuguchi's house ....
電話 帳 で 住所 を 調べて やって 来た のだ が 、 何しろ 分 ら ない 。
でんわ|ちょう||じゅうしょ||しらべて||きた|||なにしろ|ぶん||
I came to look up the address in the phonebook, but I can't tell anything.
交番 で 訊 こう に も 交番 は ない し 、 通り が かった 人 や 、 その辺 の 店 で 訊 いて も 分 ら ない のだ 。
こうばん||じん||||こうばん||||とおり|||じん||そのへん||てん||じん|||ぶん|||
There is no police box in the police box, nor is it possible to see in the people who walk along the street or in the shops nearby.
「 ああ 、 お腹 空いた 」
|おなか|あいた
"Oh, I was hungry."
と 、 夕 里子 は グチ った 。
|ゆう|さとご|||
And, Yuuriko was nervous.
さっき 野上 幸代 と 一緒に 食べて おけば 良かった な 、 と 後悔 した 。
|のかみ|さちよ||いっしょに|たべて||よかった|||こうかい|
I regretted that it would be nice if I had eaten with Yukie Nogami.
そう すれば 、 あっ ち が 払って くれた だろう し 。
|||||はらって|||
Then I would have paid for it.
── もっとも 、 珠美 から 電話 代 と して 預かった 二千 円 が ある から 、 そう ケチケチ し なく たって いい のだ が 。
|たまみ||でんわ|だい|||あずかった|にせん|えん|||||||||||
も っ と も However, because there is a thousand yen that I have deposited as a telephone bill from Suzumi, I wish I had not done so much.
しかし 、 これ じゃ どうどう巡り で 、 一向に 辿り着か ない 。
|||どうどうめぐり||いっこうに|たどりつか|
However, this is how I went around and I could not arrive at the other end.
先方 へ 電話 して も いい が 、 自分 が 今 どこ に いる の か 分 ら ない ので は 、 道順 の 訊 きよう も ない 。
せんぽう||でんわ|||||じぶん||いま||||||ぶん|||||みちじゅん||じん|||
You may call the other party, but if you do not know where you are now, you will not be able to get directions.
夕 里子 は 仕方なく 、 また 歩き 出した 。
ゆう|さとご||しかたなく||あるき|だした
Yuriko walked out again without help.
ともかく 立ち止まって いて も 目的 地 へ 着か ない こと は 確かである 。
|たちどまって|||もくてき|ち||つか||||たしかである
At any rate, it is true that you can not reach the destination even if you stop.
尾 けら れて いる 。
お|||
I have been scolded.
── 突然 、 夕 里子 は 気付いた 。
とつぜん|ゆう|さとご||きづいた
突然 Suddenly, Yuriko noticed.
足音 が 、 ついて 来る のだ 。
あしおと|||くる|
The footsteps are coming.
昼 下り 。
ひる|くだり
Afternoon.
住宅 地 は 、 静かだった 。
じゅうたく|ち||しずかだった
The residential area was quiet.
どこ から か 、 ピアノ の 音 が する 他 は 、 音 らしい 音 も ない 。
|||ぴあの||おと|||た||おと||おと||
From anywhere, there are no sounds that sound like sounds other than the sound of the piano.
よく 晴れて 、 暖 い 日 である 。
|はれて|だん||ひ|
It is sunny and warm day.
こんな 気持 の いい 昼間 に 、 誰 かに 後 を 尾 けら れる なんて 、 と 夕 里子 は 思った 。
|きもち|||ひるま||だれ||あと||お|||||ゆう|さとご||おもった
Yuriko thought that this kind of pleasant daytime could be followed by someone.
大体 美女 が 怪しい 影 に 尾 けら れる の は 、 夜ふけ と 決 って る じゃ ない の !
だいたい|びじょ||あやしい|かげ||お|||||よふけ||けっ|||||
The fact that a beautiful woman is caught by a suspicious shadow is determined to be a night shoot!
夕 里子 は 足 を 止めた 。
ゆう|さとご||あし||とどめた
Yuriko stopped her leg.
尾 け て 来る 足音 が ピタリ と 止まる 。
お|||くる|あしおと||ぴたり||とまる
The footsteps coming from the tail stop right away.
それ は ごく わずかの 差 で 、 自分 の 足音 の エコー かしら 、 と 思う ほど だ が 、 そんな はず は ない 。
||||さ||じぶん||あしおと|||||おもう|||||||
It's a slight difference, and I think it's an echo of my footsteps, but that's not the case.
また 歩き だす と 、 もう 一 つ の 足音 も それ に 続く 。
|あるき||||ひと|||あしおと||||つづく
If you start walking again, another footsteps will follow.
歩調 が 違う 。
ほちょう||ちがう
My pace is different.
エコー で は ない のだ 。
It is not an echo.